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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 3/00 20060101AFI20220316BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
B25J3/00 Z
B25J19/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017211372
(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2019081239
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-10-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康彦
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特許第5011474(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/033376(WO,A1)
【文献】特開2016-078142(JP,A)
【文献】特開平07-129231(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033356(WO,A1)
【文献】特表2009-531184(JP,A)
【文献】特開平09-179612(JP,A)
【文献】特開昭62-139005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロボット本体と、
複数の操作者の操作を夫々受け付けて、前記ロボット本体を動作させる操作情報を生成する複数の操作装置と、
前記複数のロボット本体の夫々に対応して設けられ、前記操作情報を受けて、対応するロボット本体の動作を制御する複数の動作制御部と、
前記複数の操作装置の夫々に対応して設けられ、前記複数のロボット本体のうちのいずれかを選択する操作を受け付けることにより、当該選択したロボット本体を操作対象として、対応する前記操作装置からの操作情報に基づき動作させる許可を要求する、複数の操作対象選択部と、
前記操作対象選択部から前記許可要求を受信して、前記許可要求に対して許可するか否かを判定する判定部を有し、前記判定部が許可した場合に、対応する前記操作装置からの操作情報に基づく当該選択したロボット本体の動作を可能にする操作許可装置と、
前記複数の動作制御部の夫々に対応して設けられ、対応する前記ロボット本体が作業を進行できなくなった場合に、操作情報を要求する操作要求を生成する複数の要求生成部と、
前記複数の操作装置を夫々操作する前記複数の操作者から視認可能な位置に設けられ、または、前記操作者ごとに視認可能に設けられ、前記複数の動作制御部のいずれについて前記要求生成部が操作要求を生成したかを報知する要求報知部と、を備え、
前記判定部は、前記操作対象選択部から前記許可要求を受信したときに、当該操作対象選択部にて選択したロボット本体を、前記操作対象選択部に対応する操作装置とは別の操作装置からの操作情報に基づき動作させることが許可されている場合には、当該許可要求に対する許可を禁止し、それ以外の場合には、当該許可要求に対して許可する、ロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボット本体に自動で動作させるための自動動作情報を記憶する記憶部を備え、
前記動作制御部の運転モードは、前記要求生成部が操作要求を生成する前は、前記自動動作情報を用いて前記ロボット本体の動作を制御する自動モードであり、前記要求生成部が操作要求を生成したときに、前記自動モードから、前記操作情報を用いて前記ロボット本体の動作を制御する手動モードに切り替わる、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記ロボット本体に自動で動作させるための自動動作情報を記憶する記憶部を備え、
前記動作制御部は、前記ロボット本体が前記記憶部に記憶された自動動作情報を用いて自動で動作している途中に前記操作装置から操作情報を受けた場合に、自動動作情報と操作情報の双方を用いて前記ロボット本体の動作を制御する、請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記操作装置は、前記ロボット本体の作業対象であるワークを指定可能に構成されており、前記操作情報には、前記操作装置により指定されたワーク情報が含まれており、
前記動作制御部は、前記操作情報を受けて、対応する前記ロボット本体が前記操作装置により指定されたワークに対して作業を行うように動作するよう制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業環境中のロボットを操作者が遠隔的に操作することにより、当該ロボットに必要な作業を行わせる遠隔操作ロボットシステムが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、運転モードを、予め設定されたタスクプログラムに従って動作させる自動運転モードから、操作者がマスターアームなどの操作手段を手動操作することにより動作させる手動運転モードに切り替えるロボットシステムが提案されている。このシステムでは、予め準備されたプログラムではロボットに所定の作業を行わせることができないといった異常が生じた場合に、運転モードを、自動運転モードから手動運転モードに切り替えることにより、ロボットに作業を行わせることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-311661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば作業対象が広範囲にわたるものであったり、複数の作業工程を要する作業であったりする場合、例えば数十台のロボットを用意して、同時作業させるのが効率がよい。しかしながら、上述したシステムを複数台のロボットに対して適用した場合、操作者が手動操作するために用いられる操作手段もロボットの数だけ用意しなければならない。
