(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】カット野菜水切り具
(51)【国際特許分類】
B65D 81/26 20060101AFI20220405BHJP
A47J 43/28 20060101ALI20220405BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20220405BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B65D81/26 H
A47J43/28
B65D30/02
B65D30/16 A
(21)【出願番号】P 2017175538
(22)【出願日】2017-09-13
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】512258344
【氏名又は名称】榎本 貴子
(72)【発明者】
【氏名】榎本貴子
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-178951(JP,A)
【文献】特開2009-196128(JP,A)
【文献】特開2000-007046(JP,A)
【文献】登録実用新案第3159425(JP,U)
【文献】特開2013-203438(JP,A)
【文献】特開2007-284061(JP,A)
【文献】国際公開第97/011009(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/26
B65D 85/50
A47J 43/28
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗い後のカット野菜、野菜等に付着した水分、水気を取り除く水切り袋において、袋を形成する多層シートが内層に不織布を使用した吸水層と、外層に非透水フィルム使用した非透水層とで構成され、
前記内層吸収層がエアレイド方式の不織布であって、パルプとオレフィン系樹脂繊維とポリエステル系樹脂繊維のいずれか或いは混合、複合化して形成され、前記外層非透水層がオレフィン系樹脂或いはポリエステル系樹脂で形成され、袋上部に持ち手部が設置され、
前記持ち手部を持って振ることで遠心力により水分と野菜が分離し、積極的に水分を吸収することを特徴とするカット野菜水切り具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗浄後のカット野菜、野菜等に付着した水分、水気を効率的に吸収除去し、食するのに適した状態でそのまま食器として使用できる機能を有したカット野菜水切り具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、野菜の水切りには、布、キッチンペーパーに包む、水切り網カゴ等に入れて振るか、近年は専用の水切り器具(サラダスピナー)も多く発売されている。
【0003】
このように、調理に欠かせない洗った野菜等の水分を取り除く方法としては、手間が掛かり思ったより効果が得られない、サラダスピナーを使用する場合はスペースを取り、未使用の収納場所も必要となる。又洗った後の野菜を食べる時は 別の食器に移さなければならず、最終的には食器と水切り具を洗浄清掃しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-36105
【文献】特開2007-69958
【文献】特開2000-107047
【0005】
特許文献1の野菜水切り袋は、野菜が洗えて水切りも出来、袋状なので収納場所にも困らず、遠心力を利用し水分を2重構造の袋の外側で受け止めるとしているが、大きな遠心力はかからず、確保した水分を保持する機能がないので効率的ではない。
【0006】
特許文献2ドリップ分離容器は、容器本体の収納空間の底部にドリップ保持空間を形成し、この保持空間に吸収部材(紙、不織布等あるいはポリマー吸収剤)を配置し、内容物から生じるドリップを吸収し分離可能にしているが、保存容器としての機能を果たすものの積極的に液体を吸収する機能は無い。
【0007】
特許文献3サラダスピナー用バスケット及び駆動構造体は、回転による遠心力で洗浄した野菜の水分を除去する調理器具であるが、使用後に清掃が必要であり、保管収納にも場所を取る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこでこの発明は、水洗いをしたカット野菜、野菜等の水分、水気を簡単に吸収除去し、水切り後そのまま食器として使用出来る、安価で、場所を取らず保管でき、素早く効率的にカット野菜、野菜に付着した水分を取り除けるカット野菜水切り具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために、水分を吸収する層を備えた多層構造のシートで内層に吸収層と、外層に非透水層を配置した野菜を収納できる袋を形成し、袋上部に持ち手部を設置する。洗った野菜を袋に入れ、持ち手部を持って軽く振ると遠心力で野菜の水分が袋内側に付着し、吸収層に吸収、保持され、簡単に効率的に洗った野菜の水分を取り除ける。
