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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-25
(45)【発行日】2022-04-04
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20220328BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220328BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20220328BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220328BHJP
   B29C 64/214 20170101ALI20220328BHJP
   B29C 64/218 20170101ALI20220328BHJP
   B22F 10/30 20210101ALI20220328BHJP
   B22F 12/67 20210101ALI20220328BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20220328BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y30/00
B29C64/165
B33Y50/02
B29C64/214
B29C64/218
B22F10/30
B22F12/67
B28B1/30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018219399
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020082485
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 文良
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-202634(JP,A)
【文献】特開2017-202620(JP,A)
【文献】特開2018-043424(JP,A)
【文献】特開2018-154074(JP,A)
【文献】特開2014-104683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
B22F 10/00 - 12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末材料を硬化させて硬化層を形成し、これを順次積層することによって三次元造形物を造形する三次元造形装置であって、
造形された前記三次元造形物が収容される本体部と、
前記粉末材料が収容されかつ前記三次元造形物が造形される造形空間を有し、前記本体部に設けられた造形槽と、
前記造形槽に配置され、前記粉末材料が載置される第1テーブルと、
前記造形槽に配置され、前記第1テーブルを上昇および下降させる第1昇降装置と、
前記造形槽に対して第1方向の一方側に位置するように前記本体部に設けられ、前記造形槽に供給される前記粉末材料が貯留される貯留空間を有する供給槽と、
前記供給槽に配置され、前記粉末材料が載置される第2テーブルと、
前記供給槽に配置され、前記第2テーブルを上昇および下降させる第2昇降装置と、
前記第2テーブルに載置された前記粉末材料を前記造形槽に搬送しかつ前記粉末材料を前記造形空間に敷詰める敷詰め部材と、
前記敷詰め部材を支持する支持部材と、
前記第1方向と平面視で直交する第2方向および上下方向に延び、前記粉末材料を搬送可能な板部材と、
前記造形槽に対して前記第1方向の他方側に位置するように前記本体部に設けられ、前記造形空間に敷詰められずに余った前記粉末材料が回収される回収空間を有する回収槽と、
前記回収槽に配置され、前記粉末材料が載置される第3テーブルと、
前記回収槽に配置され、前記第3テーブルを上昇および下降させる第3昇降装置と、
前記造形空間に収容された前記粉末材料に硬化液を吐出する吐出ヘッドと、
前記本体部および前記支持部材のいずれか一方を他方に対して前記第1方向に相対的に移動させる移動機構と、
前記第1昇降装置、前記第2昇降装置、前記第3昇降装置、前記吐出ヘッドおよび前記移動機構を制御する制御装置と、を備え、
前記支持部材は、前記敷詰め部材よりも前記第1方向の前記一方側に配置された前記吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドよりも前記第1方向の前記一方側に配置された前記板部材とを支持し、
前記板部材の下端は、前記敷詰め部材の下端より上方かつ前記敷詰め部材の上端より下方に位置し、
前記制御装置は、前記三次元造形物の造形が完了した後、前記第3テーブルおよび前記第1テーブルを上昇させかつ前記第2テーブルを下降させかつ前記本体部に対して前記支持部材を前記第1方向の前記他方側から前記一方側へと相対的に移動させて、前記敷詰め部材および前記板部材によって前記第3テーブルおよび前記第1テーブルに載置された前記粉末材料を前記供給槽の前記貯留空間に戻す、三次元造形装置。
【請求項2】
前記本体部に対して前記支持部材を前記第1方向の前記他方側から前記一方側へと相対的に移動させるときの1回当たりの前記第3テーブルおよび前記第1テーブルの上方への移動量は、前記板部材の上下方向の長さより小さい、請求項に記載の三次元造形装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記本体部に対して前記支持部材を前記第1方向の前記他方側から前記一方側へと相対的に移動させるたびに、前記貯留空間に前記粉末材料を戻す前に前記第2テーブルを所定の量だけ下降させる、請求項1または2に記載の三次元造形装置。
【請求項4】
前記粉末材料は、第1平均粒径を有する無機材料と、前記第1平均粒径より小さい第2平均粒径を有する水溶性の樹脂材料と、を含む、請求項に記載の三次元造形装置。
【請求項5】
前記板部材は、
前記支持部材に支持される第1部分と、
前記第1部分の前記第2方向の一方側の端部から前記第2方向の前記一方側かつ前記第1方向の前記一方側に延びる第1側壁と、
前記第1部分の前記第2方向の他方側の端部から前記第2方向の前記他方側かつ前記第1方向の前記一方側に延びる第2側壁と、を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項6】
前記板部材は、
