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特許7049942吸塵ビットの共回り防止アタッチメント、ハンマードリル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】吸塵ビットの共回り防止アタッチメント、ハンマードリル
(51)【国際特許分類】
   B25D 17/18 20060101AFI20220331BHJP
【FI】
B25D17/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018120099
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020001104
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-128678(JP,U)
【文献】特開2002-192474(JP,A)
【文献】特開2012-016790(JP,A)
【文献】特開2011-016211(JP,A)
【文献】米国特許第04111060(US,A)
【文献】特開2013-159044(JP,A)
【文献】実開昭54-100901(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第03522255(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B1/00-33/00
B25D1/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵用のホースを取り付けるためのホース取付部を備えて電動工具の前端に装着される吸塵ビットを用いる際に、前記吸塵ビットの回転に伴う前記ホース取付部の回転を規制するための共回り防止アタッチメントであって、
前記電動工具の筒状のハウジングに取り付けられるリング状の結合部と、
前記結合部の下面から左右に所定間隔をおいて下方へ突出した後、前方へ折曲する倒L字状となる左右一対の腕部と、を含み、
前記結合部を前記ハウジングに結合した状態で、前記腕部が前記ホース取付部を左右から挟持して前記ホース取付部の回転方向の動きを規制することを特徴とする共回り防止アタッチメント。
【請求項2】
前記結合部は、前記吸塵ビットの軸周り方向での複数の向きで前記ハウジングに取り付け可能であることを特徴とする請求項に記載の共回り防止アタッチメント。
【請求項3】
集塵用のホースを取り付けるためのホース取付部を備え、サイドハンドルを装着した電動工具の前端に装着される吸塵ビットを用いる際に、前記吸塵ビットの回転に伴う前記ホース取付部の回転を規制するための共回り防止アタッチメントであって、
前記サイドハンドルに取り付けられ、前記電動工具が貫通可能なリング状の結合部と、
前記結合部の下面から左右に所定間隔をおいて下方へ突出した後、前方へ折曲する倒L字状となる左右一対の腕部と、を含み、
前記電動工具を貫通させた前記結合部を前記サイドハンドルに結合した状態で、前記腕部が前記ホース取付部を左右から挟持して前記ホース取付部の回転方向の動きを規制することを特徴とする共回り防止アタッチメント。
【請求項4】
前記サイドハンドルは、前記電動工具へ結合した状態で前記吸塵ビットの軸周り方向での向きを変更可能であることを特徴とする請求項に記載の共回り防止アタッチメント。
【請求項5】
集塵用のホースを取り付けるためのホース取付部を備えた吸塵ビットを装着すると共に、請求項1乃至の何れかに記載の共回り防止アタッチメントを設けて前記ホース取付部の回転を規制可能としたことを特徴とするハンマードリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具を用いて穿孔作業を行う際に使用される吸塵ビットと、その吸塵ビットを装着したハンマードリルとに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具を用いてコンクリートや石材に孔を加工する場合、電動ドリル等にドリルビットを装着してドリルビットの回転により穿孔作業が行われる。このとき、発生した粉塵が飛散しないように、特許文献1には、ビット本体内に吸塵路を設けて、吸塵路の一端をビット本体の先端に開口させ、他端をビット本体の中間部側面に開口させて、当該開口を覆う吸塵用アダプタ(ホース取付部)をビット本体に外装させた吸塵ビットが開示されている。