(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】低VOC特性を有するゴム系多層感圧接着剤アセンブリ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/26 20180101AFI20220404BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220404BHJP
C09J 153/02 20060101ALI20220404BHJP
C09J 133/06 20060101ALI20220404BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20220404BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20220404BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220404BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C09J7/26
C09J7/38
C09J153/02
C09J133/06
C09J11/08
B32B5/18 101
B32B27/00 D
C08J9/04 101
C08J9/04 CEQ
C08J9/04 CET
(21)【出願番号】P 2019532952
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 IB2017057951
(87)【国際公開番号】W WO2018116089
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-11
(32)【優先日】2016-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】エックハルト,ドリーン
(72)【発明者】
【氏名】マツァイト,ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】クルーンカー,アイケ
(72)【発明者】
【氏名】ワイド,ロバート ディー.
(72)【発明者】
【氏名】チャステック,トーマス キュー.
(72)【発明者】
【氏名】ビーバー,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ステッグマイヤー,ペトラ
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/077133(WO,A1)
【文献】特開2008-255185(JP,A)
【文献】特表2010-512426(JP,A)
【文献】特表2016-529358(JP,A)
【文献】特開2010-126697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 5/18,27/00
C08J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー発泡体層と、ポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層と、を含む、多層感圧接着剤アセンブリであって、前記ポリマー発泡体が、
a)式Q
n-Yを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Rを有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Rは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
b)重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、
c
)熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と、
d)任意選択の、式L-(G)
mを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Lは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、mは1又は2であ
り、各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである]と、
を含み、前記第1の感圧接着剤が、
a)式M-(G)
pを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Mは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、pは1又は2であ
り、各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである]と、
b)少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤と、
c)25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーであって、
(i)単独重合したときに25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、及び
(ii)任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位、
を含む(メタ)アクリレートコポリマーと、
d)任意選択の、式S
q-Zを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Sは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Nを有し、
各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックであり、
(ii)qは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Zは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Nは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
e)任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマー[式中、Tは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであ
り、各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである]と、
を含
み、
前記熱重量分析による測定は、窒素流中で、温度を30℃で平衡化して15分間保持し、次いで60℃/分の勾配で温度を90℃まで上昇させ、次いで90℃で30分間保持し、当該90℃での30分間における減量を前記VOC値とするものである、多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項2】
前記炭化水素粘着付与剤が、
前記熱重量分析により測定した場合に、800ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する、請求項1に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項3】
(a)前記式Q
n-Yを有する多腕ブロックコポリマーの前記ゴム状ブロックR及び/又は前記式S
q-Zを有する多腕ブロックコポリマーの前記ゴム状ブロックNが、イソブチレンであるように選択されるオレフィン、又はイソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、
(b)前記式L-(G)
mを有する直鎖状ブロックコポリマーの前記ゴム状ブロックL及び/又は前記式M-(G)
pを有する直鎖状ブロックコポリマーの前記ゴム状ブロックMが、イソブチレンであるように選択されるオレフィン、又はイソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、
(c)前記式T-(G)を有するジブロックコポリマーの前記ゴム状ブロックTが、イソブチレンであるように選択されるオレフィン、又はイソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、
(d)前記式L-(G)
mを有する直鎖状ブロックコポリマーの少なくとも1つのガラス状ブロックG及び/又は前記式M-(G)
pを有する直鎖状ブロックコポリマーの少なくとも1つのガラス状ブロックGが、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーである、
(e)前記式Q
n-Yを有する多腕ブロックコポリマーの前記ガラス状ブロックのうちの少なくとも1つ及び/又は前記式S
q-Zを有する多腕ブロックコポリマーの前記ガラス状ブロックのうちの少なくとも1つが、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーである、
とするとき、前記(a)ないし(e)のいずれか少なくとも1つまたはそれらの任意の組み合わせを満たす、
請求項1又は2に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項4】
前記ポリマー発泡体が、
a)前記ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~80重量%の前記多腕ブロックコポリマーと、
b)前記ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~70重量%の前記炭化水素粘着付与剤と、
c)前記ポリマー発泡体の重量に基づいて、2重量%~20重量%の前記ポリマー可塑剤と、
d)任意選択の、前記ポリマー発泡体の重量に基づいて、3重量%~40重量%の直鎖状ブロックコポリマーと、
e)任意選択の、前記ポリマー発泡体の重量に基づいて、0.1重量%~10重量%の架橋添加剤と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項5】
前記(メタ)アクリレートコポリマーが、5000~80,000ダルトンの間に含まれる重量平均分子量(Mw)を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレートコポリマーが、
a)85~99.9重量%の、25℃超のTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、
b)任意選択の、0.1~15重量%の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位と、を含み、
ここで、重量パーセントが、前記(メタ)アクリレートコポリマーの総重量に基づく、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項7】
前記第1の感圧接着剤が、
a)前記第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~80重量%の、式M-(G)
pを有する直鎖状ブロックコポリマーと、
b)前記第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~70重量%の第2の炭化水素粘着付与剤と、
c)前記第1の感圧接着剤の重量に基づいて、3重量%~25重量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
d)前記第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~15重量%の、任意選択の、式S
q-Zを有する多腕ブロックコポリマーと、
e)前記第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~20重量%の、任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマーと、
f)任意選択の、第1の感圧接着
剤の重量に基づいて、0.1重量%~10重量%の架橋添加剤と、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項8】
前記ポリマー発泡体層と前記第1の感圧接着剤層との溶融共押出によって得られる、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【請求項9】
前記ポリマー発泡体層、前記第1の感圧接着剤層、及び任意選択の第2の感圧接着剤層を溶融共押出しする工程を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリの製造方法。
【請求項10】
工業用である、請求項1~
8のいずれか一項に記載の多層感圧接着剤アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して感圧接着剤(PSA)の分野、より詳細には、多層ゴム系感圧接着剤アセンブリの分野に関する。本開示はまた、このような感圧接着剤アセンブリの製造方法及びその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤は、様々なマーキング、保持、保護、封止及び遮蔽目的のために使用されている。接着テープは、一般に、バッキング、又は基材、及び接着剤を含む。多くの用途に特に好ましい接着剤の1つのタイプとして、感圧接着剤が代表される。
【0003】
感圧テープは、家庭及び職場の実質上至る所に存在する。その最もシンプルな構造において、感圧テープは、接着剤とバッキングとを備え、その全体的構造は使用温度にて粘着性があり、また、適度な圧力を用いるだけで様々な基材に接着し、結合を形成する。こうした方法で、感圧テープは、完全で自己完結型の結合システムを構成する。
【0004】
感圧接着剤(PSA)は当業者には周知であり、Pressure-Sensitive Tape Councilによると、PSAは以下を含む特性、即ち、(1)アグレッシブでかつ永久的な粘着力、(2)指圧以下の圧力による接着力、(3)被着物に留まる十分な能力、及び(4)十分な結合力を有することが知られている。PSAとして良好に機能することが見出されている材料としては、所望のバランスの粘着性、剥離接着性、及び剪断保持力をもたらす、必要な粘弾性特性を示すように設計及び配合されたポリマーが挙げられる。PSAは、通常、室温(例えば、20℃)で粘着性であることを特徴とする。PSAは、それらが表面に粘着又は接着するという理由だけで、組成物を包含しない。
【0005】
A.V.Pocius in Adhesion and Adhesives Technology:An Introduction,2nd Ed.,Hanser Gardner Publication,Cincinnati,OH,2002に記載されるように、これらの必要条件は、一般に、粘着性、接着性(剥離強度)、及び結合(剪断保持力)を個別に測定するように設計された試験によって評価される。これらの測定値は総合的に、PSAの特徴付けに使用されることが多い特性のバランスを構成する。
【0006】
長年にわたる感圧テープの使用の拡大に伴い、性能要件はより厳しくなった。例えば、当初は室温で中程度の荷重を支持する用途を意図していた剪断保持力は、操作温度及び荷重に関して多くの用途に対応するため、大幅に増加した。多くの用途で、感圧接着剤は、高温、典型的には70℃~120℃の範囲で荷重を支持することを求められ、これには、高い結合力が要求される。同様に、特に、いわゆる低表面エネルギー(LSE)基材及び中表面エネルギー(MSE)基材等の、各種の接着が困難な表面に対する剥離力及び剪断抵抗に関し、改良され、用途の広い接着特性を有する感圧接着剤に対する必要性が高まってきた。
【0007】
感圧接着剤に関する性能要件の向上に加え、特に、揮発性有機化合物(VOC)下方制御が、例えば、建設市場又は自動車若しくは電子工学産業等における各種の内装用途(労働衛生及び労働安全性)にとって、ますます重要となってきている。既知のアクリレート系感圧接着剤は、典型的には顕著な量の低分子量の有機残留物を含有しており、例えば、重合プロセスから生じる未反応のモノマー、重合開始剤の残留物、原材料由来の不純物、又は製造プロセス中に形成された分解物等が含まれる。VOCとみなされるこれらの低分子量残留物は、接着テープの外に拡散することもあり、潜在的に有害となる可能性がある。既知のアクリレート系感圧接着剤にはまた、架橋されていない場合、一般的に、結合力の欠如及び過度の流動性傾向の問題もある。この様相により、架橋されていないアクリレート系感圧接着剤が特にホットメルトプロセスによって製造されている場合に、その適用性や加工性が特に問題となる場合がある。
【0008】
感圧接着剤の製造プロセスにおいて有機溶媒の使用を低減することは、総VOCレベルを低減するための直接的な手段の1つとして、急速に取り上げられるようになった。国際公開第01/44400号(Yang)に記載の、有機不純物に対して特定のスカベンジャーを使用することは、VOCレベルの低減を実現するための別の代替的方法である。しかし、従来技術から公知の、総VOCレベルを低減するための解決方法は、製造プロセスの複雑化及び生産コストの上昇を伴うことが多い。
【0009】
従来技術から公知の感圧接着剤材料は、いわゆるLSE基材及びMSE基材を含む各種の基材に対し、VOCレベル特性の低減と併せて十分な堅牢性及び/又は粘着性をもたらさない場合が多い。特に、観察される総VOCレベルは、例えば、建設市場又は自動車産業若しくは電子工学産業等における各種の内装用途に対する要求事項を満たさない場合が多い。部分的な解決方法が、例えば、米国特許第2003/0082362(A1)号(Khandpurら)、米国特許第2004/0082700(A1)号(Khandpurら)、及び米国特許第2014/0057091(A1)号(Krawinkelら)に記載されている。
【0010】
当該分野において既知の感圧接着剤に関連した技術的利点に異議を唱えるものではないが、堅牢で費用対効果が高く、総VOCレベルを低減する一方で、特に、LSE基材及びMSE基材を含む各種の基材に対し、優れた、多用途の接着特性をもたらす多層感圧接着剤アセンブリに対する必要性は依然として存在する。本開示の感圧接着剤アセンブリ及び方法の他の利点は、下記の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0011】
一態様によれば、本開示は、ポリマー発泡体層と、ポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層と、を含む多層感圧接着剤アセンブリに関し、ポリマー発泡体が、
a)式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Rを有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Rは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
b)重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、
c)実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と、
d)任意選択の、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Lは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、mは1又は2である]と、
を含み、第1の感圧接着剤が、
a)式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Mは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、pは1又は2である]と、
b)少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤と、
c)25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーであって、
(i)単独重合したときに25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、及び
(ii)任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位、
を含む(メタ)アクリレートコポリマーと、
d)任意選択の、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Sは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Nを有し、
(ii)qは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Zは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Nは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
e)任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマー[式中、Tは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックである]と、
を含む。
【0012】
別の態様では、本開示は、ポリマー発泡体層及び第1の感圧接着剤層を溶融共押出しする工程、特にホットメルト共押出しする工程を含む、上記のような多層感圧接着剤アセンブリの製造方法を対象とする。
【0013】
更に別の態様によれば、本開示は、工業用途、好ましくは内装用途、より好ましくは建設市場用途、自動車用途、又は電子工学用途での上記のような多層感圧接着剤アセンブリの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の態様によれば、本開示は、ポリマー発泡体層と、ポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層と、を含む多層感圧接着剤アセンブリに関し、ポリマー発泡体が、
a)式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Rを有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Rは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
b)重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、
c)実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と、
d)任意選択の、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Lは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、mは1又は2である]と、
を含み、第1の感圧接着剤が、
a)式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Mは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、pは1又は2である]と、
b)少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤と、
c)25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーであって、
(i)単独重合したときに25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、及び
(ii)任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位、
を含む(メタ)アクリレートコポリマーと、
d)任意選択の、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Sは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Nを有し、
(ii)qは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Zは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Nは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
