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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-07
(45)【発行日】2022-04-15
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/514 20060101AFI20220408BHJP
   A61F 13/42 20060101ALI20220408BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20220408BHJP
【FI】
A61F13/514 321
A61F13/514 100
A61F13/42 B
A61F13/514 320
A61F13/15 210
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019114942
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021000218
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 友美
(72)【発明者】
【氏名】坂口 智
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-228834(JP,A)
【文献】特開2005-103178(JP,A)
【文献】特開2012-187152(JP,A)
【文献】特表2018-518240(JP,A)
【文献】特開2008-054991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/514
A61F 13/42
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
吸収体と、
前記吸収体の非肌側に配置された、液不透過性のバックシートと、
前記バックシートの非肌側に配置され、不織布から形成された外装シートと、
を含み、
物品厚さ方向に見て前記外装シートと前記バックシートとが互いに重なっている第1の重なり領域に、
前記外装シートと前記バックシートとが互いに接合されている第1の接合領域と、
前記外装シートと前記バックシートとが互いに接合されてない第1の非接合領域と、
が区画されており、
前記第1の接合領域が、展開状態において物品長さ方向に互いに離間しつつ物品幅方向にそれぞれ拡がる、複数の第1の幅方向延在接合領域を含み、
前記第1の非接合領域が、展開状態において物品長さ方向に関し前記第1の幅方向延在接合領域同士の間に位置し、
前記第1の非接合領域内において、前記外装シートが前記バックシートに対し少なくとも物品幅方向にスリップ可能であ
前記バックシートが、
液不透過性の防漏シートと、
前記防漏シートの非肌側に接合され、不織布から形成された中間シートと、
を含み、
物品厚さ方向に見て前記外装シートと前記中間シートとが互いに重なっている前記第1の重なり領域に、
前記外装シートと前記中間シートとが互いに接合されている前記第1の接合領域と、
前記外装シートと前記中間シートとが互いに接合されてない前記第1の非接合領域と、
が区画されており、
前記第1の非接合領域内において、前記外装シートが前記中間シートに対し少なくとも物品幅方向にスリップ可能であり、
物品厚さ方向に見て前記中間シートと前記防漏シートとが互いに重なっている第2の重なり領域に、
前記中間シートと前記防漏シートとが互いに接合されている第2の接合領域と、
前記中間シートと前記防漏シートとが互いに接合されてない第2の非接合領域と、
が区画されており、
前記第2の非接合領域内において、前記中間シートが前記防漏シートに対し少なくとも物品幅方向にスリップ可能である、
吸収性物品。
【請求項2】
展開状態において、
前記複数の第1の幅方向延在接合領域のうちの1つが、前記第1の重なり領域の物品長さ方向の一端部に位置し、
前記複数の第1の幅方向延在接合領域のうちの別の1つが、前記第1の重なり領域の物品長さ方向の他端部に位置する、
請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
展開状態において、前記第1の非接合領域の物品長さ方向寸法が、前記第1の幅方向延在接合領域の物品長さ方向外縁から前記第1の重なり領域の物品長さ方向縁までの物品長さ方向寸法よりも大きい、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
展開状態において、前記第1の非接合領域の物品長さ方向寸法が、前記第1の非接合領域の物品幅方向寸法よりも大きい、請求項1から3までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項5】
展開状態において、前記第1の非接合領域の物品長さ方向寸法が、前記第1の幅方向延在接合領域の物品長さ方向寸法よりも大きい、請求項1から4までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項6】
物品厚さ方向に見て、前記第1の非接合領域と前記吸収体とが少なくとも部分的に互いに重なっている、請求項1から5までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品が物品幅方向に延びる折り曲げ線に沿って折り曲げられた二つ折り状態において、前記吸収性物品に、前記折り曲げ線に近い近位区域と、前記折り曲げ線から遠い遠位区域と、が区画されており、
前記第1の非接合領域の少なくとも一部が、前記近位区域内に位置する、
請求項1から6までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項8】
物品厚さ方向に見て前記中間シートと前記防漏シートとが互いに重なっている第2の重なり領域全体に、前記中間シートと前記防漏シートとが互いに接合されている第2の接合領域が区画されている、請求項1から7までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項9】
物品厚さ方向に見て、前記第1の非接合領域と前記第2の非接合領域とが少なくとも部分的に互いに重なっており、かつ、前記第1の接合領域と前記第2の接合領域とが少なくとも部分的に互いに重なっている、請求項1から8までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項10】
