IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-フライアッシュの製造装置及び製造方法 図1
  • 特許-フライアッシュの製造装置及び製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】フライアッシュの製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/26 20060101AFI20220404BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20220404BHJP
   B01D 46/02 20060101ALI20220404BHJP
   F23J 1/00 20060101ALI20220404BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20220404BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20220404BHJP
   F23G 7/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C04B7/26
C04B18/08 Z
B01D46/02 Z
F23J1/00 B
B09B3/00 303L
B09B5/00 N
F23G7/00 103Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017150410
(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公開番号】P2019026534
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100091591
【弁理士】
【氏名又は名称】望月 秀人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】秋山 勇介
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲也
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-281438(JP,A)
【文献】特開平01-304094(JP,A)
【文献】特開2002-273492(JP,A)
【文献】特開2007-000780(JP,A)
【文献】特開2000-140686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B2/00-32/02,
C04B40/00-40/06,
C04B103/00-111/94
B01D 46/02
B09B 3/00,5/00
F23J 1/00
F23G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭灰が供給される焼成装置で焼成されて未燃カーボンが除去されて排出されたフライアッシュを、冷却装置で冷却してフライアッシュを製造するフライアッシュの製造装置において、
前記焼成装置における石炭灰の焼成に供されて焼成装置から排出された燃焼空気が冷却装置を経ることなく供給されて該燃焼空気に含まれる固体分と気体分とを分離する分離装置と、
前記分離装置で分離された気体分が供給される集塵装置とを備え、
前記集塵装置で捕捉された固体分を製品タンクに給送することを特徴とするフライアッシュの製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフライアッシュの製造装置であって、
前記焼成装置から排出された燃焼空気を高温側に導入される熱交換器を備え、
前記熱交換器を通った燃焼空気を前記分離装置に供給することを特徴とするフライアッシュの製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフライアッシュの製造装置であって、
前記集塵装置にバグフィルターが用いられていることを特徴とするフライアッシュの製造装置。
【請求項4】
石炭灰を焼成装置で焼成して未燃カーボンを除去し、フライアッシュを生成するフライアッシュの製造方法において、
前記焼成装置において石炭灰の焼成に供されて燃焼装置から排出された燃焼空気が冷却装置を経ることなく分離装置に供給されて、該燃焼空気に含まれる気体分と固体分とに分離し、
