(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-28
(45)【発行日】2022-04-05
(54)【発明の名称】穀粉類組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/157 20160101AFI20220329BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20220329BHJP
A23L 35/00 20160101ALN20220329BHJP
【FI】
A23L7/157
A23L5/10 E
A23L35/00
(21)【出願番号】P 2019509832
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2018012207
(87)【国際公開番号】W WO2018181215
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】P 2017067703
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高松 研一郎
(72)【発明者】
【氏名】鶴巻 真澄
(72)【発明者】
【氏名】福留 真一
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】西出 辰徳
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-084541(JP,A)
【文献】特開2002-345421(JP,A)
【文献】特開2008-161076(JP,A)
【文献】特開2007-029021(JP,A)
【文献】日本食品標準成分表2015年版(七訂)第2章 日本食品標準成分表 1穀類, [online], 2016.12.13, [2021年8月16日検索], <URL:https://web.archive.org/web/20161213092802/http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/01/21/1365343_1-0201r3_1.pdf>
【文献】日本食品標準成分表2015年版(七訂)第2章 日本食品標準成分表 4豆類, [online], 2016.8.8, [2021年8月16日検索], <URL:https://web.archive.org/web/20160808232529/http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/12/24/1365343_1-0204.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛋白質を0.1質量%以上含有する穀粉類組成物の製造方法であって、
穀粉類と油脂とを含有し、該油脂の含有量が0.1質量%以上、水分含量が
15~35質量%である混合物を調製
する混合工程と、該混合物を該混合物の品温が150~210℃となる条件で熱処理する
熱処理工程
とを有
し、
前記穀粉類は、穀粉のみを含むか、又は穀粉(ただし、大豆粉を除く)と澱粉とを含み、
前記混合工程は、前記混合物に含有される水以外の成分に、水を添加する加水工程を有する、穀粉類組成物の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理を2~80分間実施する請求項1に記載の穀粉類組成物の製造方法。
【請求項3】
前記穀
粉が小麦粉である請求項1又は2に記載の穀粉類組成物の製造方法。
【請求項4】
前記混合物が蛋白素材
(ただし、大豆蛋白を除く)を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の穀粉類組成物の製造方法。
【請求項5】
前記熱処理後に前記混合物に加水して該混合物の水分含量を8~16質量%に調整する工程を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の穀粉類組成物の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された穀粉類組成物を用いたバッターミックスの製造方法であって、
