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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】水溶きタイプの竜田揚げ用ミックス
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/157 20160101AFI20220404BHJP
   A23L 13/50 20160101ALI20220404BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20220404BHJP
【FI】
A23L7/157
A23L13/50
A23L13/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018568620
(86)(22)【出願日】2018-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2018005374
(87)【国際公開番号】W WO2018151242
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】P 2017027540
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】398012306
【氏名又は名称】株式会社日清製粉ウェルナ
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 葉
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 総一郎
(72)【発明者】
【氏名】榊原 通宏
(72)【発明者】
【氏名】西出 辰徳
(72)【発明者】
【氏名】辻 章人
【審査官】二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-223119(JP,A)
【文献】特開2009-072128(JP,A)
【文献】特開2012-235752(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0058199(KR,A)
【文献】国際公開第2015/162972(WO,A1)
【文献】特開2004-166514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/157- 13/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化澱粉及び酸処理澱粉から選択される1種以上10~40質量%と、リン酸架橋タピオカ澱粉及びリン酸架橋馬鈴薯澱粉から選択される1種以上40~80質量%と、乳化剤0.3~2質量%とを含有する、水溶きタイプの竜田揚げ用ミックス。
【請求項2】
さらに未加工澱粉を含有する、請求項1記載の竜田揚げ用ミックス。
【請求項3】
さらに小麦粉を20質量%未満の量で含有する、請求項1又は2記載の竜田揚げ用ミックス。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の水溶きタイプの竜田揚げ用ミックスを含有する竜田揚げ用バッター。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項記載の水溶きタイプの竜田揚げ用ミックス又は請求項記載の竜田揚げ用バッターを用いる竜田揚げの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水溶きタイプの竜田揚げミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
竜田揚げは、から揚げの一種であり、下味を付けた具材に片栗粉をまぶした後、油ちょうする調理法又はその調理された料理である。竜田揚げは、具材に醤油等の調味料で下味を付ける点、衣材に小麦粉ではなく片栗粉(澱粉)を用いる点、及びこれらの製法に起因して、茶~こげ茶色でかつブツブツと白い粉を吹いたような独特の外観の衣を有する点を特徴とする。そしてこれらの特徴によって、竜田揚げは、小麦粉を衣材として用いた一般的なから揚げと区別されている。竜田揚げは、小麦粉を衣材とする一般的なから揚げに比して内在水分量が高く外側の衣が薄い。その結果、竜田揚げは、カリカリ、サクサクとした独特の良好な食感を有する一方で、油ちょう後の時間経過と共に内在水分が衣に徐々に移行することで、衣が柔らかくなり独特の食感が失われやすいという欠点を有する。
