(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】掃除機のための集塵チャンバ及び吸引ヘッド
(51)【国際特許分類】
A47L 9/10 20060101AFI20220411BHJP
【FI】
A47L9/10 D
(21)【出願番号】P 2018539426
(86)(22)【出願日】2017-02-27
(86)【国際出願番号】 GB2017050509
(87)【国際公開番号】W WO2017144918
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-27
(32)【優先日】2016-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512037358
【氏名又は名称】グレイ テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,ニコラス ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】イステッド,マシュー ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ケント,アンドリュー ジョン
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-185398(JP,A)
【文献】特開2016-005812(JP,A)
【文献】特開2001-321302(JP,A)
【文献】実開昭54-028262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00-9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機の
吸引ヘッドへの取付けに適合された集塵チャンバであって、空気入口及び空気出口を有し、前記空気入口と前記空気出口との間にフィルタを有し、開閉可能なカバーを有する廃棄開口を有する集塵チャンバにおいて、
第1の端部及び第2の端部を有し、該第2の端部に前記開閉可能なカバーを有する管状であり、
前記廃棄開口に向かって及びそこから離れるように移動可能である
塵除去パネルを前記
集塵チャンバ中
に有し、
前記塵除去パネルが、前記第1の端部に隣接する第1の位置と前記第2の端部に隣接する第2の位置との間で移動可能であり、
前記塵除去パネルがその第1の位置に位置した状態でしか前記集塵チャンバを吸引ヘッドに取り付けることができないようにしてある
ことを特徴とする集塵チャンバ。
【請求項2】
前記空気入口が、前記集塵チャンバの全長に実質的にわたるスロットである、請求項1に記載の集塵チャンバ。
【請求項3】
前記空気入口が、前記廃棄開口に続く、請求項1または2に記載の集塵チャンバ。
【請求項4】
前記塵除去パネルが、レール上に摺動可能に取り付けられる、請求項1~
3のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項5】
前記レールが、前記空気入口に隣接して位置する、請求項
4に記載の集塵チャンバ。
【請求項6】
前記レールが、前記空気入口の長手方向縁部を備える、請求項
4または
5に記載の集塵チャンバ。
【請求項7】
前記塵除去パネルが、前記空気入口の両前記長手方向縁部と係合する、請求項1~
6のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項8】
前記塵除去パネルが、前記空気入口に沿って移動する、請求項1~
7のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項9】
前記塵除去パネルが、前記チャンバの外側に位置する作動ハンドルに接続される、請求項1~
8のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項10】
前記作動ハンドルが、前記塵除去パネル
に対して前記第1の端部側にオフセットしており、前記塵除去パネルの少なくとも一部が、前記第2の位置における前記廃棄開口を越えて突出することができるようにしてある、請求項9に記載の集塵チャンバ。
【請求項11】
前記空気出口が、前記
第1の端部に位置する、請求項1~1
0のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項12】
前記フィルタが、穿孔された壁によって囲まれる、請求項1~1
1のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項13】
前記穿孔が、前記壁に不均一に配置される、請求項1
