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特許7049352活性金属ろう材用エッチング液およびそれを用いたセラミックス回路基板の製造方法
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  • 特許-活性金属ろう材用エッチング液およびそれを用いたセラミックス回路基板の製造方法 図1
  • 特許-活性金属ろう材用エッチング液およびそれを用いたセラミックス回路基板の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-29
(45)【発行日】2022-04-06
(54)【発明の名称】活性金属ろう材用エッチング液およびそれを用いたセラミックス回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23F 1/30 20060101AFI20220330BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20220330BHJP
【FI】
C23F1/30
H05K3/06 M
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019542026
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 JP2018033197
(87)【国際公開番号】W WO2019054291
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2017174788
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018010680
(32)【優先日】2018-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛正
(72)【発明者】
【氏名】平林 英明
(72)【発明者】
【氏名】川島 史行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 亮人
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-193191(JP,A)
【文献】特開2008-235852(JP,A)
【文献】特開2016-076603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00
C23F 1/18,1/30
H05K 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ag、Cu、および活性金属を含有した活性金属ろう材層をエッチングするための活性金属ろう材用エッチング液であって、
活性金属ろう材用エッチング液は過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種と、フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、を含有する活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項2】
硼弗化水素酸は、HBFである請求項1記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項3】
活性金属ろう材用エッチング液は、グリシン、CDTA、ジカルボン酸、トリカルボン酸、およびオキシカルボン酸から選ばれる1種または2種以上のキレート剤を含有する請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項4】
フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、キレート剤と、過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種と、の合計を100wt%としたとき、前記キレート剤の含有量は0.01wt%以上5wt%以下である請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項5】
活性金属ろう材用エッチング液は水溶液である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項6】
活性金属ろう材用エッチング液のpHは、6以下である請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項7】
活性金属ろう材用エッチング液のpHは、4.0以上5.8以下である請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項8】
過酸化水素、フッ化アンモニウムおよび硼弗化水素酸の合計を100wt%としたとき、過酸化水素は30wt%以上86wt%以下、フッ化アンモニウムは9wt%以上40wt%以下、硼弗化水素酸は5wt%以上50wt%以下の範囲内である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項9】
