(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】吸収性物品包装体、及び、吸収性物品包装体のパッケージ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/551 20060101AFI20220331BHJP
B65D 85/07 20170101ALI20220331BHJP
A61F 13/58 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
A61F13/551 200
B65D85/07
A61F13/58
(21)【出願番号】P 2018058192
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 千裕
(72)【発明者】
【氏名】入戸野 太朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 伸亨
(72)【発明者】
【氏名】田村 竜也
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135827(JP,A)
【文献】特表平05-507753(JP,A)
【文献】特許第6236569(JP,B1)
【文献】特表2016-539056(JP,A)
【文献】特開2016-209126(JP,A)
【文献】特開2013-198586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/551
B65D 85/07
A61F 13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理用ナプキン、パンティライナー、又は吸収パッドである吸収性物品と、
前記吸収性物品を包装する包装材と、
前記吸収性物品を内包して折り畳まれた前記包装材の開封端を止着する止着テープと、を有する吸収性物品包装体であって、
前記止着テープは、粘着部を介して前記包装材に接合されており、
前記止着テープは、柄部と、透明部とを備えたデザイン部を有し、
前記デザイン部における前記透明部の面積の割合は50%よりも大きく、
前記透明部は、前記止着テープの前記粘着部と重なり部分
を有し、
前記開封端に沿う第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とを有し、
前記第2方向において、前記吸収性物品包装体の開封時に前記止着テープが剥離される前記包装材の部位側である一方側と、その反対側である他方側とを有し、
前記止着テープは、前記第2方向の前記一方側の端部において、非粘着部である摘み部を有し、
前記摘み部は透明部を備えておらず、
前記止着テープは、前記第2方向における前記デザイン部と前記摘み部の間において、中間部を有し、
前記中間部は、前記透明部に比べて光線透過率が低く、かつ、前記摘み部に比べて光線透過率が高いことを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品包装体であって、
前記開封端に沿う第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とを有し、
前記第2方向において、前記吸収性物品包装体の開封時に前記止着テープが剥離される前記包装材の部位側である一方側と、その反対側である他方側とを有し、
前記デザイン部の少なくとも一部は、前記開封端よりも前記第2方向の前記一方側に配置されていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品包装体であって、
前記止着テープにおける前記デザイン部の面積の割合は50%以上であり、
前記デザイン部は、前記開封端を跨ぎ、前記開封端よりも前記第2方向の前記他方側にも配置されていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記摘み部は、前記止着テープが折り返された部位であり、
前記中間部は、前記止着テープの粘着部と重なり部分を有することを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記デザイン部における前記柄部の面積の割合は15%以上であることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記柄部は、光線透過率の異なる部位を有することを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記柄部は、光線透過率が35%以上70%未満である部位を有することを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記止着テープの縁の少なくとも一部に、前記透明部が配置されていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項9】
請求項1から8の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記デザイン部において、複数の前記柄部が離散的に配置されていることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の吸収性物品包装体であって、
前記包装材は、前記吸収性物品包装体の外部から視認可能なデザイン柄を有し、
前記包装材が有する1つの前記デザイン柄の面積は、前記止着テープが有する1つの前記柄部の面積よりも大きいことを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項11】
請求項10に記載の吸収性物品包装体であって、
前記包装材は、前記吸収性物品を包装する際に内側になる面、及び、外側になる面を有し、