前記穀粉類組成物と他の食品素材とを混合する工程を有し、その混合物における該穀粉類組成物の含有量を10~90質量%とする、バッターミックスの製造方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された穀粉類組成物を含むバッターミックスと液体とを混合してバッター液を得、該バッター液を具材に付着させ、加熱調理する工程を有する、衣付揚げ物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣付揚げ物における衣の原材料として使用され、液状としてから具材に付着させて使用するバッターミックスとして特に好適な穀粉類組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣付揚げ物は、各種の食材の表面に衣材を付着させ、高温の油で油ちょうするなどの加熱調理をすることによって得られる食品であり、具材は、衣材から形成された衣によって、直接揚げ油に触れることなく加熱されてジューシーに仕上がり、一方で衣は揚げ油により水分が蒸発してサクサクとした乾いた食感となる。このような衣付揚げ物においては、その調理の際に具材が加熱により収縮することなどに起因して、その調理中あるいは調理後に包丁などで切断するなどした場合に、衣が具材から剥がれるという問題がある。
【0003】
特許文献1~3には、小麦粉を主体とした従来の衣材は、加熱調理後の具材と衣との結着性が不十分であるため、前記問題が起こりやすい旨記載されており、この点に鑑みて、特許文献1~3記載の衣材はいずれも、基本的に小麦粉を含まず、油脂加工澱粉を主体として構成され、加熱調理後の具材と衣との結着性が高いとされている。特許文献1記載の油脂加工澱粉は、原料澱粉と油脂類とpH調整剤とを含む混合物を40~130℃で熱処理して得られる。特許文献2記載の油脂加工澱粉は、油脂とグリセリン有機酸脂肪酸エステルと澱粉とを含む混合物を約30~180℃で熱処理して得られる。特許文献3記載の油脂加工澱粉は、オキシ塩化リンを用いて処理されたリン酸架橋澱粉と油脂と大豆粉砕物とを含む混合物を、40~90℃で7~21日間又は105~155℃で60~200分間熱処理して得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-174535号公報
【文献】特開2005-185122号公報
【文献】特開2012-29602号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1~3記載の技術は、衣付揚げ物における衣の具材に対する付着性の向上に一定の効果はあるものの、具材の種類等によっては衣が具材から剥離することがあり、改良の余地があった。また、衣の付着性の向上を目的とする従来技術は、その目的は達成できても、衣の厚みの増加を伴うことなどに起因して、衣付揚げ物の食感を低下させ、衣のサクサク感に欠けネチャついた好ましくない食感が強くなる場合があり、衣の付着性と食感との両立が困難であった。
【0006】
本発明の課題は、衣と具材との結着性に優れていて衣が剥がれにくく、しかも衣がサクサクと軽い食感を有する衣付揚げ物を製造可能な穀粉類組成物を提供することである。
【0007】
本発明は、蛋白質を0.1質量%以上含有する穀粉類組成物の製造方法であって、
穀粉類と油脂とを含有し、該油脂の含有量が0.1質量%以上、水分含量が8~35質量%である混合物を調製し、該混合物を該混合物の品温が150~210℃となる条件で熱処理する工程を有する、穀粉類組成物の製造方法である。
【0008】
また本発明は、前記の本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物を用いたバッターミックスの製造方法であって、前記穀粉類組成物と他の食品素材とを混合する工程を有し、その混合物における該穀粉類組成物の含有量を10~90質量%とする、バッターミックスの製造方法である。
【0009】
また本発明は、前記の本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物を含むバッターミックスと液体とを混合してバッター液を得、該バッター液を具材に付着させ、加熱調理する工程を有する、衣付揚げ物の製造方法である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の穀粉類組成物の製造方法は、少なくとも穀粉類、油脂及び水を含む混合物を調製する混合工程と、該混合物を熱処理する熱処理工程とを有する。
【0011】
前記混合工程で用いる穀粉類は、本発明の製造目的物たる穀粉類組成物の主体をなすと共に、該穀粉類組成物を用いた衣付揚げ物の衣の主体をなすものである。穀粉類としては、この種の衣材として従来使用されている穀粉及び澱粉を特に制限なく用いることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。前記混合工程の製造目的物たる混合物における穀粉類の含有量は、該混合物の全質量に対して、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20~80質量%である。
【0012】
前記穀粉としては、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉、小麦全粒粉、デュラムセモリナ等の小麦粉;ライ麦粉、米粉、コーンフラワー、コーングリッツ等が挙げられる。