ペルオキソ二硫酸アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび硼弗化水素酸の合計を100wt%としたとき、ペルオキソ二硫酸アンモニウムは23wt%以上95wt%以下、フッ化アンモニウムは3wt%以上50wt%以下、硼弗化水素酸は2wt%以上55wt%以下である請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項10】
前記活性金属ろう材層は、SnまたはInの少なくとも1種を含有する請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項11】
前記活性金属ろう材層におけるAgの質量比は、40質量%以上80質量%以下である請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の活性金属ろう材用エッチング液を用いて、活性金属ろう材層をエッチングする工程を備えたセラミックス回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記活性金属ろう材層の厚さは10μm以上60μm以下である請求項12記載のセラミックス回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記活性金属ろう材層をエッチングする工程を超音波を印加しながら行う請求項12ないし請求項13のいずれか1項に記載のセラミックス回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、活性金属ろう材用エッチング液およびそれを用いたセラミックス回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーモジュールの高出力化が進んでいる。これに伴い半導体素子の動作保証温度が高くなり、175℃以上となっている。このため、半導体素子を搭載するセラミックス回路基板にもTCT(サーマルサイクルテスト)特性の向上が求められている。
例えば、国際公開第2017/056360号公報(特許文献1)では、銅板側面に傾斜構造を設けること、および接合層のはみ出し部サイズの最適化が記載されている。特許文献1では、優れたTCT特性を得ている。特に、接合層のはみ出し部サイズを最適化することが好ましいとされている。
接合層のはみ出し部サイズを制御するために、ろう材層のエッチングが行われている。セラミックス基板と銅板の接合には、活性金属ろう材が用いられる。活性金属ろう材は、Ag(銀)、Cu(銅)、Ti(チタン)を含有するろう材である。また、必要に応じ、Sn(錫)やIn(インジウム)を含有している。活性金属ろう材はCu以外の成分を含んでいる。このため、銅板自体を所定のパターン形状にエッチングする工程の後には、ろう材層が残存する。このため、不要なろう材層を除去するろう材エッチング工程が必要になる。
例えば、特許第4811756号公報(特許文献2)では、キレート剤、過酸化水素、pH調整剤を混合したろう材エッチング液を用いている。特許文献2ではキレート剤として、Ethyleneiaminetetraacetic acid(EDTA)などが用いられている。また、pH調整剤としてアンモニア水を用いている。特許文献2では、このようなろう材エッチングにより、ろう材はみ出し部サイズを制御している。
しかしながら、特許文献2の方法では、一回のろう材エッチング工程に150分と長い時間を要していた。このため、量産性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/056360号公報
【文献】特許第4811756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一態様が解決しようとする課題は、量産性の優れた活性金属ろう材用エッチング液およびそれを用いたセラミックス回路基板の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
Ag、Cuおよび活性金属を含有した活性金属ろう材層をエッチングするための活性金属ろう材用エッチング液において、活性金属ろう材用エッチング液は、フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種と、を含有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】セラミックス回路基板の製造方法を例示する図。
図2】他のセラミックス回路基板の製造方法を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態にかかる活性金属ろう材用エッチング液は、Ag、Cuおよび活性金属を含有した活性金属ろう材層をエッチングするための活性金属ろう材用エッチング液において、活性金属ろう材用エッチング液は、フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種と、を含有する。