前記第2方向に延びかつ前記支持部材に支持される第1部分と、
前記第1部分の前記第2方向の一方側の端部から少なくとも前記第1方向の前記一方側に向けて伸びる第1側壁と、
前記第1部分の前記第2方向の他方側の端部から少なくとも前記第1方向の前記一方側に向けて伸びる第2側壁と、を備えている、請求項1から4のいずれか一項に記載の三次元造形装置。
【請求項7】
前記板部材は、
前記第1部分の上端から前記第1方向の前記一方側に延び、前記第1側壁の上端および前記第2側壁の上端に接続された上壁を備えている、請求項5または6に記載の三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、粉末材料に硬化液を吐出して所望の断面形状を有する薄い硬化層を形成し、硬化層を順次積層することによって三次元造形物を造形する方法が知られている。かかる方法で三次元造形物を造形するときには、形成された硬化層を含む粉末材料層の上に、粉末材料を供給して新しい粉末材料層を形成する。このとき新しい粉末材料層として積層されなかった余剰の粉末材料は、多くの場合、回収される。
【0003】
例えば、特許文献1には、三次元造形物が造形される造形槽と、造形槽に粉末材料を供給する敷詰め部材(ここでは平坦化ローラ)と、余剰の粉末材料が回収される回収槽とを備えた三次元造形装置が開示されている。特許文献1に開示された回収槽は、造形槽と並んで設けられ、余剰の粉末材料を落下させる内部空間を有している。内部空間は、上方が開口している。敷詰め部材は、余剰の粉末材料を搬送し、回収槽の内部空間に落下させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-47570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された三次元造形装置では、三次元造形物の造形が完了した後、造形槽および回収槽には粉末材料が多く存在する。従来は、造形槽や回収槽に残存する粉末材料を、ユーザがスコップを用いて供給槽に戻したり、吸引装置を用いて吸引して供給槽に戻したりしていた。
【0006】
しかしながら、ユーザが手作業で粉末材料を供給槽に戻すのは時間および労力がかかりユーザへの負担が大きい。また、粉末材料を掘り起こしたり、粉末材料を供給槽に戻したりすることによって、粉末材料が空気中に舞ってしまうと作業者や三次元造形装置の所定の部品に悪影響がでる虞がある。吸引装置を用いて粉末材料を供給槽に戻すことにより、作業者の負担を低減することができるが、例えば、粉末材料が混合粉である場合には吸引装置によって粉末材料を吸引することによって、粉末材料の分離が促進されてしまう。分離された粉末材料を用いて三次元造形物を造形すると、三次元造形物の強度が部分的に低下してしまう虞がある。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、造形槽および回収槽に残存する粉末材料を容易に供給槽に戻すことができる三次元造形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る三次元造形装置は、粉末材料を硬化させて硬化層を形成し、これを順次積層することによって三次元造形物を造形する三次元造形装置である。前記三次元造形装置は、造形された前記三次元造形物が収容される本体部と、前記粉末材料が収容されかつ前記三次元造形物が造形される造形空間を有し、前記本体部に設けられた造形槽と、前記造形槽に配置され、前記粉末材料が載置される第1テーブルと、前記造形槽に配置され、前記第1テーブルを上昇および下降させる第1昇降装置と、前記造形槽に対して第1方向の一方側に位置するように前記本体部に設けられ、前記造形槽に供給される前記粉末材料が貯留される貯留空間を有する供給槽と、前記供給槽に配置され、前記粉末材料が載置される第2テーブルと、前記供給槽に配置され、前記第2テーブルを上昇および下降させる第2昇降装置と、前記第2テーブルに載置された前記粉末材料を前記造形槽に搬送しかつ前記粉末材料を前記造形空間に敷詰める敷詰め部材と、前記敷詰め部材を支持する支持部材と、前記造形槽に対して前記第1方向の他方側に位置するように前記本体部に設けられ、前記造形空間に敷詰められずに余った前記粉末材料が回収される回収空間を有する回収槽と、前記回収槽に配置され、前記粉末材料が載置される第3テーブルと、前記回収槽に配置され、前記第3テーブルを上昇および下降させる第3昇降装置と、前記造形空間に収容された前記粉末材料に硬化液を吐出する吐出ヘッドと、前記本体部および前記支持部材のいずれか一方を他方に対して前記第1方向に相対的に移動させる移動機構と、前記第1昇降装置、前記第2昇降装置、前記第3昇降装置、前記吐出ヘッドおよび前記移動機構を制御する制御装置と、を備えている。前記制御装置は、前記三次元造形物の造形が完了した後、前記第3テーブルおよび前記第1テーブルを上昇させかつ前記第2テーブルを下降させかつ前記本体部に対して前記支持部材を前記第1方向の前記他方側から前記一方側へと相対的に移動させて、前記敷詰め部材によって前記第3テーブルおよび前記第1テーブルに載置された前記粉末材料を前記供給槽の前記貯留空間に戻す。
【0009】
本発明の三次元造形装置によると、制御装置は、三次元造形物の造形が完了した後、第3昇降装置および第1昇降装置を制御して第3テーブルおよび第1テーブルを上昇させる。これにより、第3テーブルに載置された粉末材料は回収空間を越えた位置に移動しかつ第1テーブルに載置された粉末材料は造形空間を越えた位置に移動する。また、制御装置は、第2昇降装置を制御して第2テーブルを下降させる。これにより、供給槽の貯留空間が大きくなる。そして、制御装置は、本体部に対して支持部材を第1方向の他方側から一方側へと相対的に移動させる。このとき、支持部材に支持された敷詰め部材は、第3テーブルおよび第1テーブルに載置された粉末材料を第1方向の他方側から一方側へと搬送し、粉末材料を供給槽の貯留空間に戻す。このように、三次元造形物の造形が完了した後に造形槽および回収槽に残存する粉末材料は、第1テーブル、第2テーブル、第3テーブルおよび移動機構を制御することによって、容易に供給槽に戻すことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、造形槽および回収槽に残存する粉末材料を容易に供給槽に戻すことができる三次元造形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る三次元造形装置の断面図である。
図2】一実施形態に係る三次元造形装置の平面図である。