【0003】
片栗粉を具材にまぶす代わりに、片栗粉を水で溶いた衣液を具材に付着させることで竜田揚げの衣を作製する方法が提案されている。衣液を用いて製造した竜田揚げは、衣の厚みが増すことによって、上記の片栗粉をまぶして製造した竜田揚げの欠点をある程度改善することができるが、反面、衣が硬くなりすぎるなど別の問題を有する。
【0004】
竜田揚げ用衣液の改良技術が提案されている。特許文献1には、竜田揚げ風のから揚げ用の衣液として、澱粉と、15質量%未満の食用油脂と、乳化剤及び/又は起泡剤と、水とを含み、かつ所定の粘度を有する衣液が記載されている。特許文献2には、未化工の地下系でん粉を含まず、エーテル化架橋馬鈴薯でん粉と、リン酸架橋でん粉とを含有する、竜田揚げのような外観と食感を有するから揚げを得るための水溶きタイプのから揚げミックスが記載されている。
【0005】
一方、小麦粉を衣材とする一般的なから揚げや天ぷら等においても、衣材に澱粉を添加することは行われていた。特許文献3には、小麦粉と、酸化澱粉と、膨潤抑制澱粉とを特定の比率で含む、から揚げ、天ぷら、フライ等の揚げ物用の衣材が記載されている。特許文献4には、小麦粉、酸化澱粉、リン酸架橋澱粉及び重曹を特定量で含む、水溶きタイプのから揚げ用ミックスが記載されている。しかしながら、これらの衣材を用いても、竜田揚げ独特の外観を有する揚げ物は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-160312号公報
【文献】特開2009-72128号公報
【文献】特開2011-254785号公報
【文献】特開2015-223119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、調理直後はもちろん、調理後時間が経過しても、竜田揚げ独特の外観と食感を保持することができる竜田揚げ、及びそれを製造するための衣材を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特定の種類の加工澱粉を特定量で組み合わせて配合し、かつ乳化剤を配合したミックスを水溶きして得られた衣液を使用することで、調理後時間が経っても竜田揚げ独特の外観と食感を保持した竜田揚げが得られることを見出した。
【0009】
したがって、本発明は、酸化澱粉及び酸処理澱粉から選択される1種以上10~40質量%と、リン酸架橋タピオカ澱粉及びリン酸架橋馬鈴薯澱粉から選択される1種以上40~80質量%と、乳化剤0.1~3質量%とを含有する、水溶きタイプの竜田揚げ用ミックスを提供する。
また本発明は、前記水溶きタイプの竜田揚げ用ミックスを含有する竜田揚げ用バッターを提供する。
また本発明は、前記水溶きタイプの竜田揚げ用ミックス又は上記竜田揚げ用バッターを用いる竜田揚げの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、本発明の竜田揚げ用ミックスを水に溶いて具材に付着させ、次いでこれを油ちょうするだけの簡便な操作で、竜田揚げを製造することができる。本発明の竜田揚げ用ミックスを用いて製造された竜田揚げは、厚みがありながら竜田揚げらしい粉吹き感や凹凸感のある外観と、サクサクした歯脆さのある良好な食感とを有する衣を備え、衣の具材に対する付着性も良好であり、かつ揚げてから時間が経過しても品質の低下が少ない。また、本発明の竜田揚げの製造方法は、バッターを用いるため、まぶしタイプのミックスを用いた竜田揚げの製法と比較して、作業性が良好で、かつ揚げ油の汚れを低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の水溶きタイプの竜田揚げ用ミックスは、酸化澱粉及び酸処理澱粉から選択される1種以上と、リン酸架橋タピオカ澱粉及びリン酸架橋馬鈴薯澱粉から選択される1種以上と、乳化剤とを、それぞれ所定の量で含有する。
【0012】
本明細書において、「水溶きタイプの竜田揚げ用ミックス」とは、水などの液体と混合して液状又はペースト状の竜田揚げ用バッター(衣液)を調製するためのミックスをいう。より詳細には、ミックスを水などの液体と混合して液状又はペースト状のバッター(衣液)を調製した後、該バッターを具材に付着させて油ちょうすることによる竜田揚げの製造において用いられるミックスをいう。