前記デザイン柄は、前記内側になる面に印刷されており、前記外側になる面側から透かして視認可能であることを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の吸収性物品包装体を複数内包する吸収性物品包装体のパッケージであって、前記包装材が有する前記デザイン柄に対する前記止着テープの重なり部分が異なる複数の吸収性物品包装体を有することを特徴とする吸収性物品包装体のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品包装体、及び、吸収性物品包装体のパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品包装体として、特許文献1には、吸収性物品と、包装材(包装シート)とを備え、吸収性物品の長手方向に折り畳まれた包装材付き吸収性物品が開示されている。包装材の長手方向における端部には、包装材に止着可能であると共に、包装材付き吸収性物品が折り畳まれた状態を維持させる止着テープが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザーは、吸収性物品包装体を使用する際に、まず、止着テープを剥がして開封する。そのため、止着テープの位置がユーザーに認知されやすいように、一般の止着テープは、透明性を有さず、その全体が着色されている。一方、止着テープは、使用済み吸収性物品を包んで折り畳まれた包装材を止着するために利用されることがある。一般の透明性を有さない止着テープの場合、止着テープを包装材に貼る際に、止着テープの粘着部が包装材の端を跨いでいるか否かの確認が難しい。そのため、止着テープで包装材をしっかりと止着できずに包装材が開き、使用済み吸収性物品が露出しまうといった問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、使用済み吸収性物品を包んだ包装材を止着テープによって止着しやすい吸収性物品包装体、及び、吸収性物品包装体のパッケージの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
生理用ナプキン、パンティライナー、又は吸収パッドである吸収性物品と、
前記吸収性物品を包装する包装材と、
前記吸収性物品を内包して折り畳まれた前記包装材の開封端を止着する止着テープと、を有する吸収性物品包装体であって、
前記止着テープは、粘着部を介して前記包装材に接合されており、
前記止着テープは、柄部と、透明部とを備えたデザイン部を有し、
前記デザイン部における前記透明部の面積の割合は50%よりも大きく、
前記透明部は、前記止着テープの前記粘着部と重なり部分を有し、
前記開封端に沿う第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とを有し、
前記第2方向において、前記吸収性物品包装体の開封時に前記止着テープが剥離される前記包装材の部位側である一方側と、その反対側である他方側とを有し、
前記止着テープは、前記第2方向の前記一方側の端部において、非粘着部である摘み部を有し、
前記摘み部は透明部を備えておらず、
前記止着テープは、前記第2方向における前記デザイン部と前記摘み部の間において、中間部を有し、
前記中間部は、前記透明部に比べて光線透過率が低く、かつ、前記摘み部に比べて光線透過率が高いことを特徴とする吸収性物品包装体である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使用済み吸収性物品を包んだ包装材を止着テープによって止着しやすい吸収性物品包装体、及び、吸収性物品包装体のパッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは吸収性物品包装体20の平面図であり、
図1Bは吸収性物品包装体20の概略断面図である。
【
図2】吸収性物品包装体20を開封して展開し、ナプキン1の肌側から見た状態の図である。
【
図4】
図4Aは止着テープ40の平面図であり、
図4Bは止着テープ40の断面図である。
【
図5】個包装体20における止着テープ40の位置を説明する図である。
【
図7】
図7A及び
図7Bは止着テープ40の摘み部42が折れた状態を説明する図である。
【
図9】
図9Aは個包装体20のパッケージ50の概略斜視図であり、
図9B及び
図9Cは、パッケージ50が内包する個包装体20の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
生理用ナプキン、パンティライナー、又は吸収パッドである吸収性物品と、前記吸収性物品を包装する包装材と、前記吸収性物品を内包して折り畳まれた前記包装材の開封端を止着する止着テープと、を有する吸収性物品包装体であって、前記止着テープは、粘着部を介して前記包装材に接合されており、前記止着テープは、柄部と、透明部とを備えたデザイン部を有し、前記デザイン部における前記透明部の面積の割合は50%よりも大きく、前記透明部は、前記止着テープの前記粘着部と重なり部分を有することを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0010】
このような吸収性物品包装体によれば、吸収性物品の廃棄時に(使用済み吸収性物品を包んだ包装材を止着テープで止着する時に)、透明部を介して包装材を視認できる。そのため、包装材に止着テープを止着しやすく、しっかりと止着できる。よって、使用済み吸収性物品を包んだ包装材が開いてしまうことを抑制できる。
【0011】
かかる吸収性物品包装体であって、前記開封端に沿う第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とを有し、前記第2方向において、前記吸収性物品包装体の開封時に前記止着テープが剥離される前記包装材の部位側である一方側と、その反対側である他方側とを有し、前記デザイン部の少なくとも一部は、前記開封端よりも前記第2方向の前記一方側に配置されていることを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0012】
