(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-06
(45)【発行日】2022-04-14
(54)【発明の名称】車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20220407BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20220407BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220407BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220407BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20220407BHJP
【FI】
B60R16/02 630L
G01C21/36
B60K35/00 A
B60R11/02 C
G02B27/01
(21)【出願番号】P 2018096833
(22)【出願日】2018-05-21
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神保 瑞翔
(72)【発明者】
【氏名】笹崎 康則
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-93550(JP,A)
【文献】特開2011-201497(JP,A)
【文献】特開2015-226304(JP,A)
【文献】特開2017-21546(JP,A)
【文献】特開2017-30600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G01C 21/36
B60K 35/00
B60R 11/02
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置において、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得部と、
前記ドライバーの操作の情報を受け付ける操作情報取得部と、
表示に供する画像を形成する表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
前記周辺情報取得部により取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定し、
前記メニュー表示領域を放射状に分割して形成された小領域に車両の操作に係るメニューを表示する
車両用表示装置。
【請求項2】
前記操作情報取得部により取得される前記操作の情報が、
指のスライド操作をガイドする円形形状のガイド部と、押圧操作可能な押圧操作部とを備えた操作部による前記操作の情報である
請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記メニュー表示領域の内側の円形形状の領域に前記前方車両の全景が収まるように、前記メニュー表示領域の内径を可変する
請求項1又は請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、
前記円形形状の領域の拡大により前記メニュー表示領域におけるメニューの表示を文字表示からアイコンによる表示に切替える
請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記前方車両との間に、隣接車線からの車両が侵入する場合、前記隣接車線からの車両を囲む前記リング形状により新たなメニュー表示領域を形成し、
前記隣接車線からの車両の進入により、徐々に、前記メニュー表示領域の表示を前記新たなメニュー表示領域の表示に切替える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかに記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、
走行中の車線から隣接車線に車線を変更する場合、前記隣接車線の前記前方車両を囲む前記リング形状により新たなメニュー表示領域を形成し、
前記隣接車線への車線変更により、徐々に、前記メニュー表示領域の表示を前記新たなメニュー表示領域の表示に切替える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかに記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、
前記新たなメニュー表示領域の表示を前記メニュー表示領域側から徐々に視認できるようにしながら、前記メニュー表示領域の表示を前記新たなメニュー表示領域側から徐々に視認できないようにすることにより、
徐々に、前記メニュー表示領域の表示を前記新たなメニュー表示領域の表示に切替える
請求項5又は請求項6に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、
車線変更時及び又は進路変更時、注意すべき対象の検出により前記メニュー表示領域の表示を強調表示に切替える
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7の何れかに記載の車両用表示装置。
【請求項9】
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置の制御方法において、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得ステップと、
前記ドライバーの操作の情報を取得する操作情報取得ステップと、
表示に供する画像を形成する表示部を制御する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、
前記周辺情報取得ステップにより取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定し、
前記メニュー表示領域を放射状に分割して形成された小領域に車両の操作に係るメニューを表示する
車両用表示装置の制御方法。
【請求項10】
演算処理回路における実行により所定の処理手順を実行させる車両用表示装置の制御プログラムにおいて、
前記車両用表示装置が、
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する前記車両用表示装置であり、