e)任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマー[式中、Tは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックである]と、
を含む。
【0015】
本開示との関連において、驚くべきことに、ポリマー発泡体層と、ポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層と、を含む多層感圧接着剤アセンブリであって、ポリマー発泡体が、上記のような式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーと、少なくとも10,000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤と、少なくとも1種の上記のような炭化水素粘着付与剤と、を含み、第1の感圧接着剤が、上記のような式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーと、少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤と、上記のように25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーと、を含む、多層感圧接着剤アセンブリが、優れた堅牢性、並びに総VOCレベルを低下させることに関して、優れた特性及び性能をもたらすことが見出された。
【0016】
いくつかの有利な態様では、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、知覚可能な臭いが非常に低い又は更には実質的に存在しないことを特徴とする。いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、全体的なフォギング濃度を低下させることに関して、優れた特性及び性能を更にもたらすことを特徴とする。低いフォギング特性は、典型的には、放出されたガス構成成分の縮合に対する抵抗が改善され、かつ対応する感圧接着剤アセンブリの熱的安定性が改善されるように形を変える。
【0017】
加えて、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、LSE及びMSE基材を含めた各種の基材、特に自動車用透明塗料、自動車産業において一般的に使用される、例えばTPO、PP、若しくはPP/EPDM等のプラスチック基材、自動車用ワニス又は自動車用塗料に、驚くほど良好な全体バランスの接着特性及び結合特性(特に剥離力及び静的せん断抵抗に関して)をもたらす。
【0018】
本開示のいくつかの有利な態様において、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、好ましくは、溶融共押出、特にポリマー発泡体層及び第1の感圧接着剤層のホットメルト共押出によって得られ、得られた本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、例えば70℃及び更にはより高い温度等の高温であっても、層間剥離に対して優れた耐性をもたらす。同じ有利な態様によれば、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、優れた表面及び界面特性を有益にもたらし、これは、ポリマー発泡体層が膨張性微小球で発泡される実施において特に驚くべきことである。理論に束縛されるものではないが、これらの優れた特性は、共押出プロセス工程が行われる時点で溶融状態であるポリマー発泡体層及び第1の感圧層を形成するために使用される化合物に起因すると考えられる。これは、結果として、第1の感圧層の外面の表面を滑らかにし、ポリマー発泡体層と第1の感圧層との間の境界面(間隙の無い境界面)を滑らかにする。本開示による多層感圧接着剤アセンブリの優れた表面及び界面特性は、結果として、接着するために基材上により良好な濡れをもたらし、したがって接着特性が改善される。
【0019】
このようなものとして、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、(産業)内装用途、より特定すると、建設市場用途、自動車用途、又は電子工学用途に特に好適である。自動車用途との関連において、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、自動車本体側面成形、ウェザーストリップ、又はバックミラーを接着させるための特定の使用を見出し得る。いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、有利な低いフォギング特性を備え、このような特性は、電子工学用途に特に好適である。
【0020】
本開示との関連において、「低表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり34ダイン未満の表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料に含まれるものは、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、高密度ポリエチレン即ちHDPE、低密度ポリエチレン即ちLDPE、LLDPE)、及びポリプロピレンのブレンド(例えば、PP/EPDM、TPO)である。
【0021】
本開示との関連において、「中表面エネルギー基材」という表現は、1センチメートル当たり34~70ダイン、典型的には、1センチメートル当たり34~60ダイン、より典型的には1センチメートル当たり34~50ダインの間に含まれる表面エネルギーを有する基材を指すことを意味する。このような材料に含まれるものは、ポリアミド6(PA6)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PC/ABSブレンド、PC、PVC、PA、ポリウレタン、PUR、TPE、POM、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、クリアコート面、特に、自動車など車両のクリアコート又は工業用途用のコーティング表面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料である。
【0022】
表面エネルギーは、典型的には、例えばASTM D7490-08に記載されるような接触角測定から決定される。
【0023】
典型的な態様では、本明細書で使用するゴム状ブロックは、室温未満のガラス転移温度(Tg)を示す。いくつかの態様では、ゴム状ブロックのTgは約0℃未満、又は更には約-10℃未満である。いくつかの態様では、ゴム状ブロックのTgは約-40℃未満、又は更には約-60℃未満である。
【0024】
典型的な態様では、本明細書で使用するガラス状ブロックは、室温を超えるTgを示す。いくつかの実施形態では、ガラス状ブロックのTgは、少なくとも約40℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、又は更には少なくとも約100℃である。
【0025】
用語「ガラス転移温度」及び「Tg」は、区別なく用いられ、材料又は混合物のガラス転移温度を指す。特に指示がない限り、ガラス転移温度値は、示差走査熱量計(DSC)により測定される。
【0026】
本開示によれば、本明細書で使用するポリマー発泡体が、
a)式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Rを有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Rは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
b)重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、
c)実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と、
d)任意選択の、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Lは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、mは1又は2である]と、
を含む。
【0027】
本開示の特定の態様では、本明細書で使用する式Qn-Yを有する多腕スチレンブロックコポリマーは、nが3~10又は更には3~5の範囲であるものである。いくつかのその他の態様では、nは4である一方で、いくつかのその他の実施では、nは6以上に等しい。
【0028】
本明細書で使用する好適なゴム状ブロックRは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含む。いくつかの典型的な態様では、少なくとも1つの腕のゴム状ブロックRは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、ポリイソプレン又はポリブタジエンの水素化誘導体、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される重合共役ジエンを含む。有利な態様によれば、各腕のゴム状ブロックRは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、ポリイソプレン又はポリブタジエンの水素化誘導体、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される重合共役ジエンを含む。
【0029】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの好ましい態様によれば、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRのうちの少なくとも1つは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む。より好ましくは、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRの各々は、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む。
【0030】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの特に有利な態様によれば、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのうちの少なくとも1つの腕が、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。より好ましくは、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの各腕は、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。更により好ましくは、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの各腕は、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0031】
本明細書における式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマー中で使用するのに好適なガラス状ブロックGは、重合モノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの典型的な態様では、少なくとも1つの腕のガラス状ブロックGが、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーを含む。有利な態様によれば、各腕のガラス状ブロックGが、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーを含む。
【0032】
本開示の有利な実施によれば、本明細書で使用する式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーは、(多腕)星形ブロックコポリマーである。本開示による多層感圧接着剤アセンブリのより有利な態様では、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーは、多モードブロックコポリマーである。本明細書で使用するとき、「多モード」という用語は、コポリマーが少なくとも2つの異なる分子量を有する末端ブロックを含むことを意味する。このようなブロックコポリマーはまた、少なくとも1つの「高」分子量末端ブロック、及び少なくとも1つの「低」分子量末端ブロックを有することにより特徴付けることができ、ここで高及び低という用語は互いに相対的に用いられる。いくつかの特定の態様では、低分子量末端ブロックの数平均分子量(Mn)Lに対する、高分子量末端ブロックの数平均分子量(Mn)Hの比は、少なくとも約1.25である。
【0033】
いくつかの特定の態様では、(Mn)Hは、約5,000~約50000の範囲である。いくつかの実施形態では、(Mn)Hは少なくとも約8000であり、いくつかの態様では、少なくとも約10000である。いくつかの態様では、(Mn)Hは約35000以下である。いくつかの態様では、(Mn)Lは、約1000~約10000の範囲である。いくつかの態様では、(Mn)Lは少なくとも約2000であり、いくつかの態様では、少なくとも約4000である。いくつかの態様では、(Mn)Lは約9000未満であり、いくつかの態様では、約8000未満である。
【0034】
別の有益な態様によれば、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーは非対称なブロックコポリマーである。本明細書で使用するとき、「非対称」という用語は、ブロックコポリマーの腕の全てが同一とは限らないことを意味する。一般に、多モードブロックコポリマーは、末端ブロックの分子量が全て同じとは限らないので、多モードブロックコポリマーの全ての腕が同一とは限らないため、非対称なブロックコポリマー(即ち、多モードで非対称なブロックコポリマー)である。いくつかの態様では、本開示の多腕ブロックコポリマーは、多モードで非対称なブロックコポリマーである。
【0035】
本明細書で使用する多腕ブロックコポリマーは、例えば、米国特許第7,163,741(B1)号(Khandpurら)に記載されている。多腕ブロックコポリマー、特に多モード非対称ブロックコポリマーの作製方法は、例えば、米国特許第5,296,547号(Nestegardら)、又は米国特許第5,393,787号(Nestegardら)に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
一般に、本明細書で使用する多官能性カップリング剤Yは、任意のポリアルケニルカップリング剤、又はリビングポリマーのカルバニオンと反応して架橋ポリマーを形成することができる官能基を有することが知られている他の物質であってよい。ポリアルケニルカップリング剤は、脂肪族、芳香族又は複素環式であってもよい。例示的な脂肪族ポリアルケニルカップリング剤としては、ポリビニル及びポリアルキルアセチレン、ジアセチレン、ホスフェート、ホスファイト、並びにジメタクリレート(例えば、エチレンジメタクリレート)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な芳香族ポリアルケニルカップリング剤としては、ポリビニルベンゼン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルナフタレン、及びジビニルジュレンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なポリビニル基としては、ジビニル基、トリビニル基、及びテトラビニル基が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、ジビニルベンゼン(DVB)を使用してもよく、o-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン、及びこれらの混合物を含んでもよい。例示的な複素環式ポリアルケニルカップリング剤としては、ジビニルピリジン、及びジビニルチオフェンが挙げられるが、これらに限定されない。その他の例示的な多官能性カップリング剤としては、ハロゲン化ケイ素、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、ポリケトン、ポリ無水物、及びジカルボン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
典型的な態様によれば、上記のような式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーは、例えば、ポリマー発泡体の重量に基づいて、最大80重量%の量で使用される。いくつかの例示的な態様において、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの量は、例えば、ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の範囲であり得る。
【0038】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの特定の態様では、ポリマー発泡体中の本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤が、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は更には200ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する。
【0039】
好ましい態様によれば、ポリマー発泡体中の本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤は、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は更には500ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する。本開示との関連において、上記のような式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーを含むポリマー発泡体と、少なくとも10,000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤と、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は更には500ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とは、放出されたガス構成成分の縮合に対する抵抗及び/又は対応する多層感圧接着剤アセンブリの熱的安定性に関して、優れた特性及び性能をもたらすことが見出された。有利な低フォギング特性を備える多層感圧接着剤アセンブリは、電子工学用途に特に好適である。
【0040】
更に好ましくは、本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤は、実験の項に記載のオーブンガス放出試験法に従い減量分析により測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は更には0.1重量%未満のガス放出値を有する。本開示との関連において、上記のような式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーを含むポリマー発泡体と、少なくとも10,000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤と、実験の項に記載のオーブンガス放出試験法に従い減量分析により測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は更には0.1重量%未満のガス放出値を有する少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤とは、優れた熱的安定性をもたらすことが見出された。
【0041】
上に詳しく述べたVOC要件を満たす限り、及び好ましくは上に詳しく述べたFOGレベル要件をも満たす限り、典型的には、従来の感圧接着剤組成物に含まれる任意の炭化水素粘着付与剤を、本開示との関連において使用してもよい。有用な炭化水素粘着付与剤は、典型的には、(コ)ポリマー材料と混和性があるように選択される。本明細書で使用する好適な炭化水素粘着付与剤は、本開示を踏まえて当業者によって、容易に特定され得る。
【0042】
固体又は液体の炭化水素粘着付与剤のいずれかを加えてもよいが、固体の炭化水素粘着付与剤が好ましい。固体粘着付与剤は、概して、10,000g/mol以下の数平均分子量(Mw)、及び約70℃より高い軟化点を有する。液体粘着付与剤は、約0℃~約20℃の軟化点を有する粘着性材料である。
【0043】
好適な粘着付与樹脂としては、ポリテルペン(例えば、αピネン系樹脂、βピネン系樹脂、及びリモネネン系樹脂)及び芳香族変性ポリテルペン樹脂(例えば、フェノール変性ポリテルペン樹脂)等のテルペン樹脂;クマロン-インデン樹脂;並びにC5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂、及びジシクロペンタジエン系樹脂等の石油系炭化水素樹脂を挙げることができる。これらの粘着付与樹脂は、添加される場合、水素化され、特定の感圧接着剤組成物に対するこれらの色の寄与を低減することができる。上に詳しく述べたVOC要件を満たす限り、及び好ましくは上に詳しく述べたFOGレベル要件をも満たす限り、様々な粘着付与剤の組合せを、所望に応じて使用することができる。
【0044】
炭化水素樹脂である粘着付与剤は、様々な石油系原材料から調製することができる。これらの原材料は、脂肪族炭化水素(主に、C5モノマーと、存在するいくつかの他のモノマー、例えばトランス-1,3-ペンタジエン、シス-1,3-ペンタジエン、2-メチル-2-ブテン、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン、及びシクロペンテンの混合物等)、芳香族炭化水素(主に、C9モノマーと、存在するいくつかの他のモノマー、例えばビニルトルエン、ジシクロペンタジエン、インデン、メチルスチレン、スチレン、及びメチルインデンの混合物等)、又はこれらの混合物でよい。C5モノマーから誘導された粘着付与剤は、C5系炭化水素樹脂と呼ばれ、一方で、C9モノマーから誘導されたものは、C9系炭化水素樹脂と呼ばれる。いくつかの粘着付与剤は、C5モノマーとC9モノマーとの混合物由来であるか、又はC5系炭化水素粘着付与剤とC9系炭化水素粘着付与剤とのブレンドである。これらの粘着付与剤は、C5/C9系炭化水素粘着付与剤と呼ぶことができる。これらの樹脂のいずれかは、部分的又は完全に水素化し、これらの色、これらの熱安定性、又はこれらのプロセス適合性を改善することができる。
【0045】
C5系炭化水素樹脂は、Eastman Chemical Companyから商標名PICCOTAC及びEASTOTACで、Cray Valleyから商標名WINGTACKで、Neville Chemical Companyから商標名NEVTAC LXで、及びKolon Industries,Inc.から商標名HIKOREZで市販されている。C5系炭化水素樹脂は、Eastman Chemicalから商標名EASTOTACKで様々な水素化度のものが市販されている。
【0046】
C9系炭化水素樹脂は、Eastman Chemical Companyから商標名PICCO、KRISTLEX、PLASTOLYN、及びPICCOTAC、及びENDEXで、Cray Valleyから商標名NORSOLENEで、Ruetgers N.V.から商標名NOVAREZで、並びにKolon Industries,Inc.から商標名HIKOTACで市販されている。これらの樹脂は、部分的又は完全に水素化することができる。水素化の前には、C9系炭化水素樹脂は、プロトン核磁気共鳴により測定した場合に芳香族が約40%であることが多い。水素化C9系炭化水素樹脂は、例えば、Eastman Chemicalから商標名REGALITE及びREGALREZで市販されており、これらは50~100%(例えば、50%、70%、90%、及び100%)水素化されている。部分的に水素化された樹脂は、典型的にはいくつかの芳香環を有する。
【0047】