活性金属ろう材用エッチング液は、フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種と、を含有している。また、硼弗化水素酸は、HBFであることが好ましい。
セラミックス回路基板について説明する。
図1(A)及び図1(B)にセラミックス回路基板の製造方法を例示した。図1(A)及び図1(B)において、1はセラミックス回路基板、2はセラミックス基板、3は活性金属ろう材層、4は銅部材、5はろう材除去領域である。また、図1(A)は、活性金属ろう材層3をエッチングする前のセラミックス回路基板を表す。図1(B)は、ろう材層をエッチングした後のセラミックス回路基板を表す。
セラミックス回路基板1は、セラミックス基板2の少なくとも一方の面に活性金属ろう材層3を介して銅部材4が接合されている。図1では片面のみに銅部材を接合しているが、両面に銅部材を接合しても良い。また、表面側銅部材を回路パターンとする。また、裏面側銅部材は放熱板(パターン形状なし)であってもよいし、回路パターンとしても良い。
【0008】
セラミックス基板2は、窒化珪素基板、窒化アルミニウム基板、酸化アルミニウム基板、アルジル基板などである。また、セラミックス基板の板厚は、例えば、0.2~0.8mmである。例えば、窒化珪素基板の熱伝導率は80W/m・K以上、3点曲げ強度は600MPa以上である。例えば、窒化アルミニウム基板の熱伝導率は150W/m・K以上、3点曲げ強度は300~550MPaである。例えば、酸化アルミニウム基板は熱導率20~40W/m・K、3点曲げ強度は400~500MPaである。また、アルジル基板は、酸化ジルコニウムを含有した酸化アルミニウム基板である。例えば、アルジル基板の熱伝導率は20~40W/m・K、3点曲げ強度は450~600MPaである。窒化珪素基板は、強度が高いので基板を0.33mm以下の薄型化が可能である。窒化アルミニウム基板は熱伝導率が高い。また、酸化アルミニウム基板及びアルジル基板の熱伝導率は低いが、これらの基板は安価である。セラミックス基板の種類は、目的に合わせて適宜選択できる。また、窒化珪素基板および窒化アルミニウム基板は、窒化物系セラミックスと呼ぶ。酸化アルミニウム基板およびアルジル基板は酸化物系セラミックスと呼ぶ。
【0009】
銅部材は、無酸素銅からなることが好ましい。銅部材中の酸素が多いと活性金属接合の際に、接合強度が低下する可能性がある。銅部材は、銅板であっても良いし、ろう材層のうえに形成された銅の膜であっても良い。以降では、銅部材が銅板である場合について説明する。
銅板の板厚は、0.2mm以上が好ましい。また、0.7mm以上と厚くすることにより、銅板の放熱性を向上させることができる。板厚の上限は特に限定されないが、銅板の板厚は5mm以下が好ましい。板厚が5mmを超えると、銅板とセラミックス基板を接合した際のセラミックス回路基板の反りが大きくなる。また、エッチングによりパターン形状に加工することが難しくなる。
【0010】
活性金属ろう材は、Ag、Cuおよび活性金属を必須成分として含有する。AgとCuは共晶となる組合せである。AgCu共晶が形成されることにより、セラミックス基板と銅板の接合強度を向上させることができる。また、活性金属は、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Nb(ニオブ)から選ばれる1種又は2種以上である。活性金属の中ではTiが好ましい。活性金属はセラミックス基板と反応して強固な接合を行うことができる。窒化物系セラミックスとは活性金属窒化物相を形成する。例えば、活性金属にTiを用いた場合、窒化チタン(TiN)相が形成される。また、酸化物セラミックスとは活性金属酸化物相を形成する。例えば、活性金属にTiを用いた場合、酸化チタン(TiO)相が形成される。また、活性金属は金属単体であってもよいし、水素化物として添加しても良い。
また、必要に応じ、活性金属ろう材には、Sn(錫)またはIn(インジウム)を添加しても良い。SnおよびInは、活性金属ろう材の融点を下げることができる。このため、接合温度を下げることができる。低温での接合は、接合体の残留応力を減少させることができる。残留応力の低減は、接合体の熱サイクル信頼性の向上に有効である。
また、必要に応じ、活性金属ろう材には、C(炭素)を添加しても良い。炭素を添加することにより、ろう材の流動性を抑制できる。そのため、ろう材層の厚さをより均一にできる。
また、活性金属ろう材において、Agの含有量は40wt%以上80wt%以下、Cuの含有量は15wt%以上45wt%以下、活性金属の含有量は1wt%以上12wt%以下、Sn(またはIn)の含有量は0wt%以上20wt%以下、Cの含有量は0wt%以上2wt%以下であることが好ましい。Ag、Cu、Ti、Sn(またはIn)、およびCの含有量の合計は、100wt%とする。また、活性金属ろう材にSnまたはInを添加する際は、SnまたはInの含有量が5wt%以上であることが好ましい。SnとInの両方を添加する場合はその合計の含有量が5~20wt%の範囲内であることが好ましい。また、活性金属ろう材に炭素を添加するときは、炭素の含有量が0.1wt%以上であることが好ましい。