物品厚さ方向に見て、前記第1の非接合領域と前記第2の接合領域とが少なくとも部分的に互いに重なっており、かつ、前記第1の接合領域と前記第2の非接合領域とが少なくとも部分的に互いに重なっている、請求項1から8までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記外装シートを形成する不織布の目付が前記中間シートを形成する不織布の目付よりも高い、請求項から10までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記第1の接合領域が、展開状態において物品幅方向に互いに離間しつつ物品長さ方向にそれぞれ拡がる、複数の第1の長さ方向延在接合領域を更に含み、
前記第1の非接合領域が、展開状態において、物品長さ方向に関し前記第1の幅方向延在接合領域同士の間でかつ物品幅方向に関し前記第1の長さ方向延在接合領域同士の間に位置する、
請求項1から11までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記吸収体と前記バックシートとの間に配置され、液体と接触したときに変色するように構成されたインジケーターを更に含み、
物品厚さ方向に見て、前記第1の接合領域と前記インジケーターとが少なくとも部分的に互いに重なっている、
請求項1から12までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
液透過性の表面シートと、防漏性の裏面シートと、これらシートの間に配置される吸収体と、を備える、使い捨てオムツのような吸収性物品が公知である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の裏面シートは、ヒートロール不織布と液不透過性シートとを、接着剤を介して貼り合わせた積層シートに、エンボス処理により融着部を形成することにより、得られる。この場合、接着剤は積層シートの全体に適用されており、融着部は積層シートの全体に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-076592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、取扱者(例えば、親)が着用者(例えば、子)のために吸収性物品(例えば、使い捨てオムツ)を包装袋から取り出すときに、取扱者は吸収性物品の外面に触れる。したがって、着用者だけでなく、取扱者に対しても、柔らかい肌触りを提供するのが好ましい。しかしながら、特許文献1の吸収性物品の外面には、接着剤が全体的に適用され融着部が全体的に形成された積層シートが用いられる。このため、吸収性物品の外面に柔らかい肌触りを付与するのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、以下が開示される。
[構成1]
吸収性物品であって、
吸収体と、
前記吸収体の非肌側に配置された、液不透過性のバックシートと、
前記バックシートの非肌側に配置され、不織布から形成された外装シートと、
を含み、
物品厚さ方向に見て前記外装シートと前記バックシートとが互いに重なっている第1の重なり領域に、
前記外装シートと前記バックシートとが互いに接合されている第1の接合領域と、
前記外装シートと前記バックシートとが互いに接合されてない第1の非接合領域と、
が区画されており、
前記第1の接合領域が、展開状態において物品長さ方向に互いに離間しつつ物品幅方向にそれぞれ拡がる、複数の第1の幅方向延在接合領域を含み、
前記第1の非接合領域が、展開状態において物品長さ方向に関し前記第1の幅方向延在接合領域同士の間に位置し、
前記第1の非接合領域内において、前記外装シートが前記バックシートに対し少なくとも物品幅方向にスリップ可能である、
吸収性物品。
【0006】
吸収性物品の外面の肌触りについて本願発明者らが鋭意研究した結果、以下の2点が判明した。すなわち、1つ目は、別のシートに重ねられた不織布を指で押し付けながら、指を面内方向(不織布の表面に平行な方向)に移動させたときに、不織布が別のシートに対し面内方向にスリップ又は相対移動すると、柔らかい肌触りが得られる、ということである。この肌触りは、互いに重ねられた2枚のガーゼシートを2本の指で摘んで擦り合わせたときに得られる肌触りに似ていると考えられている。2つ目は、取扱者が吸収性物品を例えば包装袋から取り出すために吸収性物品を掴んだときに、取扱者の指、例えば親指が物品長さ方向を向く傾向にあり、したがって取扱者の親指が物品幅方向に動く傾向にある、ということである。
【0007】
構成1によれば、第1の非接合領域内の外装シートがバックシートに対し物品幅方向にスリップ可能である。その結果、取扱者が吸収性物品を掴んだときに取扱者の親指が物品幅方向に動くと、第1の非接合領域において外装シートがバックシートに対し物品幅方向にスリップ又は相対移動する。したがって、吸収性物品の外面に柔らかい肌触りが得られる。しかも、第1の非接合領域が第1の幅方向延在接合領域同士の間に位置するので、第1の非接合領域が物品幅方向に容易にスリップする。したがって、柔らかい肌触りが容易に得られる。
【0008】
[構成2]
展開状態において、
前記複数の第1の幅方向延在接合領域のうちの1つが、前記第1の重なり領域の物品長さ方向の一端部に位置し、
前記複数の第1の幅方向延在接合領域のうちの別の1つが、前記第1の重なり領域の物品長さ方向の他端部に位置する、
構成1に記載の吸収性物品。
【0009】
構成2によれば、第1の非接合領域の物品長さ方向寸法を、より大きくすることが可能となる。したがって、第1の非接合領域が物品幅方向に、より容易にスリップ可能となり、柔らかい肌触りがより容易に得られる。
【0010】
[構成3]
展開状態において、前記第1の非接合領域の物品長さ方向寸法が、前記第1の幅方向延在接合領域の物品長さ方向外縁から前記第1の重なり領域の物品長さ方向縁までの物品長さ方向寸法よりも大きい、構成1又は2に記載の吸収性物品。
【0011】
構成3によれば、第1の非接合領域の物品長さ方向寸法を、より大きくすることが可能となる。したがって、第1の非接合領域が物品幅方向に、より容易にスリップ可能となり、柔らかい肌触りがより容易に得られる。
【0012】
[構成4]