様々なC5/C9系炭化水素粘着付与剤は、Arakawaから商標名ARKONで、Zeonから商標名QUINTONEで、Exxon Mobil Chemicalから商標名ESCOREZで、並びにNewport Industriesから商標名NURES及びH-REZ(Newport Industries)で市販されている。本開示との関連において、本明細書で使用する好適な炭化水素粘着付与剤は、Exxon Mobil Chemicalから商標名ESCOREZで市販されているC5/C9系炭化水素粘着付与剤の中から有利に選択することができる。
【0048】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリの好ましい態様によれば、本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤は、脂肪族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族及び脂環式樹脂、芳香族樹脂、水素化炭化水素樹脂、テルペン及び変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル、並びにこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される。
【0049】
本開示の有利な態様では、粘着付与樹脂は、C5系炭化水素樹脂、C9系炭化水素樹脂、C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される。別の有利な態様では、粘着付与樹脂は、水素化テルペン樹脂、水素化ロジン樹脂、水素化C5系炭化水素樹脂、水素化C9系炭化水素樹脂、水素化C5/C9系炭化水素樹脂、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される。
【0050】
有利な態様によれば、本明細書で使用するポリマー発泡体は、実験の項に記載の減量試験法に従って熱重量分析により測定される場合、1000ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤を含み、この炭化水素粘着付与剤は、好ましくは少なくとも60℃のTgを有し、好ましくは、炭化水素粘着付与剤は、ゴム状ブロックR及び任意選択のゴム状ブロックLと主に相容性である。
【0051】
有利な態様では、炭化水素粘着付与剤は、主にゴム状ブロックR及び任意選択のゴム状ブロックLのうちの少なくとも一部と相容性である。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、主に、多腕ブロックコポリマーの各ゴム状ブロックRと、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックLと相容性である。
【0052】
本明細書で使用するとき、粘着付与剤は、ブロックと混和性である場合、そのブロックと「相容性がある」。一般的に、ブロックと粘着付与剤との混和性は、そのブロックのTgに対する粘着付与剤の効果を測定することにより決定できる。粘着付与剤がブロックと混和性である場合、粘着付与剤はそのブロックのTgを変化させる(例えば、上昇させる)。粘着付与剤は、少なくともブロックと混和性がある場合、そのブロックと「主に相容性がある」が、他のブロックとも混和性である場合がある。例えば、主にゴム状ブロックと相容性がある粘着付与剤は、ゴム状ブロックと混和性があるが、ガラス状ブロックとも混和性があることもある。
【0053】
一般的に、比較的低い溶解度パラメータを有する樹脂は、ゴム状ブロックと会合する傾向があるが、ガラス状ブロックにおけるそれらの溶解度は、これらの樹脂の分子量又は軟化点が低下するにつれて増加する傾向がある。
【0054】
主にゴム状ブロックR及び任意選択のゴム状ブロックLと相容性がある例示的な炭化水素粘着付与剤は、ポリマーテルペン、ヘテロ官能性テルペン、クマロン-インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、水素化C5脂肪族樹脂、C9水素化芳香族樹脂、C5/C9脂肪族/芳香族樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、C5/C9及びジシクロペンタジエン前駆体から生じる水素化炭化水素樹脂、水素化スチレンモノマー樹脂、並びにこれらの任意のブレンドからなる群から有利に選択される。
【0055】
多層感圧接着剤アセンブリの典型的な態様によれば、ポリマー発泡体中の炭化水素粘着付与剤の総量は、ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の間に含まれる。
【0056】
多層感圧接着剤アセンブリの別の典型的な態様によれば、ポリマー発泡体中の全てのブロックコポリマーの総重量と全ての炭化水素粘着付与剤の総重量との比は、2.4:1~1:2.4、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、1.2:1~1:1.2、1.15:1~1:1.15、又は更には1.1:1~1:1.1の範囲である。
【0057】
本開示で使用するためのポリマー発泡体は、少なくとも10,000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤を更に含む。当業者に典型的に公知の任意のポリマー可塑剤は、上記重量平均分子量の必要条件を満たすものである限り、本開示との関連において使用してもよい。
【0058】
少なくとも10,000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤の使用は、第1の感圧接着剤の全体的な剪断性能、特に高温(典型的には70℃)での剪断性能に有利に影響を及ぼし得る。加えて、少なくとも10,000g/molの重量平均分子量Mwを有するポリマー可塑剤は、VOC及びFOGレベルの低下に関して、優れた特性及び性能をもたらすことが見出された。
【0059】
本明細書で使用する有用なポリマー可塑剤は、典型的には、(コ)ポリマー材料及びあらゆる任意選択の添加剤などの組成物中のその他の構成成分と混和性であるように選択される。本明細書で使用する好適なポリマー可塑剤は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。本明細書で使用することができるポリマー可塑剤の典型的な例としては、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、非晶質ポリオレフィン及びこれらのコポリマー、シリコーン、ポリアクリレート、ポリウレタンオリゴマー、エチレンプロピレンコポリマー、これらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
有利なことには、本明細書で使用するポリマー可塑剤は、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は更には200ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する。
【0061】
更に有利なことに、本明細書で使用するポリマー可塑剤は、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は更には500ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する。
【0062】
また更に有利なことに、本明細で使用するポリマー可塑剤は、実験の項に記載のオーブンガス放出試験法に従い減量分析により測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は更には0.1重量%未満のガス放出値を有する。
【0063】
有利な態様によれば、ポリマー可塑剤は、少なくとも20,000g/mol、少なくとも30,000g/mol、又は更には少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mwを有する。更に有利なことに、ポリマー可塑剤は、100,000g/mol以下、90,000g/mol未満、80,000g/mol未満、70,000g/mol未満、又は更には60,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する。
【0064】
ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは、当業者に公知の任意の方法、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られているゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、又は光散乱技術により決定することができる。特に指示しない限り、ポリマー可塑剤の重量平均分子量Mwは、ASTM D4001-13に準拠した光散乱により測定される。
【0065】
本明細書で使用するポリマー発泡体の別の有利な態様では、ポリマー可塑剤は、30,000g/mol~80,000g/mol、又は更には30,000g/mol~60,000g/molの間に含まれる重量平均分子量Mwを有する。
【0066】
本開示において使用するポリマー発泡体の特に好ましい実施によれば、ポリマー可塑剤はポリイソブチレン可塑剤である。本明細書で使用することができるポリイソブチレン可塑剤の典型的な例としては、BASFから商標名OPPANOL、特にOPPANOL Bシリーズで市販されているものの中から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
ポリマー発泡体の典型的な態様によれば、ポリマー可塑剤の総量は、ポリマー発泡体の総重量に基づいて重量パーセントで表して、20重量%以下、18重量%以下、15重量%以下、又は更には12重量%以下である。いくつかのその他の態様では、ポリマー可塑剤の総量は、ポリマー発泡体の総重量に基づいて重量パーセントで表して、6重量%以上、又は更には7重量%以上である。更にいくつかのその他の態様では、ポリマー可塑剤の総量は、ポリマー発泡体の総重量に基づいて重量パーセントで表して、2~20重量%、4~15重量%、又は更には6~15重量%の間に含まれる。
【0068】
いくつかの有利な態様では、本開示のポリマー発泡体は、任意選択により、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマー[式中、Lはゴム状ブロックを表し、Gはガラス状ブロックを表し、ガラス状ブロックの数mは1又は2である]を含んでもよい。本明細書で使用する好適なゴム状ブロックLは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含み、ここで、mは1又は2である。
【0069】
本開示との関連において、驚くべきことに、上記のような直鎖状ブロックコポリマーの添加により、ポリマー発泡体の(コ)ポリマー前駆体、及び得られる多層感圧接着剤アセンブリに様々な有益な効果をもたらし得ることが見出された。特に、上記のような直鎖状ブロックコポリマーの添加は、この化合物の粘度低下効果によるポリマー発泡体の(コ)ポリマー前駆体の加工性に有利に影響を及ぼすことができ、これにより改善された視覚的及び審美的外観を備えるポリマー発泡体が得られる。また、上記のような直鎖状ブロックコポリマーの存在により、得られるポリマー発泡体に改良された粘着性能が更にもたらされ得る。
【0070】
いくつかの態様では、mは1であり、直鎖状ブロックコポリマーは、1つのゴム状ブロックL及び1つのガラス状ブロックGを含むジブロックコポリマーである。いくつかの態様では、mは2であり、直鎖状ブロックコポリマーは、2つのガラス状末端ブロック及び1つのゴム状中間ブロックを含み、即ち、直鎖状ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーである。
【0071】
いくつかの態様では、ゴム状ブロックLは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様では、共役ジエンは4~12個の炭素原子を含む。例示的な共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン、及びジメチルブタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。重合共役ジエンは、個別に又は互いとのコポリマーとして使用してもよい。好ましくは、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックLは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む。いくつかの他の態様では、ゴム状ブロックLは、イソブチレンなどの重合オレフィンを含む。
【0072】
いくつかの態様では、少なくとも1つのガラス状ブロックGは、重合モノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの他の態様では、トリブロックコポリマーの両方のガラス状ブロックは、重合モノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの他の態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、2つのガラス状ブロックを含む。更に別の態様によれば、モノビニル芳香族モノマーは、8~18個の炭素原子を含む。例示的なモノビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、ビニルピリジン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、t-ブチルスチレン、ジ-n-ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、他のアルキル化スチレン、スチレン類似体、及びスチレン同族体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、モノビニル芳香族モノマーは、スチレン、スチレン相容性モノマー又はモノマーブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0073】
本明細書で使用するとき、「スチレン相容性モノマー又はモノマーブレンド」は、重合又は共重合することができ、優先的にポリスチレン又はブロックコポリマーのポリスチレン末端ブロックと会合する、モノマー又はモノマーのブレンドを指す。相容性は、モノマースチレンとの実際の共重合;相容性モノマー若しくはブレンド、又はホットメルト若しくは溶媒処理中のポリスチレン相中の重合モノマー若しくはブレンドの溶解性;又は処理後の放置中のスチレン富化相領域との、モノマー若しくはブレンドの会合から生じ得る。
【0074】
いくつかの他の態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーである。いくつかの態様では、ジブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン、及びスチレン-ブタジエンからなる群から選択される。いくつかの態様では、式L-(G)mの直鎖状ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーである。いくつかの態様では、トリブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-イソブチレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。ジブロック及びトリブロックコポリマーは、例えば、商標名VECTORで、Dexco Polymer LP(Houston,Texas)から入手可能なもの;及び商標名KRATONで、Kraton Polymers U.S.LLC(Houston,Texas)から入手可能なものが、市販されている。製造及び/又は購入されたとき、トリブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーのいくつかの部分も含有し得る。
【0075】
本明細書で使用するポリマー発泡体の典型的な態様によれば、ポリマー発泡体中の任意選択の式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーの量は、ポリマー発泡体の重量に基づいて、3重量%~40重量%、5重量%~30重量%、又は更には10重量%~25重量%の間に含まれる。
【0076】
いくつかの態様では、本開示のポリマー発泡体は、任意選択の成分として、充填材料を更に含んでもよい。このような充填剤は、例えばポリマー発泡体の機械的安定性を増大させるために有利に使用されてもよく、またその剪断及び剥離力抵抗を増加させることもできる。
【0077】
当業者に一般的に公知の任意の充填材料を、本開示との関連において使用してもよい。本明細書で使用することができる充填材料の典型的な例としては、膨張パーライト、微小球、膨張性微小球、セラミック球、ゼオライト、粘土系充填剤、ガラスビーズ、中空無機ビーズ、シリカ系充填剤、疎水性シリカ系充填剤、親水性シリカ系充填剤、ヒュームドシリカ、繊維、特にガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、導電性及び/又は熱伝導粒子、ナノ粒子、特にシリカナノ粒子、並びにこれらの任意の組合せからなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本開示の典型的な態様では、ポリマー発泡体は、微小球、膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0079】
存在する場合、本明細書で使用する充填材料は、任意の好適な量で、ポリマー発泡体中で使用してもよい。いくつかの例示的な態様では、充填材料は、ポリマー発泡体の最大30重量部、最大25重量部、又は更には最大20重量部の量で存在する。いくつかの他の例示的な態様では、この量は、典型的には、ポリマー発泡体の少なくとも1重量部、又は少なくとも3重量部である。
【0080】
これに応じて、いくつかの例示的な態様では、充填材料は、ポリマー発泡体の1~20重量部、3~15重量部、又は更には5~13重量部の範囲の量で存在する。いくつかの他の例示的な態様では、充填材料は、ポリマー発泡体の1~20重量部、2~15重量部、又は更には2~10重量部の範囲の量で存在する。
【0081】
本開示で使用するポリマー発泡体は、任意選択の成分として、架橋添加剤(架橋剤とも呼ばれる)を更に含んでもよい。架橋剤を使用して、ポリマー材料の結合力及び引張強度を向上させることができる。本明細書で使用する好適な架橋添加剤は、本開示を踏まえて、当業者によって容易に特定され得る。
【0082】
本明細書で使用する例示的な架橋添加剤としては、複数の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤が挙げられる。複数の(メタ)アクリロイル基を有する架橋剤は、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート等でもよい。
【0083】
多くの態様において、架橋剤は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含有する。2つのアクリロイル基を有する例示的な架橋剤としては、1,2-エタンジオールジアクリレート、1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマージアクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化グリセリントリ(メタ)アクリレート、及びネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート変性カプロラクトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
3つ又は4つの(メタ)アクリロイル基を有する例示的な架橋剤としては、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、Cytec Industries,Inc.(Smyrna,GA)から商標名TMPTA-Nで、及びSartomer(Exton,PA)から商標名SR-351で市販されている)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(例えば、Sartomer(Exton,PA)から商標名SR-350で市販されている)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(例えば、Sartomerから商標名SR-444で市販されている)、トリス(2-ヒドロキシエチルイソシアヌレート)トリアクリレート(例えば、Sartomerから商標名SR-368で市販されている)、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物(例えば、Cytec Industries,Inc.から商標名PETIA(テトラアクリレートのトリアクリレートに対する比がおよそ1:1)で、及び商標名PETA-K(テトラアクリレートのトリアクリレートに対する比がおよそ3:1)で市販されている)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomerから商標名SR-295で市販されている)、ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、Sartomerから商標名SR-355で市販されている)、並びにエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomerから商標名SR-494で市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。5個の(メタ)アクリロイル基を有する例示的な架橋剤としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、Sartomerから商標名SR-399で市販されている)が挙げられるが、これに限定されない。
【0085】
いくつかの態様では、架橋剤は、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を含有するポリマー材料である。例えば、架橋剤は、少なくとも2つのアクリロイル基を有するポリ(アルキレンオキサイド)(例えば、Sartomerから市販されているSR210、SR252、及びSR603などのポリエチレングリコールジアクリレート)、又は少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン(例えば、SartomerからのCN9018などのポリウレタンジアクリレート)であることができる。架橋剤の分子量が増加するにつれて、得られるアクリルコポリマーは、破断点前により高い伸びを有する傾向がある。ポリマー架橋剤は、それらの非ポリマー対応物と比較して、より大きな重量パーセント量で使用される傾向がある。
【0086】
架橋の更に他の方法では、熱架橋剤を、任意選択的に、好適な促進剤及び遅延剤と組み合わせて使用することができる。本明細書で使用する好適な熱架橋剤としては、イソシアネート、より詳細には、ブロッキング剤を含まない三量体化イソシアネート及び/若しくは立体障害イソシアネート、又はエポキシドアミン架橋剤系等のエポキシド化合物が挙げられるが、これらに限定されない。有利な架橋剤系及び方法は、例えば、DE202009013255(U1)号、欧州特許第2305389(A1)号、欧州特許第2414143(A1)号、欧州特許第2192148(A1)号、欧州特許第2186869号、欧州特許第0752435(A1)号、欧州特許第1802722(A1)号、欧州特許第1791921(A1)号、欧州特許第1791922(A1)号、欧州特許第1978069(A1)号、及びDE102008059050(A1)号の記述に記載されており、これらの関連内容は参照により本明細書に組み込まれる。特に有利な架橋剤系及び方法は、欧州特許第0752435(A1)号及び欧州特許第1978069(A1)号に記載されている。本明細書で使用する好適な促進剤及び遅延剤系は、例えば、米国特許第(A1)2011/0281964号の記述に記載されており、その関連内容は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。本明細書で使用する好適な熱架橋剤としては、エポキシシクロヘキシル誘導体、特にエポキシシクロヘキシルカルボキシレート誘導体が挙げられ、特に(3,4-エポキシシクロヘキサン)メチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが好ましく、Cytec Industries Inc.から商標名UVACURE1500で市販されている。特定の態様によれば、本明細書で使用するゴム系エラストマー材料は、エポキシド基と架橋可能な(コ)ポリマー又はコポリマーを含み得る。それに対応して、使用されるモノマー又はコモノマーの少なくとも一部は、有利には、エポキシド基と架橋可能な官能性モノマーであり得る。酸基(特にカルボン酸基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基)及び/又はヒドロキシル基及び/又は酸無水物基及び/又はエポキシド基及び/又はアミン基を有するモノマー、特にカルボン酸基を含有するモノマーを好適に使用することができる。好適な官能性モノマーは、例えば、米国特許第2005/0288436(A1)号に記載されている。