2に記載の集塵チャンバ。
【請求項14】
前記フィルタが、前記
第1の端部を通して取外し可能である、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項15】
前記フィルタが、円筒形であり、穿孔された円筒形のマンドレルの周りに取り付けられる、請求項1~1
4のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項16】
前記マンドレルが、前記
第1の端部に接続される、請求項1
3に記載の集塵チャンバ。
【請求項17】
前記フィルタが、前記マンドレルを覆う取付けに適合された柔軟なソックスである、請求項1
5または1
6に記載の集塵チャンバ。
【請求項18】
前記フィルタが、穿孔された壁によって囲まれ、前記マンドレル中の前記穿孔の総面積が、前記穿孔された壁中の前記穿孔の総面積と少なくとも同じ大きさである、請求項1
5~
17のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項19】
実質的に円筒形であり、前記フィルタが前記円筒形の中心に隣接して位置する、請求項1~
18のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項20】
前記入口開口に隣接するバッフルがある、請求項1~
19のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバ。
【請求項21】
前記バッフルが、前記集塵チャンバの全長にわたり、前記空気入口を通って入る空気を前記チャンバの周りに流すように構成された、請求項2
0に記載の集塵チャンバ。
【請求項22】
掃除機のための吸引ヘッドであって、請求項1~2
1のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバを有し、その底面における開口、及び前記開口に位置する回転可能ブラシを有し、前記回転可能ブラシの外周と、最も近い点における前記空気入口との間の距離が、前記回転可能ブラシの直径の1/3から1/2の間にある、掃除機のための吸引ヘッド。
【請求項23】
掃除機のための吸引ヘッドであって、請求項1~2
1のうちいずれか一項に記載の集塵チャンバを有し、その底面における開口、及び前記開口に位置する回転可能ブラシを有し、前記開口と、最も近い点における前記空気入口との間の前記距離が、前記回転可能ブラシの前記直径よりも短い、掃除機のための吸引ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機のための集塵チャンバ及び吸引ヘッドに関し、特に、取外し可能であり、したがって、収集された塵を容易に処分することを可能にする集塵チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機は、一般に、空気の流れを生み出すためにインペラを駆動するモータを有する。掃除機の吸引ヘッドは、空気が入ることができる開口をその底壁に有し、空気は、吸引ヘッドに塵及び屑を搬送する。空気が、吸引ヘッド内の1つまたは複数の気流ダクトを通して塵及び屑を搬送するように構成される。塵及び屑は、集塵チャンバにダクトを通して搬送される。空気は、次いで、掃除機を離れる前に1つまたは複数のフィルタを通過し、フィルタは、その後の廃棄のために集塵チャンバ内の塵及び屑を捕らえるように配置される。
【0003】
集塵チャンバは、使い捨てバッグを含む、または備えることができ、バッグの壁はフィルタとしても働く。あるいは、集塵チャンバは、掃除機から取り外され、空にされ、再利用のために掃除機に再取付けすることができる容器である。本発明は、この代替タイプの集塵チャンバに関する。
【0004】
多くの掃除機は、商用電源給電を受ける。大部分の家庭用の商用電源式掃除機は、2つの大きい種類に分類される。第1の種類は、しばしば、シリンダ型掃除機と呼ばれる。シリンダ型掃除機では、吸引ヘッドが、操作ハンドルに接続され、これは、次に、塵及び屑が集塵チャンバへ向かう途中に通る柔軟なホースに接続される。集塵チャンバは、吸引ヘッドとは別個のものであり、モータをも含む本体内に位置し、本体は、通常、それが掃除作業中に床の上で引かれ得る車輪またはスライドを有する。
【0005】
第2の種類は、しばしば、直立型掃除機と呼ばれる。直立型掃除機では、モータ及び集塵チャンバは、操作ハンドルによって担持されるか、または、場合によっては、それと一体であり、したがって、モータ及び集塵チャンバを含む本体は、一般に、掃除作業中に吸引ヘッドの上方にある。
【0006】