この吸塵用アダプタにホースを介して集塵機に接続することで、吸塵ビットの先端から粉塵を吸い込んで吸塵路を通過させ、吸塵用アダプタから集塵可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5939615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の吸塵ビットでは、ホース取付部はビット本体にシール状態で外装されているに過ぎないため、ビット本体が回転するとビット本体とホース取付部との間の摩擦によってホース取付部に回転付勢力が加わり、ホース取付部がホースを接続したまま回転(共回り)しようとする。このためホースが電動工具や作業者に絡まって作業性を低下させるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、吸塵ビットのホース取付部の共回りを効果的に抑制できる共回り防止アタッチメントと、その共回り防止アタッチメントを用いたハンマードリルとを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、集塵用のホースを取り付けるためのホース取付部を備えて電動工具の前端に装着される吸塵ビットを用いる際に、吸塵ビットの回転に伴うホース取付部の回転を規制するための共回り防止アタッチメントであって、
電動工具の筒状のハウジングに取り付けられるリング状の結合部と、
結合部の下面から左右に所定間隔をおいて下方へ突出した後、前方へ折曲する倒L字状となる左右一対の腕部と、を含み、
結合部をハウジングに結合した状態で、腕部がホース取付部を左右から挟持してホース取付部の回転方向の動きを規制することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、結合部は、吸塵ビットの軸周り方向での複数の向きでハウジングに取り付け可能であることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、集塵用のホースを取り付けるためのホース取付部を備え、サイドハンドルを装着した電動工具の前端に装着される吸塵ビットを用いる際に、吸塵ビットの回転に伴うホース取付部の回転を規制するための共回り防止アタッチメントであって、
サイドハンドルに取り付けられ、電動工具が貫通可能なリング状の結合部と、
結合部の下面から左右に所定間隔をおいて下方へ突出した後、前方へ折曲する倒L字状となる左右一対の腕部と、を含み、
電動工具を貫通させた結合部をサイドハンドルに結合した状態で、腕部がホース取付部を左右から挟持してホース取付部の回転方向の動きを規制することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項の構成において、サイドハンドルは、電動工具へ結合した状態で吸塵ビットの軸周り方向での向きを変更可能であることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項に記載の発明は、ハンマードリルであって、集塵用のホースを取り付けるためのホース取付部を備えた吸塵ビットを装着すると共に、請求項1乃至の何れかに記載の共回り防止アタッチメントを設けてホース取付部の回転を規制可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1,3及びに記載の発明によれば、電動工具又はサイドハンドルに結合する結合部と、結合部を電動工具又はサイドハンドルに結合した状態でホース取付部を左右から挟持してホース取付部の回転方向の動きを規制する一対の腕部とを備えたことで、吸塵ビットのホース取付部の共回りを効果的に抑制することができる。
特に、請求項3に記載の発明によれば、結合部を電動工具に装着したサイドハンドルに結合することで、電動工具のハウジングに結合できないような場合でもサイドハンドルを利用して共回り防止アタッチメントを確実に取り付け可能となる。
また、ホース取付部の回転を一対の腕部で規制するので、ホース取付部の共回りの抑制を容易に行うことができる。
請求項に記載の発明によれば、上記効果に加えて、結合部を、吸塵ビットの軸周り方向での複数の向きでハウジングに取り付け可能としたことで、ホース取付部の向きに合わせて共回り防止アタッチメントの向きを適正に選択して取り付けできる。
請求項に記載の発明によれば、上記効果に加えて、サイドハンドルは、電動工具結合した状態で吸塵ビットの軸周り方向での向きを変更可能であるので、ホース取付部の向きに合わせて共回り防止アタッチメントの向きもサイドハンドルと共に変更でき、使い勝手が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】形態1の共回り防止アタッチメントを用いたハンマードリルの斜視図である。
