(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220408BHJP
G06N 5/02 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
G06Q10/00
G06N5/02 120
(21)【出願番号】P 2021101761
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2021-12-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520121533
【氏名又は名称】株式会社ナレッジワーク
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】麻野 耕司
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-045386(JP,A)
【文献】特開2015-084134(JP,A)
【文献】特開2004-295662(JP,A)
【文献】特開2017-219899(JP,A)
【文献】特開2004-246507(JP,A)
【文献】特開2011-238149(JP,A)
【文献】特開2020-013475(JP,A)
【文献】特開2019-152918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一または複数のサーバに格納される営業に関する複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザーの営業に関する習熟度を示す情報を取得することと、
取得された前記ユーザーの前記習熟度に応じて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定することと、
前記特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力することと、
を含む情報処理方法。
【請求項2】
前記ユーザーの属性と同一または関連する属性を有する他のユーザーの情報に基づいて、前記少なくとも一のナレッジデータを特定する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記ユーザーのタスクに関する情報に基づいて、前記少なくとも一のナレッジデータを特定する、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記ユーザーの対面側に関するタスクに基づいて、前記少なくとも一のナレッジデータを特定する、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記タスクの進捗に関する情報に基づいて、前記少なくとも一のナレッジデータを特定する、請求項
3又は4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記ユーザーの志向に関する情報に基づいて、前記少なくとも一のナレッジデータを特定する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記ユーザーによる前記サーバに格納されるナレッジデータの利用状況に関する情報に基づいて、前記少なくとも一のナレッジデータを特定する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記ユーザーとは異なる他のユーザーの利用状況に関する情報をさらに取得し、
取得された前記他のユーザーの利用状況に関する情報と、前記ユーザーのステータスとに基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定することを含む、
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記サーバに格納される複数のナレッジデータの利用状況に関する情報をさらに用いて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定することを含む、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記ナレッジデータの利用状況は、前記ユーザーとは異なる他のユーザーによる前記ナレッジデータの利用状況を含む、請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記ナレッジデータの利用状況は、前記他のユーザーによる前記ナレッジデータに対する評価情報を含む、請求項10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記ナレッジデータに対する評価情報は、評価したユーザーのステータスに関する情報を含む、請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記プロセッサは、商談情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記商談情報は、商談に係る顧客情報、商談に係る商品情報および商談のフェーズに関する情報の少なくともいずれかに関する情報を含み、
前記プロセッサは、前記商談に係る顧客情報、前記商談に係る商品情報および前記商談のフェーズに関する情報の少なくともいずれかまたはその組み合わせに基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する、請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記ユーザーが受講すべきラーニングコースを特定する、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記ナレッジデータは、前記ナレッジデータを所有する組織が行う営業に関するナレッジデータ、および/または前記組織に関するナレッジデータを含む、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
一または複数のサーバに格納される営業に関する複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理システムであって、
前記ユーザーの営業に関する習熟度を示す情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記ユーザーの前記習熟度に応じて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する特定部と、
前記特定部により特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力する出力制御部と、
を備える情報処理システム。
【請求項18】
一または複数のサーバに格納される営業に関する複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理システムとして機能させるプログラムであって、
コンピュータを、
前記ユーザーの営業に関する習熟度を示すに関する情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記ユーザーの前記習熟度に応じて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する特定部と、
