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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】吸収性物品のパッケージ及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/551 20060101AFI20220329BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20220329BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20220329BHJP
   G09B 19/00 20060101ALN20220329BHJP
【FI】
A61F13/551 100
G09F3/00 Q
G09F3/00 S
B65D85/07
G09B19/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017212639
(22)【出願日】2017-11-02
(65)【公開番号】P2019085128
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-08-04
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーションプログラム『活力ある生涯のためのLast 5X イノベーション』委託研究開発,産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川上 ひかり
(72)【発明者】
【氏名】明和 政子
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/018724(WO,A1)
【文献】特表2007-531911(JP,A)
【文献】特開2008-094421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
B65D85/00-85/28
B65D85/575
G09F 1/00- 5/04
G09B 1/00- 9/56
G09B17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸収性物品を備えた吸収性物品のパッケージであって、
前記複数の吸収性物品のうち少なくとも1つは、
吸収体を備えた吸収性本体と、
胴回り部と、
前記胴回り部に設けられたテープ部材と、
所定図柄の一部となるシール図柄を備え、前記所定図柄の他の一部となる台紙図柄を備
えるシール台紙に貼付するためのシール部材と、
有し、
前記テープ部材が、前記テープ部材の一端部に設けられたテープ把持部と、他端部に設けられた固定部とを有し、
前記固定部が、前記胴回り部の非肌側面に固定されており、
前記シール部材は、シール把持部と接着部とを備え、
前記シール把持部は、前記シール部材の一端部に設けられ、
前記接着部は、前記シール部材の一端部より他端部側の肌側面に設けられ、
前記接着部が、前記テープ部材に接着されており、
前記シール把持部を把持して前記テープ部材から分離された前記シール部材が、前記接着部において、再接着可能であることを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項2】
請求項1の吸収性物品のパッケージであって、
前記複数の吸収性物品は、第1吸収性物品と第2吸収性物品を有しており、
前記第1吸収性物品と前記第2吸収性物品は、それぞれ前記シール図柄を備えており、
前記第1吸収性物品の前記シール図柄と、前記第2吸収性物品の前記シール図柄が異なっていることを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項3】
請求項1又は2の吸収性物品のパッケージであって、
前記所定図柄の一部とならない別図柄を備えるシール部材を有することを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性物品のパッケージであって、
前記別図柄は、前記所定図柄とは異なる別所定図柄の一部となる図柄であることを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品のパッケージであって、
前記シール台紙には、前記シール部材を貼付する位置を示す表示が設けられていることを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の吸収性物品のパッケージであって、
前記シール台紙が前記複数の吸収性物品のパッケージに備えられていることを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項7】
請求項6に記載の吸収性物品のパッケージであって、
前記シール台紙は、前記複数の吸収性物品を包装する包装材に設けられていることを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項の吸収性物品のパッケージであって、
前記吸収性物品のパッケージから前記シール部材を備えた吸収性物品を取り出して自然状態にした状態において、
前記シール部材の非肌側の面は、全体が前記非肌側に露出していることを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載の吸収性物品のパッケージであって、
前記複数の吸収性物品は、上下方向と左右方向とを有しており、
前記シール部材の前記上下方向の長さが、前記テープ部材の前記上下方向より短いことを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項10】
請求項1から7のいずれか1項に記載の吸収性物品のパッケージであって、
前記複数の吸収性物品は、上下方向と、左右方向と、前記上下方向及び前記左右方向と直交する前後方向とを有し、
前記テープ把持部と前記シール把持部は、前記上下方向において、少なくとも一部で重なっていないことを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の吸収性物品のパッケージであって、
前記テープ部材の他端部から前記テープ部材の一端部に向かう方向と前記シール部材の他端部から前記シール部材の一端部に向かう方向が同じであることを特徴とする吸収性物品のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品のパッケージ及び吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児は、成長の過程において、おむつの着用から、トイレで排泄ができるようにトレーニングを行う。乳幼児のトイレトレーニングを支援する補助用具として、例えば、特許文献1には、小冊子20に排泄動作を行うキャラクターを示して、子供に排泄動作を思い出させ、子供が排泄や手洗い等の排泄動作を行ったことのご褒美として、小冊子20の成功表示エリアにシール57、67を貼らせる等、成功表示手段を配置させることが可能な排泄訓練キットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2007-531911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような排泄訓練キットでは、子供が排泄動作を思い出さなないまま、単にシールを貼る行為に夢中になってしまい、排泄訓練を行う動機づけに必ずしもならない恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、吸収性物品等に対する印象を向上させ、排泄に関する印象をより楽しいものにすることができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