前記分離装置で分離された気体分を集塵装置に供給して気体分と固体分とに分離し、
前記集塵装置で捕捉された固体分をフライアッシュの製品とすることを特徴とするフライアッシュの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のフライアッシュの製造方法であって、
前記焼成装置から排出された燃焼空気を熱交換器の高温側に導入し、
前記熱交換器を通った燃焼空気を前記分離装置に供給することを特徴とするフライアッシュの製造方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のフライアッシュの製造方法であって、
前記集塵装置にバグフィルターが用いられていることを特徴とするフライアッシュの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石炭焚きボイラーから排出される石炭灰からコンクリート用混和材を製造する際に、石炭灰に残存している未燃カーボンを十分に除去してコンクリート用混和材に適したフライアッシュの製造装置及び製造方法に関し、特に、高均質で、安定したフライアッシュの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙工場や発電所等においては、石炭を微粉炭にして燃焼させる石炭焚きボイラーにより得られた高圧蒸気により発電を行って、工場内の電力や商用の電力を得ている。この石炭焚きボイラーでは、いわゆる燃えかすとして石炭灰が産出されるが、ボイラーの円滑な運転にはこれを回収することを要する。回収された石炭灰は、産業廃棄物として廃棄されたり、リサイクルされたりしているが、廃棄する場合、埋立場所が制限されたり、環境保全の問題等が生じている。このため、回収された石炭灰を極力リサイクルすることが要望されている。
【0003】
石炭灰のリサイクルの一つに、コンクリート用混和材として利用することが行われている。コンクリート用混和材として利用するためには、石炭灰に含まれている未燃カーボンを除去してコンクリート用混和材に適したフライアッシュを生成する必要があり、JIS A 6201には強熱減量や粉末度等の相違により品質の高いI種から品質の低いIV種の4つの区分の品質が規定されている。
【0004】
未燃カーボンの除去方法として、特許文献1には、未燃カーボンを含有する原料フライアッシュを攪拌流動搬送しながら未燃カーボンの自燃温度まで加熱し続いて加熱温度を保持して自燃焼成し、次いで間接冷却して改質フライアッシュを回収する改質フライアッシュの製造方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、前記攪拌流動搬送する装置に、傾斜を有するロータリーキルンの上端部より石炭灰を供給し、下端部より熱ガスを供給して未燃物を焼却させるようにした石炭灰中の未燃物質除去方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、サイクロンに高温空気と石炭灰とを導入し、前記石炭灰の粒子を前記高温空気中に浮遊した状態にして加熱することにより前記石炭灰中の未燃カーボンを燃焼させて除去し、次いで未燃カーボンを除去した前記石炭灰と燃焼ガスとを分離した後、前記石炭灰を分級機により粗粉分と細粉分とに分級し、前記細粉分をフライアッシュセメント用混和材として回収するようにした石炭灰の処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第4883623号公報
【文献】特許第3629577号公報
【文献】特許第3205770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した特許文献1と特許文献2、特許文献3とのそれぞれに開示されたフライアッシュの製造等では、製造されたフライアッシュを均質化することが十分果たせていなかった。例えば、JIS規格によるI種に該当するフライアッシュのみを製造することは難しく、I種とII種とが混合したフライアッシュが製造されることが実情である。
【0009】
特に、特許文献3に開示された発明では、生成されたフライアッシュを分級機に供して分級することで、均質化を図ろうとされており、分級のための装置を要して、大型のフライアッシュ製造装置となってしまうおそれがある。
