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特許7053484三次元形状熱伝導性成形体、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】三次元形状熱伝導性成形体、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20220405BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220405BHJP
   B29C 39/12 20060101ALI20220405BHJP
   B29C 39/24 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H01L23/36 D
B32B27/00 101
B29C39/12
B29C39/24
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018546927
(86)(22)【出願日】2017-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2017001308
(87)【国際公開番号】W WO2018078436
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2016213184
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017151151
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】打矢 智昭
(72)【発明者】
【氏名】阪口 良
(72)【発明者】
【氏名】高階 任弘
(72)【発明者】
【氏名】根津 将
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 崇
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-513390(JP,A)
【文献】特開2016-184706(JP,A)
【文献】特開昭64-059840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0303129(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0290504(US,A1)
【文献】特開2001-291807(JP,A)
【文献】特開平06-155517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
B32B 27/00
B29C 39/12
B29C 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む、三次元形状熱伝導性成形体であって、
該成形体は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、前記底面より上方の前記三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違
前記成形体が、前記底面を構成する底部外層と、該底部外層を覆うように配置される上部外層と、前記底部外層と前記上部外層との間にのみ配置される中間部材とを含み、
前記中間部材が、前記上部外層及び/又は前記底部外層よりも柔軟である、
三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項2】
前記三次元形状部の少なくとも一部が、シリコーン系材料を含む上部外層で覆われている、請求項1に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項3】
不織布が底面側に内在している、請求項1又は2に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項4】
前記三次元形状部の形状の少なくとも一部が、略ドーム状又は略かまぼこ状である、請求項1~3の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項5】
前記三次元形状部の形状が、該形状部を適用する被着部材の形状と略一致している、請求項1~3の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項6】
前記上部外層、前記中間部材及び前記底部外層が、シリコーン系材料を含む、請求項1~5の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項7】
前記上部外層及び前記底部外層、又は前記底部外層及び前記中間部材が同一材料よりなり一体化されている、請求項6に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項8】
前記上部外層がシリコーンゴムを含み、前記中間部材はシリコーンゲルを含み、及び前記底部外層はシリコーンゴム又はシリコーンゲルを含む、請求項6又は7に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項9】
前記底面と、該底面を除く三次元形状熱伝導性成形体の表面部分とのタック性が相違する、請求項1~の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
【請求項10】
三次元形状熱伝導性成形体の製造方法であって、
熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を準備する工程と、
略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、前記底面より上方の前記三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する成形体が得られる型を準備する工程と、
前記型内面に接触し得るように、伸長可能フィルムを型上に配置する工程と、
前記型に前記伸長可能フィルムを貼り合わせる工程と、
前記伸長可能フィルムを貼り合わせた前記型の空洞部に前記混合物を充填する工程と、
前記型内の混合物を硬化させる工程と、
記伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を前記型から取り出し、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法。
【請求項11】
三次元形状熱伝導性成形体の製造方法であって、
伸長可能フィルムと剥離フィルムとを含む積層フィルムの前記伸長可能フィルム上に、熱伝導性材料を含有する第1のシリコーン系材料を適用し、硬化させて上部外層を形成する工程と、
前記上部外層を備える積層フィルムの剥離フィルムを除去した後、型内面に前記伸長可能フィルムが接触し得るように、該積層フィルムを型上に配置する工程であって、前記型は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、前記底面より上方の前記三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する成形体が得られる型である、工程と、
前記型に前記積層フィルムを貼り合わせる工程と、
前記積層フィルムを貼り合わせた前記型の空洞部に、熱伝導性材料を含有する第2のシリコーン系材料を含む中間部材を充填する工程と、
前記中間部材を構成する第2のシリコーン系材料を硬化させる工程と、
記伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を前記型から取り出し、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法。
【請求項12】
前記伸長可能フィルムが、ポリオレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、アイオノマー樹脂、及びフッ素系樹脂から選択される少なくとも1つの樹脂を含む、請求項10又は11に記載の三次元形状熱伝導性成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は三次元形状熱伝導性成形体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器を構成する発熱性部品(パワートランジスタ、サイリスタ等)、集積回路(IC、LSI等)の発熱を効率良く冷却するため、これらの部品と、放熱板、筐体等のヒートシンクとの間隙に厚手の放熱シートを適用して、発熱性部品の放熱性を向上させることが行われている。従来の放熱シートは柔軟性に劣るため、例えば熱膨張を起こした際に隣接する素子と基板に対して過度の応力がかかり破損させるおそれがあった。そのため、より柔軟な放熱シートが求められていた。
【0003】
特許文献1(特許第3492656号公報)には、袋状の薄膜シートにその開口部から所定量の流動性の熱伝導性グリスを注入し、この熱伝導性グリスを袋の外形に沿って薄板状に伸ばし、内部の空気を排気しつつ開口部を気密封止し、熱風で薄膜シートを収縮させ最終的に薄板状に整形する、熱伝導性シートの製造方法が記載されている。
【0004】
特許文献2(特許第2728607号公報)には、網目状補強材に熱伝導性充填剤配合のシリコーンゴムを被覆硬化させた放熱絶縁シートと、熱伝導性充填剤を配合した硬化後の硬さがアスカーF硬度計で10~95の範囲である未硬化の付加型液状シリコーンゴムをモールド成形、射出成形あるいはコーティング成形により一体成形し、液状シリコーンゴムを硬化させ放熱絶縁シートと複合化する、熱伝導性複合シートの製造方法が記載されている。
【0005】
特許文献3(特許第2938340号公報)には、熱伝導性充填材を含有し、アスカーC硬度が5~50であるシリコーンゴム層と、該シリコーンゴム層中に含まれた、からみ織りの直径0.3mm以上の孔を有する多孔性補強材層とを備えてなる熱伝導性複合シートが記載されている。
【0006】
特許文献4(特許第3382842号公報)には、プリント配線板に部品高さが異なる複数の電子部品を実装し、これらの電子部品におけるプリント配線板とは反対側の面に、柔軟性を有するとともに熱伝導率が高い材料からなる伝熱用部材を介してヒートシンクを接続してなり、この伝熱用部材における電子部品と対向する面に、平坦な先端面から基部側の他端に向かうにしたがって次第に太くなる多数の柱状突起を互いに近接するように一体に形成し、柱状突起の先端面が電子部品に押付けられるとともに、互いに隣接する柱状突起どうしの間に断面V字状の溝が形成される状態で伝熱用部材を電子部品とヒートシンクとの間に介装した、電子部品の冷却構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3492656号公報
【文献】特許第2728607号公報
【文献】特許第2938340号公報
【文献】特許第3382842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
熱伝導性シートにおける、発熱性部品とヒートシンク等の放熱部品との間の間隙を充填する性能(以下、「間隙充填性」という場合がある。)は、該シートが柔軟になればなるほど向上することが知られている。しかしながら、シートが柔軟化しすぎると、該シートの形状を保持することが困難となり、場合によっては、シート端部よりはみ出たシートの構成材料が、隣接する電子部品等を汚染する問題があった。一般的な熱伝導性シートは、両主表面が平坦な枚葉のシート形状であり(特許文献2~3)、従来の柔軟な熱伝導性シートの場合は、柔軟性に劣るポリサルホン等のプラスチック材料よりなる外皮を備えていたため(特許文献1)、発熱性部品、ヒートシンクなどとの間にエアートラッピングを生じ易く、接触面積を十分に確保することができないという問題を有していた。
【0009】
本開示は、ICチップ等の発熱性部品、ヒートシンク等の放熱部品に対して過度の応力を付加することなく、これらの部品に対して十分な間隙充填性及び接触面積を確保することができる、三次元形状熱伝導性成形体及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施態様によれば、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む、三次元形状熱伝導性成形体であって、該成形体は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、底面より上方の三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する、三次元形状熱伝導性成形体が提供される。
【0011】
本開示の別の実施態様によれば、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を準備する工程と、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、底面より上方の前記三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する成形体が得られる型を準備する工程と、型内面に接触し得るように、伸長可能フィルムを型上に配置する工程と、型に伸長可能フィルムを貼り合わせる工程と、伸長可能フィルムを貼り合わせた型の空洞部に混合物を充填し、任意に成形体の底面となる部分に対して平坦化処理を行う、工程と、型内の混合物を硬化させる工程と、任意に型を冷却後、伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を型から取り出し、任意に伸長可能フィルムを除去し、任意に型形状が付されていない部分を打ち抜き、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法が提供される。
【0012】