図3】一実施形態に係る三次元造形装置の制御系のブロック図である。
図4】三次元造形物の造形が完了したときの状態を示す三次元造形装置の断面図である。
図5】造形された三次元造形物が造形槽から取り出された後の状態を示す三次元造形装置の断面図である。
図6】一実施形態に係る第1テーブルおよび第3テーブルを上昇させかつ第2テーブルを下降させた後の状態を示す三次元造形装置の断面図である。
図7】一実施形態に係る支持部材を帰り方向に移動させた後の状態を示す三次元造形装置の断面図である。
図8】一実施形態に係る第1テーブルおよび第3テーブルをさらに上昇させかつ第2テーブルをさらに下降させた後の状態を示す三次元造形装置の断面図である。
図9】一実施形態に係る支持部材を帰り方向に移動させた後の状態を示す三次元造形装置の断面図である。
図10】他の一実施形態に係る板部材を示す平面図である。
図11】他の一実施形態に係る板部材を示す平面図である。
図12】他の一実施形態に係る板部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る三次元造形装置について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0013】
図1は、本実施形態に係る三次元造形装置100の断面図である。図2は、本実施形態に係る三次元造形装置100の平面図である。図面中の符号Fは、前方を示し、符号Rrは、後方を示している。本実施形態では、符号Fの方向から三次元造形装置100を見たときの左、右、上、下が、それぞれ三次元造形装置100の左、右、上、下である。ここでは、図面中の符号L、R、U、Dは、それぞれ左、右、上、下を意味するものとする。本実施形態では、符号X、Y、Zは、それぞれ前後方向、左右方向、上下方向を示している。前後方向Xは、走査方向Xであり本発明の「第1方向」に対応する。上下方向Zが三次元造形における硬化層91の積層方向に一致する。また、三次元造形装置100の後側を上流側と称し、三次元造形装置100の前側を下流側と称する。上流側は本発明の「第1方向の一方側」に対応し、下流側は本発明の「第1方向の他方側」に対応する。また、本実施形態では、上流側から下流側へ向かう方向を行き方向X1とし、下流側から上流側へ向かう方向を帰り方向X2とする。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、三次元造形装置100の設置態様を何ら限定するものではない。
【0014】
図1に示すように、三次元造形装置100は、粉末材料90を硬化液で固めて硬化層91を形成し、これを上下方向Zに順次一体的に積層することによって三次元造形物92を造形する装置である。本実施形態では、三次元造形装置100において、所望の三次元造形物92の断面形状を示す断面画像に基づいて、粉末材料90に硬化液を吐出し、粉末材料90を硬化させて、断面画像に沿った硬化層91を形成する。そして、硬化層91を順次積層することで、所望の三次元造形物92を造形する。
【0015】
ここで、「断面形状」とは、造形する三次元造形物92を所定の方向(例えば水平方向)に所定の厚み(例えば0.1mm。なお、所定の厚みは必ずしも一定の厚みに限定されない。)ごとにスライスしたときの断面の形状である。
【0016】
粉末材料90は、その組成や形態等は特に制限されず、無機材料、金属材料および樹脂材料等の各種の材料から構成された粉体を対象とすることができる。粉末材料90としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の無機材料や、鉄、アルミニウム、チタンおよびこれらの合金(典型的にはステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金)等の金属材料や、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリアミド等の水溶性の樹脂材料や、半水石膏(α型焼石膏、β型焼石膏)、アパタイト、食塩、澱粉、プラスチック等が挙げられる。粉末材料90は、上記いずれか1種の材料から構成されていてもよいし、2種以上が組み合わされていてもよい。例えば、粉末材料90は、第1平均粒径D1[μm]を有する第1の粉体と、第2平均粒径D2[μm]を有する第2の粉体とを含む混合粉体である。第2平均粒径D2は、第1平均粒径D1より小さい。第1平均粒径D1は、第2平均粒径D2の5倍~10倍程度である。第1の粉体は、例えば、無機材料であり、第2の粉体は、例えば、水溶性の樹脂材料である。平均粒径とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径を意味するものとする。
【0017】
硬化液は、上記粉末材料90同士を固着することが可能な材料であれば特に限定されない。例えば、硬化液としては、粉末材料90に応じて、当該粉末材料90を構成する粒子同士を結着させることが可能な液体(粘性体を含む。)が用いられる。硬化液としては、例えば、水、ワックス、バインダ等を含む液体が挙げられる。粉末材料90が水溶性の樹脂材料を含む場合には、例えば硬化液として水が用いられる。
【0018】
図1に示すように、三次元造形装置100は、本体部10と、造形槽20と、供給槽30と、回収槽40と、敷詰め部材50と、ヘッドユニット60と、支持部材70と、板部材80と、制御装置88とを備えている。
【0019】
図2に示すように、本体部10は、走査方向Xに長い形状を有する三次元造形装置100の外装体である。本体部10は、箱型形状に形成されている。本体部10には、造形された三次元造形物92が収容される。本体部10には、造形槽20、供給槽30および回収槽40が設けられている。本体部10の上面10Aは平坦であって、上面10Aから凹むように造形槽20、供給槽30および回収槽40が独立に並んで設けられている。本体部10は、支持部材70を支持する。
【0020】
図1に示すように、造形槽20は、本体部10に設けられている。造形槽20は、造形空間20Aを有する。造形空間20Aには、供給槽30から供給された粉末材料90が収容される。造形空間20Aにおいて、粉末材料90に硬化液が吐出され、三次元造形物92が造形される。
【0021】
図1に示すように、三次元造形装置100は、第1テーブル24を備えている。第1テーブル24は、造形槽20に配置されている。造形槽20と第1テーブル24とに囲まれた空間が造形空間20Aである。第1テーブル24には、粉末材料90が載置される。第1テーブル24上に三次元造形物92が造形される。第1テーブル24は、上下方向Zに移動可能に構成されている。第1テーブル24の形状は、例えば、平面視において矩形状である。