前記特定部により特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力する出力制御部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
組織の活動において、複雑化するナレッジの共有の重要性が高まっている。組織の構成員であるユーザーが自分の所望するナレッジを見つけるための技術として、例えば特許文献1には、営業の案件を選択することで、営業の次のフェーズにおいて適合度の高い営業文書を出力する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に開示された技術は、ユーザー自らが所望するナレッジ特定するものであり、現在のユーザーが他に見るべきナレッジを特定するものではない。
【0005】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のナレッジのうちユーザーが見るべきナレッジをユーザーに対して提示することが可能な情報処理方法、情報処理システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、一または複数のサーバに格納される複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理方法であって、プロセッサが、前記ユーザーのステータスに関する情報を取得することと、取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定することと、前記特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力することと、を含む情報処理方法が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、一または複数のサーバに格納される複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理システムであって、前記ユーザーのステータスに関する情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する特定部と、前記特定部により特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力する出力制御部と、を備える情報処理システムが提供される。
【0008】
また、本開示によれば、一または複数のサーバに格納される複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理システムとして機能させるプログラムであって、コンピュータを、前記ユーザーのステータスに関する情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する特定部と、前記特定部により特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力する出力制御部と、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数のナレッジのうちユーザーが見るべきナレッジをユーザーに対して提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係るサーバ10を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】同実施形態に係るサーバ10のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】同実施形態に係るユーザーDB104に格納されているユーザーデータの内容の一例を示す図である。
【
図5】同実施形態に係るナレッジDB105に格納されているナレッジデータの内容の一例を示す図である。
【
図6】同実施形態に係る顧客DB106に格納されている顧客データの内容の一例を示す図である。
【
図7】同実施形態に係る出力制御部114による出力表示態様の一例を示す図である。
【
図8】同実施形態に係る情報処理システム1における一連の制御に係るフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<本開示の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。図示するように、本実施形態に係る情報処理システム1は、情報処理サーバ10(以下、サーバ10と称する)を備え、ユーザー端末20(20A、20B、20C、・・・)と、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。なお、本構成は一例であり、ある構成が他の構成を兼ね備えていたり、他の構成が含まれていたりしてもよい。
【0013】
本実施形態においてネットワークNWはインターネットを想定しているが、例えばオンプレミスやイントラネット等のネットワークであってもよい。ネットワークNWは、例えば、公衆電話回線網、携帯電話回線網、無線通信網、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0014】
サーバ10は、例えば、企業や団体等の組織において共有されるナレッジの管理を行うためのコンピュータである。かかるサーバ10は、例えば、上記の組織により管理されてもよいし、他のナレッジの管理サービスを扱う第三者により管理されてもよい。
【0015】
また、例えば、サーバ10は、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウドコンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0016】
ユーザー端末20は、例えば、組織に所属する構成員(ユーザー)U1(U1A、U1B、U1C、・・・)が組織において共有されているナレッジにアクセスするための端末である。例えば、ユーザー端末20は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータまたはパーソナルコンピュータ等であり得る。
【0017】
本実施形態に係る情報処理システム1の概要について説明する。ユーザーU1は、ユーザー端末20を介して、サーバ10のデータベースに格納されているナレッジを取得しようとする。その際、ユーザーU1が所望しているようなナレッジは、従来であれば、ユーザーU1が所望対象のナレッジを探し当てるためのクエリを入力することで、検索される。
【0018】
しかしながら、ここでユーザーU1により検索されるナレッジは、あくまでユーザーU1が見たいものであり、ユーザーU1にとって適しているものとは限らない。すなわち、例えばユーザーU1の組織における習熟度やタスクの内容によっては、ユーザーU1が見たいナレッジよりもユーザーU1にとってより適切なナレッジが存在し得る。そのようなナレッジは、ユーザーU1が気づかない可能性が存在する。
【0019】