前記澱粉は、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を意味し、前記穀粉中に含まれる澱粉とは区別される。前記澱粉としては、この種の衣材として従来使用されているものを特に制限なく用いることができ、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、米澱粉、タピオカ澱粉等の未加工澱粉、及びこれら未加工澱粉に油脂加工、α化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理の1つ以上を施した加工澱粉等が挙げられる。
前記穀粉類(穀粉、澱粉)の中でも、穀粉類組成物を用いた衣付揚げ物の衣の食感に関し、好ましい風味が持ち、かつサクサクと軽い食感を生み出す、という効果が期待できることから、小麦粉が特に好ましい。
【0013】
前記混合工程で用いる油脂としては、食品に使用可能なものを特に制限なく用いることができ、植物油脂でも動物油脂でもよく、また、常温(25℃)で液体でも固体でもよい。具体的には例えば、サラダ油、コーン油、大豆油、紅花油、なたね油、パーム油、綿実油、ひまわり油、米ぬか油、ゴマ油、オリーブ油等の植物油脂;バター、牛脂、豚脂等の動物油脂;これらの硬化油脂;これらの混合油脂が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
前記混合工程において油脂として、常温で液状の液体油脂を用いる場合、その添加方法は、前記混合工程の製造目的物たる混合物において液体油脂が均一分散され得る方法であればよく、例えばスプレーによる噴霧が挙げられる。また、前記混合工程を混合機によって行う場合、その混合機内に水を投入するのに先立って、予め、穀粉類と共に液体油脂を投入しておくことが好ましい。
【0015】
前記混合工程の製造目的物たる混合物における油脂の含有量は、該混合物の全質量に対して、0.1質量%以上である。前記混合物における油脂の含有量が0.1質量%未満では、これを使用する意義に乏しく、逆に油脂の含有量が多すぎると、製造コストの高騰を招く一方で、油脂による効果が頭打ちとなるおそれがある。また、油脂の含有量が多すぎると、前記混合物の流動性が低下するため、その後の熱処理において該混合物全体を均一に加熱することが困難となり、また、熱処理時に油分が分離して固結するおそれがある。以上を考慮すると、前記混合物における油脂の含有量は、該混合物の全質量に対して、好ましくは0.1~30質量%、さらに好ましくは0.5~15質量%、より好ましくは1~10質量%である。
【0016】
前記混合工程では、前記成分(穀粉類、油脂)に加えてさらに、穀粉以外の蛋白素材を用いてもよい。蛋白素材を用いることで、穀粉類として穀粉を用いた場合にはそれに含まれる澱粉、穀粉類として澱粉(前記の「純粋な澱粉」)を用いた場合にはその澱粉自体が、該蛋白素材由来の蛋白質と複合体を形成し、それによって製造目的物たる穀粉類組成物を用いた衣付揚げ物の衣の食感に関し、サクサクと軽い食感がより一層得られやすくなる。特に穀粉類として、穀粉を用いずに澱粉を用いる場合には、蛋白素材を用いることが好ましい。蛋白素材としては、植物性、動物性にかかわらず、食品に使用可能なものを特に制限なく用いることができ、前記混合工程で用いる穀粉以外の蛋白素材として、例えば、グルテン、グリアジン、グルテニン等の小麦蛋白;全卵、卵白、卵黄等の卵蛋白;脱脂粉乳、ホエー蛋白等の乳蛋白;大豆蛋白、ゼラチン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
前記混合工程の製造目的物たる混合物における蛋白素材の含有量は、該混合物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.1~10質量%である。特に、穀粉類として小麦粉などの穀粉を用いた場合に、該穀粉に含まれる蛋白質を考慮すると、該穀粉とは別に添加される蛋白素材の含有量としては前記範囲が適当である。蛋白素材の含有量が少なすぎるとこれを使用する意義に乏しく、逆に多すぎると、これを含む穀粉類組成物を用いた衣付揚げ物について、食感の硬化、不快な蛋白臭の増加を招くおそれがあり、製造コストの高騰にも繋がり得る。
【0018】
前記混合工程では、穀粉類、油脂及び水を始めとする各種成分を任意の順序で添加混合することができる。例えば、穀粉類と水とを混合して水分含量が所定範囲に調整された調湿済み穀粉類を得、該調湿済み穀粉類と油脂を始めとする他の成分とを任意の順序で添加混合してもよく、斯かる添加混合方法は、穀粉類として澱粉を用いた場合に特に有効である。前記混合工程では典型的には、水以外の成分を任意の順序で添加混合した後、その水無しの混合物(穀粉類及び油脂を含む混合物)に水を添加する(加水工程)。この典型的な添加混合方法は、穀粉類として小麦粉等の穀粉を用いた場合に特に有効であり、前記の調湿済み穀粉類を調製する方法に比して手間がかからないというメリットがある。