このような吸収性物品包装体によれば、吸収性物品の廃棄時に、包装材から止着テープを分離しない場合にも、ユーザーは透明部を目印として強く押すことができ、包装材に止着テープをしっかりと止着できる。
【0013】
かかる吸収性物品包装体であって、前記止着テープにおける前記デザイン部の面積の割合は50%以上であり、前記デザイン部は、前記開封端を跨ぎ、前記開封端よりも前記第2方向の前記他方側にも配置されていることを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0014】
このような吸収性物品包装体によれば、吸収性物品の廃棄時に、透明部を介して視認可能な包装材の面積が増え、また、透明部を介して包装材の端を視認できる。そのため、包装材に止着テープを止着しやすく、しっかりと止着できる。
【0015】
かかる吸収性物品包装体であって、前記開封端に沿う第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とを有し、前記第2方向において、前記吸収性物品包装体の開封時に前記止着テープが剥離される前記包装材の部位側である一方側と、その反対側である他方側とを有し、前記止着テープは、前記第2方向の前記一方側の端部において、非粘着部である摘み部を有し、前記摘み部は透明部を備えていないことを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0016】
このような吸収性物品包装体によれば、摘み部によって止着テープの位置が認知されやすくなる。
【0017】
かかる吸収性物品包装体であって、前記止着テープは、前記第2方向における前記デザイン部と前記摘み部の間において、中間部を有し、前記中間部は、前記透明部に比べて光線透過率が低く、かつ、前記摘み部に比べて光線透過率が高いことを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0018】
このような吸収性物品包装体によれば、止着テープを剥離する方向に沿って、濃淡のグラデーションが止着テープに形成される。よって、止着テープを剥離する方向が認知されやすくなる。
【0019】
かかる吸収性物品包装体であって、前記摘み部は、前記止着テープが折り返された部位であり、前記中間部は、前記止着テープの粘着部と重なり部分を有することを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0020】
このような吸収性物品包装体によれば、摘み部が折れてしまった場合にも、中間部によって止着テープの位置が認知されやすくなる。
【0021】
かかる吸収性物品包装体であって、前記開封端に沿う第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とを有し、前記第2方向において、前記吸収性物品包装体の開封時に前記止着テープが剥離される前記包装材の部位側である一方側と、その反対側である他方側とを有し、前記止着テープは、前記第2方向の前記一方側の端部において、非粘着部である摘み部を有し、前記摘み部は、前記デザイン部が折り返された部位である第1層部と、前記第1層部に重なる前記デザイン部の部位である第2層部とを有し、前記第1層部の前記柄部の少なくとも一部は、前記第2層部の前記柄部とずれていることを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0022】
このような吸収性物品包装体によれば、摘み部において柄部の面積比率が高まる。そのため、摘み部によって止着テープの位置が認知されやすくなる。
【0023】
かかる吸収性物品包装体であって、前記デザイン部における前記柄部の面積の割合は15%以上であることを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0024】
このような吸収性物品包装体によれば、止着テープの位置が認知されやすくなる。
【0025】
かかる吸収性物品包装体であって、前記柄部は、光線透過率の異なる部位を有することを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0026】
このような吸収性物品包装体によれば、光線透過率の高い柄部を介して包装材を視認しやすく、光線透過率の低い柄部によって止着テープの位置が認知されやすくなる。
【0027】
かかる吸収性物品包装体であって、前記柄部は、光線透過率が35%以上70%未満である部位を有することを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0028】
このような吸収性物品包装体によれば、柄部を介して包装材を視認しやすくなる。
【0029】
かかる吸収性物品包装体であって、前記止着テープの縁の少なくとも一部に、前記透明部が配置されていることを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0030】
このような吸収性物品包装体によれば、止着テープの輪郭が分かりにくくなり、吸収性物品包装体の止着テープらしさを軽減できる。
【0031】
かかる吸収性物品包装体であって、前記デザイン部において、複数の前記柄部が離散的に配置されていることを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0032】
このような吸収性物品包装体によれば、透明部を介して包装材を視認しやすくなる。
【0033】
