(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】制動機構
(51)【国際特許分類】
F16D 63/00 20060101AFI20220329BHJP
F16D 37/02 20060101ALN20220329BHJP
H01F 1/44 20060101ALN20220329BHJP
【FI】
F16D63/00 P
F16D37/02 D
H01F1/44 170
(21)【出願番号】P 2018045212
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2021-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000107804
【氏名又は名称】スミダコーポレーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】芳井 義治
(72)【発明者】
【氏名】大塚 努
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-068614(JP,A)
【文献】特開2017-110749(JP,A)
【文献】特開2016-217371(JP,A)
【文献】特開2008-202657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D25/00-39/00
48/00-71/04
H01F1/12-1/38
1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する磁性流動体内で駆動体の少なくとも一部を駆動させる制動機構であって、
前記磁性流動体を収容する筐体と、
数十A/kmの保磁力を有し、前記筐体外に配置される少なくとも一つの低保磁力磁石と、
前記低保磁力磁石に磁場を印加する磁場発生部と、
前記磁場発生部に対して第一方向に流れるパルス状の正パルス電流、前記第一方向と反対方向に流れるパルス状の負パルス電流を交互に供給し、前記磁性流動体の少なくとも一部の粘度を変化させる磁場制御部と、を備え
、
前記低保磁力磁石を構成する面は、前記磁性流動体に磁力が作用したときに前記磁性流動体がクラスタとなって延在する向きが前記駆動体を駆動させる向きまたは前記駆動体の駆動を制限する向きとなるように、配置されている、制動機構。
【請求項2】
前記低保磁力磁石は、前記筐体を挟んで対向する第一低保磁力磁石及び第二低保磁力磁石である、請求項1に記載の制動機構。
【請求項3】
前記低保磁力磁石は、前記磁場発生部によって印加された磁場で励起される磁力を所定の時間保持し、前記磁場制御部は、前記正パルス電流により前記低保磁力磁石に磁場を印加し、前記負パルス電流により前記低保磁力磁石によって保持された磁力を打ち消す、請求項1または2に記載の制動機構。
【請求項4】
前記負パルス電流の絶対値は、少なくとも直前に印加された前記正パルス電流の絶対値よりも小さい、請求項3に記載の制動機構。
【請求項5】
前記筐体の内部の前記磁場の強さを計測する磁場センサをさらに備え、前記磁場制御部は、前記磁場センサによって計測された磁場の強さ
と予め定められた目標磁場強度とを比較して、前記目標磁場強度を達成させるように前記磁場発生部に正パルス電流または負パルス電流を供給する、請求項1から4のいずれか一項に記載の制動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気粘性流体を用いた制動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気粘性流体(Magneto Rheological fluid)は、MR流体とも呼ばれて媒体となる液中に強磁性金属微粒子を分散させた機能性材料である。強磁性金属微粒子は、粒子半径が数μmであり、磁場が加えられることによって磁束に沿って整列し、チェーン状のクラスタを形成する。このとき、MR流体は流体から半固化する。このため、MR流体中で運動する物体に対する抵抗力が磁場の印加によって変化する。物体に対するMR流体の抵抗力の度合いを本明細書では以降「見かけの粘性」と記す。
このようなMR流体を使用したMR流体ブレーキの開発が行われている。MR流体ブレーキは、摩擦を利用した公知のブレーキに比べてブレーキシューやディスクブレーキのブレーキパッドの摩擦が生じない、ブレーキング時のノイズの発生がないといった利点を有している。さらに、MRブレーキは、磁気に対して数m秒で反応するため、公知の油圧方式よりも高速に応答するという利点を有している。このようなMRブレーキは、その安全性や低騒音により介護の場面で使用される電動車椅子や介護ロボット、さらには室内で利用される電気自動車等に好適である。
【0003】
MRブレーキに関する公知技術は、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されている。特許文献1には、パウダーを収容するハウジング内に設けられたコイルに電流を流してハウジングと回転軸との間にブレーキトルクを発生させることが記載されている。引用文献2には、ディスクの上下部にMR流体層があり、ディスクの外側にリング状のコイルが設置されている構成が記載されている。特許文献2では、コイルに電流を流すとMR流体層に磁束が発生し、ディスクの回転が抑制されてブレーキとして機能することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-140744号公報