展開状態において、前記第1の非接合領域の物品長さ方向寸法が、前記第1の非接合領域の物品幅方向寸法よりも大きい、構成1から3までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【0013】
構成4によれば、第1の非接合領域が物品幅方向に、より容易にスリップ可能となり、柔らかい肌触りがより容易に得られる。
【0014】
[構成5]
展開状態において、前記第1の非接合領域の物品長さ方向寸法が、前記第1の幅方向延在接合領域の物品長さ方向寸法よりも大きい、構成1から4までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【0015】
構成5によれば、第1の非接合領域の物品長さ方向寸法を、より大きくすることが可能となる。したがって、第1の非接合領域が物品幅方向に、より容易にスリップ可能となり、柔らかい肌触りがより容易に得られる。
【0016】
[構成6]
物品厚さ方向に見て、前記第1の非接合領域と前記吸収体とが少なくとも部分的に互いに重なっている、構成1から5までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【0017】
吸収体の肌触りは柔らかい。したがって、構成6によれば、取扱者が第1の非接合領域を物品厚さ方向に押したときに、より柔らかい肌触りが得られる。
【0018】
[構成7]
前記吸収性物品が物品幅方向に延びる折り曲げ線に沿って折り曲げられた二つ折り状態において、前記吸収性物品に、前記折り曲げ線に近い近位区域と、前記折り曲げ線から遠い遠位区域と、が区画されており、
前記第1の非接合領域の少なくとも一部が、前記近位区域内に位置する、
構成1から6までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【0019】
本願発明者によれば更に、取扱者が吸収性物品を掴んだときに、取扱者の親指が近位区域内に位置する傾向にある、ことが判明した。したがって、構成7によれば、取扱者が吸収性物品を掴んだときに、柔らかい肌触りが確実に得られる。
【0020】
[構成8]
前記バックシートが、
液不透過性の防漏シートと、
前記防漏シートの非肌側に接合され、不織布から形成された中間シートと、
を含み、
物品厚さ方向に見て前記外装シートと前記中間シートとが互いに重なっている前記第1の重なり領域に、
前記外装シートと前記中間シートとが互いに接合されている前記第1の接合領域と、
前記外装シートと前記中間シートとが互いに接合されてない前記第1の非接合領域と、
が区画されており、
前記第1の非接合領域内において、前記外装シートが前記中間シートに対し少なくとも物品幅方向にスリップ可能である、
構成1から7までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【0021】
防漏シートによって吸収性物品の肌触りが硬くなるおそれがある。構成8によれば、防漏シートの非肌側に、不織布から形成された外装シート及び中間シートが位置するので、柔らかい肌触りが得られる。また、中間シートを防漏シート又は防漏シート及び中間シートと接合することにより、吸収性物品の強度が高められる。
【0022】
[構成9]
物品厚さ方向に見て前記中間シートと前記防漏シートとが互いに重なっている第2の重なり領域全体に、前記中間シートと前記防漏シートとが互いに接合されている第2の接合領域が区画されている、構成8に記載の吸収性物品。
【0023】
構成9によれば、吸収性物品の柔らかい肌触りが得られるとともに、吸収性物品の強度が高められる。
【0024】
[構成10]
物品厚さ方向に見て前記中間シートと前記防漏シートとが互いに重なっている第2の重なり領域に、
前記中間シートと前記防漏シートとが互いに接合されている第2の接合領域と、
前記中間シートと前記防漏シートとが互いに接合されてない第2の非接合領域と、
が区画されており、
前記第2の非接合領域内において、前記中間シートが前記防漏シートに対し少なくとも物品幅方向にスリップ可能である、
構成8に記載の吸収性物品。
【0025】
構成10によれば、第1の非接合領域内の外装シートが中間シートに対しスリップし、第2の非接合領域内の中間シートが防漏シートに対しスリップすることによって、より柔らかい肌触りが得られる。
【0026】
[構成11]
物品厚さ方向に見て、前記第1の非接合領域と前記第2の非接合領域とが少なくとも部分的に互いに重なっており、かつ、前記第1の接合領域と前記第2の接合領域とが少なくとも部分的に互いに重なっている、構成10に記載の吸収性物品。
【0027】
構成11によれば、物品厚さ方向に見て互いに重なっている第1の非接合領域内の外装シート及び第2の非接合領域内の中間シートによって、より柔らかい肌触りが得られる。
【0028】
[構成12]
物品厚さ方向に見て、前記第1の非接合領域と前記第2の接合領域とが少なくとも部分的に互いに重なっており、かつ、前記第1の接合領域と前記第2の非接合領域とが少なくとも部分的に互いに重なっている、構成10に記載の吸収性物品。
【0029】
構成12によれば、吸収性物品の柔らかい肌触りが提供されつつ、吸収性物品の強度が高められる。
【0030】
[構成13]
前記外装シートを形成する不織布の目付が前記中間シートを形成する不織布の目付よりも高い、構成8から12までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【0031】
構成13によれば、中間シートにより柔らかい肌触りが得られるとともに、外装シートの強度が高められる。
【0032】
[構成14]
前記第1の接合領域が、展開状態において物品幅方向に互いに離間しつつ物品長さ方向にそれぞれ拡がる、複数の第1の長さ方向延在接合領域を更に含み、
前記第1の非接合領域が、展開状態において、物品長さ方向に関し前記第1の幅方向延在接合領域同士の間でかつ物品幅方向に関し前記第1の長さ方向延在接合領域同士の間に位置する、
構成1から13までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【0033】
構成14によれば、外装シートがバックシートに確実に保持される。
【0034】
[構成15]
前記吸収体と前記バックシートとの間に配置され、液体と接触したときに変色するように構成されたインジケーターを更に含み、
物品厚さ方向に見て、前記第1の接合領域と前記インジケーターとが少なくとも部分的に互いに重なっている、