【0011】
接合工程は、主に塗布工程と加熱工程を含む。
塗布工程では、まず、上記接合ろう材ペーストを調製する。セラミックス基板上に接合ろう材ペーストを塗布し、その上に銅板を配置する。接合ろう材ペーストの塗布厚さは、10~60μmの範囲内が好ましい。塗布厚さが10μm未満では接合ろう材が不足するために接合強度が低下する恐れがある。また、塗布厚さが60μmを超えると、接合強度の改善が見られないだけでなく、コストアップの要因となる。銅板を両面に接合する場合は、セラミックス基板の両面に接合ろう材ペーストを塗布する。また、銅板はろう材ペーストを塗布した領域と同程度のサイズのものを配置することが好ましい。また、予めパターン形状に加工した銅板を、セラミックス基板上に配置してもよい。
次に、加熱工程を行う。加熱温度は700~900℃の範囲内である。また、非酸化雰囲気中、1×10-3Pa以下の雰囲気で行うことが好ましい。ろう材中にSnまたはInを添加することにより、接合温度を850℃以下にすることができる。
このような工程によりセラミックス基板と銅板を接合させることができる。
【0012】
活性金属ろう材層がむき出しになった箇所を形成するには、銅板4をエッチングすることが有効である。銅板4にパターン形状になるようにエッチングレジストを塗布する。その後、エッチングレジストをマスクとして用いて銅板をエッチングする工程を行う。
予めパターン形状に加工した銅板を接合する方法も有効である。その一方で、接合工程での銅板の位置ずれを考慮すると、複雑なパターン形状やファインピッチ(隣り合う銅板の間隔が狭いもの)への対応が困難となる可能性がある。このため、銅板をエッチングしてパターン形状に加工することが好ましい。ファインピッチとしては、隣り合う銅板同士の間隔が2mm以下のものを指す。
銅板エッチング工程では、塩化鉄が主に使われる。塩化鉄は銅をエッチングするのに有効である。一方、塩化鉄では、Ag、Cuおよび活性金属を含有したろう材層をエッチングすることはできない。このため、ろう材層がむき出しになった箇所を存在させることができる。また、必要に応じ、銅板エッチング工程後に洗浄工程を行っても良い。銅板のエッチングには塩化鉄の代わりに、塩化銅を使っても良い。
【0013】
むき出しになった活性金属ろう材層3をエッチングしていく。
過酸化水素(H)およびペルオキソ二硫酸アンモニウム((NH)は、AgおよびCuを除去する効果がある。これらのエッチング成分はAgおよびCuをイオン化して除去することができる。特に、pHを6以下にすることにより、イオン化の効果が高まる。また、過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムは、活性金属、Sn、In、炭素から選ばれる1種または2種以上を酸化する酸化剤としての効果も有する。例えば、ろう材にTiを用いた場合、窒化物系セラミックス基板上でTiN(窒化チタン)になっている。上述したエッチング成分は、TiまたはTiNをTiOに変えていく効果を有する。同様に、ろう材層3中のSnをSnOに変えていく効果がある。Inも同様である。
【0014】
フッ化アンモニウム(NHF)は、酸化物のエッチャントとして機能する。例えば、TiOをTiOFに変えて除去することができる。フッ化アンモニウムには、フッ化水素アンモニウム((NH)HF)も含まれる。
硼弗化水素酸は、エッチング液のpHを安定化させることができる。具体的には、活性金属ろう材用エッチング液のpHを6以下にすることができる。また、後述するように、過酸化水素またはペルオキソ二硫酸アンモニウムと、フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、の混合比を制御することにより、エッチング液のpHを4以上6以下にすることができる。
また、HBFを用いることにより、エッチング液のpHを4.8以上5.8以下にすることができる。また、HBFはろう材層をエッチングするエッチャントとしても機能する。このため、活性金属ろう材層をエッチングする速度を速めることができる。
また、後述するキレート剤を添加することにより、エッチング液のpHを4.0以上4.8以下に下げることができる。エッチング液のpHを下げることにより、エッチング速度を速めることができる。
フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種と、を含有するエッチング液のpHは、4.8以上5.8以下が好ましい。さらにキレート剤を添加したエッチング液のpHは、4.0以上4.8以下が好ましい。
【0015】
過酸化水素は、JIS-K-1463(2007)に示された品質を有することが好ましい。JIS-K-1463については、ISO6352-2が参照される。また、ペルオキソ二硫酸アンモニウムは、JIS-K-8252(2010)に示された品質を有することが好ましい。
【0016】