複数の吸収性物品を備えた吸収性物品のパッケージであって、
前記複数の吸収性物品のうち少なくとも1つは、
吸収体を備えた吸収性本体と、
胴回り部と、
前記胴回り部に設けられたテープ部材と、
所定図柄の一部となるシール図柄を備え、前記所定図柄の他の一部となる台紙図柄を備
えるシール台紙に貼付するためのシール部材と、
有し、
前記テープ部材が、前記テープ部材の一端部に設けられたテープ把持部と、他端部に設けられた固定部とを有し、
前記固定部が、前記胴回り部の非肌側面に固定されており、
前記シール部材は、シール把持部と接着部とを備え、
前記シール把持部は、前記シール部材の一端部に設けられ、
前記接着部は、前記シール部材の一端部より他端部側の肌側面に設けられ、
前記接着部が、前記テープ部材に接着されており、
前記シール把持部を把持して前記テープ部材から分離された前記シール部材が、前記接着部において、再接着可能であることを特徴とする吸収性物品のパッケージである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乳幼児等の吸収性物品の着用者等は、吸収性物品に設けられた、所定図柄の一部となるシール図柄を備えたシール部材を、所定図柄の他の一部となる台紙図柄を備えるシール台紙に貼ることで、台紙図柄にシール図柄を組み合わせる行為を楽しむことができるため、吸収性物品の印象を向上させ、排泄に関する印象をより楽しいものにさせやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のおむつ1を背側から見た概略斜視図である。
図2図2Aは、図1中のB-B断面図である。図2Bは、図2Aのテープ部材40からシール部材50を分離した状態を示す断面図である。
図3図3Aは、図2Bの状態のおむつ1を背側から見た概略斜視図である。図3Bは、図3Aの状態のおむつ1を丸めて廃棄処理状態にした様子を示す概略斜視図である。
図4図4Aは、おむつ1aのテープ部材40a及びシール部材50aを背側から見た正面図である。図4Bは、おむつ1bのテープ部材40b及びシール部材50bを背側から見た正面図である。図4Cは、おむつ1cのテープ部材40c及びシール部材50cを背側から見た正面図である。
図5図5は、パッケージ100の概略斜視図である。
図6図6は、シール台紙200を説明する図である。
図7図7は、動物園図柄600を説明する図である。
図8図8は、本実施形態の変形例を説明する図である。
図9図9Aは、おむつ1sのテープ部材40s及びシール部材50sを背側から見た正面図である。図9Bは、おむつ1tのテープ部材40t及びシール部材50tを背側から見た正面図である。図9Cは、おむつ1uのテープ部材40u及びシール部材50uを背側から見た正面図である。
図10図10は、シール台紙270を説明する図である。
図11図11は、地図図柄700を説明する図である。
図12図12Aは、おむつ1のB-B断面図に該当する部分の他の実施形態1を説明する図である。図12Bは、おむつ1のB-B断面図に該当する部分の他の実施形態2を説明する図である。図12Cは、おむつ1のB-B断面図に該当する部分の他の実施形態3を説明する図である。
図13図13は、他の実施形態4を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
複数の吸収性物品を備えた吸収性物品のパッケージであって、前記複数の吸収性物品のうち少なくとも1つは、吸収体と、所定図柄の一部となるシール図柄を備え、前記所定図柄の他の一部となる台紙図柄を備えるシール台紙に貼付するためのシール部材と、を有することを特徴とする吸収性物品のパッケージである。
【0010】
このような吸収性物品のパッケージによれば、乳幼児等の吸収性物品の着用者等は、吸収性物品に設けられた、所定図柄の一部となるシール図柄を備えたシール部材を、所定図柄の他の一部となる台紙図柄を備えるシール台紙に貼ることで、台紙図柄にシール図柄を組み合わせる行為を楽しむことができるため、吸収性物品の印象を向上させ、排泄に関する印象をより楽しいものにさせやすくすることができる。
【0011】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記複数の吸収性物品は、第1吸収性物品と第2吸収性物品を有しており、前記第1吸収性物品と前記第2吸収性物品は、それぞれ前記シール図柄を備えており、前記第1吸収性物品の前記シール図柄と、前記第2吸収性物品の前記シール図柄が異なっていることが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品のパッケージによれば、着用者等は、台紙図柄に、異なるシール図柄のシールを組み合わせる行為を楽しむことができる。
【0013】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記所定図柄の一部とならない別図柄を備えるシール部材を有することが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品のパッケージによれば、着用者等は、シール図柄を備えるシール部材と所定図柄の一部とならない別図柄を備えるシール部材を選択して貼る行為を行うことができるため、楽しみながら所定の図柄を作成することができる。
【0015】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記別図柄は、前記所定図柄とは異なる別所定図柄の一部となる図柄であることが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品のパッケージによれば、着用者等は、シール図柄を備えるシール部材と所定図柄とならない別図柄を備えるシール部材を選択して貼る行為を行うことができるため、楽しみながら所定の図柄を作成することができる。
【0017】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記シール台紙には、前記シール部材を貼付する位置を示す表示が設けられていることが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品のパッケージによれば、着用者等は、容易にシール台紙に貼付することができる。