【0013】
本発明の竜田揚げ用ミックスを用いて製造される「竜田揚げ」とは、具材に澱粉を主体とする衣材を付着させた後油ちょうすることで製造される揚げ物をいう。うまく調理された竜田揚げは、粉吹きのある衣を有するという独特の外観を呈する。本明細書における衣の「粉吹き」とは、揚げた衣の表面に白っぽく粉を吹いたようにみえる部分があることをいう。粉吹き部分は、茶色に揚がった周辺と色のコントラストをなして、又は衣表面から膨張して衣全体に凹凸を形成することで、竜田揚げの外観を向上させる。また、よく粉吹きした竜田揚げの衣は、サクサクした歯脆さのある食感を呈する。
【0014】
本発明で用いる酸化澱粉とは、澱粉を次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素などの酸化剤で酸化処理した澱粉である。また本発明で用いる酸処理澱粉とは、澱粉を酢酸、オクテニルコハク酸などの酸で処理(エステル化)した澱粉である。酸処理澱粉の例としては、酢酸澱粉、オクテニルコハク酸澱粉などが挙げられる。本発明で用いる酸化澱粉又は酸処理澱粉は、酸化処理とエステル化処理の両方を行った澱粉であってもよく、そのような例としてはアセチル化酸化澱粉が挙げられる。該酸化澱粉及び酸処理澱粉の原料となる澱粉としては、その種類に制限はなく、通常使用される未加工澱粉、例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サツマイモ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉などが挙げられるが、馬鈴薯澱粉及びタピオカ澱粉が好ましい 。該酸化澱粉及び酸処理澱粉は、市販品を利用してもよい。
【0015】
本発明において、該酸化澱粉と酸処理澱粉は、いずれか一方、又は両方を組み合わせて用いることができる。本発明の竜田揚げ用ミックスにおける、該酸化澱粉及び酸処理澱粉の合計含有量は、ミックス全質量中10~40質量%、好ましくは15~25質量%である。含有量が10質量%未満であると、衣の火通りが悪くなって、得られた竜田揚げがべたつくことがあり、一方、含有量が40質量%を超えると、バッターの具材に対する付着性が低下したり、又は得られた竜田揚げの衣が硬くなり過ぎる傾向がある。
【0016】
本発明で用いるリン酸架橋澱粉とは、澱粉のグルコース残基の水酸基同士をリン酸で架橋したものである。本発明の竜田揚げ用ミックスに含まれるリン酸架橋澱粉としては、例えば、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等が挙げられる。さらに、これらのリン酸架橋澱粉は、その未架橋の水酸基がエステル化又はエーテル化されていてもよい。本発明で用いるリン酸架橋澱粉の原料となる澱粉としては、タピオカ澱粉又は馬鈴薯澱粉が用いられる。これらの澱粉をリン酸架橋澱粉の原料とすることで、得られた揚げ物が竜田揚げ独特の外観を呈することができるだけでなく、調理後時間が経過しても竜田揚げらしいサクサクとした歯脆い食感を維持することができる。本発明で用いるリン酸架橋澱粉は、例えば、未加工のタピオカ澱粉又は馬鈴薯澱粉を、常法に従ってトリメタリン酸ナトリウムやオキシ塩化リン等の公知のリン酸化剤で処理することにより製造することができる。あるいは、本発明で用いるリン酸架橋タピオカ澱粉及びリン酸架橋馬鈴薯澱粉は、市販品を利用してもよい。
【0017】
本発明において、該リン酸架橋タピオカ澱粉及びリン酸架橋馬鈴薯澱粉は、いずれか一方、又は両方を組み合わせて用いることができる。本発明の竜田揚げ用ミックスにおける該リン酸架橋タピオカ澱粉及びリン酸架橋馬鈴薯澱粉の合計含有量は、ミックス全質量中40~80質量%であり、好ましくは55~70質量%である。含有量が40質量%未満であると、得られた竜田揚げがべたついたり、又は衣と具材の間にベタつき感のある食感になる傾向があり、一方、含有量が80質量%を超えると、バッターの具材に対する付着性が低下したり、又は得られた竜田揚げの衣が硬すぎる食感となる傾向がある。
【0018】
本発明の竜田揚げ用ミックスは、上記加工澱粉類に加えて、乳化剤を含有する。乳化剤を用いることで、衣の火通りがさらに向上するため、得られた竜田揚げの食感がより好ましいものとなる。乳化剤としては、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの公知のものを単独で又は組み合わせて使用することができるが、レシチンとショ糖脂肪酸エステルから選択される1種以上が好ましく、レシチンとショ糖脂肪酸エステルとの組み合わせがより好ましい。