ろう材エッチング液のpHが6よりも大きいと、ろう材層をエッチングする速度が遅くなる。また、pHが4未満であると、ろう材層をエッチングする速度が速くなりすぎてしまう可能性がある。セラミックス回路基板のTCT特性を向上させるためには、ろう材はみ出し部(接合層はみ出し部)を残すことが必要である。ろう材層のエッチング速度が速すぎると、ろう材はみ出し部のサイズの制御が難しくなる。このため、エッチング液のpHは、4以上6以下、さらには4.0以上5.8以下であることが好ましい。
【0017】
過酸化水素、フッ化アンモニウム、及び硼弗化水素酸の重量の合計を100wt%としたとき、過酸化水素の含有量は、30wt%以上86wt%以下が好ましい。また、フッ化アンモニウムの含有量は、9wt%以上40wt%以下が好ましい。また、硼弗化水素酸の含有量は、5wt%以上50wt%以下が好ましい。この範囲であると、それぞれの成分の役割を活かすことができる。また、ろう材をエッチングする際の酸化還元電位(ORP)を高くすることができる。この点からも、ろう材エッチングを行う速度を速めることができる。
【0018】
過酸化水素、フッ化アンモニウムおよび硼弗化水素酸はそれぞれ水溶液として混合することが好ましい。過酸化水素の含有量が15~70wt%の過酸化水素含有水溶液を用いることが好ましい。フッ化アンモニウムの含有量が15~60wt%のフッ化アンモニウム含有水溶液を用いることが好ましい。硼弗化水素酸の含有量が15~60wt%の硼弗化水素酸含有水溶液を用いることが好ましい。
また、過酸化水素含有水溶液、フッ化アンモニウム含有水溶液および硼弗化水素酸含有水溶液を混合してろう材エッチング液を調整する。ろう材エッチング液は、水を混合して希釈してもよい。過酸化水素含有水溶液、フッ化アンモニウム含有水溶液および硼弗化水素酸含有水溶液の合計を1L(リットル)としたとき、水を0.5~2L混合してもよいものとする。また、十分に撹拌して均一に混合することが好ましい。水はJIS-K-0557(1998)の品質を満たすことが好ましい。JIS-K-0557ではA1~A4の品質が示されている。JIS-K-0557については、ISO3696が参照される。
また、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび硼弗化水素酸の重量の合計を100wt%としたとき、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの含有量は23wt%以上95wt%以下、フッ化アンモニウムの含有量は3wt%以上50wt%以下、硼弗化水素酸の含有量は2wt%以上55wt%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲であると、それぞれの成分の役割を活かすことができる。また、ろう材をエッチングする際の酸化還元電位(ORP)を高くすることができる。この点からも、ろう材エッチングを行う速度を速めることができる。
また、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび硼弗化水素酸はそれぞれ水溶液として混合することが好ましい。ペルオキソ二硫酸アンモニウムの含有量が15~70wt%のペルオキソ二硫酸アンモニウム含有水溶液が好ましい。フッ化アンモニウムの含有量が15~60wt%のフッ化アンモニウム含有水溶液が好ましい。硼弗化水素酸の含有量が15~60wt%の硼弗化水素酸含有水溶液が好ましい。
また、ペルオキソ二硫酸アンモニウム含有水溶液、フッ化アンモニウム含有水溶液および硼弗化水素酸含有水溶液を混合してろう材エッチング液を調整する。ろう材エッチング液は、水を混合して希釈してもよい。ペルオキソ二硫酸アンモニウム含有水溶液、フッ化アンモニウム含有水溶液および硼弗化水素酸含有水溶液の合計を1L(リットル)としたとき、水を0.5~2L混合してもよい。また、十分に撹拌して均一に混合することが好ましい。また、水はJIS-K-0557(1998)の品質を満たすことが好ましい。JIS-K-0557ではA1~A4の品質が示されている。
また、過酸化水素とペルオキソ二硫酸アンモニウムの両方を用いる場合は、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび硼弗化水素酸の重量の合計を100wt%としたとき、過酸化水素とペルオキソ二硫酸アンモニウムの含有量の合計が35wt%以上96wt%以下、フッ化アンモニウムの含有量は2wt%以上50wt%以下、硼弗化水素酸の含有量は2wt%以上50wt%以下の範囲内であることが好ましい。また、同様に水溶液として混合することが好ましい。
また、ろう材エッチング液は、キレート剤を含有してもよい。フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、キレート剤と、過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種と、の重量の合計を100wt%としたとき、キレート剤の含有量は0.01wt%以上5wt%以下の範囲内であることが好ましい。また、キレート剤は、グリシン、CDTA、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびオキシカルボン酸から選ばれる1種または2種以上が好ましい。