【0019】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記シール台紙が前記複数の吸収性物品のパッケージに備えられていることが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品のパッケージによれば、着用者や着用させようとする者は、シール台紙を準備する手間を軽減させて、シール部材をシール台紙に貼付することができる。
【0021】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記シール台紙は、前記複数の吸収性物品を包装する包装材に設けられていることが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品のパッケージによれば、着用者や着用させようとする者は、シール台紙を準備する手間を軽減させて、シール部材をシール台紙に貼付することができる。
【0023】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記複数の吸収性物品の少なくとも1つは、前記吸収体を備えた吸収性本体と、胴回り部と、前記胴回り部に設けられたテープ部材と、を有し、前記テープ部材が、前記テープ部材の一端部に設けられたテープ把持部と、他端部に設けられた固定部とを有し、前記固定部が、前記胴回り部の非肌側面に固定されており、シール把持部と接着部とを備えるシール部材を有し、前記シール把持部は、前記シール部材の一端部に設けられ、前記接着部は、前記シール部材の一端部より他端部側の肌側面に設けられ、前記接着部が、前記テープ部材に接着されており、前記シール把持部を把持して前記テープ部材から分離された前記シール部材が、前記接着部において、再接着可能であることが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品のパッケージによれば、吸収性物品に備えられたテープ部材にシール部材が接着しているため、着用者である乳幼児は、自分が着用した吸収性物品や、これから着用する吸収性物品に備えられたシール部材を、シール台紙等に貼って楽しむことができるため、吸収性物品の印象を向上させ、排泄に関する印象をより楽しいものにさせやすくすることができる。
【0025】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記吸収性物品のパッケージから前記シール部材を備えた吸収性物品を取り出して自然状態にした状態において、前記シール部材の非肌側の面は、全体が前記非肌側に露出していることが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品のパッケージによれば、シール部材のみをテープ部材から分離させやすくすることができる。
【0027】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記複数の吸収性物品は、上下方向と左右方向とを有しており、前記シール部材の前記上下方向の長さが、前記テープ部材の前記上下方向より短いことが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品のパッケージによれば、シール部の接着部をテープ部材に接着しやすくすることができる。
【0029】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記複数の吸収性物品は、上下方向と、左右方向と、前記上下方向及び前記左右方向と直交する前後方向とを有し、前記テープ把持部と前記シール把持部は、前記上下方向において、少なくとも一部で重なっていないことが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品のパッケージによれば、テープ把持部とシール把持部のそれぞれの把持部を掴みやすくすることができる。
【0031】
かかる吸収性物品のパッケージであって、前記テープ部材の他端部から前記テープ部材の一端部に向かう方向と前記シール部材の他端部から前記シール部材の一端部に向かう方向が同じであることが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品のパッケージによれば、テープ把持部とシール把持部が同じ方向に設けられるため、それぞれの把持部を掴みやすくすることができる。
【0033】
吸収体と、
所定図柄の一部となるシール図柄を備え、前記所定図柄の他の一部となる台紙図柄を有するシール台紙に貼付するためのシール部材と、を有することを特徴とする吸収性物品である。
【0034】
このような吸収性物品によれば、乳幼児等の吸収性物品の着用者等は、吸収性物品に設けられた、所定図柄の一部となるシール図柄を備えたシール部材を、所定図柄の他の一部となる台紙図柄を備えるシール台紙に貼ることで、台紙図柄にシール図柄を組み合わせる行為を楽しむことができるため、吸収性物品の印象を向上させ、排泄に関する印象をより楽しいものにさせやすくすることができる。
【0035】
===実施形態===
本発明に係る吸収性物品としてパンツ型の使い捨ておむつ(以下、「おむつ」ともいう。)を例に挙げて説明する。本実施形態のパンツ型の使い捨ておむつの着用対象者を乳幼児として説明するが、大人用としても利用可能である。また、本発明に係るパンツ型の吸収性物品は使い捨ておむつ以外にも、例えば生理用のショーツ型ナプキンとしても利用可能である。以下、おむつ1の着用者を「着用者」又は「乳幼児」ともいい、おむつ1を着用させようとする者を「保護者」ともいう。
【0036】
===パンツ型の使い捨ておむつ1の基本構成===
図1Aは、本実施形態のおむつ1を背側から見た概略斜視図である。図1Aに示すように、おむつ1は上下方向と左右方向と前後方向とを有し、おむつ1には胴回り開口部BH及び一対の脚回り開口部LHが形成されている。そして、以下では、このパンツ状態において上下方向の一方側及び他方側を、それぞれ「上側」又は「胴回り開口側」、及び「下側」又は「股下側」ともいう。また、前後方向の一方側及び他方側を、それぞれ「前側」又は「腹側」、及び「背側」又は「後側」ともいい、前後方向において着用者に接触する側を「肌側」、その反対側を「非肌側」ともいう。
【0037】
おむつ1は、所謂3ピースタイプのパンツ型の使い捨ておむつであり、着用者の股間に配置される吸収性本体10と、着用者の胴回りを覆う一対の胴回り部20、30と、テープ部材40を有する。吸収性本体10は、前後方向の肌側から順に、トップシート(不図示)、吸収体11、バックシート(不図示)、外装シート12を備えている。トップシートは液透過性シートであればよく、親水性のエアスルー不織布やスパンボンド不織布等を例示できる。バックシート13は液不透過性シートであればよく、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を例示できる。トップシート及びバックシートは吸収体11全体を覆う大きさとする。外装シート12は液透過性シートでも液不透過性シートでもよい。
【0038】
