(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】電子機器及びロボットコントローラ
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20220404BHJP
B25J 13/06 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H05K1/14 G
B25J13/06
(21)【出願番号】P 2017035060
(22)【出願日】2017-02-27
【審査請求日】2020-02-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田頭 毅
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-283696(JP,A)
【文献】特開平08-330699(JP,A)
【文献】特開2003-188489(JP,A)
【文献】実開平04-102594(JP,U)
【文献】実開平03-095571(JP,U)
【文献】実開昭59-096888(JP,U)
【文献】特開平04-032292(JP,A)
【文献】特開2011-134868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0266620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/14
B25J 13/06
B25J 19/00
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路部品を実装したプリント回路基板である第1基板と、
電子回路部品を実装したプリント回路基板である第2基板と、
前記第1基板に設けられた第1端子と、前記第2基板に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子とを有し、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続する基板間接続コネクタと、
前記第2基板に設けられた把持具と、
前記第1基板の表面又は前記第2基板の裏面の何れか一方に立設され、前記第1端子及び前記第2端子を接続した状態において一方の端部が前記第1基板の表面に当接し、且つ他方の端部が前記第2基板の裏面に当接する長さ寸法を有する一対のスペーサと、を備え、
前記把持具は、前記第2基板の表面に立設された一対の接続部と、一対の前記接続部の上端部を互いに接続し、前記第1基板の法線方向から見て前記基板間接続コネクタが位置する領域を通って延在する掴み部と、を有し、
前記基板間接続コネクタは互いに平行に延びるように一対設けられ、
一対の前記基板間接続コネクタの前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続した状態において、前記第2基板の法線方向から見て、一方の前記接続部は一方の前記基板間接続コネクタの一方の端部の外側に配置され、且つ他方の前記接続部は他方の前記基板間接続コネクタの他方の端部の外側に配置され、且つ一方の前記スペーサは一方の前記基板間接続コネクタの他方の端部の外側に配置され、且つ他方の前記スペーサは他方の前記基板間接続コネクタの一方の端部の外側に配置され
、
前記掴み部は、前記第2基板の法線方向から見て、一対の前記基板間接続コネクタの延在方向と交差して延びている、電子機器。
【請求項2】
前記第2基板は、前記第1基板に積層配置され、
前記第1端子は前記第1基板の表面に設けられ、
前記第2端子は前記第2基板の裏面に設けられ、
前記把持具は前記第2基板の表面に設けられている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記基板間接続コネクタの前記第1端子及び前記第2端子の一方は前記第1基板及び前記第2基板の積層方向に伸延する電気接触部を有する雄型端子であり、前記第1端子及び前記第2端子の他方は前記雄型端子の嵌入を受容して該雄型端子の電気接触部と接触する電気接触部を有する雌型端子である、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記一対のスペーサは前記第1基板に設けられ、
前記第2基板は、前記一対のスペーサの前記他方の端部が当接する位置に位置する一対の貫通孔を有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
各前記スペーサの前記他方の端部に雌ねじが形成され、
前記一対の貫通孔に挿通されて前記一対のスペーサの前記雌ねじと螺合する一対の雄ねじを有する、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