キレート剤は、Cuの析出を抑制する効果がある。活性金属ろう材層は、Cu(銅)を含む。活性金属ろう材層のエッチングを進めていくと、エッチング液中にCuイオンが増加していく。Cuイオンが一定量を超えると飽和し、Cuが析出してしまうとエッチング速度が低下する。キレート剤を添加することにより、イオンになったCuが再析出するのを防ぐことができる。これにより、活性金属ろう材層のエッチング速度が低下するのを防ぐことができる。また、キレート剤を含有すると、エッチング液のpHを下げることができる。
キレート剤は、グリシン、CDTA、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびオキシカルボン酸から選ばれる1種または2種以上が好ましい。これらのキレート剤は、Cuイオンと錯イオンを形成し易い。
フッ化アンモニウムと、硼弗化水素酸と、キレート剤と、過酸化水素およびペルオキソ二硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種と、の重量の合計を100wt%としたとき、キレート剤の含有量は0.01wt%以上5wt%以下の範囲内であることが好ましい。含有量が0.01wt%未満では添加の効果が不十分である。また、含有量が5wt%を超えると添加量が多すぎて、エッチング速度を返って低下させる可能性がある。そのため、キレート剤の含有量は0.01wt%以上5wt%以下、さらには0.1wt%以上3wt%以下が好ましい。
グリシンは、アミノ酢酸またはその塩を示す。CDTAはシクロヘキサンジアミンテトラアセテートのことである。CDTAはCyDTAと表記されることもある。また、ジカルボン酸は分子式の中に2つのカルボキシル基を有するものを示す。また、オキシカルボン酸は分子式の中に水酸基とカルボキシル基を有するものを示す。ジカルボン酸には、ジカルボン酸塩も含まれる。また、トリカルボン酸には、トリカルボン酸塩も含まれる。また、オキシカルボン酸には、オキシカルボン酸塩も含まれる。
このようなろう材エッチング液を用いてろう材層をエッチングすることにより、エッチング時間を短縮することができる。ろう材層の厚さが60μm以下であれば30分以下でエッチングすることができる。
【0019】
過酸化水素、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、フッ化アンモニウムおよび硼弗化水素酸を具備したエッチング液は、銅板をエッチングせず、活性金属ろう材層のみをエッチングすることができる。このため、銅板をエッチング加工する際に用いたエッチングレジストを除去してから、活性金属ろう材層をエッチングすることもできる。
銅板をエッチングする際のエッチングレジストを除去してから、ろう材層のエッチングを行うことにより、エッチングレジストと活性金属ろう材用エッチング液が反応することを防ぐことができる。このため、活性金属ろう材用エッチング液のpHを4以上6以下、さらには4.0以上5.8以下に長時間維持することができる。pHがこの範囲により長時間維持可能なため、セラミックス回路基板の処理枚数を増やすことができる。活性金属ろう材用エッチング液の補充を行わなくても処理枚数を増やすことができる。なお、銅板をエッチングする際のエッチングレジストを残したまま、活性金属ろう材層のエッチング工程を行っても良い。
ろう材エッチング液を加熱することも有効である。ろう材エッチング液の温度を30~70℃に加熱することにより、エッチング反応を活発にすることができる。
ろう材エッチング工程は、ろう材エッチング液を介してセラミックス回路基板に超音波をかけながら行うことが好ましい。超音波をかけながらろう材エッチング工程を行うことにより、ろう材エッチング時間をさらに短縮することができる。また、超音波の周波数は10kHz以上100kHz以下が好ましい。周波数が10kHz未満では超音波を印加する効果が小さい。また、100kHzを超えて大きくしてもそれ以上の効果が得られない。また、装置の負担も大きくなる。そのため、超音波の周波数は10~100kHz、さらには20~70kHzが好ましい。
超音波をかけながらろう材をエッチングすることにより、1回のろう材エッチング工程の時間を20分以下にすることができる。なお、ろう材エッチング工程の時間の下限は特に限定されるものではないが1分以上が好ましい。1分未満ではろう材層の除去効果、ろう材層の酸化効果が不十分になる可能性がある。
【0020】
活性金属ろう材層のエッチングを、2回以上の工程に分けて行っても良い。このとき、2回目のろう材エッチング工程で用いられるろう材エッチング液の成分が、1回目のろう材エッチング工程で用いられるろう材エッチング液の成分と異なっていても良い。また、必要に応じ、各工程間に純水による洗浄工程を行っても良い。
実施形態にかかるろう材エッチング液を用いて活性金属ろう材層をエッチングする工程を繰り返していくと、エッチング性能が低下していく。この主な原因は、過酸化水素またはペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度が低下することである。前述の通り、これらの成分は、活性金属ろう材層成分のイオン化または酸化剤として機能する。これらの機能を行うことにより、活性金属ろう材層のエッチングが始まる。そのため、過酸化水素またはペルオキソ二硫酸アンモニウムから消費されていくことになる。