構成1から14までのいずれか1つに記載の吸収性物品。
【0035】
構成15によれば、インジケーターの良好な視認性が確保される。
【発明の効果】
【0036】
吸収性物品の外面に柔らかい肌触りを付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】非肌側から見た、展開状態にある本発明による実施形態の使い捨てオムツの模式的平面図である。
図2図1の線CLに沿って見た、本発明による実施形態の使い捨てオムツの模式的断面図である。
図3】本発明による実施形態の第1の接合領域及び第1の非接合領域の基本構成を説明するための模式的平面図である。
図4】第1の接合領域における接着剤の配置を説明するための模式的部分拡大図である。
図5】展開状態における、本発明による実施形態の第1の接合領域及び第1の非接合領域を示す模式的平面図である。
図6】第1の非接合領域と近位区画との位置関係を説明するための、二つ折り状態にある本発明による実施形態の使い捨てオムツの模式的平面図である。
図7】第1の非接合領域と近位区画部分との位置関係を説明するための、図6と同様の模式的平面図である。
図8】展開状態における、本発明による実施形態の第2の接合領域及び第2の非接合領域を示す模式的平面図である。
図9】本発明による実施形態の第1の接合領域及び第1の非接合領域並びに第2の接合領域及び第2の非接合領域を示す、図2と同様の模式的断面図である。
図10】本発明による実施形態における取扱者の指の動きを説明するための、図6と同様の模式的平面図である。
図11】展開状態における、本発明による別の実施形態の第2の接合領域及び第2の非接合領域を示す模式的平面図である。
図12】本発明による別の実施形態の第2の接合領域及び第2の非接合領域を示す、図2と同様の模式的断面図である。
図13】展開状態における、本発明による更に別の実施形態の第2の接合領域及び第2の非接合領域を示す模式的平面図である。
図14】本発明による更に別の実施形態の第2の接合領域及び第2の非接合領域を示す、図2と同様の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、非肌側から見た、展開状態にある本発明による実施形態の吸収性物品1の模式的展開図を、図2図1の線CLに沿って見た、本発明による実施形態の吸収性物品1の模式的断面図を、それぞれ示している。図面において、Lは吸収性物品1の長さ方向(物品長さ方向)、Wは吸収性物品1の幅方向(物品幅方向)、Tは吸収性物品1の厚さ方向(物品厚さ方向)をそれぞれ示している。また、図1において、CLは物品長さ方向Lに関する吸収性物品1の中心を通り物品幅方向Wに延びる長さ方向中心線を、CWは物品幅方向Wに関する吸収性物品1の中心を通り物品長さ方向Lに延びる幅方向中心線を、それぞれ示している。以下では、物品長さ方向Lについての内側及び内向きは、長さ方向中心線CLに向かう側及び向きを意味し、物品長さ方向Lについての外側及び外向きは、長さ方向中心線CLから離れる側及び向きを意味する。また、物品幅方向Wについての内側及び内向きは、幅方向中心線CWに向かう側及び向きを意味し、物品幅方向Wについての外側及び外向きは、幅方向中心線CWから離れる側及び向きを意味する。更に、物品厚さ方向Tについての内側及び内向きは着用者に向かう側及び向きを意味し、物品厚さ方向Tについての外側及び外向きは着用者から離れる側及び向きを意味する。
【0039】
本開示による実施形態の吸収性物品1は、テープ型使い捨てオムツから形成される。別の実施形態(図示しない)の吸収性物品1は、パンツ型又はパッド型の吸収性物品から形成される。なお、本開示による実施形態の使い捨てオムツ1は、幅方向中心線CWに関し対をなしている。
【0040】
本発明による実施形態の使い捨てオムツ1は、展開状態において、物品長さ方向Lに沿って順次整列された、腹側部分1a、中間部分1b、及び背側部分1cを含む。また、本発明による実施形態の使い捨てオムツ1は、背側部分1cの物品幅方向Wの両端部に設けられた、フックのようなファスニングテープ1dと、腹側部分1aの外面又は非肌側面に設けられた、ループのようなターゲットテープ1eと、更に含む。ファスニングテープ1dがターゲットテープ1eに係止されると、腹側部分1aの物品長さ方向外縁1aeと背側部分1cの物品長さ方向外縁1ceとによって、着用者の上肢が通るウエスト開口が画定され、中間部分1bの一対の物品幅方向外縁1beによって、着用者の脚が通る一対のレッグ開口が画定される。なお、使い捨てオムツ1が着用者によって着用されている着用状態において、腹側部分1aは着用者の腹部に対面して位置し、中間部分1bは着用者の股部に対面して位置し、背側部分1cは着用者の背部に対面して位置する。
【0041】
図1とともに図2を参照すると、本発明による実施形態の使い捨てオムツ1は、トップシート2、吸収体3、バックシート4、外装シート5、及び、一対のサイドフラップ6を含む。
【0042】
本発明による実施形態のトップシート2は、液透過性の不織布から形成される。また、本発明による実施形態のトップシート2は四角形状をなす。トップシート2は着用状態において、着用者の肌に対面して位置する。
【0043】
本発明による実施形態の吸収体3は、トップシート2に関し着用者の肌と反対側、すなわちトップシート2の非肌側に配置される。また、本発明による実施形態の吸収体3は、四角形状又は砂時計形状をなす。更に、本発明による実施形態の吸収体3は、コアラップにより包まれた吸収コアを含む。吸収コアは、例えば、パルプ繊維、高吸水性ポリマーなどを含む。コアラップは例えば、液透過性の不織布から形成される。吸収体3は尿などの液体を吸収するように構成されている。
【0044】
本発明による実施形態のバックシート4は、吸収体3の非肌側に配置される。本発明による実施形態のバックシート4は、液不透過性の防漏シート4aと、防漏シート4aの非肌側に接合され、不織布から形成された中間シート4bと、を含む。本発明による実施形態の防漏シート4aは、例えば合成樹脂フィルムから形成される。また、本発明による実施形態の防漏シート4aは、四角形状をなす。一方、本発明による実施形態の中間シート4bは、不織布から形成される。中間シート4bの例には、スパンボンド(SB)不織布又はスパンボンド・メルトブローン・スパンボンドSMS不織布が含まれる。また、本発明による実施形態の中間シート4bは、四角形状をなす。
【0045】
