(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-30
(45)【発行日】2022-04-07
(54)【発明の名称】基板の一部の領域を洗浄する装置および方法
(51)【国際特許分類】
G03F 1/82 20120101AFI20220331BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
G03F1/82
H01L21/304 644G
H01L21/304 644B
(21)【出願番号】P 2019547188
(86)(22)【出願日】2017-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2017079502
(87)【国際公開番号】W WO2018091604
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-09-01
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507146108
【氏名又は名称】ズース マイクロテク フォトマスク エクイップメント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Suss MicroTec Photomask Equipment GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Ferdinand-von-Steinbeis-Ring 10, D-75447 Sternenfels, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】ダッティーロ、ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】ディーツェ、ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】サマヨア、マーティン
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0198875(US,A1)
【文献】特開2009-295840(JP,A)
【文献】特開2016-188932(JP,A)
【文献】特表2013-510332(JP,A)
【文献】特開昭58-182826(JP,A)
【文献】特開2014-220495(JP,A)
【文献】特開2012-043992(JP,A)
【文献】特開昭62-188322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/82
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、特に、フォトマスクの一部の領域を洗浄するための装置であって、
洗浄すべき基板領域の上方であって、かつ前記基板領域に近接するように配置された下面を有するクリーニングヘッドと、
研磨テープの一部が、前記下面に形成された中央開口から突き出すように、前記中央開口に研磨テープを供給するテープ供給機構と、
前記中央開口またはその近傍で前記研磨テープの裏側に液体を供給するように配置された出口を有する液体媒体導管と、を備え、
前記下面は、
該下面に形成された前記中央開口と、
前記中央開口を取り囲む第1環状溝と、
前記第1環状溝と前記中央開口との間に位置する少なくとも1つの第2溝と、を有しており、
前記第1環状溝は、外部供給源への接続を可能とする第1ポートに連通しており、
前記第
2溝は、外部供給源への接続を可能とする第2ポートに連通している、装置。
【請求項2】
前記下面は、実質的に平面である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第2溝は、前記中央開口の両側に配置された2つの溝である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2溝は、前記中央開口を取り囲む環状の溝である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、液体媒体源と真空源をさらに備えており、前記液体媒体源は前記第2ポートに接続され、前記真空源は前記第1ポートに接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、液体媒体源と真空源をさらに備えており、前記液体媒体源は前記第1ポートに接続され、前記真空源は前記第2ポートに接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記クリーニングヘッドは単一材料体を備えており、前記単一材料体は、その内部に形成された複数の内部通路を有し、前記複数の内部通路は、前記第1
環状溝および前記第2溝を前記第1ポートおよび前記第2ポートにそれぞれ接続している、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記第1
環状溝に向かって開口する複数の流れ開口の第1グループと、前記第2溝に向かって開口する複数の流れ開口の第2グループと、をさらに備え、
前記流れ開口の前記第1グループおよび前記第2グループは共通の通路に接続されており、前記共通の通路は、前記第1グループを前記第1ポートに接続し、かつ前記第2グループを前記第2ポートに接続している、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1
環状溝および前記第2溝のうちの少なくとも一方は、前記溝を前記ポートに接続する通路に合流する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1
環状溝または前記第2溝を前記ポートに接続する前記複数の通路のうちの少なくとも1つの流れ断面は、前記ポートから前記溝に向かって減少する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、アームと、移動機構と、をさらに備えており、
前記アームは、その第1端部で、前記移動機構に旋回可能に取り付けられており、
前記クリーニングヘッドは、前記アームの第2端部に取り付けられており、
前記移動機構は、前記アームを移動させることで、前記クリーニングヘッドを所定の経路に沿って移動させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記移動機構は、直線移動機構であり、かつ前記アームの延びる方向と実質的に平行な経路に沿って前記アームを移動させるように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記テープ供給機構は、前記クリーニングヘッドの前記下面の前記中央開口に向かう方向に前記テープを供給するように配置されており、前記クリーニングヘッドは前記移動機構の移動方向と一直線上にある、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、前記テープの供給速度が前記移動機構の移動と同期するように、前記テープ供給機構および前記移動機構を制御するコントローラをさらに備えている、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記テープ供給機構は、テープ供給リールと、テープ巻き取りリールと、少なくとも1つのガイド要素と、を備えており、
前記少なくとも1つのガイド要素は、前記テープを前記テープ供給リールから前記クリーニングヘッドの前記下面の前記中央開口に案内して、前記中央開口から所定の距離だけ突出させ、さらに前記テープを前記テープ巻き取りリールまで案内するように構成され、
前記テープ供給リールおよび前記テープ巻き取りリールは、前記クリーニングヘッドの前記下面に形成された前記中央開口の両側に配置されている、請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、洗浄すべき基板の表面上の前記テープに一定の押付力を加えるように構成された釣り合い装置を備えており、