【0010】
そこで、この発明は、製造されるフライアッシュの品質を高くすると共に、均質なフライアッシュの製造装置及び製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための技術的手段として、この発明に係るフライアッシュの製造装置は、石炭灰が供給される焼成装置で焼成されて未燃カーボンが除去されて排出されたフライアッシュを、冷却装置で冷却してフライアッシュを製造するフライアッシュの製造装置において、前記焼成装置における石炭灰の焼成に供されて焼成装置から排出された燃焼空気が冷却装置を経ることなく供給されて該燃焼空気に含まれる固体分と気体分とを分離する分離装置と、前記分離装置で分離された気体分が供給される集塵装置とを備え、前記集塵装置で捕捉された固体分を製品タンクに給送することを特徴としている。
【0012】
集塵装置で捕捉された固体分は、未燃カーボンが殆ど除去されたフライアッシュであり、品質の高いものとなるので、集塵装置で捕捉された固体分であるフライアッシュを製品とするものである。なお、従来は、集塵装置で捕捉された固体分は再度焼成装置に供給して、再燃焼している。
また、前述のフライアッシュの製造装置であって、前記焼成装置から排出された燃焼空気を高温側に導入される熱交換器を備え、前記熱交換器を通った燃焼空気を前記分離装置に供給することを特徴とすることができる。
【0013】
また、前述のフライアッシュの製造装置であって、前記集塵装置にバグフィルターが用いられていることが好ましい。
【0014】
集塵装置にバグフィルターを用いるものである。バグフィルターを用いることにより、粒子の細かいフライアッシュを捕捉できるので、より良質のものを採取しようとするものである。
【0015】
また、この発明に係るフライアッシュの製造方法は、石炭灰を焼成装置で焼成して未燃カーボンを除去し、フライアッシュを生成するフライアッシュの製造方法において、前記焼成装置において石炭灰の焼成に供されて燃焼装置から排出された燃焼空気が冷却装置を経ることなく分離装置に供給されて、該燃焼空気に含まれる気体分と固体分とに分離し、前記分離装置で分離された気体分を集塵装置に供給して気体分と固体分とに分離し、前記集塵装置で捕捉された固体分をフライアッシュの製品とすることを特徴としている。
また、前述のフライアッシュの製造方法であって、前記焼成装置から排出された燃焼空気を熱交換器の高温側に導入し、前記熱交換器を通った燃焼空気を前記分離装置に供給することを特徴とすることができる。
【0016】
また、前述のフライアッシュの製造方法であって、前記集塵装置にバグフィルターが用いられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係るフライアッシュの製造装置及び製造方法によれば、集塵装置によって捕捉された固体分は石炭灰の焼成が良好であって、含まれている未燃カーボンが殆ど除去された状態にあるから、高品質のフライアッシュを取得することができる。従って、コンクリート用混和材として最良のフライアッシュを製造することができる。
【0019】
また、この発明に係るフライアッシュの製造装置または製造方法によれば、極力細かな粒子によるフライアッシュを捕捉でき、高品質のフライアッシュによる良質なコンクリート用混和材を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明に係るフライアッシュの製造装置を説明する図であり、この製造装置に適した焼成装置を示す図である。
図2図1に示す焼成装置によって焼成されて生成されたフライアッシュを製品とするまでを説明する図であり、冷却装置から製品タンクに至る工程と、焼成装置から排出される燃焼空気の処理工程を説明するもので、図1に示す焼成装置に後続する工程であり、焼成装置の一部を併記して示してある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図示した好ましい実施の形態に基づいて、この発明に係るフライアッシュの製造装置及び製造方法を具体的に説明する。
【0022】