【文献】特開2011-247403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した電動車椅子等の多くはバッテリを備え、このバッテリに電力を充電して使用される。当然のことながら、このような機器にあっては一度の充電で長時間稼動できることが望ましく、また、機器の軽量化、小型化の観点からバッテリは小型であることが好ましい。このため、電動車椅子等に使用されるMRブレーキにもいっそうの省電力化が要求されている。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、消費電力が小さく、搭載される機器の稼働時間の長期化、小型化に有利な制動機構に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制動機構は、磁性を有する磁性流動体内で駆動体の少なくとも一部を駆動させる制動機構であって、前記磁性流動体を収容する筐体と、前記筐体外に配置される少なくとも一つの低保磁力磁石と、前記低保磁力磁石に磁場を印加する磁場発生部と、前記磁場発生部に対して第一方向に流れるパルス状の正パルス電流、前記第一方向と反対方向に流れるパルス状の負パルス電流を交互に供給し、前記磁性流動体の少なくとも一部の粘度を変化させる磁場制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、消費電力が小さく、搭載される機器の稼働時間の長期化、小型化に有利な制動機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態の制動機構の一部の構成の斜視図である。
【
図2】
図1に示した構成を含む制動機構を説明するための模式図である。
【
図3】(a)は、
図1に示した制動機構の磁性流動体に磁場が作用していない状態を示す図、(b)は、磁性流動体に磁場が作用している状態を示す図である。
【
図4】
図1、
図2に示した第一低保磁力磁石、第二低保磁力磁石のJ-Hループを説明するための図である。
【
図5】本発明の第一実施形態の正パルス電流、負パルス電流を例示した図である。
【
図6】本発明の第一実施形態の変形例を説明するための図である。
【
図7】(a)は円盤部の縦断面図、(b)は円盤部の横断面図である。
【
図8】本発明の第二実施形態の制動機構を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第一実施形態、第二実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、第一実施形態、第二実施形態において用いた図面は本発明を説明するための模式的な表現を使用した図面であり、部材の形状や大きさ、長さ及び厚さ等を正確に表すものとは限らない。
【0010】
[第一実施形態]
図1、
図2は、本発明の第一実施形態の制動機構1を説明するための図である。第一実施形態の制動機構1は、例えば、介護や作業に用いられる走行機器のクラッチに適用される。
図1は、制動機構1の磁場制御部50、磁場センサ19及び電源55(いずれも
図2)を除く構成の斜視図である。
図2は、
図1に示した構成を含む制動機構1を説明するための模式図である。
【0011】
(全体構成)
図1、
図2に示した制動機構1は、磁性流体または磁性粉末を含む磁性流動体を用いる制動機構である。本明細書では、磁性流体、磁性粉末の両方を含む概念として磁性流動体の語句を使用する。磁性流体としては、例えば、油系の分散媒に直径が数μmの磁性体金属粒子(以下、単に「磁性体粒子」と記す)pを混合した非コロイド溶液が使用される。磁性体粒子としては、例えば、磁性鉄粉等が使用される。また、磁性粉末としては、磁性体粒子が分散媒なしで使用される。なお、第一実施形態では、磁性流動体として磁性流体を使用した制動機構の例をあげて説明する。磁性流体の油系分散媒としては、例えば、シリコンオイルが使用される。また、磁性流体では、分散媒に界面活性剤を加える、あるいは磁性体粒子pの表面を界面活性剤でコーティングする等して磁性体粒子pを安定して分散させている。
【0012】
第一実施形態の制動機構1は、磁性を有する磁性流動体内で駆動体の少なくとも一部を駆動させる制動機構である。第一実施形態の駆動体は、入力軸12、出力軸22である。制動機構1を例えば電動車椅子のクラッチレバーに適用した場合、例えば、入力軸12は図示しないモータの回転軸と連結され、出力軸22は図示しない車軸等と連結される。ただし、制動機構1は、電動車椅子に適用される構成に限定されるものではない。制動機構1は、トルクコンバータ、ロボット、免振装置等の動力源から動力を伝達及び切り離す機構であればどのような構成に適用するものであってもよい。
また、制動機構1は、磁性流動体を収容する筐体であるハウジング13と、ハウジング13外に配置される少なくとも一つの低保磁力磁石を有している。ただし、第一実施形態では、制動機構1が第一低保磁力磁石20a及び第二低保磁力磁石20bを備え、第一低保磁力磁石20a及び第二低保磁力磁石20bはハウジング13を挟んで対向するように配置されている。対向面20aa、対向面20bbは互いに平行であることが好ましいが、必ずしも厳密に平行であることまでは要求されない。
