(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-15
(45)【発行日】2022-03-24
(54)【発明の名称】熱アシスト磁気記録媒体および磁気記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11B 5/66 20060101AFI20220316BHJP
G11B 5/02 20060101ALI20220316BHJP
H01F 10/14 20060101ALI20220316BHJP
H01F 10/20 20060101ALI20220316BHJP
H01F 10/16 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G11B5/66
G11B5/02 S
H01F10/14
H01F10/20
H01F10/16
(21)【出願番号】P 2018124049
(22)【出願日】2018-06-29
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】張 磊
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆之
(72)【発明者】
【氏名】徐 晨
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 和也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 寿人
(72)【発明者】
【氏名】山口 健洋
(72)【発明者】
【氏名】神邊 哲也
(72)【発明者】
【氏名】茂 智雄
【審査官】中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115379(JP,A)
【文献】米国特許第09218850(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0136782(US,A1)
【文献】特開昭60-160028(JP,A)
【文献】特開2002-358616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/66
G11B 5/02
H01F 10/14
H01F 10/20
H01F 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、下地層と、(001)配向している磁性層を有し、
前記磁性層は、前記下地層の側から、第1の磁性層および第2の磁性層がこの順で積層されており、
前記第1の磁性層および前記第2の磁性層は、L1
0構造を有する合金を含み、
前記第2の磁性層は、磁性粒子の粒界部に、フェライトを含み、
前記フェライトは、NiFe
2O
4、MgFe
2O
4、MnFe
2O
4、CuFe
2O
4、ZnFe
2O
3、CoFe
2O
4、BaFe
2O
4、SrFe
2O
4およびFe
3O
4からなる群より選択される1種以上であり、
前記磁性粒子のキュリー温度は、前記フェライトのキュリー温度よりも低いことを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
【請求項2】
前記第1の磁性層は、厚さが0.3nm~5.0nmの範囲内であり、
前記第2の磁性層は、厚さが1.0nm~10.0nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
【請求項3】
前記第2の磁性層は、前記磁性粒子の粒界部に、C、SiC、VC、B
4C、Si
3N
4、VN、BN、TiNおよびAlNからなる群より選択される物質をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
【請求項4】
前記第2の磁性層は、前記フェライトの含有量が0.5体積%~60体積%の範囲内であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
【請求項5】
前記L1