【0019】
前記加水工程の主たる目的の1つは、前記混合物中の穀粉類(穀粉、純粋な澱粉)に含まれる澱粉粒に水分を含ませ、該澱粉粒を膨潤させることで、該混合物中の油脂による該澱粉粒のコーティングを促進させるためであり、これにより、本発明の所定の効果がより確実に奏されるようになる。斯かる効果をより確実に奏させるようにする観点から、前記加水工程における加水量は、加水後の前記混合物の水分含量が、該混合物の全質量に対して、8~35質量%、好ましくは8~30質量%、さらに好ましくは15~30質量%となる範囲とする。特に、穀粉類として穀粉の一種である小麦粉又はライ麦粉を用いる場合は、加水することでグルテンが形成されやすいため、グルテンの形成を抑制する観点から、前記混合物の水分含量はやや低めが好ましく、具体的には、該混合物の全質量に対して、好ましくは15~25質量%である。小麦粉又はライ麦粉を含む混合物への水によるグルテンの形成は、衣付揚げ物の衣にサクサクとした軽い食感を付与する点で好ましいものであるが、斯かるグルテンの形成が促進されすぎると、衣の食感が硬いものとなって衣付揚げ物の品質が却って低下するおそれがある。尚、小麦粉及びライ麦粉以外の他の穀粉は、一般に、グルテン形成の素となる蛋白質を実質的に有していないので、前記混合物の水分含量をやや低めにするという配慮は不要である。
【0020】
前記加水工程を含む前記混合工程は、公知の混合機を用いて行うことができる。典型的には、混合機内に穀粉類、油脂、必要に応じその他の成分を、任意の順序で投入後、最後に該混合機内に水を投入即ち加水し、しかる後、該混合機を作動させて内容物を混合攪拌することで、前記混合工程を実施することができる。混合機としては公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、ラボスケール(家庭用又はこれに準ずる用途)であれば、ホバートミキサー、ロボクープが挙げられ、大型混合機(業務用又はこれに準ずる用途)であれば、リボンミキサー、レーディゲミキサーなどの高速攪拌混合機が挙げられる。
【0021】
前記混合工程(前記加水工程)に続いて実施される前記熱処理工程では、少なくとも穀粉類、油脂及び水を含む混合物を熱処理する。前記熱処理はいわゆる乾熱処理であり、即ち処理対象たる前記混合物を水分無添加の条件で加熱する処理であり、処理対象中の水分を積極的に蒸発させる処理である。前記熱処理(乾熱処理)としては、焙焼小麦粉の製造において従来採用されている熱処理を利用することができ、例えば、オーブンでの加熱、焙焼窯での加熱、乾燥器を用いる加熱、熱風を吹き付ける熱風乾燥、高温低湿度環境での放置などによって実施することができる。前記熱処理は、公知の熱処理機を用いて行うことができ、熱処理機としては例えば、ラボスケール(家庭用又はこれに準ずる用途)であれば、ホットプレート、回転式炒め機が挙げられ、大型熱処理機(業務用又はこれに準ずる用途)であれば、棚式熱風乾燥機、連続式運行釜、バンドオーブン、パドルドライヤー、流動層乾燥機、振動乾燥機、ロータリーキルン式の加熱・乾燥機が挙げられる。前記熱処理が処理対象に対して均一に施されるようにし、また、前記熱処理を比較的短時間で済ませる観点から、前記熱処理は、処理対象(穀粉類、油脂及び水を含む混合物)を攪拌しながら加熱する処理であることが好ましい。
【0022】
前記熱処理工程では、前記混合工程を経た混合物を、その品温(最高品温)が150~210℃となる条件で熱処理する。前記熱処理における前記混合物の品温が150℃未満では、本発明の所定の効果を奏するために処理に時間がかかり、数時間、品温によっては数日あるいは数週間かけて処理されることから、一定の生産量を生み出すために設備の大型化や、仕掛品量の増加など製造コストの観点から好ましくない。一方、前記混合物の品温が210℃を超えると、該混合物に過度な着色や焦げが生じ、穀粉類組成物の品質上好ましくない。前記熱処理における前記混合物の品温は、好ましくは160~200℃、さらに好ましくは160~180℃である。
【0023】
また、本発明の所定の効果をより確実に奏させるようにする観点から、前記混合物の品温(最高品温)が150~210℃となる条件で、かつ総熱処理時間が2~80分間であることが好ましく、より好ましくは10~80分間、さらに好ましくは15~80分間である。前記熱処理における前記混合物の総熱処理時間が2分未満では、熱処理が不十分となって本発明の所定の効果が奏されないおそれがあり、総熱処理時間が80分を超えると、前記混合物に過度な着色や焦げが生じ、穀粉類組成物の品質上好ましくない。尚、ここでいう「総熱処理時間」は、処理対象たる前記混合物の熱処理の開始時点から終了までの時間を意味し、前記混合物の品温(好ましくは最高品温)150~210℃が維持される時間とは必ずしも一致しない。前記混合物の品温(好ましくは最高品温)150~210℃が維持される時間は、好ましくは1分間以上である。
【0024】