前記処理手順が、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得ステップと、
前記ドライバーの操作の情報を取得する操作情報取得ステップと、
表示に供する画像を形成する表示部を制御する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、
前記周辺情報取得ステップにより取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定し、
前記メニュー表示領域を放射状に分割して形成された小領域に車両の操作に係るメニューを表示する
車両用表示装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドアップディスプレイ装置による車両用表示装置に関して、ドライバーの前方空間に、虚像により種々の画像を表示する工夫が提案されている。このような車両用表示装置は、ウインドシールドを介して前方を視認したドライバーの視界に、種々の画像を表示することができる。
【0003】
このような車両用表示装置に関して、特許文献1には、円形形状の領域を放射状に分割して各種操作のメニューを表示する構成が開示されている。この特許文献1に開示の構成によれば、安全性を損なうことなく、簡易かつ迅速にブラインド操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献1に開示の構成のように、簡易かつ迅速にブラインド操作できるようにして、一段と前方の視認性を向上することができれば、一段と安全性を向上できると考えられる。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、従来に比して一段と前方の視認性を向上して、簡易かつ迅速にブラインド操作することができる車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラムを提案すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
係る課題を解決するため、請求項1の発明に係る車両用表示装置は、
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置において、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得部と、
前記ドライバーの操作の情報を受け付ける操作情報取得部と、
表示に供する画像を形成する表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部とを備え、
前記表示制御部は、
前記周辺情報取得部により取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定し、
前記メニュー表示領域を放射状に分割して形成された小領域に車両の操作に係るメニューを表示する。
【0008】
請求項1の構成によれば、前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定して各種のメニューを表示することにより、前方車両に関する視認性を充分に確保することができる。またこのようにリング形状によりメニュー表示領域を形成する場合には、ブラインド操作により、簡易かつ迅速に所望のメニューを選択することができる。
これにより従来に比して一段と前方の視認性を向上して、簡易かつ迅速にブラインド操作することができる。
【0009】
また請求項2の発明においては、
請求項1の構成において、
前記操作情報取得部により取得される前記操作の情報が、
指のスライド操作をガイドする円形形状のガイド部と、押圧操作可能な押圧操作部とを備えた操作部による前記操作の情報である。
【0010】
請求項2の構成によれば、
リング形状によるメニュー表示領域に対応する操作部の構成により、ブラインド操作により、簡易かつ迅速に所望のメニューを選択することができる。
【0011】
請求項3の発明は、
請求項1又は請求項2の構成において、
前記表示制御部は、
前記メニュー表示領域の内側の円形形状の領域に前記前方車両の全景が収まるように、前記メニュー表示領域の内径を可変する。
【0012】
請求項3の構成によれば、
前方車両までの距離が変化した場合であっても、この距離の変化に対応するように円形形状の領域の大きさを可変して、確実に前方車両に関する視認性を向上し、安全性を向上することができる。
【0013】
請求項4の発明は、
請求項3の構成において、
前記表示制御部は、
前記円形形状の領域の拡大により前記メニュー表示領域におけるメニューの表示を文字表示からアイコンによる表示に切替える。
【0014】
請求項4の構成によれば、前方車両との車間距離の低下等によりメニュー表示領域を著しく拡大させなくても、適切にメニューを表示することができ、前方車両以外の前方視界の低下を有効に回避して、操作性の低下を防止することができる。
【0015】
請求項5の発明は、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかの構成において、
前記表示制御部は、
前記前方車両との間に、隣接車線からの車両が侵入する場合、前記隣接車線からの車両を囲む前記リング形状により新たなメニュー表示領域を形成し、
前記隣接車線からの車両の進入により、徐々に、前記メニュー表示領域の表示を前記新たなメニュー表示領域の表示に切替える。
【0016】
請求項5の構成によれば、隣接車線からの車両の車線変更に関して、ドライバーに注意を喚起することができる。
【0017】
請求項6の発明は、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかの構成において、
前記表示制御部は、
走行中の車線から隣接車線に車線を変更する場合、前記隣接車線の前記前方車両を囲む前記リング形状により新たなメニュー表示領域を形成し、
前記隣接車線への車線変更により、徐々に、前記メニュー表示領域の表示を前記新たなメニュー表示領域の表示に切替える。
【0018】
請求項6の構成によれば、隣接車線への車線変更に関して、ドライバーに注意を喚起することができる。
【0019】
請求項7の発明は、
請求項5又は請求項6の構成において、
前記表示制御部は、
前記新たなメニュー表示領域の表示を前記メニュー表示領域側から徐々に視認できるようにしながら、前記メニュー表示領域の表示を前記新たなメニュー表示領域側から徐々に視認できないようにすることにより、