図1に示すように、石炭焚きボイラーの燃料に供されて回収された石炭灰は、フライアッシュ製造の原料として原料タンク1に供給される。この原料タンク1の排出口には供給管1aを介して原料ホッパー2が接続されており、供給量が調整されながら燃焼装置であるロータリーキルン3に給送するためのスクリューコンベヤ等からなる原料搬送装置2aに供給される。ロータリーキルン3の供給口側には助燃バーナー3aが配され、ロータリーキルン3の供給側から排出口側にかけて順に第1バーナー3bと第2バーナー3c、第3バーナー3dとが配されており、供給された石炭灰はロータリーキルン3内を攪拌されながら移動し、これらのバーナーにより加熱されて焼成される。なお、ロータリーキルン3には種々の形式があり、いずれの形式のものであっても用いることができる。
【0023】
ロータリーキルン3の排出口側には焼成され生成されたフライアッシュが収集される排出ホッパー3eが配されており、フライアッシュはこの排出ホッパー3eの下側に配されたスクリューコンベヤ等のフライアッシュ搬送装置4に供される。
【0024】
前記フライアッシュ搬送装置4の排出口には、図1および図2に示すように、ダクト4aを介して冷却装置5が接続されており、搬送されたフライアッシュはこのダクト4aを通って冷却装置5に供給される。冷却装置5の排出口側には冷却装置5で冷却されたフライアッシュの給送管6と回収ブロワー23とが接続されており、この給送管6には回収ブロワー23から給送風が供給されている。そして、この給送管6の終端には第1製品タンク7が接続されて、フライアッシュは前記回収ブロワー23の給送風により搬送されてこの第1製品タンク7に貯留されることになる。
【0025】
また、前記給送管6の途中には分岐管6aが接続されており、この分岐管6aの終端にはテンポラリータンク8が接続されている。なお、切替弁9a、9bが設けられて、これら切替弁9a、9bの開閉の切替により、冷却装置5から排出されたフライアッシュを前記第1製品タンク7またはテンポラリータンク8のいずれに給送するかを切り替えられるようにしてある。
【0026】
前記分岐管6aの前記切替弁9bの下流側には切替管8aが接続されており、この切替管8aは、切替弁8bを介して回収送風管11aに接続されている。また、分岐管6aの一部であって、この切替管8aとの接続部よりもテンポラリータンク8側に切替弁6bが設けられている。前記回収送風管11aは回収ブロワー11の吐出口に接続され、終端は第2製品タンク11cに接続されている。なお、回収送風管11aの前記切替管8aとの接続部の下流側には切替弁11bが配されている。
【0027】
前記排出ホッパー3eの上部には前記ロータリーキルン3内で石炭灰の燃焼に供された燃焼空気を外部に排出する排気管12が接続されている。この排出管12の終端は副熱交換器21の高温側に接続されている。この副熱交換器21から排出された燃焼空気は戻し管12cを介して分離装置であるサイクロンセパレーター13に導入されている。なお、この戻し管12cの途中に外気を導入する外気導入管12aが接続されている。
【0028】
前記サイクロンセパレーター13で分離された固体分は前記原料ホッパー2に終端が接続されている戻し管14にサイクロン回収管13aを介して接続されており、戻し管14は外気導入ブロワー14aの吐出口に接続されて送風空気が導入されている。また、サイクロンセパレーター13で分離された気体分にはフライアッシュが含まれており、排気管15を介して集塵装置であるバグフィルター16に供給されている。また、この排気管15の途中には外気導入管15aが接続されて、バグフィルター16には前記気体分と共に外気が導入されている。
【0029】
前記バグフィルター16で分離された気体分は清浄な空気となって排気管16bを通って外部に排出される。また、該バグフィルター16で捕捉された固体分は、集塵回収管16aを介して前記戻し管14に供給される。
【0030】
前記サイクロン回収管13aと集塵回収管16aとは採集管17で接続されている。サイクロン回収管13aには切替弁13bが設けられており、サイクロンセパレーター13で分離された固体分を、戻し管14に供給する場合と採集管17に供給する場合とを切り替えられるようにしてある。また、前記集塵回収管16aには切替弁16cが設けられており、バグフィルター16で捕捉された固体分を、戻し管14に供給する場合と採集管17に供給する場合とを切り替えられるようにしてある。前記採集管17は上記切替弁13b、16cのいずれに対しても上流側に配されており、また、この採集管17には切替弁17a、17bが設けられている。そして、採集管17の中間部であって、これら切替弁17a、17bの間位置には前記回収送風管11aが接続されている。