前記熱処理工程を経た前記混合物(穀粉類、油脂及び水を含む混合物)は、そのまま製造目的物たる穀粉類組成物となり得るものであるが、熱処理後に何等の後処理も施さずに得られた穀粉類組成物は、水分含量が比較的少なく(通常5質量%以下)、それ故に保存中に吸湿しやすいことに起因して、品質や性状に変化、劣化が生じやすいことが懸念される。そこで斯かる懸念を払拭する観点から、前記熱処理工程後に、前記混合物に加水して水分含量を所定範囲に調整する調湿工程を導入することが好ましい。前記調湿工程は、例えば、混合機内に処理対象(熱処理された前記混合物)と共に水を投入して攪拌混合することで実施可能であり、該混合機としては例えば、ニーダー、リボンミキサー、ナウターミキサー、回転型混合機が挙げられる。前記調湿工程の別の実施方法として、処理対象を空中に浮遊させ、その浮遊物たる処理対象に水をスプレーで噴霧する方法が挙げられ、該方法は例えばフロージェットミキサーを用いて実施することができる。前記調湿工程において、処理対象たる熱処理された前記混合物への加水量は、加水後の該混合物の水分含量が8~16質量%、特に10~14質量%となる範囲とすることが好ましい。
【0025】
また、前記熱処理工程においては通常、その処理対象たる前記混合物に含まれる穀粉類、油脂及び水をはじめとする各成分が、該穀粉類に含まれる穀粉又は澱粉の粒を核として造粒し、比較的大型の粒を形成するので、前記熱処理工程を経た前記混合物は、比較的粒子径の大きい粉体となる。そこで、穀粉類組成物の用途等によっては、前記熱処理工程を経た前記混合物に対して粉砕処理を施し、粒子の大きさを小さくしてもよい。前記粉砕処理は、前記熱処理工程の直後ではなく、前記熱処理工程後に任意で実施される前記調湿工程の後に実施してもよい。前記粉砕処理の方法は特に制限されず、例えば、ボールミル、ハンマーミル、圧延ロールなどの機械式粉砕;ジェットミルなどの衝突式粉砕を利用できる。
【0026】
尚、前記熱処理工程において、処理対象即ち穀粉類、油脂及び水を含む混合物が前記のように造粒すると、該処理対象に含まれる澱粉の糊化が進行するため、その造粒物(熱処理された前記混合物)を前記のように粉砕処理して造粒物の粒子径を小さくしても、その性状は造粒前と比べて異なってしまうおそれがあり、その結果、衣付揚げ物の品質が意図したように向上しないおそれがある。従って、前記熱処理工程においては造粒を抑制することが好ましく、具体的には、処理対象の熱処理に使用する熱処理機として、処理対象を収容する収容部を備え、且つ熱処理時に処理対象から蒸散する水分(蒸気)を該収容部の外部へ排出し得る機構を備えた熱処理機を使用することが好ましい。
【0027】
本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物は、蛋白質を0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.5~15質量%含有する。前記穀粉類組成物に含まれる蛋白質の主な給源は、穀粉類として使用可能な穀粉であり、前記のように蛋白素材を併用した場合には、蛋白素材も該蛋白質の主な給源となる。よって、前記穀粉類組成物における蛋白質の含有量を0.1質量%以上とするためには、これらの蛋白質の給源の使用量を適宜調整すればよい。穀粉類として澱粉のみを使用する場合は、蛋白素材を併用することが望ましい。
【0028】
本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物によれば、衣と具材との結着性に優れていて衣が剥がれにくく、衣の焦げや破裂などが無く外観が良好で、しかも衣がサクサクと軽い食感を有する衣付揚げ物を製造することができる。その理由は定かではないが、以下のように推察される。
一般に、揚げ調理等の加熱調理後の衣付き揚げ物の食感にベタツキが発生したり、具材から衣が剥がれたりする理由は、具材やバッター液に含まれる水分が、加熱調理時に外に排出されず、具材とバッター層との界面に水分が残留するためだと考えられている。また一方で、斯かる水分が過剰に排出されてしまうと、具材中の水分が少なくなり、いわゆる揚げ過ぎの状態となり、例えば衣付き揚げ物がトンカツの場合では、具材である肉が硬くなる、ジューシーさが低下する、衣が焦げる、衣が破裂して具材が溶出するなどの品質低下を招いてしまう。そのため、バッターミックスとしては、バッター液として具材の表面に付着させて加熱調理したときに、該具材や該バッター液から排出される水分の量が、多すぎず少なすぎず適切な量となり得る構造を有するものが好ましいということになる。