本開示の別の実施態様によれば、伸長可能フィルムと剥離フィルムとを含む積層フィルムの前記伸長可能フィルム上に、熱伝導性材料を含有する第1のシリコーン系材料を適用し、硬化させて上部外層を形成する工程と、上部外層を備える積層フィルムの剥離フィルムを除去した後、型内面に伸長可能フィルムが接触し得るように、該積層フィルムを型上に配置する工程であって、該型は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、底面より上方の三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する成形体が得られる型である、工程と、型に前記積層フィルムを貼り合わせる工程と、積層フィルムを貼り合わせた型の空洞部に、熱伝導性材料を含有する第2のシリコーン系材料を含む中間部材を充填し、任意に成形体の底面側に位置する部分に対して平坦化処理を行う、工程と、任意に、剥離フィルム上に熱伝導性材料を含有する第3のシリコーン系材料を適用して底部外層を形成し、該底部外層が、上部外層と空洞部に充填した中間部材とを覆うように、該底部外層を含む剥離フィルムを、該剥離フィルムが最表層となるように型上に配置する工程と、中間部材を構成する第2のシリコーン系材料、及び存在する場合は底部外層を構成する第3のシリコーン系材料を硬化させる工程と、任意に型を冷却後、伸長可能フィルム及び任意に存在する剥離フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を型から取り出し、任意に伸長可能フィルム及び/又は任意に存在する剥離フィルムを除去し、任意に中間部材を含まない上部外層部分及び存在する場合は底部外層部分を打ち抜き、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法が提供される。
【0013】
本開示のさらに別の実施態様によれば、複数の突起層、及び底部外層を備える、三次元形状熱伝導性成形体であって、突起層が、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含み、底部外層が、熱伝導性材料、シリコーン系材料及び補強基材を含み、突起層は、隣接する突起層の底面外周部と接触しておらず、隣接する突起層間に間隙を有するように配置されており、
下記式(I)
【数1】
[式中、αは約0.70~約1.00であり、Xは間隙が突起層の圧縮変形によって完全に充填されるときの圧縮率(%)であり、Yは底部外層上面の総面積のうち突起層底面の総面積が占める割合(%)である。]を満足する、三次元形状熱伝導性成形体が提供される。
【0014】
本開示のさらに別の実施態様によれば、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を準備する工程と、三次元形状熱伝導性成形体の突起層及び間隙を形成し得る型を準備する工程と、型内面に接触し得るように、伸長可能フィルムを型上に配置する工程と、型に伸長可能フィルムを貼り合わせる工程と、伸長可能フィルムを貼り合わせた型の空洞部に混合物を充填する工程と、剥離フィルム上に底部外層を備える底部外層用積層体を、底部外層が空洞部に充填した混合物を覆い剥離フィルムが最表層となるように型上に配置する工程と、混合物及び底部外層のシリコーン系材料を硬化させる工程と、任意に前記型を冷却後、伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を型から取り出し、任意に伸長可能フィルムを除去し、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、ICチップ等の発熱性部品、ヒートシンク等の放熱部品に対して過度の応力を付加することなく、これらの部品に対して十分な間隙充填性及び接触面積を確保することができる、三次元形状熱伝導性成形体及びその製造方法が提供される。
【0016】
本開示によれば、構成材料の端部等からのはみだし防止性に優れる、三次元形状熱伝導性成形体及びその製造方法が提供される。
【0017】
本開示によれば、被着体に対して接触面積を増加させることができ、放熱性、耐引き裂き性、応力緩和性(柔軟性)、アッセンブリ性等に優れる、三次元形状熱伝導性成形体及びその製造方法が提供される。
【0018】
本開示によれば、耐熱性に優れる三次元形状熱伝導性成形体及びその製造方法が提供される。
【0019】
本開示によれば、例えば複数の発熱性部品の各々の高さが相違する場合であっても間隙充填性に優れる三次元形状熱伝導性成形体及びその製造方法が提供される。
【0020】
本開示によれば、極めて柔軟な材料を使用して成形加工することが可能な三次元形状熱伝導性成形体の製造方法が提供される。
【0021】
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の断面図である。
図2】真空加熱圧着装置を用いて三次元形状熱伝導性成形体を形成する工程を模式的に説明する図である。
図3】本開示の一実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図4】本開示の別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図5】本開示の別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図6】本開示の別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図7】本開示の別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図8】本開示の別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図9】本開示の別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図10】本開示のさらに別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の断面図である。
図11】本開示のさらに別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図12】熱抵抗の測定原理の概略図である。
図13】本開示のさらに別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
図14】本開示のさらに別の実施態様による三次元形状熱伝導性成形体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む、三次元形状熱伝導性成形体であって、該成形体は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、底面より上方の三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する。この三次元形状熱伝導性成形体は、所定の三次元形状部を有するため、適用する被着体に対して過度の応力を付加することなく十分な接触面積を確保することができる。
【0024】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、三次元形状部の少なくとも一部が、シリコーン系材料を含む上部外層で覆われていてもよい。このような上部外層を備えることによって、成形体端部におけるはみだし防止性を向上させることができる。
【0025】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、不織布が底面側に内在していてもよい。成形体の底面側に不織布が内在していると、成形体の平面方向への延伸性が抑制され、型から成形体を引きはがす際に割れ等の不具合を生じることがなく、取り扱い性を向上させることができる。
【0026】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、三次元形状部の形状の少なくとも一部が、略ドーム状又は略かまぼこ状であってもよい。このような形状の三次元形状部は、より一層、適用する被着体に対して十分な接触面積を確保することができる。
【0027】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、三次元形状部の形状が、該形状部を適用する被着部材の形状と略一致していてもよい。三次元形状部を適用する被着部材の形状と略一致させることで、被着体に対して十分な接触面積を確保することができ、被着部材に対する応力を小さくすることができる。
【0028】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、底面を構成する底部外層と、該底部外層を覆うように配置される上部外層と、底部外層と上部外層との間に配置される中間部材とを含んでもよく、上部外層、中間部材及び底部外層は、シリコーン系材料を含んでもよい。このような構成の成形体とすることで、成形体の柔軟性及び被着体に対する接触面積を使用用途に応じて自由に設計することができる。
【0029】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、上部外層及び底部外層、又は底部外層及び中間部材が同一材料よりなり一体化されてもよい。このような構成とすることで、密着性に優れた成形体を得ることができる。
【0030】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、上部外層はシリコーンゴムを含み、中間部材はシリコーンゲルを含み、及び底部外層はシリコーンゴム又はシリコーンゲルを含んでもよい。シリコーンゴムを含む上部外層で、例えば柔軟で変形し易い中間部材を覆う構成にすると、成形体の柔軟性を向上させつつ、端部等からのはみだし防止性も向上させることができる。上部外層はゴム弾性を有するため、例えば成形体に外部から圧力を付加すれば、シリコーンゲルの中間部材は容易に変形することができる一方で、圧力を取り除けば、変形した中間部材は上部外層のゴム弾性に伴う復元力によって元の形状に戻ることができるため、リワーク作業性にも優れている。
【0031】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、中間部材が上部外層及び/又は底部外層よりも柔軟であってもよい。このような構成にすることで、成形体の間隙充填性を向上させることができる。
【0032】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、底面と、該底面を除く三次元形状熱伝導性成形体の表面部分とのタック性を相違させてもよい。このようなタック性を有する成形体は、リワーク時に破断することなくいずれか一方の被着体に貼りつくため、リワーク作業を行いやすい。
【0033】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体の製造方法は、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を準備する工程と、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、底面より上方の三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する成形体が得られる型を準備する工程と、型内面に接触し得るように、伸長可能フィルムを型上に配置する工程と、型に伸長可能フィルムを貼り合わせる工程と、伸長可能フィルムを貼り合わせた型の空洞部に混合物を充填し、任意に成形体の底面となる部分に対して平坦化処理を行う、工程と、型内の混合物を硬化させる工程と、任意に型を冷却後、伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を型から取り出し、任意に伸長可能フィルムを除去し、任意に型形状が付されていない部分を打ち抜き、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む。
【0034】
第1の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体の別の製造方法は、伸長可能フィルムと剥離フィルムとを含む積層フィルムの伸長可能フィルム上に、熱伝導性材料を含有する第1のシリコーン系材料を適用し、硬化させて上部外層を形成する工程と、上部外層を備える積層フィルムの剥離フィルムを除去した後、型内面に伸長可能フィルムが接触し得るように、該積層フィルムを型上に配置する工程であって、型は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、底面より上方の三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する成形体が得られる型である、工程と、型に積層フィルムを貼り合わせる工程と、積層フィルムを貼り合わせた型の空洞部に、熱伝導性材料を含有する第2のシリコーン系材料を含む中間部材を充填し、任意に成形体の底面側に位置する部分に対して平坦化処理を行う、工程と、任意に、剥離フィルム上に熱伝導性材料を含有する第3のシリコーン系材料を適用して底部外層を形成し、該底部外層が、上部外層と空洞部に充填した中間部材とを覆うように、該底部外層を含む剥離フィルムを、該剥離フィルムが最表層となるように型上に配置する工程と、中間部材を構成する第2のシリコーン系材料、及び存在する場合は底部外層を構成する第3のシリコーン系材料を硬化させる工程と、任意に型を冷却後、伸長可能フィルム及び任意に存在する剥離フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を型から取り出し、任意に伸長可能フィルム及び/又は任意に存在する剥離フィルムを除去し、任意に前記中間部材を含まない上部外層部分及び存在する場合は底部外層部分を打ち抜き、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む。
【0035】
これらの製造方法は、所定形状の成形型を使用して形成されるため、柔軟な材料を使用したとしても精度よく三次元形状熱伝導性成形体を作製することができる。
【0036】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、複数の突起層、及び底部外層を備え、突起層が熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含み、底部外層が、熱伝導性材料、シリコーン系材料及び補強基材を含み、突起層は、隣接する突起層の底面外周部と接触しておらず、隣接する突起層間に間隙を有するように配置されており、
下記式(I)
【数2】
[式中、αは約0.70~約1.00であり、Xは間隙が突起層の圧縮変形によって完全に充填されるときの圧縮率(%)であり、Yは底部外層上面の総面積のうち突起層底面の総面積が占める割合(%)である。]を満足する。この三次元形状熱伝導性成形体は、所定の突起層及び間隙を有するため、従来の平坦な放熱シートに比べて被着体に対する圧縮応力を低減させることができ、放熱性、耐引き裂き性、応力緩和性(柔軟性)、アッセンブリ性等を向上させることができる。
【0037】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、間隙の幅を略均等にすることができる。係る構成にすることで、圧縮して水平方向に拡張する突起層部分によって間隙内を均一に充填することができるため、圧縮後に空隙の少ない接触面を被着体に対して形成することができる。