開口部を有する筐体を有し、
前記開口部は、前記第1基板及び前記第2基板が挿通可能な大きさを有し、且つ前記第2基板の表面の外側に位置する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
電子回路部品を実装したプリント回路基板である第1基板と、
電子回路部品を実装したプリント回路基板である第2基板と、
前記第1基板に設けられた第1端子と、前記第2基板に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子とを有し、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続する基板間接続コネクタと、
前記第2基板に設けられた把持具と、
前記第1基板の表面又は前記第2基板の裏面の何れか一方に立設され、前記第1端子及び前記第2端子を接続した状態において一方の端部が前記第1基板の表面に当接し、且つ他方の端部が前記第2基板の裏面に当接する長さ寸法を有する一対のスペーサと、を備え、
前記把持具は、前記第2基板の表面に立設された一対の接続部と、一対の前記接続部の上端部を互いに接続し、前記第1基板の法線方向から見て前記基板間接続コネクタが位置する領域を通って延在する掴み部と、を有し、
前記基板間接続コネクタは互いに平行に延びるように一対設けられ、
一対の前記基板間接続コネクタの前記第1端子と前記第2端子とを電気的に接続した状態において、前記第2基板の法線方向から見て、一方の前記接続部は一方の前記基板間接続コネクタの一方の端部の外側に配置され、且つ他方の前記接続部は他方の前記基板間接続コネクタの他方の端部の外側に配置され、且つ一方の前記スペーサは一方の前記基板間接続コネクタの他方の端部の外側に配置され、且つ他方の前記スペーサは他方の前記基板間接続コネクタの一方の端部の外側に配置され
、
前記掴み部は、前記第2基板の法線方向から見て、一対の前記基板間接続コネクタの延在方向と交差して延びている、ロボットコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及びロボットコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプリント配線板接続構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このプリント配線板接続構造は、互いに平行に配置された複数の基板を接続する板間コネクタを備えている。これによって、プリント配線板接続構造をコンパクトに構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のプリント配線板接続構造は、板間コネクタを接続及び接続解除するため、基板を押し下げたり持ち上げたりする際に基板が撓み、基板が破損する恐れが生じるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のある態様に係る電子機器は、電子回路部品を実装したプリント回路基板である第1基板と、電子回路部品を実装したプリント回路基板である第2基板と、前記第1基板の設けられた第1端子と、前記第2基板に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子とを有し、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続する基板間接続コネクタと、前記第2基板に設けられた把持具と、を備える。
【0007】
この構成によれば、把持具を把持して第1端子と第2端子との接続作業及び接続解除作業を行うことができる。これによって、作業時の基板の破損を防止することができる。
【0008】
前記第2基板は、前記第1基板に積層配置され、前記第1端子は前記第1基板の表面に設けられ、前記第2端子は前記第2基板の裏面に設けられ、前記把持具は前記第2基板の表面に設けられていてもよい。
【0009】
この構成によれば、基板の組み付け作業において、基板を積層して組み付けることができる。これによって、基板の組み付け作業を容易に行うことができ、例えば、ロボットを用いた組み付け作業の自動化に有利である。
【0010】
前記基板間接続コネクタの前記第1端子及び前記第2端子の一方は前記第1基板及び前記第2基板の積層方向に伸延する電気接触部を有する雄型端子であり、前記第1端子及び前記第2端子の他方は前記雄型端子の嵌入を受容して該雄型端子の電気接触部と接触する電気接触部を有する雌型端子であってもよい。
【0011】
この構成によれば、基板間接続コネクタの接続及び接続解除を容易に行うことができる。
【0012】
前記把持具は、前記第1基板の法線方向から見て前記基板間接続コネクタが位置する領域を通って延在していてもよい。
【0013】