本発明による実施形態の外装シート5は、バックシート4の非肌側に配置され、不織布から形成される。外装シート5の例には、SB不織布又はSMS不織布が含まれる。また、本発明による実施形態の外装シート5は、四角形状をなす。なお、本発明による実施形態の外装シート5は、使い捨てオムツ1の外面を構成する。
【0046】
防漏シート4aは、例えば合成樹脂から形成されるので、使い捨てオムツ1の肌触りが硬くなるおそれがある。本発明による実施形態では、防漏シート4aの非肌側に、不織布から形成された中間シート4b及び外装シート5が設けられるので、柔らかい肌触りが得られる。言い換えると、防漏シート4aによる肌触りが、中間シート4b及び外装シート5によって、制限される。
【0047】
使い捨てオムツ1の着用中に外装シート5が衣類と擦れること、ファスニングテープ1dが誤って外装シート5に係合しうること、などを考慮すると、外装シート5を形成する不織布の目付は15g/m以上が好ましい。一方、中間シート4bを形成する不織布の目付は、肌触りの観点から、外装シート5を形成する不織布の目付よりも低いのが好ましく、8から12g/mが好ましい。一例では、外装シート5は目付が18g/mのSB不織布から形成され、中間シート4bは目付が12g/mのSB不織布から形成される。
【0048】
本発明による実施形態のサイドフラップ6は、トップシート2の物品幅方向外縁に沿いつつ、物品長さ方向Lに拡がる。本発明による実施形態のサイドフラップ6は、液不透過性のシートと、物品長さ方向Lに延びる伸長状態の弾性部材と、を含む。サイドフラップ6は、物品長さ方向Lに延びる起立線又は折り線6sに沿ってトップシート2から起立し、それによって尿などの液体の漏れを制限するように構成されている。
【0049】
本発明による実施形態の使い捨てオムツ1は、吸収体3とバックシート4との間に配置され、尿などの液体と接触したときに変色するように構成されたインジケーター7を含む。本発明による実施形態のインジケーター7は、幅方向中心線CW上を物品長さ方向Lに延びる。また、本発明による実施形態のインジケーター7は、バックシート4の肌側又は吸収体3側に塗布されている。インジケーター7は、例えば変色剤を含む。インジケーター7が変色することによって、使い捨てオムツ1の適切な交換時期がわかる。
【0050】
本発明による実施形態の使い捨てオムツ1は更に、外装シート5に接合され、中間部分1bの物品幅方向外縁1beに沿いつつ物品長さ方向Lにそれぞれ拡がる、一対のレッグギャザー(LG)弾性部材8を含む。LG弾性部材8は、脚周りにおける使い捨てオムツ1のフィット性を高める。本発明による実施形態の使い捨てオムツ1は更に、背側部分1cにおいて物品幅方向Wに拡がるウェストギャザー(WG)弾性部材10を含む。WG弾性部材10は、胴周りにおける使い捨てオムツ1のフィット性を高める。これらLG弾性部材8及びWG弾性部材10はそれぞれ、伸長状態で設けられる。
【0051】
本発明による実施形態の中間シート4bは、物品厚さ方向Tに見て、LG弾性部材8と重なっていない。したがって、中間シート4bによってLG弾性部材8の伸縮が妨げられるのが制限される。また、本発明による実施形態の中間シート4bは、物品厚さ方向Tに見て、WG弾性部材10と重なっていない。したがって、中間シート4bによってWG弾性部材10の伸縮が妨げられるのが制限される。更に、本発明による実施形態の中間シート4bは、物品厚さ方向Tに見て、ターゲットテープ1eと重なっていない。したがって、中間シート4bによってターゲットテープ1eの視認性が低下されるのが制限される。
【0052】
本発明による実施形態では更に、展開状態において、中間シート4bの物品長さ方向L寸法は、外装シート5の物品長さ方向L寸法よりも小さい。また、本発明による実施形態では展開状態において、中間シート4bの物品幅方向W寸法は、外装シート5の物品幅方向W寸法よりも小さい。したがって、本発明による実施形態では、物品厚さ方向Tに見て外装シート5と中間シート4bとが互いに重なっている第1の重なり領域11は、中間シート4bが拡がっている領域である。
【0053】
本発明による実施形態の第1の重なり領域11には、外装シート5と中間シート4bとが互いに接合されている第1の接合領域と、外装シート5と中間シート4bとが互いに接合されてない第1の非接合領域と、が区画されている。次に、図3を参照して、本発明による実施形態の第1の接合領域及び第1の非接合領域の基本構成を詳しく説明する。
【0054】
図3を参照すると、本発明による実施形態の第1の接合領域B1は、展開状態において物品長さ方向Lに互いに離間しつつ物品幅方向Wにそれぞれ拡がる、複数の第1の幅方向延在接合領域B1Wを含む。図面では、第1の接合領域B1はハッチングとともに描かれている。図3に示される例では、第1の接合領域B1は、2つの第1の幅方向延在接合領域B1W,B1Wを含む。第1の非接合領域NB1は、物品長さ方向Lに関し第1の幅方向延在接合領域B1W,B1W同士の間に位置する。また、本発明による実施形態の第1の接合領域は、展開状態において物品幅方向Wに互いに離間しつつ物品長さ方向Lにそれぞれ拡がる、複数の第1の長さ方向延在接合領域を更に含む。図3に示される例では、第1の接合領域B1は、2つの第1の長さ方向延在接合領域B1L,B1Lを含む。第1の非接合領域NB1は、物品幅方向Wに関し第1の長さ方向延在接合領域B1L,B1L同士の間に位置する。すなわち、本発明による実施形態の第1の非接合領域NB1は、2つの第1の幅方向延在接合領域B1W,B1Wと、2つの第1の長さ方向延在接合領域B1L,B1Lにより囲まれた領域である。
【0055】
本発明による実施形態では、第1の非接合領域NB1内において、外装シート5が中間シート4bに対し、少なくとも物品幅方向Wにスリップ又は相対移動することができる。すなわち、第1の非接合領域NB1内において、例えば取扱者が指で外装シート5を中間シート4bに対し押し付けながら、指を物品幅方向Wに移動させると、外装シート5が中間シート4bに対し物品幅方向Wにスリップ又は相対移動する。このようなスリップ又は相対移動が生じるのは、主として、第1の非接合領域NB1内に位置する外装シート5がたるみ又はドレープを有しているからである。また、第1の非接合領域NB1内において、外装シート5が中間シート4bから、物品厚さ方向Tに離間している。したがって、取扱者が使い捨てオムツ1を掴んだときに、外装シート5が、取扱者の指によって、中間シート4bに到達するまで物品厚さ方向Tに移動する。このような外装シート5の物品厚さ方向Tの動きによっても、柔らかい肌触りが得られる。