【0019】
本発明の竜田揚げ用ミックスにおける該乳化剤の含有量は、ミックス全質量中、0.1~3質量%、好ましくは0.3~2質量%である。含有量が3質量%を超えると、得られた竜田揚げの食味が低下するだけでなく、衣が歯脆くなり過ぎて歯応えのない食感となる傾向がある。
【0020】
本発明の竜田揚げ用ミックスは、上記成分に加えて、小麦粉を含有していてもよい。本発明の竜田揚げ用ミックスに少量の小麦粉を含有させることで、竜田揚げの衣の食感をより向上させることができる。本発明の竜田揚げ用ミックスは、小麦粉を、ミックス全質量中20質量%未満、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは2~7質量%の量で含有することができる。小麦粉の含有量が20質量%以上であると、むしろ得られた竜田揚げの外観や食感に負の影響をもたらすことがある。本発明の竜田揚げ用ミックスに用いる小麦粉は、強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉などのいずれの種類の小麦粉であってもよく、これらは、いずれか単独で使用しても、又は2種以上を併用してもよい。該小麦粉として熱処理小麦粉を用いると、衣が硬くなりすぎることを防止できるため好ましい。熱処理の方法は、乾式加熱処理及び湿式加熱処理のいずれでもよい。
【0021】
本発明の竜田揚げ用ミックスは、さらに膨張剤を含有していてもよい。本発明の竜田揚げ用ミックスに膨張剤を含有させることで、得られた竜田揚げの衣のカリカリとした食感を高めることができる。膨張剤としては、重曹、又はベーキングパウダー、イスパタ等の重曹を含む公知の膨張剤を使用することができる。本発明の竜田揚げ用ミックスにおける膨張剤の含有量は、重曹の量に換算して、ミックス全質量中2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下である。重曹の含有量が2質量%を超えると、衣が歯脆くなり過ぎて歯応えのない食感となることにより、得られた竜田揚げの具材と衣の食感のバランスが崩れる傾向があり、また具材に対する衣の付着性が低下する傾向がある。
【0022】
本発明の竜田揚げ用ミックスには、該酸化澱粉、酸処理澱粉、リン酸架橋タピオカ澱粉及びリン酸架橋馬鈴薯澱粉以外の他の澱粉類が含まれていてもよい。当該他の澱粉類としては、未加工澱粉、ならびに該酸化澱粉、酸処理澱粉、リン酸架橋タピオカ澱粉及びリン酸架橋馬鈴薯澱粉以外の加工澱粉が挙げられ、好ましくは未加工澱粉である。当該他の澱粉類の原料としては、特に限定されないが、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サツマイモ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉などが挙げられる。本発明の竜田揚げ用ミックスにおける当該他の澱粉類の含有量は49.9質量%以下であり、好ましくは25質量%以下である。
【0023】
本発明の竜田揚げ用ミックスには、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分、例えば、小麦粉以外の穀粉;全卵粉、卵白粉等の卵粉;増粘剤;食塩、粉末醤油、発酵調味料、糖類、粉末味噌、アミノ酸等の調味料;香辛料;香料;ビタミン等の栄養成分;着色料;粉末油脂などから選択される1種又は2種以上、をさらに含有していてもよい。本発明の竜田揚げ用ミックスに使用する当該その他の成分の種類やその含有量は、所望する竜田揚げの特性に応じて適宜調整することができる。例えば、竜田揚げの風味(例えば中華風、和風、洋風等)に応じて、適切な調味料や香辛料等を配合することができる。本発明の竜田揚げ用ミックスにおける当該その他の成分の含有量は、ミックス全質量中、好ましくは5~30質量%、より好ましくは5~20質量%である。本発明の竜田揚げ用ミックスは、好ましくは粉状又は顆粒状である。
【0024】
本発明の竜田揚げ用ミックスを用いて製造される竜田揚げの具材は、鶏、豚、牛、羊、ヤギなどの肉類、魚介類、野菜類など、特に限定されないが、肉類や魚介類が好適である。
【0025】