【0013】
さらに、制動機構1は、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに磁場を印加する磁場発生部11を有している。磁場発生部11としては、複数回数巻き回されたコイル、あるいは磁性体を芯材にしてコイルを巻き回した電磁石を適用することができる。つまり、第一実施形態の磁場発生部11は、電磁石のように強磁性体の芯を有するものに限定されるものでなく、少なくとも電流の供給によって磁力線を発生するコイルを有する構成であればよい。
また、第一実施形態は、磁場発生部11に対して第一方向に流れるパルス状の正パルス電流、第一方向と反対方向に流れるパルス状の負パルス電流を交互に供給し、磁性流動体の少なくとも一部の粘度を変化させる磁場制御部50と、を備えている。なお、第一実施形態では、磁場制御部50が電源55を介して磁場発生部11に電流を供給し、磁場発生部11が磁場を発生させる。そして、発生した磁場が第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bを磁化するものとして以降の説明を行う。また、本明細書では、磁力が及ぶ範囲を磁場とし、磁場または磁界を磁力線で模式的に記載する場合もある。
磁場発生部11は、電流が供給されることによって磁場を発生する。磁場発生部11は第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bを覆うように配置されているから、磁場発生部11が発生した磁場は、磁力線Bが第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bを貫くように発生する。
【0014】
以下、上記した制動機構1の各構成について説明する。
(ハウジング)
制動機構1のハウジング13は、固定円筒であって、移動することがない。
図1、
図2では、ハウジング13の外周面が、外側上面13a、外側下面13b、外側周面13cによって構成されている。また、ハウジング13の内周面が、内側上面15a、内側下面15b及び内側周面15cによって構成されている。外側上面13a、内側上面15a間には挿入口13dが、外側下面13b、内側下面15b間には挿入口13eが形成されている。挿入口13dには入力軸12の一部が挿入されて、挿入口13eには出力軸22が挿入されている。上記したように、入力軸12は図示しないモータの回転軸と連結され、出力軸22は図示しない車軸と連結される。このため、入力軸12はモータの回転に伴って回転する。一方、出力軸22は、車軸が回転していない状態にあっては回転せずに静止している。
【0015】
さらに、制動機構1では、入力軸12のハウジング13内部にある先端に円盤部14が接続されている。また、出力軸22のハウジング13内部にある先端に円盤部24が接続されている。
図1、
図2に示すように、円盤部14は上面14a、対向面14bを有し、円盤部24は対向面24a、下面24bを有している。円盤部14、円盤部24は、互いに対向面14b、対向面24aが向かい合うようにして配置されている。
図1、
図2では、円盤部14よりも円盤部24の方が大きい面積を有しているが、第一実施形態は、このような構成に限定されるものではない。
また、対向面14b、24aは、
図1に示したx-y平面内において回転する。ただし、第一実施形態は、このような構成に限定されるものでなく、対向面14b、24aが入力軸12の軸方向(
図1中に示した座標軸のz方向)に移動することを排除するものではない。対向面14bがz方向に移動する場合であっても、その移動量は回転の移動量より充分小さくなるように円盤部14、24が軸方向に支持されていることから、対向面14b、24aの距離は略一定に保たれる。
【0016】
ハウジング13は、外部から印加される磁場が磁性体粒子に効率よく作用し、自身が磁化しない材質であればよく、例えば、磁化しないオーステナイト系ステンレス鋼等が使用される。さらに、ハウジング13は樹脂であってもよい。
また、円盤部14、24は、磁性体であることが好ましい。第一実施形態では、「磁性体」の語句を、強磁性体を有するものを指すことに使用する。
【0017】
(電磁石)
磁場発生部11は、磁性材料を芯とし、芯にコイルを巻き回した構成である。磁場発生部11は、コイルに通電することによって一時的に磁力を発生させ、電流を遮断させることによって磁場を消失することができる。制動機構1の磁性流動体に与えられる磁場の強さはコイルの巻き回数やコイル及び芯の材質やサイズによって適宜設計可能である。
上記した正パルス電流、負パルス電流は、磁場発生部11のコイルに間欠的に、かつ逆方向に電流を流すことによって生じる。つまり、第一実施形態のパルス電流は、コイルに電流が間欠的に流れ、電流が流れるタイミング同士の間に電流が流れないタイミングが存在する電流波形をいう。さらに、第一実施形態では、パルス電流を比較的短い時間幅で出力されるものとする。この時間幅は、例えば、電流の立ち上がりから次の電流の立ち上がりまでの間に、電流が出力されていない時間の方が長くなるように設定することができる。なお、この際、電流の立ち上がり、立下りは、電流の向きとは無関係に、0レベルから絶対値が大きくなるタイミングを立ち上がり、ピークから0レベルに達するタイミングを立下りとする。第一実施形態のパルス電流は、例えば、時間幅が10-4sのオーダーから10-7sのオーダーとする。パルス電流の正負は、電流が流れる方向の向きによって決まる。ただし、電流の向きは一方の向きが他方の向きの反対であればよく、どちらの向きを正、あるいは負と決めるものではない。