前記釣り合い装置は、前記テープ供給リールから前記テープ巻き取りリールまで移動された前記テープの量、および前記基板の表面に対する前記テープの押付力を検出するセンサのうちの少なくとも1つに基づいて、おもりを前記アームに沿って移動させるように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記液体媒体導管は、前記クリーニングヘッドの前記下面の前記中央開口において、前記研磨テープを案内するためのガイド端部を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
基板、特に、フォトマスクの一部の領域を洗浄する方法であって、
下面を有するクリーニングヘッドを用意し、前記下面は、該下面に形成された中央開口と、前記中央開口を取り囲む第1環状溝と、前記第1環状溝と前記中央開口との間に位置する少なくとも1つの第2溝と、を有しており、
研磨テープの一部が前記中央開口から突出するように、前記クリーニングヘッドの前記下面の前記中央開口に前記研磨テープを供給するテープ供給機構を用意し、
前記研磨テープの突出部分を洗浄すべき前記基板の領域に接触させて、前記クリーニングヘッドの前記下面を、洗浄すべき基板領域に近接させ、
前記中央開口から突出する、少なくとも前記研磨テープの部分が濡れるように、前記中央開口、または前記中央開口の近傍で、前記研磨テープの裏側に液体を供給し、
前記研磨テープと洗浄すべき基板の前記表面領域とを相対移動させ、
前
記第1
環状溝または前記少なくとも1つの第2溝を通じて、洗浄すべき前記基板領域に洗浄流体を供給し、
他方の溝、すなわち、前記少なくとも1つの第2溝または前
記第1
環状溝に吸引力を与える、方法。
【請求項19】
前記突出量は、前記基板表面と前記クリーニングヘッドの前記下面との間の隙間に相当する、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記洗浄流体は、前記第2ポートを介して供給される液体媒体であり、前記吸引力は、前記第1ポートに与えられる、請求項
18に記載の方法。
【請求項21】
前記洗浄流体は、前記第1ポートを介して供給される液体媒体であり、前記吸引力は、前記第2ポートに与えられる、請求項
18に記載の方法。
【請求項22】
前記基板に作用する前記研磨テープの力は、0.1Nと5Nとの間、好ましくは、約1Nになるように制御される、請求項
18に記載の方法。
【請求項23】
前記研磨テープと洗浄すべき基板の前記表面領域とを相対移動させる工程は、テープ供給リールとテープ巻き取りリールとの間で前記テープを移動させること、および所定の経路に沿って前記クリーニングヘッドを移動させること、のうちの少なくとも一方を含んでいる、請求項
18に記載の方法。
【請求項24】
前記クリーニングヘッドは、前記テープの前記突出部分が延びる方向と一直線上に並ぶ直線経路に沿って移動される、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記テープおよび前記クリーニングヘッドの両方が移動され、前記テープを移動させるためのテープ供給機構および前記クリーニングヘッドを移動させるための移動機構は、前記テープの移動速度が前記クリーニングヘッドの移動速度と同期するように制御される、請求項
23に記載の方法。
【請求項26】
テープ供給リールからテープ巻き取りリールまで移動される前記テープの量、および前記基板の表面に対する前記テープの押付力を検出するセンサのうちの少なくとも1つに基づいて、おもりを前記アームに沿って移動させることによって、洗浄すべき基板の表面上の前記テープに一定の押付力を加えるように構成された釣り合い装置を備えている、請求項
18に記載の方法。
【請求項27】
前記基板はフォトマスクであり、前記方法は、接着剤、特に、線状ペリクル接着剤を前記フォトマスクから除去するために使用される、請求項
18に記載の方法。
【請求項28】
前記方法は、請求項1に記載の装置を使用する、請求項
18に記載の方法。
【請求項29】
前記クリーニングヘッドの前記下面の前記中央開口において、前記中央開口またはその近傍で前記研磨テープの裏側に液体を供給するように配置された出口を有する液体媒体導管のガイド端部で前記研磨テープを案内させる、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の一部の領域、特に、フォトマスクを洗浄する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野、特に、半導体製造分野では、洗浄された基板に要求される清浄度のために、基板の洗浄には困難な課題を伴う場合がある。高い清浄度を必要とする基板の一例は、フォトマスクである。フォトマスクは、例えば、集積回路デバイスを大量生産するためのフォトリソグラフィにおいて使用される。
【0003】
このようなフォトマスクの表面、特に、パターンが形成された表面上のパーティクルは、フォトマスクを使用して撮像される基板に欠陥を引き起こすおそれがある。したがって、フォトマスクの定期的な洗浄が必要であるが、この洗浄は、フォトマスクの寿命を短くする可能性がある。フォトマスクの表面をパーティクル汚染から保護するために、ペリクルが導入されている。ペリクルは、薄膜またはメンブレンであり、例えば、フォトマスクの片側に接着されたフレームに取り付けられている。この膜は、パーティクルがフォトマスクの表面に到達することを防ぐカバーとして作用する。ペリクル上に存在し得る中程度から小さなサイズのパーティクルがフォトマスクの結像に影響を与えないほど焦点が大きくずれるように、ペリクルは、フォトマスクから十分に離れて配置されている。このようなペリクルを使用することにより、フォトマスクの洗浄周期を減らすことができ、フォトマスクの寿命を延ばすと同時に、結像結果が向上される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなペリクル膜は、ある回数の撮像周期の後、マスク表面に接着されているペリクルフレームを除去することによって交換されなければならない。ペリクルフレームを除去した後、接着剤の一部はフォトマスク上に残り、これは、フレームに取り付けられた次のペリクル膜がフォトマスクに取り付けられる前に完全に除去されなければならない。
【0005】
従来では、接着剤残留物をフォトマスクの表面から除去するために、強力な化学洗浄液を使用しなければならなかった。例えば、SPMは、典型的な高分子接着剤残留物を除去するために、長年にわたって使用されている。その優れた洗浄性能にもかかわらず、SPMは、成長性異物(ヘイズ)の生成のような、他の問題を引き起こしてしまう。成長性異物の問題を解決するための方法として、例えば、成長性異物の生成を回避する異なる化学物質を使用することが提案されている。しかしながら、これらの化学物質は、多くの場合、許容可能な制限時間内に接着剤を部分的に除去することを可能にするだけであり、完全なる除去は、仮に達成したとしても困難であった。SPMおよび他の化学物質の両方について、化学的性質が含まれていなければ、フォトマスクの局所的な領域のみを洗浄することは不可能であった。したがって、化学物質は、洗浄を必要としない領域にも適用され、これにより、必要な化学物質の量が増加し、これらの領域を損傷する危険が生じる。レーザ切除のような乾式除去方法もペリクル接着剤残留物を除去するために提案されているが、これらの方法は、一回の使用に非常に特化しており、かつ制御するのが困難である。
【0006】
本発明は、上述した問題のうち、少なくとも1つを解決することができる、基板の一部の領域、特に、フォトマスクを洗浄するための装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、請求項1に記載の装置および請求項17に記載の方法が提供される。さらに実施形態は、とりわけ、従属項および明細書に開示されている。
【0008】