吸収体11は、平面視長方形状であり、液体を吸収する吸収性コア(不図示)と、吸収性コアの外周面を被覆するコアラップシート(不図示)とを備える。吸収性コアは、液体吸収性素材を、長手方向の中央部がくびれた略砂時計形状に成形したものである。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維に高吸収性ポリマー(所謂SAP)等が含有されたものを例示できる。コアラップシートとしては、ティッシュペーパーや不織布等の液透過性シートを例示できる。なお、コアラップシートはなくてもよい。
【0039】
一対の胴回り部20、30は、着用者の腹側を覆う腹側胴回り部20と背側を覆う背側胴回り部30である。腹側胴回り部20及び背側胴回り部30はそれぞれ、不織布等の柔軟な2枚のシート部材と、左右方向に伸縮する糸ゴム等の複数の弾性部材22、32とを備える。複数の弾性部材22、32は、それぞれ上下方向に間隔を空けて並んで配されるとともに、左右方向に伸長した状態で2枚のシートの間に固定されている。したがって、腹側胴回り部20及び背側胴回り部30は左右方向に伸縮可能であり、着用者の胴回りにフィットする。
【0040】
テープ部材40は、背側胴回り部30の非肌側面に設けられており、おむつ1を廃棄する際に使用される。テープ部材40の非肌側面には、シール部材50が接着されている。テープ部材40及びシール部材50の詳細は、後述する。
【0041】
図1に示すパンツ型状態のおむつ1は、吸収性本体10の腹側上端部の非肌側面と腹側胴回り部20の肌側面とを接着剤等で接合し、吸収性本体10の背側上端部の非肌側面と背側胴回り部30の肌側面とを接着剤等で接合して、腹側胴回り部20と背側胴回り部30が対向するように吸収性本体10を二つ折りして、腹側胴回り部20の側部と背側胴回り部30の側部とを接合することによって形成されている。
【0042】
===テープ部材40及びシール部材50の構成===
図2Aは、図1中のB-B断面図である。図2Bは、図2Aのテープ部材40からシール部材50を分離した状態を示す断面図である。図3Aは、図2Bの状態のおむつ1を背側から見た概略斜視図である。図3Bは、図3Aの状態のおむつ1を丸めて廃棄処理状態にした様子を示す概略斜視図である。図2等の断面図においては、吸収性本体10を実線で示すべきところ、便宜上、3点鎖線で示している。図3A及び図3Bは、弾性部材32等を省略して簡略化して示している。
【0043】
図3Aに示すように、テープ部材40は、矩形形状の上下方向に沿った長い帯状部材で、背側胴回り部30の非肌側のシート部材31の非肌側面に固定部44で接着剤(不図示)等によって剥離不能に固定されている。テープ部材40には、テープ本体41、テープ把持部42、固定部44、複数のテープ接着部45が設けられている。矩形形状のテープ部材40の長手方向及び短手方向を、それぞれおむつ1の上下方向及び左右方向に沿わせた状態で、テープ部材40の長手方向の一端部40eにはテープ把持部42が設けられ、長手方向の他端部40fには固定部44が設けられている。なお、テープ部材40の一端側は、おむつ1の上側であり、テープ部材の他端側は、おむつ1の下側である。
【0044】
テープ部材40の一端部40eは、図3Aのように、胴回り開口部BH側へと延長可能となっている。おむつ1の廃棄処理の際におむつ1をコンパクトな形態にするために、例えば、背側胴回り部30の左右方向の両端部を腹側に向かってそれぞれ折り畳み、股下側からおむつ1を胴回り開口側に丸めることにより、図3Bに示す状態となる。このとき、テープ部材40を、胴回り開口部BHを超えたおむつの部分1pにテープ接着部45で接着させることによって、おむつ1をコンパクトな形態に維持することができる。
【0045】
なお、図2A等に示すように、未使用のテープ部材40は、例えば、長手方向にZ字状に折り畳まれた状態となっている。テープ本体41は、Z字状に折り畳まれることで、最も非肌側に位置する第1層40x、最も肌側に位置する第3層40z、第1層と第3層の間に位置する第2層40yの3つの層を有している。Z字状に折り畳まれた状態において、第1層40xの肌側面と第2層40yの非肌側面との間、及び第2層40yの肌側面と第3層40zの非肌側面との間は、剥離可能な接着強度を有するテープ接着部45がそれぞれ設けられている。つまり、複数のテープ接着部45によって、第1層40xと第2層40yの接着、及び第2層40yと第3層40zの接着は、剥離後に再接着可能な状態となっている。このテープ接着部45によって、未使用のテープ部材40は、Z字状の折り畳み状態に仮固定されている。なお、テープ接着部45は、必ずしも第1層40xの肌側面と第2層40yの非肌側面との間、及び第2層40yの肌側面と第3層40zの非肌側面との間のそれぞれ全域に亘って設ける必要はない。各テープ接着部45は、未使用のテープ部材40をZ字状の折り畳み状態に仮固定することができる接着強度を備えていればよく、任意の接着範囲とすることができる。
【0046】
そして、図3Aの2点鎖線のように長手方向(上下方向)にテープ把持部42を引っ張ると、テープ接着部45による面同士の密着状態が解除されて、テープ部材40を上側の胴回り開口部BHの方へ延長することができる。なお、他端部40fの固定部44には、接着剤による固定に限らず、圧搾や圧着等により固定を行ってもよいし、面ファスナーのフック材等を設けて固定してもよい。
【0047】
テープ本体41は、テープ部材40の基材となる部材であり、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材を例示できる。本実施形態におけるテープ本体41は、両面に平滑面を有した透明の樹脂素材を用いている。テープ本体41は、例えば、紙等のパルプ素材でもよく、両面に平滑面を有した形態に限らず、例えば、不織布や織布等の繊維集合体でも良い。ただし、テープ接着部45の接着によってZ状に折り畳まれた状態を維持しつつ、テープ部材40同士の面同士の密着状態を解除することができ、且つ、後述のシール部材50を再接着可能な状態にすることができるテープ部材40とするために、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材で、両面に平滑面を有した形態とすることがより好ましい。
【0048】
テープ把持部42は、おむつ1の後処理を行う者がテープ部材40を把持する部分である。テープ把持部42は、テープ部材40の端部に設けられており、テープ把持部42には、テープ把持部材43が設けられている。詳しくは、テープ本体41の肌側面に、テープ把持部材43が接着剤(不図示)等で剥離不能に固定されており、テープ把持部42の外周面には接着剤が付着していない。テープ把持部材43は、無色透明のポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材である。テープ把持部42は、例えば、単にテープ本体41の一端部40eに接着剤を設けない部分をテープ把持部42としてもよいし、テープ本体41の一端部40eを肌側に折り返してテープ本体41同士を貼り付けた部分をテープ把持部42としてもよい。
【0049】
テープ接着部45は、全てが接着剤によるものでなくてもよい。例えば、第2層40yと第3層40zとの仮固定は、接着剤の変わりに圧搾や圧着等を行い、第1層40xと第2層40yとの仮固定は、接着剤を用いることにしてもよい。