【0018】
(第一低保磁力磁石、第二低保磁力磁石)
第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bは、磁場発生部11によって印加された磁場で励起される磁力を所定の時間保持する磁石である。磁場制御部50は、正パルス電流により第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに磁場を印加し、負パルス電流により低保磁力磁石によって保持された磁力を打ち消している。
このような第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bとしては、保磁力が数十A/km程度の磁石が使用される。第一実施形態の第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bとしては、アルニコ系磁石及び鉄クロム系の磁石が用いられるが、このような例に限定されるものでなく、数十A/km程度の保磁力を有する磁石であれば、どのような磁石であってもよい。
なお、第一実施形態では、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bを備えているが、第一実施形態はこのような構成に限定されるものでない。例えば、制動に充分な磁束密度が得られるのであれば、外側上面13a、外側下面13bのいずれか一方に沿って低保磁力磁石を設けるものであってもよい。
また、第一実施形態は、第一低保磁力磁石20aをそれぞれ外側上面13a、外側下面13bに平行に配置している。しかし、第一実施形態は、このような構成に限定されるものでなく、制動に充分な磁束密度が得られるのであれば、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bをどのように配置してもよい。
【0019】
(磁場制御部)
次に、第一実施形態の磁場制御部50を説明する。磁場制御部50には、例えばマイクロコンピュータ等の小型のプロセッサユニットを搭載した制御装置が使用される。磁場制御部50は、磁場発生部11に対して前記した正パルス電流、負パルス電流を交互に供給する構成であって、小型のCPU(Central Processing Unit)、メモリ及び入出力のインターフェースを有している(いずれも図示せず)。磁場制御部50のCPUは、電源55を制御して電流を磁場発生部11に供給させ、電流の供給タイミングと大きさ及び方向を制御する。メモリは、先に流した電流が正パルス電流であるか、負パルス電流であるかを記録しておく、あるいはCPUの演算のワーキングメモリとして使用される。入力インターフェースは、例えば、図示しないクラッチレバー等の操作部から操作信号O1が入力される。磁場制御部50は、操作信号O1の操作量に対応する電流の値を計算し、この値の電流を流すように電源55に制御信号O2を出力する。電源55は、制御信号O2にしたがって磁場発生部11に電流を流す。
【0020】
つまり、第一実施形態は、磁場制御部50が正パルス電流、負パルス電流の大きさ(ピーク値)で制動機構1の制動力の大きさを制御している。制御は、操作信号O1が大きいほど正パルス電流、負パルス電流のピーク値を大きくし、操作信号O1が相対的に小さいと正パルス電流、負パルス電流のピーク値を小さくするように行われる。ただし、第一実施形態は、正パルス電流、負パルス電流の大きさによって制動力を制御することに限定されるものではない。
【0021】
また、第一実施形態の制動機構1は、ハウジング13の内部の磁場の強さを計測する磁場センサ19をさらに備えるものであってもよい。このような場合、磁場制御部50は、磁場センサ19によって計測された磁場の強さに基づいて磁場発生部11に正パルス電流または負パルス電流を供給する。
すなわち、
図1、
図2に示した制動機構1は、ハウジング13内に磁場センサ19を備えている。磁場センサ19は、比較的高速に変化する磁性流動体の磁場を検出できるものであればよく、その具体的な構成に制限はない。磁場センサ19は、例えば、ホール素子、磁気抵抗素子、磁気インピーダンス素子及び超伝導量子干渉素子のいずれであってもよい。
磁場センサ19を設けた場合、磁場制御部50には磁場センサ19から測定信号Mが入力される。測定信号Mは、ハウジング13内の磁場の強さを実測した結果を示す信号である。磁場制御部50は、測定信号M及び予め定められている目標磁場強度を比較し、目標磁場強度を達成するための電流を磁場発生部11に供給するため電源55に制御信号O2を出力する。
【0022】
(動作)
次に、以上説明した制動機構1の動作を説明する。
図3(a)、
図3(b)は、磁性流動体内の磁性体粒子pと磁力線Bとの関係を説明するための模式図である。