0構造を有する合金は、Fe-Pt合金またはCo-Pt合金であることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体を有することを特徴とする磁気記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱アシスト磁気記録媒体および磁気記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近接場光等を磁気記録媒体に照射して表面を局所的に加熱し、磁気記録媒体の保磁力を低下させて書き込む熱アシスト記録方式は、1Tbit/inch2程度の面記録密度を実現することが可能な次世代記録方式として注目されている。熱アシスト記録方式を用いると、室温における保磁力が数十kOeである磁気記録媒体に対して、磁気ヘッドの記録磁界により、容易に書き込むことができる。このため、結晶磁気異方性定数Kuが106J/m3台である高Ku材料を磁性層に用いることができ、その結果、磁性層の熱安定性を維持したまま、磁性粒子の粒径を6nm以下まで微細化することができる。高Ku材料としては、L10構造を有するFe-Pt合金(Ku~7×106J/m3)、Co-Pt合金(Ku~5×106J/m3)等が知られている。
【0003】
熱アシスト磁気記録媒体の面記録密度を向上させるためには、磁性層の結晶配向性を向上させ、磁性粒子を微細化し、磁性粒子間の交換結合を低減することで、熱アシスト磁気記録媒体の電磁変換特性を向上させる必要がある。
【0004】
しかしながら、磁性粒子を微細化すると、磁性粒子の結晶性が低下し、その結果、磁性粒子のキュリー温度が低下し、磁性粒子のキュリー温度の分散が大きくなる。このため、熱アシスト磁気記録媒体の電磁変換特性が低下する(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
そこで、特許文献1には、第2のキュリー温度を有する第2の材料のマトリックスに埋め込まれている第1のキュリー温度を有する第1の磁性材料の複数の粒子を含む薄膜構造体が開示されている。ここで、第2のキュリー温度は、第1のキュリー温度よりも低く、第2の材料は、酸化物、硫化物、窒化物及び硼化物のうちの1つ以上を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許公開第2010/0110577号明細書
【非特許文献】
【0007】
【文献】ADVANCED MATERIALS, 2006, 18, 2984-2988
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、熱アシスト磁気記録媒体の面記録密度をさらに向上させること、即ち、熱アシスト磁気記録媒体の電磁変換特性をさらに向上させることが望まれている。
【0009】
本発明の一態様は、電磁変換特性に優れた熱アシスト磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)基板と、下地層と、(001)配向している磁性層を有し、前記磁性層は、前記下地層の側から、第1の磁性層および第2の磁性層がこの順で積層されており、前記第1の磁性層および前記第2の磁性層は、L10構造を有する合金を含み、前記第2の磁性層は、磁性粒子の粒界部に、フェライトを含み、前記フェライトは、NiFe2O4、MgFe2O4、MnFe2O4、CuFe2O4、ZnFe2O3、CoFe2O4、BaFe2O4、SrFe2O4およびFe3O4からなる群より選択される1種以上であり、前記磁性粒子のキュリー温度は、前記フェライトのキュリー温度よりも低いことを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
(2)前記第1の磁性層は、厚さが0.5nm~3nmの範囲内であり、前記第2の磁性層の厚さは、前記第1の磁性層の厚さの2倍以上であることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(3)前記第2の磁性層は、前記磁性粒子の粒界部に、C、SiC、VC、B4C、Si3N4、VN、BN、TiNおよびAlNからなる群より選択される物質をさらに含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(4)前記第2の磁性層は、前記フェライトの含有量が0.5体積%~60体積%の範囲内であることを特徴とする(1)~(3)の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(5)前記L10構造を有する合金は、FePt合金またはCoPt合金であることを特徴とする(1)~(4)の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(6)(1)~(5)の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体を有することを特徴とする磁気記憶装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、電磁変換特性に優れた熱アシスト磁気記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の熱アシスト磁気記録媒体の層構成の一例を示す断面図である。