図2】形態1の共回り防止アタッチメントを用いたハンマードリルの中央縦断面図である(ビット本体は中略)。
図3図2のA-A線拡大断面図である。
図4】形態1の共回り防止アタッチメントの斜視図である。
図5】形態1の共回り防止アタッチメントの説明図で、(A)は平面、(B)は側面、(C)は背面をそれぞれ示す。
図6】形態2の共回り防止アタッチメントを用いたハンマードリルの斜視図である。
図7】形態2の共回り防止アタッチメントを用いたハンマードリルの中央縦断面図である(ビット本体は中略)。
図8図7のB-B線拡大断面図である。
図9】形態2の共回り防止アタッチメントの斜視図である。
図10】形態2の共回り防止アタッチメントの説明図で、(A)は平面、(B)は側面、(C)は背面をそれぞれ示す。
図11】形態3の共回り防止アタッチメントを用いたハンマードリルの斜視図である。
図12】形態3の共回り防止アタッチメントを用いたハンマードリルの中央縦断面図である(ビット本体は中略)。
図13図12のC-C線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[形態1]
図1は、吸塵ビット及びその共回り防止アタッチメントを装着したハンマードリルの一例を示す斜視図、図2は中央縦断面図である。
まず、吸塵ビット1は、金属製のビット本体2と、ビット本体2に装着される弾性変形可能な樹脂製のホース取付部3とを備えてなる。ビット本体2は、前端に切れ刃5を備えた刃部4と、刃部4の後方へ同軸で形成される刃部4より大径軸状の中間部6と、中間部6の後方へ同軸で形成されて中間部6より小径のシャンク部7とからなる。ホース取付部3は、中間部6へ直交状に装着されている。
【0010】
刃部4及び中間部6の軸心には、両者に跨がって吸塵路8が形成されている。刃部4内での吸塵路8の前端は、二股に分岐されて前方に延び、刃部4の前端面に一対の吸込口9,9を開口させている。吸塵路8の後端は、中間部6内で半径方向外側へ折曲し、中間部6の側面に出口10を開口させている。
中間部6は、前後両端寄りの外周に、ホース取付部3の前後の端面を位置決めする前フランジ11と後フランジ12とをそれぞれ有している。
シャンク部7の後端には、後述するハンマードリル20のツールホルダ28に差込装着するための左右一対の図示しない抜け止め凹部と、上下一対の回り止め溝13,13とがそれぞれ形成されている。
ホース取付部3は、前フランジ11と後フランジ12との間で中間部6へ相対回転可能に外装される筒状の外装部14と、外装部14と連設されて半径方向外側へ突出し、先端面が開口する筒状部15とからなる。外装部14における筒状部15との連設部分は開口して筒状部15と連通し、中間部6の出口10を筒状部15内に開放させている。
【0011】
ハンマードリル20は、前後方向に延びる筒状のハウジング21の後部に、モータ22を、出力軸23を前向きにして収容している。モータ22の前方には、出力軸23から回転伝達される中間軸24が前後方向に支持されて、中間軸24に、前方から第1ギア25、クラッチ26,26、ボススリーブ27が備えられている。中間軸24の上方には、ビットを先端に差し込み可能な筒状のツールホルダ28が、中間軸24と平行に軸支されている。ツールホルダ28には、後方からピストンシリンダ29が遊挿されて、ピストンシリンダ29の後端には、ボススリーブ27にスワッシュベアリング30を介して外装されたアーム31の上端が連結されている。ピストンシリンダ29の内部には、空気室32を介してストライカ33が前後移動可能に外装されて、その前方に設けたインパクトボルト34を打撃可能としている。第1ギア25は、ツールホルダ28に装着された第2ギア35と噛合している。ツールホルダ28の前端は、ハウジング21から前方へ突出しており、当該前端に外装された操作スリーブ36によってビットが着脱可能となっている。
【0012】
ハウジング21の前端で操作スリーブ36の後方には、操作スリーブ36よりもやや大径の円板部37が形成されている。この円板部37の外周面には、図3に示すように、左右両側と、左右両側から45°ずつ上下に位相をずらした位置とにそれぞれ複数の切欠き38,38・が形成されている。
【0013】
一方、ハウジング21の後端には、スイッチ40及びスイッチレバー41を備えたハンドル39が下向きに形成されている。