徐々に、前記メニュー表示領域の表示を前記新たなメニュー表示領域の表示に切替える。
【0020】
請求項7の構成によれば、メニュー表示領域の切替えを直観的に把握できることにより、使い勝手を向上することができる。
【0021】
請求項8の発明は、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7の何れかの構成において、
前記表示制御部は、
車線変更時及び又は進路変更時、注意すべき対象の検出により前記メニュー表示領域の表示を強調表示に切替える。
【0022】
請求項8の構成によれば、歩行者、他の車両等への注意を喚起することができる。
【0023】
請求項9の発明は、
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する車両用表示装置の制御方法において、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得ステップと、
前記ドライバーの操作の情報を取得する操作情報取得ステップと、
表示に供する画像を形成する表示部を制御する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、
前記周辺情報取得ステップにより取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定し、
前記メニュー表示領域を放射状に分割して形成された小領域に車両の操作に係るメニューを表示する。
【0024】
請求項9の構成によれば、前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定して各種のメニューを表示することにより、前方車両に関する視認性を充分に確保することができる。またこのようにリング形状によりメニュー表示領域を形成する場合には、ブラインド操作により、簡易かつ迅速に所望のメニューを選択することができる。
これにより従来に比して一段と前方の視認性を向上して、簡易かつ迅速にブラインド操作することができる。
【0025】
請求項10の発明は、
演算処理回路における実行により所定の処理手順を実行させる車両用表示装置の制御プログラムにおいて、
前記車両用表示装置が、
ドライバーの前方空間に、虚像により画像を表示する前記車両用表示装置であり、
前記処理手順が、
前方車両の情報を取得する周辺情報取得ステップと、
前記ドライバーの操作の情報を取得する操作情報取得ステップと、
表示に供する画像を形成する表示部を制御する表示制御ステップとを備え、
前記表示制御ステップは、
前記周辺情報取得ステップにより取得した情報により、前記前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定し、
前記メニュー表示領域を放射状に分割して形成された小領域に車両の操作に係るメニューを表示する。
【0026】
請求項10の構成によれば、前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定して各種のメニューを表示することにより、前方車両に関する視認性を充分に確保することができる。またこのようにリング形状によりメニュー表示領域を形成する場合には、ブラインド操作により、簡易かつ迅速に所望のメニューを選択することができる。
これにより従来に比して一段と前方の視認性を向上して、簡易かつ迅速にブラインド操作することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の車両用表示装置、車両用表示装置の制御方法、車両用表示装置の制御プログラムによれば、従来に比して一段と前方の視認性を向上して、簡易かつ迅速にブラインド操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用表示装置の説明に供する断面図である。
【
図3】
図1の車両用表示装置における操作部を示す図である。
【
図4】前方車両が存在する場合のメニュー表示を示す略線図である。
【
図5】前方車両が存在しない場合のメニュー表示を示す略線図である。
【
図6】走行車線を変更する場合のメニュー表示を示す略線図である。
【
図7】隣接車線からの車両の進入時におけるメニュー表示を示す略線図である。
【
図8】
図1の車両用表示装置における動作の説明に供するフローチャートである。
【
図9】走行車線を変更する場合の動作の説明に供するフローチャートである。
【
図10】隣接車線からの車両の進入時における動作の説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る車両1の構成を示す断面図であり、運転席より前方部分を部分的に示す図である。
この車両1は、ダッシュボード内に、ヘッドアップディスプレイ装置による車両用表示装置2を備える。車両1は、この車両用表示装置2から画像表示に供する出射光Lを出射し、この出射光Lをウインドシールド3でドライバー4に向けて反射する。車両用表示装置2は、このウインドシールド3の反射光によりドライバー4の前方空間に虚像5を形成し、これによりウインドシールド3を介して車両の前方を視認可能とした状態で、ドライバー4の前方空間に虚像5により種々の画像を表示する。
この車両1では、この車両用表示装置2による画像により各種のメニューを表示し、このメニューの選択操作による種々の操作を受け付ける。
【0030】
図2は、車両用表示装置2を周辺構成と共に示す図である。
車両用表示装置2は、表示部11、周辺情報取得部13、操作情報取得部14、通信インターフェース15、表示制御部16を備える。
車両用表示装置2は、車両用表示装置の制御プログラムを演算処理回路で実行することにより、この
図2に示す機能ブロックが構成される。
これによりこの制御プログラムの実行による処理手順は、周辺情報取得部13、操作情報取得部14、表示制御部16にそれぞれ対応して、対応する処理を実行する周辺情報取得ステップ、操作情報取得ステップ、表示制御ステップを備える。
【0031】
表示部11は、表示に供する画像を形成する構成である。表示部11は、表示器11Aに設けられた画像表示パネルにより表示に供する画像を形成し、所定の光学系を介して、この画像表示パネルの出射光Lをウインドシールド3に出射する。
ここで画像表示パネルは、DMD(Digital Mirror Device)、液晶表示パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル等、種々の構成を広く適用することができる。