図3(a)は、磁性流動体に磁場が作用していない、つまり磁場発生部11に電流が供給されていない状態、もしくは磁化された第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに適度な逆磁場を印加し、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁束を打ち消した場合を示す。
図3(b)は、磁性流動体に磁場が作用している、つまり磁場発生部11に電流が供給されている状態、もしくは磁場発生部11に供給されている電流の遮断後、磁化された第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの残留磁化による磁力が寄与している状態を示している。
磁場が印加されていない場合、磁性流体は、
図3(a)に示すように、分散媒中に磁性体粒子pが分散している状態にある。このとき、磁性流体は、剪断速度に対してニュートン流体のようにふるまう。一方、磁場流体は、磁力が作用すると
図3(b)に示すように、分散媒中の磁性体粒子pが磁力線Bに沿ってクラスタを形成する。
クラスタは、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bとの間で流動抵抗を生じ、クラスタ構造を切断するために磁性流動体の剪断応力が増大する。このとき、磁性流体は、降伏応力を有する塑性流体(ビンガム流体)としてふるまうようになる。
【0023】
一般的な塑性流体の剪断応力τsは、以下の式によって表される。
τs=μ・γ+τ0[Pa] …式(1)
上記式(1)において、μは磁場無印加時の基底粘度[Pa・s]、γは剪断速度[s
-1]、τ0は磁力の作用によって生じた剪断応力[Pa]である。
式(1)において、降伏応力τ0は、磁力の強度を高めることによって強くなる。すなわち、磁性流体は磁力の作用によって粘度が増大したような挙動を示す。このような現象を、本明細書では、「見かけの粘度が増大した」とも記す。このような現象は、磁性流体の非ニュートン粘度が変化することではなく、クラスタ形成による降伏強度が変化することに起因する。
図3(b)に示したクラスタは、形成時から所定の時間維持されて、反対方向に磁場をかけることによって
図3(a)のように消失する。このことから、第一実施形態では、パルス電流を磁場発生部11に供給して磁性流動体の見かけの粘度を増大し、反対方向のパルス電流を磁場発生部11に供給して磁性流動体の見かけの粘度を低下させることができる。
【0024】
上記の第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20b間にある磁性流動体内において、磁性体である円盤部14、24は磁性流動体の磁化強度を局所的に高める機能を有している。このため、ハウジング13内の磁性流動体のうち、円盤部14、24間の磁性流動体は、見かけの粘度が周囲よりも増大している。さらに、第一実施形態では、円盤部14、24を設けることによってクラスタが形成される面の面積を大きくし、剪断応力を高めている。このような状態にあって、円盤部14が入力軸12に連動して回転している場合、円盤部14とクラスタによって接続されている円盤部24が回転する。
一方、磁化された第一低保磁力磁石20a及び第二低保磁力磁石20bの磁力を打ち消すために磁場発生部11への電流の供給を行うと、磁性流動体の見かけの粘度が低下して、円盤部14の回転が円盤部24、ひいては車軸に伝わらなくなる。このような動作により、制動機構1は、図示しないモータと車軸とを接離するクラッチとして機能する。
【0025】
なお、第一実施形態は、
図1、
図2に示したように、円盤部14、24のうち、円盤部24の面積を大きくしている。このような構成により、第一実施形態は、モータ等の動力源に接続される円盤部14の回転が円盤部24に緩やかに伝わるようになり、電動車いす等に急に力が加わることを防いでいる。
【0026】
図4は、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bのJ-Hループを説明するための図である。
図4の横軸は磁場発生部11が第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに加えた磁場の強度(H[A/m])を示している。縦軸は第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁化強度(J[T])を示している。
第一実施形態では、
図4に示すように、磁場発生部11に電流が供給されることによって第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに磁場(横軸)が印加され、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁化強度が上昇する。また、磁場発生部11に先とは反対向きの電流が供給されることによって第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに反対向きの磁場(横軸)が印加され、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁化強度が下降する。
【0027】