【0038】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、突起層の上面が略平坦面であってもよい。突起層の上面が略平坦面であると、成形体の圧縮変形後に空隙の少ない接触面を被着体に対して形成しやすくなる。
【0039】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、突起層の略平坦面の形状を、略正三角形、略正方形、略正五角形、略正六角形、略長方形、又は略波型形状にすることができ、突起層は、係る形状の各辺に沿った断面部を有し、隣接する突起層の係る形状における隣接する各辺が略平行状態であってもよい。係る構成の突起層は、圧縮して水平方向に拡張する突起層部分によって隣接する間隙に充填され易くなり、圧縮後に被着体適用面に対して空隙の少ない均一な接触面をより形成し易くなる。
【0040】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、突起層のテーパー角を約80°~約90°にすることができる。係る突起層は型離れ性に優れるとともに、圧縮後、被着体適用面に対して空隙の少ない均一な接触面をより形成し易くなる。
【0041】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、突起層のアスカーC硬度を約0~約30にすることができる。係る硬度を有する突起層は柔軟性に優れるため、圧縮に伴う、間隙充填性、被着体に対する接触面積の増加又は凹凸追従性に優れている。
【0042】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、被着体に適用して50%圧縮したときの接触面積が、係る成形体を被着体に圧縮せずに適用したときの接触面積に比較して約40%以上増加させることができる。係る性能を奏する成形体は、被着体に対する応力緩和性に優れるとともに、圧縮後、被着体適用面に対して空隙の少ない均一な接触面をより形成し易くなる。
【0043】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、突起層を5個/inch以上有することができる。係る構成の成形体であれば、被着体に対して十分な放熱性を発現させることができる。
【0044】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体は、底部外層の厚さを約0.5mm以下、三次元形状熱伝導性成形体の厚さを約4.0mm以下にすることができる。一般的な放熱シートは、薄くなるほど圧縮応力が増加する傾向にあるが、本開示の成形体は、所定の突起層及び間隙を有するため、係る厚さであっても、被着体に対する応力緩和性に優れるとともに、圧縮後、被着体適用面に対して空隙の少ない均一な接触面を形成し易いため、被着体に対して十分な放熱性を発現させることができる。
【0045】
第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体の製造方法は、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を準備する工程と、三次元形状熱伝導性成形体の突起層及び間隙を形成し得る型を準備する工程と、型内面に接触し得るように、伸長可能フィルムを型上に配置する工程と、型に前記伸長可能フィルムを貼り合わせる工程と、伸長可能フィルムを貼り合わせた前記型の空洞部に前記混合物を充填する工程と、剥離フィルム上に底部外層を備える底部外層用積層体を、底部外層が空洞部に充填した混合物を覆い剥離フィルムが最表層となるように型上に配置する工程と、混合物及び底部外層のシリコーン系材料を硬化させる工程と、任意に前記型を冷却後、前記伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を前記型から取り出し、任意に前記伸長可能フィルムを除去し、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む。係る製造方法は、所定形状の成形型を使用して形成されるため、柔軟な材料を使用したとしても精度よく三次元形状熱伝導性成形体を作製することができる。
【0046】
第1又は第2の実施形態における三次元形状熱伝導性成形体の製造方法において、伸長可能フィルムは、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂(例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂)、ポリプロピレンとポリエチレンとのコポリマー等)、ポリメチルペンテン樹脂(TPX(登録商標)樹脂)、アイオノマー樹脂、及びフッ素系樹脂から選択される少なくとも1つの樹脂を含んでもよく、これらの樹脂の積層体を使用してもよい。このような材料を含むフィルムは、深絞り性、型離れ性、シリコーン系材料との剥離性に優れるため、より精度よく三次元形状熱伝導性成形体を作製することができる。
【0047】
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
【0048】
本開示において「三次元形状部」とは、三次元形状熱伝導性成形体における、該成形体の底面より上方に位置する部分を意味する。
【0049】
本開示において「略」とは、製造誤差などによって生じるバラつきを含むことを意味し、±約20%程度の変動が許容されることを意図する。
【0050】
本開示において「ドーム状」とは、上面から見た場合は略円形であり、該略円形の中心線の横断面は、略半円形断面、又は図1に記載されるような断面であって、これらの断面の外側端部のいずれか一方は、内側に向かって底面から垂直方向に(例えば、第1の高さaに沿って)さらに切断されたような形状であってもよいことを意味する。本開示において「かまぼこ状」とは、上面から見た場合は略長方形もしくは略長方形の少なくとも一方の端部が略半円形の形状、又は略楕円形であり、これらの形状の長辺又は長軸の中間位置における横断面が、略半円形断面、又は図1に記載されるような断面であって、これらの断面の外側端部のいずれか一方は、内側に向かって底面から垂直方向に(例えば、第1の高さaに沿って)さらに切断されたような形状であってもよいことを意味する。
【0051】
本開示において「底面側」とは、底面より上方に位置する三次元形状部の最大高さの約半分未満又は約1/3以下を意味する。
【0052】
本開示の一実施態様の三次元形状熱伝導性成形体は、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む、三次元形状熱伝導性成形体であって、該成形体は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、底面より上方の三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する。係る構成の三次元形状熱伝導性成形体を、以下、「第1の三次元形状熱伝導性成形体」又は「第1の成形体」という場合がある。
【0053】
本開示の一実施態様である三層構成の三次元形状熱伝導性成形体を図1に断面図で示す。図1に示すように、三次元形状熱伝導性成形体1は、底部外層2と、中間部材3と、上部外層4とを備え、第1の高さa及び第2の高さbは、底面より上方の三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違することを意図する。ここで、底部外層2、中間部材3及び上部外層4に使用されるシリコーン系材料が全て同一である場合には、一層構成の三次元形状熱伝導性成形体とみなすことができ、底部外層2及び中間部材3、中間部材3及び上部外層4、又は底部外層2及び上部外層4に使用されるシリコーン系材料が同一である場合には、二層構成の三次元形状熱伝導性成形体とみなすことができる。成形体の製造過程において、例えば上部外層、中間部材、及び底部外層(シリコーン系材料で含浸された不織布等を含む場合がある。)を順に積層して形成した場合であっても、硬化させた後に各層が同一のシリコーン系材料を用いて一体化され、層界面を区別することができない場合には、この成形体は一層構成とみなすことができる。
【0054】
シリコーン系材料は、特に制限されるものではないが、シリコーンゲル、シリコーンゴムを使用することができる。成形体が多層構成の場合には、異種のシリコーンゲルを使用したり、シリコーンゲル及びシリコーンゴムを併用してもよい。シリコーンゲルは柔軟性に優れ、シリコーンゴムは端部からのはみ出し防止性に優れる。
【0055】
(シリコーンゲル)
シリコーンゲルは、加熱硬化型又は常温硬化型のもの、硬化機構が縮合型又は付加型のものなど、いずれも用いることができるが、架橋密度の調整が容易であり、柔軟化させ易い等の観点で、付加型シリコーン組成物から得られるシリコーンゲルが好ましい。ケイ素原子に結合する基も、特に限定されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基のほか、これらの基の水素原子が部分的に他の原子又は結合基で置換されたものを挙げることができる。
【0056】
本発明で用いられる付加反応型(又は架橋)シリコーンゲルの製法は、特に限定されないが、通常は、オルガノハイドロジエンポリシロキサン(a-1)とアルケニルポリシロキサン(a-2)とを原料とし、両者を触媒の存在下でハイドロシリル化反応(付加反応)させることにより得られる。このようなシリコーンゲルを形成し得る付加反応硬化型シリコーンゲル組成物には、一液硬化型及び二液硬化型の2つのタイプがあり、一液硬化型の組成物は加熱することにより、二液硬化型の組成物は二液混合後に加熱することにより、柔軟なゲルを提供することができる。
【0057】
(a-3)付加反応触媒
付加反応触媒としては、(a-1)成分中のケイ素原子に結合するアルケニル基と、(a-2)成分中のケイ素原子に結合する水素原子との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進するものとして知られている、いかなる触媒でもよい。例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯体、塩化白金酸-2-エチルヘキサノール溶液等の白金系触媒、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウム黒とトリフェニルホスフィンとの混合物等のパラジウム系触媒、ロジウム触媒等の白金族金属系触媒を使用することができる。
【0058】
付加反応触媒の配合量は、反応性等を考慮して適宜調整することができ、例えば(a-1)成分と(a-2)成分との合計量に対して、約0.1ppm以上、約100ppm以下(触媒金属元素換算)の範囲で使用することができる。
【0059】
シリコーンゲルは、(a-1)~(a-3)の配合割合、架橋させる温度及び時間等を適宜調整してシリコーンゲルの架橋密度を変えることによって、シリコーンゲルの柔軟性を調整することができる。
【0060】
シリコーンゲルは、例えば、MQレジン型の粘着付与成分を配合したり、非反応性の粘着成分を添加したり、非架橋官能基の側鎖の長さ、末端官能基の種類などを調整して、所望の粘着性を発現させてもよい。
【0061】
(シリコーンゴム)
シリコーンゴムとしては、付加反応型又は縮合型のいずれも使用することができる。付加反応型のシリコーンゴムとしては、上述した付加反応型シリコーンゲルの架橋密度を高めてゴム弾性(荷重をかけると伸び、荷重を除くと略元の位置に戻る性質)を呈するようにしたものを使用することができる。縮合型のシリコーンゴムとは、大気中の水分と反応することによって、加水分解縮合反応を起こして架橋するものである。この縮合型の反応性シリコーンゴムが有する加水分解官能基としては、例えば、アルコキシ基(脱アルコール型)、イソプロペノキシ基(脱アセトン型)、メチルエチルケトオキシム基(脱オキシム型)、アセトキシ基(脱酢酸型)などがあるが、硬化速度が速いこと、放出される物質の臭気が少ないという観点から、脱アセトン型又は脱アルコール型が好ましい。
【0062】
(熱伝導性材料)
熱伝導性材料は、絶縁性であっても導電性であってもよい。絶縁性の熱伝導性材料としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒素化合物や、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化チタン、酸化銅、亜酸化銅等の金属酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、マグネサイト(炭酸マグネシウム)、炭化珪素、ダイアモンド等の炭素化合物、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、パイロフェライト等のセラミック類、ホウ化チタン、チタン酸カルシウム等が使用できる。
【0063】
これらの中でも、熱伝導性等の観点から、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、窒化アルミニウムが好ましい。なお、窒化ホウ素は、c-BN(立方晶構造)、w-BN(ウルツ鉱構造)、h-BN(六方晶構造)、r-BN(菱面体晶構造)、t-BN(乱層構造)等の何れの構造であってもよい。窒化ホウ素の形状には、鱗片状のもの、これらの凝集体等があるが、いずれも用いることができる。
【0064】
導電性の熱伝導性材料としては、黒鉛、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維(ピッチ系、PAN系)、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)等の炭素化合物や、銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属又はこれらを含む金属合金、ステンレス(SUS)、異種元素がドープされた酸化亜鉛等の導電性金属酸化物、フェライト類等の金属系化合物が使用できる。シリカ等の絶縁性材料を導電性の熱伝導性材料で被覆して導電性としたり、或いは、導電性の熱伝導性材料をシリカ等の絶縁性材料で被覆して絶縁性とし、これらを熱伝導性材料として使用することもできる。
【0065】
これらの熱伝導性材料は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。熱伝導性材料の形状については、種々の形状のものを使用でき、例えば、繊維状、板状、鱗片状、棒状、粒状、ロッド状、チューブ状、曲板状、針状、曲板状、針状等が挙げられる。これらの熱伝導性材料は、シランカップリング処理、チタネートカップリング処理、エポキシ処理、ウレタン処理、酸化処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0066】