バッテリ電源式掃除機も知られており、バッテリ、モータ、インペラ及び集塵チャンバがすべて吸引ヘッド中に位置するいくぶん異なる手法を採用し得る。したがって、吸引ヘッドに接続された操作ハンドルは、掃除している床の上で吸引ヘッドを動かすためだけに使用される。バッテリ電源式掃除機は、我々の特許出願である国際公開第2012/085567号に記載されている。
【0007】
国際公開第2012/085567号の掃除機は、吸引ヘッドから取り外され、収集された塵及び屑が処分されるごみ箱などに搬送され得る集塵チャンバを有する。フィルタは、集塵チャンバのカバーまたは蓋内に位置し、集塵チャンバとともに取り外される。フィルタを含む蓋は、チャンバを空にするのを可能にするために廃棄場所で開くことができる。
【0008】
サイクロン型集塵チャンバが知られている。サイクロン型集塵チャンバは、しばしば、繊維塵のための外部空洞ならびに細かい塵及び埃のための内部空洞を有する。空気ならびに細かい塵及び埃は、穿孔されたシュラウドを通して外部空洞から内部空洞に通る。サイクロン型集塵チャンバの蓋は、チャンバの端部にあり得、蓋を開く前に台所ごみ箱などのより大きい容器の口にチャンバのその端部を配置し、それによって、収集された塵及び屑の一部がこぼれる可能性を最小限に抑えようとすることがしばしば可能である。
【0009】
サイクロン型集塵チャンバに関する第1の知られている(一般的な)問題は、塵及び屑が穿孔されたシュラウドと外部空洞の壁との間に捕らえられることである。ユーザが外部空洞から圧縮された塵及び屑を解放するために圧縮された塵及び屑を砕かなければならないことは珍しくなく、ユーザが捕らえられた屑を引き出すために自身の指を使用するのは望ましくない。
【0010】
サイクロン型集塵チャンバに関する第2の知られている(また一般的な)問題は、繊維屑からの細かい埃の分離に起因する。台所ごみ箱などの容器に空にする際に、一般に、より密集した細かい埃が最初に容器に落下する。細かい埃の少なくとも一部が浮揚することになり、空中の埃が容器内にとどまるようにするために注意を払う必要がある。しかしながら、たとえそうであっても、繊維屑は、その後容器に落下するとき、空中の埃の少なくとも一部を移動させ、容器から周囲の環境に流出させるが、これは、明らかに望ましくない。一般的に、ユーザが外部空洞から繊維屑を解放するために集塵チャンバを揺らさなければならない場合、空中の埃が容器から逃げる可能性が悪化し得る。
【0011】
サイクロン型集塵チャンバに関する第3の知られている問題は、それらの空間効率である。繊維屑は、外部空洞の周りをスピンする間、比較的通気される。さらに、収集された塵は、チャンバのあまりに多くの部分に充填された場合、シュラウド中の穿孔を遮断し、取り除くのがさらに難しくなることになる。この問題を最小限に抑えるために、製造者は、透過的な集塵チャンバを提供しており、ユーザが観察し、収集された塵がそのレベルに達するときにチャンバを空にすることが期待される「最大充填」マークを提供している。「最大充填」レベルに達する前に大型のサイクロン型集塵チャンバ中でさえほとんど塵が収集されないことがしばしば注目される。
【0012】
国際公開第2012/085567号の設計意図のうちの1つは、集塵チャンバ中で埃及び屑を「俵形」に圧縮し、集塵チャンバの蓋が開かれるときに俵形を取り除きやすくするために気流を利用することである。繊維屑及び細かい埃が俵形に組み合わされるので、空にする際に空中の埃が生み出される可能性が著しく低減される。製造実施形態は、これらの目的を達成することに特に成功しているが、それでも、ユーザは、空にする間に塵にいくぶんさらされる。また、製造実施形態は、比較的大きい蓋を有し、相応して、俵形を空にする大きい開口を有し、したがって、チャンバを空にする容器は、空にする間に集塵チャンバが配置され得る合理的に大きい口を有しなければならない。
【0013】
掃除機に関する一般的な問題は、概して、吸気開口から集塵チャンバに塵を搬送するダクトが屑によって遮断され得ることである。国際公開第2012/085567号の発明者は、集塵チャンバを回転ブラシ・バーの極めて近くに配置し、他の掃除機製造者が使用する従来の長く、細いダクトの代わりに全幅のダクトを利用することによって、この問題をうまく克服した。
【0014】
国際公開第2012/085567号の製造実施形態では、フィルタは、周期的な清掃のために取り外され得る。フィルタは、連続するフィルタ処理段階を与える2段フィルタであり、再設置時に正しく配向されなければならない。一部のユーザは、フィルタを正しく配向し、及び/または着座させることに失敗し、その結果、掃除機の性能が減少される。
【0015】
米国特許出願公開第2002/0148070号明細書でも、取外し可能な集塵チャンバを有するバッテリ電源式掃除機を開示している。