【0022】
図1に示すように、三次元造形装置100は、第1昇降装置25を備えている。第1昇降装置25は、第1テーブル24を上昇および下降させる装置である。即ち、第1昇降装置25は、第1テーブル24を上下方向Zに移動させる。第1昇降装置25は、本体部10に設けられている。第1昇降装置25の構成は、特に限定されない。第1昇降装置25は、第1支持部材26と、第1駆動モータ27(図3も参照)と、ボールねじ(図示せず)とを備えている。第1支持部材26は、第1テーブル24の下面に接続されている。第1支持部材26は、第1テーブル24を下方から支持している。第1支持部材26は、上下方向Zに延びる。第1支持部材26は、ボールねじを介して第1駆動モータ27に接続されている。第1駆動モータ27を駆動させることにより、第1支持部材26は上下方向Zに移動する。これにより、第1テーブル24は、上下方向Zに移動する。第1駆動モータ27は、制御装置88に電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。即ち、第1昇降装置25は、制御装置88に制御される。
【0023】
図1に示すように、供給槽30は、本体部10に設けられている。供給槽30は、造形槽20より後方に配置されている。供給槽30は、貯留空間30Aを有する。貯留空間30Aには、造形槽20に供給される粉末材料90が収容される。貯留空間30Aの最大容積は、造形空間20Aの最大容積よりも大きい。即ち貯留空間30Aに収容される粉末材料90は、造形空間20Aに収容される粉末材料90よりも多い。
【0024】
図1に示すように、三次元造形装置100は、第2テーブル34を備えている。第2テーブル34は、供給槽30に配置されている。供給槽30と第2テーブル34とに囲まれた空間が貯留空間30Aである。第2テーブル34には、粉末材料90が載置される。第2テーブル34は、上下方向Zに移動可能に構成されている。第2テーブル34の形状は、例えば、平面視において矩形状である。
【0025】
図1に示すように、三次元造形装置100は、第2昇降装置35を備えている。第2昇降装置35は、第2テーブル34を上昇および下降させる装置である。即ち、第2昇降装置35は、第2テーブル34を上下方向Zに移動させる。第2昇降装置35は、本体部10に設けられている。第2昇降装置35の構成は、特に限定されない。第2昇降装置35は、第2支持部材36と、第2駆動モータ37(図3も参照)と、ボールねじ(図示せず)とを備えている。第2支持部材36は、第2テーブル34の下面に接続されている。第2支持部材36は、第2テーブル34を下方から支持している。第2支持部材36は、上下方向Zに延びる。第2支持部材36は、ボールねじを介して第2駆動モータ37に接続されている。第2駆動モータ37を駆動させることにより、第2支持部材36は上下方向Zに移動する。これにより、第2テーブル34は、上下方向Zに移動する。第2駆動モータ37は、制御装置88に電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。即ち、第2昇降装置35は、制御装置88に制御される。
【0026】
図1に示すように、回収槽40は、本体部10に設けられている。回収槽40は、造形槽20より前方に配置されている。回収槽40は、回収空間40Aを有する。回収空間40Aには、造形空間20Aに敷詰められずに余った粉末材料90が回収される。回収空間40Aの最大容積は、造形空間20Aの最大容積よりも小さい。即ち回収空間40Aに収容される粉末材料90は、造形空間20Aに収容される粉末材料90よりも少ない。貯留空間30Aの最大容積と、造形空間20Aの最大容積と、回収空間40Aの最大容積とは、例えば、3:2:1である。なお、ここでの貯留空間30Aの最大容積、造形空間20Aの最大容積および回収空間40Aの最大容積は、第2テーブル34、第1テーブル24および第3テーブル44がそれぞれ最も下方に位置するときの容積である。
【0027】
図1に示すように、三次元造形装置100は、第3テーブル44を備えている。第3テーブル44は、回収槽40に配置されている。回収槽40と第3テーブル44とに囲まれた空間が回収空間40Aである。第3テーブル44には、粉末材料90が載置される。第3テーブル44は、上下方向Zに移動可能に構成されている。第3テーブル44の形状は、例えば、平面視において矩形状である。
【0028】
図1に示すように、三次元造形装置100は、第3昇降装置45を備えている。第3昇降装置45は、第3テーブル44を上昇および下降させる装置である。即ち、第3昇降装置45は、第3テーブル44を上下方向Zに移動させる。第3昇降装置45は、本体部10に設けられている。第3昇降装置45の構成は、特に限定されない。第3昇降装置45は、第3支持部材46と、第3駆動モータ47(図3も参照)と、ボールねじ(図示せず)とを備えている。第3支持部材46は、第3テーブル44の下面に接続されている。第3支持部材46は、第3テーブル44を下方から支持している。第3支持部材46は、上下方向Zに延びる。第3支持部材46は、ボールねじを介して第3駆動モータ47に接続されている。第3駆動モータ47を駆動させることにより、第3支持部材46は上下方向Zに移動する。これにより、第3テーブル44は、上下方向Zに移動する。第3駆動モータ47は、制御装置88に電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。即ち、第3昇降装置45は、制御装置88に制御される。
【0029】
図2に示すように、本体部10には、左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rが設けられている。左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rは、支持部材70の走査方向Xへの移動をガイドする。左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rは、走査方向Xに延びる。左ガイドレール12Lは、右ガイドレール12Rより左方に配置されている。左ガイドレール12Lの前端および右ガイドレール12Rの前端は、回収槽40より前方に位置する。左ガイドレール12Lの後端および右ガイドレール12Rの後端は、供給槽30より後方に位置する。左ガイドレール12Lと右ガイドレール12Rとの間に造形槽20、供給槽30および回収槽40が設けられている。本実施形態では、左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rが設けられているが、ガイドレールの設置位置および数は特に限定されない。