【0006】
そこで、本発明は、複数台のロボットを遠隔操作するのに好適なロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のロボットシステムは、複数のロボット本体と、操作を受け付けて、前記ロボット本体を動作させる操作情報を生成する複数の操作装置と、前記複数のロボット本体の夫々に対応して設けられ、前記操作情報を受けて、対応するロボット本体の動作を制御する複数の動作制御部と、前記複数の操作装置の夫々に対応して設けられ、前記複数のロボット本体のうちのいずれかを選択する操作を受け付けることにより、当該選択したロボット本体を操作対象として、対応する前記操作装置からの操作情報に基づき動作させる許可を要求する、複数の操作対象選択部と、前記操作対象選択部から前記許可要求を受信して、前記許可要求に対して許可するか否かを判定する判定部を有し、前記判定部が許可した場合に、対応する前記操作装置からの操作情報に基づく当該選択したロボット本体の動作を可能にする操作許可装置とを備え、前記判定部は、前記操作対象選択部から前記許可要求を受信したときに、当該操作対象選択部にて選択したロボット本体を、前記操作対象選択部に対応する操作装置とは別の操作装置からの操作情報に基づき動作させることが許可されている場合には、当該許可要求に対する許可を禁止し、それ以外の場合には、当該許可要求に対して許可する。
【0008】
上記の構成によれば、複数のロボットの一部に異常が生じて手動操作等に切り替える場合であっても、操作許可装置からの許可があれば、1つの操作装置から全てのロボット本体を操作することが可能になる。このため、操作者がロボット本体を操作するための操作装置を、ロボット本体の数だけ用意する必要はなくなる。
【0009】
また、操作対象選択部から許可要求を受信したときに、当該操作対象選択部にて選択したロボット本体を、前記操作対象選択部に対応する操作装置とは別の操作装置からの操作情報に基づき動作させることが許可されている場合には、当該許可要求に対する許可を禁止するため、1つのロボット本体が複数の操作装置により同時に操作されることを回避することができる。
【0010】
このため、複数台のロボットを遠隔操作するのに好適なロボットシステムを提供することができる。
【0011】
上記のロボットシステムは、前記複数の動作制御部の夫々に対応して設けられ、操作情報を要求する操作要求を生成する複数の要求生成部と、前記要求生成部が操作要求を生成したことを報知する要求報知部と、を備えてもよい。この構成によれば、複数の動作制御部のいずれについて操作要求があったかを即座に知ることができる。
【0012】
上記のロボットシステムは、前記ロボット本体に自動で動作させるための自動動作情報を記憶する記憶部を備え、前記動作制御部の運転モードは、前記要求生成部が操作要求を生成する前は、前記自動動作情報を用いて前記ロボット本体の動作を制御する自動モードであり、前記要求生成部が操作要求を生成したときに、前記自動モードから、前記操作情報を用いて前記ロボット本体の動作を制御する手動モードに切り替わってもよい。
【0013】
上記のロボットシステムは、前記ロボット本体に自動で動作させるための自動動作情報を記憶する記憶部を備え、前記動作制御部は、前記ロボット本体が前記記憶部に記憶された自動動作情報を用いて自動で動作している途中に前記操作装置から操作情報を受けた場合に、自動動作情報と操作情報の双方を用いて前記ロボット本体の動作を制御してもよい。
【0014】
上記のロボットシステムにおいて、前記操作装置は、前記ロボット本体の作業対象であるワークを指定可能に構成されており、前記操作情報には、前記操作装置により指定されたワーク情報が含まれており、前記動作制御部は、前記操作情報を受けて、対応する前記ロボット本体が前記操作装置により指定されたワークに対して作業を行うよう動作するよう制御してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、複数台のロボットを遠隔操作するのに好適なロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るロボットシステムの構成を示す模式図である。
図2】エンドエフェクタが装着されたスレーブアームの構成を示す図である。
図3】複数のスレーブアームとそれらの作業環境を説明する図である。
図4】操作者用インターフェースシステムに配置される操作者の環境を説明する図である。
図5図1に示すロボットシステムの制御系統の構成を示す模式図である。
図6図5に示す動作制御部の制御系のブロック図の一例を示す図である。
図7】第2モニタ装置に表示される画像の一例を示す。