【0031】
前記副熱交換器21の高温側に導入された燃焼空気は、外気導入ブロワー22から吐出側配管22aを介して副熱交換器21の低温側に導入された空気を加温する。
【0032】
前記副熱交換器21で加温された空気は導入管21aに導入され、この導入管21aは主熱交換器24の低温側に導入されている。一方、該主熱交換器24の高温側にはロータリーキルン3の外周に設けられたジャケット部3fから排出される排出高温空気が導入されており、前記低温側に導入された空気を加温する。なお、加温に供された排出高温空気は外部に排出される。
【0033】
前記第1バーナー3bと第2バーナー3c、第3バーナー3dとからのバーナー燃焼高温ガスおよび外気導入ブロワー25から冷却空気管25aを介して導入された冷却に供された外気とが前記ジャケット部3f内で混合し、排出高温空気として排出管25bを通って前記主熱交換器24の高温側に導入されている。
【0034】
前記主熱交換器24の低温側に導入されて前記排出高温空気により加温された空気は、燃焼空気管24aを介してロータリーキルン3の燃焼用空気として、前記助燃バーナー3aへ、この他、第1バーナー3b、第2バーナー3c、第3バーナー3dのそれぞれに供給される。これらのバーナー3a、3b、3c、3dのそれぞれには燃料用灯油が供給されており、この燃料用灯油と燃焼用空気との混合比は、それぞれのバーナー3a、3b、3c、3dに接続された燃料供給管24bと空気導入管24cのそれぞれに設けられた燃料調整弁24dと空気調整弁24eとの開度が変更されることにより調整できるようにしてある。
【0035】
以上により構成されたこの発明に係るフライアッシュの製造装置の作用を、以下に説明する。
【0036】
石炭焚きボイラーのボイラー燃料となった燃えかすの石炭灰は、前記原料タンク1に貯留される。この貯留タンクから原料ホッパー2に給送され、適宜に計量されながら前記原料搬送装置2aに供給されて、ロータリーキルン3内に供給される。供給された石炭灰は前記助燃バーナー3aと第1バーナー3bとにより燃焼温度まで加熱される。石炭灰はロータリーキルン3の回転によりらせん状に搬送され、ロータリーキルン3の内壁面に設けられた棚状リフター等の図示しない攪拌装置により攪拌されながら、徐々に前記排出ホッパー3eの方向に移動される。この移動途中で前記第2バーナー3cと第3バーナー3dとにより加熱されて自燃しながら移動する。この石炭灰の燃焼により未燃カーボンが除去されてフライアッシュが生成される。第3バーナー3dが臨む部分を通過すると加熱が解除されてフライアッシュの燃焼が沈静化され、前記排出ホッパー3eに給送されることになる。
【0037】
また、ロータリーキルン3の外側に配された前記ジャケット部3fでは前記第1バーナー3bと第2バーナー3c、第3バーナー3dからのバーナー燃焼高温ガスおよび前記外気導入ブロワー25から導入された外気とが混合されて排出高温空気が生成される。この排出高温空気は、前記排出管25bへ排出されて前記主熱交換器24の高温側へ導入される。この主熱交換器24の低温側には外気導入ブロワー22により外気が導入され、前記副熱交換器21でロータリーキルン3の燃焼空気と熱交換し加温された加温空気が導入管21aに導かれ、前記ロータリーキルン3のジャケット部3fからの排出高温空気によりさらに主熱交換器24で加温されて燃焼用空気として前記燃焼空気管24aに排出される。この燃焼空気管24aを介して、前記助燃バーナー3aと第1バーナー3b、第2バーナー3c、第3バーナー3dのそれぞれの空気導入管24cへ該燃焼用空気が供給される。なお、それぞれのバーナー3a、3b、3c、3dは前記燃料用灯油と燃焼用空気との供給量が燃料調整弁24dと空気調整弁24eにより混合比が調整されて、最適な燃焼効率が得られるようにしてある。
【0038】