具体的には、基板、特に、フォトマスクの一部の領域を洗浄するための装置が提供される。この装置は、洗浄すべき基板領域の上方であって、かつ前記基板領域に近接するように配置された下面を有するクリーニングヘッドを有し、前記下面は、該下面に形成された中央開口と、前記中央開口を取り囲む第1環状溝と、前記第1環状溝と前記中央開口との間に位置する少なくとも1つの第2溝と、を有している。第1環状溝は、第1ポートに連通しており、これによって外部供給源との接続が可能となる。第2環状溝は、第2ポートに連通しており、これによって外部供給源との接続が可能となる。上記装置は、さらに、研磨テープの一部が、前記下面に形成された前記中央開口から突き出すように、前記中央開口に研磨テープを供給するテープ供給機構と、前記中央開口またはその近傍で研磨テープの裏側に液体を供給するように配置された出口を有する液体媒体導管と、を備えている。
この装置は、例えば、洗浄すべき材料/パーティクルを軟化させ、または少なくとも部分的に溶解させる液体、あるいは材料/パーティクルの基板表面への粘着を減少させる液体と、研磨テープを使用した機械的拭き取り作用との組み合わせによって、洗浄すべき基板の表面部分を局所的に洗浄することができる。ここで、研磨という用語は、テープ材料がパーティクルを表面から除去するのに十分な研磨であるが、基板自体の表面を傷つける研磨ではない、という意味である。機械的な拭き取り作用を提供する突出するテープは、さらに、基板表面とクリーニングヘッドの下面との間の所定の隙間を形成する。この隙間は、第1溝および第2溝を通じて供給/除去される流体のための所定の流れ状態を可能とする。クリーニングヘッドの下面は、実質的に平面であってもよく、または、例えば、僅かに湾曲または傾斜してもよい。ただし、第1溝および第2溝と、上記下面の最下部との間の距離は、望ましい流れ状態を乱すほど大きくしすぎてはならない。
【0009】
上記少なくとも1つの第2溝は、上記中央開口の両側に配置された2つの溝であってもよい。第2溝は、さらに、上記中央開口を取り囲む環状溝であってもよい。
【0010】
上記装置は、第2ポートに接続された液体媒体供給源と、第1ポートに接続された真空源と、をさらに備えてもよい。あるいは、液体媒体供給源は第1ポートに接続され、真空源は第2ポートに接続されてもよい。いずれの配置も、リンス液などのさらなる液体を基板の表面に供給して、液体の中央供給および拭き取り作用によって除去されたパーティクルを洗い流すことができる。その後、液体および液体の中に含まれるパーティクルの両方を基板表面から吸引して、各表面領域を洗浄および乾燥させてもよい。このような構成は、十分な吸引力が加えられる限り、使用済みの液体が、第1溝によって囲まれた領域内に実質的に存在することを許容する。これは、液体が第1溝に供給された場合であっても同様である。
【0011】
クリーニングヘッドは単一材料体を備えてもよい。前記単一材料体は、その内部に形成された複数の内部通路を有し、前記複数の内部通路は、前記第1溝および前記第2溝を前記第1ポートおよび前記第2ポートにそれぞれ接続している。これによって、故障を引き起こす部品の数を減らし、かつ汚染物質を導入する部品の数を減らす。
【0012】
クリーニングヘッドは、前記第1溝に向かって開口する複数の流れ開口の第1グループと、前記第2溝に向かって開口する複数の流れ開口の第2グループと、を備えてもよい。第1グループの流れ開口のそれぞれは、第1グループの流れ開口を第1ポートに接続する共通の通路に接続されており、第2グループの流れ開口のそれぞれは、第2グループの流れ開口を第2ポートに接続する共通の通路に接続されている。このような流れ開口は、各溝の側壁に配置されてもよい。代わりに、第1溝および第2溝のうちの少なくとも一方は、実質的に、各溝を各ポートに接続する各通路に継ぎ目なく合流してもよい。
【0013】
第1溝および第2溝のうちの少なくとも一方において均一な流体の流れを促進するために、各通路の流れ断面は、各ポートから各溝に向かって減少する。
【0014】
クリーニングヘッドの位置決めと、より広い領域の洗浄のために、上記装置は、アームと、移動機構を備えており、アームは、その第1端部で、移動機構に旋回可能に取り付けられており、クリーニングヘッドは、アームの第2端部に取り付けられており、移動機構は、アームを移動させることで、クリーニングヘッドを所定の経路に沿って移動させるように構成されている。アームは、ターンテーブルの典型的なトーンアームと同様に、旋回点に関して釣り合わされ得るので、アームを旋回可能に取り付けることにより、正確に規定された力でクリーニングヘッドを洗浄すべき基板表面上に置くことが可能になる。旋回アームは、クリーニングヘッドが実質的に一定の力を加えながら、クリーニングヘッドを洗浄すべき基板領域上で移動させるときに、クリーニングヘッドが基板表面の輪郭に追従することを可能にする。
【0015】
一態様によれば、前記移動機構は、直線移動機構であり、前記かつアームの延びる方向と実質的に平行な経路に沿ってアームを移動させるように構成されている。この構成は、特に、フォトマスクからペリクルフレームを除去するときに生じるような線状接着剤のみならず、洗浄すべき他の細長い領域にも適している。2つの第2溝が設けられている場合、これら第2溝は、好ましくは、移動方向に沿って離間されてもよい。クリーニングヘッドを基板の他の表面部分上に配置することを可能にするために、アームを他の方向に移動させるためのさらなる移動機構が設けられてもよい。さらに、異なる移動を実行するための組み合わされた移動機構が設けられてもよい。
【0016】
前記テープ供給機構は、一態様においては、前記移動機構の移動方向と一直線上に並ぶ前記クリーニングヘッドの前記下面の前記中央開口に向かってテープを供給するように配置されている。このような配置により、中央開口にテープを供給するために設けられたガイド要素からテープが外れる可能性のある制御不能な横方向のスワイプ動作を防止することができる。テープ供給機構および移動機構は、テープの供給速度が移動機構の移動に同期されるように、制御されてもよい。これに関連して、同期は、同じ速度には限定されないが、一方の速度が増加すると他方の速度も増加し、一方の速度が減少すると他方の速度も減少するように、それぞれの速度の間に一定の対応関係がある。これにより、良好な拭き取り作用を確実とすることができ、常に、十分に新しいテープが基板表面との接触点で使用可能になる。
【0017】
一態様では、テープ供給機構は、テープ供給リールと、テープ巻き取りリールと、少なくとも1つのガイド要素と、を備えており、前記少なくとも1つのガイド要素は、テープを前記テープ供給リールから前記クリーニングヘッドの前記下面の前記中央開口に案内して、該中央開口から所定の距離だけ突出させ、さらにテープを前記テープ巻き取りリールまで案内するように構成され、前記テープ供給リールおよび前記テープ巻き取りリールは、前記クリーニングヘッドの前記下面に形成された前記中央開口の両側に配置されている。
【0018】
前記装置は、洗浄すべき基板の表面上のテープに一定の押付力を加えるように構成された釣り合い装置を備えてもよい。この釣り合い装置は、前記テープ供給リールから前記テープ巻き取りリールまで移動されたテープの量、および基板の表面に対するテープの押付力を検出するセンサのうちの少なくとも1つに基づいて、おもりを前記アームに沿って移動させるように構成されている。1つのホイールから他のホイールへのテープの移動は、アームの釣り合いを変化させるので、おもりは、アームの先端位置からより近接した位置に移動される(テープが基板に押し付けられる力を減少させる)か、またはその逆に移動される。この効果を釣り合わせるために、おもりは、テープの移動に基づいてアームに沿って移動されてもよい。代わりに、テープを通じて基板に加えられる力を測定するための力センサが使用されてもよく、おもりは、その測定値に従って移動されてもよい。おもりは、テープの初期押付力を設定するために使用されてもよく、テープは、洗浄用途のために具体的に選択されてもよい。このような釣り合い効果を達成するために、他の手段が設けられてもよい。一実施形態によれば、基板に作用する研磨テープの力は、0.1Nと5Nとの間、好ましくは、約1Nになるように制御されてもよい。