【0087】
架橋添加剤は、存在する場合、例えば、ポリマー発泡体の重量に基づいて、最大40重量%の量で使用することができる。いくつかの態様では、架橋添加剤は、ポリマー発泡体の重量に基づいて、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、又は最大5重量%の量で使用してもよい。架橋添加剤の量は、例えば、ポリマー発泡体の重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、又は更には2重量%~5重量%の範囲であり得る。
【0088】
熱架橋剤、湿気架橋剤、又は感光性架橋剤に加えて、γ線又はEビーム放射線等、高エネルギー電磁放射線を使用して架橋が達成されてもよい。
【0089】
本開示の有利な態様では、本明細書で使用する架橋添加剤は、化学線、より好ましくはEビーム照射により活性化される/活性化可能である。より好ましい態様では、架橋添加剤は、多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される。例示的な多官能性(メタ)アクリレート化合物は、好ましくは、少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基、特に3個又は4個の(メタ)アクリロイル基、より特定すると、3個の(メタ)アクリロイル基を含む。
【0090】
別の有利な態様では、多官能性(メタ)アクリレート化合物は、以下の式を有する:
H2C=C(R1)-(CO)-O-R2-[O-(CO)-(R1)C=CH2]n
(式中、R1は水素又はメチルであり、nは1、2、3又は4であり、R2は、アルキレン、アリーレン、ヘテロアルキレン、又はこれらの任意の組合せである)。
【0091】
更に別の有利な態様によれば、本明細書で使用する架橋添加剤は、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される多官能性(メタ)アクリレート化合物である。
【0092】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの好ましい一実施によれば、ポリマー発泡体が、
a)ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の多腕ブロックコポリマーと、
b)ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の炭化水素粘着付与剤と、
c)ポリマー発泡体の重量に基づいて、2重量%~20重量%、4重量%~15重量%、又は更には6重量%~15重量%のポリマー可塑剤と、
d)任意選択の、ポリマー発泡体の重量に基づいて、3重量%~40重量%、5重量%~30重量%、又は更には10重量%~25重量%の直鎖状ブロックコポリマーと、
e)任意選択の、ポリマー発泡体の重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、又は更には2重量%~5重量%の架橋添加剤と、を含み、架橋添加剤が、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される。
【0093】
本開示によれば、本明細書で使用する第1の感圧接着剤が、
a)式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Mは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、pは1又は2である]と、
b)少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤と、
c)25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーであって、
(i)単独重合したときに25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、及び
(ii)任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位、
を含む(メタ)アクリレートコポリマーと、
d)任意選択の、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Sは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Nを有し、
(ii)qは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Zは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Nは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
e)任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマー[式中、Tは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックである]と、
を含む。
【0094】
本開示によれば、本明細書で使用する第1の感圧接着剤は、式M-(G)pの直鎖状ブロックコポリマー[式中、Mはゴム状ブロックを表し、Gはガラス状ブロックを表し、ガラス状ブロックの数pは1又は2である]を含む。本明細書で使用する好適なゴム状ブロックMは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含み、ここで、pは1又は2である。
【0095】
いくつかの態様では、pは1であり、式M-(G)pの直鎖状ブロックコポリマーは、1つのゴム状ブロックM及び1つのガラス状ブロックGを含むジブロックコポリマーである。いくつかの態様では、pは2であり、直鎖状ブロックコポリマーは2つのガラス状末端ブロック及び1つのゴム状中間ブロックを含み、即ち、式M-(G)pの直鎖状ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーである。
【0096】
いくつかの態様では、ゴム状ブロックMは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含む。いくつかの態様では、共役ジエンは4~12個の炭素原子を含む。例示的な共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン、及びジメチルブタジエンが挙げられるが、これらに限定されない。重合共役ジエンは、個別に又は互いとのコポリマーとして使用してもよい。好ましくは、式M-(G)pの直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックMは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む。いくつかの他の態様では、ゴム状ブロックMは、イソブチレン等の重合オレフィンを含む。
【0097】
いくつかの態様では、少なくとも1つのガラス状ブロックGは、重合モノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの他の態様では、トリブロックコポリマーの両方のガラス状ブロックは、重合モノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの他の態様では、式M-(G)pの直鎖状ブロックコポリマーは、2つのガラス状ブロックを含む。更に別の態様によれば、モノビニル芳香族モノマーは、8~18個の炭素原子を含む。例示的なモノビニル芳香族モノマーとしては、スチレン、ビニルピリジン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、t-ブチルスチレン、ジ-n-ブチルスチレン、イソプロピルスチレン、他のアルキル化スチレン、スチレン類似体、及びスチレン同族体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、モノビニル芳香族モノマーは、スチレン、スチレン相容性モノマー又はモノマーブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0098】
いくつかの他の態様では、式M-(G)pの直鎖状ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーである。いくつかの態様では、ジブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン、及びスチレン-ブタジエンからなる群から選択される。いくつかの態様では、式M-(G)pの直鎖状ブロックコポリマーは、トリブロックコポリマーである。いくつかの態様では、トリブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-イソブチレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。ジブロック及びトリブロックコポリマーは、例えば、商標名VECTORで、Dexco Polymer LP(Houston,Texas)から入手可能なもの;及び商標名KRATONで、Kraton Polymers U.S.LLC(Houston,Texas)から入手可能なものが、市販されている。製造及び/又は購入されたとき、トリブロックコポリマーは、ジブロックコポリマーのいくつかの部分も含有し得る。
【0099】
本明細書で使用するポリマー発泡体の典型的な態様によれば、ポリマー発泡体中の式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーの量は、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の間に含まれる。
【0100】
本開示によれば、本明細書で使用する第1の感圧接着剤は、少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤を更に含む。
【0101】
上記で詳しく述べたポリマー発泡体中の本明細書で使用する炭化水素粘着付与剤の説明は、第1の感圧接着剤中で使用するための第2の炭化水素粘着付与剤に完全に適用可能であるが、例外として、第1の感圧接着剤中に使用するための第2の炭化水素粘着付与剤は、本明細書でポリマー発泡体に使用するための炭化水素粘着付与剤に適用可能な上記で詳しく述べたVOC要件又はFOGレベル要件を必ずしも満たす必要はない。
【0102】
有利な態様では、第2の炭化水素粘着付与剤は、ゴム状ブロックMの少なくとも一部と、任意選択のゴム状ブロックN及びTと主に相容性である。いくつかの態様では、炭化水素粘着付与剤は、式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックM、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーの各ゴム状ブロックN、及び式T-(G)を有するジブロックコポリマーのゴム状ブロックTと主に相容性である。
【0103】
有利な態様によれば、第1の感圧接着剤に使用される第2の炭化水素粘着付与剤は、実験の項に記載の減量試験法に従って熱重量分析により測定した場合に、1000ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有し、第2の炭化水素粘着付与剤は、好ましくは少なくとも60℃のTgを有し、好ましくは、炭化水素粘着付与剤は、ゴム状ブロックM並びに任意選択のゴム状ブロックN及びTと主に相容性である。
【0104】
本開示との関連において、好ましくはゴム状ブロックと主に相容性である第2の炭化水素粘着付与剤の添加が、特に、例えば臨界塗料基材及び臨界クリアコートシステム、特に自動車用臨界クリアコートシステム又は臨界自動車ワニス等の臨界基材に対する接着性能(特に剥離性能)に有利に影響することが見出された。
【0105】
好ましい態様では、第2の炭化水素粘着付与剤は、有利には、クマロン-インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸のエステル、不均化ロジン酸エステル、C9芳香族、スチレン、α-メチルスチレン、純粋モノマー樹脂、及びC9/C5芳香族変性脂肪族炭化水素、並びにこれらのブレンドからなる群から選択される。
【0106】
本明細書で使用する第1の感圧接着剤のいくつかの態様では、第2の炭化水素粘着付与剤は、少なくとも65℃、又は更には少なくとも70℃のTgを有する。
【0107】
本明細書で使用する第1の感圧接着剤のいくつかの態様では、第2の炭化水素粘着付与剤は、少なくとも約115℃、又は更には少なくとも約120℃の軟化点を有する。
【0108】
本開示で使用する第1の感圧接着剤の典型的な態様によれば、全てのブロックコポリマーの総重量と全ての第2の炭化水素粘着付与剤の総重量との比は、2.4:1~1:2.4、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、1.2:1~1:1.2、1.15:1~1:1.15、又は更には1.1:1~1:1.1の範囲である。
【0109】
第1の感圧接着剤の典型的な態様によれば、第2の炭化水素粘着付与剤は、例えば、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、最大80重量%の量で使用され得る。いくつかの態様では、粘着付与剤は、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、最大70重量%、最大60重量%、最大55重量%、最大50重量%、又は更には最大45重量%の量で使用することができる。粘着付与剤の量は、例えば、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~70重量%、20重量%~60重量%、20重量%~55重量%、25重量%~50重量%、又は更には25重量%~45重量%の範囲であり得る。
【0110】
本開示によれば、本明細書で使用する第1の感圧接着剤は、25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーを更に含み、(メタ)アクリレートコポリマーが
(i)単独重合したときに25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、及び
(ii)任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位、
を含む。
【0111】
本開示との関連において、驚くべきことに、第1の感圧接着剤の組成物中の上記のような(メタ)アクリレートコポリマーの添加が、特に、例えば臨界塗料基材等の臨界基材及び臨界クリアコートシステム、特に自動車用臨界クリアコートシステム又は臨界自動車ワニス、並びに、例えば自動車産業で一般的に使用されるTPO、PP、又はPP/EPDM等の低表面エネルギープラスチックプラスチック基材に対する多層感圧接着剤アセンブリの接着性能を有利に改善することが見出された。
【0112】
より特定すると、驚くべきことに、第1の感圧接着剤の組成物中の上記のような(メタ)アクリレートコポリマーの添加が、臨界塗料基材及び臨界クリアコートシステム、特に自動車用臨界クリアコートシステム又は臨界自動車ワニスに対する多層感圧接着剤アセンブリの剥離接着性能を有利に改善することが見出された。驚くべきことに、第1の感圧接着剤の組成物中の上記のようなの(メタ)アクリレートコポリマーの添加が、例えばTPO、PP、又はPP/EPDM等のLSEプラスチック基材に対する、多層感圧接着剤アセンブリの剪断接着性能を有益に改善することが見出された。
【0113】
多層感圧接着剤アセンブリの有利な態様によれば、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーが、25℃超、40度超、50℃超、60℃超、又は更には70℃超のTgを有する。
【0114】
本開示との関連において、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーのTgを決定するために、様々なモノマーの特定の組合せのためのインターポリマーの有用な予測因子Tgは、Fox式:1/Tg=ΣWi/Tgiの適用によって計算することができる。この式中、Tgは混合物のガラス転移温度であり、Wiは混合物中の構成成分iの重量分率であり、Tgiは構成成分iのガラス転移温度であり、全てのガラス転移温度の単位はケルビン(K)である。
【0115】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの例示的な一態様では、第1の感圧接着剤の組成物中で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、5000~80,000ダルトン、10,000~70,000ダルトン、15,000~60,000ダルトン、20,000~50,000ダルトン、又は更には25,000~45,000ダルトンの間に含まれる重量平均分子量(Mw)を有する。本開示との関連において、ポリマーの重量平均分子量は、従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して決定される。
【0116】
いくつかの有利な態様では、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーが、単独重合したときに、30℃超、40℃超、50℃超、60℃超、又は更に70℃超のTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む。
【0117】
別の有利な態様によれば、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーが、25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含み、C1~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C2~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又は更にはC4~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位からなる群から選択される。
【0118】
更に別の有利な態様によれば、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含み、この単位は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-オクチルアクリルアミド、プロピル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される。
【0119】
更に別の有利な態様では、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含み、この単位は、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される。
【0120】
更に別の有利な態様では、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含み、この単位は、イソボルニルアクリレートであるように選択される。
【0121】
典型的な態様によれば、本発明で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリルアミド及び置換アクリルアミド、アクリルアミン及び置換アクリルアミン、並びにこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位を含む。
【0122】
別の典型的な態様によれば、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、N,N’-ジメチルアクリルアミド、N,N’-ジエチルアクリルアミド、ブチルカルバモイルエチルアクリレート、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位を含む。
【0123】
更に別の典型的な態様によれば、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、酸官能性エチレン性不飽和コモノマー単位からなる群から選択される任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位を含む。好ましくは、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、アクリル酸であるように選択された任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位を含む。
【0124】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの好ましい実施によれば、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーが、
a)85~99.9重量%、90~99.5重量%、92~99重量%、94~98重量%、又は更には95~98重量%の、25℃超のTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位であって、好ましくは、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される、(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、
b)任意選択の、0.1~15重量%、0.5~10重量%、1.0~8重量%、2.0~6.0重量%、又は更には2.0~5.0重量%の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位、好ましくは酸官能性モノマーエチレン性不飽和コモノマー単位、より好ましくはアクリル酸モノマー単位と、を含み、
ここで、重量パーセントが、(メタ)アクリレートコポリマーの総重量に基づく。
【0125】
第1の感圧接着剤の典型的な態様によれば、第1の感圧接着剤中の(メタ)アクリレートコポリマーの量は、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、3重量%~25重量%、4重量%~20重量%、5重量%~18重量%、又は更には6重量%~15重量%の間に含まれる。
【0126】
第1の感圧接着剤中の、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、当業者に一般的に公知の任意の従来のフリーラジカル重合法によって調製することができる。例示的な方法は、溶液、放射線、バルク、分散、エマルション、無溶媒、及び懸濁プロセスを含む。得られる(メタ)アクリレート(コ)ポリマーは、ランダム又はブロック(コ)ポリマーであり得る。
【0127】
好ましい態様では、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、無溶媒プロセスによって調製される。米国特許第4,619,979号及び同第4,843,134号(Kotnourら)(これらの内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる)に記載の連続フリーラジカル重合法等の無溶媒重合法、米国特許第5,637,646号(Ellis)(この内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる)に記載の回分反応器を使用する実質的に断熱の重合法、並びに米国特許第5,804,610号及び同第6,928,794号(Hamerら)(これらの内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる)に記載のパッケージ化予備接着剤組成物を重合するために記載された方法もまた、ポリマーを調製するために利用することができる。あるいは、本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、欧州特許第(A1)-1484342号(Husemannら)に記載されているような溶媒回収を要する重合法によって調製することができ、この内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0128】