この構成によれば、基板間接続コネクタの接続を行うときに、把持部を押し下げる力を第1端子及び前記第2端子の何れか一方を他方に挿し込む力として効率よく伝達することができる。また、基板間接続コネクタの接続解除を行うときに、把持部を持ち上げる力を第1端子及び第2端子の何れか一方を他方から引き抜く力として効率よく伝達することができる。
【0014】
前記第1基板の表面又は前記第2基板の裏面の何れか一方に立設され、前記第1端子及び前記第2端子を接続した状態において一方の端部が前記第1基板の表面に当接し、且つ他方の端部が前記第2基板の裏面に当接する長さ寸法を有するスペーサを有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、基板間接続コネクタの接続を行うときに、第1端子及び前記第2端子の何れか一方の他方に対する挿し込み深さをスペーサによって規定することができる。これによって、基板間接続コネクタに無理な力がかかることによる基板間接続コネクタの破損を防止することができる。
【0016】
前記スペーサは一対設けられていてもよい。
【0017】
この構成によれば、基板間接続コネクタの接続を行うときに、第1端子及び前記第2端子の何れか一方の他方に対する挿し込み深さをスペーサによって適切に規定することができる。
【0018】
前記一対のスペーサは第1基板に設けられ、前記第2基板は、前記一対のスペーサの前記他方の端部が当接する位置に位置する一対の貫通孔を有していてもよい。
【0019】
この構成によれば、基板間接続コネクタの接続を行うときに、貫通孔とスペーサとが同一軸線上に位置するように調整することによって、第2基板を第1基板に対して精確に位置決めすることができる。
【0020】
各前記スペーサの前記他方の端部に雌ねじが形成され、前記一対の貫通孔に挿通されて前記一対のスペーサの前記雌ねじと螺合する一対の雄ねじを有していてもよい。
【0021】
この構成によれば、挿し込み深さを規定するスペーサを利用して第2基板を第1基板に適切に固定することができるので、構成を簡素なものとすることができる。
【0022】
開口部を有する筐体を有し、前記開口部は、前記第1基板及び第2基板が挿通可能な大きさを有し、且つ前記第2基板の表面の外側に位置していてもよい。
【0023】
この構成によれば、開口部を介して第1基板及び第2基板を筐体に組み付けることができる。
【0024】
上記課題を解決するため、本発明のある態様に係るロボットコントローラは、電子回路部品を実装したプリント回路基板である第1基板と、電子回路部品を実装したプリント回路基板である第2基板と、前記第1基板の設けられた第1端子と、前記第2基板に設けられ、前記第1端子に接続される第2端子とを有し、前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続する基板間接続コネクタと、前記第2基板に設けられた把持具と、を備える。
【0025】
この構成によれば、把持具を把持して第1端子と第2端子との接続作業及び接続解除作業を行うことができる。これによって、作業時の基板の破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、作業時の基板の破損を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態に係るロボットコントローラの構成例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1のロボットコントローラの第2基板及び第3基板の構成例を示す斜視図である。
【
図3】
図1のロボットコントローラの構成例を示す要部拡大平面図である。
【
図4】
図1のロボットコントローラの基板の組み付け作業の一例を説明する図である。
【
図5】
図1のロボットコントローラの基板の組み付け作業の一例を説明する図である。
【
図6】本発明の他の実施の形態に係るロボットコントローラの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係るロボットコントローラ100の構成例を示す分解斜視図である。
【0030】
ロボットコントローラ100は、図示しないロボットの動作を制御する電子機器である。
【0031】
図1に示すように、ロボットコントローラ100は、第1基板1と、第2基板2と、第3基板8と、基板間接続コネクタ3と、把持具4と、一対のスペーサ5と、一対の雄ねじ6と、筐体7とを含む。
【0032】
第1基板1は、電子回路部品を実装したプリント回路基板である。第1基板1は、与えられた電流値指令値に基づきロボットの各関節に設けられたサーボモータに供給する電流を制御する。第1基板1は、ロボットの各関節に設けられたサーボモータに供給する比較的大きい電流、及び高い電圧の電力を扱うようパターン設計されている。第1基板1は、筐体7の後述する底板72上に底板72と平行に配置されているが、これに限られるものではない。例えば、第1基板1は、筐体7の後述する底板72上に底板72と直交する姿勢で(底板72上に立てた状態で)配置されてもよい。