この実施形態において、車両用表示装置2は、この光学系にミラーM1、M2が設けられ、このミラーM1、M2により出射光Lの光路を折り曲げ、これにより全体構成を小型化するように構成される。
【0032】
周辺情報取得部13は、この車両1に設けられた周辺監視部21から周辺情報を取得する。
ここで周辺情報は、少なくとも走行中の車線の前方車両を把握可能な情報であり、さらには後述する各種の処理の実行に必要な情報を含む。具体的に、走行中の車線の前方車両までの距離を把握可能な情報、走行中の車線の前方車両の全景を把握可能な情報、隣接車線の車両を把握可能な情報、この隣接車線の車両の全景を把握可能な情報、注意すべき対象を把握可能な情報等を含む。
【0033】
ここで車両用表示装置2では、前方の撮像結果を画像処理することにより、走行中の車線における前方車両の有無、この前方車両までの距離、この前方車両の全景を把握することができる。また同様の画像処理により、隣接車線の車両の有無、この隣接車線の車両までの距離、この隣接車線の車両の全景を把握することができる。またこの撮像結果の画像処理により、例えば歩行者、他の車両等の注意を要する対象を検出することができる。
【0034】
これによりこの車両1では、周辺監視部21により車両1の周辺情報を取得できるように構成され、前方を撮像する前方風景撮像部が、この周辺監視部21に設けられる。
周辺情報取得部13は、この前方風景撮像部による撮像結果を周辺情報として取得する。なおこれに代えて、車両1側で画像処理して、前方車両の有無、前方車両までの距離等の情報を検出するようにして、この検出した情報を周辺情報として周辺情報取得部13で取得するようにしてもよい。
このようにすれば、車両1に設けられた自動運転モードに係る構成等を有効利用して、車両用表示装置2の構成を簡略化することができる。
【0035】
操作情報取得部14は、この車両1に設けられた操作部22から、ドライバー4の操作の情報を取得する。
ここで操作部22は、いわゆるクリックホイールであり、指のスライド操作をガイドする円形形状のガイド部と、押圧操作可能な押圧操作部とによりドライバー4による操作を検出する構成である。操作部22は、ステアリングホイールを把持した指により操作可能に、ステアリングスポークに設けられる。
【0036】
図3は、この操作部22の構成を示す図であり。
図3(A)は平面図であり、
図3(B)は、この
図3(A)の構成をA-A線により切り取って示す部分断面図である。なお
図3(A)では、ステアリングホイールを把持した状態で、操作部22を操作するドライバー4の親指を示す。
操作部22は、第1及び第2の板状部材22D、22Eの積層により構成され、表面側となる第1の板状部材22Dの表面側に形成された凸部によりガイド部22Aが形成される。
ここでこの実施形態において、ガイド部22Aは、円形形状による領域の外周に沿って延長する凸部により形成されている。しかしながらガイド部は、ブラインド操作により指を添わせて移動させた際に、この移動の軌跡が円形形状となるように形成すればよく、これにより円形形状による領域の外周に沿って延長する凹部により形成してもよい。また円形形状の領域の全体を突出させてガイド部を構成してもよく、円形形状の領域の全体を凹部としてガイド部を構成してもよい。
操作部22は、この第1の板状部材22Dに、指による接触箇所を検出可能なシート材(例えばタッチセンサフィルム材)22Fが配置され、これにより例えば矢印Cにより示すように、ステアリングホイールを把持した状態で指を接触させて移動させると、この移動による指先の軌跡を検出可能に構成される。
【0037】
また操作部22は、裏面側である第2の板状部材22Eの特定箇所に、押圧操作を検出可能なスイッチが設けられ、このスイッチにより押圧操作可能な押圧操作部22Bが構成される。
より具体的に、押圧操作部22Bは、ガイド部22Aにガイドして指を移動させた際に押圧操作可能に、ガイド部22Aに沿った箇所に設けられる。またガイド部22Aを基準にして確実に押圧操作可能に、ガイド部22Aに係る円形形状の中心に設けられる。
【0038】
またこの操作部22には、このガイド部22Aの左側、下方に、操作を戻すためのスイッチ部22Cが設けられる。
これにより車両用表示装置2は、操作部22を使用して指先の感覚により簡易にブラインド操作することができる。
【0039】
通信インターフェース15(
図2)は、この車両用表示装置2により操作を受け付ける操作対象との間で種々の情報を入出力し、さらには車両情報等を車両1から取得する部位である。
車両1は、ナビゲーションシステム23により地図情報、ルートガイド等を提供できるように構成され、通信インターフェース15は、このナビゲーションシステム23との間で、ナビゲーションシステム23の操作に必要な情報を入出力する。
また車両1は、ネットワークに接続可能に構成され、通信インターフェース15は、ネットワーク上の各種のデータサーバー24に接続して、このデータサーバー24から音楽コンテンツ、メール等を取得する。
また通信インターフェース15は、車両ECU(Engine Cntrol Unit)25から車速、車線変更に係るウインカーの操作情報、車両1のドライブモード(スポーツモード、エコモード)等による車両情報を取得し、さらにはこれらの制御に係る情報、エアコンの制御に係る各種の情報を入出力する。
またさらに通信インターフェース15は、ドライバー4の所持した携帯電話の制御に係る各種の情報を、この携帯電話との間で入出力する。
【0040】
表示制御部16は、表示部11を制御する構成であり、周辺情報取得部13で取得した周辺情報、通信インターフェース15を介して取得される車両情報により、表示部11を制御して所定のメニューを表示する。またこのメニューの選択を操作情報取得部14で取得した操作の情報により検出し、選択されたメニューに対応する処理を各部に指示する。
【0041】
具体的に、ドライバー4によりナビゲーションのメニューが選択されると、ナビゲーションシステム23に動作を指示し、これによりルートガイド等の情報をドライバーに提供できるようにする。
またドライバー4によりエアコンのメニューが選択されると、車両ECU25にエアコンの動作を指示する。
またメールのメニューが指示されると、メールサーバーとして機能するデータサーバー24へのアクセスを指示してメールを取得する。
また電話のメニューが選択されると、携帯電話の起動を指示する。
また音楽再生のメニューが選択されると、コンテンツサーバーとして機能するデータサーバー24へのアクセスを指示し、音楽コンテンツの取得を指示する。