【0050】
なお、おむつ1のテープ部材40自体は、長手方向にほぼ非伸縮としたが、これに限られない。テープ本体41がゴム等の弾性素材で形成されて、長手方向に伸縮性を有していてもよい。さらに、テープ部材40は、必ずしもZ字状に折り畳まなくてもよく、2つ折りのV字状でもよいし、4つ折りのW字状でも、或いはW字状よりも多い折り曲げ回数で折り畳んでもよい。
【0051】
図2Aに示すように、シール部材50は、テープ部材40の第2層40yの非肌側面に接着部55を介して接着されている。シール部材50は、テープ部材40の第2層40yから分離させて、シール台紙等の身近なものに再接着させることができる所謂シールである。図6は、シール台紙200を説明する図である。
【0052】
シール部材50は、矩形形状のシール本体51、シール把持部52、矩形形状のシール把持部材53及びシール接着部(接着部)55を備えている。シール部材50は、テープ部材40の非肌側面から接着させており、シール部材50の上下方向の長さを、Z字状に折り畳んだ状態のテープ部材40の上下方向の長さよりも短くしている。シール部材50の上下方向の長さが、テープ部材40の上下方向の長さよりも長い場合と比べて、シール部材50の接着部55をテープ部材40に接着させやすい構成としている。なお、シール部材50の左右方向の長さは、テープ部材40の左右方向の長さとほぼ等しい。
【0053】
シール部材50は、テープ部材40の第2層40yに接着され、テープ部材40の第1層40xと前後方向においてほぼ同じ位置に設けられている。このとき、シール部材50の下端は、テープ把持部42の上端よりも上側に位置しており、シール部材50の下端とテープ部材40の上端とが接触しておらず、図4Aにおいて、シール部材50と第1層40xとの間に第2層40yの一部を視認することができる。
【0054】
シール本体51は、テープ本体41と同様に、両面に平滑面を有したポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材に、図4Aのような、所定図柄600(図7参照)の一部となるシール図柄56が視認可能な状態で設けられている。所定図柄600及びシール図柄56については、後述する。なお、シール本体51は、例えば、紙等のパルプ素材、不織布や織布等の繊維集合体でも良い。
【0055】
シール把持部52は、着用者等がシール部材50をテープ部材40から分離させる際に把持する部分である。シール把持部52は、シール部材50の一端部に設けられている。なお、シール部材50の一端側は、おむつ1の上側であり、シール部材50の他端側は、おむつ1の下側である。シール把持部52は、テープ把持部42と同様に、シール部材50の端部に設けられており、シール把持部52には、シール把持部材53が設けられている。詳しくは、シール本体51の肌側面に、シール把持部材53が接着剤(不図示)等で剥離不能に固定されており、シール把持部52の外周面には接着剤が付着していない。本実施形態におけるシール把持部材53は、無色透明の樹脂素材である。シール把持部52は、例えば、単にシール本体51の一端部50eに接着剤を設けない部分をシール把持部52としてもよいし、シール本体51の一端部50eを肌側に折り返してシール本体51同士を貼り付けた部分をシール把持部52としてもよい。
【0056】
シール接着部55は、シール把持部52よりも下側で、シール部材50の一端部よりも他端部側の、シール本体51の肌側の面に設けられており、剥離可能な接着強度を有している。図2Aに示すテープ部材40に接着していたシール部材50を、図2Bに示すように、テープ部材40から分離させることができる。
【0057】
仮に、テープ部材40ではなく、吸収性本体10や胴回り部20、30にシール部材50を接着させると、シール部材50が持つ剛性によって、おむつ1の伸縮等の変形を阻害してしまったり、着用者の肌にシール部材50が触れてしまったりする等、着用者に違和感を生じさせてしまう恐れがある。この点、おむつ1の廃棄処理の際に用いるテープ部材40にシール部材50を設けることで、おむつ1の伸縮等の変形性を低下させる恐れを軽減し、乳幼児の着用時における違和感を低下させることができる。
【0058】
また、テープ部材40から分離されたシール部材50は、シール接着部55の接着力により再接着が可能であるため、乳幼児は、おむつ1からシール部材50を掴み、シール台紙200等にシール部材50を貼って楽しむことができる。特に、乳幼児は、自分が着用していたおむつ1、又はこれから着用するおむつ1からシール部材50を取り除いて、シール部材50を貼るという行為を行うため、行為の起点となるシール部材50を備えたおむつ1に対して楽しい印象を抱きやすくなり、おむつ1に対してより親しみやすさを感じさせやすくさせることができる。その結果、乳幼児はおむつ1に対して愛着を抱きやすくなり、おむつ1を汚したくないという意識を持ちやすくなって、トイレトレーニングへの意欲を向上させやすくなる。
【0059】
なお、後述のパッケージ100からおむつ1を取り出して、自然状態にした状態で、テープ部材40に接着した状態のシール部材50の非肌側の面の全体が非肌側に露出していることが好ましい。おむつ1の「自然状態」とは、以下のように定義される。まず、製品として梱包されているおむつ1をパッケージ100から取り出した後、胴回り部20、30を左右方向の両外側に引っ張り、胴回り部20、30がそれぞれ各部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで伸長させる。この伸長させた状態を15秒間継続させた後、おむつ1の伸長させた状態を解除して机等の平面に置く。そして、この平面に置いた状態で5分間経過させた状態がおむつ1の自然状態である。
【0060】
おむつ1のシール部材50は、テープ部材40の第2層40yに接着し、第1層40xと前後方向においてほぼ同じ位置に設けられている。そのため、シール部材50の非肌側面は、テープ部材40が重ねられておらず、非肌側にシール部材50の全体が露出している。これにより、乳幼児等は、テープ部材40の操作に関わらず、シール部材50のみをテープ部材40から分離させやすくすることができる。例えば、トイレトレーニングにおいて、おむつ1を排泄物で汚したりすることなく、トイレで排泄することができた場合には、乳幼児はシール部材50をご褒美としておむつ1から取り外すことができる一方、テープ部材40は未使用の状態のまま維持することができるため、おむつ1を継続して着用することが可能となる。
【0061】
また、テープ把持部42とシール把持部52は、上下方向において、少なくとも一部で重なっていないことが好ましい。図2Aにおいては、テープ把持部42とシール把持部52は上下方向で重なっておらず、前後方向でほぼ同じ位置に設けられている。テープ把持部42とシール把持部52が上下方向において重なっていないことで、乳幼児や保護者がテープ把持部42及びシール把持部52をそれぞれ掴みやすくなる。
【0062】