【発明の効果】
【0010】
吸収層と非透水層が一体となった多層構造シートを使用するので 簡単にカット野菜を収納できる袋が形成できる。袋は適量の野菜を入れられる大きさに設定出来、持ち手部を設置してあるので手で掴んで軽く振るだけで遠心力で水分と野菜が分離し、袋内側の吸収層が付着した水分を効率よく吸収し保持する。袋底部はマチ付き(ガゼット)構造で広げると自立性があり、水切り後開口部を大きく広げて折り返せば、間口の広い皿形状になり、そのまま食器として使用できる。フィルム状の袋であり、畳んでコンパクトに保管でき、使用後はそのまま捨てられ、野菜が余った場合包んで冷蔵庫に保管もできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施形態を、図を参照に説明する。
図1は 野菜を入れる前の袋を広げて自立させた全体図を示している。袋本体1の上部に袋を持って振るための持ち手部2が設置されている。底部にマチ付き(ガゼット)3を形成し 広げると袋自体が自立し、開口部が大きく開き野菜を入れ易い状態を保っている。袋上部の持ち手部2は、野菜を収納した後袋を振る時に手で掴むスペースであり、適所に打ち抜き線2a(ミシン目等)を配置すれば、持ち手部2の一部が抜けてさらに掴み易くなる。持ち手部下には適所に折れ目線5が配置され、水切り後に食器として使用する場合、折れ目線5を利用し袋上部を外側に折り返し広い間口を形成できる。
【0013】
図2は 畳んだ状態の袋全体の上面図である。袋上部の持ち手部2と底部のマチ付き(ガゼット)3の状態を示している。袋自体が薄いフィルム状でコンパクトに折り畳め収納に場所を取らない。上部持ち手部2は、袋を手で掴んで振る為の掴むスペースであり、持ち手部2の一部を打ち抜き掴み易くする打ち抜き線2a(ミシン目等)が配置された一例を示し、食器として使用する時袋の上部を折り返すガイドとなる折れ目線2aの配置の一例を示す。
【0014】
図3は 野菜の水分を取り除いた後の食器として使う為の形態を示している。持ち手部2下の折れ目線2aを利用し、袋を円周方向外側に折り返した状態である。袋両サイドのカット線4を利用して縦方向に切り、より広い間口が得られサラダボールに似た形態を作れる。カット線4はミシン目等或いは接着の弱い脆弱部を配置し、切るか剥がす等で折れ目線あたりまで切断している。折れ目線4等は袋を外に折り返すガイドとして有用であるが、袋自体の素材は柔らかく野菜の量に合わせ適所で折り曲げることができる。
【0015】
図4は 袋を形成する多層シートの構成を示している。内層の吸収層6は水分の吸水性に優れた不織布を、外層の非透水層7は吸収した水分を袋の外に漏らさないように非透水性フィルムで構成されている。この構成により袋を振って野菜から遠心力で袋内側に付いた水分を積極的に吸収でき、保持し戻ることがなく外にも漏れることもない。内層の不織布は、エアレイド方式のパルプとオレフィン系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維のいずれか或いは混合、複合して構成され、水分を素早く吸収し保持できる。内層の吸収層6は、柔らかく厚みがあるので水切りの時に野菜を痛め難い。外層は、非透水性に優れたオレフィ系フィルム、ポリエステル系フィルムで構成される。不織布の原料は、水分を吸収しやすい素材である紙、綿、パルプ等天然繊維、レーヨン等再生繊維、汎用合成樹繊維等が考えられ、不織布の製造方法は、エアレイド方式以外の従来公知の技術も採用でき、それぞれ単体或いは混合、複合化して採用し得る。内層の吸収層6を2層以上の多層構成6aに構成もでき、吸収能力の性能により適正素材を適正な層に配置でき、又は高吸水性樹脂、高吸収性繊維、鮮度保持成分、抗菌成分等を含んだ機能層も配置できる。
【0016】
図5は、野菜を入れて持ち手部2を手で掴み、持ち手部2の打ち抜き線2aを抜いて指を入れている状態を示している。手で掴むだけでなく、指を通して握ることが出来るので、より強く掴むことが出来る。打ち抜き線2aは、形状、大きさ、配置場所を変更でき、一部を残す方法と完全に抜いてしまう方法が考えられる。この状態で軽く振れば、野菜に付いた水分が遠心力で袋内側に移り吸収層に吸収される。
【符号の説明】
【0017】
1 袋本体
2 持ち手部
2a 打ち抜き線
3 マチ付き(ガゼット)
4 カット線
5 折れ目線
6 吸収層
6a 多層構成
7 非透水層