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、基板、特に、フォトマスクの一部の領域を洗浄する方法が提供される。この方法は、下面を有するクリーニングヘッドを用意し、前記下面は、該下面に形成された中央開口と、前記中央開口を取り囲む第1環状溝と、前記第1環状溝と前記中央開口との間に位置する少なくとも1つの第2溝と、を有しており、研磨テープの一部が前記中央開口から突出するように、前記クリーニングヘッドの前記下面の前記中央開口に前記研磨テープを供給するテープ供給機構を用意し、前記研磨テープの突出部分を洗浄すべき前記基板の領域に接触させて、前記クリーニングヘッドの前記下面を、洗浄すべき基板領域に近接させ、前記中央開口から突出する、少なくとも前記研磨テープの部分が濡れるように、前記中央開口、または前記中央開口の近傍で、前記研磨テープの裏側に液体を供給し、前記研磨テープと洗浄すべき基板の前記表面領域とを相対移動させ、前記少なくとも1つの第1溝または前記少なくとも1つの第2溝を通じて、洗浄すべき前記基板領域に洗浄流体を供給し、他方の溝、すなわち、前記少なくとも1つの第2溝または前記少なくとも1つの第1溝に吸引力を与える。この方法は、使用されている任意の液体を含みながら、機械的拭き取り効果および湿式洗浄効果を同時に使用して、洗浄すべき基板の表面領域の局所的な洗浄を可能とする。
【0020】
テープの突出量は、基板表面とクリーニングヘッドの下面との間の隙間に相当し、隙間および隙間内の流体の流れ状態について、良好な制御を提供する。
【0021】
洗浄流体は液体媒体であってもよい。この液体媒体は、吸引力が第1ポートに与えられている間に、第2ポートを通じて供給される。あるいは、液体媒体は、吸引力が第2ポートに与えられている間に、第1ポートを通じて供給されてもよい。一態様によれば、テープの裏面を経由した、または各溝を経由した液体の供給は、吸引力が停止される前に停止される。一態様では、クリーニング中およびクリーニングヘッドが洗浄すべき基板から移動する前に、液体が供給された後の通路に吸引力を与えてもよい。
【0022】
研磨テープと洗浄すべき基板の表面領域とを相対移動させる工程は、テープ供給リールとテープ巻き取りリールとの間でテープを移動させること、および所定の経路に沿って前記クリーニングヘッドを移動させること、のうちの少なくとも一方を含んでもよい。テープのみの移動は、基板のスポット洗浄を可能とし、クリーニングヘッドの全体の移動は、より広い領域の洗浄を可能とする。好ましくは、クリーニングヘッドは、テープの突出部分の延びる方向と一直線に並ぶ直線経路に沿って移動されてもよい。これによって、テープの延びる方向を横切る方向にテープに作用する力が低減できる。さらなる態様によれば、テープおよびクリーニングヘッドの両方が移動されてもよく、テープを移動させるためのテープ供給機構およびクリーニングヘッドを移動させるための移動機構は、テープの移動速度がクリーニングヘッドの移動速度と同期するように、制御されてもよい。ここでも、本明細書を通して使用される同期という用語は、同じ速度には限定されず、上述したような速度の対応関係があってもよい。
【0023】
前記方法は、テープ供給リールからテープ巻き取りリールまで移動されるテープの量、および基板の表面に対するテープの押付力を検出するセンサのうちの少なくとも1つに基づいて、クリーニングヘッドおよびテープ供給機構をその自由端で支持する旋回可能なアームに沿って、おもりを移動させることによって、洗浄すべき基板の表面上のテープの押付力を制御する工程を含んでもよい。一実施形態によれば、基板に作用する研磨テープの力は、0.1Nと5Nとの間、好ましくは、約1Nになるように制御されてもよい。
【0024】
この方法は、好ましくは、フォトマスクから接着剤、特に、線状接着剤を除去するために使用される。この方法は、他の用途、特に、特定の領域のスポット洗浄のためにも使用されてもよい。この方法は、上述した装置を使用するのに特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明について、さらに詳細に説明する。
【
図1】基板の一部の領域を洗浄するための洗浄装置の模式的な上面図である。
【
図3】
図1の洗浄装置に使用可能なキャリアアームおよびテープ供給機構に沿った断面図である。
【
図4】
図1の洗浄装置に使用可能な第1実施形態に係るクリーニングヘッドの側面図(a)および断面図(b)である。
【
図5】
図4のクリーニングヘッドの他の側面図(a)および断面図(b)である。
【
図6】
図4のクリーニングヘッドの一連(a)乃至(c)の側面図および断面図である。
【
図7】
図1の洗浄装置に使用可能な第2実施形態に係るクリーニングヘッドの側面図(a)および断面図(b)である。
【
図8】
図7のクリーニングヘッドの他の側面図(a)および断面図(b)である。
【
図9】
図7のクリーニングヘッドの一連(a)乃至(c)の側面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
説明を目的として、本発明の実施形態は、フォトマスクの洗浄、特に、線状ペリクル接着剤のフォトマスクからの洗浄に適用されるものとして記載されるが、異なる基板の洗浄、並びに異なる材料およびパーティクルの洗い落としにも適用できることは明らかである。
【0027】
本明細書中で使用される方向を表す表現、例えば、左、右、上、下、上昇、下降、鉛直、水平、およびこれらの派生語は、図面に示される要素の向きに関するものであり、特許請求の範囲内で明示されない限り、特許請求の範囲を限定しない。
【0028】
図1は、基板2の一部の領域を洗浄するための洗浄装置1の模式的な上面図であり、
図2は、洗浄装置1の模式的な側面図である。洗浄装置1は、基板2を支持し、かつ洗浄機5を支持するための支持構造4を有している。
【0029】
図1の上面図に示すように、支持構造4は、例えば細長い長方形のベース7を有している。支持構造4は、さらに、ベース7上に支持された支持テーブル9を有している。
図1の上面図に示すように、支持テーブル9は、円形状を有してもよく、支持テーブル9が異なる角度位置まで回転されるように、任意の適切な態様でベース7に回転自在に支持されてもよい。支持テーブル9は、フォトマスクなどの基板2を受けるための4つの支持ピン10を有している。支持ピン10は、基板2の角部に接触するように配置されている。支持ピン10は、支持ピン10に対して基板2をセンタリングし、さらに、フォトマスクなどの基板2の、その下縁のみでの接触を許容する傾斜面を有してもよい。基板2は、洗浄すべき面が上を向き、かつ実質的に水平となるように、支持ピン10上に置かれる。当業者は、洗浄位置において基板4を受け、かつ保持するための他の支持構造が設けられてもよいことは理解できるであろう。
【0030】
洗浄機5は、第1可動プラットフォーム13、第2可動プラットフォーム20、支持体22、キャリアアーム24、クリーニングヘッド26、およびテープ供給機構28を有している。テープ供給機構28は、
図1および
図2には示されていないが、
図3には示されている。第1プラットフォーム13は、基板2を支持する支持テーブル9に隣接するベース7上に移動可能に設置されている。第1プラットフォーム13は、
図1の両矢印Aに示すように、ベース7の長手方向を横切る直線方向に沿って移動可能である。直線移動をガイドするためのガイド部材がベース7および第1プラットフォーム13の少なくとも一方に設けられてもよい。第1プラットフォーム13を移動させるための適切な駆動機構(図示しない)が設けられており、この駆動機構は当該駆動機構を制御するためのコントローラに接続されている。
【0031】
第2プラットフォーム20は、第1プラットフォーム13上に移動可能に設置されている。具体的には、第2プラットフォーム20は、第1プラットフォーム13に沿って直線方向に移動可能なように設置されている。
図1および