【0056】
この点、本願発明者らによれば、外装シート5が中間シート4bに対し面内方向(外装シート5の表面に平行な方向)にスリップ又は相対移動すると、柔らかい肌触りが得られることが判明している。したがって、本発明による実施形態では、第1の非接合領域NB1において、外装シート5の柔らかい肌触りが得られる。すなわち、使い捨てオムツ1の外面に、柔らかい肌触りが付与される。
【0057】
図3に示されるように、本発明による実施形態では、展開状態において、1つの第1の幅方向延在接合領域B1Wは、第1の重なり領域11の物品長さ方向Lの一端部に位置し、別の第1の幅方向延在接合領域B1Wは、第1の重なり領域11の物品長さ方向Lの他端部に位置する。また、本発明による実施形態では、展開状態において、第1の非接合領域NB1の物品長さ方向寸法DLNB1は、第1の幅方向延在接合領域B1Wの物品長さ方向外縁B1WLeから第1の重なり領域11の物品長さ方向縁11Leまでの物品長さ方向寸法DLMLよりも大きい。更に、本発明による実施形態では、展開状態において、第1の非接合領域NB1の物品長さ方向寸法DLNB1は、第1の幅方向延在接合領域B1Wの物品長さ方向寸法DLB1Wよりも大きい。このようにすると、第1の非接合領域NB1の物品長さ方向寸法DLNB1を、より大きくすることが可能となる。その結果、外装シート5が物品幅方向Wに、より容易にスリップ可能となる。したがって、柔らかい肌触りがより容易に得られる。
【0058】
また、本発明による実施形態では、展開状態において、第1の非接合領域NB1の物品長さ方向寸法DLNB1は、第1の非接合領域NB1の物品幅方向寸法DWNB1よりも大きい。これによっても、外装シート5が物品幅方向Wに、より容易にスリップ可能となる。
【0059】
更に、図3に示されるように、本発明による実施形態では、展開状態において、1つの第1の長さ方向延在接合領域B1Lは、第1の重なり領域11の物品幅方向Wの一端部に位置し、別の第1の長さ方向延在接合領域B1Lは、第1の重なり領域11の物品幅方向Wの他端部に位置する。また、本発明による実施形態では、展開状態において、第1の非接合領域NB1の物品幅方向寸法DWNB1は、第1の長さ方向延在接合領域B1Lの物品幅方向外縁B1LWeから第1の重なり領域11の物品幅方向縁11Weまでの物品幅方向寸法DWMWよりも大きい。更に、本発明による実施形態では、展開状態において、第1の非接合領域NB1の物品幅方向寸法DWNB1は、第1の長さ方向延在接合領域B1Lの物品幅方向寸法DWB1Lよりも大きい。このようにすると、第1の非接合領域NB1の物品幅方向寸法DWNB1を、より大きくすることが可能となる。その結果、外装シート5が物品長さ方向Lに、より容易にスリップ可能となる。したがって、柔らかい肌触りがより容易に得られる。
【0060】
別の実施形態(図示しない)では、第1の接合領域B1は、3つ以上の第1の幅方向延在接合領域B1Wを含む。更に別の実施形態(図示しない)では、第1の接合領域B1は、1又は3つ以上の第1の長さ方向延在接合領域B1Lを含む。第1の接合領域B1が第1の幅方向延在接合領域B1Wと第1の長さ方向延在接合領域B1Lとの両方を含むことにより、外装シート5が中間シート4bに確実に保持される。したがって、例えばファスニングテープ1dが誤って外装シート5に係合したときに、外装シート5が破損するのが制限される。すなわち、使い捨てオムツ1の強度が高められる。更に別の実施形態(図示しない)では、第1の接合領域B1は、第1の長さ方向延在接合領域B1Lを含まない。
【0061】
本発明による実施形態の第1の接合領域B1における接合は、ホットメルト接着剤のような接着剤によって得られる。一例では、図4に示されるように、ホットメルト接着剤HMAは、物品幅方向Wにわずかに互いに離間しつつ物品長さ方向Lにそれぞれ延びる基準線RLに沿いつつ、波状に塗工される(オメガ塗工)。別の例(図示しない)では、ホットメルト接着剤HMAは、基準線に沿いつつ、らせん状(スパイラル塗工)又は点状(ドット塗工)に塗工される。なお、微視的に見れば、接着剤同士の間に、外装シート5と中間シート4bとが互いに接合されていない微小領域が形成されうる。しかしながら、この微小領域は第1の非接合領域NB1よりも圧倒的に小さく、ここでは上述したような外装シート5のスリップは生じない。一方、本発明による実施形態の第1の非接合領域NB1には、接着剤が含まれない。
【0062】
図5には、図1及び図2に示される本発明による実施形態の使い捨てオムツ1の、第1の接合領域B1及び第1の非接合領域NB1が、展開状態において模式的に示される。本発明による実施形態では、第1の接合領域B1は、2つの第1の幅方向延在接合領域B1Wと、3つの第1の長さ方向延在接合領域B1Lと、を含む。2つの第1の幅方向延在接合領域B1Wは、第1の重なり領域11の物品長さ方向Lの両端部に位置する。一方、3つの第1の長さ方向延在接合領域B1Lは、第1の重なり領域11の物品幅方向Wの両端部と、第1の重なり領域11の物品幅方向Wの中央部と、に位置する。
【0063】
なお、図5に示される実施形態では、第1の幅方向延在接合領域B1Wの物品長さ方向外縁B1WLeと第1の重なり領域11の物品長さ方向縁11Leとは互いに一致し、したがって物品長さ方向寸法DLML(図3)はゼロである。また、図5に示される実施形態では、第1の長さ方向延在接合領域B1Lの物品幅方向外縁B1LWeと第1の重なり領域11の物品幅方向縁11Weとは互いに一致し、したがって物品幅方向寸法DWMW(図3)はゼロである。このようにすると、外装シート5が中間シート4bに確実に保持される。
【0064】
図6は、物品幅方向Wに延びる折り曲げ線FLに沿って折り曲げられた二つ折り状態にある、本発明による実施形態の使い捨てオムツ1の模式的平面図を示している。本発明による実施形態では、折り曲げ線FLは上述の長さ方向中心線CLに一致する。図6に示されるように、本発明による実施形態では、二つ折り状態にある使い捨てオムツ1に、折り曲げ線FLに近い近位区域PRと、折り曲げ線FLから遠い遠位区域DSとが区画されている。図6では、近位区域PRがドットとともに描かれている。本発明による実施形態では、近位区域PRと遠位区域DSとの境界線BLは、二つ折り状態にある使い捨てオムツ1を物品長さ方向Lに二等分する。
【0065】