いくつかの有利な態様では、本開示の第1の感圧接着剤は、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーを任意選択により含んでもよく、式中、Sは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して、式G-Nを有し、qは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、Zは多官能性カップリング剤の残基であり、各Nは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックである。
【0129】
本開示との関連において、驚くべきことに、第1の感圧接着剤の組成物中の上記のような多腕ブロックコポリマーの添加が、多層感圧接着剤アセンブリの臨界基材に対する接着性能、特に多層感圧接着剤アセンブリの高温剪断接着性能を有利に改善することが見出された。
【0130】
本開示の特定の態様では、本明細書で使用する式Sq-Zを有する多腕スチレンブロックコポリマーは、qが3~10又は更には3~5の範囲であるものである。いくつかの他の態様では、qは4である一方で、いくつかの他の実施では、qは6以上に等しい。
【0131】
本明細書で使用する好適なゴム状ブロックNは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含む。いくつかの典型的な態様では、少なくとも1つの腕のゴム状ブロックNは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、ポリイソプレン又はポリブタジエンの水素化誘導体、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される重合共役ジエンを含む。有利な態様によれば、各腕のゴム状ブロックNは、イソプレン、ブタジエン、エチレンブタジエンコポリマー、ポリイソプレン又はポリブタジエンの水素化誘導体、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される重合共役ジエンを含む。
【0132】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの好ましい態様によれば、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックNのうちの少なくとも1つは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む。より好ましくは、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックNの各々は、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む。
【0133】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの特に有利な態様によれば、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーのうちの少なくとも1つの腕は、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。より好ましくは、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーの各腕は、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。更により好ましくは、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーの各腕は、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0134】
本明細書における式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマー中で使用するのに好適なガラス状ブロックGは、重合モノビニル芳香族モノマーを含む。いくつかの典型的な態様では、少なくとも1つの腕のガラス状ブロックGは、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーを含む。有利な態様によれば、各腕のガラス状ブロックGは、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーを含む。
【0135】
本開示の有利な実施によれば、本明細書で使用する式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーは、(多腕)星形ブロックコポリマーである。本開示による多層感圧接着剤アセンブリのより有利な態様では、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーは、多モードブロックコポリマーである。本明細書で使用するとき、「多モード」という用語は、コポリマーが少なくとも2つの異なる分子量を有する末端ブロックを含むことを意味する。このようなブロックコポリマーはまた、少なくとも1つの「高」分子量末端ブロック、及び少なくとも1つの「低」分子量末端ブロックを有することにより特徴付けることができ、ここで高及び低という用語は互いに相対的に用いられる。いくつかの特定の態様では、低分子量末端ブロックの数平均分子量(Mn)Lに対する、高分子量末端ブロックの数平均分子量(Mn)Hの比は、少なくとも約1.25である。
【0136】
いくつかの特定の態様では、(Mn)Hは、約5,000~約50000の範囲である。いくつかの実施形態では、(Mn)Hは少なくとも約8000であり、いくつかの態様では、少なくとも約10000である。いくつかの態様では、(Mn)Hは約35000以下である。いくつかの態様では、(Mn)Lは、約1000~約10000の範囲である。いくつかの態様では、(Mn)Lは少なくとも約2000であり、いくつかの態様では、少なくとも約4000である。いくつかの態様では、(Mn)Lは約9000未満であり、いくつかの態様では、約8000未満である。
【0137】
別の有益な態様によれば、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーは非対称なブロックコポリマーである。いくつかの態様では、本開示の多腕ブロックコポリマーは、多モードで非対称なブロックコポリマーである。
【0138】
式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーで使用する多官能性カップリング剤Zは、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーで使用する多官能性カップリング剤Yについて上記のとおりである。
【0139】
典型的な態様によれば、上記のような式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーは、例えば、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、最大20重量%の量で使用される。いくつかの例示的な態様において、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーの量は、例えば、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~15重量%、2重量%~13重量%、2重量%~10重量%、又は更には3重量%~10重量%の範囲であり得る。
【0140】
いくつかの有利な態様では、本開示の第1の感圧接着剤は、任意選択により、式T-(G)を有するジブロックコポリマーを含んでもよく、Tは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックである。
【0141】
本開示との関連においては、驚くべきことに、上記のようなジブロックコポリマーの添加が、第1の感圧接着剤の(コ)ポリマー前駆体、及び得られる多層感圧接着剤アセンブリに様々な有益な効果をもたらし得ることが見出された。特に、上記のようなジブロックコポリマーの添加は、この化合物の粘度低下効果(レオロジー修飾因子)による第1の感圧接着剤の(コ)ポリマー前駆体の加工性に有利に影響を及ぼすことができ、これにより改善された視覚的及び審美的外観を備える第1の感圧接着剤が得られる。更に、驚くべきことに、上記のようなジブロックコポリマーが、第1の感圧接着剤中に存在する場合、本開示による多層感圧接着剤アセンブリの他の層には不要に移動しない一方で、第1の感圧接着剤の(コ)ポリマー前駆体に可塑化効果を依然としてもたらすことが見出された。
【0142】
特定の態様によれば、式T-(G)を有するジブロックコポリマーのゴム状ブロックTは、イソブチレン、又はイソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンであるように選択されるオレフィンを含む。
【0143】
別の特定の態様によれば、式T-(G)を有するジブロックコポリマーのゴム状ブロックTは、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む。
【0144】
更に別の態様では、式T-(G)を有するジブロックコポリマーは、スチレン-イソプレン、スチレン-ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。好ましくは、式T-(G)を有するジブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエンであるように選択される。
【0145】
典型的な態様によれば、第1の感圧接着剤中の式T-(G)を有する任意選択のジブロックコポリマーの量は、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~20重量%、2重量%~15重量%、4重量%~12重量%、又は更には5重量%~10重量%の間に含まれる。
【0146】
いくつかの態様では、本開示の第1の感圧接着剤は、任意選択の成分として、充填材料を更に含んでもよい。第1の感圧接着剤中に使用する充填材料は、ポリマー発泡体に使用する上記のものである。
【0147】
本開示の典型的な態様では、第1の感圧接着剤は、微小球、膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球、ガス状空隙、ガラスビーズ、ガラス微小球、ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される充填材料を一切含まない。より典型的には、第1の感圧接着剤は、膨張性微小球、ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される充填材料を一切含まない。
【0148】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの好ましい一実施によれば、第1の感圧接着剤が、
a)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の、式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーと、
b)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~70重量%、20重量%~60重量%、20重量%~55重量%、25重量%~50重量%、又は更には25重量%~45重量%の第2の炭化水素粘着付与剤と、
c)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、3重量%~25重量%、4重量%~20重量%、5重量%~18重量%、又は更には6重量%~15重量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
d)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~15重量%、2重量%~13重量%、2重量%~10重量%、又は更には3重量%~10重量%の、任意選択の、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーと、
e)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~20重量%、2重量%~15重量%、4重量%~12重量%、又は更には5重量%~10重量%の、任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマーと、
f)任意選択の、第1の感圧接着剤発泡体の重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、又は更には2重量%~5重量%の架橋添加剤と、を含み、架橋添加剤が、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される。
【0149】
特に有利な態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、溶融共押出、特にポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層とのホットメルト共押出によって得られる。
【0150】
本開示との関連において、驚くべきことに、溶融共押出、特に、ポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層とのホットメルト共押出によって得られる、上記のような多層感圧接着剤アセンブリが、例えば70℃及び更にはより高い温度等の高温であっても、優れた堅牢性、並びに層間剥離に対して優れた耐性をもたらすことが見出された。更に、驚くべきことに、溶融共押出、特にポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層とのホットメルト共押出によって得られる、上記のような多層感圧接着剤アセンブリが、本開示による多層感圧接着剤アセンブリの層を通る化合物(特に加工助剤又は可塑剤)の不要な移動を経ることが少なく、その理由は主に、溶融共押出プロセスが行われるときに、加工助剤自体の使用が不要であるためであることが見出された。
【0151】
溶融共押出、特にホットメルト共押出は、当業者に周知の技術である。例示的なホットメルト共押出プロセスは、例えば、米国特許第2003/0082362(A1)号(Khandpurら)、米国特許第2004/0082700(A1)号(Khandpurら)に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0152】
ホットメルト共押出プロセスは、典型的には、ホットメルト組成物、一般的には、通常の室温を著しく上回る加工温度で基材又は薄層のキャリア上に押出コーティングすることができるが、室温で有用な感圧接着特性を保持する、融解粘度プロファイルを有するポリマー又はブレンドされたポリマー材料を形成することを含む。
【0153】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、好ましくは、ポリマー発泡体層、第1の感圧接着剤層、及び任意選択の第2の感圧接着剤層のホットメルト共押出によって製造されてもよい。例示的なプロセスは、典型的には、各層の様々な成分をホットメルト化合物(例えば、ブロックコポリマー、ポリマー可塑剤、(メタ)アクリレートコポリマー、及び炭化水素粘着付与剤等)に配合することを要する。当該技術分野において周知のように、配合は、典型的には、ロールミリング又は押出機(例えば、単軸スクリュー、二軸スクリュー、遊星押出機、リング押出機、ディスクスクリュー、往復式単軸、ピンバレル単軸等)で行われる。混練機又はミキサー等の市販の装置を使用して、接着剤組成物のバッチを配合してもよい。配合後、様々な調製された組成物を共押出ダイに通して所望の多層アセンブリに共押出しする。多層押出物の加工は、カレンダー又は別のタイプのコーティング装置によって継続されるが、接着剤の粘着挙動のため、これは、ライナー上にコーティングされ、ロールは押出接着剤に付着しない材料でコーティングされる。
【0154】
別の特に有利な態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、好ましくは化学線で、より好ましくはEビーム照射で架橋される。好ましい一態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリは、Eビーム照射で架橋され、Eビームの照射線量は、好ましくは50kGy~150kGyである。更なる特定の態様では、Eビーム照射は、多層感圧接着剤アセンブリ中で対称の照射プロファイルを達成するように両側から実施される。
【0155】
上記のような多層感圧接着剤アセンブリを、特に化学線、好ましくはEビーム照射により架橋する工程は、室温及び高温(例えば70℃)の両方において優れた静的剪断性能を特徴とする多層感圧接着剤アセンブリを生成する。
【0156】
Eビーム照射ベースの架橋を実施している間、好適なEビームの加速張力を選択することと併せて好適なEビーム照射線量を見出すことは、当業者の実践の範囲内である。好適な加速張力は、典型的には、対応する多層感圧接着剤アセンブリのコーティング重量に対して選択され、適合される。例示的なEビーム加速電圧は、典型的には、25~1200g/m2のコーティング重量を有する感圧接着剤層に対して140~300kVである。両側から照射されると、感圧接着剤層は、最大1800g/m2のコーティング重量を有し得る。
【0157】
有利には、本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、50kGy~150kGyのEビーム照射線量を使用して架橋されてもよい。
【0158】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、ポリマー発泡体層と、ポリマー発泡体層に隣接する、上記のような第1の感圧接着剤層とを含む。しかし、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、その最終的な用途及び所望の特性に応じて、かつそれが上記のような第1の感圧接着剤層とポリマー発泡体層とを含むことを条件として、任意の好適な種類の設計又は構成を有し得る。
【0159】
例示的な態様によれば、本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、2つ又はそれ以上の重畳した層、即ち、第1の感圧接着剤層と、ポリマー発泡体層と、任意選択により、例えば更なる感圧接着剤層及び/又はバッキング層等の隣接する層とを含む多層構造体の形態をとってもよい。2つの物体を互いに接着するための二層接着テープとして、このような接着剤多層構造体又はテープを有利に使用してもよい。その趣旨において、本明細書で使用する好適なポリマー発泡体層は、少なくとも一部の感圧接着剤特性を発揮してもしなくてもよい。
【0160】
これに応じて、特定の一態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、第1の主面及び第2の主面を有するポリマー発泡体と、ポリマー発泡体層の第1の主面に結合された上記のような第1の感圧接着剤層と、を含む。
【0161】
多層感圧接着剤アセンブリの有利な態様によれば、本明細書で使用する第1の感圧接着剤層は、1500μm未満、1000μm未満、800μm未満、600μm未満、400μm未満、200μm未満、150μm未満、又は更には100μm未満の厚さを有する。更に有利には、本明細書で使用する第1の感圧接着剤層は、20~1500μm、20~1000μm、20~500μm、30~400μm、30~250μm、40~200μm、又は更には50~150μmの間に含まれる厚さを有する。
【0162】
多層感圧接着剤アセンブリの典型的な態様によれば、本明細書で使用するポリマー発泡体層は、例えば、100~6000μm、200~4000μm、400~3000μm、500~2000μm、又は更には800~1500μmの間に含まれる厚さを有する。本記述を踏まえて当業者には明白であるように、ポリマー発泡体層の好ましい厚さは、目的とする用途に依存する。
【0163】
感圧接着剤アセンブリに含まれる様々な感圧接着剤層、及び他の任意選択の層の厚さは、所望の実施及び関連特性に応じて広範囲に変化し得る。例として、厚さは、各層に関して独立して、25μm~6000μm、40μm~3000μm、50μm~3000μm、50μm~2000μm、又は更には50μm~1500μmで選択され得る。
【0164】
多層感圧接着剤アセンブリがスキン/コア型多層感圧接着剤アセンブリの形態をとり、ポリマー発泡体層が多層感圧接着剤アセンブリのコア層であり、第1の感圧接着剤層が多層感圧接着剤アセンブリのスキン層である特定の実施によれば、第1の感圧接着剤層は、ポリマー発泡体/コア層と比較して、より薄い厚さを有することが好ましい。
【0165】
例として、感圧接着剤層の厚さは、典型的には、20μm~250μm、又は更には40μm~200μmの範囲であってもよく、一方で、ポリマー発泡体層の厚さは、典型的には、100μm~6000μm、400μm~3000μm、又は更には800μm~2000μmの範囲であってもよい。このような多層感圧接着剤アセンブリは、典型的には、高い剥離接着性を示す。理論に束縛されることを望むものではないが、このような高い剥離接着性は、第1の感圧接着剤層と比べて相対的に厚いポリマー発泡体層の安定化効果によるものと考えられる。
【0166】
いくつかの他の実施において、多層感圧接着剤アセンブリは、ポリマー発泡体層の第2の主面に結合された第2の感圧接着剤スキン層を更に備え、多層感圧接着剤アセンブリは、好ましくは、ポリマー発泡体層、第1の感圧接着剤層及び第2の感圧接着剤層のホットメルト共押出によって得られる。このような多層感圧接着剤アセンブリは、例えば、2つの感圧接着剤層の間にポリマー発泡体層が挟持される三層の設計を反映する。多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの態様では、第1の感圧接着剤層と第2の感圧接着剤層とは同一の接着剤であり、上記のような感圧接着剤組成物を含む。いくつかの代替的な態様では、第1の感圧接着剤層及び第2の感圧接着剤層は、それぞれ独立して、上記のような感圧接着剤組成物を含む。
【0167】
いくつかの実施において、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、有利には、スキン/コア/スキン多層アセンブリの形態であってもよく、ポリマー発泡体層は、多層感圧接着剤アセンブリのコア層であり、スキン層は、第1の感圧接着剤層及び第2の感圧接着剤層である。
【0168】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、第1の感圧接着剤層に隣接するポリマー発泡体層を含む。
【0169】
本開示との関連において、「ポリマー発泡体」という用語は、ポリマーをベースとする材料を指すことを意味し、その材料は、空隙を、典型的には、少なくとも5体積%、典型的には10体積%~80体積%、又は10体積%~65体積%の量で含む。空隙は、ガスで気泡を形成するといった任意の既知の方法によって得ることができる。あるいは、空隙は、中空ポリマー粒子、中空ガラス微小球、中空セラミック微小球等の中空充填剤の組み込みから生じ得る。別の代替的な態様によれば、空隙は、熱膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球の組み込みから生じ得る。本明細書で使用する熱膨張性微小球は、ポリマー溶融物が押出ダイを通過する際に膨張し得る。膨張性微小球を含有するポリマー混合物はまた、これらの膨張温度未満の温度で押出してもよく、後の工程でテープを微小球の膨張温度より高い温度に曝露することによって膨張させてもよい。あるいは、空隙は、化学的発泡剤の分解から生じ得る。
【0170】
ポリマー発泡体層は、典型的には、0.30g/cm3~1.5g/cm3、0.35g/cm3~1.10g/cm3、又は更には0.40g/cm3~0.95g/cm3の間に含まれる密度を有する。この密度は、空隙又は気泡を含めることによって達成される。典型的には、ポリマー発泡体層は、少なくとも5体積%の空隙、例えば15体積%~45体積%、又は20体積%~45体積%の空隙を含むであろう。