三次元形状熱伝導性成形体中の熱伝導性材料の総含有量は、熱伝導性材料の種類にもよるが、約30質量%以上、約50質量%以上又は約80質量%以上、約95質量%以下又は約90質量%以下とすることができる。体積比であれば、成形体が多層構成の場合には、成形体全体の総含有量が前記範囲である限り、各層における含有量は前記範囲以外であってもよく、各層の含有量が同一でも異なっていてもよい。
【0067】
本開示の三次元形状熱伝導性成形体の放熱性能(熱伝導率)は、約1.00W/mK以上、又は約1.20W/mK以上にすることができる。なお、この値は界面熱抵抗を含む値である。
【0068】
熱伝導性材料の平均粒子径は、約0.1μm以上、約0.2μm以上、又は約0.3μm以上、約200μm以下、約100μm以下、又は約70μm以下であってもよい。熱伝導性材料は平均粒子径が異なる少なくとも2つの粒子を併用することができる。このような構成にすると、大きな粒子径の間に小さな粒子径の熱伝導性材料が埋まり最密充填のような状態で充填されるため、熱伝導性が向上する。熱伝導性材料の平均粒径、粒度分布は、電子顕微鏡、レーザー回折光散乱装置などにより測定することができる。例えば、平均粒子径が異なる2つの粒子を併用した場合、これらの粒子を含むシリコーン系材料における粒度分布には2つのピークが観測される。したがって、該シリコーン系材料における粒度分布のピークの数を確認することで、平均粒子径の異なる粒子がシリコーン系材料中にいくつ含まれているかを確認することができる。
【0069】
シリコーン系材料は、難燃剤、顔料、染料、充填剤、補強材、レベリング剤、消泡剤、分散剤、硬化促進剤、反応性希釈剤、溶剤などの添加剤をさらに含んでもよい。これらの添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲において適宜決定することができる。
【0070】
三次元形状熱伝導性成形体の中間部材は、該中間部材を約10mm厚のシートに成形した場合のアスカーC硬度計による硬度が約30以下、約20以下又は約8以下であってもよく、約0以上であってもよい。
【0071】
三次元形状熱伝導性成形体は、一層、二層又は三層構成であってもよい。所望の柔軟性を発現させる観点から、一層構成の場合は、全体がシリコーンゲルで構成されることが好ましい。二層構成の場合は、底部外層2、中間部材3及び上部外層4の内の何れか二つが同一のシリコーンゲルで構成され、残りが異なるシリコーンゲル又はシリコーンゴムで構成されてもよく、或いは、底部外層2及び上部外層4が同一のシリコーンゴムで構成され、中間部材3がシリコーンゲルで構成されてもよい。柔軟性及び端部からのはみ出し防止性の観点から、上部外層4、又は上部外層4と底部外層2がシリコーンゴムで構成されることが好ましい。三層構成の場合は、底部外層2、中間部材3及び上部外層4として、各々異なるシリコーン系材料を使用することができる。二層構成の場合と同様に、柔軟性及び端部からのはみ出し防止性の観点から、上部外層4、又は上部外層4と底部外層2がシリコーンゴムで構成されることが好ましい。中間部材3が上部外層4及び/又は底部外層2よりも柔軟である二層又は三層構成の成形体は、端部からのはみ出し防止性に優れる。中でも、上部外層4、又は上部外層4と底部外層2にシリコーンゴムを採用する、二層又は三層構成の成形体は、中間部材として、端部からはみ出すような柔軟性の高いシリコーン系材料を使用したとしても、少なくともシリコーンゴムで構成される上部外層4で中間部材3が被覆されているため、シリコーンゴムの復元力により、該中間部材が端部からより漏れにくくなる。
【0072】
三次元形状熱伝導性成形体の底面より上方の三次元形状部は、その高さが少なくとも2か所又は3か所で異なっていればよく、特に制限されるものではない。中でも、図1、2に示されるような、略ドーム状又は略かまぼこ状の三次元形状部であることが好ましい。このような形状であると、特に、適用する被着体の表面が平坦な場合、略ドーム状又は略かまぼこ状の頂部が被着体の該平坦面にまず付着し、次いで、押圧とともに成形体の三次元形状部が押しつぶされて変形し、被着体と三次元形状部との間の空気を外側に押し出すように、頂部から外側に向かって三次元形状部が被着体の平坦面に付着していくため、被着体と三次元形状部との間に空気が混入せず、三次元形状熱伝導性成形体の被着体に対する接触面積を向上させることができる。この効果は、上部外層がシリコーン系材料を含む場合に発揮される効果であり、他の柔軟性に劣るプラスチック材料では、同一の三次元形状部を有していても空気が混入してしまい、十分な接触面積が得られなかった。
【0073】
図3図9において、三次元形状熱伝導性成形体の具体的な形状の一例が示されているが、該成形体の形状はこれらに制限されるものではない。図3図9における成形体は、略ドーム状又は略かまぼこ状の三次元形状部を有するため、従来の平坦なシート形状の熱伝導性成形体に比べて空気抜け性が良好である。中でも、成形体が大きくなればなるほど、図5図9に示されるような、三次元形状部を複数、具体的には、二つ以上、三つ以上又は五つ以上有する成形体は、ヒートシンク、又は発熱素子等の発熱性部品との接触部において、空気(気泡)を巻き込む不具合をより減少させることができる。成形体における、三次元形状部の大きさ、個数、配置場所等については、成形体を適用する部品の形状、大きさ等を考慮して適宜設定することができ、略ドーム状の三次元形状部と略かまぼこ状の三次元形状部とが併存していてもよい。
【0074】
本開示の三次元形状熱伝導性成形体は、底面より上方の三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する構成を備えるため、従来の平坦なシート形状の熱伝導性成形体に比べて、適用する各種部品に付加される応力を低減させることができる。具体的には、三次元形状部の高さを基準とした場合に、その高さの、例えば80%まで圧縮したときの荷重(20%圧縮時の荷重)は、平坦なシート形状の熱伝導性成形体を使用して同様の比率で圧縮したときの荷重に比べて小さくなる。20%圧縮時の荷重は、従来の平坦なシート形状の熱伝導性成形体に比べて、約95%以下、約90%以下、又は約85%以下であってもよい。
【0075】
三次元形状熱伝導性成形体を適用する被着体の適用面が略平坦ではなく、異形状である場合には、該成形体の三次元形状部は、被着体の形状に略一致するような形状であってもよい。例えば、電子基板全体を覆うような熱伝導性成形体で、基板上の各素子の形状に応じて成型することで、各素子に対する応力を最小化し、かつ接触面積を最大化することができる。さらに、例えば被着体がコイルのようなものであっても、コイルの抜き型のような三次元形状部とすることで、コイルを隙間なく簡易に三次元形状熱伝導性成形体で包み込むことができる。
【0076】
三次元形状熱伝導性成形体の大きさは、適用する被着体に応じて適宜決定することができる。三次元形状熱伝導性成形体が多層構成の場合には、柔軟性、端部からのはみ出し防止性、強度等を考慮し、上部外層及び底部外層の厚さは、約10μm以上又は約50μm以上、約500μm以下又は約300μm以下であってもよい。
【0077】
三次元形状熱伝導性成形体は、該成形体の底面から露出しないように、織物、編物又は不織布等の補強基材を底面側に内在させてもよい。成形体の底面側に補強基材が内在していると、成形体の平面方向への延伸性が抑制され、成形体の強度が向上し、型から成形体を引きはがすときの割れ等の不具合を防止することができる。中でも、不織布は、シリコーン系材料の含浸性にも優れるので好ましい。不織布はシリコーン系材料が含浸し易く、構成する繊維間をシリコーン系材料で固定し得るため、織物、編物からなる補強基材に比べて薄い場合であっても、これらの補強基材と同等以上の強度を有することができる。補強基材の材料としては、ガラス、ビニロン、アラミド、ナイロン、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリルなどを使用することができるが、難燃性も付与し得るため、ガラスが好ましい。不織布の厚さとしては、約20μm以上又は約40μm以上であってよく、約0.2mmより薄く又は約0.1mmより薄くすることもできる。
【0078】
三次元形状熱伝導性成形体は、該成形体の底面と、該底面を除く成形体の表面部分とのタック性を相違させてもよい。このようなタック性を有する成形体は、リワーク時に破断することなくいずれか一方の被着体に貼りつくため、リワーク作業を行いやすい。三次元形状熱伝導性成形体のタック性は、表面処理、シリコーンゴム及びシリコーンゲル等の異種材料の使用、粘着成分の配合量の相違などによって適宜調整することができる。
【0079】
本開示の三次元形状熱伝導性成形体の製造方法について例示的に説明するが、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法はこれらに限られない。たとえば以下の方法では、伸長可能フィルムの貼り合わせに関し、真空加熱圧着装置を採用した方法を例示しているが、該方法に限らず、真空成型法、フィルムインサート成型法なども使用することができる。
【0080】
三次元形状熱伝導性成形体60の製造方法について、例えば以下の方法により製造することができる(図2)。
【0081】
伸長可能フィルムと剥離フィルムとを含む積層フィルムの伸長可能フィルム上に、熱伝導性材料を含有する第1のシリコーン系材料を適用し、硬化させて上部外層を形成する。硬化は、特に制限されるものではなく、加熱硬化、電子線硬化などを採用することができる。
【0082】
図2(A)に示されるような、所定の三次元形状を有する型20を用意する。図2(B)に示すように、例示的な真空加熱圧着装置30は、上下に第1真空室31及び第2の真空室32をそれぞれ有しており、上下の真空室の間に型20に貼り付ける上部外層積層フィルム10をセットする治具が備えられている。また、下側の第1真空室31には、上下に昇降可能な昇降台35(不図示)の上に仕切り板34及び台座33が設置されており、型20はこの台座33の上にセットされる。このような真空加熱圧着装置としては、市販のもの、例えば両面真空成型機(布施真空株式会社製)などを使用することができる。
【0083】
図2(B)に示すように、まず、真空加熱圧着装置30の第1真空室31及び第2真空室32を大気圧に解放した状態で、上下の真空室の間に、剥離フィルムを除去した伸長可能フィルムと上部外層を備える上部外層積層フィルム10を伸長可能フィルムが型20側となるようにセットする。第1真空室31において台座33の上に型20をセットする。
【0084】
次に、図2(C)に示すように、第1真空室31及び第2真空室32を閉鎖し、それぞれ減圧し、各室の内部を真空(大気圧を1atmとした場合例えば約0atm)にする。その後又は真空にするのと同時に上部外層積層フィルム10を加熱する。次いで、図2(D)に示すように、昇降台35を上昇させて型20を第2真空室32まで押し上げる。加熱は、例えば第2真空室32の天井部に組み込まれたランプヒータで行うことができる。加熱温度は一般に約50℃以上又は約130℃以上、約180℃以下又約160℃以下とすることができる。減圧雰囲気の真空度は、大気圧を1atmとして約0.10atm以下、約0.05atm以下、約0.01atm以下とすることができる。
【0085】
加熱された上部外層積層フィルム10は型20の表面に押しつけられて延伸される。その後又は延伸と同時に、図2(E)に示すように、第2真空室32内を適当な圧力(例えば3atm~1atm)に加圧する。圧力差により加熱された上部外層積層フィルム10は型20の露出表面に密着し、露出表面の3次元形状に追従して延伸し、型20の表面に剥離可能に密着した状態の被覆を形成する。図2(C)の状態で減圧及び加熱を行った後、そのまま第2真空室32内を加圧して上部外層積層フィルム10で型20の露出表面を被覆することもできる。
【0086】
この後、上下の第1真空室31及び第2真空室32を再び大気圧に開放して、上部外層積層フィルム10で被覆された型20を外に取り出す。図2(F)に示すように、型20の表面に密着した上部外層積層フィルム10のエッジをトリミングし、上部外層積層フィルム10と型20とを備える一体品40を得る。
【0087】
次いで、一体品40の空洞部11に、熱伝導性材料を含有する第2のシリコーン系材料を充填し、必要に応じてブレード等を使用して平坦化処理を行い、中間部材12を形成する。この段階で、第2のシリコーン系材料を硬化させ、一体品40から取り出し、必要に応じて、伸長可能フィルムを除去し、打ち抜き加工を行い、三次元形状熱伝導性成形体を得ることもできる。図2の例示態様では、図2(G)に示すように、中間部材12の上に、さらに、底部外層13を適用する構成を例示する。この態様では、剥離フィルム(不図示)上に熱伝導性材料を含有する第3のシリコーン系材料を適用して底部外層13を形成し、該底部外層13が、上部外層積層フィルム10と空洞部11に充填した中間部材12とを覆うように、該底部外層13を含む剥離フィルムを、該剥離フィルムが最表層となるように配置して最終一体品50を得る。ここで、剥離フィルム上に底部外層13を形成する際に、剥離フィルム上に不織布等の補強基材を適用し、該基材上に第3のシリコーン系材料を塗布、含浸させて底部外層13を得ることもできる。必要に応じて、成形体の底面側に位置する部分に対してブレード、ゴムローラー等で平坦化処理を行った後、中間部材12及び底部外層13を構成する第2及び第3のシリコーン系材料を硬化させる。密着性の観点から、中間部材12及び底部外層13の硬化は同時に行うことが好ましい。硬化は、加熱硬化、電子線硬化など種々の硬化方法を採用することができる。
【0088】
任意に最終一体品50を冷却した後、伸長可能フィルム及び任意に存在する剥離フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を型20から取り出し、三次元形状熱伝導性成形体60を得ることができる。必要に応じ、伸長可能フィルム、剥離フィルムを除去してもよく、中間部材を含まない、上部外層部分及び存在する場合は底部外層部分を適宜打ち抜き、個別の三次元形状熱伝導性成形体を得ることもできる。
【0089】
熱伝導性材料を含有する第1~第3のシリコーン系材料の全てが同一材料であれば、一層構成の成形体とみなすことができ、三種の内の二種が同一材料であれば、二層構成の成形体とみなすことができ、三種全てが異なる材料であれば、三層構成の成形体とみなすことができる。
【0090】
一層構成の三次元形状熱伝導性成形体については、例えば以下の方法によっても製造することができる。
【0091】
上述の上部外層積層フィルム10に代えて、伸長可能フィルムを真空加熱圧着装置30にセットし、上述と同様の方法で、伸長可能フィルムを剥離可能に型20に貼り合わせて、伸長可能フィルムと型20とを備える一体品40を得る。
【0092】
次いで、一体品40の空洞部11に、熱伝導性材料を含有するシリコーン系材料を充填し、必要に応じてブレード等を使用して平坦化処理を行った後、シリコーン系材料を硬化させる。
【0093】