【0033】
第2基板2は、電子回路部品を実装したプリント回路基板である。第2基板2は、第1基板1と別体の基板であり、組み付けられた状態において、第1基板1に積層配置され、第1基板1の表面11の外方(上方)に位置するよう配設されている。なお、本実施の形態において、第2基板2は、底板72と平行に配置されている第1基板1の上方に位置するように積層配置されているが、これに限られるものではない。第1基板1が底板72上に立てた姿勢で配置されているときは、第2基板2が第1基板1の側方に位置するように積層配置されていてもよい。第2基板2の回路は、与えられた各関節の目標位置に基づき電流指令値を生成する。第2基板2は、第1基板1と比較して比較的小さい電流、及び低い電圧の電力を扱うようパターン設計されている。したがって、第1基板1及び第2基板2を別の基板で構成することにより、第1基板1の回路と第2基板2の回路との短絡を効果的に防止することができる。また、第1基板1及び第2基板2を別の基板で構成することにより、安全認証機関による第1基板1及び第2基板2に係る機器の安全認証を個別に取得することができ、一方の機器について仕様変更があった場合であっても、他の機器について再度安全認証を取得する手間を省くことができる。
【0034】
第2基板2には後述する一対のスペーサ5の先端部(上端部)が当接する位置に位置する一対の貫通孔23が形成されている。一対の貫通孔23は、後述する雄ねじ6が挿通可能な径寸法を有する。
【0035】
第3基板8は、電子回路部品を実装したプリント回路基板である。第3基板8は、第1基板1及び第2基板2と別体の基板であり、第1基板1及び第2基板2に積層配置され、第2基板2の上方に位置するよう配設されている。第3基板8は、動作プログラムに基づき各関節の目標位置を生成する。なお、本実施の形態において、第3基板8は、第2基板2に複数のスペーサ81を介して固定された状態で、第1基板1に組み付けられるよう構成されている。すなわち、複数のスペーサ81は、それぞれ基端部(下端部)が第2基板2に螺子止めされ、先端部(上端部)が第3基板8に螺子止めされている。
【0036】
このように、ロボットコントローラ100は、第3基板8において動作プログラムに基づき目標位置を生成し出力する。そして出力された目標位置は、基板間接続コネクタ3を介して第2基板2に入力される。次に、第2基板2は、入力された各関節の目標位置に基づいて、各関節の電流指令値を生成し出力する。そして出力された電流指令値は、基板間接続コネクタ3を介して第1基板1に入力される。次に、第1基板1は、入力された各関節の電流指令値に基づいて各関節に電流を供給する。
【0037】
図2は、第2基板2及び第3基板8の構成例を示す斜視図である。
【0038】
図1及び
図2に示すように、基板間接続コネクタ3は、第1基板1と第2基板2とを電気的に接続し、例えば、各関節の電流指令値を第2基板2から第1基板1に対して出力する。本実施の形態において、基板間接続コネクタ3は、一対設けられている。
【0039】
各基板間接続コネクタ3は、第1基板1に設けられた第1端子31と、第2基板2に設けられ、第1端子31に接続される第2端子32とを含む。第1端子31は例えば第1基板1の表面11に設けられ、第2端子32は例えば第2基板2の裏面22に設けられている。基板間接続コネクタ3は、例えば、第2端子32が第1基板1及び第2基板2の積層方向、すなわち第2基板2の裏面22から第1基板1に向かう方向(下方)に伸延する複数のピン(電気接触部)を有する雄型端子であり、第1端子31が第2端子32の嵌入を受容して第2端子32の複数のピンと接触するピンソケット(電気接触部)を有する雌型端子である。したがって、第2基板2を第1基板1及び第2基板2の積層方向に下ろすことにより、第2端子32が第1端子31に挿し込まれて接続され、第2基板2を第1基板1及び第2基板2の積層方向に持ち上げることにより、第2端子32が第1端子31から引き抜かれて接続解除されるように構成されている。また、上述の通り、本実施の形態において、基板間接続コネクタ3は、一対設けられており、一対の第1端子31及び一対の第2端子32を有する。一対の第1端子31は第1基板1の表面11に互いに平行に実装され、これに対応して一対の第2端子32も第2基板2の裏面22に互いに平行に実装されている。
【0040】
図3は、ロボットコントローラ100の構成例を示す要部拡大図である。
【0041】