本発明の竜田揚げ用ミックスを用いて竜田揚げを製造する場合、本発明のミックスを予め水などの液体と混合して、液状又はペースト状のバッター(衣液)を調製する。このバッターを具材に付着させて油ちょうすることで、竜田揚げを製造することができる。本発明の竜田揚げ用ミックスからバッターを調製する際に使用される液体としては、水、及び水以外の他の液体(例えば、牛乳、出し汁、煮汁など)が挙げられ、これらの液体はいずれか単独で又は2種以上を混合して用いることができる。バッターを調製する際に使用される該液体の量は、具材の種類などに応じて調節すればよいが、一般的には、ミックス100質量部と70~200質量部の該液体とを混合する。好ましくは、該ミックスと該液体とを攪拌混合し、均一なバッターを調製する。
【0026】
上記手順で本発明の竜田揚げ用ミックスを含有するバッターを調製した後、適当な大きさの具材を該バッター中に浸すか、又は該具材に該バッターを噴霧、塗布、注下もしくは滴下して、具材の表面に該バッターを付着させる。次いで、該バッターの付着した具材を、常法に従い(例えば160~180℃で2~8分程度)油ちょうすることにより、竜田揚げを製造することができる。
【実施例
【0027】
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0028】
(試験例1)
表1~3に示す原料を均一になるよう混合して、製造例1~17のミックスをそれぞれ製造した。各ミックス100gを水100ccとよく混合してバッターを調製した。各バッターに鶏もも肉の細片25g/個を20個ずつ入れてよく絡めた。バッターの付着した鶏もも肉を170℃に熱したサラダ油で4分間油ちょうして、鶏肉の竜田揚げを製造した。揚げたての竜田揚げ(室温(約25℃)に5分間放置)、及び室温に3時間放置した竜田揚げについて、それらが竜田揚げらしい品質を有しているかどうかを評価した。評価では、10名のパネラーにより下記評価基準で評価し、平均値を求めた。
【0029】
<評価基準>
(衣の外観)
5:衣全体に凸凹があり、極めて良好
4:衣のほぼ全体に凸凹があり、良好
3:衣がやや厚いか又はやや薄いが、部分的に凸凹があってやや良好
2:衣がやや厚いか又はやや薄く、凸凹もやや足りず、やや不良
1:衣が厚いか薄く、凸凹も足りず、極めて不良
(衣の粉吹き感)
5:衣全体に粉を吹いたようになっており、極めて良好
4:衣のほぼ全体に粉を吹いたようになっており、良好
3:衣の部分的に粉を吹いたようになっており、やや良好
2:衣に粉を吹いたような部分が少なく、やや不良
1:衣に粉を吹いた部分が無く、極めて不良
(衣の食感)
5:サクサクとし歯脆い好ましい硬さが全体にあり、極めて良好
4:サクサクとし歯脆い硬さがあり、良好
3:サクサクとした歯脆い硬さがやや少なく、やや良好
2:サクサクとした歯脆さに乏しく、やや柔らかくベタついているか、やや硬すぎる食感であり、やや不良
1:サクサクとした歯脆さがなく、柔らかくベタついているか、硬すぎる食感であり、極めて不良
【0030】
同様の手順で、表1~3に示す原料を用いて比較例1~6のミックスを製造し、該ミックスを用いて鶏肉の揚げものを製造し、その品質を評価した。
【0031】
製造例1~17及び比較例1~6の評価結果を表1~3に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
(試験例2)
含有する酸化澱粉、酸処理澱粉又はリン酸架橋澱粉の種類の異なるミックスを製造した。すなわち、表4に示す原料を用いた以外は、製造例3と同様の手順で製造例18~19及び比較例7~8のミックスを製造した。これらのミックスを用いて、試験例1と同様の手順で鶏肉の揚げものを製造し、その品質を評価した。結果を表4に示す。なお、表4には製造例3及び14の結果を再掲する。
【0036】
【表4】
【0037】
(試験例3)
表5に示す小麦粉を含む原料を用いて、製造例3と同様の手順で製造例20~25のミックスを製造した。これらのミックスを用いて、試験例1と同様の手順で鶏肉の揚げものを製造し、その品質を評価した。結果を表5に示す。なお、表5には製造例3の結果を再掲する。
【0038】
【表5】
【0039】
(試験例4)
表6に示すとおり乳化剤の量を変更して、製造例3と同様の手順で製造例26~29及び比較例9~10のミックスを製造した。これらのミックスを用いて、試験例1と同様の手順で鶏肉の揚げものを製造し、その品質を評価した。結果を表6に示す。
【0040】
【表6】