図8】別の実施形態に係るロボット本体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るロボットシステムについて図面を参照して説明する。本実施形態に係るロボットシステム100は、マスタースレーブ方式のロボットを利用したシステムである。ロボットシステム100では、スレーブアーム1の作業領域から離れた位置(作業領域外)にいる操作者がマスターアーム2(図4参照)を動かして指令を入力することで、スレーブアーム1が該指令に対応した動作を行い、特定の作業を行うことができる。また、ロボットシステム100では、スレーブアーム1は、操作者によるマスターアーム2の操作なしに、所定の作業を自動的に行うこともできる。
【0018】
本明細書では、マスターアーム2を介して入力された指令に従って、スレーブアーム1を動作させる運転モードを「手動モード」と称する。なお、上述の「手動モード」には、操作者がマスターアーム2を操作することによって入力された指令に基づいて動作中のスレーブアーム1の動作の一部が自動で動作補正される場合も含む。また、予め設定されたタスクプログラムに従ってスレーブアーム1を動作させる運転モードを「自動モード」と称する。
【0019】
更に、本実施形態のロボットシステム100では、スレーブアーム1が自動で動作している途中に、マスターアーム2の操作をスレーブアーム1の自動の動作に反映させて、自動で行うことになっていた動作を修正することができるように構成されている。本明細書では、マスターアーム2を介して入力された指令を反映可能な状態で、予め設定されたタスクプログラムに従ってスレーブアーム1を動作させる運転モードを「修正自動モード」と称する。なお、上述の「自動モード」は、スレーブアーム1を動作させる運転モードが自動モードであるときはマスターアーム2の操作がスレーブアーム1の動作に反映されないという点で、「修正自動モード」と区別される。
【0020】
まず、図1を参照して、本実施形態に係るロボットシステム100の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るロボットシステム100の構成の一例を示す模式図である。図1に示すように、ロボットシステム100は、複数のスレーブロボット10と、マスターアーム2を夫々含む複数の操作者用インターフェースシステム20を備える。本実施形態のロボットシステム100は、一例として、図1に示すように6つのスレーブロボット10と、4つの操作者用インターフェースシステム20を備えている。但し、ロボットシステム100が備えるスレーブロボット10の数及び操作者用インターフェースシステム20の数はこれに限定されない。また、これら6つのスレーブロボット10と、4つの操作者用インターフェースシステム20は、いずれも後述する操作許可装置8に接続されている。以下、ロボットシステム100の各構成要素について詳細に説明する。
【0021】
(スレーブロボットの構成)
図1に示すように、各スレーブロボット10は、スレーブアーム1と、スレーブアーム1の先端に装着されるエンドエフェクタ16と、スレーブアーム1及びエンドエフェクタ16の動作を司る制御装置3とを備えている。スレーブアーム1及びエンドエフェクタ16が、本発明の「ロボット本体」に相当する。本実施形態では、6つのスレーブロボット10が、いずれも同じ構成であるが、互いに異なる構成であってもよい。
【0022】
図2は、エンドエフェクタ16が装着されたスレーブアームの構成を示す図である。スレーブアーム1は、基台15と、基台15に支持された腕部13と、腕部13の先端に支持され、エンドエフェクタ16が装着される手首部14とを備えている。スレーブアーム1は、図2に示すように6つの関節JT1~JT6を有する多関節ロボットアームであって、複数のリンク11a~11fが順次連結されて構成されている。より詳しくは、第1関節JT1では、基台15と、第1リンク11aの基端部とが、鉛直方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第2関節JT2では、第1リンク11aの先端部と、第2リンク11bの基端部とが、水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第3関節JT3では、第2リンク11bの先端部と、第3リンク11cの基端部とが、水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第4関節JT4では、第3リンク11cの先端部と、第4リンク11dの基端部とが、第4リンク11cの長手方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第5関節JT5では、第4リンク11dの先端部と、第5リンク11eの基端部とが、リンク11dの長手方向と直交する軸回りに回転可能に連結されている。第6関節JT6では、第5リンク11eの先端部と第6リンク11fの基端部とが、捻れ回転可能に連結されている。
【0023】
そして、第6リンク11fの先端部にはメカニカルインターフェースが設けられている。このメカニカルインターフェースには、作業内容に対応したエンドエフェクタ16が着脱可能に装着される。本実施形態では、エンドエフェクタ16は、後述するワークW(図7参照)を把持可能なハンドである。
【0024】
また、本実施形態では、スレーブアーム1の先端に第1カメラ装置17が設けられている。第1カメラ装置17は、スレーブアーム1の先端近傍部分、例えば第6リンク11fに固定された支持部18により支持される。第1カメラ装置17は、第6関節JT6からエンドエフェクタ16に向かって延びる方向を向くように配置されている。即ち、第1カメラ装置17は、エンドエフェクタ16で把持する対象であるワークWを把持前及び把持後において映し出すことができるよう配置されている。