図2の両矢印Bに示すように、第2プラットフォーム20の移動方向は、具体的には、第1プラットフォーム13が移動する直線方向を横切る方向である。第1プラットフォーム13および第2プラットフォーム20のうちの少なくとも一方は、第2プラットフォーム20の第1プラットフォーム13に沿った直線移動をガイドするガイド構造を備えてもよい。第2プラットフォーム20を移動させるための適切な駆動機構(図示しない)が設けられており、この駆動機構は、当該駆動機構を制御するためのコントローラ(図示しない)に接続されている。
【0032】
支持体22は、第2プラットフォーム20とともに移動可能に、第2プラットフォーム20上に設置されている。図示された支持体22は、U字型ブラケット30を備えている。このU字型ブラケット30は、第2プラットフォーム20に取り付けられたベース(図示しない)と、ベースおよび第2プラットフォーム20から離れる方向に延びる2つのアーム32と、を有している。2つのアーム32は、実質的に互いに平行に延びている。2つのアーム32は、これらの間にキャリアアーム24を受けるように離間している。支持体22は、旋回ピン34をさらに有している。旋回ピン34は、2つのアーム32の間を延び、かつ、これらアーム32の間に受けられるキャリアアーム24を貫通して延びている。したがって、旋回ピン34により、キャリアアーム24はブラケット30に旋回可能に取り付けられる。キャリアアーム24を第2プラットフォーム20に旋回可能に取り付けるための上述した構造は、単純化された一例にすぎず、キャリアアーム24を第2プラットフォーム20に旋回可能に取り付けるために、多くの他の構造が提供されてもよい。
【0033】
キャリアアーム24は、実質的に真っ直ぐな細長い形状を有しており、旋回ピン34に対して左側に延びる第1部分の端部に取り付けられたクリーニングヘッド26およびテープ供給機構28を有している。キャリアアームの反対側、すなわち、旋回ピン34に対して右側に延びる第2部分には、釣り合い装置40が設けられている。第1部分は、第2部分よりも実質的に長い。具体的には、第1部分の長さは、クリーニングヘッド26の中心位置で測定された端部の鉛直方向の距離移動が1mmであるときに、キャリアアーム24が0.5度未満、好ましくは、0.2度未満だけ旋回ピン34を中心に回転するような長さであることが好ましい。キャリアアーム24の第1部分および第2部分が旋回ピン34に関して、完全ではないが、実質的に釣り合うように、釣り合い装置40は、旋回ピン34に関してキャリアアーム24を釣り合わせる。具体的には、クリーニングヘッド26およびテープ供給機構28を保持するキャリアアーム24の左側部分が下方に移動しやすく、かつ基板2と接触するときに基板2に所定の力を加えるように、釣り合いが調整される。
【0034】
釣り合い装置40は、調整可能であってもよい。本実施形態では、釣り合い装置40は、例えば、可動式のおもり42を備えており、おもり42は、両矢印Cに示すように、適切な駆動機構(図示しない)によって、キャリアアーム24に沿って移動されてもよい。当業者は、おもり42を移動させると、旋回ピン34に関するキャリアアーム24の釣り合いが変更されることを理解するであろう。釣り合い装置40は、洗浄工程に関するデータを受け取るコントローラに接続されたおもり42の駆動機構を有することによって、洗浄動作中に調整すべきキャリアアーム24の釣り合いを可能とするタイプであってもよい。キャリアアーム24の釣り合いに影響を及ぼし得るデータは、例えば、テープ供給機構28の内部でのテープ移動である。コントローラは、さらに、テープ供給機構28のテープが洗浄すべき基板を押し付ける力を測定するセンサの力信号を受け取ってもよい。テープ供給機構28が基板を押し付けるときに、テープ供給機構28によって加えられる力は、0.1Nから5Nの間になるように制御されてもよく、好ましくは、約1Nになるように制御される。上述したように、力は、洗浄工程中は実質的に一定になるように、制御されてもよい。
【0035】
可動式のおもりは、所定の態様でキャリアアームを旋回ピン34に関して釣り合わせるための単なる一例である。当業者は、釣り合い装置40が可動式のおもりに加えて、またはその代わりに、ばねなどの他の要素を有してもよいことを理解するであろう。このようなばねは、例えば、キャリアアームの第2(右側)部分と第2プラットフォーム20との間に取り付けられてもよく、キャリアアーム24の第2(右側)部分を所定の力で下方に引っ張って、キャリアアームの(より長い)第2部分の下方への動きとは逆に移動させる。このようなばねは、引っ張り力が調整可能であり、必要に応じて釣り合いを調整し得る釣り合い装置40を構成するように、取り付けられてもよい。さらに、釣り合い装置40は、クリーニングヘッドが持ち上げられやすくなるように、釣り合いを調整するように制御されてもよく、これによって、持ち上げ機能を提供する。
【0036】
釣り合い装置40の可動式のおもり42は、キャリアアーム24の第2部分に取り付けられるように示されているが、例えば、十分に重くて静的なおもりが第2部分に設けられれば、おもり42は、第1部分に設けられてもよい。
【0037】
キャリアアーム24の旋回移動を制限し、かつ和らげるために、1つまたは複数のダンパー50が第2プラットフォーム20上に設けられてもよい。特に、第1および第2ダンパー50は、支持ブラケット32の両側、すなわち、キャリアアーム24の長手方向において、旋回ピン34の両側に設けられてもよい。ダンパー50は、例えば、プラットフォーム20とキャリアアーム24の下面との間に延びるばねによって構成されてもよい。このような構成により、キャリアアーム24が旋回するとき、一方のばねが圧縮しつつ、他方のばねが伸張される。ダンパー50は、同一タイプのものであってもよく、キャリアアーム24の釣り合いを変化させないために、または、実質的に変化させないために、旋回ピンを中心に対称的に配置されてもよい。ダンパー50は、キャリアアームの最大旋回移動を設定するように構成されてもよい。
【0038】
ダンパー50は、第2プラットフォーム20に取り付けられるように図示されているが、複数のダンパー50または複数のダンパー50のうちの1つは、第1プラットフォーム13または第2プラットフォーム20に向かって下方に延びるように、キャリアアームに取り付けられてもよい。
【0039】
ダンパー50は、通常、クリーニングヘッド26の中心位置で測定されたキャリアアーム24の第1部分の端部の鉛直方向の上下動が、キャリアアーム24が水平に延びた中心位置に対して2cmの範囲内に収まるように、制限することが可能である。ダンパー50は、キャリアアーム24またはキャリアアーム24に取り付けられた要素へのダメージを防止するために、例外的な状況において、あるしきい値を超える力が加えられたときに、さらなる移動を可能にするように、弾性的に取り付けられてもよい。
【0040】
洗浄機5の重要な要素の1つであるクリーニングヘッド26について、
図4乃至
図9を参照してより詳細に説明する。
図4乃至
図6は、第1実施形態に係るクリーニングヘッド26を示しており、
図7乃至
図9は、第2実施形態に係るクリーニングヘッド26を示している。異なる実施形態において、同様のまたは同一の要素を参照するとき、同一の参照符号が使用される。
【0041】
図4aは、
図2の側面図に対応するクリーニングヘッド26の第1側面図を示しており、
図5Aは、
図2の左側から見たときのクリーニングヘッド26の側面図を示している。
図4Bは、
図4AのA-A線に沿った縦断面図を示しており、
図5Bは、
図5AのC-C線に沿った縦断面図を示している。
図6A乃至
図6Cにおいて、それぞれの図面の上半分は、
図4Aと同様のクリーニングヘッド26の側面図を示しており、図面の下側は、図面の上側に示されたそれぞれの線に沿って見たときの、底面図または断面図を示している。
【0042】
クリーニングヘッド26は、単一材料体60から構成されており、単一材料体60は、例えば、3Dプリンタまたは成形、具体的には、射出成形によって形成されるが、これには限定されない。単一材料体60は、十分に剛体であり、かつ使用される媒体と適合性がある適切な材料、例えば、ステンレス鋼などの適切な材料から構成されてもよい。上または下から見たとき、クリーニングヘッド26は、丸みを帯びた縁を有する実質的に四角形の形状を有する。横から見て、クリーニングヘッド26は、その下端にテーパーを有する、実質的に長方形の形状を有している。