そこで、本実施形態に係る情報処理システム1は、組織に所属するユーザーU1のステータス(例えばユーザーの属性や習熟度、ユーザーのナレッジの利用状況等の情報)を、最適なナレッジを提示するために用いる。ユーザーのステータスは、その組織に所属するユーザーU1がどのような状況にあるかを示す情報を含む。かかるユーザーのステータスを用いることにより、ユーザーU1の状況に合わせた適切なナレッジがユーザーU1に対して提示され得る。例えば、ユーザーU1が顧客C1にまだ営業を行った経験がない場合は、情報処理システム1は、ユーザー端末20に対して、顧客C1の情報や顧客C1を取り巻く環境等に関するナレッジを提示し得る。これにより、ユーザーU1が自らナレッジを探す場合と比較して、ユーザーU1の置かれた状況に適した、ユーザーU1が見るべきナレッジを確実に得ることが可能となる。以下、本実施形態の詳細について説明する。
【0020】
<ハードウェア構成例>
図2は、本実施形態に係るサーバ10を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。コンピュータは、少なくとも、制御部11、メモリ12、ストレージ13、通信部14および入出力部15等を備える。これらはバス16を通じて相互に電気的に接続される。
【0021】
制御部11は、サーバ10全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、ストレージ13に格納されメモリ12に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0022】
メモリ12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ12は、制御部11のワークエリア等として使用され、また、サーバ10の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0023】
ストレージ13は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ13に構築されていてもよい。
【0024】
通信部14は、サーバ10をネットワークに接続する。通信部14は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Wi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、近距離または非接触通信等の方式で、外部機器と直接またはネットワークアクセスポイントを介して通信する。
【0025】
入出力部15は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0026】
バス16は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0027】
本実施形態に係るユーザー端末20を実現するコンピュータやスマートフォン等の端末のハードウェア構成は、
図2に示すサーバ10のハードウェア構成例と同様であるため、説明を省略する。
【0028】
<ソフトウェア構成例>
図3は、本実施形態に係るサーバ10のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ10は、取得部101、特定部102、出力制御部103、ユーザーDB(データベース)104、ナレッジDB(データベース)105および顧客DB(データベース)106を備える。取得部101、特定部102および出力制御部103は、制御部11がストレージ13に記憶されているプログラムをメモリ12に読み出して実行することにより実現され得る。また、ユーザーDB104、ナレッジDB105および顧客DB106は、メモリ12およびストレージ13が提供する記憶領域の一部として実現され得る。なお、ユーザーDB104、ナレッジDB105および顧客DB106は、サーバ10以外の一または複数のサーバが提供する外部の記憶領域の一部として実現されてもよい。
【0029】
取得部101は、ユーザーのステータスに関する情報を取得する機能を有する。ユーザーのステータスに関する情報は、例えば、ユーザーDB104に格納されている。また、ユーザーのステータスに関する情報は、ユーザー端末20から取得してもよい。ユーザーのステータスは、ユーザーDB104に格納されているユーザーデータに含まれるものである。
【0030】
図4は、本実施形態に係るユーザーDB104に格納されているユーザーデータの内容の一例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係るユーザーデータ1001は、ユーザーデータを識別するユーザーID、ユーザー名およびユーザーステータスに関する情報を含み得る。ユーザーステータスに関する情報は、例えば、ユーザー属性、ユーザータスク、ユーザーの経験、ユーザー志向およびユーザー利用状況に関する情報を含み得る。
【0031】
ユーザー属性は、ユーザーの属性に関する情報を示す。ユーザー属性は、例えば、組織におけるユーザーが該当する等級、ユーザーの所属する部署、ユーザーの職種、およびユーザーの成果、行動、能力に関する情報を含み得る。ユーザーの等級とは、例えば社内における業務遂行のレベルを示すものであるユーザー。ユーザーの役職は主任や課長などの役割や権限を示すものである。ユーザーの職種は、例えば営業担当や経理担当など、具体的な職務内容を示すものである。ユーザーの能力とは、ユーザーの組織において求められるスキルセットやマインドセットの習得具合を示すパラメータである。また、ユーザー属性は、ユーザーの研修の進行状況に関する情報を含み得る。ユーザーの研修の進行状況に関する情報は、組織においてユーザーに対して提供するラーニングコースの修習に関する情報を含み得る。ラーニングコースが例えばナレッジDB105に格納されるナレッジデータにより構成される場合は、ラーニングコースの修習に関する情報は、学習しているラーニングコースの進行状況や、ラーニングコースに含まれるナレッジの利用に関する情報を含み得る。このようなユーザーの属性は、例えば、ユーザー(他のユーザーを含む)からの入力や、他の営業支援サービス、人事管理サービス等から取得することができる。
【0032】
ユーザータスクは、ユーザーが担当している業務のタスクに関する情報を示す。ユーザータスクは、1以上のタスクを含み得る。ユーザータスクは、現在のタスクを含み、また、過去または今後行う予定のタスクを含んでもよい。これらのタスクに関する情報は、例えば、タスク名、商談先、商談製品・サービス、進捗および成否等に関する情報を含み得る。商談先に関する情報は、例えば、受注している商談先の業界、面談先の業界の規模、商談先の規模、商談先の担当者や、商談先との営業実績に関する情報を含み得る。商談製品・サービスに関する情報は、例えば、商談先へ提案した/している、または受注している製品やサービスの種類や個数、価格等に関する情報を含み得る。進捗に関する情報は、例えば、営業に関する進捗(自社理解、競合理解、顧客理解、商品説明、ヒヤリング、提案、クロージング等のステージや、顧客への営業回数等)の情報を意味する。成否に関する情報は、過去のタスクにおける営業の成否に関する情報を含み得る。すなわち、過去にユーザーが商談において失敗したり苦労したタスクや営業の進捗、フェーズにおける情報等が、ユーザータスクの情報として含まれ得る。かかる情報を用いることで、ユーザーが苦手な営業フェーズや顧客を克服するための適切なナレッジデータが、ユーザーに対して提供され得る。