【0030】
図2に示すように、支持部材70は、本体部10の上面10Aに配置されている。支持部材70は、左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rに摺動自在に係合している。支持部材70は、左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rに沿って走査方向Xに移動可能に構成されている。支持部材70は、左ガイドレール12Lに係合する左脚部70Lと、右ガイドレール12Rに係合する右脚部70Rと、左脚部70Lの上端と右脚部70Rとの上端とを連結する連結部70Cとを備えている。左脚部70Lおよび右脚部70Rは、上下方向Zに延びる。連結部70Cは左右方向Yに延びる。支持部材70は、後述する移動機構72により左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rに沿って走査方向Xに往復移動する。
【0031】
図2に示すように、三次元造形装置100は、移動機構72を備えている。移動機構72は、支持部材70を本体部10に対して走査方向Xに相対的に移動させる機構である。移動機構72は、左ガイドレール12Lの前端側に配置されたプーリ73Fと、左ガイドレール12Lの後端側に配置されたプーリ73Rと、右ガイドレール12Rの前端側に配置されたプーリ74Fと、右ガイドレール12Rの後端側に配置されたプーリ74Rと、プーリ73Fとプーリ74Fとを連結する連結ロッド75Aと、プーリ73Rと、プーリ74Rとを連結する連結ロッド75Bと、プーリ73Fとプーリ73Rとに巻き掛けられた左側ベルト76Lと、プーリ74Fとプーリ74Rとに巻き掛けられた右側ベルト76Rと、連結ロッド75Aを回転させる第1モータ77(図3参照)と、を備えている。なお、第1モータ77は、連結ロッド75Bを回転させるように構成されていてもよい。左側ベルト76Lは、左脚部70Lに固定されている。右側ベルト76Rは、右脚部70Rに固定されている。第1モータ77は、制御装置88と電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。即ち、移動機構72は、制御装置88に制御される。第1モータ77が駆動すると連結ロッド75Aが回転し、左側ベルト76Lおよび右側ベルト76Rが走行する。これにより、支持部材70が左ガイドレール12Lおよび右ガイドレール12Rに沿って走査方向Xに往復移動する。なお、説明の便宜上、図2においてのみ移動機構72を図示しており、他の図では図示を省略している。
【0032】
図1に示すように、本実施形態では、ヘッドユニット60は、走査方向Xに並ぶ3つのラインヘッド62と、ラインヘッド62を収容するケース64と、を備えている。ラインヘッド62は、造形空間20Aに収容された粉末材料90に硬化液を吐出する装置である。ラインヘッド62は、吐出ヘッドの一例である。ラインヘッド62は、硬化液を吐出する複数のノズル(図示せず)を有する。複数のノズルは、左右方向Yに直線状に並んでいる。ラインヘッド62における硬化液の吐出機構は特に制限されず、例えばインクジェット方式である。ラインヘッド62は、造形槽20よりも上方に位置するように本体部10に配置されている。ヘッドユニット60は、支持部材70の連結部70Cに固定されている。即ち、ラインヘッド62は、左右方向Yには移動しない。ラインヘッド62の下端は、ケース64の下面より下方に位置する。ラインヘッド62は、制御装置88に電気的に接続されている。ラインヘッド62のノズルからの硬化液の吐出は、制御装置88によって制御される。
【0033】
図1に示すように、敷詰め部材50は、本体部10の上方に配置されている。敷詰め部材50の下端50Bは、本体部10の上面10Aとの間に所定のクリアランス(間隙)が形成されるように、本体部10の僅かに上方に設置されている。敷詰め部材50は、ラインヘッド62より前方に配置されている。敷詰め部材50は、支持部材70に支持されている。より詳細には、敷詰め部材50は、左脚部70Lおよび右脚部70Rに回転可能に支持されている。敷詰め部材50は、長尺の円筒形状を有している。敷詰め部材50は、回転軸が左右方向Yと平行になるように配置されている。図2に示すように、敷詰め部材50の左右方向Yの長さL1は、供給槽30の左右方向Yの長さL2より長い。敷詰め部材50は、第2テーブル34に載置された粉末材料90を造形槽20に搬送する。敷詰め部材50は、粉末材料90を造形空間20Aに敷詰める。敷詰め部材50は、第1テーブル24上に供給された粉末材料90の表面を平らに均して均一な粉末材料層を形成する。敷詰め部材50は、後述するように、第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90を供給槽30に搬送可能に構成されている。図2に示すように、三次元造形装置100は、第2モータ52を備えている。第2モータ52は、左脚部70Lに設けられている。第2モータ52は、制御装置88に電気的に接続されており、制御装置88によって制御される。図1に示すように、第2モータ52を駆動することによって、敷詰め部材50は順方向R1または逆方向R2に回転する。本実施形態の敷詰め部材50は、支持部材70の移動に伴って走査方向Xに往復移動する。敷詰め部材50は、三次元造形物92を造形する場合には、行き方向X1に移動するときに順方向R1に回転する。また、後述するように、敷詰め部材50は、供給槽30に粉末材料90を戻す場合には、帰り方向X2に移動するときに逆方向R2に回転する。
【0034】