【0016】
国際公開第2012/085567号の製造実施形態の商業的成功にもかかわらず、発明者は、集塵チャンバを周期的に空にすることを達成するのが容易であるとは限らず、あまり勤勉ではないユーザが塵をこぼすことになり得ることを理解している。また、相当な注意をしなければ、より小さい粒子の埃が空気中に分散され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第2012/085567号
【文献】米国特開第2002/0148070号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、発明者は、知られている製品のユーザが遭遇する問題のうちのいくつかに対処する改善された集塵チャンバを提供しようとした。本発明は、バッテリ電源式掃除機に特に有用性を有するが、そのような使用に限定されない。
【0019】
本発明によれば、掃除機のための集塵チャンバであって、空気がチャンバに入り得る入口開口及び空気がチャンバを離れ得る出口開口を有し、入口開口と出口開口との間にフィルタを有し、開閉可能なカバーを有する廃棄開口を有する集塵チャンバにおいて、廃棄開口に向かって及びそこから離れるように移動可能である塵除去パネルを有することを特徴とする集塵チャンバを提供する。
【0020】
好ましくは、入口開口は、集塵チャンバの全長に実質的にわたるスロットである。
【0021】
集塵チャンバを空にすることが望まれるとき、ユーザは、掃除機から集塵チャンバを取り外し、廃棄開口を開き、次いで、廃棄開口の方へ塵除去パネルを移動し、それにより、収集された塵及び屑を廃棄開口を通してチャンバの外に押し出す。したがって、塵除去パネルにより、ユーザは、高圧縮された塵及び屑であってもチャンバから押し出すことが可能になる。これにより、ユーザが手で、または好適な道具によって収集された塵及び屑を砕かなければならなくなることが回避される。
【0022】
好ましくは、空にする間に、ダクトが遮断されないようにする助けとなるように、塵除去パネルが入口開口の端部に沿って及びその外にあらゆる収集された屑を除去することができるように、入口開口は、廃棄開口に続く(望ましく、廃棄開口は、入口開口の端部に接続される)。
【0023】
好ましくは、集塵チャンバは、第1の端部及び第2の端部を有し、その第2の端部に開閉可能なカバーを有する管状である。塵除去パネルは、好ましくは、第1の端部に隣接する第1の位置と第2の端部に隣接する第2の位置との間で移動可能である。
【0024】
望ましくは、塵除去パネルが、その第1の位置に位置する場合にしか集塵チャンバを吸引ヘッドに取り付けられることができず、したがって、使用中に、塵除去パネル「の後ろに」塵及び屑を収集することができない。
【0025】
好ましくは、塵除去パネルは、レール上に取り付けられ、レールは、第1の端部の近くから第2の端部の近くまで延びる。そのようなレールにより、あらゆる収集された塵及び屑が廃棄時にチャンバ内にとどまる機会を最小限に抑えるためにチャンバの全長に沿って塵除去パネルを移動することが可能になる。
【0026】
望ましくは、入口開口は、第1の端部に隣接する場所から第2の端部に隣接する場所まで延びる。従来技術文献の集塵チャンバと同様に、本発明の集塵チャンバは、回転可能なブラシの近くに吸引ヘッドにわたって配向されるように構成される。吸引ヘッドに取り付けられると、集塵チャンバの第1及び第2の端部は、入口開口が吸引ヘッドの前面に向けられた状態で吸引ヘッドの両側に隣接してある。集塵チャンバは、理想的には、吸引ヘッドの全幅に実質的にわたり、入口開口は、同様に、吸引ヘッドの実質的に全幅にわたる。したがって、本発明は、国際公開第2012/085567号に提示されている全幅の入口開口の利益を共有することができる。
【0027】
望ましくは、レールは、入口開口に隣接して位置する。これにより、チャンバ内の塵除去パネルをサポートすることが可能になり、さらに、塵除去パネルをチャンバの外部の作動ハンドルに接続することが可能になる。したがって、ユーザは、ユーザが集塵チャンバに自身の指を挿入することを必要とすることなしにその第1の位置と第2の位置との間で塵除去パネルを駆動するために(チャンバの外側の)作動ハンドルを使用することができる。ユーザの指が不潔になる可能性が、それによって低減される。
【0028】
好ましくは、塵及び屑がチャンバ中に誤って保持される可能性を低減または除去するように、特に、繊維屑が容易に落ちるように、その移動の終わりに塵除去パネルがごみ箱の端部から突出するように、作動ハンドルが塵除去パネルに対して第1の端部側にオフセットしている。
【0029】