つまり、第一実施形態では、操作信号O1を入力し、操作信号O1に基づいて第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに磁場h1を加える。このとき、磁場制御部50は、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bを方向d1に磁化させる電流を磁場発生部11にパルス状に供給するものとする。このとき、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁化強度が瞬間的に磁化強度J1に達する。
次に、第一実施形態では、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに印加される磁場を0にする。このとき、磁化強度は磁化強度J2まで下降して、磁性流動体は磁化強度J2に応じた見かけの粘性を得る。このような第一実施形態では、磁場発生部11に供給される電流を0にした場合にあっても、電流の供給を受けずにモータと車軸とを接続した状態にすることができる。
【0028】
次に、磁場制御部50は、次の操作信号O1を入力し、操作信号O1に基づいて第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに磁場h2を加える。具体的には、磁場制御部50は、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bを方向d2に減磁させる電流を磁場発生部11にパルス状に供給するものとする。このとき、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁化強度がJ2から0に達する。このため、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁化強度が0になり、磁性流動体の見かけの粘性を低減することができる。このとき、円盤部14、円盤部24間のクラスタが消失し、モータと車軸とが切り離される。以上のことから、第一実施形態は、モータと車軸とを接離する間にも磁場発生部11への電流の供給を停止する期間を設け、制動機構1の消費電力を低減することができる。
【0029】
また、第一実施形態では、正パルス電流により磁場発生部11に磁場を発生させて第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bに磁力を保持させ、負パルス電流により保持された磁力を打ち消す場合、負パルス電流の絶対値は、少なくとも直前に印加された正パルス電流の絶対値よりも小さくなる。
上記の点は、
図4から明らかである。つまり、制動機構1においては、低保磁力磁石の性質上、操作信号O1に対応する磁化強度J2を得ようとする場合、いったん磁化強度J2以上の磁化強度J1に対応する磁場h1に対応する電流を磁場発生部11に供給する必要がある。このため、いったん磁化強度J2にまで下降した磁場を0にするには、方向が反対であって磁場h1よりも絶対値が小さい磁場h2に対応する負パルス電流を磁場発生部11に供給する。
【0030】
図4に示す矢印S1およびS2の長さは磁場h1およびh2の強度を示す。上記のように磁場h1の正磁界をパルス状に印加すると第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁化強度はJ1となり、このパルスが0に戻っても磁化強度はJ2で残留する。そしてこの残留磁化強度J2を打ち消して残留磁化がほぼ0となるように磁場h2の負磁界をパルス状に印加する。
【0031】
図4には、矢印S1およびS2で示される第1ヒステリシス曲線と、矢印S3およびS4で示される第2ヒステリシス曲線を示す。矢印S3は矢印S1よりも短い。すなわち第2ヒステリシス曲線は、磁場h1よりも小さな正磁界をパルス状に印加した場合のJ-Hループを示している。第1ヒステリシス曲線と第2ヒステリシス曲線とは互いに相似するため、矢印S1~S4の長さは、S1:S2=S3:S4の関係を満たす。
【0032】
図5は、第一実施形態の正パルス電流、負パルス電流を例示した図である。
図5の縦軸は電流値を、横軸は出力タイミングを示している。
図5に示した例では、正パルス電流S1、負パルス電流S2、正パルス電流S3、負パルス電流S4を示している。正パルス電流S1は、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bを磁化してクラスタを形成し、磁性流動体の粘性を高める。負パルス電流S2は、正パルス電流S1によって生じた磁性を打ち消している。また、正パルス電流S3は、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bの磁化強度を高めてクラスタを形成し、磁性流動体の粘性を高める。負パルス電流S4は、正パルス電流S3によって生じた磁性を打ち消している。正パルス電流S1、S3および負パルス電流S2、S4の大きさは、
図4の矢印S1~S4の長さにそれぞれ対応している。
図5の例は、複数回の制動力を間欠的かつ徐々に弱めながら発生させるというポンピングブレーキ(アンチロック・ブレーキ・システム)を示す。具体的には、最初の正パルス電流S1により比較的強い第1の制動力を得た後に負パルス電流S2でこの第1の制動力を打ち消して制動力を解除する。それから僅かな時間経過後に次の正パルス電流S3を印加して、第1の制動力よりも弱い第2の制動力を得た後に、負パルス電流S4でこの第2の制動力を打ち消している。S1からS2の間およびS3からS4の間で制動力を得ることができる。