任意に型を冷却した後、伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を型から取り出し、一層構成の三次元形状熱伝導性成形体を得ることができる。必要に応じ、伸長可能フィルムを除去してもよく、適宜打ち抜き加工を行い、個別の三次元形状熱伝導性成形体を得ることもできる。
【0094】
三次元形状熱伝導性成形体の製造方法において使用される伸長可能フィルムとしては、例えば深絞り成型ができるような伸長性を有し、型離れ性及びシリコーン系材料との剥離性を有する材料であれば特に制限されるものではないが、ポリエチレン(例えば低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂)、ポリプロピレンとポリエチレンとのコポリマー等のポリオレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂(TPX(登録商標)樹脂)、アイオノマー樹脂、フッ素系樹脂などの少なくとも1種以上の樹脂を使用することができる。これらの材料は単独又は組み合わせて使用することができ、単層フィルム又は積層フィルムの形態であってもよい。フィルム表面に対し、離型処理等の表面処理を適宜適用してもよい。
【0095】
本開示の別の実施態様の三次元形状熱伝導性成形体(以下、「第2の三次元形状熱伝導性成形体」又は「第2の成形体」という場合がある。)の一例を図10、11、13及び14に示す。この三次元形状熱伝導性成形体は、複数の突起層、及び底部外層を備え、突起層が、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含み、底部外層が、熱伝導性材料、シリコーン系材料及び補強基材を含み、突起層は、隣接する突起層の底面外周部と接触しておらず、隣接する突起層間に間隙を有するように配置されており、下記式(I)
【数3】
[式中、αは約0.70~約1.00であり、Xは間隙が突起層の圧縮変形によって完全に充填されるときの圧縮率(%)であり、Yは底部外層上面の総面積のうち突起層底面の総面積が占める割合(%)である。]を満足している。
【0096】
第2の三次元形状熱伝導性成形体の突起層及び底部外層で使用する、熱伝導性材料、シリコーン系材料及び補強基材としては、上述した材料を使用することができる。係る成形体では、応力緩和性、接触面積、凹凸追従性等の観点から、シリコーン系材料として、シリコーンゲルを使用することが好ましい。
【0097】
第2の三次元形状熱伝導性成形体の突起層は、図10、11、13及び14で例示されるように、隣接する突起層の底面外周部と接触しておらず、隣接する突起層間に間隙を有するように配置されている。突起層の突起形状は、次のものに限定されないが、略円柱状、略角柱状、略円錐台状及び略角錐台状から選ばれる少なくとも一種とすることができる。この他、例えば、図13又は図14に例示されるように、底部外層の主要表面に対して、略直線状、略波状又は略ジグザグ状に配置された突起層(以下、これらの突起層を、「略直線状突起層」、「略波状突起層」又は「略ジグザグ状突起層」という場合がある。)であって、該突起層を底部外層に対して垂直に切断したときの断面形状は、略正方形、略長方形又は略等脚台形である突起層なども採用することができる。略直線状突起層、略波状突起層又は略ジグザグ状突起層は、図13又は図14に例示されるように連続的に形成されてもよく、或いは断続的に形成されていてもよい。例えば、図13又は図14に例示されるような三次元形状熱伝導性成形体の場合、係る成形体の一辺をx軸、該x軸に対して垂直な一辺をy軸、成形体の厚さ方向をz軸としたときに、略直線状突起層、略波状突起層又は略ジグザグ状突起層は、x軸に対して略平行(y軸に対して略垂直)に形成されてもよく、y軸に対して略平行(x軸に対して略垂直)に形成されてもよく、x軸又はy軸に対して角度をもって形成されてもよい。ここで、「波状」とは、正弦波のような滑らかな波形状を意味する一方で、「ジグザグ状」とは、ノコギリ刃のような鋭く屈曲するような形状を意味する。被着体への接触面積を増加させる観点から、突起層は、略角柱状の突起層、略角錐台状の突起層、略直線状突起層、又は略波状突起層が好ましい。突起層の上面は、上述したような略ドーム状であってもよいが、被着体への接触面積を増加させる観点から、略平坦面であることが好ましい。係る平坦面の形状としては、略円形状、略正三角形、略正方形、略正五角形、略正六角形、略長方形、又は略波型形状とすることができる。被着体への接触面積を増加させる観点から、係る平坦面の形状は、略正三角形、略正方形、略正五角形、略正六角形、略長方形、又は略波型形状であることが好ましく、係る形状の平坦面を有する突起層の場合、突起層は、係る平坦面形状の各辺に沿った断面部を有し、隣接する突起層の平坦面形状における隣接する各辺が略平行状態にあることが好ましい。係る構成の突起層は、圧縮して水平方向に拡張する部分(以下、「拡張部」という場合がある。)によって隣接する間隙に充填され易くなり、被着体適用面に対して空隙の少ない均一な接触面をより形成し易くなる。
【0098】
突起層は、下記式(I)を満足するように形成されているため、第2の成形体は、被着体に対する応力緩和性に優れるとともに、被着体に対する接触面積を向上させることができる。
【数4】
[式中、αは約0.70~約1.00であり、Xは間隙が突起層の圧縮変形によって完全に充填されるときの圧縮率(%)であり、Yは底部外層上面の総面積のうち突起層底面の総面積が占める割合(%)である。]
【0099】
αは、突起層を構成する材料及び圧縮率によって変動する係数であり、例えば、次の実験により算出することができる。まず、所定厚のシートをφ4.3mmのポンチで打ち抜いて円柱のサンプルを準備する。係る円柱サンプルにおける圧縮前の上面の直径(初期直径)と、円柱サンプルを上面から下方にガラス板等を用いて1mm押し潰して圧縮した後の円柱最大直径(圧縮後直径)を測定する。ここで、円柱最大直径とは、円柱サンプルの上面から底面の間で横方向に一番広がっている円状部分の直径を意味する。測定した各直径から、圧縮前後の円柱サンプルの円状部分の面積を各々算出し、上記のY(%)に相当する圧縮前後の面積比(圧縮前の上面部面積/圧縮後の最大面積)を算出する。続いて、上記のX(%)に相当する、円柱サンプルを1mm圧縮したときの圧縮率(1mm/円柱サンプルの初期厚み(mm))を算出する。係るX及びYの値を、以下の式(II)
【数5】
に導入してαを求めることができる。一例として、円柱サンプル1~3における算出したαの結果を以下の表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
αは、約0.70以上、約0.72以上、約0.75以上、約0.77以上、約0.80以上又は約0.82以上、約1.00以下の範囲にすることができる。Xは、間隙が突起層の圧縮変形によって完全に充填されるときの圧縮率(%)であり、次の範囲に限定されないが、約20%以上、約25%以上又は約30%以上、約75%以下、約70%以下又は約65%以下の範囲であってもよい。Yは、底部外層上面の総面積のうち突起層底面の総面積が占める割合(%)である。突起層を複数有する三次元形状熱伝導性成形体におけるYの求め方としては、三次元形状熱伝導性成形体を得るための型データを参考に、少なくとも1m×1mの大きさ(1m)の三次元形状熱伝導性成形体のシートをパソコン上に表示し、係るシートの突起層底面の面積Aを算出し、(面積A×100)/(突起層を除いたシート上面の総面積(1m))からY(%)を求めることができる。なお、少なくとも1m×1mの大きさの三次元形状熱伝導性成形体のシートが、実物のシートであってもよいことは言うまでもない。或いは、例えば、図11で例示される六角柱の突起層を備える三次元形状熱伝導性成形体の場合、複数の六角柱の中から任意に一つの六角柱を選択し、係る六角柱の底面である正六角形(以後、「内側正六角形」という場合がある。)の外接円の直径(C)を測定する。次いで、係る内側正六角形の各辺から間隙幅(A)の半分だけ大きい正六角形(以後、「外側正六角形」という場合がある。)を導き、係る外側正六形の外接円の直径を特定する(C+A)。各外接円の直径に基づいて内側正六角形及び外側正六角形の各面積を算出し、(内側正六角形の面積×100)/(外側正六角形の面積)からY(%)を求めることもできる。係る方法によるYの値は、突起層一つの最小単位から導かれるものであるが、突起層の形状及び大きさ、並びに間隙の形状及び大きさが略均等である場合には、係る方法でYを求めることができる。
【0102】
突起層のテーパー角(θ)は、約80°以上又は約82°以上、約90°以下又は約88°以下にすることができる。係る突起層は型離れ性に優れるとともに、圧縮後、被着体適用面に対して空隙の少ない均一な接触面をより形成し易くなる。ここで、突起層のテーパー角(θ)とは、図10に示されるような、突起層上面における平坦面形状の各辺に沿った断面と底部外層の上面とによって形成される角度を意味する。
【0103】
突起層は、該突起層を構成する材料を約10mm厚のシートに成形した場合のアスカーC硬度計による硬度が、約30以下、約20以下又は約10以下であってもよく、約0以上であってもよい。このような範囲のアスカー硬度を有する突起層は、柔軟性に優れるため、圧縮に伴う、間隙充填性、被着体に対する接触面積の増加又は凹凸追従性に優れている。
【0104】
第2の三次元形状熱伝導性成形体は、突起層を、5個/inch以上、10個/inch以上、又は12個/inch以上有することができる。係る構成の成形体であれば、被着体に対して十分な放熱性を発現させることができる。
【0105】
底部外層上面から突起層上面までの最大の高さは、約0.5mm以上又は約1.0mm以上、約3.5mm以下又は約3.0mm以下にすることができる。
【0106】
第2の三次元形状熱伝導性成形体における突起層間に形成される間隙114は、図10で例示されるように間隙の底面において幅Aを備えるため、係る幅を備えないV字状の溝のような間隙を有する成形体に比べ、本開示の第2の成形体の方が耐引き裂き性に優れている。本開示の間隙を有するように突起層を適用した成形体(前者態様)と、V字状の溝のような間隙を有するように突起層を適用した成形体(後者態様)を比較した場合、後者態様の方が、隣接する突起層が接近しており、圧縮して水平方向に拡張し得る突起層部分が前者態様に比べて少ないため、突起層を圧縮できる割合も少なくなる。その結果、突起層を圧縮し得る割合の低い後者態様では適用する被着体の凹凸の大きさに対して制約がかかるが、本開示の前者態様は、後者態様に比べて突起層を圧縮し得る割合が高く、凹凸追従性の自由度が増すため、使用可能な被着体の選択の幅が広がるという利点を有している。被着体適用面に対して空隙の少ない均一な接触面をより形成し易くするという観点から、間隙の幅は略均等であることが好ましい。
【0107】
第2の三次元形状熱伝導性成形体の底部外層は、図10に示されるように、シリコーン系材料層(104、108)の間に不織布等の補強基材層106を備える積層構成であってもよく、補強基材にシリコーン系材料が含浸して一体化した構成であってもよい。底部外層で使用するシリコーン系材料及び熱伝導性材料を含む組成物が、突起層で使用する組成物と同一である場合、突起層及び底部外層を備える第2の三次元形状熱伝導性成形体は一体品とみなすことができる。この場合における底部外層とは、間隙の底面方向断面の下側に位置する部分(但し、存在する場合は、剥離フィルムは除く。)とみなすことができる。
【0108】
従来の平坦な放熱シートは、該シートの被着体(例えば、ICチップ等)への適用に伴う圧縮時に、圧縮面で圧縮応力が発生し、被着体の周辺近傍では面方向に反作用である引っ張り応力が発生する。これらの応力により、被着体を損傷させるおそれがあったため、該応力の緩和のために凹凸形状を設けた放熱シートも開発されている。しかしながら、係る従来の放熱シートは凹凸形状を保持させるために柔軟性に劣る材料を使用していたため、放熱シートの凹部に伴う空隙部が生じて接触面積が低下し、その結果、放熱性も低下する場合があった。本開示の第2の三次元形状熱伝導性成形体は、底部外層が不織布等の補強基材を含み、成形体の引き裂き強度等を向上させることができるため、成形体で使用するシリコーン系材料として、シリコーンゴムよりも柔軟で、間隙充填性及び凹凸追従性に優れるシリコーンゲルのみを使用することもでき、従来の凹凸形状を設けた放熱シートよりも、圧縮後の被着体への接触面積をより増加させ、放熱性をより向上させることができる。
【0109】
補強基材を備えない底部外層を採用した場合に、例えば、2つの被着部材間に成形体を適用し、圧縮して貼り合わせた後にリワークすると、底部外層側から剥がれることもあれば、突起層側から剥がれることもあり、成形体が破断する場合があった。しかしながら、本開示の第2の成形体は、補強基材を備える底部外層を有するため、リワーク時には、底部外層が被着体に貼付された状態で、成形体を突起層側から剥すことができるため、リワーク作業性に優れるという利点も有している。第2の成形体の引っ張り接着強さは、リワーク性の観点から、約14N/cm以下、約12N/cm以下、又は約10N/cm以下にすることが好ましい。
【0110】
底部外層の厚さは、強度又は放熱性の観点から、約0.5mm以下又は約0.4mm以下にすることができ、約0.05mm以上又は約0.1mm以上にすることができる。
【0111】
本開示の第2の三次元形状熱伝導性成形体は、該成形体を被着体に適用して50%圧縮したときの接触面積が、成形体を被着体に圧縮せずに適用したときの接触面積に比較して、約40%以上、約45%以上又は約50%以上増加させることができる。係る性能を奏する成形体は、被着体に対する応力緩和性に優れるとともに、圧縮後、被着体適用面に対して空隙の少ない均一な接触面をより形成し易くなる。
【0112】
第2の三次元形状熱伝導性成形体の応力緩和性は、係る成形体の被着体適用面側の総面積(底部外層上面の総面積)が大きくなるほど効果をより発揮させることができる。応力緩和性の観点から、第2の三次元形状熱伝導性成形体の被着体適用面側の総面積(底部外層上面の総面積)は、約50cm以上、約100cm以上、又は約200cm以上にすることができる。
【0113】
第2の三次元形状熱伝導性成形体の厚さは、放熱性の観点から、約4.0mm以下、約3.5mm以下、約3.0mm以下又は約2.5mm以下にすることができ、約0.1mm以上又は約0.55mm以上にすることができる。
【0114】
第2の三次元形状熱伝導性成形体の約50%圧縮時の圧縮応力は、約10N/cm以下にすることができる。
【0115】
第2の三次元形状熱伝導性成形体の熱抵抗は、約1.0K/W以下とすることができる。
【0116】
本開示の第2の三次元形状熱伝導性成形体は上述した方法と同様にして製造することができるが、係る三次元形状熱伝導性成形体の製造方法はこれらに限られない。たとえば以下の方法では、伸長可能フィルムの貼り合わせに関し、真空加熱圧着装置を採用した方法を例示しているが、該方法に限らず、真空成型法、フィルムインサート成型法なども使用することができる。