前記排出ホッパー3eに給送されたフライアッシュは、前記フライアッシュ搬送装置4に供されて、前記ダクト4aを介して前記冷却装置5に給送される。冷却装置5内ではフライアッシュは冷却されながら排出口まで搬送されて給送管6に供給される。この給送管6には前記回収ブロワー23の吐出側が接続されているから、給送管6内のフライアッシュは回収ブロワー23の送風によって搬送される。このとき、前記切替弁9a、9bの開閉状態によって搬送先が第1製品タンク7とテンポラリータンク8のいずれかを選択することができる。例えば、ロータリーキルン3の運転開始時等では運転が定常状態になくロータリーキルン3の内部温度が十分に上昇していないため焼成が不十分となり、原料である石炭灰に含まれる未燃カーボンが十分に除去されていないフライアッシュが生成される。この場合には、製品としては品質が低いため、前記切替弁9aを閉止し、切替弁9bを開放して給送管6と分岐管6aとが連通する状態に切り替える。これにより、未燃カーボンが十分に除去されていないフライアッシュが前記テンポラリータンク8に導入されることになる。一方、定常状態の運転となった場合には良好な焼成を行えて、未燃カーボンが十分に除去されたフライアッシュが生成される。この場合には、切替弁9aを開放し、切替弁9bを閉止して前記給送管6と分岐管6aとの間が遮断された状態とするとともに、給送管6が第1製品タンク7に連通する状態に切り替える。これにより、生成されたフライアッシュはテンポラリータンク8には給送されず、前記第1製品タンク7に給送されて貯留されることになる。このため、品質の安定したフライアッシュを取得できる。なお、定常運転時であっても、例えば第1製品タンク7が満杯となった場合等には前記テンポラリータンク8に給送して、第1製品タンク7内のフライアッシュの排出作業を行うようにすることもできる。
【0039】
前記排出ホッパー3eの上部からは未燃カーボンの燃焼に供された燃焼空気が排出される。排出された燃焼空気は前記排気管12を通って副熱交換器21の高温側に供されて、外気導入ブロワー22により導入された外気を加温して排出される。排出された燃焼空気が戻し管12cを通って前記サイクロンセパレーター13に供されて、燃焼空気に含まれたフライアッシュの固体分と気体分とに分離される。分離された固体分は前記サイクロン回収管13aに排出され、気体分は前記排気管15に排出される。
【0040】
前記排気管15に排出された気体分にはフライアッシュが含まれているので、前記バグフィルター16に供してさらにフライアッシュの固体分と気体分とを分離させる。分離された気体分は前記排気管16bから外部に排出される。
【0041】
バグフィルター16で捕捉されたフライアッシュは、前記集塵回収管16aに導入される。この集塵回収管16aは前記戻し管14に接続され、前記外気導入ブロワー14aの送風空気により該戻し管14を通って前記原料ホッパー2に戻される。また、前記サイクロンセパレーター13により分離された固体分はサイクロン回収管13aから戻し管14に至り、原料ホッパー2に戻される。
【0042】
ところで、ロータリーキルン3の運転状態が定常にある場合には、前記バグフィルター16によって捕捉された固体分であるフライアッシュは未燃カーボンが十分に除去された品質の高いものであり、コンクリート用混和材として良質なものであるので、製品として製品タンクに供給することが望ましい。そこで、ロータリーキルン3が定常運転となった場合には、前記切替弁16cを閉止すると共に、切替弁17bを開放して集塵回収管16aを採集管17に連通させて、戻し管14に至る管路を遮断する。この採集管17は前記回収送風管11aに接続されているから、高品質のフライアッシュが該回収送風管11aを通って前記第2製品タンク11cに給送されて貯留される。なお、このときには、前記切替弁8bを閉止すると共に、切替弁11bを開放する。他方、ロータリーキルン3が定常運転にない場合には、未燃カーボンが十分に除去されていないため、前記切替弁16cを開放すると共に、切替弁17bを閉止する。これにより、集塵回収管16aを戻し管14に連通させてバグフィルター16で捕捉されたフライアッシュを原料ホッパー2に戻すようにする。なお、フライアッシュを前記テンポラリータンク8に回収する際には、サイクロンセパレーター13のサイクロン回収管13aとバグフィルター16の集塵回収管16aのいずれも回収送風管11aに連通させ、前記切替弁8bと切替弁6bを開放すると共に、前記切替弁11bと切替弁9bを閉止して、回収送風管11aを前記切替管8aを介してテンポラリータンク8に連通させる。
【0043】
さらに、前述のように、バグフィルター16で捕捉された固体分はフライアッシュとして品質が高く、冷却装置5を介した通常の製造工程で取得されたフライアッシュよりも均質である。このため、バグフィルター16で捕捉されたフライアッシュを前記通常の製造工程で取得されたフライアッシュとは別個に貯留することで、通常の製造工程で取得されたフライアッシュよりも付加価値の高いフライアッシュを取得できる。すなわち、バグフィルター16で捕捉されたフライアッシュを前記第2製品タンク11cに貯留させて、前記第1製品タンク7に貯留されたフライアッシュと区別するようにしたものである。