さらに、ハウジング21の下面には、動作モードを切り替えるための切替ツマミ42が設けられている。ここでは切替ツマミ42を操作することでクラッチ26,26をスライドさせて、第1ギア25のみと係合する状態、ボススリーブ27のみと係合する状態、第1ギア25及びボススリーブ27と同時に係合する状態の何れかを選択することで、第2ギア35を介してツールホルダ28が回転してビットを回転させるドリルモード、アーム31の揺動によってピストンシリンダ29を往復動させ、連動するストライカ33によってインパクトボルト34を介してビットを打撃するハンマーモード、ツールホルダ28の回転とインパクトボルト34の打撃とを同時に行うハンマードリルモードの選択が可能となっている。
ハウジング21の前端で円板部37より後方には、ハウジング21の前端をクランプするクランプ部44と、クランプ部44から外側へ突出するグリップ部47とからなるサイドハンドル43が装着されている。
【0014】
そして、共回り防止アタッチメント50は、樹脂成形品で、図4,5に示すように、ハウジング21の円板部37に外嵌するリング状の結合部51と、結合部51の下面から左右に所定間隔をおいて突出した後、前方へ折曲する倒L字状となる係合部としての左右一対の腕部52,52と、腕部52,52の間で先端部分を除いて腕部52,52同士を繋ぐ連結板53とを備えてなる。結合部51は、前側よりも後端が大径となる二段径に形成されて、後端の大径部54の内周で左右両側には、横断面が半円状で前後方向に延びる係合突起55,55が形成されている。また、結合部51の後端内周には、周方向に等間隔をおいてストッパ56,56・・が突設されている。
【0015】
以上の如く構成された共回り防止アタッチメント50は、ハンマードリル20のハウジング21の前方から結合部51の大径部54を、腕部52,52を前向きとした姿勢で、内周の係合突起55,55を円板部37の左右の切欠き38,38に合わせた位相で円板部37に外装して、ストッパ56,56・・が円板部37の後側に乗り越えるまで押し込む。すると、共回り防止アタッチメント50は、係合突起55,55と切欠き38,38との係合により回り止めされた状態で、且つストッパ56,56・・が円板部37に後方から係止することで前方へ抜け止めされた状態で結合される。
この状態で吸塵ビット1を、ホース取付部3の筒状部15が腕部52,52の間に位置する下向き状態として、シャンク部7をツールホルダ28に差し込んで操作スリーブ36で装着すると、吸塵ビット1は、筒状部15が腕部52,52の間で挟持されてホース取付部3が回り止めされた状態で装着される。筒状部15には、集塵機に接続される図示しないフレキシブルホースが接続される。
【0016】
そして、ハンマードリルモード(若しくはドリルモード)を選択した状態で、刃部4の先端を床や天井等におけるアンカボルトの打ち込み位置にセットし、ハンマードリル20のスイッチレバー41を押し込み操作すると、スイッチ40がONしてモータ22が駆動し、中間軸24が回転してツールホルダ28が回転する。よって、吸塵ビット1のビット本体2がツールホルダ28と共に回転し、刃部4による穿孔が可能となる。
穿孔作業中に集塵機を動作させると、発生した粉塵が切れ刃5の前端面の吸込口9,9から外気と共に吸い込まれ、そのまま吸塵路8を通って出口10からホース取付部3の筒状部15に至り、フレキシブルホースから集塵機に集塵される。よって、形成した下穴に粉塵が残ることなく穿孔作業が行える。
【0017】
このとき、ビット本体2が回転することで、ビット本体2との摩擦によりホース取付部3に回転付勢力が加わるが、ホース取付部3は共回り防止アタッチメント50の腕部52,52によって挟持されているので、ビット本体2との共回りが規制される。
なお、作業に応じてホース取付部3の向き(フレキシブルホースの引き回しの向き)を変えたい場合は、共回り防止アタッチメント50の結合部51もホース取付部3の向きに合わせて吸塵ビット1の軸周り方向での向きを変更すれば、係合突起55,55が円板部37に設けた何れかの切欠き38に係合するため、結合部51を選択した回転位置で固定できる。
【0018】
このように、上記形態1の共回り防止アタッチメント50及びハンマードリル20によれば、ハンマードリル20側に結合される結合部51と、結合部51をハンマードリル20側に結合した状態でホース取付部3に係合してホース取付部3の回転方向の動きを規制する係合部(腕部52,52)とを備えたことで、吸塵ビット1のホース取付部3の共回りを効果的に抑制することができる。