図4乃至
図6には示されていないが、クリーニングヘッド26は、
図2の符号62で示すように、クリーニングヘッド26をキャリアアーム24に取り付けるための取り付けフランジを有してもよい。
【0043】
クリーニングヘッド26は、クリーニングヘッド26の上面65から下面66まで延びる中央開口64を有している。下面66は、実質的に平坦な面であるが、中央開口に向かって僅かに湾曲してもよく、またはテーパーになっていてもよい。開口64は、鉛直方向に階段状であり、上面65に隣接する上部68を有している。上部68は、下面66に隣接する下部69よりも大きな断面を有している。具体的には、
図6cで最もよく分かるように、開口64の上部68は、円形の断面を有しており、下部69は、丸みを帯びた縁を有する細長い長方形の断面を有してもよい。下部69は、開口64の上部68の中心に位置している。
【0044】
第1および第2流体ポート72,73は、クリーニングヘッド26の両側に設けられている。流体ポート72,73は、単一材料体60の内部にまで延びている。流体ポート72,73は、第1および第2内部通路76,77を通じて、クリーニングヘッド26の下面66に形成された第1および第2溝78,79にそれぞれ連通している。例えば
図6cに示すように、流体ポート72,73は、中央開口64の下部69の短辺と実質的に平行な、クリーニングヘッド26の側部に形成されている。流体ポート72,73は、中央開口64の上部68の高さに対応する高さでクリーニングヘッド26に形成されている。これらのポート72,73は、同じ高さで形成されているが、異なる高さで形成されてもよい。
【0045】
ポート72,73は、それぞれ、円形の断面を有しており、以下でより詳細に説明されるように、適切な複数の流体供給源にこれらのポートをそれぞれ接続する外部管(図示しない)の取り付けを可能にする雌ねじまたはバヨネット構造(これらには限定されない)、または他の任意の適切な構造を有してもよい。ポート72,73は、クリーニングヘッド26の側部から突出するように形成されてもよく(クリーニングヘッド26上に延びるのではなく)、外部管の取り付けを可能にするための雌型または雄型の取り付け構造を有してもよい。
【0046】
上述したように、第1および第2ポート72,73は、第1および第2内部通路76,77にそれぞれ連通しており、これら第1および第2内部通路76,77は、第1および第2ポート72,73を、クリーニングヘッドの下面66に形成された第1および第2溝78,79にそれぞれ接続する。具体的には、第1ポート72は、下面66に形成され、かつ中央開口64の下部69の全体を取り囲む第1溝78に、第1内部通路76を介して接続されている。
図6Aの底面図から分かるように、第1溝78は、中央開口64の下部69の全体を取り囲む矩形の環状形状を有している。同様に、第2ポート73は、クリーニングヘッドの下面66に形成された第2溝79に第2内部通路77を介して接続されている。第2溝79も同様に、矩形の環状溝であり、
図6Aから分かるように、中央開口64の下部69の全体を取り囲んでいる。
図6Aから分かるように、第2溝79は、第1溝78と中央開口64の下部69との間に位置している。
【0047】
図4Bおよび
図5Bに最もよく示されているように、内部通路76,77は、それぞれ、各通路が中央開口64の下部69に向かって内側に傾斜するように、各溝78,79に隣接する傾斜下部を有している。通路76,77は、それぞれ、各ポート72,73から各溝78,79に向かって減少する流れ断面を有している。
図6Cおよび
図6Bに示すように、内部通路76,77の形状は、これら通路がクリーニングヘッドの下面66に近づくにつれて、ポートに隣接するチャンバ状の断面から、溝78,79の形状に対応する環状の断面形状に変化する。この形状変化は、鋭角を避けた滑らかな変化であり、それぞれの通路内において、滑らかで、かつ均一な流体の流れを実現する。
【0048】
次に、クリーニングヘッドの代替的な第2の実施形態について、
図7乃至
図9を参照して説明する。同一または同様の要素には、同一の参照符号が使用される。
【0049】
図7aは、
図4と同様に、クリーニングヘッド26の第1側面図を示しており、
図8aは、
図5aと同様に、クリーニングヘッド26の側面図を示している。
図7bおよび
図8bは、
図4bおよび
図5bと同様に、
図7aのA-A線および
図8aのC-C線に沿った断面を示している。
図9a乃至
図9cにおいて、各図の上半分は、
図7aと同様に、クリーニングヘッド26の側面図を示しており、図面の下側の部分は、図面の上側の部分に示されたそれぞれの線に沿って見たときの、底面図または断面図を示す。
【0050】
クリーニングヘッド26は、第1実施形態のクリーニングヘッドと実質的に同一の外形形状を有している。クリーニングヘッド26の上面65から下面66まで延びる中央開口64の位置および形状も同一である。
【0051】
第1および第2流体ポート72,73は、クリーニングヘッド26の両側に設けられている。流体ポート72,73は、単一材料体60の内部に延びており、第1および第2内部通路76,77を通じて、クリーニングヘッド26の下面66に形成された第1および第2溝78,79にそれぞれ連通している。本実施形態では、例えば
図8bおよび
図9cに示すように、流体ポート72,73は、中央開口64の下部69の長辺と実質的に平行な、クリーニングヘッド26の側部に形成されている。流体ポート72,73は、異なる高さでクリーニングヘッド26に形成されており、これらの位置は、高さ方向において、中央開口64の上部68の位置に対応している。第1ポート72は、第2ポート73よりも上面65に近接して形成されているが、これらは、同じ高さに形成されてもよい。
【0052】
ポート72,73は、第1実施形態を参照して既に説明した形状と同じ形状を有してもよい。
【0053】
上述したように、第1および第2ポート72,73は、第1および第2内部通路76,77にそれぞれ連通しており、第1および第2内部通路76,77は、第1および第2ポート72,73を、クリーニングヘッドの下面66に形成された第1および第2溝78,79にそれぞれ接続する。具体的には、第1ポート72は、第1内部通路76を介して第1溝78に接続されており、この第1溝78は、下面66に形成されており、かつ中央開口64の下部69の全体を取り囲む。
図9Aの底面図から分かるように、第1溝78は、矩形の環状形状を有しており、中央開口64の下部69の全体を取り囲んでいる。第2ポート73は、第2内部通路77を介して、クリーニングヘッドの下面66に形成された2つの離間した第2溝79に接続されている。
図9aから分かるように、2つの第2溝79は、直線状の溝であり、下部69の短辺に隣接して、中央開口64の下部69の両側に位置している。
図9aから分かるように、第2溝79は、第1溝78と中央開口64の下部69との間に位置している。
【0054】
図4Bおよび
図5Bに最もよく示されているように、内部通路76,77は、それぞれ、各通路が中央開口64の下部69に向かって内側に傾斜するように、各溝78,79に隣接する傾斜下部を有している。内部通路76,77は、それぞれ、各ポート72,73から各溝78,79に向かって減少する流れ断面を有している。
図9bおよび
図9cに示すように、内部通路76,77の形状は、これら内部通路76,77がクリーニングヘッド26の下面66に近づくにつれて、ポートに隣接する第1断面から、溝78,79の形状に対応する環状断面形状および2つの分離された直線断面形状にそれぞれ変化する。この形状変化は、鋭角を避けた滑らかな変化であり、それぞれの内部通路76,77内において、滑らかで、かつ均一な流体の流れを実現する。
【0055】
第1および第2実施形態は、主に、中央開口64の下部69に対するポート72,73の位置、クリーニングヘッドの下面66の第1および第2溝78,79の形状および位置、および各内部通路76,77の形状および位置に関して異なる。