この点、本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物においては、該穀粉類組成物が前述したように、穀粉類及び油脂並びに必要に応じ蛋白素材を含有する混合物を特定の条件で熱処理する工程を経て製造されることに起因して、穀粉類由来の澱粉粒及び穀粉類由来あるいは蛋白素材由来の蛋白質それぞれの表面に油脂が熱処理により結合し、比較的強固で立体的な複合体を形成し、かつ該澱粉粒の表面が油脂でコーティングされていることから疎水化されている。そのため、本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物を用いて、常法に従ってバッター液を調製し、該バッター液を具材に付着させて加熱調理を行った場合には、前記複合体の存在に起因して、具材やバッター液に含まれる水分の外部への排出量が適切な範囲にコントロールされて揚げ過ぎの状態が回避され、また、前記複合体が水分を保持しにくい性状を有していることに起因して、衣と具材との結着性に優れ、しかも衣がサクサクと軽い食感を有する衣付揚げ物が得られる。
本発明の穀粉類組成物の製造方法において製造目的物たる穀粉類組成物における蛋白質の含有量を前記のように0.1質量%としている主たる理由の1つは、前記複合体の形成が安定的になされるようにするためである。穀粉類組成物において蛋白質の含有量が0.1質量%未満では、前記複合体の形成が不十分となるため、衣付揚げ物の製造において前述した水分の排出量のコントロールが適切になされない結果、得られる衣付揚げ物が揚げ過ぎの状態となるおそれがある。
【0029】
本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物は、衣付揚げ物全般に適用可能であり、具体的には例えば、豚カツ、牛カツ、メンチカツ、チキンカツなどのカツ類;クリームコロッケなどのコロッケ類;フライドチキン、唐揚げ、フリッター、魚介類を具材とするフライなどに適用可能である。本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物は、そのまま衣付揚げ物の衣材として用いてもよく、他の食品素材を加えた上で衣材として用いてもよい。
【0030】
前記他の食品素材としては、衣付揚げ物の衣材として通常用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えば、前記混合工程で使用可能な穀粉(非熱処理穀粉)、澱粉、加工澱粉、デキストリン、山芋粉、食物繊維、クラッカー、増粘剤、乳化剤、食塩、糖類、甘味料、調味料、香辛料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、膨張剤等が挙げられ、これらの1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。前記調味料としては、例えば、食塩、糖類、粉末醤油、化学調味料、天然エキスが挙げられる。前記香辛料としては、例えば、胡椒粉末、ガーリックパウダー、ジンジャーパウダー、オニオンパウダー、唐辛子粉、香草粉末が挙げられる。前記色素としては、例えば、パプリカ色素、アナトー色素が挙げられる。前記膨張剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウムと、酸性ピロリン酸ナトリウム、α-酒石酸水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸一水素カルシウムが挙げられる。
【0031】
本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物、あるいは該穀粉類組成物と前記他の食品素材との混合物は、液状としてから具材に付着させて使用するバッターミックスとして特に好適に使用できる。一般的に衣付揚げ物の衣材は、粉末状の衣材を具材に直接付着させて用いるブレダータイプと、水溶きした液状の衣材を具材に絡めて用いるバッタータイプとに分類されるところ、本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物は後者のバッタータイプとして特に有用である。
【0032】
本発明には、前述した本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物を用いたバッターミックスの製造方法が包含される。前述した本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物は、そのままバッターミックスとして使用することができるから、本発明の穀粉類組成物の製造方法は、そのまま本発明のバッターミックスの製造方法となり得る。また、本発明のバッターミックスの製造方法の一実施態様として、本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物と前記他の食品素材とを混合する工程を有するものが挙げられる。斯かるバッターミックスの製造方法の一実施態様において、前記穀粉類組成物と他の食品素材との混合物における前記穀粉類組成物の含有量は、前記穀粉類組成物による作用効果を阻害しない範囲であればよく、好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは20~80質量%である。