好ましくは、出口開口は、集塵チャンバの第1の端部に位置する。やはり好ましくは、フィルタは、第1の端部を通して取外し可能である。塵及び埃は、収集された塵及び屑の廃棄中に廃棄開口に隣接して累積し得ることを理解されたい。したがって、第2の端部に隣接する集塵チャンバの外側は、時間とともに汚くなり得る。したがって、集塵チャンバの第1の端部は、「きれいな端部」であることになり、フィルタが第1の端部を通して周期的な清掃のために取り外されることは大いに望ましい特徴である。したがって、フィルタの除去及び再設置中に、ユーザが汚れる可能性が低くなり、フィルタをより頻繁に掃除し、掃除機の性能が最大化される可能性が高くなる。
【0030】
望ましくは、フィルタは、円筒形であり、穿孔された円筒形のマンドレルの周りに取り付けられる。マンドレルは、フィルタに構造的サポートを提供し、フィルタが剛体である、または自立するという要件をも回避する。したがって、フィルタは、柔軟であり得、これにより、除去、掃除、及び再設置が容易になる。
【0031】
好ましくは、マンドレルは、第1の「きれいな」端部の外部の部分を形成し、ユーザが、自身の指を汚すことなしにフィルタを引き出し、必要な場合、たたいて掃除し、フィルタをチャンバに再設置することを可能にするためにきれいな把持領域をもたらす。
【0032】
好ましくは、フィルタは、マンドレルに被せることができる「ソックス」の形態にある。
【0033】
好ましくは、集塵チャンバは、実質的に円筒形であり、フィルタは、円筒形の中央に向かって位置する。フィルタは、第1の(粗い)フィルタ処理段階をもたらす穿孔された壁またはシュラウドによって囲まれ得る。穿孔は、集塵チャンバ内の気流を決定する助けとなるようにシュラウドの選択された部分中に位置し得る。
【0034】
望ましくは、入口開口に隣接するバッフルがある。理想的には、バッフルは、集塵チャンバの全長にわたり、また、外壁とシュラウドとの間の距離にわたる。バッフルはまた、集塵チャンバ内の気流を制御する助けとなり、特に、空気を湾曲した経路に沿ってシュラウドの周りに流す。
【0035】
バッフル構成は、収集された塵を円筒形チャンバ内で回転するのではなく、収集し、層に圧縮し、それによって、知られているサイクロン型集塵チャンバと比較してごみ箱に収集され得る塵及び屑の堆積を増加させるようにする。
【0036】
好ましくは、塵除去パネルの少なくとも一部が入口開口内にあり、塵除去パネルは、塵除去パネルの移動中に入口開口に沿って移動する。塵除去パネルは、入口開口の両長手方向縁部と係合することができ、チャンバを空にするたびにそれらの縁部をふき、掃除することができる。したがって、集塵チャンバの全容積は、入口開口を遮断する恐れなしに使用することができ、これは、「最大充填」線の要件を回避することができる。代わりに、ユーザが、集塵チャンバをいつ空にする必要があるのかを容易に見ることができるように、集塵チャンバの外壁は、望ましくは透明な材料から製造される。
【0037】
次に、添付の図面を参照しながら、例として本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明による、集塵チャンバ付き掃除機の吸引ヘッドの断面図を示す。
【
図2】使用状態にある、本発明の集塵チャンバの透視図を示す。
【
図3】作動ハンドルがその作動位置にある状態の集塵チャンバの透視図を示す。
【
図4】カバーが開いた状態の集塵チャンバの透視図を示す。
【
図5】塵除去パネルがチャンバの第2の端部に移動した状態の集塵チャンバの透視図を示す。
【
図6】
図5の状態にある集塵チャンバの平面図を示す。
【
図7】塵除去パネルなしの集塵チャンバの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1に、バッテリ電源式掃除機の吸引ヘッド2の長手方向断面図を示す。国際公開第2012/085567号に記載されている掃除機と同様に、吸引ヘッド2は、バッテリ、モータ及びインペラを含んでおり、そのいずれも本図面では視認可能ではない。吸引ヘッド2は、吸気開口4を有し、回転可能ブラシ6は、吸気開口を通って突出する。操作ハンドルは、掃除している床の上で吸引ヘッドを動かすための差し込み部8に接続され得る。
【0040】
集塵チャンバ10は、回転可能ブラシに隣接して位置し、以下の図面に関してより詳細に説明される。集塵チャンバ10を、バッテリ電源式掃除機の吸引ヘッドについて説明するが、そのような用途に限定されないことを理解されたい。集塵チャンバ10は、吸引ヘッド2の凹部への取外し可能な取付けのために設計されており、したがって、集塵チャンバは、空にする及び/または掃除するために吸引ヘッドの残りから分離され得る。