本発明による実施形態では、第1の非接合領域NB1の少なくとも一部が近位区域PR内に位置している。一例では、図6に示されるように、第1の非接合領域NB1は、近位区域PR内及び遠位区域DS内に位置する。別の実施形態(図示しない)では、第1の非接合領域NB1は、遠位区域DS内に位置することなく、近位区域PR内に位置する。
【0066】
本発明による実施形態の第1の非接合領域NB1の位置は次のように説明することもできる。すなわち、本発明による実施形態では、図7に示されるように、近位区域PR内に、使い捨てオムツ1の幅方向中心線CWと、吸収体3の物品幅方向W外縁3e,3eとによって、2つの近位区画部分PRp,PRpが区画される。図7では、近位区画部分PRp,PRpがドットとともに描かれている。
【0067】
ここで、例えば図5に示される第1の非接合領域NB1の一部をNB1pで表すと、本発明による実施形態では、各近位区域部分PRpに第1の非接合領域NB1pが位置している。この場合、第1の非接合領域NB1pの物品長さ方向寸法DLpは、第1の非接合領域NB1pの物品幅方向寸法DWpよりも大きい。なお、図7に示される第1の非接合領域NB1pは、第1の重なり領域11に区画される第1の非接合領域NB1の一部である。別の実施形態(図示しない)では、図7に示される第1の非接合領域NB1pが、第1の重なり領域11に区画される第1の非接合領域NB1の全部である。
【0068】
本発明による実施形態では更に、図5に示されるように、物品厚さ方向Tに見て、第1の非接合領域NB1と吸収体3とが少なくとも部分的に重なっている。吸収体3の肌触りは柔らかい。したがって、取扱者が第1の非接合領域NB1を物品厚さ方向Tに押したときに、より柔らかい肌触りが得られる。
【0069】
再び図1を参照すると、本発明による実施形態では、展開状態において、中間シート4bの物品長さ方向L寸法は、防漏シート4aの物品長さ方向L寸法よりも小さい。また、本発明による実施形態では展開状態において、中間シート4bの物品幅方向W寸法は、防漏シート4aの物品幅方向W寸法よりも小さい。したがって、本発明による実施形態では、物品厚さ方向Tに見て中間シート4bと防漏シート4aとが互いに重なっている第2の重なり領域12は、中間シート4bが拡がっている領域である。
【0070】
本発明による実施形態では、第2の重なり領域12の全体に、中間シート4bと防漏シート4aとが互いに接合されている第2の接合領域B2が区画されている。言い換えると、中間シート4b全体が防漏シート4aに接合されている。図8には、本発明による実施形態の使い捨てオムツ1の、第2の接合領域B2が、展開状態において模式的に示される。図面では、第2の接合領域B2はハッチングとともに描かれている。第2の接合領域B2においては、第1の接合領域B1と同様に接着剤が適用される。
【0071】
図9には、本発明による実施形態の第1の接合領域B1及び第1の非接合領域NB1並びに第2の接合領域B2が模式的に示される。図5,8,9からわかるように、物品厚さ方向Tに見て、第1の接合領域B1は、第2の接合領域B2と重なっている。また、物品厚さ方向Tに見て、第1の非接合領域NB1も、第2の接合領域B2と重なっている。本発明による実施形態の第2の接合領域B2でも、第1の接合領域B1と同様に、接着剤が適用される。
【0072】
なお、本発明による実施形態の外装シート5は、物品長さ方向L及び物品幅方向Wに関し中間シート4bよりも外側において、防漏シート4a及びサイドフラップ6に接合される。
【0073】
さて、取扱者(例えば、親)が着用者(例えば、子)のために吸収性物品(例えば、使い捨てオムツ)を包装袋から取り出すときに、取扱者は吸収性物品の外面に触れる。この場合、本願発明者らによれば、取扱者の指、例えば親指が物品長さ方向Lを向く傾向にあり、取扱者の親指が物品幅方向Wに動く傾向にあることが判明している。
【0074】
すなわち、図10に示されるように、取扱者が例えば包装袋から取り出すために使い捨てオムツ1を掴んだときに、取扱者の親指TBが物品長さ方向Lを向く場合が多い。したがって、親指TBは、図10に矢印で示されるように、物品幅方向Wに動く場合が多い。この点、本発明による実施形態では、上述したように、第1の非接合領域NB1が中間シート4bに対し少なくとも物品幅方向Wにスリップ可能である。したがって、取扱者が使い捨てオムツ1と掴んで親指TBを動かしたときに、取扱者は柔らかい肌触りを得ることができる。
【0075】
しかも、本願発明者らによれば、取扱者が使い捨てオムツ1を掴んだときに、取扱者の親指TBが近位区域PR内、特に近位区画部分PRp内に位置する傾向にある、ことが判明している。この点、本発明による実施形態では、上述したように、近位区域PR内、特に近位区画部分PRp内に、第1の非接合領域NB1が位置している。その結果、取扱者が使い捨てオムツ1を掴んだときに、取扱者の親指TBが第1の非接合領域NB1に位置しやすい。したがって、柔らかい肌触りが確実に得られる。
【0076】
なお、図7に示される第1の非接合領域NB1pの物品長さ方向寸法DLpは40mm以上が好ましい。一方、第1の非接合領域NB1pの物品幅方向寸法DWpは20mm以上が好ましい。第1の非接合領域NB1pの物品長さ方向寸法DLpが40mm未満であるか、又は、第1の非接合領域NB1pの物品幅方向寸法DWpが20mm未満であると、外装シート5が中間シート4bに対し有意にスリップ又は相対移動するのが困難となり、柔らかい肌触りを十分に得るのが困難となる。あるいは、使い捨てオムツ1を掴んだ取扱者の指が第1の非接合領域NB1p内に位置するのが困難となる。
【0077】
また、本発明による実施形態では、外装シート5が、不織布から形成された、柔らかい肌触りの中間シート4bに対し、スリップ又は相対移動する。したがって、より柔らかな肌触りが得られる。しかも、例えばSB不織布及びSMS不織布は、表面の毛羽立ちが比較的少ない。したがって、中間シート4bがSB不織布又はSMS不織布から形成されると、外装シート5が中間シート4bに対しスムースにスリップ又は相対移動する。したがって、より柔らかい肌触りが得られる。これに対し、例えばエアスルー不織布は、表面の毛羽立ちが比較的多い。
【0078】
更に、本発明による実施形態では、図8,9に示されるように、中間シート4b全体が防漏シート4aに接合される。したがって、使い捨てオムツ1の強度が高められる。すなわち、本発明による実施形態では、使い捨てオムツ1の柔らかい肌触りが得られるとともに、使い捨てオムツ1の強度が高められる。
【0079】