【0171】
ポリマー発泡体層内の空隙又は気泡は、当該技術分野で説明されている既知の方法のいずれかで作り出すことができ、ガス若しくは発泡剤の使用、及び/又は中空ポリマー粒子、中空ガラス微小球、中空セラミック微小球、若しくは膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球等の中空充填剤を、ポリマー発泡体層用の組成物中に組み込むことが含まれる。
【0172】
ポリマー発泡体層を含む多層感圧接着剤アセンブリは、単層感圧接着剤と比較すると、接着(瞬間接着)を感圧接着剤層(通常スキン層とも呼ばれる)の配合によって調整することができ、一方で、適用の問題、変形の問題、及びエネルギー分布等の総合的なアセンブリのその他の特性/要件が、ポリマー発泡体層(通常コア層とも呼ばれる)の適切な配合によって対処され得るという点で、特に有利である。
【0173】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの特定の一態様では、第2の感圧接着剤層は、上記のような第1の感圧接着剤と同一の組成を有する。
【0174】
本開示による多層感圧接着剤アセンブリのいくつかの特定の態様では、プライマー層を感圧接着剤層とポリマー発泡体(即ちコア)層との間に介在させてもよい。本開示との関連において、当業者に一般的に公知の任意のプライマー組成物を使用してもよい。適切なプライマー組成物を見出すことは、本開示を踏まえて当業者の能力の範疇である。本明細書で使用する有用なプライマーは、例えば、米国特許第5,677,376号(Groves)及び同第5,605,964号(Groves)に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
特に有利な態様によれば、上記のような多層感圧接着剤アセンブリは、VDA,Association of the German Automobile Industryの試験法VDA278(Thermal Desorption Analysis of Organic Emissions for the Characterization of Non-Metallic Materials for Automobiles)による昇温脱離分析により測定した場合に、1500ppm未満、1200ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は更には500ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する。
【0176】
更に有利には、多層感圧接着剤アセンブリは、試験法VDA278による昇温脱離分析により測定した場合に、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、又は更には400ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する。
【0177】
別の有利な実施によれば、多層感圧接着剤アセンブリは、実験の項に記載の静的剪断試験法に従って70℃で測定した場合、300分超、500分超、1000分超、2000分超、4000分超、5000分超、6000分超、8000分超、又は更には10000分超の静的剪断強度の値を有する。
【0178】
更に別の有利な実施によれば、上記のような多層感圧接着剤アセンブリは、実験の項に記載の剥離試験法に従って23℃で測定した場合、10mm当たり30N超、40N超、50N超、60N超、70N超、又は更には80N超の剥離強度値を有する。
【0179】
本開示の別の態様では、上記のような多層感圧接着剤アセンブリを製造する方法が提供され、この方法は、ポリマー発泡体層、第1の感圧接着剤層、及び任意選択の第2の感圧接着剤層を溶融共押出、特にホットメルト共押出しする工程を含む。
【0180】
より特定した態様では、本開示は、上記のような多層感圧接着剤アセンブリの製造方法を対象とし、この方法は、
a)式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーと、ポリマー可塑剤と、少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と、任意選択の、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーと、任意選択の、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される架橋剤とを配合し、炭化水素粘着付与剤が、実験の項に記載の減量試験法に従って熱重量分析により測定した場合に、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は更には200ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有し、それにより、ポリマー発泡体層のホットメルト化合物を形成する工程と、
b)式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーと、少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤と、25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーと、任意選択の、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーと、任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマーとを配合し、それにより第1の感圧接着剤層のホットメルト化合物を形成する工程と、
c)任意選択により、第2の感圧接着剤層のホットメルト化合物を準備する工程と、
d)ポリマー発泡体層、第1の感圧接着剤層、及び任意選択の第2の感圧接着剤層をホットメルト共押出し、それによりホットメルト共押出された多層感圧接着剤アセンブリを形成する工程と、
e)任意選択により、工程d)で得られたホットメルト共押出された多層感圧接着剤アセンブリを、好ましくは化学線、より好ましくはEビーム照射によって架橋する工程と、を含む。
【0181】
多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の例示的な一態様によれば、ポリマー発泡体層のホットメルトは、膨張性微小球、膨張した微小球、ガラスバブルズ、これらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される充填材料を含む。この特定の実施によれば、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法は、任意選択により、膨張性微小球を膨張させる又は更に膨張させる工程を任意選択により含んでもよい。
【0182】
特定の態様では、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法は、多軸押出加工工程、遊星押出加工工程、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される押出加工工程を含む。有利な態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法は、二軸ホットメルト押出加工工程を含む。
【0183】
多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の有利な態様によれば、炭化水素粘着付与剤及び/又はポリマー可塑剤は、配合媒体中に供給される前に、最小限の熱ストレスに曝露される。本開示との関連において、炭化水素粘着付与剤及び/又はポリマー可塑剤に適用される高温の熱ストレスが長時間に及ぶと、これらの成分の熱及び/又は酸化分解を加速し、VOCの生成を引き起こすことがあることが実際に見出された。
【0184】
これに応じて、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の好ましい態様では、炭化水素粘着付与剤及びポリマー可塑剤は、ドラムアンローダーを供給装置として使用して、配合媒体に添加される。
【0185】
あるいは、炭化水素粘着付与剤及び/又はポリマー可塑剤は、単軸供給押出機によって、配合媒体中に供給される。あるいは更に、炭化水素粘着付与剤及び/又はポリマー可塑剤は、排出スクリューを有する混練装置を用いて、配合媒体中に供給される。
【0186】
多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の別の有利な態様によれば、炭化水素粘着付与剤及び/又はポリマー可塑剤は、体積測定式フィーダー又は重量測定式フィーダーによって、固体状態で配合媒体に添加される。
【0187】
いくつかの特定の態様では、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法は、ホットメルト化合物の少なくとも1つの真空脱気操作、好ましくは多段真空脱気操作を適用する工程を含む。押出プロセス中に、典型的には、配合された接着剤溶融物に対して真空を適用してもよい。真空は、発泡剤を添加する前に、スキン配合溶融物及び/又はコア配合溶融物に対して区別なく適用することができる。
【0188】
別の例示的態様によれば、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法は、揮発性有機化合物(VOC)同伴添加剤を、好ましくはホットメルト化合物のうちの少なくとも1つの中に組み込む工程を含み、この同伴添加剤は、有利には、群から選択される。
【0189】
多層感圧接着剤アセンブリの製造方法の例示的な態様によれば、化学共留剤(chemical entrainer)が、配合された接着剤溶融物に添加され、後に押出プロセスにおいて除去される。本明細書で使用する好適な共留剤は、熱の作用下で揮発性の化学物質を放出する液体、気体又は化合物である。有利には、使用される共留剤は、更なる揮発物又は最後に残った微量の揮発物を同伴することができる。好適な共留剤は、スキンPSA溶融物に、及び/又はコア溶融物に添加し、後に押出プロセスにおいて除去することができる。コア化合物に同伴物質を添加する場合、後者は、好ましくは、水、二酸化炭素、窒素ガス、及びこれらの任意の組合せからなる発泡剤を添加する前に除去される。本明細書で使用する特に好適な一同伴添加剤は、欧州特許第2808371(A1)号(Buettnerら)に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0190】
別の特定の態様では、多層感圧接着剤アセンブリの製造方法は、工程d)で得られたホットメルト共押出した多層感圧接着剤アセンブリを、化学線、好ましくはEビーム照射により架橋する工程を含む。特定の態様では、化学線架橋工程は、閉鎖面(CF)又は開放面(OF)のいずれかの条件下で適用される。
【0191】
「閉鎖面」照射方法によれば、工程d)で得られたホットメルト共押出多層感圧接着剤アセンブリの一面又は両面はライナーで覆われ、照射線量はライナーを介して適用される。
【0192】
「開放面」照射方法によれば、工程d)で得られたホットメルト共押出多層感圧接着剤アセンブリの一面又は両面は露出され(即ちライナーで覆われていない)、照射線量は露出した接着剤表面上に直接適用される。
【0193】
典型的には、ホットメルト共押出多層感圧接着剤アセンブリは、基材上に堆積され、次いで、好ましくは化学線で、より好ましくはEビーム照射で後硬化される。
【0194】
多層感圧接着剤アセンブリの製造との関連において、多層感圧接着剤アセンブリの様々な層は、単一のプロセス工程の一部として調製される。
【0195】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、接着剤をコーティングした物品を製造するために、様々な基材上でコーティング/適用することができる。基材は、可撓性又は非可撓性であることができ、ポリマー材料、紙、ガラス若しくはセラミック材料、金属、又はこれらの組合せから形成することができる。好適なポリマー基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリメチル(メタ)アクリレート(PMMA)、ポリウレタンアクリレート、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、エチルセルロース、不織材(例えば、紙、布、不織スクリム)、及び金属箔から調製されるもの等のポリマーフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。発泡体バッキングを使用してもよい。他の基材の例としては、ステンレス鋼、金属又は金属酸化物をコーティングしたポリマー材料、金属又は金属酸化物をコーティングしたガラス等の金属が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、ラベル、テープ、標識、カバー、マーキングの印、ディスプレイの構成成分、タッチパネル等の任意の従来から公知の物品にて使用され得る。高精細表面(microreplicated surfaces)を有する可撓性バッキング材料もまた、検討される。多層感圧接着剤アセンブリを適用することができる基材は、特定の用途に応じて選択される。例えば、多層感圧接着剤アセンブリは、シート製品(例えば、装飾的グラフィック及び反射性製品)、ラベルストック、及びテープバッキングに適用されてもよい。加えて、多層感圧接着剤アセンブリは、更に別の基材又は物体をパネル又は窓に取り付けることができるように、金属パネル(例えば、自動車パネル)又はガラス窓等の他の基材上に直接適用してもよい。これに応じて、本開示の多層感圧接着剤アセンブリは、自動車製造業(例えば、外装品又はウェザーストリップの取り付け用)、建設業、ソーラーパネル建設業、又は電子工学産業(例えば、モバイルハンドヘルド式デバイスにおけるディスプレイの固定用)において特定の用途を見出し得る。
【0197】
このようなものとして、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、(産業)内装用途、より特定すると、建設市場用途、自動車用途、又は電子工学用途に特に好適である。自動車用途との関連において、本明細書に記載の多層感圧接着剤アセンブリは、自動車本体側面成形、ウェザーストリップ、又はバックミラーを接着させるための特定の使用を見出し得る。本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、特に電着下塗り又は顔料下塗りを含む自動車塗料系によって塗装される基材/パネルへの接着に、特にクリアコート表面、特に自動車両用のクリアコートへの接着に好適である。本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はこれらのコポリマー等の低エネルギー表面への接着に特に好適である。
【0198】
これに応じて、本開示は、工業用途、好ましくは内装(工業)用途、より好ましくは建設市場用途、自動車用途、又は電子工学用途での上記のような多層感圧接着剤アセンブリの使用を更に対象とする。
【0199】
別の態様では、本開示は、自動車用途、特に本体上のテープ式シール、ドア上のテープ式シール、外部及び内装部品取り付け及び自動車産業用の天候ストリップテープ用途のための、上記のような多層感圧接着剤アセンブリの使用を更に対象とする。
【0200】
いくつかの態様では、本開示による多層感圧接着剤アセンブリは、低表面エネルギー(LSE)基材に対する強力な接着結合を形成するのに特に有用であり得る。
【0201】
しかし、これらの多層感圧接着剤アセンブリの使用は、低表面エネルギー基材に限定されない。多層感圧接着剤アセンブリは、いくつかの態様では、驚くべきことに、中表面エネルギー(MSE)基材に良好に結合し得る。このような材料の中でも、ポリアミド6(PA6)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PC/ABSブレンド、PC、PVC、PA、ポリウレタン、PUR、TPE、POM、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、クリアコート面、特に、自動車のような車両のクリアコート又は工業用途用のコーティング表面、及び繊維強化プラスチックのような複合材料が挙げられる。
【0202】
これに応じて、本開示は、低表面エネルギー基材及び/又は中表面エネルギー基材への結合について上述したような多層感圧接着剤アセンブリの使用を更に対象とする。
【0203】
多層感圧接着剤アセンブリはまた、多層感圧接着剤アセンブリが永久バッキング上に配置されている片面被覆又は両面被覆テープとして提供することもできる。バッキングは、プラスチック(例えば、二軸配向ポリプロピレンを含むポリプロピレン、ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等))、不織材(例えば、紙、布、不織スクリム)、金属箔、発泡体(例えば、ポリアクリル、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン)等から作製することができる。ポリマー発泡体は、3M Co.、Voltek、Sekisui、及びその他の様々な供給元から市販されている。
【0204】
項目1は、ポリマー発泡体層と、ポリマー発泡体層に隣接する第1の感圧接着剤層と、を含む、多層感圧接着剤アセンブリであって、ポリマー発泡体が、
a)式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Rを有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Rは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックであり、各Gは、重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
b)重量平均分子量Mwが少なくとも10,000g/molであるポリマー可塑剤と、
c)実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、揮発性有機化合物(VOC)値が1000ppm未満である少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と、
d)任意選択の、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Lは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、mは1又は2である]と、
を含み、第1の感圧接着剤が、
a)式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマー[式中、Mは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックであり、pは1又は2である]と、
b)少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤と、
c)25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーであって、
(i)単独重合したときに25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、及び
(ii)任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位、
を含む(メタ)アクリレートコポリマーと、
d)任意選択の、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーであって、
(i)Sは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Nを有し、
(ii)qは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Zは多官能性カップリング剤の残基であり、
式中、各Nは、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの組合せを含むゴム状ブロックである、多腕ブロックコポリマーと、
e)任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマー[式中、Tは、重合オレフィン、重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素化誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むゴム状ブロックである]と、
を含む、多層感圧接着剤アセンブリである。
【0205】
項目2は、炭化水素粘着付与剤が、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は更には200ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する、項目1に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0206】
項目3は、炭化水素粘着付与剤が、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は更には500ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する、項目1又は2に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0207】
項目4は、炭化水素粘着付与剤が、実験の項に記載のオーブンガス放出試験法に従い減量分析により測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は更には0.1重量%未満のガス放出値を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0208】
項目5は、ポリマー可塑剤が、少なくとも20,000g/mol、少なくとも30,000g/mol、又は更には少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mwを有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0209】
項目6は、ポリマー可塑剤が、100,000g/mol以下、90,000g/mol未満、80,000g/mol未満、70,000g/mol未満、60,000g/mol未満、50,000g/mol未満、又は更には40,000g/mol未満の重量平均分子量Mwを有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0210】
項目7は、ポリマー可塑剤が、30,000g/mol~80,000g/mol、又は更には30,000g/mol~60,000g/molの間に含まれる重量平均分子量Mwを有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0211】
項目8は、ポリマー可塑剤が、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は更には200ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0212】
項目9は、ポリマー可塑剤が、実験の項に記載の減量試験法に従い熱重量分析により測定した場合に、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は更には500ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0213】
項目10は、ポリマー可塑剤が、実験の項に記載のオーブンガス放出試験法に従い減量分析により測定した場合に、1重量%未満、0.8重量%未満、0.6重量%未満、0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満、又は更には0.1重量%未満のガス放出値を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0214】
項目11は、ポリマー可塑剤が、ポリイソブチレン可塑剤である、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0215】
項目12は、式Qn-Yの多腕ブロックコポリマー及び/又は式Sq-Zの多腕ブロックコポリマーが、星形ブロックコポリマーである、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0216】