【0117】
第2の三次元形状熱伝導性成形体の製造方法について、例えば以下の方法により製造することができる。
【0118】
図2に示される上部外層積層フィルム10に代えて、伸長可能フィルムを真空加熱圧着装置30にセットし、上述と同様の方法で、伸長可能フィルムを剥離可能に、第2の三次元形状熱伝導性成形体の突起層及び間隙を形成し得る型に貼り合わせて、伸長可能フィルムと型とを備える一体品を得る。
【0119】
剥離フィルム上に不織布等の補強基材を配置し、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を、係る補強基材上に所定のギャップ間隔を有するナイフコーターで塗工して、底部外層を備える底部外層用積層体を得る。
【0120】
次いで、一体品の空洞部に、底部外層作製時に使用した混合物と同一又は異種の熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を充填し、必要に応じてブレード等を使用して平坦化処理を行い、底部外層が空洞部に充填した混合物を覆い剥離フィルムが最表層となるように、底部外層用積層体を型上に配置した後、シリコーン系材料を硬化させる。
【0121】
任意に型を冷却した後、伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を型から取り出し、第2の三次元形状熱伝導性成形体を得ることができる。必要に応じ、伸長可能フィルム及び/又は剥離フィルムを除去してもよく、適宜打ち抜き加工を行い、所定形状の三次元形状熱伝導性成形体を得ることもできる。
【0122】
三次元形状熱伝導性成形体の製造方法において使用される伸長可能フィルムとしては、上述したものと同一の使用することができる。
【0123】
本開示の三次元形状熱伝導性成形体は、車両、リチウムイオンバッテリー(例えば、車載用リチウムイオンバッテリー)、家電製品、コンピューター機器、等で使用される、例えば、ICチップ等の発熱性部品と、ヒートシンク又はヒートパイプ等の放熱部品との間の間隙を充填するように配置して、発熱性部品から発生した熱を放熱部品に効率よく熱伝達し得る、放熱用物品として使用することができる。本開示の三次元形状熱伝導性成形体は形状、大きさを自由に設計できるため、例えば、回路基板のポッティング材の代替として使用することができ、コイル等の複雑形状の発熱性部品に対しても使用することもできる。
【実施例
【0124】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
【0125】
本実施例で使用した原料などを以下の表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
本開示の第1の三次元形状熱伝導性成形体の特性を以下の方法にしたがって評価した。
【0128】
[評価方法]
<アスカーC硬度の評価>
アスカーゴム硬度計C型(高分子計器株式会社製)を用い、日本ゴム協会標準規格であるSRIS0101に準拠して、評価サンプルのアスカーC硬度を測定した。
【0129】
<圧縮荷重の評価>
35mm×40mmの大きさの治具を使用するテンシロン試験機により圧縮荷重を測定した。治具の中央に位置するように、評価サンプルをテンシロン試験機に配置し、荷重計に取り付けた治具を0.5mm/分の速度で下方に移動し、評価サンプルが20%圧縮された時点で治具を止め、そのときの荷重を測定した。
【0130】
<熱伝導率の評価1>
大型のサンプル(例1、2、及び比較例2)の熱伝導率の測定は、京都電子工業株式会社製のQTM-D3及びプローブ(PD-13N)を用いて行った。QTM-D3は、非定常法細線加熱法という方法によって熱伝導率を測定するものである。プローブ(センサー)は、直線状に張られた単一の加熱線と熱電対により構成されている。加熱線に一定電流を通じると熱が発生し、加熱線の温度は指数関数的に上昇する。熱伝導率の高いサンプル(金属など)では、熱は急速に移動しサンプル側に逃げてゆくために加熱線の温度は小さくなる。逆に熱伝導率が低い試料(断熱材など)では、熱が逃げ難いために加熱線の温度は大きく上昇する。このように加熱線の温度上昇はサンプルの熱伝導率に関係し、下記の式(1)で表される。すなわち、サンプルの熱伝導率は時間軸を対数目盛りにした昇温グラフの傾きから求めることができる。
【数6】
(式中、λはサンプルの熱伝導率(W/mK)であり、qは加熱線の単位時間、単位長さの発熱量(W/m)であり、t、tは測定時間(秒)であり、T,Tは時間t、tでの温度(K)である。)
【0131】
<熱伝導率の評価2>
小型のサンプル(例3~8及び比較例3)の熱伝導率の測定は、熱抵抗測定装置(Analysis Tech,Inc.社製のTIM Tester 1400)を用いて、ASTM D5470による熱抵抗/熱伝導率測定方法に準拠して行った。熱抵抗測定装置のヒーター及び冷却プレートの間にアルミブロック(アルミ板)を二つ設置した。このアルミブロックの間に、サンプルを挿入し、所定の荷重(圧縮率)をかけ、熱伝導率を測定した。なお、測定に際し、ヒーターと冷却プレートにおいて、サンプルがほぼ同じ面積で接触するように圧縮率を調整した。圧縮率はいずれのサンプルでも約30%であった。
【0132】
<アッセンブリ性の評価>
評価サンプルのアッセンブリ性について評価した。ライナーからの剥離性及びサンプルの取り扱い性(著しく伸びない)が容易であるものを「良」、ライナーから剥離はできるが、サンプルが塑性変形してしまい取り扱い難いものを「可」、ライナーから剥離できないものを「不可」とした。
【0133】
<リワーク性の評価>
小型のサンプル(例3~8)について、リワーク性の評価を以下の方法で行った。なお、比較例2及び3のシート状サンプルは16.5mmφの円筒状に打ち抜いたものについて同様に評価した。5cm×10cmのフロートガラス板2枚を準備した。5個のサンプルを1枚のガラス板表面に均等間隔で底部が接触するように配置した。その上にもう1枚のガラス板を被せ、その上に1kgの重りを置いて各サンプルに均等に荷重がかかるようにした。荷重がかかった状態でこれらのガラス板を150℃に調温されたオーブン中に24時間放置した。その後、オーブンから取り出して冷却し、室温に戻った状態で上側のガラス板を剥離した。5個のサンプルのうち、サンプル形状に変化がなく、且つ下側のガラス板から剥がれることなく、全てのサンプルが残っていた場合を「良」、サンプル形状に変化がなく1個以上のサンプルが上側のガラス板についていた場合を「可」、ガラス板を剥がす際にサンプル形状が変形してしまった場合を「不可」とした。
【0134】
<例1>
バレル温度を200℃に設定した直径20mmの一軸押し出し機でアイオノマー樹脂であるハイミラン(登録商標)1706を溶融した。溶融した樹脂を59rpmで回転するスクリューで220℃に設定されたダイに供給し、ダイから吐出した溶融樹脂を搬送速度1.8m/分で25ミクロン厚のPETフィルム(エンブレム(登録商標)S25)上に押し出しラミネートし、125μm厚のアイオノマー樹脂/PET積層フィルムを作製した。
【0135】
500gのCY-52-276A及び250gのPlatelets003を容量2Lのプラネタリーミキサーに量り取り、15分間、羽回転数20rpmで混合してシリコーンコンパウンド1Aを作製した。同様に、500gのCY-52-276B、5.0gのCY52-005K、及び250gのPlatelets003をプラネタリーミキサーに量り取り、15分間、羽回転数20rpmで混合してシリコーンコンパウンド1Bを作製した。200gのシリコーンコンパウンド1Aと200gのシリコーンコンパウンド1Bをポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで約10分間撹拌混合してシリコーンコンパウンド1ABを作製した。該シリコーンコンパウンド1ABをアイオノマー樹脂/PET積層フィルムのアイオノマー樹脂側にナイフコーターでコーティングした。コーティングしたアイオノマー樹脂/PET積層フィルムを、18分かけて120℃のオーブン中を通過させてシリコーンを硬化させ、上部外層用の窒化ホウ素含有シリコーンゴムシート1を作製した。該シート1のシリコーンゴム層の厚さは213μmであった。
【0136】
121.4gのAX35-125、48.6gのAX3-75、及び30.0gのSE1885Aを225mLのガラス瓶に量り取った。ガラス瓶中の材料を自転・公転ミキサーである「あわとり錬太郎」を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、その後、30秒間脱泡してシリコーンコンパウンド2Aを作製した。同様に、121.4gのAX35-125、48.6gのAX3-75、及び30.0gのSE1885Bを225mLのガラス瓶に量り取った。ガラス瓶中の材料をあわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、その後、30秒間脱泡してシリコーンコンパウンド2Bを作製した。150gのシリコーンコンパウンド2Aと100gのシリコーンコンパウンド2Bを300mLのポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで約5分間、泡が入らないように撹拌混合し、中間部材用のシリコーンコンパウンド2ABを作製した。
【0137】
140.0gのSE1701LTV及び14.0gのSE1701LTV用触媒を300mLのポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで約5分間、泡が入らないように撹拌混合し、シリコーンコンパウンド3を作製した。次いで、該シリコーンコンパウンド3を剥離ライナーであるYB-2上に適用し、ナイフとライナーとのギャップが150μmに設定されたナイフコーターでコーティングし、底部外層用シート1を作製した。
【0138】
窒化ホウ素含有シリコーンゴムシート1のPETフィルムを除去して、深絞り成形可能なアイオノマー樹脂/窒化ホウ素含有シリコーンゴムからなる2層構成の上部外層積層フィルム10を作製した。図2(B)に示されるような真空加熱圧着装置30として、両面真空成型機(布施真空株式会社製)を採用し、該装置30内に設置したアルミ製の型20上に、アイオノマー樹脂が型20側になるように上部外層積層フィルム10を固定した。該フィルム10の表面温度が120℃になるように加熱条件を設定した。次いで、上述した図2(B)~図2(E)で示されるような手順に従って、加熱したフィルム10をエアーが巻き込まれないように型20の表面に積層し、図2(F)に示されるような一体品40を作製した。ここで、型20は、図2(F)に示されるような、23.5mm×90.0mm×4.0mmの略かまぼこ状の三次元形状が得られるような形状を備える。
【0139】
一体品40の空洞部11に中間部材用のシリコーンコンパウンド2ABを充填し、次いで、充填したシリコーンコンパウンド2AB上に、エアーが巻き込まれないように底部外層用シート1を積層した。該シート1が型に均一に密着するように、シート1上にゴムローラーを適用して最終一体品50を作製した。最終一体品50を120℃のオーブンに20分間静置して中間部材及び底部外層を構成するシリコーンゲルを加熱硬化させた。次いで、最終一体品50をオーブンから取り出して冷却し、硬化させた略かまぼこ状の三次元形状熱伝導性成形体60を型20から取り出した。冷えて固くなる前に、最表層のアイオノマー樹脂層を除去して略かまぼこ状の三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを得た。なお、中間部材用のシリコーンコンパウンド2ABを、剥離ライナーのYB-2で内部を被覆した30mm×40mm×10mm厚の型に注入した後に、120℃のオーブン中で硬化して作製した試験片のアスカーC硬度は0であった。
【0140】
<例2>
75.0gのAX3-75及び25.0gのCY52-276Aを225mLのガラス瓶に量り取った。ガラス瓶中の材料をあわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、その後、30秒間脱泡してシリコーンコンパウンド4Aを作製した。同様に、75.0gのAX3-75、25.0gのCY52-276B及び0.25gのCY52-005Kを225mLのガラス瓶に量り取った。ガラス瓶中の材料をあわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、その後、30秒間脱泡してシリコーンコンパウンド4Bを作製した。80gのシリコーンコンパウンド4Aと80gのシリコーンコンパウンド4Bを300mLのポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで約5分間、泡が入らないように撹拌混合し、シリコーンコンパウンド4ABを作製した。ガラスペーパーGMC10-MR6を剥離ライナーであるYB-2上に載置し、次いで、該シリコーンコンパウンド4ABをガラスペーパー上に適用し、ナイフとライナーのギャップが150μmに設定されたナイフコーターでコーティングして含浸させ、底部外層用シート2を作製した。該底部外層用シート2を底部外層用シート1に代えて使用したこと以外は、例1と同一の方法を使用して略かまぼこ状の三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを得た。したがって、例1と同様、作製した試験片のアスカーC硬度は0であった。
【0141】
<例3>
150.0gのシリコーンコンパウンド2A及び122.7gのシリコーンコンパウンド2Bを300mLポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで内容物を約5分間泡が入らないように混合してシリコーンコンパウンド5ABを作製した。シリコーンコンパウンド2ABの代わりにシリコーンコンパウンド5ABを用い、かつ、直径19mm、厚さ4.0mmの略ドーム状の複数の三次元形状の列が縦方向及び横方向において平行に重ならないような配置された形状を備える型を使用した以外は例1と同様の方法で略ドーム状の三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを作製した。なお、中間部材用のシリコーンコンパウンド5ABを、剥離ライナーのYB-2で内部を被覆した30mm×40mm×10mm厚の型に注入した後に、120℃のオーブン中で硬化して作製した試験片のアスカーC硬度は0であった。
【0142】
<例4>