【0033】
ユーザータスクは、1以上のタスクを含み得る。ユーザータスクは、現在のタスクを含み、また、過去または今後行う予定のタスクを含んでもよい。これらのタスクに関する情報は、例えば、タスク名、商談先、商談製品・サービス、進捗および成否等に関する情報を含み得る。商談先に関する情報は、例えば、受注している商談先の業界、面談先の業界の規模、商談先の規模、商談先の担当者や、商談先との営業実績に関する情報を含み得る。商談製品・サービスに関する情報は、例えば、商談先へ提案した/している、または受注している製品やサービスの種類や個数、価格等に関する情報を含み得る。進捗に関する情報は、例えば、営業に関する進捗(自社理解、競合理解、顧客理解、商品説明、ヒヤリング、提案、クロージング等のステージや、顧客への営業回数等)の情報を意味する。成否に関する情報は、過去のタスクにおける営業の成否に関する情報を含み得る。すなわち、過去にユーザーが商談において失敗したり苦労したタスクや営業の進捗、フェーズにおける情報等が、ユーザータスクの情報として含まれ得る。かかる情報を用いることで、ユーザーが苦手な営業フェーズや顧客を克服するための適切なナレッジデータが、ユーザーに対して提供され得る。
【0034】
ユーザーの経験は、上述したユーザータスクの情報を総合化したものであり、ユーザーがこれまでに担当した商談のタスクの成果や経験に関する情報を示す。ユーザーの経験は、例えば、これまでに経験した商談における成功/失敗に関する情報を含みうる。具体的には、ユーザーの経験は、ユーザーがどの業界や顧客の商談を多く受注しているか、どの商談フェーズで多く失敗しているかなど、ユーザーの顧客、商品または商談フェーズにおける成功事象や失敗事象に関する情報を含みうる。また、ユーザーの経験は、後述するように、各顧客の各商品に関する各商談フェーズにおいて利用したナレッジの利用状況に関する情報と紐づけられ得る。かかる情報を用いることで、ユーザーが苦手な営業フェーズや顧客を克服するための適切なナレッジデータが、ユーザーに対して提供され得る。
【0035】
ユーザー志向は、ユーザーの組織におけるキャリアの希望や組織に対する要望、改善点等に関する情報を示す。例えば、ユーザーが、営業実務だけではなく、将来的に営業のマネージングを希望する場合、ユーザー志向には、かかる人事の希望に関する情報が含まれ得る。かかるユーザーの志向に関する情報は、例えば、ユーザーに対するアンケートを行うことによって取得することができる。
【0036】
ユーザー利用状況は、ユーザーのナレッジの利用に関する情報を示す。ユーザー利用状況に関する情報は、ユーザーのナレッジデータの利用データを含み得る。ナレッジデータの利用データは、例えば、ユーザーのナレッジデータの作成、閲覧、編集、ブックマーク、評価(例えばいいね等のフィードバック)、外部への共有等の利用に関する履歴を含みうる。なお、ナレッジデータがラーニング目的で利用される場合においては、かかるナレッジデータの利用に関する情報は、ユーザーのナレッジデータのラーニングによる利用に関する情報を含み得る。ラーニングにおいて、複数のナレッジデータによりラーニングコースが構築されている場合は、ナレッジデータの利用に関する情報は、ユーザーのラーニングコースでの利用状況(例えば、未学習、学習中、学習完了等の状況)に関する情報を含み得る。
【0037】
例えば、ユーザーがユーザー端末20を用いて情報処理システム1によるナレッジ共有のためのインタフェース(例えばウェブブラウザ等)にアクセスしたとする。その際、取得部101は、アクセスしているユーザーを識別子、該ユーザーに対応するユーザーデータをユーザーDB104から取得する。かかるユーザーデータには、ユーザーのステータスに関する情報が含まれる。
【0038】
特定部102は、取得されたユーザーのステータスに関する情報に基づいて、複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する機能を有する。具体的には、まず特定部102は、ナレッジDB105にアクセスし、ナレッジDB105に格納されている一以上のナレッジデータのナレッジ情報を取得する。そして、特定部102は、取得されたユーザーのステータスに関する情報に基づいて、ユーザーのステータスに対して所定の条件を満たすナレッジ情報を特定する。特定部102は、所定の条件を満たしたナレッジ情報を有するナレッジデータを特定する。特定部102は、具体的には以下に示すようなナレッジデータに紐づく各種情報が、ユーザーのステータスにより特定される所定の条件を満たすナレッジデータを特定し得る。以下に記載する各種情報は、適宜組み合わせて特定部102による処理に用いることが可能である。
【0039】
図5は、本実施形態に係るナレッジDB105に格納されているナレッジデータの内容の一例を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係るナレッジデータ1002は、ナレッジデータを識別するナレッジID、ナレッジ名、ナレッジ情報およびコンテンツを含み得る。ナレッジ情報は、例えば、ナレッジ属性およびナレッジ利用状況に関する情報を含み得る。これらのナレッジ情報は、特定部102によりユーザーのステータスに関する情報や顧客タスク情報(商談の特徴)に基づいてナレッジデータを特定するために用いられる情報である。
【0040】
ナレッジ属性は、ナレッジの属性に関する情報を示す。ナレッジ属性は、例えば、カテゴリー、コンテンツ種類、作成者/作成日、更新者/更新履歴、関連ナレッジおよび収集部署等の情報を含み得る。カテゴリーとは、例えば、製品種、業種またはナレッジのファイル形式等により分別されてナレッジに付される属性である。具体的には、カテゴリーは、該ナレッジがどの顧客向けのものか、どの商品に対応するものか、どの営業フェーズにおいて使用されるべきものかを特定するものであり得る。コンテンツ種類とは、例えば、コンテンツに対応する商品もしくはサービス、クライアントの業種、クライアントの業界の規模、クライアントの企業規模または使用に適する場所もしくはタイミング等を意味する。かかるコンテンツ種類とは、例えば、業務用途および学習用途の少なくともいずれかを含んでもよい。関連ナレッジは、そのナレッジに手動または自動で紐付けられたナレッジを意味する。収集部署は、ナレッジデータの取りまとめや、上述したようなナレッジ属性のコンテンツ種類に関する情報等の付加を行った部署等を示す。また、ナレッジ属性は、そのナレッジに関連付けられているスペースに関する情報を含み得る。スペースとは、例えば、ナレッジが、組織の各業務において割り当てられる区分である。すなわち、ナレッジ属性であるスペースは、ナレッジがどの業務やトレーニングの段階や状況に対応するかを示す。より具体的には、ナレッジが営業関連資料である場合は、スペースは、「自社理解」「競合理解」「顧客理解」「商品説明」「顧客事例」「ヒヤリング」「顧客提案」「クロージング」「テンプレート」「トレーニング」等に分けることができる。
【0041】
