(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】調理済み麺の乾式計量機、調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01F 11/28 20060101AFI20220404BHJP
A23L 7/109 20160101ALI20220404BHJP
B65B 25/06 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G01F11/28
A23L7/109 J
A23L7/109 C
B65B25/06 E
(21)【出願番号】P 2018152589
(22)【出願日】2018-08-14
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】金原 想明
(72)【発明者】
【氏名】石井 徳美
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第3547790(JP,B2)
【文献】特開平1-129120(JP,A)
【文献】特許第6538385(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2002/0152899(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
A23L
B65B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理済み麺を整列させる筒状の麺整列部と、
前記麺整列部内に旋回流を生じさせるエアーを前記麺整列部の内壁に沿って噴出するエアー噴出部と、
前記麺整列部の下方に設けられ
、前記麺整列部内に生じさせた旋回流により渦巻き状に整列された前記調理済み麺を収容する所定の容積を有する収容部と、
前記麺整列部の下部に設けられ、前記収容部に収容された予め定められた量の前記調理済み麺を切り出すシャッターと、
を備える調理済み麺の乾式計量機。
【請求項2】
前記収容部の下端部にエアーを吸引する吸引部を備える請求項1記載の調理済み麺の乾式計量機。
【請求項3】
前記エアー噴出部は、前記麺整列部の内壁面に対して略接線方向に噴出する方向に少なくとも1カ所に設置される請求項1
または2記載の調理済み麺の乾式計量機。
【請求項4】
前記麺整列部の内壁面には、複数の凹凸が形成されている請求項1
~3の何れか一項に記載の調理済み麺の乾式計量機。
【請求項5】
前記予め定められた量は、一食分である請求項1~
4の何れか一項に記載の調理済み麺の乾式計量機。
【請求項6】
筒状の麺整列部に調理済み麺を投入する投入工程と、
前記麺整列部内に内壁に沿ってエアーを噴出するエアー噴出工程と、
前記エアー噴出工程において噴出されたエアーにより、前記麺整列部内において生じさせた旋回流により前記調理済み麺を
渦巻き状に整列させる麺整列工程と、
前記麺整列工程において
渦巻き状に整列させた前記調理済み麺を前記麺整列部の下部に配置された所定の容積を有する収容部に収容する収容工程と、
前記収容部に収容された予め定められた量の前記調理済み麺をシャッターにより切り出す切り出し工程と、
を含む調理済み麺の乾式計量方法。
【請求項7】
前記収容工程において、前記調理済み麺をその自重及び下方からのエアーの吸引により前記収容部に収容する請求項
6記載の調理済み麺の乾式計量方法。
【請求項8】
前記予め定められた量は、一食分である請求項
6または
7記載の調理済み麺の乾式計量方法。
【請求項9】
筒状の麺整列部に調理済み麺を投入する投入工程と、
前記麺整列部内に内壁に沿ってエアーを噴出するエアー噴出工程と、
前記エアー噴出工程において噴出されたエアーにより、前記麺整列部内において生じさせた旋回流により前記調理済み麺を
渦巻き状に整列させる麺整列工程と、
前記麺整列工程において
渦巻き状に整列させた前記調理済み麺を前記麺整列部の下部に配置された所定の容積を有する収容部に収容する収容工程と、
前記収容部に収容された予め定められた量の前記調理済み麺をシャッターにより切り出す切り出し工程と、
前記切り出し工程により切り出された前記予め定められた量の前記調理済み麺をトレーに充填する充填工程と
を含む調理済み麺の製造方法。
【請求項10】
前記収容工程において、前記調理済み麺をその自重及び下方からのエアーの吸引により前記収容部に収容する請求項
9記載の調理済み麺の製造方法。
【請求項11】
前記予め定められた量は、一食分である請求項
9または
10記載の調理済み麺の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理済みパスタなどの調理済み麺を計量する調理済み麺の乾式計量機、調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、茹でたパスタなどの麺の計量を行う場合には、升式の計量充填機を用いていた。この升式の計量充填機においては、一食分の調理済み麺を水流によって升に収容し、シャッターでカットすることにより、一食分の麺を切り出してトレーに充填していた。
【0003】