【0025】
上記の第1関節JT1、第1リンク11a、第2関節JT2、第2リンク11b、第3関節JT3、及び第3リンク11cから成るリンクと関節の連結体によって、スレーブアーム1の腕部13が形成されている。また、上記の第4関節JT4、第4リンク11d、第5関節JT5、第5リンク11e、第6関節JT6、及び第4リンク11fから成るリンクと関節の連結体によって、スレーブアーム1の手首部14が形成されている。
【0026】
関節JT1~JT6には、それが連結する2つの部材を相対的に回転させるアクチュエータの一例としての駆動モータM1~M6が設けられている。駆動モータM1~M6は、例えば、制御装置3によってサーボ制御されるサーボモータである。また、関節JT1~JT6には、駆動モータM1~M6の回転位置を検出するための回転センサE1~E6(図6参照)と、駆動モータM1~M6の回転を制御する電流を検出するための電流センサC1~C6(図6参照)とが設けられている。回転センサE1~E6は、例えばエンコーダである。なお、上記の駆動モータM1~M6、回転センサE1~E6、及び電流センサC1~C6の記載では、各関節JT1~JT6に対応してアルファベットに添え字の1~6が付されている。以下では、関節JT1~JT6のうち任意の関節を示す場合には添え字を省いて「JT」と称し、駆動モータM、回転センサE及び電流センサCについても同様とする。
【0027】
図3は、複数のスレーブアーム1とそれらの作業環境を説明する図である。本実施形態では、スレーブアーム1が、例えば倉庫内に設けられた棚19などの近傍にそれぞれ配置されている。各スレーブアーム1は、棚19に置かれた容器内のワークWを1つずつ把持して、当該容器から取り出す作業を行う。
【0028】
制御装置3は、例えば、マイクロコントローラ、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等からなる演算部(図示せず)と、ROMやRAM等からなる記憶部6を有する。制御装置3は、機能ブロックとして、動作制御部31及び要求生成部32(図5参照)を備えている。これら機能ブロックは、例えば、制御装置3の演算部が記憶部6に格納されているプログラム等を読み出し実行することにより実現される。動作制御部31は、後述するマスターアーム2等からの操作情報を受けて、対応するスレーブアーム1の動作を制御する。要求生成部32は、操作情報を要求する操作要求を生成する。これらについて、詳しくは後述する。
【0029】
(操作者用インターフェースシステムの構成)
次に、操作者用インターフェースシステム20について、図4を参照して説明する。図4は、操作者用インターフェースシステム20に配置される操作者の環境を説明する図である。各操作者用インターフェースシステム20は、上述したマスターアーム2と、入力装置7と、第1モニタ装置4を備える。第1モニタ装置4は、第1カメラ装置17にて撮像された画像を表示するためのモニタである。本実施形態では、4つの操作者用インターフェースシステム20Aは、いずれも同じ構成であるが、互いに異なる構成であってもよい。
【0030】
マスターアーム2は、スレーブアーム1の作業領域外に設置され、操作者からの操作指示を受け付ける装置である。マスターアーム2は、スレーブアーム1と相似構造をしているためマスターアーム2の構成に関する説明は省略する。但し、マスターアーム2は、スレーブアーム1と非相似構造をしていてもよい。マスターアーム2を動かすことにより操作情報が生成され、生成された操作情報は操作許可装置8を介して、制御装置3に送られる。本実施形態のロボットシステム100では、スレーブアーム1を動作させる運転モードが手動モードであるときに操作情報が制御装置3に送られると、スレーブアーム1が制御装置3により該マスターアーム2の動きに追随して動くよう制御される。スレーブアーム1を動作させる運転モードが修正自動モードであるときに操作情報が制御装置3に送られると、自動で動作している途中のスレーブアーム1の動作が操作情報により修正される。マスターアーム2は、本発明の「操作装置」に相当する。
【0031】
入力装置7は、マスターアーム2とともに作業空間外に設置され、操作者からの操作指示を受け付ける。入力装置7は、操作可能に構成されており、例えば、スイッチ、調整ツマミ、操作レバー又はタブレットなどの携帯端末が例示できる。入力装置7は、操作対象選択部71、モード選択部72、及び動作情報選択部73を備えている。
【0032】
操作対象選択部71は、複数のスレーブアーム1のうちのいずれかを選択する操作を受け付ける。これにより、後述する操作許可装置8に対して、当該選択したスレーブアーム1を操作対象として、対応するマスターアーム2からの操作情報に基づき動作させる許可を要求する。モード選択部72及び動作情報選択部73について、詳細は後述する。
【0033】
(第2カメラ装置及び第2モニタ装置)
図1に戻って、ロボットシステム100は、更に、6つの第2カメラ装置51と、第2モニタ装置52を備える。図1に示すように、6つの第2カメラ装置51は、それぞれ6つのスレーブロボット10に対応して設けられている。第2カメラ装置51は、スレーブアーム1が設けられている空間に設置されている。各第2カメラ装置51は、対応するスレーブロボット10の作業状況を撮影するように、スレーブアーム1からやや離れた位置に配置される。