ナレッジ利用状況は、ナレッジデータの利用に関する情報を示す。ナレッジ利用状況に関する情報は、例えば、ナレッジデータの閲覧数、ナレッジデータの使用数(ここでいう使用とは、営業等での説明に用いられるような実務的な使用である)、ナレッジデータの編集回数、ナレッジデータのブックマーク数またはナレッジに対する評価(例えばいいね等のフィードバック)、ナレッジの利用者の情報または外部への共有等の利用に関する履歴を含み得る。また、コンテンツは、ナレッジデータに含まれるコンテンツ(例えば、テキスト、画像、動画、音声等により構成されるもの)そのものを意味する。また、ナレッジデータの利用に関する情報は、どの顧客から受注する際に利用されているか、どの商品を受注する際に利用されているか、またはどの営業フェーズにおいて利用されているか等、顧客や商品、営業フェーズに関連付けられた情報を含み得る。
【0042】
特定部102は、例えば、ユーザーの属性に関する情報に基づいて、少なくとも一のナレッジデータを特定してもよい。具体的には、特定部102は、ユーザーのグレードおよび/または職種に基づいて少なくとも一のナレッジデータを特定してもよい。ユーザーのグレードや職種の情報を用いることにより、組織においてユーザーが置かれている立場に基づいて適したナレッジデータをユーザーに提示することができる。また、特定部102は、ユーザーの習熟度に応じて少なくとも一のナレッジデータを特定してもよい。これにより、例えば新たに営業部門に異動したユーザーが営業のタスクをキャッチアップする際において、営業の提案資料をいきなり提示されるのではなく、提案先のクライアントに関する資料や、競合他社等に関する情報等が提示され得る。このように、特定部102は、ユーザーの属性に関する情報を用いることにより、ユーザーが見るべきナレッジをユーザーの状況に適して提示することができる。
【0043】
また、特定部102は、例えば、ユーザーの属性と同一または関連する属性を有する他のユーザーの情報に基づいて、少なくとも一のナレッジデータを特定してもよい。具体的には、ユーザーの属性と同一または関連する属性(ユーザーと同じ部署に属している上司や、ユーザーと同期の社員等であることを示す属性)を有するユーザーの情報を用いることで、他のユーザーが利用しているナレッジデータの情報を利用することができる。これにより、ユーザーと同じ状況にある他のユーザーが利用しているナレッジデータを、ユーザーに提示することができる。
【0044】
また、特定部102は、例えば、ユーザーのタスクに関する情報を用いて、少なくとも一のナレッジデータを特定してもよい。具体的には、特定部102は、ユーザーの対面側に関するタスク(例えば、商談先のクライアントに関するタスク)に関する情報を用いてもよい。この場合、クライアントの商談内容や顧客状況等に応じたナレッジデータを提示することができる。かかるユーザーのタスクに関する情報は、例えば、ユーザーがどの業界の顧客から受注しているか等、ユーザーの受注状況や、受注先の状況に関する情報を含んでもよい。また、ユーザーのタスクに関する情報は、ユーザーが受注している商談の各フェーズにおける進捗に関する情報を含んでもよい。各フェーズにおける進捗に関する情報とは、例えば、フェーズBにおける進捗率が低い等、各フェーズにおける商談の進み具合や商談の状況に関する情報等を含みうる。他にも、特定部102は、例えば、ユーザーの過去の商談の情報に基づいて、ナレッジデータを特定してもよい。例えば、ユーザーが過去に失敗した商談のフェーズや顧客、商品、利用したナレッジデータ等の情報に基づいて、ナレッジデータを特定してもよい。これにより、次回以降の商談においてユーザーが成功するために用いるべきナレッジデータがユーザーに対して提供され得る。また、特定部102は、例えば、他のユーザーのタスクに関する情報を用いて、ナレッジデータを特定してもよい。具体的には、特定部102は、ユーザーと同様のタスクを抱える他のユーザーが利用しているナレッジデータの利用状況に関する情報に基づいて、ナレッジデータを特定してもよい。なお、かかる顧客状況や商談内容等の情報は、例えば、顧客DB106に格納されている顧客データから抽出されてもよい。
【0045】
図6は、本実施形態に係る顧客DB106に格納されている顧客データの内容の一例を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る顧客データ1003は、顧客データを識別する顧客ID、顧客名および顧客情報を含み得る。商談情報は、例えば、顧客基本情報および顧客タスク情報を含み得る。
【0046】
顧客基本情報は、連絡先、先方責任者、社内責任者および業種/規模、顧客の業界の規模等、顧客や業界に関する情報を含み得る。顧客タスク情報は、クライアントに関するタスクの情報を含む。タスクの情報は、現在のタスクの情報を含み、過去または将来のタスクの情報を含んでもよい。例えば、顧客タスク情報は、タスク名、先方担当者、社内担当者(ユーザー)、商談に関する製品やサービス、進捗(営業フェーズ)および成否に関する情報を含み得る。
【0047】
例えば顧客タスク情報は、商談ごとに紐付けられる情報であってもよい。すなわち、顧客タスクは商談の一つ一つに対応し得る。例えば、顧客タスク情報は、商談のフェーズに関する情報を含む。また、顧客タスク情報は、商談等で利用したナレッジデータに関する情報を含み得る。
【0048】
特定部102は、クライアントの状況に関する情報を、顧客データを参照して抽出し、かかる情報に基づいてナレッジデータを特定してもよい。これにより、クライアントの状況に適していると考えられるナレッジデータを、自動的にユーザーに提示することができる。すなわち、特定部102は、商談情報に基づいてナレッジデータを特定してもよい。商談情報は、商談に係る顧客情報、商談に係る商品情報および商談のフェーズに関する情報を含みうる。例えば、特定部102は、商談に係る顧客情報に基づいてナレッジデータを特定してもよい。また、例えば、特定部102は、商談に係る商品情報に基づいてナレッジデータを特定してもよい。例えば、特定部102は、タスクの進捗(例えば商談のフェーズ)に関する情報に基づいて、ナレッジデータを特定してもよい。具体的には、タスクの進捗が顧客のヒヤリングが完了したという進捗である場合においては、特定部102は、顧客のヒヤリングの次のフェーズにおいて利用すべきナレッジデータを特定し得る。また、特定部102は、ユーザーが特定の顧客の特定の商談フェーズにおいて商談が低調に終わった場合においては、顧客のヒヤリングに関する他のナレッジデータを特定してもよい。このように、タスクの進捗や商談のフェーズに応じてナレッジデータを特定することで、クライアントに対する営業の効果が最大となるようなナレッジデータを得ることができる。例えば、あるクライアントとの特定商品の営業における顧客理解等の商談のフェーズにおいて適切なナレッジデータをユーザーに対し提示することができる。このように、同一のクライアントに対しての営業であっても、商談のフェーズに応じて適切なナレッジデータを得ることができる。
【0049】
なお、特定部102は、ユーザー情報を使わず、顧客タスク情報(例えば、商談の特徴や商談に用いられたナレッジデータ等の情報)に基づいてナレッジデータを特定してもよい。つまり、特定部102は、顧客タスク情報とナレッジデータの属性や利用状況とを照合させて、顧客タスク情報に合致するナレッジデータを一または複数特定してもよい。例えば、特定部102は、商談の特徴、すなわち商談先である顧客の情報、商談の対象である商品の情報および商談の営業フェーズの少なくともいずれかに基づいて、ナレッジデータを特定してもよい。特定されるナレッジデータは、かかる商談の特徴に適合する属性や利用状況の情報を有しうるナレッジデータであり得る。これによって、商談の状況に応じた適切なナレッジデータを得ることができる。この場合、ユーザーのステータスの情報は用いられても用いられなくてもよい。複数の顧客タスク情報や商談の情報等が複数ある場合には、特定部102はそれぞれの情報を用いて組み合わせて特定処理に用いてもよい。