図1に示すように、板部材80は、本体部10の上方に配置されている。板部材80の下端80Bは、本体部10の上面10Aとの間に所定のクリアランス(間隙)が形成されるように、本体部10の僅かに上方に設置されている。板部材80の下端80Bは、敷詰め部材50の下端50Bより上方に位置する。板部材80の下端80Bは、敷詰め部材50の上端50Tより下方に位置する。板部材80は、ラインヘッド62より後方に配置されている。板部材80は、支持部材70に支持されている。より詳細には、板部材80は、連結部70Cに固定されている。板部材80は、左右方向Yおよび上下方向Zに延びる。板部材80の上下方向Zの長さは、敷詰め部材50の直径より長い。板部材80の左右方向Yの長さL3は、供給槽30の左右方向Yの長さL2より長い。本実施形態では、板部材80の左右方向Yの長さL3は敷詰め部材50の左右方向Yの長さL1と同じである。板部材80は、側面視でC字形状に形成されている。即ち、板部材80は、連結部70Cから下方に行くほど後方に向けて湾曲しかつ上方に行くほど後方に向けて湾曲している。板部材80の上端80Tは、敷詰め部材50の上端50Tより上方に位置する。本実施形態では、板部材80の上端80Tはヘッドユニット60より上方に位置する。板部材80は、第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90を供給槽30に搬送する。板部材80は、粉末材料90を供給槽30の貯留空間30Aに供給する。なお、板部材80の下端80Bは敷詰め部材50の下端50Bより上方に位置するため、板部材80は敷詰め部材50によって造形空間20Aに敷き詰められた粉末材料90とは接触しない。また、板部材80の上端80Tは、ヘッドユニット60より上方に位置するため、敷詰め部材50に比べて、一度により多くの粉末材料90を搬送することができる。本実施形態の板部材80は、支持部材70の移動に伴って走査方向Xに往復移動する。
【0035】
図3に示すように、三次元造形装置100の全体の動作は、制御装置88によって制御されている。制御装置88の構成は特に限定されない。制御装置88は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。図1に示すように、制御装置88は、本体部10の内部に設けられている。ただし、制御装置88は本体部10の内部に設けられていなくてもよい。例えば、制御装置88は、本体部10の外部に設置されたコンピュータなどであってもよい。この場合、制御装置88は、有線または無線を介して三次元造形装置100と通信可能に接続されている。
【0036】
図3に示すように、制御装置88は、ラインヘッド62、第1駆動モータ27、第2駆動モータ37、第3駆動モータ47、第1モータ77および第2モータ52と通信可能に接続しており、これらを制御する。
【0037】
図3に示すように、制御装置88は、ヘッド制御部88Aと、移動制御部88Bと、回転制御部88Cと、第1テーブル制御部88Dと、第2テーブル制御部88Eと、第3テーブル制御部88Fとを備えている。制御装置88の各部の機能は、プログラムによって実現されている。このプログラムは、例えばCDやDVDなどの記録媒体から読み込まれる。なお、このプログラムは、インターネットを通じてダウンロードされるものであってもよい。また、制御装置88の各部の機能は、プロセッサおよび/または回路などによって実現可能なものであってもよい。なお、これら各部の具体的な機能については後述する。
【0038】
ヘッド制御部88Aは、ラインヘッド62を制御する。ヘッド制御部88Aは、ラインヘッド62のノズルから吐出される硬化液の量やタイミングを制御する。移動制御部88Bは、第1モータ77を制御して支持部材70を走査方向Xに移動させる。回転制御部88Cは、第2モータ52を制御して敷詰め部材50を順方向R1または逆方向R2に回転させる。第1テーブル制御部88Dは、第1駆動モータ27を制御して第1テーブル24を上下方向Zに移動させる。第1テーブル制御部88Dは、三次元造形物92を造形しているときは、第1テーブル24を下方へのみ移動させる。第1テーブル制御部88Dは、供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を戻すときは、第1テーブル24を上方へのみ移動させる。第2テーブル制御部88Eは、第2駆動モータ37を制御して第2テーブル34を上下方向Zに移動させる。第2テーブル制御部88Eは、三次元造形物92を造形しているときは、第2テーブル34を上方へのみ移動させる。第2テーブル制御部88Eは、供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を戻すときは、第2テーブル34を下方へのみ移動させる。第3テーブル制御部88Fは、第3駆動モータ47を制御して第3テーブル44を上下方向Zに移動させる。第3テーブル制御部88Fは、三次元造形物92を造形しているときは、第3テーブル44を下方へのみ移動させる。第3テーブル制御部88Fは、供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を戻すときは、第3テーブル44を上方へのみ移動させる。
【0039】
以上、三次元造形装置100の構成について説明した。次に、三次元造形物92の造形が完了した後の三次元造形装置100の動作について説明する。本実施形態では、所望の三次元造形物92の断面形状を示す断面画像に沿った硬化層91を順次積層することで、所望の三次元造形物92を造形する。以下の説明では、支持部材70を帰り方向X2に2回移動させることによって、造形空間20Aおよび回収空間40Aに残存する粉末材料90を貯留空間30Aに戻す場合を説明するが、支持部材70を帰り方向X2に1回移動させることによって貯留空間30Aに粉末材料90を戻してもよいし、3回以上移動させることによって貯留空間30Aに粉末材料90を戻してもよい。
【0040】
図4に示すように、三次元造形物92の造形が完了すると、支持部材70はホームポジションHPに戻る。ここで、ホームポジションHPとは、造形待機時、すなわち、三次元造形が行われていないときに、支持部材70(即ちヘッドユニット60)が待機する位置である。ホームポジションHPは、供給槽30より後方に位置する。このとき、造形槽20の造形空間20Aには造形された三次元造形物92が粉末材料90に埋もれている。また、回収槽40の回収空間40Aには、三次元造形物92の造形中に造形空間20Aに敷き詰められずに余った粉末材料90が貯留されている。ここでは、供給槽30の貯留空間30Aの全ての粉末材料90は、造形空間20Aまたは回収空間40Aのいずれかに搬送されている。なお、三次元造形物92の造形が完了したときに貯留空間30Aに粉末材料90が残っている場合も当然にあり得る。
【0041】
図5に示すように、作業者は三次元造形物92の造形が完了すると、造形空間20Aから三次元造形物92を取り出す。作業者は例えばスコップ等を用いて三次元造形物92を粉末材料90から掘り出す。造形空間20Aには、三次元造形に用いられなかった粉末材料90が残存する。
【0042】