かかる吸収性物品包装体であって、前記包装材は、前記吸収性物品包装体の外部から視認可能なデザイン柄を有し、前記包装材が有する1つの前記デザイン柄の面積は、前記止着テープが有する1つの前記柄部の面積よりも大きいことを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0034】
このような吸収性物品包装体によれば、止着テープの柄部によって、包装材のデザイン柄が隠れてしまうことを抑制できる。
【0035】
かかる吸収性物品包装体であって、前記包装材は、前記吸収性物品を包装する際に内側になる面、及び、外側になる面を有し、前記デザイン柄は、前記内側になる面に印刷されており、前記外側になる面側から透かして視認可能であることを特徴とする吸収性物品包装体である。
【0036】
このような吸収性物品包装体によれば、包装材のデザイン柄と止着テープが重なる場合にも、止着テープの位置が認知されやすくなる。
【0037】
かかる吸収性物品包装体を複数内包する吸収性物品包装体のパッケージであって、前記包装材が有する前記デザイン柄に対する前記止着テープの重なり部分が異なる複数の吸収性物品包装体を有することを特徴とする吸収性物品包装体のパッケージ。
【0038】
このような吸収性物品包装体のパッケージによれば、個包装体によってデザインの違いを楽しめる。
【0039】
===実施形態===
<<吸収性物品包装体の基本構成>>
図1Aは、吸収性物品包装体20の平面図であり、
図1Bは、吸収性物品包装体20の概略断面図である。
図2は、吸収性物品包装体20を開封して展開し、ナプキン1の肌側から見た状態の図である。
図3A及び
図3Bは、吸収性物品包装体20の折り畳み方法の説明図である。
【0040】
吸収性物品包装体20は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、又は吸収パッドである吸収性物品1と、吸収性物品1を包装する包装材10とを有する。吸収パッドとしては、具体的に、パッドタイプのおむつ、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、母乳パッド等の吸収性物品を例示できる。また、生理用ナプキンは
図2等に示すものに限らずショーツ型の生理用ナプキン等であってもよい。本実施形態の吸収性物品包装体20は、吸収性物品である生理用ナプキン1(以下「ナプキン」ともいう)が包装材10によって個別に包装されたものとする(以下「個包装体」ともいう)。
【0041】
ナプキン1は、
図2に示すように、互いに直交する長手方向及び短手方向を有するとともに、排泄液を吸収する吸収体2と、吸収体2よりも肌側に配置された液透過性のトップシート3と、吸収体2よりも非肌側に配置された液不透過性のバックシート(不図示)を有するものを例示できる。また、本実施形態のナプキン1は、長手方向の略中央部において、短手方向の外側に延出した一対のウィング部5を有するが、ウィング部5を有していないナプキンであってもよい。
【0042】
包装材10は、長方形状であるシート状の部材であり、互いに直交する長手方向及び短手方向を有する。以下の説明では、ナプキン1を包装する際に内側になる包装材10の面を内側面101といい、外側になる包装材10の面を外側面102という。また、包装材10は、吸収性物品包装体20の外部から(外側面102側から)視認可能なデザイン柄30を複数有する。このデザイン柄30は包装材10の内側面101側からも視認可能である。本実施形態では、包装材10のデザイン柄30として、動物(黒猫)の図柄を例示するが、これに限定されない。
【0043】
図2に示すように、個包装体20を開封して展開した状態において、包装材10の内側面101上に、ナプキン1がその肌側面を上にして配置されている。また、包装材10の短手方向とナプキン1の短手方向が沿い、包装材10の長手方向とナプキン1の長手方向が沿っている。本実施形態の個包装体20では、包装材10が、ナプキン1と共にナプキン1の肌側面を内側にし、短手方向に沿う2つの折り位置FL1,FL2にて折り畳まれているものとする。
【0044】
また、個包装体20を開封して展開した状態において、包装材10の長手方向一方側の端部には、止着テープ40が設けられている。止着テープ40は、その一部が包装材10の長手方向の外側に延出するように、包装材10の外側面102に接合されている。止着テープ40は、
図1Aに示すように、ナプキン1を内包して折り畳まれた包装材10の開封端10aを止着する。
【0045】
個包装体20は、製品状態(
図1A)において、互いに直交する横方向、縦方向、及び厚み方向を有する。個包装体20の横方向が包装材10及びナプキン1の短手方向に沿い、個包装体20の縦方向が包装材10及びナプキン1の長手方向に沿っている。また、個包装体20の横方向の両側部13では、包装材10が接合されている。接合方法は、例えば、ヒートシール、超音波シール、接着剤、これらの組み合わせ等、周知の接合方法を例示できる。
【0046】
ユーザーが、個包装体20の使用時に止着テープ40を把持して引っ張ると、ナプキン1の長手方向一方側(止着テープ40側)の折り位置FL1での折りが展開され、
図3Bの状態になる。この時、ウィング部5の上面の粘着部5A(
図3A参照)は剥離シート12で覆われている。さらに、ナプキン1の長手方向他方側の折り位置FL2での折りが展開されると、
図3Aの状態となる。
【0047】
<<止着テープ40について>>
図4Aは、止着テープ40の平面図であり、
図4Bは、止着テープ40の断面図である。
図5は、個包装体20における止着テープ40の位置を説明する図である。
図6A及び
図6Bは、使用済みナプキン1の廃棄方法を説明する図である。
図7A及び
図7Bは、止着テープ40の摘み部42が折れた状態を説明する図である。なお、図面の煩雑さを避けるため、一部の図では包装材10のデザイン柄30を省略している。
【0048】