またドライブモードに係るメニューが選択されると、対応するドライブモードへの移行を車両ECU25に指示する。
なお表示制御部16は、これらの制御において、必要に応じてメニューの表示を切替え、これにより各制御における詳細設定(例えばエアコンにおいては、温度設定等、音楽再生ではコンテンツの選択等)を受け付ける。
表示制御部16は、各部からの情報を記憶部16Cに一旦記録して処理することにより、さらには記憶部16Cをワークエリアとして利用することにより、これらの処理を実行する。
【0042】
〔メニュー表示〕
表示制御部16において、判定部16Aは、走行中の車線について、前方車両の有無を判定する。
具体的に、判定部16Aは、周辺情報取得部13で取得される前方の撮像結果を画像処理することにより、この撮像結果から走行中の車線を検出する。また例えばパターンマッチングの手法の適用により走行中の車線に前方車両が存在するか否か判定する。
【0043】
また判定部16Aは、例えばステレオ視の手法を適用して撮像結果を処理することにより、前方車両までの距離を検出する。さらに撮像結果上における大きさを検出することにより、前方車両の大きさ(自車両より見て取られる大きさである)を検出する。
さらに判定部16Aは、同様にして隣接車線、この隣接車線を走行する前方車両、この隣接車線の前方車両までの距離、全景、ウインカーの点滅等、後述する各処理に必要な判定処理、検出処理を実行する。
【0044】
表示制御部16において、表示処理部16Bは、表示部11の制御により、これら判定部16Aによる判定結果、検出結果に応じてメニューを表示する。
【0045】
図4は、このメニューの表示の説明に供する略線図である。
なお以下においては、符号1Aによりウインドシールドを介して見て取ることができる前方視界を部分的に示し、符号2Aによりこの車両用表示装置2による画像表示領域を示し、また符号TLにより車線境界線を示す。
ここで前方車両31が走行中の車線に存在する場合であって、この前方車両31までの距離(車間距離である)Dが一定距離DTH以下である場合、ドライバー4より見てこの前方車両31を囲むようにリング形状によりメニュー表示領域AR1を表示し、このメニュー表示領域AR1を放射状に分割して形成された小領域AR11~AR16に車両1の操作に係るメニューを表示する。
【0046】
この
図4の例では、小領域AR11にはナビゲーションシステム23の選択メニューが割り当てられ、対応する「NAVI」の文字によりメニューが表示される。また小領域AR12には、エアコンの選択メニューが割り当てられ、対応する「AIR CONTOROL」の文字によりメニューが表示される。また小領域AR13には、メールの選択メニューが割り当てられ、対応する「MAIL」の文字によりメニューが表示される。また小領域AR14には、携帯電話の選択メニューが割り当てられ、対応する「TEL」の文字によりメニューが表示される。また小領域AR15には、音楽コンテンツの選択メニューが割り当てられ、対応する「AUDIO」の文字によりメニューが表示される。
【0047】
また小領域AR16には、ドライブモードの選択メニューが割り当てられ、内外周方向に2つの小領域AR16A、AR16Bに分割されて、内周側領域AR16Aに対応する「DRIVE MODE」の文字が表示される。また外周側領域AR16Bは、さらに放射状に分割されて、具体的なドライブモードの選択メニューが割り当てられ、それぞれエコモードを示す2枚葉の若葉をイラスト化したアイコン、スポーツモードを示すボールをイラスト化したアイコンが表示される。
またさらに、操作部22のガイド部22Aにドライバー4が指を添えている場合、メニュー表示領域AR1は、内側の円形形状の領域から外周側に延長するように、針状の指針Kが表示される。ここで指針Kは、操作部22に設けられたガイド部22Aの何れの箇所にドライバー4の親指が添えているかを把握できるようにする表示であり、操作部22における操作に応じてメニュー表示領域AR1の中心を回転中心にしてその向きが変化するように表示される。これによりこの車両用表示装置2では、一段と簡易かつ確実にブラインド操作できるように構成される。
【0048】
表示制御部16は、操作情報取得部14により取得される操作部22の操作情報に基づいて、ドライバー4がガイド部22Aに沿って指を移動させると、これに応動するように、指針Kを表示してその向きを変化させながら、フォーカスするメニューを順次切り替えると共に、このフォーカスしたメニューの表示を切替える。また押圧操作によりフォーカスしているメニューに係る選択操作を受け付け、対応する動作をナビゲーションシステム23等に指示する。また操作を戻すためのスイッチ部22Cの押圧操作により選択の取り消しを受け付けて対応する処理を実行する。
【0049】
このように前方車両31を囲むようにリング形状によりメニュー表示領域AR1を表示し、このメニュー表示領域AR1を放射状に分割して形成された小領域AR11~AR16に車両1の操作に係るメニューを表示することにより、車両1では、前方車両31を確実に視認できるようにして、殆ど視線を移動させることなく、所望するメニューを選択することができる。
これにより前方車両に関する視認性を充分に確保することができ、さらにはブラインド操作により、簡易かつ迅速に所望のメニューを選択することができる。
これにより従来に比して一段と前方の視認性を向上して、簡易かつ迅速にブラインド操作することができる。
【0050】
特にこの実施形態では、操作部22の操作によりメニューの選択を受け付けるようにして、この操作部22が、指のスライド操作をガイドする円形形状のガイド部22Aと、押圧操作可能な押圧操作部22Bとを備えることにより、リング形状によるメニュー表示領域AR1に対応する操作部の構成により、さらには指針Kの表示により、簡易かつ迅速にブラインド操作により所望のメニューを選択することができる。また操作部22の操作によるメニューの選択を直感的に把握することができ、これによっても簡易にブラインド操作することができる。
【0051】
この実施形態では、このリング形状によるメニュー表示領域AR1の設定が、前方車両31が存在する場合であって、この前方車両31までの車間距離Dが一定距離DTH以下である場合に適用される。
ここでこの一定距離DTHは、走行時において、前方車両がはるか前方に存在する場合を除く趣旨により設定され、例えば前方車両の挙動に注意を払うことが望ましいとされる車間距離である。これによりこの一定距離DTHは、車速の増大により増加するように設定される。