【
図2】本実施形態の磁気記憶装置の一例を示す傾視図である。
【
図3】
図2の磁気ヘッドの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が同一であるとは限らない。
【0014】
[熱アシスト磁気記録媒体]
図1に、本実施形態の熱アシスト磁気記録媒体の層構成の一例を示す。
【0015】
熱アシスト磁気記録媒体100は、基板1と、下地層2と、(001)配向している磁性層3を有する。ここで、磁性層3は、第1の磁性層31および第2の磁性層32がこの順で積層されている。また、第1の磁性層31および第2の磁性層32は、L10構造を有する合金を含み、第2の磁性層32は、磁性粒子の粒界部に、フェライトを含む。フェライトは、NiFe2O4、MgFe2O4、MnFe2O4、CuFe2O4、ZnFe2O3、CoFe2O4、BaFe2O4、SrFe2O4およびFe3O4からなる群より選択される1種以上である。第2の磁性層32に含まれる磁性粒子のキュリー温度は、第2の磁性層32に含まれるフェライトのキュリー温度よりも低い。
【0016】
熱アシスト磁気記録媒体100は、以上のような構造を有することで、磁性層3を構成する磁性粒子の粒径を6nm以下にしても、熱アシスト磁気記録媒体100の電磁変換特性を高い水準に維持することができる。
【0017】
ここで、フェライトのキュリー温度と磁性粒子のキュリー温度の差は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましい。
【0018】
次に、熱アシスト記録媒体100の電磁変換特性が向上する理由について、説明する。
【0019】
一般に、磁性層を構成する磁性粒子の粒径を6nm以下にすると、磁性粒子の結晶性が低下し、その結果、磁性粒子のキュリー温度が低下し、磁性粒子のキュリー温度の分散が大きくなる。このため、熱アシスト磁気記録媒体の電磁変換特性が低下する。
【0020】
そこで、熱アシスト記録媒体100は、第2の磁性層32を構成する磁性粒子の粒界部に、磁性粒子よりもキュリー温度が高いフェライトを含むため、磁性粒子とフェライトが交換結合する。これにより、磁性粒子の見かけ上のキュリー温度が向上し、キュリー温度の分散が低減する。また、フェライトを含む粒界部も磁性を有するため、第2の磁性層32を構成する磁性粒子の見かけ上の磁性粒径が大きくなる。以上のことから、熱アシスト磁気記録媒体100の電磁変換特性が向上すると考えられる。
【0021】
第2の磁性層32を構成する磁性粒子の粒界部に含まれるフェライトは、NiFe2O4、MgFe2O4、MnFe2O4、CuFe2O4、ZnFe2O3、CoFe2O4、BaFe2O4、SrFe2O4およびFe3O4からなる群より選択される一種以上であるが、NiFe2O4、MgFe2O4、CoFe2O4、CuFe2O4、ZnFe2O3およびSrFe2O4からなる群より選択される一種以上であることが好ましい。これにより、磁性粒子と交換結合することに加え、磁性粒子を微細化することができる。
【0022】
第2の磁性層32中のフェライトの含有量は、0.5体積%~60体積%の範囲内であることが好ましく、10体積%~40体積%の範囲内であることがより好ましい。第2の磁性層32中のフェライトの含有量が0.5体積%以上であると、磁性粒子の見かけ上のキュリー温度がさらに向上し、60体積%以下であると、磁性粒子とフェライトがさらに交換結合しやすくなる。
【0023】
第2の磁性層32の厚さは、1.0nm~10.0nmの範囲内であることが好ましく、3.0nm~7.0nmの範囲内であることがより好ましい。第2の磁性層32の厚さが1.0nm以上であると、熱アシスト記録媒体100の電磁変換特性がさらに向上し、10.0nm以下であると、第2の磁性層32の(001)配向性がさらに向上する。
【0024】
また、第1の磁性層31は、L10構造を有する合金を含むため、第2の磁性層32の(001)配向性が向上する。
【0025】
ここで、第1の磁性層31は、フェライトを含まないことが好ましい。これにより、第2の磁性層32の(001)配向性がさらに向上する。
【0026】
第1の磁性層31の厚さは、0.3nm~5.0nmの範囲内であることが好ましく、0.5nm~3.0nmの範囲内であることがより好ましい。第1の磁性層31の厚さが0.3nm以上であると、第2の磁性層32の(001)配向性がさらに向上し、5.0nm以下であると、熱アシスト記録媒体100の電磁変換特性がさらに向上する。
【0027】