包装材10の開封端10aを止着する止着テープ40は、互いに直交する縦方向及び横方向を有し、縦方向に延びた長方形状の部材である。止着テープ40の横方向が個包装体20の横方向に沿い(包装材10の開封端10aに沿う第1方向に沿い)、止着テープ40の縦方向が個包装体20の縦方向(第1方向に直交する第2方向)に沿うように、止着テープ40は個包装体20に配置されている。
【0049】
図1Bに示すように、個包装体20において、縦方向の一方側の包装材の部位101上に、縦方向の他方側の包装材の部位102が折り重ねられている。そのため、縦方向の一方側は、個包装体20の開封時に止着テープ40が剥離される包装材の部位101側となる。そして、縦方向の他方側は、個包装体20の開封時に止着テープ40が接合されたままとなる包装材の部位102側となる。つまり、縦方向の一方側が、止着テープ40の剥がし始めの側となる。
【0050】
また、
図4Bに示すように、止着テープ40は、その片側面において、粘着部401と、非粘着部402とを有する。粘着部401では、止着テープ40の片側面に塗布された粘着剤44が露出している。個包装体20において、止着テープ40の粘着部401は、包装材10の開封端10aを跨ぐように配置されており、止着テープ40は粘着部401を介して包装材10に接合されている。粘着部401の強度は、ユーザーが包装材10から止着テープ40を剥離可能な強度とする。また、粘着部401は、包装材10から止着テープ40が剥離された後、止着テープ40を包装材10に再接着可能とする。
【0051】
また、止着テープ40は、縦方向の一方側から順に、摘み部42、中間部43、及び、デザイン部41を有する。デザイン部41は、複数の柄部412と、透明部411とを備えている。透明部411とは光線透過率が70%以上の領域であり、柄部412とは光線透過率が70%未満の領域とする。発明者による試行の結果、光線透過率が70%以上である場合、ユーザーが透明であるという印象を持つことが分かったからである。
【0052】
本実施形態では、透明部411を無色透明とし、複数の柄部412として、有色(例えばピンク色)である複数のドット412が千鳥状に配置されたものを例示する。具体的には、無色透明のポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂素材に、柄部412が印刷されたものを、止着テープ40のデザイン部41とする。ただし上記に限定されず、透明部411は有色透明であってもよく、柄部412は白色であってもよい。また、柄部412の数は複数に限らず、1つであってもよい。柄部412の形状もドットに限らず、後述の
図8Bに示す星や、ハート、草花、動物等、種々の形状であってよい。また、柄部412は、文字や数字や記号等であってもよく、例えば商品名やサイズ、形式(羽付き)等を示すものであってもよい。
【0053】
そして、デザイン部41における透明部411の面積の割合は50%よりも大きいとする。すなわち、透明部411の面積を、デザイン部41全体の面積で除した値が0.5よりも大きいとする。つまり、デザイン部41において透明部411が主な領域であり、デザイン部41の一部分に柄部412が設けられている。本実施形態では、デザイン部41における透明部411の面積の割合を70%としている。
【0054】
また、
図4Bに示すように、デザイン部41の全てが止着テープ40の粘着部401と重なっており、包装材10に接合可能となっている。
【0055】
ところで、止着テープ40は、使用済みナプキン1の廃棄時に利用されることが多い。具体的に説明すると、ユーザーは、下着から使用済みナプキン1を取り外して丸めるとともに、個包装体20から新しいナプキン1を取り出して下着に取り付ける。そして、新しいナプキン1から分離された包装材10で、使用済みナプキン1を包み込む。その後、
図6A及び
図6Bに示すように、包装材10から止着テープ40を剥がし、止着テープ40で包装材10の端10aを止着する。そうすることで、包装材10及び使用済みナプキン1が開いて露出することなく、使用済みナプキン1を廃棄できる。
【0056】
本実施形態の止着テープ40では、デザイン部41の主な領域が透明部411となっている。そのため、ナプキン1の廃棄時に、ユーザーは、デザイン部41が包装材10の端10aを跨いでいることを、透明部411を介して視認し、確認しながら、止着テープ40を包装材10に配置できる。また、透明部411(デザイン部41)は、止着テープ40の粘着部401と重なり部分を有する。そのため、包装材10の端10aの一方側の包装材の部位103にも、他方側の包装材の部位104にも、止着テープ40の粘着部401を配置できる。よって、包装材10の端10aを止着テープ40でしっかりと止着できる。
【0057】
また、透明部411によって包装材10の端10aが視認可能となることで、ユーザー10は包装材10の端10a周辺を指で押すことができる。また、透明部411を介して視認される包装材10が、止着テープ40にしっかりと接合されており、浮いていないことを確認できる。
【0058】
このように、透明部411を備える止着テープ40は、使用済みナプキン1を包んだ包装材10に止着しやすく、包装材10に止着テープ40をしっかりと接合できる。よって、使用済みナプキンを包んだ包装材10が開いてしまうことを抑制できる。
【0059】
その他、止着テープ40が透明部411を備えていることで、一般のナプキンの包装体の止着テープとは異なる印象をユーザーに付与できる。よって、本実施形態の個包装体20では、ナプキンの包装体らしさが軽減され、ユーザーは個包装体20を携帯しやすくなる。
【0060】
また、デザイン部41は、透明部411のみで構成されるのではなく、柄部412を備えているため、包装材10と一体化しない。そのため、ユーザーは個包装体20における止着テープ41の位置を認知でき、個包装体20をスムーズに開封できる。また、柄部412によって止着テープ41のデザイン性も増す。
【0061】