これにより車両用表示装置2では、前方車両31に注意を払うことが望ましい場合には、確実に前方車両31を確認できるようにメニューを表示し、安全性を充分に確保することができる。
【0052】
さらにこの実施形態において、メニュー表示領域AR1は、内側の円形形状の領域に前方車両の全景が収まるように内径が可変される。
より具体的に、メニュー表示領域AR1は、外径W2が一定値に保持される。またさらに所定の上限値を限度として、車両1側から見て取られる前方車両31の大きさに応じて内径W1が変化するように形成される。これによりメニュー表示領域AR1は、車間距離Dが変化した場合にあっても、メニュー表示領域AR1の内周側、円形形状の領域に前方車両31の全景が収まるように形成される。
【0053】
これにより車両用表示装置2では、前方車両31までの車間距離Dが変化して車両1より見て取られる前方車両31の大きさが増大した場合でも、従来に比して確実に前方車両31に関する視認性を向上することができ、安全性を向上させることができる。
【0054】
またこれによりメニュー表示領域AR1は、この円形形状の領域の拡大により幅が変化することになる。これにより表示処理部16Bは、この円形形状の領域が一定値以上に増大して、各メニューの表示する内外周方向の領域幅が小さくなると、メニューの表示(この
図4の例では外周側領域AR16Bの表示)を文字表示からアイコンによる表示に切替える。
なおこのアイコンによるメニュー表示は、
図4の例では、ドライブモードの選択メニューに係るアイコンのメニュー表示である。
これにより車両用表示装置2では、メニュー表示領域AR1を拡大させることなく、適切にメニューを表示するようにして、前方車両31以外の前方視界の低下を有効に回避し、操作性の低下を防止する。
【0055】
なおこのような前方車両31の見掛けの大きさによるメニュー表示領域AR1の内径W1の増大は、一定の上限値を限度として実行され、これによりメニュー表示領域AR1は、一定幅以下とならないように維持される。
これにより例えば交差点等で前方車両に続いて停車して前方車両との車間距離Dが著しく短くなった場合等にあっては、メニュー表示領域AR1の内側、円形形状の領域に前方車両31の全景が収まらないようにメニューを表示して、実用性を損なわないようにする。
【0056】
これに対して一定距離DTH以下の範囲に、前方車両31が存在しない場合、表示処理部16Bは、
図5に示すように、円形形状によるメニュー表示領域AR2を表示し、このメニュー表示領域AR2を放射状に分割して形成された小領域AR21~AR26に車両1の操作に係るメニューを表示する。
【0057】
ここで
図5は、
図4との対比により一定距離DTH以下の範囲に前方車両が存在しない場合の説明に供する略線図である。このメニュー表示領域AR2は、メニュー表示領域AR1に対応するように放射状に分割されて小領域AR21~AR26が形成され、メニュー表示領域AR1に対応するメニューが各小領域AR21~AR26に設けられる。
またさらに、操作部22のガイド部22Aにドライバー4が指を添えている場合、メニュー表示領域AR2は、中心から外周側に延長するように、針状の指針Kが表示される。ここで指針Kは、操作部22に設けられたガイド部22Aの何れの箇所にドライバー4の親指が添えているかを把握できるようにする表示であり、操作部22における操作に応じてメニュー表示領域AR2の中心を回転中心にしてその向きが変化するように表示される。これによりこの車両用表示装置2では、一段と簡易かつ確実にブラインド操作できるように構成される。
【0058】
また小領域AR26は、メニュー表示領域AR1と同様に、内外周方向に2つの領域AR26A、AR26Bに分割され、内周側領域AR26Aに対応するメニューが表示される。
これに対して外周側領域AR26Bは、さらに放射状に分割されて、具体的なドライブモードの選択メニューが割り当てられて、文字及びアイコンによりメニューが表示される。
これにより車両用表示装置2は、充分な大きさにより表示領域を確保できる場合には、文字及びアイコンの双方によりメニューを表示して、使い勝手を向上する。
また前方車両が存在しない場合、円形形状によりメニュー表示領域AR2を形成することにより、さらにはこのメニュー表示領域AR2におけるメニューの割り当てを、メニュー表示領域AR1に対応するように設定することにより、一段と使い勝手を向上することができる。
【0059】
表示処理部16Bは、判定部16Aにより検出される走行中車線の検出結果に基いて、走行中の車線の中央に位置するように、メニュー表示領域AR2の表示位置を設定する。
これにより車両用表示装置2では、走行車線を目視した状態で、メニュー表示領域AR2を視認できるように構成される。
【0060】
〔車線変更時の表示〕
ところでこのようにメニュー表示領域AR1、AR2を表示する場合、車線の変更により前方車両が存在しなくなったり、また前方車両が存在するようになったりする場合がある。また車線変更の前後の双方で前方車両が存在する場合もある。
これらの場合、メニュー表示領域AR1、AR2の表示を対応する表示に切替えることが必要となる。
【0061】
そこで表示制御部16は、判定部16Aにより走行中の車線から隣接車線への車線変更の開始を検出し、車線変更先である隣接車線において、車両1の前方、一定距離以下の範囲に前方車両が存在する場合、この隣接車線の前方車両を囲むリング形状により新たなメニュー表示領域を形成する。
また表示処理部16Bにより、車線変更を開始して車線変更を完了するまでの間、徐々に、それまでのメニュー表示領域の表示を新たなメニュー表示領域の表示に切替える。
なおここでこの一定距離は、車線変更後において、車間距離Dが一定距離DTH以下となると予測される距離であり、これによりリング形状によるメニュー表示領域AR1と円形形状のメニュー表示領域AR2との選択に係る一定距離DTHを適用することができるものの、自車両の速度と隣接車線を走行する車両の速度とに応じて適宜、変更するようにしてもよい。
【0062】
また隣接車線において、一定距離以下の範囲で前方車両が検出できない場合、円形形状により新たなメニュー表示領域AR2を形成し、車線変更を開始して車線の変更が完了するまでの間、徐々に、それまでのメニュー表示領域の表示を、この円形形状による新たなメニュー表示領域AR2の表示に切替える。
【0063】