【0034】
6つの第2カメラ装置51は、いずれも第2モニタ装置52に接続されている。第2カメラ装置51と第2モニタ装置52は、互いに直接されなくてもよく、別の装置を介して接続されてもよい。また、第2カメラ装置51と第2モニタ装置52は、互いに有線により接続されてもよいし、無線により接続されてもよい。
【0035】
第2モニタ装置52は、操作者がスレーブアーム1による作業状況を確認するためモニタである。第2モニタ装置52は、マスターアーム2が設けられている空間であって、各操作者用インターフェースシステム20で操作する操作者から視認可能な位置に設置されている。第2モニタ装置52は、図4に示すように、6つのスレーブロボット10のそれぞれに対応して、6つの表示部53と、6つの要求報知部54と、6つの接続報知部55を備えている。
【0036】
6つの表示部53には、6つの第2カメラ装置51にて撮像された画像がそれぞれ表示される。このため、操作者は、第2モニタ装置52を見ることにより、6つのスレーブアーム1の動作を一度に確認することができる。
【0037】
要求報知部54は、制御装置3の要求生成部32から操作要求を受信し、当該要求生成部32が操作要求を生成したことを報知する。本実施形態では、要求報知部54は、図4に示すように、対応する表示部53の上側に設けられる。また、本実施形態では、要求報知部54は、発光部である。制御装置3からの操作要求を受信することにより、当該制御装置3に対応する要求報知部54が、点灯又は点滅する。これにより、その要求報知部54に対応するスレーブロボット10から操作要求があったことが操作者に知らされる。
【0038】
接続報知部55は、スレーブロボット10と操作者用インターフェースシステム20との接続関係を報知する。詳しく説明すると、操作者用インターフェースシステム20からのスレーブロボット10の操作は、操作許可装置8により許可された場合に可能となる。
操作許可装置8がスレーブロボット10に対する操作を許可した場合に、当該スレーブロボット10に対応する接続報知部55は、当該スレーブロボット10を操作可能になった操作者用インターフェースシステム20を報知する。
【0039】
本実施形態では、接続報知部55は、図4に示すように、対応する表示部53の下側に設けられた液晶ディスプレイであり、対応する操作者用インターフェースシステム20を識別可能に表示する。
【0040】
(操作許可装置)
本実施形態では、操作許可装置8は、入力装置7の操作対象選択部71から許可要求を受信して、許可要求に対して許可するか否かを判定する判定部81を有する。操作許可装置8は、判定部81が許可した場合に、対応するマスターアーム2からの操作情報に基づく当該選択したスレーブロボット10の動作を可能にする。
【0041】
図5は、ロボットシステム100の制御系統の構成を示す模式図である。なお、図5では、1つのスレーブロボット10と1つの操作者用インターフェースシステム20のみ内部構成を示し、他のスレーブロボット10と操作者用インターフェースシステム20については省略する。また、図5で、エンドエフェクタ16についても省略する。
【0042】
判定部81は、操作対象選択部71から許可要求を受信したときに、当該操作対象選択部71にて選択したスレーブロボット10を、当該操作対象選択部71に対応するマスターアーム2とは別のマスターアーム2からの操作情報に基づき動作させることが許可されている場合には、当該許可要求に対する許可を禁止し、それ以外の場合には、当該許可要求に対して許可する。
【0043】
具体的には、判定部81が操作対象選択部71からの許可要求を許可した場合、当該操作対象選択部71を含む操作者用インターフェースシステム20のマスターアーム2で生成された操作情報は、操作対象選択部71にて選択したスレーブロボット10の動作制御部31に送られるようになる。また、判定部81は、スレーブロボット10に対する操作を許可した場合に、当該スレーブロボット10を操作可能になった操作者用インターフェースシステム20を識別するための情報を接続報知部55に送る。
【0044】
また、判定部81が操作対象選択部71からの許可要求を許可した場合、当該操作対象選択部71を含む操作者用インターフェースシステム20の第1モニタ装置4には、操作対象選択部71にて選択したスレーブロボット10を撮像する第1カメラ装置17からの画像が送られるようになる。
【0045】
また、判定部81が操作対象選択部71からの許可要求を許可した場合、当該操作対象選択部71を含む操作者用インターフェースシステム20のモード選択部72及び動作情報選択部73に対する操作指示は、操作対象選択部71にて選択したスレーブロボット10の動作制御部31に送られるようになる。
【0046】
また、判定部81が操作対象選択部71からの許可要求を許可した場合、当該操作対象選択部71を含む操作者用インターフェースシステム20のモード選択部72及び動作情報選択部73に対する操作指示は、操作対象選択部71にて選択したスレーブロボット10の動作制御部31に送られるようになる。
【0047】
なお、図5では、マスターアーム2と動作制御部31とが機械的スイッチに接続されることが示されたが、模式的に示したにすぎず、これに限定されるものではない。
【0048】
図5に示すように、モード選択部72は、スレーブアーム1を動作させる運転モードを、上述した自動モード、修正自動モード及び手動モードから操作者が選択するためのものである。動作情報選択部73は、スレーブアーム1に動作させるための複数の動作情報の中から、自動モード又は修正自動モードでスレーブアーム1を動作させるときに動作制御部31が用いる動作情報を選択するためのものである。