【0056】
クリーニングヘッド26の実施形態に関係なく、動作においては、複数のポートのうちの1つは、リンス液または洗浄流体、特に、例えば、グリコール系液体などのリンス液または洗浄流体、または水性液体などの他の適切な洗浄液またはリンス液を供給するための供給源に接続されるようになっている。複数のポートのうちの他方は、真空ポンプなどの吸引源に接続されるようになっている。
【0057】
実施形態に関係なく、クリーニングヘッド26は、クリーニングヘッド26の中央開口64がキャリアアームの対応する開口と一直線上に並ぶように、キャリアアーム24の下側に取り付けられてもよい。このキャリアアームの対応する開口は、
図3に示すように、キャリアアームおよびクリーニングヘッドを通じて、テープ供給機構28の一部の通過を許容する。さらに、実施形態に関係なく、クリーニングヘッド26は、中央開口64の下部69の長辺が、キャリアアーム24の延びる方向と実質的に平行に延びるように、キャリアアーム24に取り付けられてもよい。
【0058】
次に、テープ供給機構28について
図3を参照して説明する。
図3は、キャリアアーム24の前端部の拡大断面図である。図示するように、クリーニングヘッド26は、キャリアアーム24の下面に取り付けられており、テープ供給機構28は、キャリアアーム24内に設けられた収容空間に取り付けられている。
【0059】
テープ供給機構28はカートリッジタイプであり、このカートリッジは1つのユニットとしてキャリアアーム24内に取り付けられ、キャリアアーム24から取り外される。テープ供給機構28は、カートリッジハウジング84と、テープ供給リール86と、テープ巻き取りリール87と、テープ89をテープ供給リール86からテープ巻き取りリール87まで所定の経路に沿ってガイドするためのガイド構造88と、液体をテープ89に供給するための導管90と、を有している。カートリッジハウジング84は、キャリアアーム24の各収容空間と相補的な外形形状を有しており、任意の適切な材料から作成されてもよい。カートリッジハウジング84は、テープ供給リール86およびテープ巻き取りリール87を収容し、これらを回転可能に支持し、かつガイド構造88の少なくとも一部および導管90の少なくとも一部を収容するための内部チャンバ92を形成する。カートリッジハウジング84は、その上壁および底壁の両方に、導管90の通過を許容する中央開口を有している。底壁は、その開口の周囲に、外側に向かって延びるフランジを備えており、導管90の通過、およびテープ89の通過の2倍のための十分な隙間を設けている。互いに向き合うフランジの壁は、低摩擦材料で覆われてもよい。カートリッジハウジング84の上壁には、さらなる開口を設けてもよく、この開口を通じてテープ供給リール86上のテープの量を検出するセンサ94がオプションとして設けられてもよい。
【0060】
上述したように、テープ供給リール86およびテープ巻き取りリール87の両方は、カートリッジハウジング84のチャンバ92の内部に回転可能に支持されている。テープ巻き取りリール87を回転駆動するための、オプションとしてテープ供給リール86をも回転駆動するための駆動機構(図示しない)が設けられている。具体的には、テープに一定の張力を与え、かつテープ89の連続的な移動または半連続的な移動を提供するサーボドライブおよびDCモータが考慮されている。移動速度は、第2プラットフォーム20の移動を制御するものと同じまたは異なる各コントローラ(図示しない)によって制御されてもよい。コントローラは、第2プラットフォームの速度とテープ89の速度の間に所定の関係があり、かつ同期されているように、第2プラットフォームの速度に基づいて、テープ89の移動速度を制御してもよく、またはその逆にテープ89の移動速度に基づいて第2プラットフォームの速度を制御してもよい。
【0061】
導管90は、カートリッジハウジング84を通って、すなわちカートリッジハウジング84の上壁および底壁のそれぞれの開口を通って延びるように配置されている。そうすることで、導管90は、少なくとも部分的に、チャンバ92を左右のチャンバに二等分し、それぞれがテープ供給リール86およびテープ巻き取りリール87のいずれかを保持する。導管90は、カートリッジハウジング84の上壁から突出する上側取り付け端部96を有しており、この上側取り付け端部96は、外部液体供給源に接続される外部導管(図示しない)の取り付けが可能な形状を有している。具体的には、導管は、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、ジペンテン、またはこれらの混合物などの脂肪族または芳香族溶剤などの溶剤を提供する溶剤供給源に接続されてもよく、これらの溶剤は、例えば、ペリクル接着剤を溶解するのに非常に適している。洗浄動作によっては、他の溶剤が適していることもある。当業者であれば理解されるように、溶剤の種類は具体的な用途に依存する。
【0062】
導管90は、出口開口98を有する下側ガイド端部97と、上側取り付け端部96と出下側ガイド端部96内の出口開口98とを接続する内部通路99と、を有している。
図3に示すように、下側ガイド端部97は、テープ供給リール86からテープ巻き取りリール87に向かう方向に丸みを帯びた形状を有しているが、下側ガイド端部97を横切る方向においては、実質的に真っ直ぐな形状を有している。出口開口98は、丸い形状の支点の中央に配置されているが、この支点に対してオフセットして配置されてもよく、特に、テープ供給リール86が配置されている側に向かって傾斜してもよい。下側ガイド端部97は、カートリッジハウジング84の底壁から所定の距離だけ延びている。
【0063】
主にテープ供給リール86上に初めに巻かれているテープ89は、ガイド構造88を経由して、テープ供給リール86からテープ巻き取りリール87にガイドされ、テープ供給リール86からテープ巻き取りリール87まで移動する。ガイド構造88は、例えば、ガイドバーまたはローラー101のようなカートリッジハウジング84内の構造と、オプションとしてのカートリッジハウジング84の底面上のフランジの内面と、によって形成されている。導管90の外面の少なくとも一部も同様に、ガイド構造の一部を形成する。具体的には、テープ89は、導管90の下側ガイド端部97の周りを延びるようにガイドされる。すなわち、テープは、カートリッジハウジング84の外に出て、突出する下側ガイド端部の周りを通り、そしてカートリッジハウジング84内に戻ってテープ巻き取りリール87に向かう。
【0064】
テープ89は、ポリエステル-ナイロン混合物または任意の他の適切な材料から作られた織布材料から形成される。今のところ、約75%のポリエステルと約25%のナイロンとのポリエステル-ナイロン混合物が適切であることがわかっている。しかしながら、テープは、不織構造を有してもよい。テープ89は、多孔質であり、かつ導管90の出口開口98でテープ89の裏側に与えられ得る処理液、特に、適切な溶剤の通過を許容する。テープ89の材料および構造は、洗浄すべき基板の表面からパーティクルを削り取り、または引き離すような研磨特性を有するように選択される。テープ89の材料および構造は、通常の条件下において、基板表面の材料を傷つけないものが選択される。
【0065】
キャリアアーム24は、その内部にテープ供給機構28を収容したときに、テープ供給機構28をアーム上の所定の位置に取り外し可能に固定するための取り付けブラケット105を有してもよい。テープ供給機構28をキャリアアーム24に固定するための他の取り付け手段が設けられてもよい。
【0066】
テープ供給機構28、特に、カートリッジハウジング84および導管90の形状および寸法は、これらがキャリアアーム24に適切に固定されたとき、導管90の下側ガイド端部97およびその周りでガイドされるテープ89が、クリーニングヘッドの中央開口の下部69を通って延びるような形状および寸法である。これにより、テープ89は、クリーニングヘッドの下面66から下方に所定の距離だけ突出する。この距離は、例えば
図2に示すように、テープ89が基板2の上面上にあるとき、クリーニングヘッド26の下面66と基板2の上面との間の所定の隙間に相当する。クリーニングシステム5は、例えば