【0050】
また、特定部102は、ユーザーの志向に関する情報に基づいて、少なくとも一のナレッジデータを特定してもよい。例えば、ユーザーが営業部門への異動を希望している場合に、将来アサインされる可能性のある提案先のクライアントに関する資料や、該クライアントに販売する商品に関する資料、競合他社等に関する情報等がユーザーに対して提示され得る。このように、特定部102は、ユーザーの志向に関する情報を用いることにより、ユーザーが見るべきナレッジをユーザーの将来の状況の変化に応じて提示することができる。また、例えばナレッジの検索において、ユーザーが業務用途のナレッジデータを探しているのか、学習用途のナレッジデータを探しているのかのいずれかに基づいて、特定部102はナレッジデータを特定してもよい。これにより、特定のクライアントおよび商品等に関するナレッジデータであっても、ユーザーが業務または学習のいずれかに用いることに適したナレッジデータを特定することができる。かかる特定部102による特定処理は、例えばユーザーの志向に関する情報や、検索条件およびナレッジ属性等の情報に基づいて行われ得る。
【0051】
また、特定部102は、ユーザーの利用状況に関する情報に基づいて、少なくとも一のナレッジデータを特定してもよい。例えば、ユーザーが特定のクライアントに関するナレッジデータを多用していたり、評価をしている場合に、特定部102は、ユーザーがまだ利用していないクライアントに関するナレッジデータを特定してもよい。また逆に、ユーザーが多用しているナレッジデータと同様のナレッジデータを該ユーザーがあまり利用していない場合には、特定部102は、かかるナレッジデータを特定してもよい。
【0052】
また、特定部102は、取得部101により取得されるユーザーとは異なる他のユーザーの利用状況に基づいて、少なくとも一のナレッジデータを特定してもよい。例えば、同様のステータスを有する他のユーザーが多く利用しているナレッジデータを該ユーザーの利用がない、または少ないと判断される場合に、特定部102は、かかるナレッジデータを特定してもよい。これにより、ユーザーが見落としているナレッジデータをユーザーが見ることが可能となる。
【0053】
また、特定部102は、ユーザーのステータスに加えて、ナレッジデータの利用状況に関する情報をさらに用いて、ナレッジデータを特定してもよい。例えば、特定部102は、ユーザーの属性である営業に属する他のユーザーが多く閲覧していたり、ナレッジデータに対する高い評価に関する情報(評価情報)を示しているナレッジデータを特定してもよい。これにより、ユーザーが見るべき営業に関するナレッジデータを、ユーザーが何もしなくても情報処理システム1によりユーザーに対して提示され得る。ナレッジデータの利用状況に関する情報としては、
図5等に示したような閲覧や評価に関する情報を用いることができる。これにより、ナレッジデータそのものの価値に基づいて、ユーザーに対してより適切なナレッジデータを提供することができる。
【0054】
また、特定部102は、ユーザーのステータス情報と顧客データとに基づいてナレッジデータを特定してもよい。例えば、ユーザーの志向として営業プロセスのあるフェーズ(例えば顧客提案など)での成功率が低い場合は、特定部102は、かかるフェーズにおいて成功率が高い傾向を示すナレッジデータを特定してもよい。その他、特定部102は、ユーザーの情報に含まれる各種情報と顧客データに含まれる各種情報とを適宜組み合わせて、ナレッジデータを特定してもよい。これにより、ユーザーの特徴に応じて適切なナレッジデータを得ることができる。
【0055】
さらに、特定部102は、ナレッジデータに付された評価情報について、その評価をしたユーザーのステータスに関する情報を用いて、ナレッジデータを特定してもよい。例えば、営業成績の高いユーザーにより高く評価されるナレッジデータは、非常に重要なナレッジデータと推測される。そのため、かかるナレッジデータは他のユーザーに対しても重用されるものと考えられる。これにより、ユーザーは、より質の高いナレッジデータを得ることが可能となる。
【0056】
上述したように、特定部102は、ユーザーのステータスに関する情報に基づいてナレッジデータを特定することができ、これにより、ユーザーの置かれた状況に適したナレッジデータをユーザーが得ることができる。さらに、それに加えてナレッジデータの利用状況や顧客データ等を用いることにより、ユーザーにとって質の高いナレッジデータを得やすくなったり、クライアントに対応したナレッジデータを得ることができる。
【0057】
なお、特定部102は、例えば、ユーザーのステータスに関する情報を入力データとし、ナレッジデータを出力データとする機械学習モデルを用いて、ナレッジデータを特定する処理を行ってもよい。かかる機械学習モデルは、適宜種々の機械学習の手法を用いて構築することができる。また、かかる機械学習モデルは、出力データであるナレッジデータの正誤に基づくフィードバックにより適宜更新され得る。
【0058】
また、特定部102は、ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、ユーザーが受講すべきラーニングコースを特定してもよい。かかるラーニングコースは、上述のように、ナレッジDB105に格納される一または複数のナレッジデータにより構成され得る。かかるラーニングコースに係る情報は、ラーニングコースの属性または利用状況に係る情報を含み得る。例えば、ラーニングコースの属性に係る情報は、該ラーニングコースがどの顧客向けの商談に利用されるべきか、どの商品の説明に利用されるべきか、またはどの営業フェーズにおいて利用されるべきかを示す情報であり得る。かかる情報は、タグやカテゴリーの形式で付され得る。また、ラーニングコースの利用状況に係る情報は、どの顧客向けの商談に際して利用されているか、どの商品の説明に際して利用されているか、またはどの営業フェーズに際して利用されているかに関する情報であり得る。特定部102は、例えば、ユーザーのステータスに関する情報と、ラーニングコースに係る情報とに基づいて、ユーザーに対して適切なラーニングコースを特定し得る。これにより、ユーザーが研修として受けるべき適切なラーニングコースを容易に得ることができる。
【0059】
出力制御部103は、特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力する機能を有する。例えば、出力制御部103は、上述したユーザー端末20に表示されるインタフェースにおいて、ナレッジデータを示すオブジェクト等を出力しうる。
【0060】
図7は、本実施形態に係る出力制御部103による出力表示態様の一例を示す図である。