項目13は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマー及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーが、多モードで非対称な星形ブロックコポリマーである、項目12に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0217】
項目14は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックR及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックNが、イソブチレンであるように選択されるオレフィン、又はイソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0218】
項目15は、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックL及び/又は式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックMが、イソブチレンであるように選択されるオレフィン、又はイソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0219】
項目16は、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックL及び/又は式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーのゴム状ブロックMが、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0220】
項目17は、式T-(G)を有するジブロックコポリマーのゴム状ブロックTが、イソブチレンであるように選択されるオレフィン、又はイソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0221】
項目18は、式T-(G)を有するジブロックコポリマーのゴム状ブロックTが、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0222】
項目19は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRのうちの少なくとも1つ及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックNのうちの少なくとも1つが、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含み、好ましくは、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックRの各々及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーのゴム状ブロックNの各々が、イソプレン、ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される共役ジエンを含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0223】
項目20は、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーの少なくとも1つのガラス状ブロックG及び/又は式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーの少なくとも1つのガラス状ブロックGが、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーである、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0224】
項目21は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのガラス状ブロックのうちの少なくとも1つ及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーのガラス状ブロックのうちの少なくとも1つが、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーであり、好ましくは、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーのガラス状ブロックの各々及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーのガラス状ブロックの各々が、スチレン、スチレン相容性ブレンド、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択されるモノビニル芳香族モノマーである、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0225】
項目22は、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマー及び/又は式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーが、2つのガラス状ブロックを含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0226】
項目23は、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマー及び/又は式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーが、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレンーイソブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0227】
項目24は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの少なくとも1つの腕及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーの少なくとも1つの腕が、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの組合せからなる群から選択され、好ましくは、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの各腕及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーの各腕が、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、スチレンーエチレン-プロピレン-スチレン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0228】
項目25は、式T-(G)を有するジブロックコポリマーが、スチレン-イソプレン、スチレン-ブタジエン、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択され、好ましくは、式T-(G)を有するジブロックコポリマーが、スチレン-ブタジエンであるように選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0229】
項目26は、式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの腕の数n及び/又は式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーの腕の数qが、3~5の整数であり、好ましくはn及び/又はqが4である、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0230】
項目27は、ポリマー発泡体中の式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーの量が、ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0231】
項目28は、ポリマー発泡体が、実験の項に記載の減量試験法に従って熱重量分析により測定した場合に、1000ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する第1の炭化水素粘着付与剤を含み、第1の炭化水素粘着付与剤が、好ましくは少なくとも60℃のTg、より好ましくは少なくとも65℃のTgを有し、好ましくは、第1の炭化水素粘着付与剤が、ゴム状ブロックR及び任意選択のゴム状ブロックLと主に相容性である、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0232】
項目29は、第1の炭化水素粘着付与剤が、少なくとも約115℃、好ましくは少なくとも約120℃の軟化点を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0233】
項目30は、第1の炭化水素粘着付与剤が、ポリマーテルペン、ヘテロ官能性テルペン、クマロン-インデン樹脂、ロジン酸エステル、不均化ロジン酸エステル、水素化ロジン酸、C5脂肪族樹脂、C9水素化芳香族樹脂、C5/C9脂肪族/芳香族樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、C5/C9及びジシクロペンタジエン前駆体から生じる水素化炭化水素樹脂、水素化スチレンモノマー樹脂、並びにこれらのブレンドからなる群から選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0234】
項目31は、ポリマー発泡体中の全ての炭化水素粘着付与剤の総重量に対する、全てのブロックコポリマーの総重量の比は、2.4:1~1:2.4、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、1.2:1~1:1.2、1.15:1~1:1.15、又は更には1.1:1~1:1.1の範囲である、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0235】
項目32は、ポリマー発泡体中の炭化水素粘着付与剤の総量が、ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0236】
項目33は、ポリマー可塑剤の総量が、ポリマー発泡体の総重量に基づいて重量パーセントで表して、20重量%以下、18重量%以下、15重量%以下、又は更には12重量%以下である、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0237】
項目34は、ポリマー発泡体中のポリマー可塑剤の総量が、ポリマー発泡体の総重量に基づいて重量パーセントで表して、6重量%以上、又は更には7重量%以上である、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0238】
項目35は、ポリマー発泡体中のポリマー可塑剤の総量が、ポリマー発泡体の総重量に基づいて重量パーセントで表して、2重量%~20重量%、4重量%~15重量%、又は更には6重量%~15重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0239】
項目36は、ポリマー発泡体中の任意選択の式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーの量が、ポリマー発泡体の重量に基づいて、3重量%~40重量%、5重量%~30重量%、又は更には10重量%~25重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0240】
項目37は、ポリマー発泡体が、
a)ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の多腕ブロックコポリマーと、
b)ポリマー発泡体の重量に基づいて、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の炭化水素粘着付与剤と、
c)ポリマー発泡体の重量に基づいて、2重量%~20重量%、4重量%~15重量%、又は更には6重量%~15重量%のポリマー可塑剤と、
d)任意選択の、ポリマー発泡体の重量に基づいて、3重量%~40重量%、5重量%~30重量%、又は更には10重量%~25重量%の直鎖状ブロックコポリマーと、
e)任意選択の、ポリマー発泡体の重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、又は更には2重量%~5重量%の架橋添加剤と、を含み、架橋添加剤が、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0241】
項目38は、第1の感圧接着剤中の式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーの量が、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0242】
項目39は、第1の感圧接着剤が、好ましくは少なくとも60℃のTg、より好ましくは少なくとも65℃のTgを有する第2の炭化水素粘着付与剤を含み、好ましくは、第2の炭化水素粘着付与剤が、ゴム状ブロックM並びに任意選択のゴム状ブロックN及びゴム状ブロックTと主に相容性がある、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0243】
項目40は、第2の炭化水素粘着付与剤が、少なくとも約115℃、好ましくは少なくとも約120℃の軟化点を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0244】
項目41は、第2の炭化水素粘着付与剤が、クマロン-インデン樹脂、ロジン酸、ロジン酸のエステル、不均化ロジン酸エステル、C9芳香族、スチレン、α-メチルスチレン、純粋モノマー樹脂、及びC9/C5芳香族変性脂肪族炭化水素、並びにこれらのブレンドからなる群から選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0245】
項目42は、第1の感圧接着剤中の全ての第2の炭化水素粘着付与剤の総重量に対する、全てのブロックコポリマーの総重量の比が、2.4:1~1:2.4、2:1~1:2、1.5:1~1:1.5、1.2:1~1:1.2、1.15:1~1:1.15、又は更には1.1:1~1:1.1の範囲である、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0246】
項目43は、第1の感圧接着剤中の第2の炭化水素粘着付与剤の総量が、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~70重量%、20重量%~60重量%、20重量%~55重量%、25重量%~50重量%、又は更には25重量%~45重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0247】
項目44は、(メタ)アクリレートコポリマーが、25℃超、40℃超、50℃超、60℃超、又は更には70℃超のTgを有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0248】
項目45は、(メタ)アクリレートコポリマーが、5000~80,000ダルトン、10,000~70,000ダルトン、15,000~60,000ダルトン、20,000~50,000ダルトン、又は更には25,000~45,000ダルトンの間に含まれる重量平均分子量(Mw)を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0249】
項目46は、(メタ)アクリレートコポリマーが、単独重合したときに30℃超、40℃超、50℃超、60℃超、又は更には70℃超のTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0250】
項目47は、(メタ)アクリレートコポリマーが、C1~C32(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、C2~C24(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位、又は更にはC4~C18(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位からなる群から選択される、25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0251】
項目48は、(メタ)アクリレートコポリマーが、25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含み、この単位が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-オクチルアクリルアミド、プロピル(メタ)アクリレート、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0252】
項目49は、(メタ)アクリレートコポリマーが、25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含み、この単位が、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0253】
項目50は、(メタ)アクリレートコポリマーが、イソボルニルアクリレートであるように選択される、25℃より高いTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0254】
項目51は、(メタ)アクリレートコポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、アクリルアミド及び置換アクリルアミド、アクリルアミン及び置換アクリルアミン、並びにこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位を含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0255】
項目52は、(メタ)アクリレートコポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、N,N’-ジメチルアクリルアミド、N,N’-ジエチルアクリルアミド、ブチルカルバモイルエチルアクリレート、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位を含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0256】
項目53は、(メタ)アクリレートコポリマーが、酸官能性エチレン性不飽和コモノマー単位からなる群から選択される任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位を含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0257】
項目54は、(メタ)アクリレートコポリマーが、アクリル酸であるように選択される任意選択の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位を含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0258】
項目55は、(メタ)アクリレートコポリマーが、
a)85~99.9重量%、90~99.5重量%、92~99重量%、94~98重量%、又は更には95~98重量%の、25℃超のTgを有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位であって、好ましくは、イソボルニル(メタ)アクリレート、tert-ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される、(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位と、
b)任意選択の、0.1~15重量%、0.5~10重量%、1.0~8重量%、2.0~6.0重量%、又は更には2.0~5.0重量%の単官能性エチレン性不飽和コモノマー単位、好ましくは酸官能性モノマーエチレン性不飽和コモノマー単位、より好ましくはアクリル酸モノマー単位と、を含み、
ここで、重量パーセントが、(メタ)アクリレートコポリマーの総重量に基づく、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0259】
項目56は、第1の感圧接着剤中の(メタ)アクリレートコポリマーの量が、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、3重量%~25重量%、4重量%~20重量%、5重量%~18重量%、又は更には6重量%~15重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0260】
項目57は、第1の感圧接着剤中の式Sq-Zを有する任意選択の多腕ブロックコポリマーの量が、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~15重量%、2重量%~13重量%、2重量%~10重量%、又は更には3重量%~10重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0261】
項目58は、第1の感圧接着剤中の式T-(G)を有する任意選択のジブロックコポリマーの量が、第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~20重量%、2重量%~15重量%、4重量%~12重量%、又は更には5重量%~10重量%の間に含まれる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0262】
項目59は、第1の感圧接着剤が、
a)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、25重量%~60重量%、又は更には25重量%~50重量%の、式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーと、
b)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、20重量%~70重量%、20重量%~60重量%、20重量%~55重量%、25重量%~50重量%、又は更には25重量%~45重量%の第2の炭化水素粘着付与剤と、
c)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、3重量%~25重量%、4重量%~20重量%、5重量%~18重量%、又は更には6重量%~15重量%の(メタ)アクリレートコポリマーと、
d)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~15重量%、2重量%~13重量%、2重量%~10重量%、又は更には3重量%~10重量%の、任意選択の、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーと、
e)第1の感圧接着剤の重量に基づいて、1重量%~20重量%、2重量%~15重量%、4重量%~12重量%、又は更には5重量%~10重量%の、任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマーと、
f)任意選択の、第1の感圧接着剤発泡体の重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~8重量%、1重量%~6重量%、又は更には2重量%~5重量%の架橋添加剤と、を含み、架橋添加剤が、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0263】
項目60は、ポリマー発泡体層と第1の感圧接着剤層との溶融共押出、特にホットメルト共押出によって得られる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0264】
項目61は、好ましくは化学線で、より好ましくはEビームの照射で架橋される、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0265】