なお、デザイン部41における透明部411の面積の割合は、周知の方法で確認するとよい。例えば、止着テープ40を撮影した画像に基づいて、面積算出プログラムを利用して確認できる。また、目視によって確認してもよい。後述する面積の割合(止着テープ40におけるデザイン部41の面積の割合、デザイン部41における柄部412の面積の割合、包装材10のデザイン柄30とデザイン部41の柄部412との面積比較)についても同様に確認できる。
【0062】
また、透明部411の光線透過率は、周知の方法で測定するとよい。例えば、日本電色工業株式会社製の測色色差計又はそれと同等のものを用いて、JIS K 7375に準拠して測定できる。後述する光線透過率(柄部412、摘み部42、中間部43の光線透過率)についても同様である。
【0063】
また、個包装体20において(
図5参照)、デザイン部41の少なくとも一部が、包装材10の開封端10aよりも縦方向の一方側(止着テープ40の剥がし始めの側)に配置されていることが好ましい。
【0064】
ナプキン1の廃棄時に、包装材10から止着テープ40を分離せずに、使用済みナプキン1を包んだ包装材10を止着テープ40で止着するユーザーもいる。その場合にも、上記であれば、ユーザーは、包装材10の開封端10aよりも縦方向の一方側のデザイン部41の部位を目印として、その部位を指で押すことができ、包装材10に止着テープ40を止着しやすい。また、透明部411を介して視認される包装材10が、止着テープ40に接合されており、浮いていないかを確認できる。そのため、包装材10に止着テープ40をしっかりと接合でき、使用済みナプキン1を包んだ包装材10が開いてしまうことを抑制できる。
【0065】
より好ましくは、止着テープ40におけるデザイン部41の面積の割合は50%以上であるとよい。換言すると、
図4Aに示すように、デザイン部41の縦方向の長さL1は、止着テープ40全体の縦方向の長さL2の半分以上であるとよい(L1≧L2/2)。本実施形態では、デザイン部41の縦方向の長さL1を13mm、中間部43の縦方向の長sを7mm、摘み部42の縦方向の長さを5mmとする。そして、個包装体20において、デザイン部41は、包装材10の開封端10aを跨ぎ、開封端10aよりも縦方向の他方側にも配置されているとよい。
【0066】
例えば、ナプキン1の廃棄時に、包装材10から止着テープ40を分離する場合(
図6A)、デザイン部41が大きいことで、デザイン部41(粘着部401)が包装材10の開封端10aを跨ぐように止着テープ40を配置しやすくなる。また、包装材10から止着テープ40を分離しない場合にも、デザイン部41が包装材10の開封端10aを跨ぐことで、透明部411を介して開封端10aが視認され、指で押すべき部位(開封端10aよりも縦方向の一方側の部位)が分かりやすくなる。
【0067】
また、
図4Bに示すように、止着テープ40では、縦方向の一方側の端部が、摘み部42となっている。摘み部42は非粘着部402であり、粘着剤44が露出していない。そのため、ユーザーは、個包装体20の開封時に、摘み部42を把持して止着テープ40を剥離できる。また、摘み部42によって、ユーザーは止着テープ40の剥離の方向を認知でき、個包装体20の折りを展開できる。
【0068】
そして、摘み部42は透明部を備えていないものとする。つまり、摘み部42の光線透過率は70%未満であるとする。好ましくは、摘み部42の光線透過率は50%未満であるとよく、より好ましくは、摘み部42の光線透過率は30%未満であるとよい。本実施形態では、摘み部42の全面が均一の濃度で着色されている(例えばピンク色に印刷されている)。
【0069】
そうすることで、摘み部42では、包装材10の色やデザイン柄30が透けて視認されにくく、摘み部42は包装材10と一体化しない。そのため、ユーザーは個包装体20における止着テープ41の位置を認知でき、個包装体20をスムーズに開封できる。
【0070】
【0071】
表1は、5種類のサンプル1~5の光線透過率、曇り度、目視による包装材10の視認性について評価した結果である。サンプル1は、乳白色のフィルムに濃いピンク色の印刷を施したものである。サンプル2は、無色透明のフィルムにマットニスを施したものである。サンプル3は、無色透明のフィルムにグロスニスを施したものである。サンプル4は、無色透明フィルムに濃いピンク色の印刷を施したものである。サンプル5は、無色透明フィルムに淡いピンク色の印刷を施したものである。
【0072】
光線透過率及び曇り度は、日本電色工業株式会社製の測色色差計を用いて、各サンプル単体で測定を行った。目視による包装材10の視認性については、本実施形態の包装材10の上にサンプル1~5をそれぞれ載置し、被験者が、各サンプルを介して包装材10のデザイン柄30が視認可能であるかの評価を行った。被験者が、デザイン柄30がはっきりと透けて見えると感じた場合には「○」、デザイン柄30がうっすらと透けて見えると感じた場合には「△」、デザイン柄30が見えないと感じた場合には「×」と、3段階で評価を行った。
【0073】
表1の結果から、光線透過率が40%前後の場合、包装材10のデザイン柄30がうっすらと透けて見える程度であることが分かった。そのため、光線透過率が50%以上であれば、包装材10のデザイン柄30が透けて見えやすい印象となることが分かった。換言すると、光線透過率が50%未満であれば、包装材10のデザイン柄30よりも止着テープ40の視認性が高まることが分かった。よって、上記のように、摘み部42の光線透過率を50%未満にすることが好ましい。そうすることで、ユーザーが個包装体20における摘み部42の位置を認知しやすくなる。
【0074】
また、
図4Aに示すように、止着テープ40は、縦方向におけるデザイン部41と摘み部42の間において、中間部43を有する。中間部43は、透明部411に比べて光線透過率が低く、かつ、摘み部42に比べて光線透過率が高くなっている。本実施形態では、中間部43の全面が摘み部42よりも淡い濃度で均一に着色されている(例えば淡いピンク色に印刷されている)。