さらに、テープ部材40の他端部40fからテープ部材40の一端部40eに向かう方向と、シール部材50の他端部50fからシール部材50の一端部50eに向かう方向が同じであることが好ましい。つまり、テープ部材40の第1層40xのうち、テープ把持部42が上側で、テープ接着部45が下側に設けられており、シール部材50のうち、シール把持部52が上側で、シール接着部55が下側に設けられている。これによって、テープ把持部42、シール把持部52を掴んで、テープ接着部45、シール接着部55をそれぞれ上側から下側に向かって(同じ方向に向かって)はがし始めることができる。
【0063】
なお、おむつ1においては、テープ部材40にシール部材50を設けることにしたが、これに限られない。シール部材50は、おむつ1のテープ部材40以外に設けてもよい。例えば、胴回り部20、30の非肌側面や、吸収性本体10の非肌側面に設けることができる。シール部材50を設ける胴回り部20、30や吸収性本体10の表面は、平滑な面であることが好ましいところ、胴回り部材20、30や吸収性本体10の表面に平滑な面を有する別部材を貼付し、その別部材にシール部材50を設けていてもよい。また、シール部材50の添付と剥離を繰り返し行うことができる素材を表面に有する胴回り部20、30や吸収性本体10を用いても良い。
【0064】
===複数のおむつ1を備えたパッケージ100===
図5は、パッケージ100の概略斜視図である。図5に示すように、パッケージ100は、包装用の包装材101に複数のおむつ1、1・・・が収容されたものである。本実施形態においては、1つのパッケージ100に10個のおむつ1が収容されている。パッケージ100に収容された各おむつ1は、それぞれ上述のテープ部材40及びシール部材50を備えている。パッケージ100には、後述のおむつ1aが3個、おむつ1bが3個、おむつ1cが4個収容されている。
【0065】
===シール図柄56について===
パッケージ100に収容された10個のおむつは、図4A図4B及び図4Cに示す各テープ部材40a、40b、40c及び各シール部材50a、50b、50cをそれぞれ備えている。図4Aは、おむつ1aのテープ部材40a及びシール部材50aを背側から見た正面図である。図4Bは、おむつ1bのテープ部材40b及びシール部材50bを背側から見た正面図である。図4Cは、おむつ1cのテープ部材40c及びシール部材50cを背側から見た正面図である。なお、各おむつ1a、1b、1cの各テープ部材40a、40b、40cは、それぞれ無色透明の無地のテープ本体41を有しているが、各テープ部材40a、40b、40cに着色や模様等を施していてもよい。図4A図4B図4Cに示すように、おむつ1aのシール部材50aには「ぞう」のシール図柄56a、おむつ1bのシール部材50bには「さる」のシール図柄56b、おむつ1cには、「うさぎ」のシール図柄56cがそれぞれ設けられている。
【0066】
===シール台紙200、台紙図柄260及び動物園図柄600について===
図6は、シール台紙200を説明する図である。シール台紙200は、乳幼児等が上述のシール部材50等のシールを貼付して楽しむ媒体である。本実施形態において、シール台紙200は、インターネットのような無線広域ネットワーク(WWAN)を介してシール台紙200の画像データをダウンロードして、紙や樹脂等の任意の素材に印刷することで、取得することが可能である。
【0067】
図6に示すように、シール台紙200は、台紙図柄260が設けられている。台紙図柄260として、それぞれの「おうち」に入った動物261a、261b、261c、261d、261e、261fや、『どうぶつえん』と書かれた入口262等の動物園をモチーフとした図柄や、10個の矩形形状の枠263が描かれている。おむつ1の着用者である乳幼児やおむつ1を着用させようとする者である保護者等は、台紙図柄260によって観念的に動物園の図柄であることを認識することができる。
【0068】
シール台紙200の上部で左右方向の中央には、『ぞうさんのいえ』という文字が設けられており、領域Aは、ぞう261aの家を示し、枠263aが4個設けられている。シール台紙200の下部で右側には『さるさんのいえ』という文字が設けられており、領域Bは、さる261bの家を示し、枠263bが3個設けられている。シール台紙200の下部で左側には、『うさぎさんのいえ』という文字が設けられており、領域Cは、うさぎ261cの家を示し、枠263cが3個設けられている。さらに、シール台紙200の左上には、サイ261dの家を示す領域Dと、左上には、ライオン261eの家を示す領域Eと、上下方向の中央で左側には、カバ261fの家を示す領域Fがそれぞれ設けられている。なお、この台紙図柄260は、「どうぶつえん」という後述の動物園図柄(所定図柄)600の一部であり、台紙図柄260に設けられた動物の数は、比較的少ない。
【0069】
以下、具体的に動物園図柄(所定図柄)600の作成について説明する。乳幼児が、シール部材50a(図4A参照)を備えたおむつ1a(第1吸収性物品)を着用しようとする場合、乳幼児は、ぞうのシール図柄56aを備えたシール部材50aを掴み、おむつ1aから分離させることができる。なお、おむつ1aは、パッケージ100に収容されたおむつ1の1つである。シール部材50aを掴む際には、接着剤が付着されていないシール把持部52を掴むと、シール部材50aを他の場所に再接着可能としやすくする。
【0070】
続いて、乳幼児は、台紙図柄260を備えたシール台紙200にシール部材50aを貼る。具体的には、乳幼児は、「ぞう」のシール図柄56aを備えたシール部材50aを領域A内の枠263aの輪郭に沿うように貼る。このとき、保護者等が『シールの絵はぞうさんだね。ぞうさんのいえはどこかな。』等と乳幼児に問いかけやアドバイスを与えることで、乳幼児と保護者とのコミュニケーションを図ることができる。また、乳幼児にとっては、台紙図柄260の中から『ぞうさんのいえ』という文字やぞう261aの図柄を見つけ出すという知育にもなる。
【0071】
シール台紙200は、乳幼児によって貼られたシール図柄56aと台紙図柄260との組み合わせによって、動物園図柄(不図示)が形成される。つまり、1つのシール図柄56aと台紙図柄260は、動物園図柄600の一部である。これによって、乳幼児は、シール図柄56aと台紙図柄260とを組み合わせるという行為を楽しむことができ、自分が貼ったシール部材50aによって、動物が少なかった台紙図柄260から、動物を増やした動物園図柄を作成することができる。また、このシール図柄56aは、乳幼児がこれから着用しようとしているおむつ1aに備えられていたシール部材50aに設けられていたため、乳幼児は、シール部材50aに対して楽しい印象を抱くとともに、おむつ1aに対してもより楽しい印象を与えやすくすることができる。その結果、排泄に関する印象をより向上させやすくすることができる。
【0072】
また、シール台紙200には、シール部材50を貼付する枠263が設けられているため、乳幼児はシール部材50を貼りやすくしている。具体的には、領域Aには、枠263aが4個設けられている。乳幼児は、領域Aを『ぞうさんのいえ』であることを認識すると、枠263aがシール部材50aの添付箇所であることを認識しやすくなり、枠263aに収まるようにシール部材50aを貼付するように促すことができる。また、複数のシール部材50aを貼付する場合でも、シール部材50a同士が重なってしまったり、シール部材50aが傾いた状態で貼付されてしまったりする恐れを軽減させやすくなる。