シリコーンコンパウンド4ABの代わりにシリコーンコンパウンド3を用い、例2と同様の方法で底部外層用シート3を作製した。シリコーンコンパウンド2ABの代わりにシリコーンコンパウンド5ABを用い、型を例3で使用した型に変更し、底部外層用シート3の代わりに底部外層用シート3を用いた以外は例2と同様の方法で略ドーム状の三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを作製した。したがって、例3と同様、作製した試験片のアスカーC硬度は0であった。
【0143】
<例5>
バレル温度を200℃-220℃-230℃-260℃に設定した直径20mmの一軸押し出し機でフッ素樹脂であるダイニオン(登録商標)THV500を溶融した。溶融した樹脂を260℃に設定されたダイに供給し、ダイから吐出した溶融樹脂を75ミクロン厚のPETフィルム上に押し出しラミネートし、フッ素樹脂/PET積層フィルムを作製した。フッ素樹脂層の厚さは100μmであった。
【0144】
次いで、100gのシリコーンコンパウンド2A及び100gのシリコーンコンパウンド2Bを300mLポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで内容物を約5分間泡が入らないように混合してシリコーンコンパウンド6ABを作製した。
【0145】
シリコーンコンパウンド6ABを剥離ライナーであるYB-2上に載置し、次いで、該シリコーンコンパウンド6ABをガラスペーパーGMC10-MR6上に適用し、ナイフとライナーのギャップが150μmに設定されたナイフコーターでコーティングして含浸させ、底部外層用シート4を作製した。
【0146】
積層フィルムのPETフィルムを除去して、深絞り成形可能なフッ素樹脂フィルムを作製した。例1と同様の真空加熱圧着装置を採用し、型としては、直径16.5mm、厚さ2.6mmの略ドーム状の複数の三次元形状の列が縦方向及び横方向において平行であって交互にずれて配置された形状を備える型を使用した。型にはスプレー糊55(スリーエムジャパン株式会社製)を吹きつけて溶剤が乾燥してから使用した。フッ素樹脂フィルムの型への貼り合わせは例1と同様にして行った。
【0147】
シリコーンコンパウンド6ABをフッ素樹脂フィルムで被覆された型の上に注ぎ、次いで底部外層用シート4をシリコーンコンパウンド塗布面に、エアーが巻き込まれないように積層した。底部外層用シート4でカバーされた型を、該シートが均一に型に密着するようにゴムローラーで圧着して最終一体品を作製した。最終一体品を120℃のオーブンに20分間静置して成形体を構成するシリコーンゲルを加熱硬化させた。次いで、最終一体品をオーブンから取り出して室温になるまで自然冷却し、1日放置後、型から三次元形状熱伝導性成形体を取り出した。次いで、表面のフッ素樹脂フィルムを剥離することによって、直径16.5mm、厚さ2.6mmの略ドーム形状を備える三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを得た。なお、シリコーンコンパウンド6ABを、剥離ライナーのYB-2で内部を被覆した30mm×40mm×10mm厚の型に注入した後に、120℃のオーブン中で硬化して作製した試験片のアスカーC硬度は0であった。
【0148】
<例6>
121.4gのAX35-125、48.6gのAX3-75、30.0gのSE1885Aを225mLのガラス瓶に量りとった。次いで、ガラス瓶の内容物をあわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、その後、30秒間脱泡することによってシリコーンコンパウンド7Aを作製した。同様に、121.4gのAX35-125、48.6gのAX3-75、30.0gのSE1885B、0.0375gの添加剤「SP7297」を225mLのガラス瓶に量り取り、あわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、30秒間脱泡することによってシリコーンコンパウンド7Bを作製した。100gのシリコーンコンパウンド7A及び100gのシリコーンコンパウンド7Bを300mLのポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで内容物を約5分間泡が入らないように混合してシリコーンコンパウンド7ABを作製した。該シリコーンコンパウンド7AB、フルオロシリコーンライナーのYB-2、ガラスペーパーGMC10-MR6を用いて、例5と同様にして底部外層用シート5を作製した。シリコーンコンパウンド6ABの代わりにシリコーンコンパウンド7ABを用いる以外は例5と同様の方法で、直径16.5mm、厚さ2.6mmの略ドーム形状を備える三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを得た。なお、シリコーンコンパウンド7ABを、剥離ライナーのYB-2で内部を被覆した30mm×40mm×10mm厚の型に注入した後に、120℃のオーブン中で硬化して作製した試験片のアスカーC硬度は5であった。
【0149】
<例7>
121.4gのAX35-125、48.6gのAX3-75、及び30.0gのSE1885Aを225mLのガラス瓶に量りとった。次いで、ガラス瓶の内容物をあわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、30秒間脱泡することによってシリコーンコンパウンド8Aを作製した。同様に、121.4gのAX35-125、48.6gのAX3-75、30.0gのSE1885B、及び0.075gのSP7297を量り取り、あわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、30秒間脱泡することによってシリコーンコンパウンド8Bを作製した。100gのシリコーンコンパウンド8A及び100gのシリコーンコンパウンド8Bを300mLのポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで内容物を約5分間泡が入らないように混合してシリコーンコンパウンド8ABを作製した。該シリコーンコンパウンド8AB、フルオロシリコーンライナーのYB-2、ガラスペーパーGMC10-MR6を用いて、例5と同様にして底部外層用シート6を作製した。シリコーンコンパウンド6ABの代わりにシリコーンコンパウンド8ABを用いる以外は例5と同様の方法で、直径16.5mm、厚さ2.6mmの略ドーム形状を備える三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを得た。なお、シリコーンコンパウンド8ABを、剥離ライナーのYB-2で内部を被覆した30mm×40mm×10mm厚の型に注入した後に、120℃のオーブン中で硬化して作製した試験片のアスカーC硬度は8であった。
【0150】
<例8>
121.4gのAX35-125、48.6gのAX3-75、及び30.0gのSE1885Aを225mLのガラス瓶に量りとった。次いで、ガラス瓶の内容物をあわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、その後に30秒間脱泡することによってシリコーンコンパウンド9Aを作製した。同様に、121.4gのAX35-125、48.6gのAX3-75、30.0gのSE1885B、0.150gのSP7297を225mLのガラス瓶に量りとった。次いで、ガラス瓶の内容物をあわとり錬太郎を用いて2000rpmの回転数で1分間混合し、その後に30秒間脱泡することによってシリコーンコンパウンド9Bを作製した。100gのシリコーンコンパウンド9A及び100gのシリコーンコンパウンド9Bを300mLのポリカップに量り取り、樹脂製スパチュラで内容物を約5分間泡が入らないように混合してシリコーンコンパウンド9ABを作製した。シリコーンコンパウンド9AB、フルオロシリコーンライナーのYB-2、ガラスペーパーGMC10-MR6を用いて、例5と同様にして底部外層用シート7を作製した。シリコーンコンパウンド6ABの代わりにシリコーンコンパウンド9ABを用いる以外は例5と同様の方法で、直径16.5mm、厚さ2.6mmの略ドーム形状を備える三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを得た。なお、シリコーンコンパウンド9ABを、剥離ライナーのYB-2で内部を被覆した30mm×40mm×10mm厚の型に注入した後に、120℃のオーブン中で硬化して作製した試験片のアスカーC硬度は30であった。
【0151】
<比較例1>
シリコーンコンパウンド2ABを2枚の剥離ライナー(YB-2)間に適用し、該ライナー間のギャップを2mmにセットしたナイフコーターヘッドを通して厚さ2mmのシリコーンゲルシートを得た。次いで、このシートを120℃のオーブン中で20分間静置してシリコーンゲルシートを硬化させた。該シートの凝集力は極めて低く剥離ライナーから除去できなかったため、該シートの各種特性を測定することができなかった。
【0152】
<比較例2>
シリコーンコンパウンド6ABを2枚の剥離ライナー(YB-2)間に適用し、ライナー間のギャップを2mmにセットしたナイフコーターヘッドを通して厚さ2mmのシリコーンゲルシートを得た。次いで、このシートを120℃のオーブン中で20分間静置してシリコーンゲルシートを硬化させた。2枚のライナーの内の1枚を剥がしたシートを2枚用意し、層間に気泡が巻き込まれないように2枚のシートを貼り合せて、厚さ4mmの評価用のシリコーン熱伝導性シートを得た。なお、厚さ4mmのシートを3枚貼り合せて作製した試験片のアスカーC硬度は0であった。
【0153】
<比較例3>
シリコーンコンパウンド9ABを2枚の剥離ライナー(YB-2)間に適用し、ライナー間のギャップを2.6mmにセットしたナイフコーターヘッドを通して厚さ2.6mmのシリコーンゲルシートを得た。次いで、このシートを120℃のオーブン中で20分間静置してシリコーンゲルシートを硬化させ、厚さ2.6mmの評価用のシリコーン熱伝導性シートを得た。なお、厚さ2.6mmのシートを3枚貼り合せて作製した試験片のアスカーC硬度は30であった。圧縮応力の測定には、このシートを直径16.5mmの円柱状に打ち抜いたサンプルを用いた。
【0154】
例1~8、及び比較例1~3における、アスカーC硬度、圧縮荷重(20%圧縮時の荷重)、熱伝導率1及び2、アッセンブリ性並びにリワーク性の結果を表3に示す。
【0155】
【表3】
【0156】
表3に示すように、本開示の三次元形状熱伝導性成形体は、優れた柔軟性及び圧縮応力を示している。また、例8と比較例3を比較すると、両者は同一のシリコーンコンパウンド9ABを使用し、同一のアスカーC硬度を示しているにもかかわらず、20%圧縮時の応力については、例8の応力は比較例3の応力に比べて約78%の応力を示しており、例8の方が比較例3よりも低くなっている。この結果は、成形体の形状が20%圧縮時の応力を低下させる、即ち、成形体を適用する各種部材に対して付加される応力を低減できることを示唆している。
【0157】
本開示の第2の三次元形状熱伝導性成形体の特性を以下の方法にしたがって評価した。
【0158】
[評価方法]
<アスカーC硬度の評価>
アスカーゴム硬度計C型(高分子計器株式会社製)を用い、日本ゴム協会標準規格であるSRIS0101に準拠して、評価サンプルのアスカーC硬度を測定した。
【0159】
<圧縮応力の評価>
平板治具を使用するテンシロン試験機により圧縮応力を測定した。330mm×88mmの評価サンプルが圧縮されるように、治具の中央に係る評価サンプルを配置し、荷重計に取り付けた治具を5.0mm/分の速度で下方に移動し、評価サンプルが1.0mm圧縮された時点で治具を止め、そのときの応力を測定した。
【0160】
<熱抵抗の評価>
評価サンプルの熱抵抗値を、Analysis Tech社製の熱インピーダンスメーター TIMテスターによって測定した。係る装置の測定原理を以下に概説する。
【0161】
TIMテスターは、ASTM D5470による熱抵抗値を測定することができる。プローブ(センサー)は、ヒータープレート、冷却器プレート、複数の熱電対で構成されている。33.0mmφの円柱状TIMのサンプルを、ヒーター及び冷却プレートによって1.0mm圧縮する。試験が開始されると、一定の熱がヒータープレートの熱線から加えられる。ここで、冷却器は常に水で冷却されている。温度が安定した後、サンプルの界面における熱流速及び温度が、いくつかの熱電対から得られた温度データによって計算される(図12)。その結果、以下の式(2)から、ヒーター及び冷却器の接点間の熱流量及び温度差によって熱抵抗値が計算される。
【数7】
【0162】
<引っ張り接着強さ(リワーク性)の評価>
評価サンプルの底部外層面を片面粘着テープ(住友スリーエム社製、品番#851A)で裏打ちし、評価サンプルの突起層面をガラス板に貼り付け、押圧して間隙がなくなるまで突起層を変形させた後、90°ピール接着力をJIS-Z-0237に規定される手順に従って測定した。成形体の剥離は、300mm/分の引っ張り速度で実施した。
【0163】
<例9>
バレル温度を200℃に設定した直径20mmの一軸押し出し機でアイオノマー樹脂であるハイミラン(登録商標)1706を溶融した。溶融した樹脂を59rpmで回転するスクリューで220℃に設定されたドロップダイに供給し、ドロップダイから吐出した溶融樹脂を搬送速度1.8m/分で25ミクロン厚のPETフィルム(エンブレム(登録商標)S25)上にキャストし、125μm厚のアイオノマー樹脂/PET積層フィルムを作製した。
【0164】
108gのAX75-150、36gのAX35-125、36gのAX3-75、1gのDMS-V22及び19gのSE1885Aを225mLのガラス瓶に量り取った。ガラス瓶中の材料を自転・公転ミキサーにより2000rpmの回転数で1分間混合し、続いて、30秒間脱泡してシリコーンコンパウンド1aを作製した。同様に、108gのAX75-150、36gのAX35-125、36gのAX3-75、1gのDMS-V22及び19gのSE1885Bを225mLのガラス瓶に量り取り、同様に、ガラス瓶中の材料を混合及び脱泡してシリコーンコンパウンド1bを作製した。150gのシリコーンコンパウンド1aと150gのシリコーンコンパウンド1bをポリカップに量り取り、次いで、樹脂製スパチュラで約10分間、手動で混合してシリコーンゲルコンパウンド1abを作製した。
【0165】
上述のアイオノマー樹脂/PET積層フィルムからPETフィルムを除去し、深絞り成形可能なアイオノマー樹脂フィルムを得た。図2(B)に示されるような真空加熱圧着装置として、両面真空成型機(布施真空株式会社製)を採用し、該装置内に設置したアルミ製の型上にアイオノマー樹脂フィルムを固定した。該フィルムの表面温度が120℃になるように加熱条件を設定した。次いで、上述した図2(B)~図2(E)で示されるような手順に従って、加熱したフィルムをエアーが巻き込まれないように型の表面に積層し、図2(F)に示されるような一体品を作製した。
【0166】