図2でわかるように、集塵チャンバ10は、第1の端部12及び第2の端部14が吸引ヘッド2の両側に隣接して位置した状態の実質的に管状及び円筒形である。集塵チャンバの長手方向軸A-Aは、
図1に示した断面図の平面に対して実質的に直角であり、回転可能ブラシ6の回転軸に対して平行(またはほぼ平行)である。
【0041】
いくつかの実施形態では、吸引ヘッド2中の凹部は、第2の端部14に隣接する片開き型であり、したがって、第2の端部14は、吸引ヘッド2の側面の一部を形成する。
【0042】
集塵チャンバの第2の端部14は、集塵チャンバの廃棄開口を露出するために
図4に示すように開くことができるカバーまたは蓋16を有する。ラッチ機構20は、知られているようにしてカバーを閉位置に固定し、チャンバを誤って開くのを回避するために、吸引ヘッド2中のその凹部内に集塵チャンバが位置するときに、ラッチ機構20を解放することができないように構成される。
【0043】
集塵チャンバ10は、入口開口22を有する。
図1でわかるように、入口開口22は、塵及び屑が集塵チャンバ10に移る途中に通るそれらの間の短い気流ダクトがあるだけで回転可能ブラシ6の非常に近くにある。
【0044】
図1の特定の実施形態では、回転可能ブラシの外周と、その最も近い点における入口開口22との間の距離は、回転可能ブラシの直径の1/3から1/2の間にある。また、吸気開口4と、その最も近い点における入口開口との間の距離は、回転可能ブラシの直径よりも短い。したがって、本発明は、集塵チャンバの上流の極めて短い気流ダクトを利用する点で国際公開第2012/085567号の利益を共有することができ、これは、ポンピング損失を最小限に抑えること、及び気流ダクトの詰まりの可能性を低減することを含む国際公開第2012/085567号に提示されている利益をもたらす。
【0045】
入口開口22は、第1の端部12から第2の端部14に実質的に延びるスロットの形態にある。したがって、入口開口22は、回転可能ブラシ6とほぼ同じ長さである。回転可能ブラシ6と入口開口22との間の気流ダクトは、同様に寸法設定され、やはり、回転可能ブラシのほぼ全長にわたる。したがって、集塵チャンバは、全幅の入口開口を提供し、吸引ヘッドは、全幅の気流ダクトを有し、国際公開第2012/085567号に提示されているようにそれがやはりもたらす利益を共有する。
【0046】
図4に最もはっきりと示すように、バッフル24は、入口開口22に隣接してあり、集塵チャンバ10の外部空洞18にわたり、すなわち、バッフル24は、集塵チャンバ10の外壁26と集塵チャンバ内のシュラウド30との間の距離にわたる。
図1でより良くわかるように、バッフル24は、集塵チャンバ10への進入の後に下方への空気の流れを防止し、代わりに、流入空気(ならびに連行された塵及び屑)を
図1に図示した時計回り方向に外部空洞18の周りに流す。
【0047】
知られているようにして、シュラウド30の大部分は孔をあけられ、シュラウド30を通して形成される多数の穴32は、粗い第1段フィルタとして働く。外部空洞18にわたるバッフル24の提供は、けば及び毛などの繊維屑にシュラウド30の周りを通らせ、バッフル24の裏面(すなわち、
図1でわかる右側の表面)に隣接して圧縮する。繊維屑は、外部空洞18が充填されるにつれてシュラウド30の周りに緩やかにたまる。外部空洞18内の湾曲した経路の空気は、大部分の連行された塵及び埃を、外部空洞18の周りを搬送させ、多量の繊維屑内に堆積させる。空気は、小さい割合の入来する塵及び屑だけを搬送する穴32を通って外部空洞18を離れ、その塵及び屑は、以下で説明するように、シュラウド30内に位置するフィルタによって分離される。
【0048】
入口開口22の上縁部を定義する外壁26のリップは、主に円形断面であるレール34に形成される。レールは、スライダ36を担持し、スライダは、第1の端部12(
図4を参照)と第2の端部14(
図5を参照)との間のレールに沿って摺動するように構成される。
【0049】
図5にその一部が見られる塵除去(またはスライド)パネル40は、スライダ36に接続され、スライダがレール34に沿って移動するにつれてスライダとともに移動する。したがって、スライド・パネル40は、(
図4に示すように)第1の端部14に隣接する第1の位置と(
図5に示すように)第2の端部14に隣接する第2の位置との間で移動することができる。
【0050】
スライド・パネル40は、外部空洞18に実質的にわたり、すなわち、スライド・パネル40は、実質的に、シュラウド30と壁26との間のギャップのすべてを満たし、バッフル24をぴったりと囲む開口を有する。したがって、スライド・パネル40は、その第1の位置からその第2の位置に移動するにつれて、外部空洞18の外にあらゆる収集された塵及び屑を押し出すのに役立つ。