【0033】
また本発明には、前述した本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物を含むバッターミックスと液体とを混合してバッター液を得、該バッター液を具材に付着させ、加熱調理する工程を有する、衣付揚げ物の製造方法が包含される。バッターミックスと混合される液体としては水が一般的であるが、水以外の液体、例えば、牛乳、出し汁、煮汁などを用いることもでき、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ここでいう「加熱調理」は、典型的には食用油を使用する調理であるが、食用油を使用しないいわゆるノンフライ調理も含まれる。食用油を使用する加熱調理としては、比較的少量の油を使用する焼き調理、比較的大量の油を使用する揚げ調理を例示できる。ノンフライ調理は、例えばフライパン、オーブン、コンベクションオーブンなどの加熱調理器を用いて実施することができる。
【0034】
前記具材としては、衣付揚げ物に通常用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉類;エビ、カニ、イカ、貝類などの魚介類;イモ類、カボチャ、ナス、ピーマン、レンコンなどの野菜類;シイタケなどのキノコ類が挙げられる。また、具材に前記ブレダーミックスを付着させるのに先立って、必要に応じ具材の表面に、マリネード液、打ち粉、まぶし粉、バッター液などを付着させてもよい。
【0035】
本発明の衣付揚げ物の製造方法の一実施態様として、前述した本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物を含むバッターミックスと液体とを混合してバッター液を得、該バッター液を具材に付着させ、加熱調理して調理済み衣付揚げ物を得、該調理済み衣付揚げ物を冷凍する工程を有するもの、即ち調理済み冷凍衣付揚げ物の製造方法が挙げられる。斯かる製造方法によって製造された調理済み冷凍衣付揚げ物を喫食可能な状態にするためには、該調理済み冷凍衣付揚げ物に対し、自然解凍、又は電子レンジなどの加熱調理器を用いた加熱解凍を行う必要があるが、本発明によれば、前記穀粉類組成物の作用により、該調理済み冷凍衣付揚げ物にこのような解凍処理を施しても、衣がサクサクと軽い食感を有し、加熱調理直後と比べて遜色ない品質を維持し得る衣付揚げ物が得られる。
【0036】
また本発明には、前述した本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物を含むバッターミックスと液体とを混合してバッター液を得、該バッター液を具材に付着させた後、そのバッター液が付着した具材を冷凍する工程を有する、冷凍衣付揚げ物の製造方法が包含される。斯かる製造方法によって製造された冷凍衣付揚げ物を喫食可能な状態にするためには、該冷凍衣付揚げ物を加熱調理すればよい。ここでいう「加熱調理」の意味は前記の通りである。
【0037】
本発明の衣付揚げ物の製造方法において、バッター液を具材に付着させる工程(バッター液付着工程)は1回のみでもよく、複数回でもよい。サクサクとして歯脆さに富んだクリスピーな食感の衣をより確実に得る観点から、バッター液付着工程を複数回行うことが好ましい。
【0038】
また、前記バッター液付着工程を複数回行う場合において、バッター液としては、本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物を用いて調製されたバッター液(以下、「本発明のバッター液」ともいう)のみを使用してもよく、あるいは、本発明のバッター液に加えてさらに他のバッター液を使用し、本発明のバッター液を具材に付着させる工程と、他のバッター液を具材に付着させる工程とを、任意の順序で行ってもよい。この場合、複数回のバッター液付着工程のうちの最後が、本発明のバッター液を具材に付着させる工程であることが好ましく、例えばバッター液付着工程を2回行う場合には、最初に、他のバッター液を具材に付着させ、次に、本発明のバッター液を具材に付着させることが好ましい。前記他のバッター液としては、この種の衣付揚げ物の製造において通常用いられるバッター液を特に制限なく用いることができ、典型的には、前述した穀粉類(穀粉、澱粉)及び水の他に、必要に応じ、卵、卵白粉末、油脂等を含む。他のバッター液の組成は、製造する衣付揚げ物の種類や品質等に応じて適宜選択すればよい。
【0039】
また、サクサクとして歯脆さに富んだクリスピーな食感の衣をより確実に得る観点から、本発明のバッター液を具材に付着させた後に、さらにブレッダーミックスを付着させることが好ましい。ブレッダーミックスとしては、この種の衣付揚げ物の製造において通常用いられるブレッダーミックスを特に制限なく用いることができ、典型的には、ドライパン粉、セミドライパン粉、生パン粉及びパン粉代替物からなる群から選択される1種以上を含む。前記パン粉代替物としては、穀粒、穀粒粉砕物、それらの加熱処理物、又はそれらの加工物(クラッカー又はその粉砕物等)などが挙げられる。