剥離フィルムであるYB-2上に補強基材であるガラスペーパーGMC10-MR6を配置した後、シリコーンゲルコンパウンド1abを、係るガラスペーパー上に150μmのギャップ間隔を有するナイフコーターで塗工して、底部外層を備える底部外層用積層シートを得た。
【0167】
アイオノマー樹脂フィルムで覆われた一体品の空洞部にシリコーンゲルコンパウンド1abを充填し、次いで、充填したシリコーンコンパウンド1ab上に、エアーが巻き込まれないように底部外層用積層シートを積層した。係るシートが型に均一に密着するように、シート上にゴムローラーを適用してシートを平坦化させ、最終一体品を作製した。最終一体品を120℃のオーブンに10分間静置してシリコーンゲルを加熱硬化させた。次いで、最終一体品をオーブンから取り出して冷却し、アイオノマー樹脂フィルムが型から除去されるように、硬化させた三次元形状熱伝導性成形体を型から取り出した。次いで、冷えて固くなる前に、三次元形状熱伝導性成形体からアイオノマー樹脂フィルムを除去し、三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルを得た。ここで、使用した型は、図11に示されるような略正六角形の上部平坦面を有する突起層が得られるような形状を備えており、係る型から得られた三次元形状熱伝導性成形体の評価サンプルは、表4に示されるような、間隙の幅(A)、突起層の高さ(B)、突起層底面の外接円の直径(C)、テーパー角度、及び1平方インチ当たりの突起数を有していた。
【0168】
<例10~11>
表4に示される、間隙の幅(A)、突起層の高さ(B)、突起層底面の外接円の直径(C)、テーパー角度、1平方インチ当たりの突起数を満たす三次元形状熱伝導性成形体が得られる型に変更した以外は、例9と同一の方法で例10及び例11の評価サンプルを得た。
【0169】
<比較例4>
シリコーンコンパウンド1abを2枚の剥離ライナー(YB-2)間に適用し、該ライナー間のギャップを2.1mmにセットしたナイフコーターヘッドを通して厚さ1.5mmのシリコーンゲルシートを得た。次いで、このシートを120℃のオーブン中で20分間静置してシリコーンゲルシートを硬化させた後、4枚をラミネートすることで厚さ6.0mmの評価サンプルを得た。
【0170】
<比較例5>
シリコーンコンパウンド1abを2枚の剥離ライナー(YB-2)間に適用し、該ライナー間のギャップを2.1mmにセットしたナイフコーターヘッドを通して厚さ1.5mmのシリコーンゲルシートを得た。次いで、このシートを120℃のオーブン中で20分間静置してシリコーンゲルシートを硬化させた後、3枚をラミネートすることで厚さ4.5mmの評価サンプルを得た。
【0171】
<比較例6>
シリコーンコンパウンド1abを2枚の剥離ライナー(YB-2)間に適用し、該ライナー間のギャップを2.1mmにセットしたナイフコーターヘッドを通して厚さ1.5mmのシリコーンゲルシートを得た。次いで、このシートを120℃のオーブン中で20分間静置してシリコーンゲルシートを硬化させた後、2枚をラミネートすることで厚さ3mmの評価サンプルを得た。
【0172】
例9~11、及び比較例4~6における各評価サンプルの、アスカーC硬度、圧縮応力(1mm圧縮時の応力)、熱抵抗(1mm圧縮時の熱抵抗)及び引っ張り強さの結果等を表4に示す。
【0173】
【表4】
【0174】
比較例4~6のような、従来の平坦な放熱シートの場合、成形体の厚さが薄くなるにしたがい、熱抵抗は低くなる傾向を呈するが、圧縮応力及び引張り接着強さは逆に高くなる傾向を呈していた。その結果、従来の平坦な放熱シートで熱抵抗の低い成形体を得ようとすると、圧縮応力及び引張り接着強さが高くなってしまうため、係る放熱シートは、被着体の破壊又はリワーク性の悪化などをもたらしていた。一方、本開示の第2の三次元形状熱伝導性成形体の場合は、例9~11から分かるように、成形体の厚さが、比較例6のサンプルの厚さと同一又はそれ未満の構成であっても、熱抵抗に加え、圧縮応力及び引張り接着強さも低く抑え得ることが確認された。したがって、本開示の第2の三次元形状熱伝導性成形体は、良好な熱伝導性が得られるとともに、従来の平坦な放熱シートに比べて、被着体に対する不具合を低減できることが分かった。
【符号の説明】
【0175】
1、60 第1の三次元形状熱伝導性成形体
2、13、110 底部外層
3、12 中間部材
4 上部外層
10 上部外層積層フィルム
20 型
30 真空加熱圧着装置
31 第1真空室
32 第2真空室
33 台座
34 仕切り板
35 昇降台
40 一体品
50 最終一体品
100 第2の三次元形状熱伝導性成形体
102 剥離フィルム
104、108 シリコーン系材料
106 補強基材
112 突起層
114 間隙
a 第1の高さ
b 第2の高さ
A 間隙の幅
B 突起層の高さ
C 突起層底面の外接円の直径
D 第2の三次元形状熱伝導性成形体の厚さ
θ テーパー角
本開示の実施態様の一部を以下の[項目1]-[項目23]に記載する。
[項目1]
熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む、三次元形状熱伝導性成形体であって、
該成形体は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、前記底面より上方の前記三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する、三次元形状熱伝導性成形体。
[項目2]
前記三次元形状部の少なくとも一部が、シリコーン系材料を含む上部外層で覆われている、項目1に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目3]
不織布が底面側に内在している、項目1又は2に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目4]
前記三次元形状部の形状の少なくとも一部が、略ドーム状又は略かまぼこ状である、項目1~3の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目5]
前記三次元形状部の形状が、該形状部を適用する被着部材の形状と略一致している、項目1~3の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目6]
前記成形体が、前記底面を構成する底部外層と、該底部外層を覆うように配置される上部外層と、前記底部外層と前記上部外層との間に配置される中間部材とを含み、上部外層、中間部材及び底部外層が、シリコーン系材料を含む、項目1~5の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目7]
前記上部外層及び前記底部外層、又は前記底部外層及び前記中間部材が同一材料よりなり一体化されている、項目6に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目8]
前記上部外層がシリコーンゴムを含み、前記中間部材はシリコーンゲルを含み、及び前記底部外層はシリコーンゴム又はシリコーンゲルを含む、項目6又は7に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目9]
前記中間部材が前記上部外層及び/又は前記底部外層よりも柔軟である、項目6~8の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目10]
前記底面と、該底面を除く三次元形状熱伝導性成形体の表面部分とのタック性が相違する、項目1~9の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目11]
三次元形状熱伝導性成形体の製造方法であって、
熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を準備する工程と、
略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、前記底面より上方の前記三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する成形体が得られる型を準備する工程と、
前記型内面に接触し得るように、伸長可能フィルムを型上に配置する工程と、
前記型に前記伸長可能フィルムを貼り合わせる工程と、
前記伸長可能フィルムを貼り合わせた前記型の空洞部に前記混合物を充填し、任意に成形体の底面となる部分に対して平坦化処理を行う、工程と、
前記型内の混合物を硬化させる工程と、
任意に前記型を冷却後、前記伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を前記型から取り出し、任意に前記伸長可能フィルムを除去し、任意に型形状が付されていない部分を打ち抜き、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法。
[項目12]
三次元形状熱伝導性成形体の製造方法であって、
伸長可能フィルムと剥離フィルムとを含む積層フィルムの前記伸長可能フィルム上に、熱伝導性材料を含有する第1のシリコーン系材料を適用し、硬化させて上部外層を形成する工程と、
前記上部外層を備える積層フィルムの剥離フィルムを除去した後、型内面に前記伸長可能フィルムが接触し得るように、該積層フィルムを型上に配置する工程であって、前記型は、略平坦な底面と、該底面内に位置する三次元形状部とを有し、前記底面より上方の前記三次元形状部の高さが少なくとも2か所において相違する成形体が得られる型である、工程と、
前記型に前記積層フィルムを貼り合わせる工程と、
前記積層フィルムを貼り合わせた前記型の空洞部に、熱伝導性材料を含有する第2のシリコーン系材料を含む中間部材を充填し、任意に成形体の底面側に位置する部分に対して平坦化処理を行う、工程と、
任意に、剥離フィルム上に熱伝導性材料を含有する第3のシリコーン系材料を適用して底部外層を形成し、該底部外層が、前記上部外層と空洞部に充填した前記中間部材とを覆うように、該底部外層を含む剥離フィルムを、該剥離フィルムが最表層となるように型上に配置する工程と、
前記中間部材を構成する第2のシリコーン系材料、及び存在する場合は底部外層を構成する第3のシリコーン系材料を硬化させる工程と、
任意に前記型を冷却後、前記伸長可能フィルム及び任意に存在する前記剥離フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を前記型から取り出し、任意に前記伸長可能フィルム及び/又は任意に存在する前記剥離フィルムを除去し、任意に前記中間部材を含まない前記上部外層部分及び存在する場合は前記底部外層部分を打ち抜き、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法。
[項目13]
複数の突起層、及び底部外層を備える、三次元形状熱伝導性成形体であって、
前記突起層が、熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含み、
前記底部外層が、熱伝導性材料、シリコーン系材料及び補強基材を含み、
前記突起層は、隣接する突起層の底面外周部と接触しておらず、隣接する突起層間に間隙を有するように配置されており、
下記式(I)
【数8】
[式中、αは0.70~1.00であり、Xは間隙が突起層の圧縮変形によって完全に充填されるときの圧縮率(%)であり、Yは底部外層上面の総面積のうち突起層底面の総面積が占める割合(%)である。]
を満足する、三次元形状熱伝導性成形体。
[項目14]
前記間隙の幅が略均等である、項目13に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目15]
前記突起層の上面が略平坦面である、項目13又は14に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目16]
前記略平坦面の形状が、略正三角形、略正方形、略正五角形、略正六角形、略長方形、又は略波型形状であり、前記突起層は、前記形状の各辺に沿った断面部を有し、隣接する突起層の前記形状における隣接する各辺が略平行状態にある、項目15に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目17]
前記突起層のテーパー角が80°~90°である、項目13~16の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目18]
前記突起層のアスカーC硬度が0~30である、項目13~17の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目19]
三次元形状熱伝導性成形体を被着体に適用して50%圧縮したときの接触面積が、三次元形状熱伝導性成形体を被着体に圧縮せずに適用したときの接触面積に比較して40%以上増加する、項目13~18の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目20]
突起層を5個/inch 以上有する、項目13~19の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目21]
底部外層の厚さが0.5mm以下であり、三次元形状熱伝導性成形体の厚さが4.0mm以下である、項目13~20の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体。
[項目22]
項目13~21の何れか一項に記載の三次元形状熱伝導性成形体の製造方法であって、
熱伝導性材料及びシリコーン系材料を含む混合物を準備する工程と、
三次元形状熱伝導性成形体の突起層及び間隙を形成し得る型を準備する工程と、
前記型内面に接触し得るように、伸長可能フィルムを型上に配置する工程と、
前記型に前記伸長可能フィルムを貼り合わせる工程と、
前記伸長可能フィルムを貼り合わせた前記型の空洞部に前記混合物を充填する工程と、
剥離フィルム上に底部外層を備える底部外層用積層体を、底部外層が空洞部に充填した混合物を覆い剥離フィルムが最表層となるように型上に配置する工程と、
前記混合物及び底部外層のシリコーン系材料を硬化させる工程と、
任意に前記型を冷却後、前記伸長可能フィルムを備える三次元形状熱伝導性成形体を前記型から取り出し、任意に前記伸長可能フィルム及び/又は剥離フィルムを除去し、三次元形状熱伝導性成形体を得る工程と、を含む、三次元形状熱伝導性成形体の製造方法。
[項目23]
前記伸長可能フィルムが、ポリオレフィン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、アイオノマー樹脂、及びフッ素系樹脂から選択される少なくとも1つの樹脂を含む、項目11、12又は22に記載の三次元形状熱伝導性成形体の製造方法。
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