【0051】
この実施形態では、スライド・パネル40は、スリーブ44に接続された突起タブ42を有し、これらの両方は、第2の位置にあるときに、壁26及びシュラウド30の端部を超えて延びる。これは、収集された塵及び屑のすべてが外部空洞18の外に押し出され得るようにする助けとなり、それによって、塵及び屑のうちの一部が空になり得ないという可能性を最小限に抑える。
【0052】
スライダ36はまた、作動ハンドル50を担持し、作動ハンドル50は、スライダ36に枢動可能に取り付けられる。作動ハンドル50は、
図2に示した格納位置と
図3に示した作動位置との間で枢動され得る。
【0053】
図2に、吸引ヘッド2から取り外された(同様に、吸引ヘッドに再取付けされる準備ができている)状態の集塵チャンバ10を示す。特に、作動ハンドル50は、その格納位置にあり、ある割合のハンドルが、ハンドル凹部52にある。凹部52の側部とのハンドル50の係合のために、作動ハンドル50がその格納位置にある間、スライダ36が、レール34に沿って移動することができないことを理解されたい。スライダ36を移動するために、最初に、
図3に示したように作動ハンドルをその作動位置に枢動することが必要になる。
【0054】
重要なことには、作動ハンドル50がその格納位置にない限り、集塵チャンバ10を吸引ヘッド2に取り付けることができないように構成される。これは、集塵チャンバを吸引ヘッド2中のその凹部に嵌合できるようになる前に、スライド・パネル40を第1の端部12に隣接するその第1の位置に完全に戻さなければならないようにする。その第1の位置では、塵及び屑がスライド・パネル40の後ろに入ることができないように構成される。したがって、収集された塵及び屑のその後の廃棄中に、スライド・パネルの後ろの外部空洞18中に何も保持されない。
【0055】
廃棄手順の第1の段階は、吸引ヘッド2から集塵チャンバ10を取り外すことである。典型的なようにして、誤って取り外す可能性を最小限に抑えるように、集塵チャンバ10は、1つまたは複数の着脱可能なクリップなどによって吸引ヘッド2中に保持され得る。集塵チャンバの外壁26は、収集された塵及び屑の廃棄が必要なときにユーザに警告するために透過的(または実質的に透過的)であり得る。
【0056】
吸引ヘッド2から取り外すと、集塵チャンバ10は、
図2の状態にあり、作動ハンドル50はその格納位置にある状態にある。集塵チャンバが、特に、満杯である場合、廃棄場所への移送中に入口開口22が上方へ向いて、それにより、収集された塵及び屑の一部をこぼす可能性を最小限に抑えるように、ユーザは、集塵チャンバ10を再配向することができる。
【0057】
集塵チャンバ10が、(家庭用容器、ごみ箱などの)廃棄場所に搬送されたとき、作動ハンドル50は、
図3のその作動位置に移動され得る。また、ラッチ機構20が解放され、カバー16を容器上でまたはその内で開くことができる。収集された塵及び屑は、次いで、作動ハンドル50によって第1の端部12から第2の端部14にスライド・パネル40を移動することによって外部空洞18から押し出される。この手順中に集塵チャンバ10を振ることは必要にならず、したがって、こぼす可能性(特に、空中の埃を生み出す可能性)が最小限に抑えられることを理解されたい。また、廃棄開口が下方へ向くように集塵チャンバ10を再配向することは必要にならないが、重力が廃棄手順を支援するのを可能にするために大部分のユーザがそれを行うことになることが予想される。スライド・パネル40をそれが外壁26及びシュラウド30の端部を越えてわずかに突出する、
図5に示すその第2の位置に移動することは、収集された塵及び屑のすべてが空にされるようにする助けとなることになる。
【0058】
塵がレール34に、またはそれに隣接して収集されている場合、塵は、スライダ36がレール34に沿って移動するにつれて取り除かれ、スライダ36は廃棄手順の一部としてレールを効果的にきれいにふく。これらの図面に明確に示していないが、作動ハンドル50の一部またはスライド・パネル40の一部はまた、その縁部をもきれいにふくために入口開口22の底縁38と係合する。
【0059】
特に、入口開口22が廃棄開口に続くこと、すなわち、入口開口22が、集塵チャンバ10の第2の端部14で開いていることが
図4からわかる。入口開口22の開口形態ならびに入口開口の長手方向縁部から塵及び屑を除去するスライダ36及びスライド・パネル40の能力は、塵及び屑が入口開口に隣接して誤って捕らえられ得ないようにする助けとなる。入口開口22は、集塵チャンバ10が空にされるたびにそれによって塵及び屑が除去され、これは、入口開口22が使用中に遮断されることになる可能性を著しく低減する(及びそれを効果的に除去する)。これは、次に、吸引ヘッド2内の気流ダクトが遮断されることになる可能性を最小限に抑える助けとなる。