【0040】
本発明の衣付揚げ物の製造方法の好ましい一実施態様として、前記バッター液付着工程とその後のブレッダーミックス付着工程との組み合わせを複数回行う態様が挙げられる。具体的には例えば、具材に対し、前記他のバッター液、第1のブレッダーミックス、本発明のバッター液、第2のブレッダーミックスをこの順で順次付着させ、しかる後加熱調理する工程を有する、衣付揚げ物の製造方法が挙げられる。斯かる製造方法において、第1のブレッダーミックスと第2のブレッダーミックスとは互いに同じでもよいが、第1のブレッダーミックスは、ドライパン粉又はクラッカー粉を含み、第2のブレッダーミックスは、ドライパン粉とセミドライパン粉との混合物又はドライパン粉と生パン粉との混合物を含むことが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例3~11は参考例である。
【0042】
〔実施例1~11及び比較例1~2〕
下記表1の配合で各原材料を混合し、その混合物を適宜熱処理して、穀粉類組成物を製造した。そして、製造した穀粉類組成物と他の食品素材とを下記表1の配合で混合して、バッターミックスを製造した。使用した原材料は下記の通り。
・液体油脂:べに花油、日清オイリオグループ(株)製、商品名「日清べに花油」
・蛋白素材:小麦グルテン、グリコ栄養食品(株)製、商品名「A-グルG」
・pH調整剤:クエン酸、八宝商会製、商品名「クエン酸三ナトリウム」
・小麦粉:、日清製粉(株)製、薄力粉
【0043】
〔試験例〕
ミキサーに、下記表1記載の加水量で水を投入した後、各実施例及び比較例のバッターミックスをさらに投入し、回転数3000rpmで5分間攪拌して混合液を乳化させ、バッター液を調製した。調製したバッター液を20gのコロッケパテ(具材)の全体に塗布し、さらに、直径3mmのドライパン粉を含むブレッダーミックスを付着させた後、急速凍結した。その凍結物の表面全体に、直径7mmの生パン粉を付着させた後、急速凍結して冷凍衣付揚げ物を得た。こうして得られた冷凍衣付揚げ物を、175℃の油槽に投入して4分間油ちょうすることでコロッケ(衣付揚げ物)を得た。10名のパネラーに、調理直後のコロッケを包丁で切り分けてもらい、その際の衣の付着性(衣と具材との結着性)と切り分けたコロッケの外観とを下記評価基準によって評価してもらうと共に、該コロッケを食してもらい、その際の食感及び香りを下記評価基準によって評価してもらった。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表1に示す。
【0044】
(衣の付着性及び外観の評価基準)
5点:衣付揚げ物を包丁で切断しても衣がまったく剥がれず、また、切断した衣付揚げ物の衣に焦げや破裂が認められず、極めて良好。
4点:衣付揚げ物を包丁で切断しても衣がほとんど剥がれず、また、切断した衣付揚げ物の衣に焦げや破裂が認められず、良好。
3点:衣付揚げ物を包丁で切断すると、その切断面における衣の全面積の10~20%に相当する部分で衣が剥がれる。あるいは、切断した衣付揚げ物の衣の一部に焦げが認められる。
2点:衣付揚げ物を包丁で切断すると、その切断面における衣の全面積の20%超50%以下に相当する部分で衣が剥がれ、不良。あるいは、切断した衣付揚げ物の衣の一部に焦げが認められ、さらに衣の一部が破裂しており、不良。
1点:衣付揚げ物を包丁で切断すると、その切断面における衣の全面積の50%超に相当する部分で衣が剥がれ、極めて不良。あるいは、切断した衣付揚げ物の衣の一部に焦げが認められ、さらに衣の一部が大きく破裂して具材が溶出しているのが認められ、極めて不良。
【0045】
(衣の食感の評価基準)
5点:サクサクとして歯脆さに富み、極めて良好。
4点:サクサクとしており、良好。
3点:ややサクサク感に欠ける。
2点:やや硬いかややネチャついており、サクサク感に乏しく、不良。
1点:硬すぎるかネチャつきが大きく、サクサク感がなく、極めて不良。
【0046】
(衣付揚げ物の香りの評価基準)
5点:食欲をそそるとても好ましい香りがし、極めて良好。
4点:好ましい香りであり、良好。
3点:好ましい香りに加え、好ましくない焙焼した香りがかすかに含まれる
2点:不快な焦げ臭がやや強く感じられ、不良。
1点:不快な焦げ臭が強く感じられ、極めて不良。
【0047】
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の製造方法によれば、衣と具材との結着性に優れていて衣が剥がれにくく、しかも衣がサクサクと軽い食感を有する衣付揚げ物を製造可能な穀粉類組成物が提供される。本発明の製造方法によって製造された穀粉類組成物、あるいは該穀粉類組成物と他の食品素材(例えば熱処理されていない穀粉、加工澱粉など)との混合物は、液状としてから具材に付着させて使用するバッターミックスとして有用である。