把持具4は、第2基板2に設けられた例えば取っ手形状の器具であり、基板の組み付け作業、ロボットコントローラ100の内部の点検作業等において、作業者が手で把持するために適した形状に形成されている。把持具4は、第2基板2の表面21に設けられ、第2端子32の近傍に配設されている。把持具4は、例えば第2基板2の表面21に立設された一対の接続部41と、一対の接続部41の先端部(上端部)を互いに接続する掴み部42とを有する。掴み部42は、組み付け作業者が把持する部分であり、
図3に示すように、第1基板1の法線方向から見て基板間接続コネクタ3が位置する領域Aを通って延在する。本実施の形態において、領域Aは、一対の基板間接続コネクタ3を囲む領域である。すなわち、掴み部42及び領域Aを第1基板1及び第2基板2と平行な平面に投影した投影面において、掴み部42は領域Aを通って延在する。
【0042】
把持具4の一対の接続部41の基端部(下端部)には図示しない雌ねじが形成されている。また、把持具4の一対の接続部41と第2基板2の表面21とが接触する部分には図示しない一対の貫通孔が形成されている。そして、この貫通孔に
図2に示す一対の雄ねじ43が、第2基板2の裏面22から表面21に向かって挿通され、一対の雄ねじ43は把持具4の一対の接続部41の雌ねじと螺合している。このようにして、把持具4は、第2基板2に取り付けられている。
【0043】
一対のスペーサ5は、
図1に示すように、第1基板1の表面11又は第2基板2の裏面22の何れか一方に立設され、基板間接続コネクタ3の近傍に配設されている。本実施の形態において、一対のスペーサ5は、第1基板1に立設されている。例えば、一対のスペーサ5の基端部(下端部)は、第1基板1に螺子止めされている。
【0044】
そして、一対のスペーサ5は、第1端子31及び第2端子32を接続した状態において基端部が第1基板1の表面11に当接し、且つ先端部(上端部)が第2基板2の裏面22に当接する長さ寸法を有する。
【0045】
一対のスペーサ5は、それぞれ先端部に雌ねじ51が形成されている。一対のスペーサ5は、第2基板2の法線方向から見て、第2基板2の一対の貫通孔23と同軸に配設されている。そして、一対の雌ねじ51は、一対の貫通孔23に第2基板2の表面21から裏面22に向かって挿通された一対の雄ねじ6と螺合する。これによって、第2基板2を第1基板1に固定することができる。
【0046】
また、例えばスペーサ5と同じ形状の複数のスペーサ82が第1基板1に立設されている。これらスペーサ82は、基端部(下端部)が第1基板1に螺子止めされ、先端部(上端部)が第2基板2に螺子止めされている。このように、第1基板1、第2基板2及び第3基板8は積層方向に互いに離間して配設され、基板間のノイズ等の影響を低減している。
【0047】
筐体7は、箱状に形成され、上面に形成された開口部71と、底板72と、側壁73と、開口部71を閉塞する図示しない蓋とを含む。開口部71は、第1基板1及び第2基板2が挿通可能な大きさを有し、且つ第2基板2の表面21の外側(上方)に位置する。第1基板1及び第2基板2は、底板72の上に底板72と平行に積層されて組み付けられる。なお、第1基板1は図示しないスペーサを介して底板72上に配設、固定されている。なお、ロボットコントローラ100の筐体7は、
図1に示す横置きのみならず、縦置き可能に構成されている。すなわち、ロボットコントローラ100の筐体7は、側壁73を構成する4つの面のうち何れか1つの面が下方に位置し、底板72が垂直方向に延びるように置くことができるように構成されている。
【0048】
このように、第1基板1及び第2基板2は、底板72の上に底板72と平行に積層されて組み付けられるので、基板の組み付け作業において、基板を積層することによって基板を筐体7に組み付けることができる。これによって、基板の組み付け作業を容易に行うことができ、例えば、ロボットを用いた組み付け作業の自動化に有利である。
【0049】
[組み付け作業例]
次に、ロボットコントローラ100の基板の組み付け作業の一例を説明する。
【0050】
図4及び
図5は、ロボットコントローラ100の基板の組み付け作業の一例を説明する図である。
【0051】
第2基板2及び第3基板8をロボットコントローラ100に組み付けるときは、組み付け作業者が把持具4の掴み部42を把持して筐体7の開口部71から筐体7の内部空間に挿入し、第2基板2及び第3基板8を組み付けるおおよその位置を見定め、この見定めた位置に第2基板2及び第3基板8を位置させる。
【0052】
次に、作業者は、把持具4を操作して、
図3に示すように、一対の貫通孔23を通じて貫通孔23の下方(第2基板2から第1基板1に向かう方向)を視認し、一対の貫通孔23と一対の雌ねじ51とが同軸に位置するよう第2基板2及び第3基板8を位置させる。
【0053】
次に、