ここで車線変更の開始は、車両ECU25から取得された車両情報によりウインカーの操作を検出して実行される。また車線変更の完了は、車両情報によりステアリング操作を検出して判定することにより、さらには前方の撮像結果より車線の変化を検出することによっても実行することができる。
これらにより車両用表示装置2は、隣接車線への車線変更に関して、ドライバー4に注意を喚起することができる。
【0064】
図6は、この車線変更時における動作の説明に供する略線図であり、
図6(A)は車線変更開始時を示し、
図6(B)は、
図6(A)により示す時点より車線変更が進行した状態を示す。また符号WR、WLによりウインカーを示す。
【0065】
この場合、それまで前方車両31が存在することによりリング形状によりメニュー表示領域AR1Aを表示して、ウインカーの操作により変更先の車線における前方車両を検出する。
ここでこの
図6の例では、変更先の隣接車線において、一定距離の範囲で先行車両を検出できないことにより、円形形状により新たなメニュー表示領域AR2Bを形成し、車線変更を開始して車線変更を完了するまでの間、徐々に、それまでのメニュー表示領域AR1Aの表示を新たなメニュー表示領域AR2Bの表示に切替える。
なおこのように円形形状により新たなメニュー表示領域AR2Bを表示する場合、表示位置は、隣接車線の中央である。
【0066】
表示処理部16Bは、新たなメニュー表示領域AR2Bの表示をそれまでのメニュー表示領域AR1A側から徐々に視認できるようにしながら、それまでのメニュー表示領域AR1Aの表示を新たなメニュー表示領域AR2B側から徐々に視認できないようにすることにより、徐々に、それまでのメニュー表示領域AR1Aの表示を新たなメニュー表示領域AR2Bの表示に切替える。
【0067】
より具体的に、新たなメニュー表示領域AR2Bの表示をそれまでのメニュー表示領域AR1A側からフェードインしながら、それまでのメニュー表示領域AR1Aの表示を新たなメニュー表示領域AR2B側からフェードアウトすることにより、徐々に、それまでのメニュー表示領域AR1Aの表示を新たなメニュー表示領域AR2Bの表示に切替える。
これにより車両用表示装置2は、メニュー表示領域の切替えを直観的に把握できることにより、使い勝手を向上することができる。
【0068】
なおこの場合、表示処理部16Bは、メニュー表示領域の表示に係る透明度を徐々に増大させることにより、フェードアウトの処理を実行し、これとは逆に、メニュー表示領域の表示に係る透明度を徐々に低下させることにより、フェードインの処理を実行する。
【0069】
なお、それまでのメニュー表示領域AR1Aと新たなメニュー表示領域との表示の切替えは、種々の手法、効果を適用することができ、例えばそれまでのメニュー表示領域AR1A全体の透明度と、新たなメニュー表示領域AR2B全体の透明度とを相補的に変化させて表示を切替えてもよく、さらにはそれまでのメニュー表示領域AR1Aと新たなメニュー表示領域とに非表示の領域を設定して、この非表示の領域の大きさを相補的に変化させて表示を切替えるようにしてもよい。
【0070】
さらにこのように車線変更する場合に、表示制御部16は、判定部16Aにおける画像処理により、注意すべき対象を検出し、表示処理部16Bにおいて、この注意すべき対象の検出によりメニュー表示領域の表示を強調表示に切替える。
ここでこの強調表示は、種々の表示方法を適用することができるものの、この実施形態では、メニュー表示領域の点滅表示が適用される。
なおこの注意すべき対象は、例えば歩行者、他の車両等であり、例えばテンプレートを使用したパターンマッチングにより撮像結果を処理して検出することができる。
これにより車両用表示装置2は、歩行者、他の車両等への注意を喚起することができる。
【0071】
〔車両進入時の表示〕
ところで円形形状によるメニュー表示領域AR2を表示している状態で、隣接車線から前方に車両が侵入し、この車両との車間距離Dが、リング形状によるメニュー表示領域AR1の選択に供する一定距離DTH以下となってしまう場合もある。またリング形状によるメニュー表示領域AR1を表示している状態で、前方車両との間に隣接車線から車両が侵入する場合もある。
これらの場合もメニュー表示領域の表示を切替えることが必要になる。
【0072】
そこで表示制御部16は、判定部16Aにより隣接車線からの前方への車両の進入を検出し、この進入する車両までの距離が、車両1の前方、一定距離DTH以下である場合であって、走行中の車線の前方車両との間に進入する場合、この隣接車線の前方車両を囲むリング形状により新たなメニュー表示領域を形成する。
またさらに隣接車線からの車両の進入により、徐々に、それまでのメニュー表示領域の表示を新たなメニュー表示領域の表示に切替える。
これにより車両用表示装置2では、隣接車線からの車両の進入に関して、ドライバー4に注意を喚起する。
【0073】
また円形形状によるメニュー表示領域AR2を表示している場合には、進入する車両までの距離が、車両1の前方、一定距離DTH以下である場合に、この隣接車線の前方車両を囲むリング形状により新たなメニュー表示領域AR1を形成し、同様にして表示を切替える。
【0074】
またこれらの場合も、車線変更時と同様に、フェードアウト、フェードインにより、新たなメニュー表示領域の表示をそれまでのメニュー表示領域側から徐々に視認できるように、それまでのメニュー表示領域の表示を新たなメニュー表示領域側から徐々に視認できないようにし、それまでのメニュー表示領域の表示を新たなメニュー表示領域の表示に切替える。
これにより車両用表示装置2は、メニュー表示領域の切替えを直観的に把握できるようにして、ドライバー4の注意を喚起し、使い勝手を向上することができる。
【0075】
図7は、この隣接車線からの車両の進入時における動作の説明に供する略線図であり、
図7(A)は進入開始直後を示し、
図7(B)は、
図7(A)により示す時点より時間経過した状態を示す。
【0076】
この場合、それまで走行中の車線上に前方車両31Aが存在することによりリング形状によりメニュー表示領域AR1Aを表示して、隣接車線を走行する前方車両31Bのウインカーの点滅により、この前方車両31Bの進入開始が検出される。
またこの場合、それまでの前方車両31Bまでの車間距離と、隣接車線の前方車両31Bまでの車間距離とにより、この隣接車線からの車両の進入が、走行中の車線における前方車両との間への進入であることが検出される。
【0077】