実施形態にかかる活性金属ろう材層用エッチング液は、過酸化水素の濃度が低下したとき、低下分を補充することにより、エッチング性能を維持させることができる。同様に、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度が低下したとき、低下分を補充することにより、エッチング性能を維持させることができる。濃度低下の目安は初期濃度から10~20wt%低下したときである。濃度低下が10wt%未満では、エッチング性能の低下は低い。一方、濃度低下が20wt%を超えると、補充前のエッチング性能の低下が大きくなる。このため、活性金属ろう材用エッチング液の過酸化水素の濃度が初期濃度から10~20wt%低下したときに、過酸化水素を補充することが好ましい。同様に、活性金属ろう材用エッチング液のペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度が初期濃度から10~20wt%低下したときに、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを補充することが好ましい。また、過酸化水素またはペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度が低下していくと、エッチング液のpHの変化量が大きくなる。
【0021】
実施形態にかかる活性金属ろう材用エッチング液を用いて、図1(A)及び図1(B)に示したように、銅板4同士の間においてろう材層3がむき出しになった箇所をエッチングし、ろう材除去領域5を形成する。実施形態にかかる活性金属ろう材用エッチング液を用いることで、ろう材層3をより短い時間でエッチングし、且つろう材層3のセラミック基板2と銅板4との間からはみ出た部分のサイズを制御できる。
【0022】
図2(A)~図2(C)に他のセラミックス回路基板の製造方法を例示した。図2(A)~図2(C)は、ろう材層3をエッチングする工程を複数回行う例を示している。まず、図2(A)及び図2(B)に示したように、銅板4同士の間においてろう材層3がむき出しになった箇所をエッチングする。これにより、当該箇所の厚さが減少し、ろう材残り領域6が形成される。その後、別のエッチング工程により、ろう材残り領域6をさらにエッチングして除去し、ろう材除去領域5を形成する。
1回目のエッチングに用いられるエッチング液の成分と、2回目のエッチングに用いられるエッチング液の成分は、同じでも良いし、異なっていても良い。1回目のエッチング工程と2回目のエッチング工程との間に洗浄工程などを行っても良い。
【0023】
(実施例)
(実施例1~16、比較例1)
セラミックス基板として、窒化珪素基板(基板厚さ0.32mm、熱伝導率90W/m・K、3点曲げ強度650MPa)、窒化アルミニウム基板(基板厚さ0.635mm、熱伝導率180W/m・K、3点曲げ強度350MPa)、酸化アルミニウム基板(基板厚さ0.635mm、熱伝導率20W/m・K、3点曲げ強度450MPa)、アルジル基板(基板厚さ0.635mm、熱伝導率20W/m・K、3点曲げ強度500MPa)を用意した。各セラミックス基板のサイズは、縦50mm×横40mmに統一した。
銅板については、厚さが0.5mmの銅板と厚さが0.8mmの銅板の2種類を用意した。厚さ0.5mmの銅板を「銅板1」、厚さが0.8mmの銅板を「銅板2」とした。また、銅板のサイズは、縦46mm×横36mmに統一した。
接合ろう材は、表1に示すものを用意した。
【0024】
【表1】
【0025】
セラミックス基板、ろう材、銅板を表2のように組合わせて活性金属接合工程を行った。銅板サイズに合ったろう材層を塗布して、銅板を配置した。
活性金属接合工程は、非酸化雰囲気中、1×10-3Pa以下で行った。また、ろう材1およびろう材2を使ったものは780~850℃で接合した。また、ろう材3を使ったものは860~880℃で接合した。また、セラミックス基板の両面に銅板を接合した。
この工程により、試料1~6にかかるセラミックス回路基板を用意した。
【0026】
【表2】
【0027】
試料1~6にかかるセラミックス回路基板に対し、表面側の銅板にエッチングレジストを塗布した後、エッチング加工してパターン形状に加工した。銅板パターンは、パターン間距離を1.5mmの個所と、2.0mmの個所を、それぞれ設けた。銅板エッチング加工により、ろう材層がむき出しになったセラミックス回路基板を調整した。
次に、表3に示すろう材エッチング液を用意した。ろう材エッチング液は、過酸化水素(H)、フッ化アンモニウム(NHF)、硼弗化水素酸(HBF)を合計で100wt%としたときの質量比を示した。それぞれ表3に示した質量比になるように水溶液で混合した。また、過酸化水素(H)含有水溶液、フッ化アンモニウム(NHF)含有水溶液、硼弗化水素酸(HBF)含有水溶液の合計1Lに対し、混合した純水量(L:リットル)を示した。また、ろう材エッチング液のpHを示した。