図4に示すように、作業者は、把持具4を操作して、一対の貫通孔23と一対の雌ねじ51とが同軸に位置する状態を保ちながら第2基板2及び第3基板8を下ろす(第1基板1に近づける)。これによって、一対の第2端子32が一対の第1端子31に挿し込まれ、基板間接続コネクタ3を介して第1基板1及び第2基板2が接続される。そして、各スペーサ5の雌ねじ51に雄ねじ6を螺合させ、第2基板2及び第3基板8を第1基板1に固定する。このようにして、第2基板2及び第3基板8を第1基板1に組み付けることができる。
【0054】
なお、第2基板2及び第3基板8を第1基板1から取り外すときは、一対の雄ねじ6を取り外し、把持具4を把持して持ち上げる。これによって、第2端子32を第1端子31から引き抜かれ、基板間接続コネクタ3の接続が解除される。
【0055】
このように、本実施の形態において、ロボットコントローラ100は、第2基板2及び第3基板8を下ろすことにより、基板間接続コネクタ3を介して第1基板1と接続することができる。これによって、基板と基板とをハーネスで接続するような追加作業を省くことができ、基板の組み付け作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0056】
そして、把持具4を把持して基板間接続コネクタ3の接続作業及び接続解除作業を行うことができるので、第2端子32を第1端子31に挿し込むために第2基板2を押し下げたとき又は第2端子32を第1端子31から引き抜くために第2基板2を持ち上げたときに、第2基板2が撓んで破損することを防止することができる。また、作業者が基板に直接触れることによる電子回路部品の静電気破壊を防止することができる。
【0057】
また、把持具4の掴み部42は、第1基板1の法線方向から見て基板間接続コネクタ3が位置する領域Aを通って延在するので、基板間接続コネクタ3の接続を行うときに、把持具4を押し下げる力を第2端子32を第1端子31に挿し込む力として効率よく伝達することができる。また、基板間接続コネクタ3の接続解除を行うときに把持具4を持ち上げる力を第2端子32を第1端子31から引き抜く力として効率よく伝達することができる。
【0058】
更に、基板間接続コネクタ3の第1端子31と第2端子32とを接続するときに、一対の貫通孔23と一対の雌ねじ51とが同軸に位置するように調整することによって、第2基板2を第1基板1に対して精確且つ容易に位置決めすることができる。したがって、第1端子31及び第2端子32を第1基板1と第2基板2との間の空間の側方から視認することが困難である場合であっても、第1端子31及び第2端子32を容易且つ確実に接続することができる。
【0059】
また、
図5に示すように、スペーサ5の上端部と第2基板2の裏面22とが当接すると、第2基板2及び第3基板8の下方(第2基板2から第1基板1に向かう方向)への移動が規制される。これによって、第2端子32の第1端子31に対する挿し込み深さをスペーサ5によって適切に規定することができる。よって、第2端子32が第1端子31に過度に挿し込まれ、第1端子31及び第2端子32に過剰な力が加わり、第1端子31及び第2端子32が破損することを防止することができる。特に、スペーサ5は、一対設けられているので、第2端子32の第1端子31に対する挿し込み深さを一対のスペーサ5によってより適切に規定することができる。
【0060】
[他の実施の形態]
図6は、本発明の他の実施の形態に係るロボットコントローラ200の構成例を示す斜視図である。
【0061】
図6に示すように、本実施の形態において、第2基板202は、第1基板1の上方に位置し、第1基板1と交差する(さらに詳しくは直交する)姿勢で配置されている。第2基板202のその他の構成は第2基板2と同様であるのでその詳細な説明を省略する。
【0062】
また、基板間接続コネクタ203の第2端子232は第2基板202の表面221又は裏面222の何れか一方の側縁の第1基板1と対峙する部分から第1基板1に向かう方向に伸延するように設けられている。基板間接続コネクタ203のその他の構成は基板間接続コネクタ3と同様であるのでその詳細な説明を省略する。
【0063】
また、把持具204は、第2基板202の表面221に立設された接続部241と、接続部241の先端部から延びる掴み部242とを有する。接続部241は中央部が屈曲するL字状に形成され、屈曲部分より基端側の部分は第2基板202と直交する方向に延在し、屈曲部分より先端側部分は第1基板1と直交する方向に延在している。掴み部242は、第1基板1及び第2基板2と平行に伸延している。把持具204のその他の構成は把持具4と同様であるのでその詳細な説明を省略する。
【0064】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0065】
1 第1基板
2 第2基板
3 基板間接続コネクタ
4 把持具
31 (基板間接続コネクタの)第1端子
32 (基板間接続コネクタの)第2端子
100 ロボットコントローラ