図7に示す例では、ユーザー端末20の表示部D1に、ナレッジ共有のためのサービスの画面1000の一例が表示されている。かかる画面1000は、メイン画面1010とサブ画面1020により構成される。メイン画面1010は、例えば、ナレッジデータを検索する際にテキストを入力するためのクエリ入力フォーム1011と、ナレッジデータをアップロードするためのアップロードボタン1012と、ユーザーに関する情報を操作するためのユーザーボタン1013と、ナレッジデータの一覧を表示するナレッジデータオブジェクト1014を含み得る。また、サブ画面1020は、ナレッジデータを絞り込むためのカテゴリーを選択するチェックボックス等により構成される選択画面を含み得る。チェックボックスには、例えば、顧客の業種、製品、業界の規模、顧客の規模、営業フェーズまたはナレッジ使用の用途等の選択肢が含まれ得る。
【0061】
特定部102により特定されたナレッジデータは、例えば、ユーザーが閲覧している画面1000のナレッジデータオブジェクト1014に関連付けられて表示される。例えば、ナレッジデータオブジェクト1014を選択すると、関連付けられたナレッジデータが表示される。このように、ユーザーは、見るべきナレッジデータに、かかる画面1000を表示するだけでアクセスすることができる。なお、ナレッジデータオブジェクト1014の上をマウスのポインタ等でなぞることにより、ナレッジデータのコンテンツの一部が、ナレッジデータオブジェクト1014上において表示されてもよい。これにより、ナレッジデータを開かなくても、ナレッジデータのコンテンツをプレビューにより見ることができる。また、ナレッジデータオブジェクト1014の配列方法については特に限定されないが、例えば、ユーザーにより適したナレッジデータに係るナレッジデータオブジェクト1014が上方に配置されたり、数字や記号等で優先度が高いことを示す情報がナレッジデータオブジェクト1014に付されたり、他のナレッジデータよりも重要であることを示す態様(例えば、サイズや色、エフェクト等)でナレッジデータオブジェクト1014が示されていてもよい。また、ユーザーが現在担当している商談に対応付けられている商談情報や製品の情報、営業のフェーズ等の情報に基づいて、ユーザーが見るべきナレッジデータが、ナレッジデータオブジェクト1014により表示されていてもよい。また、かかる画面1000には、ユーザーの状況(例えば過去の商談の成否、成功/失敗した際の営業フェーズ、商談情報等)に基づいて、ユーザーが見るべきナレッジデータが、ナレッジデータオブジェクト1014により表示されていてもよい。かかる処理は、出力制御部103により行われ得る。
【0062】
なお、出力制御部103による出力制御の例は、
図7に示した例に限定されない。例えば、個々の商談を管理する画面において、商談(営業)のフェーズや顧客情報、商品情報、ユーザー情報等に基づいて特定されるナレッジデータが、該画面に表示されてもよい。これにより、商談を行うに際して、かかる商談の状況やユーザーの状況等に応じて適切なナレッジデータがプリセットされるため、ユーザーが商談に必要なナレッジデータを自ら探さなくても、適切なナレッジデータを活用することができる。
【0063】
また、出力制御部103により出力されるナレッジに関する出力およびその出力態様の例は、上述した例に限定されない。例えば、出力制御部103は、上述した商談の管理画面において、商談のアジェンダに関する情報を出力してもよい。商談のアジェンダに関する情報は、例えば、過去の顧客タスク情報等に紐付けられたナレッジデータ(ナレッジデータは、いわゆる資料等に限定されず、顧客タスク情報に紐付けられている議事録や使用されたナレッジデータ、商談の成否等に関する情報も含む)に基づいて、特定部102により特定され得る。また、出力制御部103は、商談後等にクライアントに送付するメールやメッセージのテンプレート等の情報を、出力してもよい。かかる情報も同様に、過去の顧客タスク情報や行われた商談に紐付けられているナレッジデータに基づいて、特定部102により特定され得る。また同様に、出力制御部103は、商談後等にクライアントと共有する資料をクラウドサーバ等に格納した際の該資料へのアドレス情報を出力してもよい。
【0064】
図8は、本実施形態に係る情報処理システム1における一連の制御に係るフローチャート図である。まず、ユーザーが、情報処理システム1が提供するサービスを利用する際に、取得部101が、サービスを利用しているユーザーのステータスに関する情報を取得する(ステップSQ101)。
【0065】
次に、特定部102は、ユーザーのステータスに基づいて、推奨すべきナレッジデータを特定する(ステップSQ103)。特定部102は、ユーザーのステータス以外にも、ナレッジデータに関する情報(例えば利用状況)や、顧客データ、他のユーザーの利用状況、他のユーザーの属性等の情報等を用いて、ナレッジデータを特定してもよい。
【0066】
次に、出力制御部103は、特定したナレッジデータをユーザー端末20に出力する(ステップSQ105)。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る情報処理システム1によれば、ユーザーのステータス等の情報に基づいて、サーバ等に格納される複数のナレッジデータのうち推奨すべき少なくとも一のナレッジデータを特定し、かかるナレッジデータをユーザーに対して提示する。これにより、ユーザーが自ら置かれた状況や、他のユーザーのナレッジデータの利用状況、クライアント等に対するタスクの状況等に基づいて、ユーザーが見ることを推奨されるナレッジをユーザーが得ることができる。したがって、ユーザーがサーバ等に格納される多くのナレッジデータについて把握していなくとも、ユーザーが見るべきナレッジデータをユーザーの状況等に応じて適宜得ることが可能となる。
【0068】
なお、本実施形態においては、ナレッジデータとして営業資料を例として説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、本技術の他の実施形態においては、ナレッジデータとして、組織の人事や教育に関するナレッジデータが用いられてもよいし、その他組織の活動に関するあらゆる業務に関する資料を、本技術におけるナレッジデータとして利用することが可能である。例えば、ユーザーの対面側に関するタスクは、組織内部においては、上司や部下等の人事評価の対象者または被対象者等に関するタスクであってもよい。
【0069】
また、本実施形態では、商談等のタスク情報は、顧客DB106において顧客データに紐付けられて管理されているものとして説明したが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、商談の情報は、図示しない商談DB(データベース)において商談ごとに商談データとして格納されていてもよい。この場合、商談の情報は、上述したように、商談の担当者(ユーザー)、商談先の顧客、商談に関する商品、商談(営業)のフェーズ、商談の成否、商談に利用したナレッジデータ等に関する情報を含み得る。特定部102は、上述と同様に、商談DBから得られる商談の情報に基づいて、適切なナレッジデータを特定してもよい。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、情報処理サーバ10の制御部11およびストレージ13は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0072】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る情報処理サーバ10の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0073】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0074】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0075】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