【0073】
おむつ1a(第1吸収性物品)と同様に、パッケージ100には、「さる」のシール図柄56bを備えたおむつ1b(第2吸収性物品)や、「うさぎ」のシール図柄56cを備えたおむつ1c(第3吸収性物品)が収容されている。例えば、乳幼児がおむつ1bを着用しようとする場合に、乳幼児は、シール部材50bを掴み、おむつ1bから分離させる。そして、保護者等の問いかけやアドバイス、『さるさんのいえ』という文字や、さる261bの絵によって、領域Bがシール部材50bを貼付する場所であることを認識すると、乳幼児は枠263bの1つにシール部材50bを貼付する。
【0074】
シール部材50aに加えて、シール部材50bがシール台紙200貼付されることによって、台紙図柄260に、1つのシール図柄56aと、1つのシール図柄56bが組み合わされて、新たな動物園図柄(不図示)が作成される。この新たな動物園図柄は、1つのシール部材50aのみが台紙図柄260と組み合わされた動物園図柄とは異なっており、より動物園図柄内に動物が増えた図柄である。このように、異なるシール図柄56や同じシール図柄56を複数個を備えたおむつ1を1つのパッケージ100内に備えることで、乳幼児は異なるシール図柄56や複数のシール図柄56を台紙図柄260に組み合わせることができるため、シール部材50を貼ることをより楽しむことができる。また、パッケージ内に異なるシール図柄56を備えたおむつ1を備えることで、乳幼児は、新しいおむつを着用しようする際に、異なるシール図柄56を見ることを楽しむことができる。
【0075】
図7は、動物園図柄600を説明する図である。動物園図柄600は、パッケージ100に収容された10個のおむつ1のシール部材50を全て貼付した状態である。つまり、4つのシール部材50aと、3つのシール部材50bと、3つのシール部材50cをシール台紙200に貼付して、4つのシール図柄56aと、3つのシール図柄56bと、3つのシール図柄56cを台紙図柄260に組み合わせたものである。乳幼児は、図7に示す動物園図柄600を見ることで、枠263がシール部材50で埋められたことを認識することができ、その達成を実感することができる。
【0076】
なお、図7の動物園図柄600と、上述の1つのシール図柄56aと台紙図柄260とを組み合わせた動物園図柄と、上述の1つのシール図柄56aと1つのシール図柄56bと台紙図柄260とを組み合わせた動物園図柄はそれぞれ異なっている。ただし、各動物園図柄も、シール図柄56と台紙図柄260によって得られた図柄であり、乳幼児は、各動物園図柄を見ることで、それぞれの図柄を楽しむことができる。
【0077】
なお、シール部材50は必ずしも矩形形状である必要はない。例えば、丸型や星形等、所望の外形形状を有していてもよい。さらに、シール部材50の外形形状は、必ずしもテープ部材40の外形形状の内側に収まる必要はない。シール部材50の上下方向又は左右方向の長さが、テープ部材40の上下方向又は左右方向の長さよりも長くてもよい。
【0078】
さらに、シール部材50の外形形状は、シール図柄56の輪郭であってもよく、台紙図柄260には必ずしも枠263を設けなくてもよい。図8は、本実施形態の変形例を説明する図である。図8に示す動物園図柄650には、シール部材50の外形形状がシール図柄56の輪郭である4個のシール部材50aと3個のシール部材50bと3個のシール部材50cがそれぞれ領域A、領域B、領域Cに貼付されている。このようなシール部材50を用いることで、枠263に制限されることなく、シール部材50を任意の場所に貼ることができるため、シール図柄56と台紙図柄260によって形成される動物園図柄650を異なる図柄にすることができるため、動物園図柄650を作成することをより楽しむことができる。
【0079】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0080】
上述の実施形態においては、動物園図柄600を構成するシール図柄56を備えたおむつ1が収容されたパッケージ100について説明したが、これに限られない。パッケージ100に、動物園図柄600の一部とならない別のシール図柄(別図柄)76を備えるシール部材50を有するおむつ1を収容してもよい。図9Aは、おむつ1sのテープ部材40s及びシール部材50sを背側から見た正面図である。図9Bは、おむつ1tのテープ部材40t及びシール部材50tを背側から見た正面図である。図9Cは、おむつ1uのテープ部材40u及びシール部材50uを背側から見た正面図である。
【0081】
図9A図9B図9Cに示すように、おむつ1sのシール部材50sには、「パトカー」のシール図柄76s、おむつ1tのシール部材50tには、「救急車」のシール図柄76t、おむつ1uのシール部材50uには、「消防車」のシール図柄76uがそれぞれ設けられている。パッケージ100に、動物園図柄600を構成するシール図柄56を備えたおむつ1a、1b、1cだけでなく、動物園図柄600を構成しないシール図柄76を備えたおむつ1s、1t、1uが収容されていてもよい。乳幼児は、動物園図柄600を構成するシール図柄56を選択して台紙図柄260に組み合わせて貼るという行為を楽しむことができるため、より乳幼児の成長に応じて、より高度な楽しみを提供することができる。
【0082】
さらに、図10は、シール台紙270を説明する図である。シール台紙270は、上述のシール台紙200と同様に、シール部材50等のシールを貼付して楽しむ媒体であり、インターネットのような無線広域ネットワーク(WWAN)を介してシール台紙200の画像データをダウンロードして、紙や樹脂等の任意の素材に印刷することで、取得することが可能である。シール台紙270には、台紙図柄280が設けられている。台紙図柄280は、『けいさつしょ』、『びょういん』、『しょうぼうしょ』、その他、家や店等の街並みが設けられている。
【0083】
おむつ1sを着用しようとする乳幼児は、シール部材50sを掴んでおむつ1sから分離させて、シール台紙270に貼ることができる。つまり、おむつ1a、1b、1cのいずれかを着用とする場合には、シール部材50をシール台紙200に貼り、おむつ1s、1t、1uのいずれかを着用しようとする場合には、シール部材50をシール台紙270に貼ることができる。このようにすることで、乳幼児は、シール図柄56、76、台紙図柄260、280を選択してシール部材50を貼るという行為を楽しむことができる。
【0084】
このとき、上述の動物園図柄600の作成と同様に、シール部材50sには、パトカーのシール図柄76sが設けられているため、乳幼児は、「パトカーのちゅうしゃじょう」に該当する箇所にシール部材50sを貼ることで、地図図柄(別所定図柄)を作成することができる。つまり、台紙図柄280に1つのシール図柄76sを組み合わせることで、パトカーが1台増えた地図図柄とすることができる。
【0085】