【0033】
正パルス電流S1、S3のピークの大きさは、例えば、操作信号O1の値が大きいほど高くなるように設定される。そして、操作信号O1の大きさはクラッチレバー等の操作部の操作量の大きさに対応して設定される。このような構成によれば、電動車いす等の操作者の操作量が大きいほど円盤部14、24間に大きな制動力が発生し、操作速度に応じて磁性流動体の粘性の変化速度が決定する。このような構成によれば、操作者はクラッチを直感的に制御することができる。
また、第一実施形態では正パルス電流S1、S3及び負パルス電流S2、S4を矩形のパルス波として図示したが、正パルス電流S1、S3及び負パルス電流S2、S4のいずれも矩形パルスに限定されるものでなく、正弦波等他の形状を有するものであってもよい。第一実施形態でいう「パルス波」は、間欠的に出力される波形を指すものとする。
【0034】
なお、
図4によれば、磁場をかける方向(パルス電流の正負)によって第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20bにかかる磁化強度の向きが反転しているが、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20b間の剪断応力の大きさは磁化強度の向きとは無関係である。このため、第一実施形態では、第一低保磁力磁石20a、第二低保磁力磁石20b間の磁化強度が
図4中に示した実線に沿うように電源55が電流を磁場発生部11に供給すればよい。このとき、
図4および
図5では電流S1、S3を正パルスとし、電流S2、S4を負パルスとしているが、これを逆にしてもよい。正パルスまたは負パルスのどちらを印加しても、分散媒中の磁性体粒子がクラスタを形成して磁性流動体の粘性が高まるため制動力やクラッチ接続を得ることができる。
【0035】
また、
図5では、負パルス電流S2のピーク値よりも正パルス電流S1のピーク値が大きく、負パルス電流S4のピーク値よりも正パルス電流S3のピーク値が大きく設定されている。このような構成によれば、正パルス電流S1によって生じた磁場と反対方向の磁場が磁性流動体にかかり、制動機構1の制動力が充分打ち消されないことを防ぐことができる。
【0036】
[変形例]
次に、第一実施形態の変形例を説明する。
図6は、第一実施形態の変形例の制動機構3を説明するための模式図である。
図7(a)は、円盤部140の縦断面図、
図7(b)は
図7(a)に示した円盤部140を矢線7b-7bの方向に見た横面図である。制動機構3は、制動機構1と比較して、制動機構1の入力側の円盤部14、出力側の円盤部24が、それぞれ櫛歯形状の円盤部140、240になっている点で相違する。なお、この変形例では、「櫛歯状」を、二つの部材が離間対向し、他方に対向する側にそれぞれ嵌め合い可能な凹凸を有するものを指す。「嵌め合い可能」とは、二つの部材がそれぞれ他方に向かって延出する凸部を有し、互いの凸部が交互に配置されることを指す。
【0037】
円盤部140は、
図7(a)、
図7(b)のように、本体141と、凸部142と、を有している。本体141は、いずれも円盤状の板部材である。凸部142は、
図7(b)に示すように、本体141から突出する円筒形状の中心部140a、中心部140aを中心にして互いに離間して配置されている同心円状の突条140b、140c、140dを含んでいる。一方、円盤部240は、円盤部140と同様に、本体と凸部とを有している。ただし、円盤部240の凸部は、中心部140aと突条140bとの間に嵌め合い可能な環状の突条と、この突条と中心が同一の複数の同心円状の突条を含んでいる。円盤部240の突条は、いずれも円盤部140の突条と嵌め合い可能に形成されている。円盤部140は、第一低保磁力磁石20aと一体の入力側の回転盤になる。また、円盤部240は、第二低保磁力磁石20bと一体の出力側の回転盤になる。
【0038】
円盤部14、24を円盤部140、240に代えた変形例であっても、円盤部140と円盤部240との間には磁性体粒子pが含まれる磁性流体で充満されている。また、円盤部140とハウジング13、円盤部240とハウジング13との間も磁性体粒子pが含まれる磁性流体で充満されている。
このような変形例によれば、円盤部140と円盤部240との互いに対向する面の距離が円盤部14と円盤部24との距離よりも近くなると共に、対向面積が大きくなる。このため、変形例の制動機構3は、第一実施形態の制動機構1よりも強い制動力を得ることができる。
【0039】
[第二実施形態]
図8は、第二実施形態の制動機構2を説明するための図である。制動機構2は、ディスクブレーキに適用された例である。
図8に示すように、制動機構2は、第一実施形態の制動機構1と同様に、磁性流動体内で駆動体の少なくとも一部を駆動させる制動機構である。第二実施形態では、エンジンに接続される回転軸52と、磁性流動体を収容するハウジング53と、ハウジング53外に配置される第一低保磁力磁石30a、第二低保磁力磁石30bと、第一低保磁力磁石30aおよび第二低保磁力磁石30bに磁場を印加する磁場発生部11と、磁場発生部11に対して正パルス電流、負パルス電流を交互に供給し、磁性流動体の少なくとも一部の粘度を変化させる磁場制御部50と、を備えている。