図6に示すように、三次元造形物92が造形空間20Aから取り出されると、三次元造形装置100は、造形空間20Aおよび回収空間40Aに残存する粉末材料90を供給槽30に戻す制御を実行する。制御の開始のタイミングは、例えば、作業者によって決定される。まず、移動制御部88Bは、第1モータ77を制御して支持部材70を走査方向Xの行き方向X1に移動させる。これにより、支持部材70はホームポジションHPから待機位置SPまで移動する。ここで、待機位置SPとは、供給槽30に粉末材料90を戻す直前に支持部材70(即ちヘッドユニット60)が待機する位置である。待機位置SPは、回収槽40より前方に位置する。ついで、第1テーブル制御部88Dは、第1駆動モータ27を制御して第1テーブル24を所定量だけ上昇させ、第3テーブル制御部88Fは、第3駆動モータ47を制御して第3テーブル44を所定量だけ上昇させ、第2テーブル制御部88Eは、第2駆動モータ37を制御して第2テーブル34を所定量だけ下降させる。これにより、第1テーブル24および第3テーブル44に載置された粉末材料90は、本体部10の上面10Aより上方に位置する。支持部材70を帰り方向X2に1回移動させるときの第1テーブル24および第3テーブル44の上昇量(例えば1cm)および第2テーブル34の下降量(例えば1cm)は、三次元造形物92を造形するときの支持部材70を行き方向X1に1回移動させるときの第1テーブル24および第3テーブル44の下降量(例えば0.1cm)および第2テーブル34の上昇量(例えば0.1cm)よりもそれぞれ大きい。また、支持部材70を帰り方向X2に1回移動させるときの第1テーブル24および第3テーブル44の上昇量は、本体部10の上面10Aから板部材80の上端80Tまでの上下方向Zの長さより小さい。支持部材70を帰り方向X2に1回移動させるときの第1テーブル24および第3テーブル44の上昇量は、例えば、板部材80の上下方向Zの長さより小さい。支持部材70を帰り方向X2に1回移動させるときの第2テーブル34の下降量は、1回当たりに搬送されてきた粉末材料90の全てを貯留空間30Aに収容可能な値に決定される。
【0043】
図7に示すように、移動制御部88Bは、第1モータ77を制御して支持部材70を走査方向Xの帰り方向X2に移動させる。このとき、回転制御部88Cは、第2モータ52を制御して敷詰め部材50を逆方向R2に回転させる。これにより、第1テーブル24および第3テーブル44に載置された粉末材料90のうち、本体部10の上面10Aより上方に位置する粉末材料90は、板部材80および敷詰め部材50によって供給槽30の貯留空間30Aに戻される。
【0044】
図8に示すように、移動制御部88Bは、再び第1モータ77を制御して支持部材70を走査方向Xの行き方向X1に移動させる。これにより、支持部材70はホームポジションHPから待機位置SPまで移動する。ついで、第1テーブル制御部88Dは、第1駆動モータ27を制御して第1テーブル24を所定量だけ上昇させ、第3テーブル制御部88Fは、第3駆動モータ47を制御して第3テーブル44を所定量だけ上昇させ、第2テーブル制御部88Eは、第2駆動モータ37を制御して第2テーブル34を所定量だけ下降させる。これにより、第1テーブル24および第3テーブル44に載置された残りの粉末材料90は、本体部10の上面10Aより上方に位置する。
【0045】
図9に示すように、移動制御部88Bは、第1モータ77を制御して支持部材70を走査方向Xの帰り方向X2に移動させる。このとき、回転制御部88Cは、第2モータ52を制御して敷詰め部材50を逆方向R2に回転させる。これにより、第1テーブル24および第3テーブル44に載置された全ての粉末材料90は、板部材80および敷詰め部材50によって供給槽30の貯留空間30Aに戻される。制御装置88は、第1テーブル24および第3テーブル44が移動可能な最も高い位置に移動したことを検出することで、粉末材料90を貯留空間30Aに戻す制御を終了する。
【0046】
以上のように、本実施形態の三次元造形装置100によると、制御装置88は、三次元造形物92の造形が完了した後、第3昇降装置45の第3駆動モータ47および第1昇降装置25の第1駆動モータ27を制御して第3テーブル44および第1テーブル24を上昇させる。これにより、第3テーブル44に載置された粉末材料90は回収空間40Aを越えた位置に移動しかつ第1テーブル24に載置された粉末材料90は造形空間20Aを越えた位置に移動する。また、制御装置88は、第2昇降装置35の第2駆動モータ37を制御して第2テーブル34を下降させる。これにより、供給槽30の貯留空間30Aが大きくなる。そして、制御装置88は、本体部10に対して支持部材70を帰り方向X2へと移動させる。このとき、支持部材70に支持された敷詰め部材50は、第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90を帰り方向X2へと搬送し、粉末材料90を供給槽30の貯留空間30Aに戻す。このように、三次元造形物92の造形が完了した後に造形槽20および回収槽40に残存する粉末材料90は、第1テーブル24、第2テーブル34、第3テーブル44および移動機構72を制御することによって、容易に供給槽30に戻すことができる。
【0047】
本実施形態の三次元造形装置100は、左右方向Yおよび上下方向Zに延び、粉末材料90を搬送可能な板部材80を備えている。このように、板部材80は左右方向Yおよび上下方向Zに延びるため、一度に大量の粉末材料90を搬送することができる。ここで、板部材80は、ラインヘッド62よりも後方に配置されている。本体部10に対して支持部材70を帰り方向X2へと移動させるときには、最初に板部材80が第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90に接触するため、ラインヘッド62に粉末材料90が接触することを抑制することができる。また、板部材80の下端80Bは、敷詰め部材50の下端50Bより上方かつ敷詰め部材50の上端50Tより下方に位置する。このため、敷詰め部材50によって粉末材料90を造形空間20Aに敷詰めるときには、板部材80は敷詰められた粉末材料90に接触しない。また、供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を戻すときには、板部材80が粉末材料90の大部分を搬送することができる。このように、第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90は、敷詰め部材50および板部材80によって供給槽30の貯留空間30Aに容易に戻される。
【0048】