図11は、地図図柄700を説明する図である。図11の地図図柄700は、3つのシール部材50sと、4つのシール部材50tと、3つのシール部材50uをシール台紙270に貼付して、3つのシール図柄76sと、4つのシール図柄76tと、3つのシール図柄76uを台紙図柄280に組み合わせたものである。乳幼児は、地図図柄700を見ることで、台紙図柄280に加えたシール図柄76を見ることができるため、図柄を見て楽しむのと同時に、達成感を実感しやすくなる。
【0086】
上述の実施形態においては、シール台紙200の画像データをダウンロードして、紙等に印刷することでシール台紙200を取得したがこれに限られない。例えば、パッケージ100の中に、おむつ1とともにシール台紙200を収容したり、複数のおむつ1を包装しているパッケージ100の包装材101に台紙図柄260を印刷してシール台紙200を設けたりする等、パッケージ100にシール台紙200を備えていてもよい。このようにすることで、乳幼児や保護者は、容易にシール台紙200を手にすることができるため、シール台紙200を準備する手間を軽減させることができる。
【0087】
上述の実施形態においては、1枚のシール部材50をテープ部材40の第2層40yに接着させ、第1層40xと前後方向において同じ位置に設け、シール部材50の他端とテープ部材40の上端とが接触していない構成としたが、これに限られない。
【0088】
図12Aは、おむつ1のB-B断面図に該当する部分の他の実施形態1を説明する図である。図12Aのように、テープ部材40の一端とシール部材50の他端が連続し、テープ部材40とシール部材50との間に、スリットSを設けてもよい。具体的には、テープ本体41とシール本体51が同じ素材から形成され、テープ本体41の一端とシール本体51の他端がつながった状態となっており、テープ本体41とシール本体51との境には、少なくとも1つのスリットSが設けられている。なお、スリットSは、線状の貫通孔であってもよいし、テープ本体41とシール本体51の厚みを薄くした部分(切り込み)であってもよい。これによって、シール部材50は、シール接着部55による接着だけでなく、テープ部材40とつながっているため、シール部材50が不用意に分離してしまったりする恐れを軽減させることができる。なお、シール部材50をテープ部材40から分離する際には、シール把持部52を掴んで、シール把持部52を引っ張ることで、スリットSの部分が切り取られて、容易にテープ部材40からシール部材50を分離させることができる。
【0089】
図12Bは、おむつ1のB-B断面図に該当する部分の他の実施形態2を説明する図である。図12Bに示すように、シール部材50をテープ部材40の第1層40xに接着させ、テープ部材40よりも非肌側に設けていてもよい。つまり、テープ部材40の第1層40xとシール部材50を前後方向において、必ずしも同じ位置に設ける必要はなく、シール部材50をテープ部材40よりも外側に設けてもよい。このようにすることで、テープ部材40に備えることができるシール部材50の大きさをより大きくすることができるため、シール部材50の大きさや形状等のバリエーションを増やすことができる。
【0090】
図12Cは、おむつ1のB-B断面図に該当する部分の他の実施形態3を説明する図である。複数のシール部材50a、50b、50cを備え、おむつ1から分離された各シール部材50a、50b、50cは、それぞれシール台紙等に再接着可能であるものとしてもよい。各シール部材50a、50b、50cは、それぞれシール把持部52a、52b、52cとシール接着部55a、55b、55cを備え、シール接着部55b、55cが、他のシール部材50やテープ部材40の何れかに接着されていてもよい。このとき、肌側から順に配置したシール部材50a、50b、50cのうち、シール部材50aは、テープ部材40の第1層40xの非肌側の面に接着している。シール部材50bは、シール部材50aの非肌側の面に接着しており、シール部材50aより上下方向の長さが短い。シール部材50cは、シール部材50bの非肌側の面に接着しており、シール部材50bより上下方向の長さが短い。このとき、シール部材50a、50b、50cの各シール図柄56は、上述のようにぞう56a、さる56b、うさぎ56cであっても良いし、全て同じシール図柄56であってもよい。
【0091】
このように、複数のシール部材50a、50b、50cを備えることで、1つのおむつ1について、乳幼児等は、複数回シール部材50を貼って楽しむことができる。例えば、乳幼児がおむつ1に排泄をすることなく、トイレで排泄をすることができた場合等、トイレトレーニングに成功した場合には、おむつ1を廃棄処理することなく、シール部材50をご褒美として乳幼児に与えることができるため、1つのおむつ1について、複数回のトイレトレーニングを行うことも可能である。このように、乳幼児のトイレトレーニングに対する意欲をより向上させることができる。
【0092】
なお、上述の実施形態においては、テープ部材40のテープ本体41が1本の連続した形状を有していたが、必ずしも連続している必要はない。図13は、他の実施形態4を説明する図である。図13に示すように、第1層40xと第2層40yと第3層40zがそれぞれ分離したテープ本体41を有し、第1層40xと第2層40yとの間、及び第2層40yと第3層40zとの間を剥離不能な接着剤等で接着していてもよい。複数のテープ本体41を組み合わせることで、より容易にテープ部材40を形成することができる。
【0093】
上述の実施形態においては、腹側胴回り部20と背側胴回り部30と吸収性本体10とを有する所謂3ピースタイプの使い捨ておむつ1について説明したがこれに限られない。例えば、腹側胴回り部20と後胴回り30とを繋いで一体化されたおむつ(所謂2ピースタイプ)にテープ部材40及びシール部材50を備えてもよい。この場合には、「吸収体」が「吸収性本体」に相当する。
【符号の説明】
【0094】
1 おむつ(吸収性物品)、
1a おむつ(第1吸収性物品)、
1b おむつ(第2吸収性物品)、
1c おむつ(第3吸収性物品)、
10 吸収性本体、11 吸収体、12 外装シート、
20 腹側胴回り部(胴回り部)、22 弾性部材、
30 背側胴回り部(胴回り部)、31 シート部材、32 弾性部材、
40 テープ部材、40e 一端部、40f 他端部、
41 テープ本体、42 テープ把持部、43 テープ把持部材、
44 固定部、45 テープ接着部、
50 シール部材、50e 一端部、50f 他端部、
51 シール本体、52 シール把持部、55 シール接着部(接着部)、
56 シール図柄、56a、56b、56c シール図柄、
76 シール図柄(別図柄)、76s、76t、76u シール図柄(別図柄)
100 パッケージ(吸収性物品のパッケージ)、101 包装材、
200 シール台紙、
260 台紙図柄、
261 動物、261a ぞう、261b さる、261c うさぎ、
261d サイ、261e ライオン、261f カバ、
262 入口、263 枠、
270 シール台紙、
280 台紙図柄、
600 動物園図柄(所定図柄)、
650 動物園図柄(所定図柄)、
700 地図図柄(別所定図柄)、
BH 胴回り開口部、LH 脚回り開口部、
S スリット
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図10
図11
図12
図13