回転軸52は、その一部がハウジング53の挿入口53d、53eから内部に挿入されていて、磁性流動体内で駆動(回転)する。
【0040】
制動機構2では、回転軸52に回転円盤部541、542が設けられていて、ハウジング53の内側周面53cに固定円盤部551が設けられている。回転円盤部541は上面541a、対向面541bを有し、回転円盤部542は対向面542a、下面542bを有している。固定円盤部551は、対向面551a、551bを有している。対向面541bは対向面551aと対向し、対向面542aは対向面551bと対向している。回転円盤部541、542及び固定円盤部551はいずれも磁性材料で形成されていて、第一低保磁力磁石30a、第二低保磁力磁石30b間の磁場を局所的に強めることができる。
【0041】
第二実施形態の制動機構2は、以下のように動作する。
ディスクブレーキとして構成された制動機構2は、例えば、ブレーキの踏み込み量が操作信号O1として磁場制御部50に入力される。磁場制御部50は、操作信号O1が示す踏み込み量に応じた値の正パルス電流を磁場発生部11に供給する。磁場発生部11に正パルス電流が供給されることによって第一低保磁力磁石30a、第二低保磁力磁石30bに磁場が印加され、磁性流動体の見かけの剪断応力が大きくなる。また、回転円盤部541、542及び固定円盤部551間では磁場が強まり、いっそう剪断応力が大きくなる。剪断応力は、制動機構2の制動トルクとして発揮される。第一低保磁力磁石30a、第二低保磁力磁石30bは、正パルス電流が消失した後にも磁場を維持し、剪断応力を維持することができる。
【0042】
このとき、対向面541b、対向面551a間、対向面551b、対向面542a間にあっては、磁力線Bに沿ってクラスタが形成されて剪断応力が大きくなる。剪断応力が図示しないエンジンの回転力よりも高まると、回転円盤部541、542が回転できなくなって回転軸52に接続される車軸等の回転が停止する。
また、ブレーキが解除される場合、このブレーキ解除の操作が操作信号O1として磁場制御部50に入力される。磁場制御部50は、操作信号O1によりブレーキ解除を検出し、電源55に負パルス電流を供給するように制御信号O2を出力する。電源55は、制御信号O2にしたがって磁場発生部11に負パルス電流を供給し、磁場発生部11が先に発生した磁場と反対向きの磁場を発生させる。これにより、第一低保磁力磁石30a、第二低保磁力磁石30b間の剪断応力が低下し、円盤部14、24がエンジンと連動して回転するようになる。
【0043】
以上説明した第一実施形態、第二実施形態は、小型、高出力、応答速度が数十ミリ単位、低消費電力といった利点を有する磁性流動体を制動機構に適用することができる。そして、このような制動機構に正負の向きのパルス電流を交互に与えることにより、消費電力を低減する効果を得ることができる。このような制動機構は、電動車椅子や作業車両、走行機能を有するロボット等の電源としてバッテリが使用される機器に好適である。
【0044】
上記実施形態および実施例は以下の技術思想を包含するものである。
<1> 磁性を有する磁性流動体内で駆動体の少なくとも一部を駆動させる制動機構であって、前記磁性流動体を収容する筐体と、前記筐体外に配置される少なくとも一つの低保磁力磁石と、前記低保磁力磁石に磁場を印加する磁場発生部と、前記磁場発生部に対して第一方向に流れるパルス状の正パルス電流、前記第一方向と反対方向に流れるパルス状の負パルス電流を交互に供給し、前記磁性流動体の少なくとも一部の粘度を変化させる磁場制御部と、を備える、制動機構。
<2> 前記低保磁力磁石は、前記筐体を挟んで対向する第一低保磁力磁石及び第二低保磁力磁石である、<1>の制動機構。
<3> 前記低保磁力磁石は、前記磁場発生部によって印加された磁場で励起される磁力を所定の時間保持し、前記磁場制御部は、前記正パルス電流により前記低保磁力磁石に磁場を印加し、前記負パルス電流により前記低保磁力磁石によって保持された磁場を打ち消す、<1>または<2>の制動機構。
<4> 前記負パルス電流の絶対値は、少なくとも直前に印加された前記正パルス電流の絶対値よりも小さい、<3>の制動機構。
<5> 前記筐体の内部の前記磁場の強さを計測する磁場センサをさらに備え、前記磁場制御部は、前記磁場センサによって計測された磁場の強さに基づいて前記磁場発生部に正パルス電流または負パルス電流を供給する、<1>から<4>のいずれか一つの制動機構。
【符号の説明】
【0045】
1、2、3・・・制動機構
11・・・磁場発生部
12・・・入力軸
13、53・・・ハウジング
13a・・・外側上面
13b・・・外側下面
13c・・・外側周面
13d、13e、53d、53e・・・挿入口
14、24、140、240・・・円盤部
14a・・・上面
14b、24a・・・対向面
15a・・・内側上面
15b・・・内側下面
15c、53c・・・内側周面
19・・・磁場センサ
20a、30a・・・第一低保磁力磁石
20aa、20bb・・・対向面、
20b、30b・・・第二低保磁力磁石
22・・・出力軸
24b、542b・・・下面
50・・・磁場制御部
52・・・回転軸
55・・・電源
140a・・・中心部
140b、140c、140d・・・突条
141・・・本体
142・・・凸部
541、542・・・回転円盤部
541a・・・上面
541b、542a、551a、551b・・・対向面
551・・・固定円盤部