【0075】
そのため、止着テープ40では、縦方向の他方側から一方側に向かって濃度が濃くなっており、縦方向に濃淡のグラデーションが形成されている。よって、ユーザーは止着テープ40の剥離の方向を認知でき、個包装体20の折りを展開できる。
【0076】
また、
図4Bに示すように、止着テープ40の縦方向の端部を折り返すことで、摘み部42を形成するとよい。この場合、折り返す前の止着テープ(不図示)において、片側全面に粘着剤44を塗布できる。そして、折り返された止着テープ40の部位で粘着剤44を覆うことができ、非粘着部402である摘み部42を形成できる。また、折り返す前の止着テープ(不図示)において、デザイン部41以外の部位を全面均一に着色できる。この場合にも、全面均一に着色された止着テープ40の部位のうち、止着テープ40が折り返されて2層になっている部位を、光線透過率の低い摘み部42とすることができ、止着テープ40の折り返しが重ならない1層の部位を、光線透過率の高い中間部43とすることができる。
【0077】
ただし、止着テープ40が折り返されて2層になっている部位を摘み部42とする場合、
図7Aに示すように、摘み部42の内側の端42aを起点に、摘み部42が立ち上がりやすい。この場合、個包装体20を厚み方向に見ると(
図7B)、摘み部42が視認されにくい。
【0078】
そのため、中間部43は、止着テープ40の粘着部401と重なり部分を有するとよい。本実施形態では中間部43の全域が粘着部401と重なる。そうすることで、個包装体20において中間部43は包装材10に接合される。よって、個包装体20を厚み方向に見た場合にも(
図7B)、中間部43は視認されやすい。そのため、ユーザーは、中間部43に基づき、個包装体20における止着テープ40の位置、及び、止着テープ40の剥離の方向を認知でき、個包装体20をスムーズに開封できる。
【0079】
また、デザイン部41における柄部412の面積の割合が小さ過ぎると、ユーザーが個包装体20における止着テープ40に位置を認知しにくくなる。そこで、デザイン部41における柄部412の面積の割合を15%以上にすることが好ましい(ただし50%未満)。そうすることで、ユーザーは、個包装体20における止着テープ40の位置を認知しやすく、個包装体20をスムーズに開封できる。
【0080】
また、デザイン部41の柄部412は、光線透過率の異なる部位を有することが好ましい。本実施形態の柄部412は、
図4Aに示すように、光線透過率が高い(例えば淡いピンク色の)ドット412Aと、光線透過率が低い(例えば濃いピンク色の)ドット412Bを有している。
【0081】
そうすることで、光線透過率が高い柄部412Aを介して包装材10を透かして視認しやすくなり、使用済みナプキン1を包んだ包装材10に止着テープ40を止着しやすくなる。一方、光線透過率が低い柄部412Bによって、個包装体20における止着テープ40の位置が認知されやすくなる。
【0082】
また、前述の表1の結果から、光線透過率が35%以上である場合、包装材10のデザイン柄30がうっすらと透けて見えることが分かった。そこで、デザイン部41の柄部412は、光線透過率が35%以上70%未満である部位(半透明部)を有するとよい。より好ましくは、光線透過率が50%以上70%未満である部位を有するとよい。そうすることで、柄部412を介して包装材10を透かして視認しやすくなり、使用済みナプキン1を包んだ包装材10に止着テープ40を止着しやすくなる。
【0083】
また、
図4Aに示すように、止着テープ40の縁40aの少なくとも一部に、透明部411が配置されていることが好ましい。換言すると、止着テープ40の縁40aに沿って柄部412が配置されていないことが好ましい。そうすることで、止着テープ40の輪郭が分かりにくくなる。よって、本実施形態の止着テープ40では、ナプキンの包装体の止着テープらしさを軽減できる。
【0084】
また、デザイン部41において、複数の柄部412が離散的に配置されていることが好ましい。つまり、デザイン部41の広い範囲に亘り、複数の柄部412が分散して配置されていることが好ましい。そうすることで、各柄部412の周囲の透明部411によって、包装材10を透かして視認しやすくなる。
【0085】
なお、本実施形態では、複数の柄部412(ドット)が、止着テープ40の縦方向及び横方向に等間隔で配置され、複数の柄部412が均等に分散して配置されている。ただしこれに限らず、複数の柄部412が間隔を空けて配置されていればよい。
【0086】
また、包装材10は、個包装体20の外部から視認可能なデザイン柄30を有する。本実施形態のデザイン柄30は動物(猫)の図柄であり、個包装体20は可愛らしいデザインとなっている。また、前述のように、本実施形態の止着テープ40は、透明部411を有しており、ナプキンの包装体の止着テープらしさが軽減されている。そのため、例えば、ナプキンの使用期間が短いユーザーである若年層であっても、個包装体20を携帯しやすくなっている。ただし、包装材10はデザイン柄を有していなくてもよい。その場合にも、本実施形態の止着テープ40を適応でき、使用済みナプキン1を包んだ包装材を止着テープ40によって止着しやすくなる。
【0087】
また、止着テープ40の透明部411を介して包装材10のデザイン柄30が透けて視認可能となる。さらに、包装材10が有する1つのデザイン柄30(猫)の面積は、止着テープ40が有する1つの柄部412(ドット)の面積よりも大きいことが好ましい。換言すると、個包装体20において、包装材10のデザイン柄30(猫)の横方向の長さが、止着テープ40の柄部412(ドット)の横方向の長さよりも長いことと、デザイン柄30(猫)の縦方向の長さが、止着テープ40の柄部412(ドット)の縦方向の長さよりも長いこととのうちの、少なくとも一方であるとよい。