【0049】
制御装置3の記憶部6は、読み書き可能な記録媒体であり、スレーブアーム1に自動で所定の動作をさせるための情報が保存動作情報61として記憶されている。保存動作情報61は、スレーブアーム1に自動で所定の動作をさせるのに必要な全ての情報である必要はなく、一部の情報であってもよい。また、保存動作情報61は、スレーブアーム1の動作に関する情報であれば、いかなる情報であってもよい。例えば、保存動作情報61は、時系列データを含む軌道情報であってもよいし、飛び飛びの点のポーズを表した経路情報であってもよい。保存動作情報61は、例えば、スレーブアーム1の軌道に沿った速度を含んでもよい。
【0050】
記憶部6には、少なくとも1つの保存動作情報61が記憶されており、そのうちの1つは、例えば、教示作業により所定の作業を行うようスレーブアーム1を動作させて記憶された教示情報61aである。本実施形態では、教示情報61aとしての保存動作情報61は、マスターアーム2を操作することによりスレーブアーム1の動作を指示し記憶させた情報であるが、これに限定されず、いかなる教示方式で記憶されたものであってもよい。例えば教示情報61aとしての保存動作情報61は、ダイレクト教示により記憶された情報であってもよい。なお、本実施形態に係るロボットシステム100では、記憶部6は、制御装置3と別体に設けられているが制御装置3と一体として設けられていてもよい。
【0051】
以下では、動作制御部31によるスレーブアーム1の動作の制御について図6を参照して説明する。
【0052】
動作制御部31には、記憶部6に記憶された少なくとも1つの保存動作情報61のうちの1つが、スレーブアーム1に自動で動作させるための自動動作情報として送られる。また、動作制御部31には、マスターアーム2を操作することにより生成された操作情報が送られる。
【0053】
動作制御部31は、モード選択部72で選択されている運転モードに従い、自動動作情報及び操作情報の一方又は両方を用いる。
【0054】
モード選択部72で選択されている運転モードが手動モードであるとき、動作制御部31は操作情報を用いる。より詳しくは、動作制御部31は、スレーブアーム1を動作させる運転モードが手動モードであるとき、記憶部6に保存動作情報61を用いず、マスターアーム2を操作することにより送られた操作情報(入力指令)に従って、スレーブアーム1の動作を制御する。
【0055】
また、モード選択部72で選択されている運転モードが自動モードであるとき、動作制御部31は自動動作情報を用いる。より詳しくは、動作制御部31は、スレーブアーム1を動作させる運転モードが自動モードであるとき、マスターアーム2から送られた操作情報を用いず、予め設定されたタスクプログラムに従って記憶部6から送られた自動動作情報を用いてスレーブアーム1の動作を制御する。
【0056】
また、モード選択部72で選択されている運転モードが修正自動モードであるとき、動作制御部31は、自動動作情報と操作情報の両方を用いる。なお、運転モードが修正自動モードであるときに、操作情報が動作制御部31に送られていない場合は、動作制御部31は自動動作情報のみを用いる。より詳しくは、動作制御部31は、スレーブアーム1を動作させる運転モードが修正自動モードであるとき、スレーブアーム1が自動動作情報を用いて自動で動作している途中に操作情報を受けると、自動動作情報と操作情報の両方を用いてスレーブアーム1の動作を制御する。これにより、スレーブアーム1は、自動動作情報に関する動作、すなわち自動で行うことになっていた動作から修正された動作を行う。
【0057】
以下では、スレーブアーム1を動作させる運転モードが修正自動モードであるときのスレーブアーム1の動作修正について、図6を参照して説明する。図6は、動作制御部31の制御系のブロック図の一例を示す図である。
【0058】
動作制御部31は、加算器31a、減算器31b,31e,31g、位置制御器31c、微分器31d、速度制御器31fを備え、自動動作情報に基づく指令値及び操作情報に基づく指令値により、スレーブアーム1の駆動モータMの回転位置を制御する。
【0059】
加算器31aは、自動動作情報に基づく位置指令値に、操作情報に基づく修正指令値を加算することによって、修正された位置指令値を生成する。加算器31aは、修正された位置指令値を減算器31bに送る。
【0060】
減算器31bは、修正された位置指令値から、回転センサEで検出された位置現在値を減算して、角度偏差を生成する。減算器31bは、生成した角度偏差を位置制御器31cに送る。
【0061】
位置制御器31cは、予め定められた伝達関数や比例係数に基づいた演算処理により、減算器31bから送られた角度偏差から速度指令値を生成する。位置制御器31cは、生成した速度指令値を減算器31eに送る。
【0062】
微分器31dは、回転センサEで検出された位置現在値情報を微分して、駆動モータMの回転角度の単位時間あたりの変化量、すなわち速度現在値を生成する。微分器31dは、生成した速度現在値を減算器31eに送る。
【0063】
減算器31eは、位置制御器31cから送られた速度指令値から、微分器31dから送られた速度現在値を減算して、速度偏差を生成する。減算器31eは、生成した速度偏差を速度制御器31fに送る。
【0064】