これによりこの進入する前方車両31Bを囲むようにリング形状により新たなメニュー表示領域AR2Bを形成し、この車両が侵入を開始して車線変更が完了するまでの間、徐々に、それまでのメニュー表示領域AR1Aの表示を新たなメニュー表示領域AR1Bの表示に切替える。
【0078】
なおこのように隣接車線から車両が侵入する場合にあっても、自車両が車線変更する場合と同様に、注意すべき対象を検出してメニュー表示領域の表示を強調表示に切替えるようにしてもよい。
【0079】
なお前方車両が隣接車線に車線変更しても、前方車両が切替わったり、車両進入時とは逆に前方車両が存在しなくなる。
これによりこの場合も、隣接車線からの車両進入時と同様に、新たなメニュー表示領域を作成し、それまでのメニュー表示領域の表示から徐々に表示を切替える。
【0080】
〔進路変更時の表示〕
またさらに交差点等において進路を変更する場合にあっても、走行車線を変更する場合と同様に、進路の変更によりメニュー表示領域の表示の切替えが必要になる場合がある。
具体的には、進路変更により前方車両がいなくなったり、これとは逆に進路変更により前方車両が存在するようになる場合である。
【0081】
これにより表示制御部16は、車線変更の場合と同様に、進路変更によりメニュー表示領域の表示を切替え、さらにはメニュー表示領域を強調表示する。
【0082】
図8は、リング形状によりメニュー表示領域AR1を表示する場合における車両用表示装置2における処理手順を示すフローチャートである。
この処理手順において、車両用表示装置2は、周辺監視部21で取得される周辺情報を周辺情報取得部13により取得し(ステップSP2)、さらに自車両の走行車線を検出する(ステップSP3)。またこのようにして取得した情報により、一定の車間距離以下の前方車両の存在の有無を検出することにより、リング形状によるメニュー表示領域AR1を表示する対象が存在するか否か判断し(ステップSP4)、この判断結果によりリング形状によるメニュー表示領域AR1又は円形形状によるメニュー表示領域AR2を表示する(ステップSP5)。
【0083】
図9は、車線変更時及び進路変更時におけるメニュー表示領域の表示の切替えに係る処理手順を示すフローチャートである。
この場合、車両用表示装置2は、ウインカーの点滅により注意を喚起すべき対象が存在するか否か判断し(ステップSP11、ステップSP12)、注意を喚起すべき対象が存在する場合、メニュー表示領域(表示画像)を強調表示する(ステップSP13)。
またさらにそれまでのメニュー表示領域の表示をフェードアウトするように設定すると共に、新たなメニュー表示領域の表示をフェードインするように設定する(ステップSP14、ステップSP15)。
【0084】
図10は、隣接車線から車両が前方に侵入する場合のメニュー表示領域の表示の切替えに係る処理手順を示すフローチャートである。
この場合、ウインカーの点滅によりこの車両の進入開始を検出し、新たなメニュー表示領域を形成する(ステップSP21)。
またさらにそれまでのメニュー表示領域の表示をフェードアウトするように設定すると共に、新たなメニュー表示領域の表示をフェードインするように設定する(ステップSP22、ステップSP23)。
【0085】
以上の構成によれば、前方車両を囲むリング形状によりメニュー表示領域を設定し、このメニュー表示領域を放射状に分割して形成された小領域に車両の操作に係るメニューを表示することにより、前方車両に関する視認性を充分に確保し、ブラインド操作により、簡易かつ迅速に所望のメニューを選択することができ、これにより従来に比して一段と前方の視認性を向上して、簡易かつ迅速にブラインド操作することができる。
【0086】
また操作の情報が、指のスライド操作をガイドする円形形状のガイド部と、押圧操作可能な押圧操作部とを備えた操作部による操作の情報であることにより、ブラインド操作により、簡易かつ迅速に所望のメニューを選択することができる。
【0087】
またさらにメニュー表示領域の内側の円形形状の領域に前方車両の全景が収まるように、メニュー表示領域の内径を可変することにより、前方車両までの距離が変化した場合であっても、この距離の変化に対応するように円形形状の領域の大きさを可変して、確実に前方車両に関する視認性を向上し、安全性を向上させることができる。
【0088】
またさらにこの円形形状の領域の拡大によりメニュー表示領域におけるメニューの表示を文字表示からアイコンによる表示に切替えることにより、前方車両との車間距離の低下等によりメニュー表示領域を著しく拡大させなくても、適切にメニューを表示することができ、前方車両以外の前方視界の低下を有効に回避して、操作性の低下を防止することができる。
【0089】
またさらに前方車両との間に、隣接車線から車両が侵入する場合、この隣接車線からの車両を囲むリング形状により新たなメニュー表示領域を形成し、徐々に、それまでのメニュー表示領域の表示を新たなメニュー表示領域の表示に切替えることにより、隣接車線からの車両の進路変更に関して、ドライバーに注意を喚起することができる。
【0090】
またさらに走行中の車線から隣接車線に進路を変更する場合、隣接車線の前方車両を囲むリング形状により新たなメニュー表示領域を形成し、徐々に、それまでのメニュー表示領域の表示を新たなメニュー表示領域の表示に切替えることにより、隣接車線への車線変更に関して、ドライバーに注意を喚起することができる。
【0091】
さらに新たなメニュー表示領域の表示をそれまでのメニュー表示領域側から徐々に視認できるようにしながら、それまでのメニュー表示領域の表示を新たなメニュー表示領域側から徐々に視認できないようにするようにして、徐々に、それまでのメニュー表示領域の表示を新たなメニュー表示領域の表示に切替えることにより、メニュー表示領域の切替えを直観的に把握できるようにして、使い勝手を向上することができる。
【0092】
またさらに車線変更時及び進路変更時、注意すべき対象の検出によりメニュー表示領域の表示を強調表示に切替えることにより、歩行者、他の車両等への注意を喚起することができる。
【0093】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 車両
2 車両用表示装置
3 ウインドシールド
4 ドライバー
5 虚像
11 表示部
13 周辺情報取得部
14 操作情報取得部
15 通信インターフェース
16 表示制御部
16A 判定部
16B 表示処理部
16C 記憶部
22 操作部
22A ガイド部
22B 押圧操作部
22C スイッチ部
22D、22E 板状部材
22F シート材
23 ナビゲーションシステム
24 データサーバー
25 車両ECU