なお特許文献1には、茹麺を収容する所定の容積の計量容器を備え、液体と共に流出する茹麺を一定容積に計り取る食品計量装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、調味液やソースを絡めた調理済みの麺においては、水流による升への収容を行うことができない。そのため、同様の操作を乾式で行う乾式の升式計量機を使用する必要がある。乾式の升式計量充填機においては、調理済み麺は流動性が低く、計量時にシャッターが動作する面を調理済み麺が縦断してしまい、シャッターによって、大量の裁断された麺(短麺)が発生するという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、短麺の発生を抑制しつつ所定量の調理済み麺の計量を行う調理済み麺の乾式計量機、調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の調理済み麺の乾式計量機は、調理済み麺を整列させる筒状の麺整列部と、前記麺整列部内に旋回流を生じさせるエアーを前記麺整列部の内壁に沿って噴出するエアー噴出部と、前記麺整列部の下方に設けられ前記調理済み麺を収容する所定の容積を有する収容部と、前記麺整列部の下部に設けられ、前記収容部に収容された予め定められた量の前記調理済み麺を切り出すシャッターとを備える。
【0008】
また本発明の調理済み麺の乾式計量機は、エアー噴出部が麺整列部の内壁面に対して略接線方向に噴出する方向に少なくとも1カ所に設置される。
【0009】
また、本発明の調理済み麺の乾式計量機は、前記麺整列部の内壁面に複数の凹凸が形成されている。
【0010】
また本発明の調理済み麺の乾式計量機は、前記予め定められた量が一食分である。
【0011】
本発明の調理済み麺の乾式計量方法は、筒状の麺整列部に調理済み麺を投入する投入工程と、前記麺整列部内に内壁に沿ってエアーを噴出するエアー噴出工程と、前記エアー噴出工程において噴出されたエアーにより、前記麺整列部内において生じさせた旋回流により前記調理済み麺を整列させる麺整列工程と、前記麺整列工程において整列させた前記調理済み麺を前記麺整列部の下部に配置された所定の容積を有する収容部に収容する収容工程と、前記収容部に収容された予め定められた量の前記調理済み麺をシャッターにより切り出す切り出し工程とを含む。
【0012】
また本発明の調理済み麺の乾式計量方法は、前記収容工程において、前記調理済み麺をその自重及び下方からのエアーの吸引により前記収容部に収容する。
【0013】
また本発明の調理済み麺の乾式計量方法は、前記予め定められた量が一食分である。
【0014】
本発明の調理済み麺の製造方法は、筒状の麺整列部に調理済み麺を投入する投入工程と、前記麺整列部内に内壁に沿ってエアーを噴出するエアー噴出工程と、前記エアー噴出工程において噴出されたエアーにより、前記麺整列部内において生じさせた旋回流により前記調理済み麺を整列させる麺整列工程と、前記麺整列工程において整列させた前記調理済み麺を前記麺整列部の下部に配置された所定の容積を有する収容部に収容する収容工程と、前記収容部に収容された予め定められた量の前記調理済み麺をシャッターにより切り出す切り出し工程と、前記切り出し工程により切り出された前記予め定められた量の前記調理済み麺をトレーに充填する充填工程とを含む。
【0015】
また本発明の調理済み麺の製造方法は、前記収容工程において、前記調理済み麺をその自重及び下方からのエアーの吸引により前記収容部に収容する。
【0016】
本発明の調理済み麺の製造方法は、前記予め定められた量が一食分である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、短麺の発生を抑制しつつ所定食分の調理済み麺の計量を行う調理済み麺の乾式計量機、調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量機の外観を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量機の内部構成を示す断面図である。
【
図3】実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法の各工程を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法の各工程を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法の各工程を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法の各工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量機、調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法について説明する。
【0020】
図1は実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量機の外観を示す図であり、
図2は実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量機の内部構成を示す断面図である。調理済み麺の乾式計量機2は、容積式の計量機であり、茹でたロングパスタにソースを絡めた調理済み麺20(
図3参照)を投入するホッパー4を備えている。ホッパー4は、上部に上部円筒部4aを有し、上部円筒部4aの下端部に連続して上部から下部に向かって内径が縮小するように形成された円錐筒部4bを有している。更に円錐筒部4bの下端部に連続して下部円筒部4cを有している。なお、ホッパー4の内壁面には、調子済み麺20の付着を防止するために多数の凹凸(図示せず)が形成されていてもよい。
【0021】
ホッパー4の円錐筒部4bには、上下に高さを異ならせて2つのエアー噴出部6a,6bが設けられており、エアー噴出部6a,6bから円錐筒部4bの内壁面に沿ってエアーを噴出させて、ホッパー4内に旋回流30を生じさせる。なおホッパー4は、調理済み麺20を整列させる麺整列部として機能する。
【0022】
ホッパー4の下部円筒部4cの上部には、ホッパー4内に投入されている調理済み麺20の量、即ちホッパー4内における調理済み麺20の高さを検出するセンサー7が設けられている。
【0023】