また、比較例として、HBFの変わりにEDTAを用いたものをろう材エッチング液5とした。
【0028】
【表3】
【0029】
また、表4にペルオキソ二硫酸アンモニウムを用いたエッチング液を示した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム((NH)、フッ化アンモニウム(NHF)、硼弗化水素酸(HBF)を合計で100wt%としたときの質量比を示した。それぞれ表4に示した質量比になるように水溶液で混合した。また、ペルオキソ二硫酸アンモニウム((NH)含有水溶液、フッ化アンモニウム(NHF)含有水溶液、硼弗化水素酸(HBF)含有水溶液の合計1Lに対し、混合した純水量(L:リットル)を示した。また、ろう材エッチング液のpHを示した。
【0030】
【表4】
【0031】
次にろう材エッチング液1~4および6~8に対して、キレート剤を添加したものをろう材エッチング液9~15とした。同様にpHを測定した。また、キレート剤の添加量は、過酸化水素またはペルオキソ二硫酸アンモニウムのいずれかと、フッ化アンモニウム、硼弗化水素酸およびキレート剤の合計を100wt%としたときの、キレート剤の割合で示した。その結果を表5に示す。
【0032】
【表5】
【0033】
ろう材エッチング液8~13は、ベースとなるろう材エッチング液にキレート剤を添加したものである。キレート剤を添加することにより、エッチング液のpHを下げることができた。
【0034】
試料1~6にかかるセラミックス回路基板をろう材エッチング液1~15を使って実施例1~18にかかるセラミックス回路基板の製造方法を行った。また、ろう材エッチング液5を用いたものを比較例1とした。
各ろう材エッチング液を14L(リットル)用意した。銅板をエッチングした後のセラミックス回路基板を40枚を1バッチとしてろう材エッチング加工を行った。また、実施例1~9および比較例1は銅板をエッチングする際に用いたエッチングレジストは除去してから行ったものである。また、実施例10~18は銅板をエッチングする際に用いたエッチングレジストを残したまま行ったものである。また、セラミックス回路基板のサイズは、縦180mm×横140mmとした。また、セラミックス回路基板1枚あたりのエッチング面積は200mmとした。
また、ろう材エッチング工程は「超音波」を付加しながら行ったものは、「超音波」と表示した。また、超音波の周波数は実施例1~12および比較例1は50kHz、実施例13~21は70kHzにした。
それぞれ4バッチ(40枚×4バッチ=160枚処理)行った後のろう材エッチング液のpHの変化量を測定した。pHの変化量が±0.3の範囲内のものを「◎」、±0.8の範囲内のものを「○」、変化量が1.0を超えて大きかったものを「×」とした。その結果を表6、表7に示した。
【0035】
【表6】
【0036】
【表7】
【0037】
表から分かる通り、実施例にかかるろう材エッチング液はpHの変化量が小さかった。ろう材エッチング液の寿命が長いと、エッチング液の補充タイミングを遅らせることができる。このため、コスト低減を可能とした量産性の良いろう材エッチング工程とすることができる。また、超音波を印加しながらエッチング工程を行ったものは、活性金属ろう材層の除去が早かった。
また、キレート剤を添加したろう材エッチング液9~15(実施例13~21)についてもpHの変化量は小さかった。また、実施例15および実施例16のようにキレート剤を添加していないものは、pH変化量がやや大きくなった。この結果、キレート剤を添加したろう材エッチング液は、銅板にエッチングレジストが付いたままろう材エッチングしたとしてもpH変化量が小さいことが分かる。言い換えると、キレート剤を添加したろう材エッチング液は、エッチングレジストの有無に関わらず、pH変化量を抑制できるため、使い勝手の良いものであるといえる。
それに対し、比較例のものはpHの変化量が大きかった。これでは、ろう材エッチング液の補充の頻度を増やす必要がある。
【0038】
次に、実施例にかかるろう材エッチング工程を繰り返した。ろう材エッチング液の過酸化水素またはペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度が初期濃度から10~20wt%低下したのを確認した。その後、低下分を補充して初期濃度と同じにした後、同様のろう材エッチング工程を行った。補充後のろう材エッチング液のpH変化量を測定した。その結果を表8に示した。
【0039】
【表8】
【0040】
表から分かる通り、実施例にかかるろう材エッチング液は、過酸化水素またはペルオキソ二硫酸アンモニウムを補充すれば、同等のろう材エッチング性能が得られた。このため、実施形態にかかる活性金属ろう材用エッチング液は、酸化水素水またはペルオキソ二硫酸アンモニウムの濃度が初期濃度から10~20wt%低下したとき、補充することによりエッチング性能を維持できることが分かった。
【0041】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
図1
図2