速度制御器31fは、予め定められた伝達関数や比例係数に基づいた演算処理により、減算器31eから送られた速度偏差からトルク指令値(電流指令値)を生成する。速度制御器31fは、生成したトルク指令値を減算器31gに送る。
【0065】
減算器31gは、速度制御器31fから送られたトルク指令値から、電流センサCで検出された電流現在値を減算して、電流偏差を生成する。減算器31gは、生成した電流偏差を駆動モータMに送り、駆動モータMを駆動する。
【0066】
このように動作制御部31は駆動モータMを制御して、自動動作情報に関する動作から修正された動作を行うようスレーブアーム1を制御する。なお、スレーブアーム11の運転モードが自動モードであるときは、減算器31bに自動動作情報に基づく位置指令値が送られ、スレーブアーム11の運転モードが手動モードであるときは、減算器31bに操作情報に基づく位置指令値が送られる。
【0067】
記憶部6は、修正された動作をスレーブアーム1が行ったときに、修正された動作をスレーブアーム1が行うための修正動作情報を、保存動作情報61として自動的に記憶するように構成されている。但し、記憶部6は、修正された動作をスレーブアーム1が行ったときに、上記の修正動作情報を保存動作情報61として記憶するか否かを選択できるように構成されてもよい。この場合、例えば、スレーブアーム1の修正された動作が終了した後に、制御装置3から入力装置7に修正された動作を記憶するか否かを問い合わせるよう構成されてもよい。
【0068】
動作制御部31は、次回以降の動作において、記憶部6に保存動作情報61として記憶された修正動作情報を、自動動作情報として用いることが可能である。本実施形態では、動作制御部31は、記憶部6に記憶された最新の保存動作情報61を自動動作情報として用いてスレーブアーム1の動作を制御するよう構成されている。
【0069】
次に、本実施形態に係るロボットシステム100の動作の流れの一例を説明する。図3に示すように、6つのスレーブロボット10が、自動モードで棚19からワークWを取り出す作業を行っているとする。これらのうち、図3に示す一部のスレーブロボット10(例えば図2の上の段真ん中のスレーブロボット10)が何らかの原因で作業を進行できなくなった場合、当該スレーブロボット10の要求生成部32は、操作情報を要求する操作要求を生成する。操作要求は、当該スレーブロボット10に対応する要求報知部54に送られ、要求報知部54は、要求生成部32により操作要求があったことを報知する。
【0070】
操作者は、要求報知部54からの報知を受けて、操作対象選択部71を操作して、操作要求があったスレーブロボット10を選択する。これにより操作対象選択部71から送られた許可要求が、操作許可装置10が許可すると、第1モニタ装置4に、対応するスレーブロボット10を撮像する第1カメラ17から撮像情報が送られる。
【0071】
図7は、第1モニタ装置4に表示される画像の一例を示す。操作者は、第1モニタ装置4を見ながら、マスターアーム2を手動操作して、スレーブロボット10によりワークWを棚から取り出す。
【0072】
なお、本実施形態では、要求生成部32が操作要求を生成するタイミングで、動作制御部の運転モードが自動モードから手動モード又は修正自動モードに切り替わるように構成されている。但し、動作制御部の運転モードが切り替わるタイミングは、これに限定されない。例えば、操作対象選択部71から送られた許可要求が、操作許可装置10が許可すると、第1モニタ装置4に、手動モード、自動モード及び修正自動モードのいずれかを選択することを求める画面が表示されてもよい。この画面に対して、モード選択部72を操作して、運転モードを切り替えてもよい。
【0073】
また、操作者は、第1モニタ装置4を見ながら、マスターアーム2ではなく別の操作装置を操作してもよい。例えば、操作装置は、例えばマウスなど、第1モニタ装置4に映し出された作業対象であるワークWを指定可能に構成されていてもよい。例えば、第1モニタ装置4に映し出されたワークWの中で最も上のワークを指定してもよい。操作情報には、操作装置により指定されたワーク情報が含まれてもよく、動作制御部71は、前記操作情報を受けて、対応するスレーブアーム1が操作装置により指定されたワークWに対して自動で作業を行うように動作するよう制御してもよい。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るロボットシステム100では、例えば複数のスレーブロボット10のうちの一部のスレーブロボット10に異常が生じて手動操作等に切り替える場合であっても、操作許可装置8からの許可があれば、1つのマスターアーム2から全てのスレーブロボット10を操作することが可能になる。このため、操作者がスレーブロボット10を操作するためのマスターアーム2を、スレーブロボット10の数だけ用意する必要はなくなる。
【0075】
また、操作対象選択部71から許可要求を受信したときに、当該操作対象選択部71にて選択したスレーブロボット10を、前記操作対象選択部71に対応するマスターアーム2とは別のマスターアーム2からの操作情報に基づき動作させることが許可されている場合には、当該許可要求に対する許可を禁止する。このため、1つのスレーブロボット10が複数のマスターアームにより同時に操作されることを回避することができる。
【0076】
このため、複数台のロボットを遠隔操作するのに好適なロボットシステムを提供することができる。
【0077】
また、本実施形態では、要求生成部32が操作情報を要求する操作要求を生成し、要求報知部54が、要求生成部32により操作要求が生成されたことを報知するため、いずれのスレーブロボット10について操作要求があったかを即座に知ることができる。