図2に示すように、テープ89が基板2の上面上にあるときに、キャリアアーム24が実質的に水平に延びるように、組み立てられる。当業者は、このような状態でのキャリアアーム24の水平方向の配置は基板の厚さに依存し、基板の厚さは、支持ピンに受け止められたときの基板の上面の高さを変え得ることを理解するであろう。異なる厚さの基板に対応するために、旋回ピン34の中心軸と洗浄すべき基板の表面との間の所定の高さ関係を設定するように構成された、オプションとしての高さ調整機構が設けられてもよい。このような高さ調整機構は、例えば、高さ調整支持ピン10、高さ調整プラットフォーム9、および高さ調整サポート22のうちの少なくとも1つを備えてもよいが、これらには限定されない。
【0067】
以下、図面、およびフォトマスクの表面からの線状ペリクル接着剤の除去を含む具体的な洗浄動作を参照して、装置1の動作について説明する。例えばペリクル用のフレームを除去した後に残る、フォトマスク2上の線状ペリクル接着剤を有するフォトマスク2は、プラットフォーム9上の支持ピン10上に配置される。フォトマスク2は、線状ペリクル接着剤がある面が上を向くように、支持ピン10上に置かれる。通常、このような線状ペリクル接着剤は、フォトマスク2の側部と平行に延びている。プラットフォーム9の回転によって、第1線状ペリクル接着剤は、キャリアアーム24の延びる方向と実質的に平行に延びるように、配列されてもよい。
【0068】
移動可能なプラットフォーム13を移動させることによって、キャリアアーム24は、各線状ペリクル接着剤と一直線上に並ばれてもよい。移動可能なプラットフォーム13に対してプラットフォーム20を移動させることにより、クリーニングヘッド26は、各線状ペリクル接着剤の一端部の上方に配置されてもよい。その後、クリーニングヘッド26は、テープ89の突出部が線状ペリクル接着剤の最端部に接触するように、または最端部に隣接して一直線上に配置されるように、下降されてもよい。この位置において、キャリアアーム24は、実質的に水平である。
【0069】
線状ペリクル接着剤の材料を軟化または少なくとも部分的に溶解するために、線状ペリクル接着剤の材料を軟化および/または少なくとも部分的に溶解するのに適した溶剤が、導管90を介して、テープ89の裏側に供給される。溶剤は、さらに、接着剤の膨張を引き起こし、テープ89による良好な除去を可能にし得る。溶剤の供給と同時に、またはその前に、吸引力を第1溝78に与えてもよく、液体が第2溝79に供給されてもよい。以下の説明では、吸引力は、第1外側溝78に与えられ、洗浄液またはリンス液は、第2内側溝79に供給される。しかしながら、吸引力を内側溝79に与え、かつ洗浄液またはリンス液を第1外側溝78に供給することも可能である。いずれの場合も、吸引力および液体の供給は、各溝に供給された洗浄液またはリンス液がフォトマスクの表面に接触し、かつ他方の溝内に完全に吸い込まれるように、制御されてもよい。
【0070】
上述した構造では、洗浄液またはリンス液は、第2内側溝から第1外側溝に向かって流れ、フォトマスクの表面から吸い出される。
【0071】
上述したように、クリーニングヘッド26、特にテープ89の突出部分が所定の力でフォトマスクの表面を押し付けるように、キャリアアームは釣り合わされる。具体的には、基板に作用するテープの力は、0.1Nから5Nまでの間、好ましくは、約1Nになるように制御される。その後、キャリアアーム24は、プラットフォーム20を介して、線状ペリクル接着剤に沿って直線的に移動される。同時に、テープ供給機構を作動させて、テープ89をテープ供給リール86からテープ巻き取りリール87に向かって移動させることで、テープ89を中央開口64の下部69に供給する。キャリアアーム24およびテープ供給機構28の移動は、各コントローラによって制御されてもよく、それぞれの移動速度は、所定の方法によって同期されてもよい。除去すべき線状ペリクル接着剤の各部分上でのテープの在留時間を短くするために、テープ89およびキャリアアーム24のそれぞれの移動は、連続的または半連続的(すなわち、小さく段階的で)あってもよい。
【0072】
テープ89の裏側に供給された溶剤は、線状ペリクル接着剤の材料を軟化させ、または少なくとも部分的に溶解させ、キャリアヘッドおよび/またはテープ89の移動による摩擦または拭き取り作用は、テープ89との接触点において線状ペリクル接着剤を除去する。キャリアアーム24の移動に伴い、先にテープと接触していたフォトマスク表面の部分は、上述したような洗浄液またはリンス液が供給される溝79の下に置かれる。洗浄液またはリンス液は、溶剤、溶解された接着剤材料、およびフォトマスクの表面からこすり落とされた接着剤粒子と混合され、この混合物は、第1溝78を通じて基板表面から吸引される。キャリアアーム24をフォトマスク上で十分に遠くに移動させることによって、線状ペリクル接着剤を完全に除去することが可能である。
【0073】
線状ペリクル接着剤の終端に到達したとき、つまり線状ペリクル接着剤が完全に除去され、かつ線状ペリクル接着剤の残留物が第1溝78内に吸引されたとき、液体の供給が停止されてもよい。すべての液体がフォトマスク表面から確実に吸い取られるようにするために、少なくとも所定の時間、吸引は維持されてもよい。液滴が基板表面に確実に到達しないようにするために、第2溝79および導管90に通じるそれぞれの導管内の流れを逆にしてもよく、導管に吸引力を与えてもよい。
【0074】
クリーニングヘッド26は、その後、持ち上げられて、フォトマスク2の表面の反対側の端部で平行に延びる線状接着剤などの他の線状ペリクル接着剤まで移動されてもよい。上述した操作は、その後、繰り返されてもよい。第2線状ペリクル接着剤を除去した後、フォトマスク2は、プラットフォーム9を介して、例えば、90度回転されてもよく、残留する線状ペリクル接着剤を、上記行程を繰り返すことにより、除去してもよい。線状ペリクル接着剤を完全に除去した後にクリーニングヘッド26を持ち上げるのではなく、キャリアアーム24の移動を継続してもよい。このキャリアアーム24の移動は、クリーニングヘッド26がフォトマスク2の側部を越えて移動するまで、例えば、隣接する要素上に移動するまで、継続されてもよく、これによって、クリーニングヘッドが持ち上げられるときに、液体がフォトマスク上に落下する問題を回避することができる。
【0075】
上記工程は、溶剤をベースとした湿式洗浄と、機械的拭き取り作用とを、特に有利な方法で組み合わせたものである。具体的には、溶剤がリンス媒体によって囲まれるように、溶剤を局所的に供給することにより、リンス媒体は、1つの動作ステップ内において、溶剤および屑を除去することができる。さらに、動作中にリンス媒体で溶剤を取り囲むことにより、溶剤が供給される領域から空気を隔離させ、これによって、溶媒リッチな環境を提供することができる。溶剤およびリンス媒体の流れは、リンス媒体と比較して少量の溶剤が使用されるように、調整されてもよい。
【0076】
フォトマスクからの線状ペリクル接着剤の除去に関する上記動作を説明したが、洗浄装置1は、他の基板を洗浄するために使用されてもよく、特に、基板のスポット洗浄、すなわち、基板の小さな局所領域を洗浄するために使用されてもよい。例えば、クリーニングヘッド26は、洗浄すべき基板の一部の上方に配置され、テープ89が洗浄すべき領域に接触するように、基板の一部の上に下降されてもよい。キャリアアームを動かさずに、洗浄液およびリンス液のそれぞれを供給し、かつテープ供給機構を作動させることによって、特定の局所領域は、化学作用および拭き取り作用の両方によって洗浄されてもよい。吸引力の特定の印加によりすべての液体が表面から吸収されてもよく、一回の動作で、洗浄および乾燥が可能になる。
【0077】
本発明は、特定の実施形態に限定されることなく、特定の実施形態を参照して上述された。当業者は、特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱することなく、本発明のホルダー、装置、および方法のための異なる変更および使用を理解することは可能である。