特にここでは、結合部51を、ハンマードリル20の一部(ハウジング21)に直接結合しているので、共回り防止アタッチメント50を確実に取り付け可能となる。
また、係合部を、ホース取付部3を挟持する一対の腕部52,52としているので、ホース取付部3の共回りの抑制を容易に行うことができる。
さらに、結合部51を、吸塵ビット1の軸周り方向での複数の向きで取り付け可能としているので、ホース取付部3の向きに合わせて共回り防止アタッチメント50の向きを適正に選択して取り付けできる。
【0019】
なお、上記形態1において、結合部及び係合部は上記構造に限定するものではなく、結合部では係合突起の数や形状、円板部では切欠きの数や形状を変更可能であるのに加えて、円板部をなくして結合部の取付をバンドやネジによる緊締によって行ったりしてもよい。また、結合部はハウジングの前端よりも後方側に結合してもよい。
さらに、係合部は、腕部を長くしたり、先端を対向状に折り曲げたりする設計変更に加え、腕部に代えて、ホース取付部が係合する切欠きや透孔を先端に有する板状体や棒状体としたりしても差し支えない。
【0020】
次に、本発明の他の形態を説明する。但し、吸塵ビット1及びハンマードリル20の構成は形態1と略同じであるため、同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
[形態2]
図6,7に示すように、ここで用いられる共回り防止アタッチメント50Aの結合部51は、ハンマードリル20のハウジング21ではなくサイドハンドル43に結合されている。このサイドハンドル43は、図8に示すように、ハウジング21の前部を外装するC状のクランプ部44と、クランプ部44の両端に同軸で設けた筒部45,45と、筒部45,45に右側から貫通するボルト46と、ボルト46が螺合するナット48を保持して左側の筒部45へ回転可能に差し込まれるグリップ部47とからなる。よって、クランプ部44をハウジング21の前部に外装させた状態でグリップ部47をナット48の締め付け方向へ回転させると、筒部45,45同士が接近してクランプ部44がハウジング21を緊締してクランプできる。逆にグリップ部47をナット48を緩める方向へ回転させると、筒部45,45同士が離間してクランプ部44によるハウジング21の緊締が解除され、グリップ部47を任意の角度へ回転させたり、サイドハンドル43を取り外したりすることができる。
【0021】
共回り防止アタッチメント50Aの結合部51の上端には、図9,10に示すように、後方が開口する側面視C字状の嵌合筒60が一体に形成されて、サイドハンドル43の筒部45,45へ前方から弾性的に嵌合可能となっている。嵌合筒60の内面(後面)には、筒部45,45の前面に設けた平坦面に当接する平面部61が形成されている。
また、結合部51の下部には、サイドハンドル43のクランプ部44の下部が嵌合する半円帯状の受け部62が形成されて、受け部62の左右両端で後端縁には、クランプ部44の背面に係合するストッパ63,63が形成されている。
なお、ここでのハウジング21には形態1のように円板部37が設けられておらず、結合部51の内径は、ハウジング21の外径よりも大きくなっている。
【0022】
以上の如く構成された共回り防止アタッチメント50Aは、サイドハンドル43を装着したハンマードリル20のハウジング21の前方から結合部51を、腕部52,52を前向きとした姿勢でハウジング21に外装させる。そして、そのまま嵌合筒60をサイドハンドル43の筒部45,45に前方から嵌合させると共に、受け部62をクランプ部44の下部に嵌合させて、ストッパ63,63がクランプ部44の後側に乗り越えるまで押し込む。すると、結合部51は、嵌合筒60と筒部45,45との嵌合により回り止めされた状態で、且つストッパ63,63がクランプ部44に後方から係止することで前方へ抜け止めされた状態でクランプ部44に結合される。
【0023】
この状態で吸塵ビット1を、ホース取付部3の筒状部15が腕部52,52の間に位置する下向き状態として、シャンク部7をツールホルダ28に差し込んで操作スリーブ36で装着すると、吸塵ビット1は、筒状部15が腕部52,52の間で挟持されてホース取付部3が回り止めされた状態で装着される。
よって、吸塵ビット1で穿孔作業を行ってビット本体2が回転しても、ホース取付部3がビット本体2と共回りすることはない。
また、ここで作業に応じてホース取付部3の向き(フレキシブルホースの引き回しの向き)を変えたい場合は、グリップ部47の操作でクランプ部44を緩めてサイドハンドル43をホース取付部3の向きに合わせて回転させれば、共回り防止アタッチメント50Aもサイドハンドル43と一体に回転するため、選択した回転位置で固定できる。