【0088】
そうすることで、柄部412において、包装材10のデザイン柄30の全てが隠れてしまうことを防止でき、個包装体20のデザイン性の低下を抑制できる。なお、包装材10が有するデザイン柄30のうち、最大のデザイン柄30の面積が最小の柄部412の面積よりも大きければよく、より好ましくは、最小のデザイン柄30の面積が最大の柄部412の面積よりも大きいとよい。
【0089】
また、包装材10のデザイン柄30は、包装材10の内側面101に印刷されており、外側面102から透けて視認可能であることが好ましい。つまり、包装材10の外側面102側から視認可能なデザイン柄30Aの濃度が、包装材10の内側面101側から視認可能なデザイン柄30Bの濃度よりも淡いとよい。
【0090】
そうすることで、例えば、本実施形態の包装材10のデザイン柄30のように黒猫である場合にも、止着テープ40と重なる包装材10の黒猫(デザイン柄30A)の濃度が淡くなる。そのため、包装材10のデザイン柄30Aによって、止着テープ40の視認性が低下してしまうことを抑制できる。よって、個包装体20における止着テープ40の位置がユーザーに認知される。
【0091】
なお、デザイン柄30A,30Bの濃度の比較は周知の方法で行うとよい。例えば、測色器(コニカミノルタ社製の色彩色差計CR-300等)を用いて、デザイン柄30A,30Bの「色差」を測定する方法を例示できる。
具体的に説明すると、まず、測定対象の包装材10の下に、白色の不織布(15g/m2のSMS不織布)10枚を配置する。
次に、色差計を用いて、剥離シートが位置しないデザイン柄30A,30Bの部位、及び、白色の不織布を測定する。包装材10の内側面101側から視認可能なデザイン柄30Bを測定する場合には、包装材10の内側面101を上にし、包装材10の外側面102側から視認可能なデザイン柄30Aを測定する場合には、包装材10の外側面102を上にする。なお、測定値(L*値、a*値、b*値)は複数回(例えば5回)測定した値の平均値を用いるとよい。
次に、白色の不織布の測定結果と、各デザイン柄30A,30Bの測定結果との差(ΔL*、Δa*、Δb*)に基づき、白色に対する各デザイン柄30A,30Bの色差ΔE*abを次式にて算出する。
ΔE*ab=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
この色差ΔE*abで比較するとよい。
【0092】
<<止着テープ40の変形例>>
図8A及び
図8Bは、止着テープ40の変形例を説明する図である。上記実施形態の止着テープ40(
図4A)では、摘み部42が均一の濃度で着色されているがこれに限らない。例えば、
図8Aに示すように、製造途中の止着テープ40’の全面が、透明部411及び柄部412から構成されていてもよい。そして、透明部411及び柄部412から構成される部位(つまりデザイン部41)を折り返すことによって、非粘着部402である摘み部42を形成してもよい。この摘み部42は、デザイン部41が折り返された部位である第1層部45と、第1層部45に重なるデザイン部41の部位である第2層部46とを有する。
【0093】
この場合、
図8Bに示すように、第1層部45の柄部412Aの少なくとも一部が、第2層部46の柄部412Bとずれていることが好ましい。そうすることで、摘み部42では、デザイン部41に比べて、柄部412の面積比率が高まり、摘み部42の視認性が高まる。よって、摘み部42により、個包装体20における止着テープ40の位置がユーザーに認知されやすくなる。
【0094】
また、図示しないが、デザイン部41のみで構成される止着テープや、中間部43を有さずデザイン部41及び摘み部42から構成される止着テープであってもよい。また、摘み部42が、資材の折り返しで形成されるのではなく、1層の資材で形成されていてもよい。また、デザイン部41(透明部411)の一部だけが粘着部401と重なった止着テープや、非粘着部402を有さない止着テープや、摘み部42が粘着部401と重なった止着テープであってもよい。
【0095】
また、個包装体20における止着テープ40のデザイン部41の位置も、上記の実施形態に限定されない。例えば、包装材10の開封端10aをデザイン部41が跨いでいなかったり、包装材10の開封端10aよりも縦方向の一方側にデザイン部41が位置していなかったりしてもよい。
【0096】
<<パッケージ50>>
図9Aは、個包装体20のパッケージ50の概略斜視図である。
図9B及び
図9Cは、パッケージ50が内包する個包装体20の平面図である。
図9Aに示すように、個包装体20はパッケージ50(袋体)に複数内包された状態で流通する。その場合、パッケージ50は、
図9B及び
図9Cに示すように、包装材10が有するデザイン柄30に対する止着テープ40の重なり部分が異なる複数の個包装体20を有することが好ましい。そうすることで、個包装体20によってデザインの違いを楽しめる。
【0097】
また、包装材10のデザイン柄30に対する止着テープ40の重なり部分が小さい個包装体20(例えば
図9B)を見たユーザーの潜在意識には、止着テープ40のデザインが刷り込まれる。そのため、ユーザーは、包装材10のデザイン柄30に対する止着テープ40の重なり部分が大きい個包装体20(例えば
図9C)を見たときも、止着テープ40を認知しやすくなる。
【0098】
以上、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0099】
1 ナプキン(吸収性物品)、
2 吸収体、3 トップシート、5 ウィング部、
10 包装材、
20 個包装体(吸収性物品包装体)
30 (包装材の)デザイン柄、
40 止着テープ、401 粘着部、402 非粘着部、
41 デザイン部、411 透明部、412 柄部、
42 摘み部、43 中間部、44 粘着剤、
50 パッケージ、