【0060】
外壁26が2つの固定ハンドル54を担持することがわかる。ユーザが、片手でハンドル54を把持することになり、ハンドル54によって集塵チャンバ10を保持し、操作することになることが意図されている。ユーザは、続けて、カバー16を開き、次いで、他方の手で作動ハンドル50を把持し、移動することになる。したがって、収集された塵及び屑の廃棄中に、ユーザは、第2の端部14に隣接する外壁26にも、集塵チャンバ10のどの内部部品にも触れる必要がない。したがって、塵がユーザの手に移る可能性が最小限に抑えられる。
【0061】
収集された塵及び屑が空にされると、スライド・パネル40は、第1の端部12に隣接するその第1の位置に移動され、作動ハンドル50は、その格納位置に枢動され戻る。集塵チャンバ10は、所望される場合、掃除され得るが、一般に、カバー16は、閉じられ、ラッチされることになり、集塵チャンバ10は、さらなる使用のために吸引ヘッド2に再取付けされることになる。
【0062】
図7に、スライド・パネル40がない状態の集塵チャンバ10を通る断面図を示す。穿孔されたシュラウド30の一部が視認可能であり、シュラウド30内に位置する穿孔されたマンドレル60の一部も視認可能である。マンドレル60のすべてを示しているわけではないが、マンドレルが空気流れを過度に制限しないこと、したがって、マンドレルが、その全周の周りを及び実質的にその全長に沿って穿孔されることが望ましいことを理解されたい。それによって、マンドレル60中の穴の総面積が、シュラウド30中の穴32の総面積よりも著しく大きくなるように構成され得る。
【0063】
図7にフィルタを図示していないが、フィルタが、シュラウド30とマンドレル60との間の環中にあることを理解されたい。特に、フィルタは、マンドレルを囲むことができる柔軟な「ソックス」の形態にある。マンドレル60の構造剛性のために、フィルタは、自立する必要がなく、必要に応じて柔軟なものになり得る。
【0064】
重要なことには、マンドレル60の端部は、第2の端部14において閉じられているか密閉されており、マンドレルの端部は、第1の端部12において開いている。したがって、出口開口62は、集塵チャンバ10の第1の端部12に位置する。知られているようにして、出口開口62は、吸引ヘッド2のインペラまたは他の気流デバイス(図示せず)と通じている。
【0065】
フィルタの周期的な清掃を容易にするために、マンドレル60及びそれによって担持されるフィルタは、集塵チャンバ10から取外し可能である。
図8でわかるように、集塵チャンバ10の第1の端部12は、ヒンジ66の周りを枢動することができるドア64を有する。ドアは、ラッチ機構70によって示すように閉位置に保持される。集塵チャンバ10が、吸引ヘッド2から取り外されると、ラッチ機構70が解放され、ドア64を開くことができる。マンドレル60及びフィルタは、次いで、集塵チャンバから一緒に取り外され得、フィルタは、その後、掃除または再設置のためにマンドレルから取り外され得る。
【0066】
理想的には、フィルタは、指向性でなく、すなわち、フィルタが誤って(または故意に)裏返しになった場合、フィルタの性能は影響を受けない。
【0067】
フィルタが第1の端部12、すなわち、廃棄開口に対向する端部から取り外されることは有益な特徴である。時間とともに、最も勤勉なユーザの場合でさえ、埃及び塵が、カバー16上及び外壁26の第2の端部の周りを含む廃棄開口の周りに集まることが予想され、フィルタを集塵チャンバ10の「きれいな端部」から取り外すことが望ましい。さらに、現在の構成は、集塵チャンバ10が空にされるときにマンドレル60及びフィルタが集塵チャンバ10の外に落下するのを防止する。
【0068】
集塵チャンバ10が、吸引ヘッド2に再取付けされるので、ドア64を含む第1の端部12が、出口開口62を囲むシールの圧縮を可能にする抜き勾配を有することを理解されたい。
【0069】
スライド・パネル40は単一のレール34に取り付けることができること、すなわち、入口開口22(または他の場所)の底縁38に隣接する第2のレールは、実際には必要とされないことが明らかとなっている。スライダ36は、0.5mm未満の許容差を有するプラスチック製軸受によってレール34に取り付けられる。そのような小さい許容差であれば、埃の粒子がスライダ36とレール34との間に捕らえられ得る可能性が低減し、これは、普通なら時間とともにスライド・パネル40を移動するのに必要な力を増加させることになる、及び/または摩耗を生じることになる。