【0024】
このように、上記形態2の共回り防止アタッチメント50A及びハンマードリル20においても、ハンマードリル20側であるサイドハンドル43に結合される結合部51と、結合部51をハンマードリル20側に結合した状態でホース取付部3に係合してホース取付部3の回転方向の動きを規制する係合部(腕部52,52)とを備えたことで、吸塵ビット1のホース取付部3の共回りを効果的に抑制することができる。
特にここでは、結合部51を、ハンマードリル20に装着したサイドハンドル43に結合しているので、ハウジング21に結合できないような場合でもサイドハンドル43を利用して共回り防止アタッチメント50Aを確実に取り付け可能となる。
また、結合部51は、サイドハンドル43に結合した状態でサイドハンドル43ごと吸塵ビット1の軸周り方向での向きを変更可能であるため、ホース取付部3の向きに合わせて共回り防止アタッチメント50の向きもサイドハンドル43と共に変更でき、使い勝手が良好となる。
【0025】
なお、この形態2でも結合部や係合部の形状は適宜変更可能で、結合部はサイドハンドルの形状に合わせて変更すればよいし、筒部でなくクランプ部のみに嵌合するように形成してもよい。サイドハンドルも一本のグリップ部を備えた形状に限らず、ループ状のグリップ部が設けられるものであっても共回り防止アタッチメントの取り付けは可能である。
【0026】
[形態3]
図11~13に示す共回り防止アタッチメント50Bは、ホース取付部3へ一体に設けられている。すなわち、ホース取付部3の筒状部15の後面に一体形成されて後方へ延びる結合部としての結合アーム65と、結合アーム65の後端に一体形成される平面視U字状の係合部としての把持部66とからなり、吸塵ビット1をハンマードリル20に装着した状態で、把持部66がハウジング21の下部前面に嵌合することで、結合アーム65を介してホース取付部3の回転を規制するものである。
よって、吸塵ビット1で穿孔作業を行ってビット本体2が回転しても、ホース取付部3がビット本体2と共回りすることが防止される。
【0027】
このように、上記形態3の共回り防止アタッチメント50B及びハンマードリル20においても、ホース取付部3に結合される結合アーム65と、ハンマードリル20のハウジング21に係合してホース取付部3の回転方向の動きを規制する係合部(把持部66)とを備えたことで、吸塵ビット1のホース取付部3の共回りを効果的に抑制することができる。
特にここでは、結合部を、ホース取付部3へ一体に結合される結合アーム65としているので、ホース取付部3を共回り防止アタッチメント50Bと兼用した合理的な構成となる。
【0028】
なお、係合部の形状は上記形態3の平面視U字状の把持部に限らず、ハウジングの形態に合わせて適宜変更できる。また、ハウジングでなくサイドハンドル等に係合部を係合させることも可能である。
さらに、上記形態3では、結合アームをホース取付部と一体に設けているが、結合アームの前端にホース取付部に外装されるリング部や筒部を設ける等して結合アームをホース取付部と別体に設けてもよい。
【0029】
その他、各形態に共通して、吸塵ビットの構造も、刃部が短いものやホース取付部の位置や形状が異なるものであっても本発明は適用可能である。
一方、ハンマードリルの形態も、モータの向き(例えば出力軸を上向きとした配置)や種類(例えばブラシレスモータ)、打撃機構等の内部機構(例えばクランク機構を用いたものやインパクトボルトがないもの)、電源(バッテリーパックを備えるもの)等、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0030】
1・・吸塵ビット、2・・ビット本体、3・・ホース取付部、4・・刃部、6・・中間部、7・・シャンク部、8・・吸塵路、9・・吸込口、10・・出口、14・・外装部、15・・筒状部、20・・ハンマードリル、21・・ハウジング、22・・モータ、23・・出力軸、24・・中間軸、28・・ツールホルダ、37・・円板部、38・・切欠き、43・・サイドハンドル、44・・クランプ部、45・・筒部、50,50A,50B・・共回り防止アタッチメント、51・・結合部、52・・腕部、55・・係合突起、56,63・・ストッパ、60・・嵌合筒、62・・受け部、65・・結合アーム、66・・把持部。
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