【0078】
また、本実施形態では、動作中にあるスレーブアーム1の動作をマスターアーム2によりリアルタイムで修正することができる。このため、スレーブアーム1の動作の部分的な修正を容易に行うことができる。また、修正された動作を行うための修正動作情報が記憶部6に保存動作情報として記憶されるため、マスターアーム2を使用して毎回同じ操作を行って修正をする必要がなく、スレーブアーム1に修正された動作を自動で行わせることができる。従って、スレーブアーム1に教示された動作を容易に修正することができる。
【0079】
また本実施形態では、モード選択部72により動作制御部31の運転モードとして自動モードを選択することができるため、スレーブアーム1の動作修正が必要でない場合には自動モードを選択して、不用意にマスターアーム2が操作されて、スレーブアーム1の動作が修正されてしまうことを防止することができる。また、モード選択部72により動作制御部31の運転モードとして手動モードを選択することができるため、記憶部6に記憶された保存動作情報61を用いずに、スレーブアーム1を動作させることができる。
【0080】
また、本実施形態では、動作制御部31が、記憶部6に記憶された最新の保存動作情報を自動動作情報として用いてスレーブアーム1の動作を制御するため、マスターアーム2を用いたスレーブアーム1の修正作業を繰り返すたびに、徐々に目的の動作に近づけることができる。
【0081】
動作制御部31は、必ずしも記憶部6に記憶された最新の保存動作情報61を自動動作情報として用いる必要はない。例えば、動作情報選択部73により、記憶部6に記憶された複数の保存動作情報61の中から動作制御部31が自動動作情報として用いる保存動作情報61が選択されてもよい。この場合、動作情報選択部73によって自動動作情報として用いる保存動作情報61が選択されるまでは、毎回同じ保存動作情報61が自動動作情報として用いられてもよい。この構成によれば、記憶部6に記憶された最新の保存動作情報61が、スレーブアーム1に動作させる情報として最適でない場合であっても、動作情報選択部73により、適切に修正が行われたときの保存動作情報61が自動動作情報として用いることができる。
【0082】
また、ロボットシステム100は、スレーブアーム1の作業空間内における状況を示す状況情報を取得する状況情報取得部(図示略)を備えてもよく、動作制御部31は、状況情報取得部により取得された状況情報に基づいて、スレーブアーム1を動作させるのに適切な保存動作情報61を自動動作情報として選択して用いてもよい。状況情報は、例えば、作業空間内におけるスレーブアーム1の位置または姿勢等、あるいはスレーブアーム1を取り巻く周囲の状況を認識するために利用する情報を含む。スレーブアーム1を取り巻く周囲の状況を認識するために利用する情報とは、例えば、スレーブアーム1を動作させる時間帯や時期、作業空間の温度や湿度などである。例えば、スレーブロボット10が粘性を有したシール剤を塗布するシーリングロボットである場合、シール剤の粘性抵抗が作業時間によって変化することがある。このような場合、状況情報に基づいて、シール剤の粘性抵抗に適した保存動作情報61が自動動作情報として選択されることにより、スレーブアーム1の動作修正もより容易に行うことができる。
【0083】
<その他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0084】
例えば、上記実施形態では、本発明のロボット本体として、6つの関節JT1~JT6を有する多関節ロボットアームが示されたが、本発明のロボット本体はこれに限定されず、いかなる態様であってもよい。図8に、別の実施形態に係るロボット本体9を示す図である。このロボット本体9は、上下方向に延びるポール91に沿って直動する直動部92と、当該直動部92に支持された多関節ロボット93とを備える。この場合、本発明の動作制御部は、多関節ロボット93の動作だけでなく、直動部92の上下方向への動作も制御してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、本発明の操作装置の一例としてマスターアーム2が説明されたが、例えば、本発明の操作装置は、ジョイスティックなどの別の構成であってもよい。
【0086】
また、要求報知部54及び接続報知部55の形態は上述したものに限らない。例えば、要求報知部54は、発光部でなくてもよく、要求があったことを表示する液晶ディスプレイであってもよい。要求報知部54及び接続報知部55は、第2モニタ装置52になくてもよく、各操作者用インターフェースシステム20に設けられてもよい。
【0087】
また、上記の実施形態では、モード選択部72や動作情報選択部73などの各操作部は、一つの入力装置7に備えられているが、別々の入力装置に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 :スレーブアーム
2 :マスターアーム
3 :制御装置
4 :第1モニタ装置
6 :記憶部
7 :入力装置
8 :操作許可装置
10 :スレーブロボット
11 :スレーブアーム
16 :エンドエフェクタ
17 :第1カメラ装置
31 :動作制御部
32 :要求生成部
51 :第2カメラ装置
52 :第2モニタ装置
53 :表示部
54 :要求報知部
71 :操作対象選択部
81 :判定部
100 :ロボットシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8