一または複数のサーバに格納される複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザーのステータスに関する情報を取得することと、
取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定することと、
前記特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力することと、
を含む情報処理方法。
(項目2)
前記ユーザーのステータスは前記ユーザーの属性に関する情報を含み、
取得された前記ユーザーの属性に関する情報に基づいて、前記少なくとも一のナレッジデータを特定する、項目1に記載の情報処理方法。
(項目3)
前記ユーザーの属性に関する情報は、前記ユーザーのグレード、部署、職種および習熟度の少なくともいずれかに関する情報を含む、項目2に記載の情報処理方法。
(項目4)
前記ユーザーの属性と同一または関連する属性を有する他のユーザーの情報に基づいて、前記少なくとも一のナレッジデータを特定する、項目2または3に記載の情報処理方法。
(項目5)
前記ユーザーのステータスは前記ユーザーのタスクに関する情報を含む、項目1~4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(項目6)
前記ユーザーのタスクは、前記ユーザーの対面側に関するタスクを含む、項目5に記載の情報処理方法。
(項目7)
前記ユーザーのタスクに関する情報は、前記タスクの進捗に関する情報を含む、項目5または6に記載の情報処理方法。
(項目8)
前記ユーザーのステータスは、前記ユーザーの志向に関する情報を含む、項目1~7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(項目9)
前記ユーザーのステータスは、前記ユーザーによる前記サーバに格納されるナレッジデータの利用状況に関する情報を含む、項目1~8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(項目10)
前記プロセッサは、
前記ユーザーとは異なる他のユーザーの利用状況に関する情報をさらに取得し、
取得された前記他のユーザーの利用状況に関する情報と、前記ユーザーのステータスとに基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定することを含む、
項目9に記載の情報処理方法。
(項目11)
前記プロセッサは、前記サーバに格納される複数のナレッジデータの利用状況に関する情報をさらに用いて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定することを含む、
項目1~10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(項目12)
前記ナレッジデータの利用状況は、前記ユーザーとは異なる他のユーザーによる前記ナレッジデータの利用状況を含む、項目11に記載の情報処理方法。
(項目13)
前記ナレッジデータの利用状況は、前記他のユーザーによる前記ナレッジデータに対する評価情報を含む、項目12に記載の情報処理方法。
(項目14)
前記ナレッジデータに対する評価情報は、評価したユーザーのステータスに関する情報を含む、項目13に記載の情報処理方法。
(項目15)
前記プロセッサは、商談情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する、項目1~14のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(項目16)
前記商談情報は、商談に係る顧客情報、商談に係る商品情報および商談のフェーズに関する情報の少なくともいずれかに関する情報を含み、
前記プロセッサは、前記商談に係る顧客情報、前記商談に係る商品情報および前記商談のフェーズに関する情報の少なくともいずれかまたはその組み合わせに基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する、項目15に記載の情報処理方法。
(項目17)
取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記ユーザーが受講すべきラーニングコースを特定する、項目1~16のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(項目18)
前記ナレッジデータは、前記ナレッジデータを所有する組織が行う営業に関するナレッジデータ、および/または前記組織に関するナレッジデータを含む、項目1~17のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(項目19)
一または複数のサーバに格納される複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理システムであって、
前記ユーザーのステータスに関する情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する特定部と、
前記特定部により特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力する出力制御部と、
を備える情報処理システム。
(項目20)
一または複数のサーバに格納される複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理システムとして機能させるプログラムであって、
コンピュータを、
前記ユーザーのステータスに関する情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定する特定部と、
前記特定部により特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力する出力制御部と、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0076】
1 情報処理システム
10 情報処理サーバ
20 ユーザー端末
101 取得部
102 特定部
103 出力制御部
104 ユーザーDB
105 ナレッジDB
106 顧客DB
【要約】
【課題】複数のナレッジのうちユーザーが見るべきナレッジをユーザーに対して提示すること。
【解決手段】本開示による情報処理方法は、一または複数のサーバに格納される複数のナレッジデータから、ユーザーに適切なナレッジデータを提示する情報処理方法であって、プロセッサが、前記ユーザーのステータスに関する情報を取得することと、取得された前記ユーザーのステータスに関する情報に基づいて、前記複数のナレッジデータから、少なくとも一のナレッジデータを特定することと、前記特定された少なくとも一のナレッジデータに関する情報を出力することと、を含む。
【選択図】
図3