【0044】
他方、回収送風管11aを給送されるフライアッシュが第2製品タンク11cに貯留されては不都合がある場合には、前記切替弁11bと切替弁9bを閉止し、切替弁8bと切替弁6bを開放することにより、テンポラリータンク8に回収すればよい。また、第2製品タンク11cが、例えば満杯となった場合には、この高品質のフライアッシュをテンポラリータンク8に回収しては無駄が生じることになる。この場合には、バグフィルター16で捕捉されたフライアッシュを第1製品タンク7に給送することができる。この場合には、切替弁11bと切替弁6bを閉止し、切替弁8bと切替弁9b、切替弁9aとを開放することで、回収送風管11aを給送管6を介して第1製品タンク7に連通させればよい。
【0045】
また、前記サイクロンセパレーター13においても同様に、ロータリーキルン3が定常運転にある場合に分離される固体分の未燃カーボンが十分に除去されているものであれば、前記切替弁13bを閉止すると共に、前記切替弁17aを開放して前記サイクロン回収管13を採集管17に連通させる。これにより、サイクロンセパレーター13で分離された固体分であるフライアッシュが採集管17から回収送風管11aを通って第2製品タンク11cに供給される。また、ロータリーキルン3が定常運転にない場合や定常運転時であっても未燃カーボンが十分に除去されていない固体分である場合には、切替弁13bを開放すると共に、切替弁17aを閉止して前記サイクロン回収管13aを戻し管14に連通させて、原料ホッパー2に戻すようにする。なお、この場合でも、前記バグフィルター16により捕捉された高品質のフライアッシュは採集管17に導入して回収送風管11aから第2製品タンク11cに給送することができる。
【0046】
前記排出ホッパー3eから前記排気管12に導入された燃焼空気は、前記副熱交換器21の高温側に導入される。この副熱交換器21には外気導入ブロワー22により低温側に外気が供給されているから、この外気が加温されて前記導入管21aを通って前記主熱交換器24の低温側に供給される。このため、副熱交換器21により加温された外気が主熱交換器24の低温側に導入され温度が高められることになる。これにより、主熱交換器24から排出される前記燃焼用空気の温度が高くなって、前記バーナー3a、3b、3c、3dに供給される。このため、このフライアッシュの製造装置の熱回収が良好となり、省エネルギー効率を高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
この発明に係るフライアッシュの製造装置または製造方法によれば、焼成装置で石炭灰の燃焼に供された燃焼空気を外気に排出するために排出空気の清浄を行う集塵装置で捕捉された固体分であるフライアッシュは未燃カーボンが殆ど除去され、高品質のものであるので、これを個別に貯留することにより品質の高いフライアッシュを採取することに寄与する。
【符号の説明】
【0048】
1 原料タンク
1a 供給管
2 原料ホッパー
2a 原料搬送装置
3 ロータリーキルン(焼成装置)
3a 助燃バーナー
3b 第1バーナー
3c 第2バーナー
3d 第3バーナー
3e 排出ホッパー
3f ジャケット部
4 フライアッシュ搬送装置
4a ダクト
5 冷却装置
6 給送管
6a 分岐管
6b 切替弁
7 第1製品タンク
8 テンポラリータンク
8a 切替管
8b 切替弁
9a 切替弁
9b 切替弁
11 回収ブロワー
11a 回収送風管
11b 切替弁
11c 第2製品タンク
12 排気管
12a 外気導入管
12c 戻し管
13 サイクロンセパレーター(分離装置)
13a サイクロン回収管
13b 切替弁
14 戻し管
14a 外気導入ブロワー
15 排気管
15a 外気導入管
16 バグフィルター(集塵装置)
16a 集塵回収管
16b 排気管
16c 切替弁
17 採集管
17a 切替弁
17b 切替弁
21 副熱交換器
21a 導入管
22 外気導入ブロワー
22a 吐出側配管
23 回収ブロワー
24 主熱交換器
24a 燃焼空気管
24b 燃料供給管
24c 空気導入管
24d 燃料調整弁
24e 空気調整弁
25 外気導入ブロワー
25a 冷却空気管
25b 排出管
図1
図2