磁性層3に含まれるL10構造を有する合金は、FePt磁性合金またはCoPt磁性合金であることが好ましい。
【0028】
磁性層3は、磁性粒子の粒界偏析材料を含むことが好ましい。これにより、磁性層3は、L10構造を有する磁性粒子が、粒界偏析材料によって分断されているグラニュラー構造となる。その結果、磁性粒子を微細化することに加え、磁性粒子間の交換結合を低減することができる。
【0029】
磁性粒子の粒界偏析材料としては、SiO2、TiO2、Cr2O3、Al2O3、Ta2O5、ZrO2、Y2O3、CeO2、MnO、TiO、ZnO等の酸化物や、C、VC等の炭化物、VN、BN、TiN等の窒化物等が挙げられ、二種以上を併用してもよい。
【0030】
熱アシスト磁気記録媒体100は、第2の磁性層32を構成する磁性粒子の粒界部に、C、SiC、VC、B4C、Si3N4、VN、BN、TiNおよびAlNからなる群より選択される物質をさらに含むことが好ましい。これらの物質は、高温であっても、フェライトと反応しにくいため、第2の磁性層32を構成する磁性粒子の粒界部に、フェライトと混在していても、磁性粒子をさらに微細化することに加え、磁性粒子間の交換結合をさらに低減することができる。
【0031】
第2の磁性層32中の上記物質の含有量は、10体積%~50体積%の範囲内であることが好ましく、20体積%~40体積%の範囲内であることがより好ましい。第2の磁性層32中の上記物質の含有量が10体積%以上であると、熱アシスト記録媒体100の電磁変換特性がさらに向上し、50体積%以下であると、第2の磁性層32の(001)配向性がさらに向上する。
【0032】
下地層2は、磁性層3との格子整合性が高いことが好ましい。これにより、磁性層3の(001)配向性がさらに向上する。
【0033】
磁性層3との格子整合性が高い下地層2としては、例えば、(100)配向しているCr層、W層、MgO層等が挙げられる。
【0034】
下地層2は、多層構造を有していてもよい。
【0035】
多層構造を有する下地層2の各層の間における格子ミスフィットは、10%以下であることが好ましい。
【0036】
格子ミスフィットが10%以下である多層構造を有する下地層2としては、例えば、(100)配向しているCr層、W層、MgO層等が積層されている下地層が挙げられる。
【0037】
下地層2の(100)配向性を向上させるために、基板1と下地層2の間に、bcc構造を有するCr層もしくはCr合金層、または、B2構造を有する合金層をさらに形成してもよい。
【0038】
Cr合金としては、例えば、Cr-Mn合金、Cr-Mo合金、Cr-W合金、Cr-V合金、Cr-Ti合金、Cr-Ru合金等が挙げられる。
【0039】
B2構造を有する合金としては、例えば、Ru-Al合金、Ni-Al合金等が挙げられる。
【0040】
また、磁性層3との格子整合性を向上させるために、下地層2に酸化物を添加してもよい。
【0041】
酸化物としては、例えば、Cr、Mo、Nb、Ta、VおよびWからなる群より選択される1種以上の金属の酸化物等が挙げられる。これらの中でも、CrO、Cr2O3、CrO3、MoO2、MoO3、Nb2O5、Ta2O5、V2O3、VO2、WO2、WO3、WO6が好ましい。
【0042】
下地層2中の酸化物の含有量は、2mol%~30mol%の範囲内であることが好ましく、10mol%~25mol%の範囲内であることがより好ましい。下地層2中の酸化物の含有量が2mol%以上であると、磁性層3の(001)配向性がさらに向上し、30mol%以下であると、下地層2の(100)配向性がさらに向上する。
【0043】
熱アシスト磁気記録媒体100は、磁性層3上に、保護層が形成されていることが好ましい。
【0044】
保護層の形成方法としては、例えば、炭化水素からなる原料ガスを高周波プラズマで分解して成膜するRF-CVD(Radio Frequency-Chemical Vapor Deposition)法、フィラメントから放出された電子で原料ガスをイオン化して成膜するIBD(Ion Beam Deposition)法、原料ガスを用いずに、固体炭素ターゲットを用いて成膜するFCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法等が挙げられる。
【0045】
保護層の厚さは、1nm~6nmであることが好ましい。保護層の厚さが1nm以上であると、磁気ヘッドの浮上特性が良好となり、6nm以下であると、磁気スペーシングが小さくなり、熱アシスト磁気記録媒体100のSNRが向上する。
【0046】
熱アシスト磁気記録媒体100は、保護層上に、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を含む潤滑剤層がさらに形成されていてもよい。