本実施形態の三次元造形装置100によれば、本体部10に対して支持部材70を帰り方向X2に移動させるときの1回当たりの第3テーブル44および第1テーブル24の上方への移動量は、板部材80の上下方向Zの長さより小さい。これにより、粉末材料90が板部材80の上端80Tを越えてラインヘッド62に接触することを抑制することができる。
【0049】
本実施形態の三次元造形装置100によれば、制御装置88は、本体部10に対して支持部材70を帰り方向X2に移動させるたびに、貯留空間30Aに粉末材料90を戻す前に第2テーブル34を所定の量だけ下降させる。例えば、供給槽30の貯留空間30Aに粉末材料90を戻す前に第2テーブル34を最も低い位置まで降下させることがあり得る。この場合、粉末材料90の落下開始位置と落下地点との上下方向Zの長さが大きくなるため、粉末材料90が貯留空間30Aに戻されるたびに粉末材料90が空中に舞ってしまう虞がある。そこで、粉末材料90が貯留空間30Aに戻されるたびに第2テーブル34を所定の量だけ降下させることによって、粉末材料90の落下開始位置と落下地点との上下方向Zの長さを比較的小さくし、粉末材料90が空中に舞うことを抑制することができる。
【0050】
本実施形態の三次元造形装置100によれば、粉末材料90は、第1平均粒径を有する無機材料と、第1平均粒径より小さい第2平均粒径を有する水溶性の樹脂材料と、を含む。粉末材料90の落下開始位置と落下地点との上下方向Zの長さが比較的大きい場合には、粉末材料90の落下中に無機材料と水溶性の樹脂材料との分離が促進されることがある。このため、粉末材料90の落下開始位置と落下地点との上下方向の長さを比較的小さくすることによって、粉末材料90の落下中の無機材料と水溶性の樹脂材料との分離を抑制し、粉末材料90の再混練の発生を抑制することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の各実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0052】
上述した実施形態では、制御装置88は、本体部10に対して支持部材70を帰り方向X2に移動させるたびに、貯留空間30Aに粉末材料90を戻す前に第2テーブル34を所定の量だけ下降させていたが、これに限定されない。制御装置88は、本体部10に対して支持部材70を帰り方向X2に所定の回数だけ移動させるたびに、貯留空間30Aに粉末材料90を戻す前に第2テーブル34を所定の量だけ下降させてもよい。また、制御装置88は、本体部10に対して支持部材70を帰り方向X2に初めて移動させる前にのみ第2テーブル34を所定の量だけ下降させてもよい。
【0053】
なお、板部材80の形状は、上述した実施形態のものに限定されない。例えば、図10に示すように、板部材80は、支持部70Cに支持される第1部分81Aと、第1部分81Aの左右方向Yの左端から後ろ斜め左方に延びる第1側壁81Bと、第1部分81Aの左右方向Yの右端から後ろ斜め右方に延びる第2側壁81Cとを有していてもよい。即ち、板部材80は、平面視で略V字形状に形成されていてもよい。これにより、第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90を、板部材80によって供給槽30の貯留空間30Aにより確実に戻すことができる。
【0054】
また、図11に示すように、例えば、板部材80は、左右方向Yに延びかつ支持部70Cに支持される第1部分81Aと、第1部分81Aの左右方向Yの左端から後方に向けて伸びる第1側壁81Bと、第1部分81Aの左右方向Yの右端から後方に向けて延びる第2側壁81Cとを有していてもよい。即ち、板部材80は、平面視で略U字形状に形成されていてもよい。これにより、第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90を、板部材80によって供給槽30の貯留空間30Aにより確実に戻すことができる。
【0055】
また、図12に示すように、板部材80は、第1部分81Aの上端から後方に延び、第1側壁81Bの上端および第2側壁81C(図10または図11参照)の上端に接続された上壁81Dをさらに有していてもよい。これにより、第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90が比較的多い場合であっても、板部材80を越えてラインヘッド62に接触することを抑制することができる。
【0056】
上述した実施形態では、三次元造形装置100は、本体部10に対して支持部材70を帰り方向X2に移動させる1回当たりの粉末材料90の搬送量を大きくするために板部材80を備えていたが、板部材80を備えていなくてもよい。この場合、第3テーブル44および第1テーブル24に載置された粉末材料90は、敷詰め部材50によって貯留空間30Aに戻される。
【0057】
上述した各実施形態では、三次元造形装置100は、吐出ヘッドとしてラインヘッド62を備えていたがこれに限定されない。例えば、吐出ヘッドとして、走査方向Xに直線状に配置された複数のノズルを有し、左右方向Yに移動可能に構成されたいわゆるシャトル型のインクヘッドを備えていてもよい。
【0058】
上述した各実施形態では、本体部10に対して支持部材70を走査方向Xに相対的に移動させていたが、これに限定されない。例えば、支持部材70を本体部10に固定し、支持部材70に対して造形槽20、供給槽30および回収槽40を走査方向Xに相対的に移動させてもよい。
【0059】
上述した実施形態では、敷詰め部材50は、ラインヘッド62と一体となって移動可能に構成されていたが、敷詰め部材50は、ラインヘッド62に対して独立して移動可能に構成されていてもよい。
【0060】
上述した実施形態では、敷詰め部材50は、三次元造形物92を造形する場合には、行き方向X1に移動するときに順方向R1に回転していたが、逆方向R2に回転してもよい。また、敷詰め部材50は、供給槽30に粉末材料90を戻す場合には、帰り方向X2に移動するときに逆方向R2に回転していたが、順方向R1に回転してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 本体部
20 造形槽
20A 造形空間
24 第1テーブル
25 第1昇降装置
30 供給槽
30A 貯留空間
34 第2テーブル
40 回収槽
40A 回収空間
44 第3テーブル
50 敷詰め部材
62 ラインヘッド(吐出ヘッド)
70 支持部材
72 移動機構
80 板部材
88 制御装置
90 粉末材料
92 三次元造形物
100 三次元造形装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12