更に、本発明による実施形態では、第1の接合領域B1及び第2の接合領域B2と、インジケーター7とが、物品厚さ方向Tに見て、少なくとも部分的に互いに重なっている。インジケーター7の外側又は非肌側に位置する防漏シート4a、中間シート4b及び外装シート5が互いに物品厚さ方向Tに離間していると、これら防漏シート4a、中間シート4b及び外装シート5によって、インジケーター7の視認性が低下するおそれがある。本発明による実施形態では、物品厚さ方向Tに見てインジケーター7と重なっている外装シート5、中間シート4b及び防漏シート4aが互いに接合されており、互いに密着されている。その結果、インジケーター7の良好な視認性が確保される。
【0080】
また、図5に示されるように、本開示による実施形態では、LG弾性部材8に隣接する外装シート5の部分が第1の長さ方向延在接合領域B1Lにより中間シート4bに接合される。更に、WG弾性部材10に隣接する外装シート5の部分が第1の幅方向延在領域B1Wにより中間シート4bに接合される。この場合、外装シート5の当該部分が中間シート4bに接合されていないと、弾性部材8,10が収縮したときに、外装シート5の当該部分に比較的大きなシワが形成されるおそれがある。本開示による実施形態では、外装シート5の当該部分にシワが形成されるが制限される。したがって、使い捨てオムツ1の良好な外観が確保される。
【0081】
図11及び図12は、本発明による別の実施形態を示している。本発明による別の実施形態では、第2の重なり領域12に、中間シート4bと防漏シート4aとが互いに接合されている第2の接合領域B2と、中間シート4bと防漏シート4aとが互いに接合されていない第2の非接合領域NB2と、が区画されている。
【0082】
本発明による別の実施形態では、第2の非接合領域NB2内において、中間シート4bは防漏シート4aに対し少なくとも物品幅方向Wにスリップ又は相対移動可能である。このようなスリップ又は相対移動が生じるのは、主として、第2の非接合領域NB2内に位置する中間シート4bがたるみ又はドレープを有しているからである。その結果、取扱者が使い捨てオムツ1の外面に触れたときに、第1の非接合領域NB1内の外装シート5が中間シート4bに対しスリップ又は相対移動するだけでなく、第2の非接合領域NB2内の中間シート4bが防漏シート4aに対しスリップ又は相対移動する。したがって、より柔らかい肌触りが得られる。
【0083】
更に、本発明による別の実施形態では、物品厚さ方向Tに見て、第1の非接合領域NB1と第2の非接合領域NB2とが少なくとも部分的に互いに重なっており、第1の接合領域B1と第2の接合領域B2とが少なくとも部分的に互いに重なっている。図11及び図12に示される実施形態では、物品厚さ方向Tに見て、第2の接合領域B2の全部が第1の接合領域B1と重なっており、第2の非接合領域NB2の全部が第1の非接合領域NB1と重なっている。
【0084】
その結果、中間シート4bに対しスリップ可能な外装シート5の部分と、防漏シート4aに対しスリップ可能な中間シート4bの部分とが、物品厚さ方向Tに互いに整列される。あるいは、第2の非接合領域NB2内において、防漏シート4aに対する中間シート4bのスリップが、外装シート5によって制限されない。あるいは、したがって、より柔らかい肌触りが得られる。
【0085】
図13及び図14は、本発明による更に別の実施形態を示している。本発明による更に別の実施形態では、物品厚さ方向Tに見て、第1の非接合領域NB1と第2の接合領域B2とが少なくとも部分的に互いに重なっており、かつ、第1の接合領域B1と第2の非接合領域NB2とが少なくとも部分的に互いに重なっている。図13及び図14に示される実施形態では、物品厚さ方向Tに見て、第2の接合領域B2の一部(領域B2Z以外)が第1の非接合領域NB1と重なっており、第2の非接合領域NB2の全部が第1の接合領域B1と重なっている。
【0086】
その結果、中間シート4bに対しスリップ可能な外装シート5の部分と、防漏シート4aに接合された中間シート4bの部分とが、物品厚さ方向Tに互いに整列され、中間シート4bに接合された外装シート5の部分と、防漏シート4aに対しスリップ可能な中間シート4bの部分とが、物品厚さ方向Tに互いに整列される。あるいは、第2の非接合領域NB2内において、防漏シート4aに対する中間シート4bのスリップが、外装シート5によって制限されうる。したがって、柔らかい肌触りが提供されつつ、使い捨てオムツ1の強度が高められる。
【0087】
なお、使い捨てオムツ1の外面の肌触りは、図11及び図12に示される実施形態、図13及び図14に示される実施形態、図8及び9に示される実施形態の順に柔らかい。一方、使い捨てオムツ1の強度は、図8及び9に示される実施形態、図13及び図14に示される実施形態、図11及び図12に示される実施形態の順に高い。
【0088】
別の実施形態(図示しない)では、バックシート4は中間シート4bを含むことなく、防漏シート4aを含む。したがって、バックシート4が中間シート4bを含む実施形態と含まない実施形態とを包含するように表現すると、本発明による実施形態の吸収性物品1は、物品厚さ方向Tに見て外装シート5とバックシート4とが互いに重なっている第1の重なり領域11に、外装シート5とバックシート4とが互いに接合されている第1の接合領域B1と、外装シート5とバックシート4とが互いに接合されてない第1の非接合領域NB1と、が区画されており、第1の接合領域B1が、展開状態において物品長さ方向Lに互いに離間しつつ物品幅方向Wにそれぞれ拡がる、複数の第1の幅方向延在接合領域B1Wを含み、第1の非接合領域NB1が、展開状態において物品長さ方向Lに関し第1の幅方向延在接合領域B1W同士の間に位置し、第1の非接合領域NB1内において、外装シート5がバックシート4に対し少なくとも物品幅方向Wにスリップ可能である、吸収性物品1である、ということになる。
【符号の説明】
【0089】
1 使い捨てオムツ(吸収性物品)
3 吸収体
4 バックシート
4a 防漏シート
4b 中間シート
5 外装シート
7 インジケーター
11 第1の重なり領域
B1 第1の接合領域
B1W 第1の幅方向延在接合領域
B1L 第1の長さ方向延在接合領域
NB1 第1の非接合領域
B2 第2の接合領域
NB2 第2の非接合領域
L 物品長さ方向
T 物品厚さ方向
W 物品幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14