項目62は、第1の感圧接着剤層が、1500μm未満、1000μm未満、800μm未満、600μm未満、400μm未満、200μm未満、150μm未満、又は更には100μm未満の厚さを有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0266】
項目63は、第1の感圧接着剤層が、20~1500μm、20~1000μm、20~500μm、30~400μm、30~250μm、40~200μm、又は更には50~150μmの間に含まれる厚さを有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0267】
項目64は、ポリマー発泡体層が、100μm~6000μm、400μm~3000μm、又は更には800μm~2000μmの間に含まれる厚さを有する、前記項目のいずれか1つに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0268】
項目65は、ポリマー発泡体層が、第1の主面と第2の主面を有し、第1の感圧接着剤層が、ポリマー発泡体層の第1の主面に結合され、多層感圧接着剤アセンブリが、ポリマー発泡体層の第2の主面に結合した第2の感圧接着剤層を更に含み、多層感圧接着剤アセンブリが、好ましくは、ポリマー発泡体層、第1の感圧接着剤層、及び第2の感圧接着剤層の溶融共押出、特にホットメルト共押出によって得られる、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0269】
項目66は、第1の感圧接着剤層及び第2の感圧接着剤層が、同一の感圧接着剤組成物を有する、項目65に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0270】
項目67は、第1の感圧接着剤層及び第2の感圧接着剤層が、各々、独立して、項目1~59のいずれかに記載の感圧接着剤組成物を含む、項目65に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0271】
項目68は、スキン/コア/スキンの多層感圧接着剤アセンブリの形態であり、ポリマー発泡体層がコア層であり、第1の感圧接着剤層及び第2の感圧接着剤層がスキン層である、項目65~67のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0272】
項目69は、ポリマー発泡体層が、好ましくは、微小球;膨張性微小球、好ましくはペンタン充填膨張性微小球;膨張した微小球;ガス状空隙;ガラスビーズ;ガラス微小球;ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の充填材料を更に含む、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0273】
項目70は、少なくとも1種の充填材料が、膨張性微小球、ガラスバブルズ、及びこれらの任意の組合せ又は混合物からなる群から選択される、項目69に記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0274】
項目71は、試験法VDA278による昇温脱離分析により測定した場合に、1500ppm未満、1200ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、又は更には500ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0275】
項目72は、試験法VDA278による昇温脱離分析により測定した場合に、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、又は更には400ppm未満の揮発性フォギング化合物(FOG)値を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0276】
項目73は、実験の項に記載された静的剪断試験法によって70℃(PP/EPDM上500g)で測定した場合、300分超、500分超、1000分超、2000分超、4000分超、5000分超、6000分超、8000分超、又は更には10000分超の静的剪断強度値を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0277】
項目74は、実験の項に記載の剥離試験法に従って23℃(クリアコートCC5上)で測定した場合、10mm当たり30N超、40N超、50N超、60N超、70N超、又は更には80N超の剥離強度値を有する、前記項目のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリである。
【0278】
項目75は、ポリマー発泡体層、第1の感圧接着剤層、及び任意選択の第2の感圧接着剤層を溶融共押出しする工程、特にホットメルト共押出しする工程を含む、項目1~74のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリの製造方法である。
【0279】
項目76は、
a)式Qn-Yを有する多腕ブロックコポリマーと、ポリマー可塑剤と、少なくとも1種の炭化水素粘着付与剤と、任意選択の、式L-(G)mを有する直鎖状ブロックコポリマーと、任意選択の、好ましくは多官能性(メタ)アクリレート化合物の群から選択される架橋剤とを配合し、炭化水素粘着付与剤が、実験の項に記載の減量試験法に従って熱重量分析により測定した場合に、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、又は更には200ppm未満の揮発性有機化合物(VOC)値を有し、それにより、ポリマー発泡体層のホットメルト化合物を形成する工程と、
b)式M-(G)pを有する直鎖状ブロックコポリマーと、少なくとも1種の第2の炭化水素粘着付与剤と、25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマーと、任意選択の、式Sq-Zを有する多腕ブロックコポリマーと、任意選択の、式T-(G)を有するジブロックコポリマーとを配合し、それにより第1の感圧接着剤層のホットメルト化合物を形成する工程と、
c)任意選択により、第2の感圧接着剤層のホットメルト化合物を準備する工程と、
d)ポリマー発泡体層、第1の感圧接着剤層、及び任意選択の第2の感圧接着剤層をホットメルト共押出し、それによりホットメルト共押出された多層感圧接着剤アセンブリを形成する工程と、
e)任意選択により、工程d)で得られたホットメルト共押出された多層感圧接着剤アセンブリを、好ましくは化学線、より好ましくはEビーム照射によって架橋する工程と、を含む、項目75に記載の方法である。
【0280】
項目77は、多軸押出加工工程、遊星押出加工工程、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される押出加工工程を含む、項目75又は76に記載の方法である。
【0281】
項目78は、二軸ホットメルト押出加工工程を含む、項目75~77のいずれかに記載の方法である。
【0282】
項目79は、ホットメルト化合物のうちの少なくとも1つの真空脱気操作、好ましくは多段真空脱気操作を適用する工程を含む、項目75~78のいずれかに記載の方法である。
【0283】
項目80は、揮発性有機化合物(VOC)同伴添加剤を、好ましくはホットメルト化合物のうちの少なくとも1つの中に組み込む工程を含み、この同伴添加剤が、有利には、水、二酸化炭素、窒素ガス、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、項目75~79のいずれかに記載の方法である。
【0284】
項目81は、工程d)で得られたホットメルト共押出した多層感圧接着剤アセンブリを、好ましくは化学線、より好ましくはEビーム照射により架橋する工程を含む、項目75~80のいずれかに記載の方法である。
【0285】
項目82は、工業用途、好ましくは内装用途、より好ましくは建設市場用途、自動車用途、又は電子工学用途での、項目1~74のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリの使用である。
【0286】
項目83は、自動車用途、特に本体上のテープ式シール、ドア上のテープ式シール、外部及び内装部品取り付け、並びに自動車産業用の天候ストリップテープ用途のための、項目82に記載の使用である。
【0287】
項目84は、低表面エネルギー基材及び/又は中表面エネルギー基材への結合のための、項目1~74のいずれかに記載の多層感圧接着剤アセンブリの使用である。
【実施例】
【0288】
以下の実施例により本開示を更に説明する。これらの実施例は、単に例示目的のものであり、添付の特許請求の範囲の限定を意図するものではない。
【0289】
適用される試験法:
TGA試験法
TGA(熱重量分析)測定は、Texas InstrumentsのQ5000装置で実施される。試料を白金皿に秤量し、オートサンプラーを用いて装置のオーブンに置く。オーブンを通る窒素の流量は、25mL/分であり、残部の窒素の流量は、10mL/分である。温度は30℃で平衡化し、15分間保持する。次いで、60℃/分の勾配で温度を90℃まで上昇させる。次いで、90℃を30分間保持する。次の工程で、60℃/分の勾配で温度を120℃まで上昇させる。120℃を60分間保持する。90℃で30分間の減量(VOC分析)及び120℃で60分間の減量(FOG分析)が記録される。次いで、温度を10℃/分の勾配で800℃まで上昇させることによって、試験を終了する。次いで、温度を600℃で平衡化し、オーブンを空気でパージし、温度を10℃/分の勾配で900℃まで上昇させる。
【0290】
オーブンガス放出試験法
原材料試料のガス放出の測定は、選択した原材料10gをアルミニウムカップに0.1mgの精度で秤量することによって達成する。この工程の前に、0.1mgの範囲の精度でアルミニウムカップを先に秤量しておく。次いで、秤量した試験試料を強制空気オーブン中に120℃で2時間、又は160℃で2時間置く。試料をオーブンから取り出したら、周囲温度(23℃+/-2℃)で30分間放冷した後、充填したアルミニウムカップを再度秤量する。オーブン乾燥前後の試料の減量を計算し、%単位で記録する。
【0291】
VDA試験法278による有機排出物の昇温脱離分析
VDA法278は、自動車の内装の製造に使用される非金属のトリム部分からの有機排出物の決定のために使用される試験法である(VDAは、「Verband der Automobilindustrie」の略である。the German Association of Automobilists)。この方法は、排出された有機化合物を以下の2つのグループに分類する。
VOC値-最大n-C25揮発性及び半揮発性化合物の合計、並びに
FOG値-n-C14~n-C32半揮発性及び重質化合物の合計。
【0292】
VOC値及びFOG値の測定のために、30mg+/-5mgの接着剤試料を空のガラス試料管に直接、秤量する。試料から揮発性及び半揮発性有機化合物をガス流に抽出し、二次トラップに再度集めた後、分析用GCに注入する。VDA278試験のために、本明細書では自動化昇温脱離装置(Markes International Ultra-UNITY system)が使用される。
【0293】
試験法は、以下の2つの抽出段階を含む。
-VOC分析。これは、試料を90℃で30分間、脱着し、最大n-C25のVOCを抽出することを要する。この後、試料1g当たりμgトルエン当量として各化合物の半定量分析を行う。
-FOG分析。これは、試料を120℃で60分間、脱着し、n-C14~n-C32の範囲の半揮発性化合物を抽出することを要する。この後、試料1g当たりμgヘキサデカン当量として各化合物の半定量分析を行う。
【0294】
表記のVOC値は、1試料当たり2回の測定値の平均である。VDA278試験法に示されるように、より高い値の測定値が結果として示される。FOG値を求めるために、VOC分析後、脱着管に第2の試料を保持し、120℃まで60分間、再加熱する。
【0295】
300mm/分での90°剥離試験(FINAT試験法No.2、第8版、2009による)
本開示による多層感圧接着剤アセンブリの、幅10mm及び長さ120mm超の細片を、試料材料から縦方向に切り出す。
【0296】
試験試料を調製するために、まず、一方の接着面からライナーを除去し、以下の寸法:22×1.6cm、厚さ0.13mmを有するアルミニウム細片上に配置する。次に、各PSA細片のアセンブリでコーティングされた側を、ライナーを除去した後、その接着面を下向きにし、清浄な試験パネル上に、軽い指圧を用いて配置する。次に、標準FINAT試験ローラー(重量6.8kg)を用いて、試験試料を1秒当たりおよそ10mmの速度で2回回転させて、接着剤の塊と表面との間に密着接触を得る。感圧接着剤アセンブリ細片を試験パネルに適用した後、試験に先立って周囲室温(23℃+/-2℃、相対湿度50%+/-5%)にて72時間、試験試料を滞留させる。
【0297】
剥離試験のために、第1の工程において、Zwick引張試験機(Model Z020、Zwick/Roell GmbH(Ulm,Germany)より市販)の下方可動掴み具に、試験試料を締め付け固定する。多層感圧接着剤フィルム細片を、90°の角度にて折り返し、その自由端を、90°測定用に一般的に利用される構成で引張試験機の上方掴み具内に把握する。毎分300mmの掴み具分離速度に、引張試験機を設定する。試験結果を、10mm当たりのニュートン(N/10mm)で表す。示した剥離値は、2回の90°剥離測定値の平均である。
【0298】
500g、70℃での静的剪断試験(FINAT試験法No.8、第8版、2009)
試験を70℃で実施する。試験片を12.7mm×25.4mmの寸法に切断する。次いで試験片の一面からライナーを外し、接着剤を、以下の寸法25.4×50×厚さ1mmを有し、重り用の孔を含むアルミニウムプレート上に接着させる。その後、第2のライナーを試験片から外し、試験片を有する小型パネルを、短辺が以下の寸法:50mm×50mm×2mmを有する各試験パネル上に適用する。次に、標準FINAT試験ローラー(重量6.8kg)を用いて、試験試料を1秒当たりおよそ5mmの速度で2回回転させて、接着剤の塊と表面との間に密着接触を得る。感圧接着剤アセンブリ細片を試験パネルに適用した後、試験に先立って周囲室温(23℃+/-2℃、相対湿度50%+/-5%)にて24時間、試験試料を滞留させる。次いで、自動時間記録計を備える70℃の垂直な剪断スタンド(+2°の配置)に各試料を入れる。オーブンに10分滞留させた後、アルミニウムプレートの孔の中に500gの重りを掛ける。損傷までの時間を測定し、分単位で記録する。1つの試験片につき、2つの試料を測定する。
【0299】
分子量の測定
ポリマーの重量平均分子量は、従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して決定される。GPC装置は、Watersから入手したもので、高圧液体クロマトグラフィーポンプ(Model 600E)、オートサンプラー(Model 712 WISP)、及び屈折率検出器(Model 2414)を備えていた。クロマトグラフは、Agilent製の300×7.5mmの混床式タイプB(10μm粒子)カラムを3つ備えている。試験用のポリマー溶液は、0.3重量%ポリマーの濃度で1mLのテトラヒドロフランにポリマーを溶解させることによって調製される。300μLのエーテルアルコール性ジアゾメタン溶液(0.4mol/L)を添加し、室温で60分間保持する。次いで、試料を、室温で窒素流下で乾燥するように吹き付ける。乾燥した試料を、0.1%のトルエンを含有するTHF中に溶解し、0.1% w/v溶液を得る。次いで、溶液を、0.45マイクロメートルのポリテトラフルオロエチレンフィルターに通して濾過する。得られた溶液100μLをGPCに注入し、40℃に維持されたカラムに通して毎分1.00ミリリットルの速度で溶出させる。トルエンを流量マーカーとして使用する。システムを、3次回帰分析を用いてポリスチレン標準液(10種の標準液を470Da~7300000Daの範囲で3つの溶液に分ける)で較正し、較正曲線を作製する。重量平均分子量(Mw)は、各試料について較正曲線から計算される。
【0300】
試験に使用される試験基材:
本開示による多層感圧接着剤アセンブリを、以下の基材に対するそれらの接着剤特性に関して試験する。
-Rocholl GmbH(Aglatershausen,Germany)から入手可能なExxtral BMU 130樹脂をベースとした、PP/EPDM:射出成形ポリプロピレン/EPDMプレート(「Kunststoffplatte,spritzgegossen」、150mm×105mm×2mm)。
【0301】
試験に先立って、PP/EPDM基材を以下のように洗浄する。
先ずPP/EPDMパネルを、軽い力を加えながら乾燥したティッシュを使用して洗浄し、表面上のあらゆる残留物/ワックス状の化合物を除去し、次いで、イソプロピルアルコール:蒸留水(1:1)の混合物で洗浄し、ティッシュで乾燥させる。
【0302】
以下の自動車用クリアコートパネル:PPG Industriesから入手可能なCeramiClear5(「CC5」)でコーティングされたパネル上で、接着試験も更に実施される。
【0303】
上に列挙した自動車用クリアコートとしては、アクリル樹脂及びポリエステルが挙げられ、これらは単独で、あるいはヒドロキシ官能基若しくはグリシジル官能基又はカルバミン酸残基(基)を含むコポリマー、又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとヒドロキシル基、遊離酸基、及び更なるコモノマー(例えば、スチレン)とのコポリマーの混合物と一緒に使用される。パネルを、90°剥離強度及び剪断試験に先立って、必要な寸法に切断する。試験前に、自動車用クリアコートでコーティングしたパネルを、イソプロピルアルコールと蒸留水との1:1の混合物で洗浄する。次いで、試験パネルをティッシュペーパーで拭いて乾燥させる。
【0304】
使用される原材料:
使用される原材料及び市販の接着テープを、下記の表1にまとめる。
【表1】
【0305】
低VOCに関する原材料のスクリーニング:
あらかじめガス放出挙動及び熱安定性に関して原材料をスクリーニングするために、前述の試験法の部分に記載のオーブンガス放出試験を、120℃及び160℃で実施する。結果を下記の表2に示す。
【表2】
【0306】
表2において、粘着付与炭化水素樹脂Escorez 5615及びEscorez 1304は、120℃で非常に低いガス放出を示し、160℃で非常に良好な熱安定性を示す。対照的に、Regalite R9100及びR1090は、120℃でより高いガス放出挙動を示し、160℃で有意な減量を示す。160℃における減量は、ホットメルト型プロセスにおいて高温で加工されたときの原材料の熱安定性及び挙動の良好な指標を提供する。
【0307】
可塑剤に関しては、ポリイソブチレン樹脂Oppanol B10N及びB12Nの両方は、液体炭化水素樹脂Piccotac 1020Eと比較したとき、非常に低いガス放出挙動を示し、160℃で優れた熱安定性を示す。これらの知見に基づいて、低VOC挙動に関する事前選択が想定され得る。
【0308】
改善した低VOC挙動に関する原材料のプレスクリーニングの別の方法は、上述の試験法の項に記載のTGA(熱重量分析)測定によるものである。TGA測定の結果は下記の表3に見出され、値は2回の測定の平均である。これらにはまた、既存で市販のアクリル系接着剤ベースの発泡体テープとの比較も含まれる。
【表3】
【0309】
表3から、重量平均分子量Mwに関係するポリマー可塑剤のガス放出の違いを、更に確認できる。51,000g/molのポリイソブチレン可塑剤Oppanol B12Nのガス放出は90℃及び120℃において非常に低いのに対し、ポリイソブチレンの重量平均分子量Mwがそれぞれ1600及び4140g/molであるGlissopal 1000及びV1500は、非常に高い量の揮発性有機化合物を有する。
【0310】
現在市販されているアクリル系PSA発泡体テープは、TGA試験法で分析したときに、高レベルのVOC及びFog値を示す。アクリル系PSA発泡体テープACX 7065は、90℃で30分後に1974ppmの減量、及び120℃で更に60分後に5732ppmの減量を有する。
【0311】
オーブンガス放出試験結果とTGA試験結果の組合せは、低VOC多層感圧接着剤アセンブリの原材料の好ましい選択を明確に示す。
【0312】
調製例(3層共押出PSAアセンブリ):
25℃より高いTg及び1000~100,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を有する(メタ)アクリレートコポリマー
本明細書で使用する(メタ)アクリレートコポリマーは、米国特許第4,619,979号(Kotnourら)及び同第5,804,610号(Hamerら)に記載の一般的な重合法に従って調製する。以下の一般的な手順を使用し、プレ重合組成物を琥珀色のビン中で調製する。これらの組成物を窒素下で5分間パージし、26グラムの組成物を(18cm×5cmの)透明のヒートシール可能なポリ(エチレン酢酸ビニル)パッケージ内に置く。パッケージから空気を除去し、ヒートシーラーを使用して密封する。シールパッケージを16℃の恒温槽に浸漬し、12分間制御された紫外線(365nm)で紫外線照射する。パッケージを形成して硬化する方法は、米国特許第5,804,610号の実施例1に記載されている。(メタ)アクリレートコポリマー配合物を以下の表4に記載する。
【表4】
【0313】
第1及び/又は第2の感圧接着剤層調製物(「スキン層」)
表5に記載の組成物を有する感圧スキン接着剤配合物を、11個の加熱帯及び46のL/D(長さ/直径)比を有する25mmの共回転二軸押出機(Coperion GmbH(Stuttgart,Germany)製のZSK25)中で配合する。感圧スキン接着剤配合物C1は、(メタ)アクリレートコポリマーを一切含まない比較用配合物である。
【表5】
【0314】
ポリマー発泡体層
ポリマー発泡体層配合物を以下の表6に記載し、11個の加熱帯及び60のL/D(長さ/直径)比を有する25mmの共回転二軸押出機(Coperion GmbH(Stuttgart,Germany)製のZSK25)中で配合する。
【表6】
【0315】
実施例の準備:
本開示による多層感圧接着剤アセンブリとして、3層の共押出テープは、第1及び第2の感圧接着剤層を、3層マルチマニホールドフィルムダイに通してポリマー発泡体層の対向する両側面に共押出しすることによって調製される。3層共押出感圧接着剤アセンブリは、シリコーンコーティングされたキャスティングロールと、第2のチルロールによって取り込まれたシリコーン処理紙ライナーとの間でキャスティングされる。チルロールは、約13℃の温度で水により冷却される。共押出感圧接着剤アセンブリを冷却すると、シリコーンコーティングされた紙ライナーに接着されたシリコーン剥離コーティングロールを残し、次いで、巻き取り点で巻き上げられる。3層共押出感圧接着剤アセンブリは、既に、巻き取られたときに十分な寸法安定性を有し、追加のインラインEビーム架橋が任意選択的に検討された。
【0316】
機械的試験及びVDA278試験に使用される多層感圧接着剤アセンブリの実施例は、以下の表7に記載される。本明細書では、3層共押出感圧接着剤アセンブリは、閉鎖面Eビーム(CF)及び開放面Eビーム(OF)照射状態に曝露される。閉鎖面(CF)加工では、各3層共押出多層感圧接着剤アセンブリの2つの対向する側面は、シリコーンコーティングされたポリエチレン剥離ライナーで覆われ、PSAアセンブリは両面からライナーを通してEビーム照射される。Eビーム照射は、両面から275kVの加速張力及び7.5MRad又は9.5MRadから選択される照射線量で行われる。
【表7】
【0317】
多層PSAアセンブリの実施例の機械的試験結果:
室温(RT)における90°剥離強度及び70℃における静的剪断(SS)の試験結果
実施例のRTにおける90°剥離試験結果及び70℃における静的剪断試験結果を、以下の表8に示す。
【表8】
【0318】
全ての共押出した例の、自動車用クリアコートCC5上の剥離性能、並びに低表面エネルギー基材PP/EPDM上の70℃における静的剪断性能は、非常に高い。
【0319】
対照的に、比較例C1((メタ)アクリレートコポリマーを含まないPSAスキン)及びEX4011(市販のPSAテープ)は、剥離及び静的剪断性能の良好な組合せなどを示さない。
【0320】
多層感圧接着剤アセンブリの実施例のVDA278分析
表9は、VDA278試験法に従って測定した、本開示の多層感受接着剤アセンブリのVOC及びFOGレベルの概要を提供する。アクリル系PSA発泡体テープACX 7065では、VOC及びFogレベルは非常に高く(それぞれ2540ppm及び7870ppm)、一方、本開示による感圧接着剤アセンブリの実施例では、試験した全ての実施例で、VOC及びFogレベルは低く、900ppm未満である。
【表9】