【0047】
[磁気記憶装置]
本実施形態の磁気記憶装置は、本実施形態の熱アシスト磁気記録媒体を有していれば、特に限定されない。
【0048】
本実施形態の磁気記憶装置は、例えば、熱アシスト磁気記録媒体を回転させるための磁気記録媒体駆動部と、先端部に近接場光発生素子が設けられている磁気ヘッドと、磁気ヘッドを移動させるための磁気ヘッド駆動部と、記録再生信号処理系を有する。
【0049】
また、磁気ヘッドは、例えば、熱アシスト磁気記録媒体を加熱するためのレーザー光発生部と、レーザー光発生部から発生したレーザー光を近接場光発生素子まで導く導波路を有する。
【0050】
【0051】
図2の磁気記憶装置は、熱アシスト磁気記録媒体100と、熱アシスト磁気記録媒体100を回転させるための磁気記録媒体駆動部101と、磁気ヘッド102と、磁気ヘッドを移動させるための磁気ヘッド駆動部103と、記録再生信号処理系104を有する。
【0052】
【0053】
磁気ヘッド102は、記録ヘッド208と、再生ヘッド211を有する。
【0054】
記録ヘッド208は、主磁極201と、補助磁極202と、磁界を発生させるコイル203と、レーザー光発生部としての、レーザーダイオード(LD)204と、LD204から発生したレーザー光205を近接場光発生素子206まで伝送する導波路207を有する。
【0055】
再生ヘッド211は、シールド209で挟まれている再生素子210を有する。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で、適宜変更して実施することができる。
【0057】
(実施例1-1~1-8、比較例1-1)
耐熱ガラス基板上に、厚さ50nmのCr-50at%Ti(Crの含有量50at%、Tiの含有量50at%)合金層(下地層)、厚さ25nmのCo-20at%Ta-5at%B合金層(軟磁性下地層)を形成し、250℃まで加熱した。その後、厚さ10nmのCr層(下地層)、厚さ10nmのMgO層(下地層)を形成した後、520℃まで加熱した。その後、厚さ0.5nmの第1の磁性層、厚さ6.0nmの第2の磁性層を形成した後、厚さ3nmのカーボン層(保護層)を形成した。最後に、保護層上に、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を塗布して潤滑剤層を形成し、熱アシスト磁気記録媒体を得た。
【0058】
ここで、第1の磁性層、第2の磁性層を構成する材料は、表1に示す通りである。
【0059】
例えば、(Fe-55at%Pt)-20vol%C-20vol%CoFe2O4は、Feの含有量45at%、Ptの含有量55at%のFe-Pt合金の含有量が60体積%であり、Cの含有量が20体積%であり、CoFe2O4の含有量が20体積%であることを意味する。
【0060】
(電磁変換特性)
図2の磁気記憶装置に熱アシスト磁気記録媒体を組み込んだ後、
図3の磁気ヘッドを用いて、熱アシスト磁気記録媒体を加熱し、線記録密度1600kFCI(kilo Flux changes per Inch)の信号を記録し、SN比(SNR)を測定した。
【0061】
表1に、熱アシスト磁気記録媒体の電磁変換特性の測定結果を示す。
【0062】
【表1】
表1から、実施例1-1~1-8の熱アシスト磁気記録媒体は、電磁変換特性が高いことがわかる。
【0063】
これに対して、比較例1-1の熱アシスト磁気記録媒体は、第2の磁性層がフェライトを含まないため、電磁変換特性が低い。
【0064】
(実施例2-1~2-9、比較例2-1)
第1の磁性層の厚さを1.0nmに変更し、第1の磁性層、第2の磁性層を構成する材料を変更した(表2参照)以外は、実施例1-1~1-8、比較例1-1と同様にして、熱アシスト磁気記録媒体を得た。
【0065】
表2に、熱アシスト磁気記録媒体の電磁変換特性の測定結果を示す。
【0066】
【表2】
表2から、実施例2-1~2-9の熱アシスト磁気記録媒体は、電磁変換特性が高いことがわかる。
【0067】
これに対して、比較例2-1、2-2の熱アシスト磁気記録媒体は、第2の磁性層がフェライトを含まないため、電磁変換特性が低い。
【符号の説明】
【0068】
1 基板
2 下地層
3 磁性層
31 第1の磁性層
32 第2の磁性層
100 磁気記録媒体
101 磁気記録媒体駆動部
102 磁気ヘッド
103 磁気ヘッド駆動部
104 記録再生信号処理系
201 主磁極
202 補助磁極
203 コイル
204 レーザーダイオード(LD)
205 レーザー光
206 近接場光発生素子
207 導波路
208 記録ヘッド
209 シールド
210 再生素子
211 再生ヘッド