ホッパー4の下部円筒部4cの最下部には、下部円筒部4c内に進入し下部円筒部4c内を閉塞し、例えば一食分など予め定められた量の調理済み麺20を切り出すシャッター8が設けられている。ここでシャッター8は、プレート状の部材であり先端部が半円形に形成されている。またシャッター8は、シャッター駆動部8aに接続されており、シャッター駆動部8aより駆動される。
【0024】
ホッパー4の下方、即ちシャッター8の下部には、調理済み麺20を収容する所定の容積を有する升である収容部10が設けられている。ここで収容部10は円筒形状を有し、下端部は多数の貫通孔を有するエアー吸引部12の上に位置している。収容部10は、
図2における左右方法にスライド可能に構成されている。即ち収容部10のスライドをガイドするガイド部14をガイド駆動部16により左方向に押圧することにより収容部10を排出部18の上部に移動させる。排出部18の下方には、排出部18から排出された調理済み麺20を充填するトレー40が配置されている。
【0025】
次に実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量機を用いた調理済み麺の乾式計量方法及び調理済み麺の製造方法について説明する。
【0026】
まず
図3に示すようにホッパー4内に調理済み麺20を投入する(投入工程)。ここで調理済み麺20は、コンベア(図示せず)によりホッパー4の上部まで搬送され、ホッパー4内に投入される。なおホッパー4内に投入されている調理済み麺20の量、即ちホッパー4内における調理済み麺20の高さは、センサー7により検出され、ホッパー4内の調理済み麺20の量が一定になるように、調理済み麺20の投入量が制御される。
【0027】
ここでホッパー4内には、エアー噴出部6a,6bから内壁面に沿ってエアーが噴出されている(エアー噴出工程)。従ってホッパー4内に投入された調理済み麺20は、エアー噴出部6a,6bから噴出されたエアーにより生じた旋回流により渦巻き状に整列される(麺整列工程)。
【0028】
次に
図4に示すように、ホッパー4内において整列された調理済み麺20は、自重及びエアー吸引部12の下方からのエアーの吸引(
図4の矢印A)により、収容部10内に落下すると共に収容部10に収容される(収容工程)。そのため、収容部10に充満した調整済み麺20の嵩密度を一定とすることができる。
【0029】
次に
図5に示すように、収容部10に収容された、例えば一食分など予め定められた量の調理済み麺20をシャッター8により切り出す(切り出し工程)。即ちシャッター駆動部8aよりシャッター8を下部円筒部4c内に進入させて下部円筒部4c内を閉塞し、収容部10に収容された調理済み麺20を切り出す。このとき、収容部10に充満した調理済み麺20の嵩密度が一定であるので、収容部10の容積によってされた計量精度を、エアー吸引部12によって、吸引しない場合に比べて向上させることができる。
【0030】
次に
図6に示すように、ガイド部14をガイド駆動部16により
図6における左方向に押圧することにより収容部10を排出部18の上部に移動させ、排出部18から調理済み麺20をトレー40上に落下させる(
図6の矢印B)。これにより一食分など予め定められた量の調理済み麺20をトレー40に充填する。
【0031】
次にガイド駆動部16によりガイド部14を右方向に移動させて収容部10をホッパー4の下部に位置させ、シャッター駆動部8aによりシャッター8をホッパー4の下部円筒部4cから退避させる。そして上述の投入工程、整列工程、収容工程、切り出し工程、排出工程を繰り返し行うことにより、一食分など予め定められた量ごとに計量された調理済み麺20を繰り返しトレー40に充填する。
【0032】
本実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量機によれば、調理済み麺20が旋回流により渦巻き状に整列しているため、シャッター8により一食分など予め定められた量の調理済み麺20を切り出す際に、シャッターが動作する面に調理済み麺が縦断する頻度を減らすことができ、シャッター8が調理済み麺20を切断する頻度を低減させることができる。従って短麺の発生を少なくしつつ、一食分など予め定められた量の調理済み麺20の計量を行うことができ、一食分など予め定められた量ごとにトレー40に充填した調理済み麺20を製造することができる。
【0033】
なお上述の実施の形態においては、エアー噴出部が高さを変えて2カ所に設置されているが、1カ所または3か所以上であってもよい。また、ホッパー4に円錐筒部4bを有する乾式計量機を例に挙げたが、円錐筒部4bに調理済み麺20を一定量貯留させなくとも、上部円筒部4aおよび円錐東部4bに調理済み麺20を十分滞留させることができるのであれば、円錐筒部4bは必ずしも上部から下部に向かって内径が縮小するように形成された形状でなくてよく、例えば上部円筒部4aや下部円筒部4cと同径の円筒でもよい。
【0034】
次に、本実施の形態に係る調理済み麺の乾式計量機2を用いてシャッター8により一食分の調理済み麺20を切り出した際の短麺の発生頻度の評価結果を示す。なお、この短麺の発生頻度の評価においては、市販のロングパスタであるマ・マースパゲティ1.6mm(日清フーズ製)を用いた。
【0035】
表1は、エアー噴出部6a、6bより0.20MPaの圧力でエアーを噴出させ旋回流を生じさせた状態と、エアーを噴出させない状態とにおいて、茹で麺(ソース無)、ソースを絡めた茹で麺(ソース有)、ソースと共に炒めた麺(炒め麺)のそれぞれを一食分切り出した際の短麺の発生確率(%)を示すものである。ソース無、ソース有、炒め麺の何れの場合においても、旋回流有りの方が旋回流無しに比較して、短麺の発生確率(%)が低くなった。
【0036】
【符号の説明】
【0037】
2…調理済み麺の乾式計量機,4…ホッパー、6a,6b…エアー噴出部、8…シャッター、10…収容部、12…エアー吸引部、14…ガイド部、16…ガイド駆動部、18…排出部、20…調理済み麺、30…旋回流、40…トレー