(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-08
(45)【発行日】2022-04-18
(54)【発明の名称】荷締ベルト延長アダプター
(51)【国際特許分類】
B60P 7/06 20060101AFI20220411BHJP
B65D 63/14 20060101ALI20220411BHJP
【FI】
B60P7/06 Z
B65D63/14 A
B65D63/14 Z
(21)【出願番号】P 2021169686
(22)【出願日】2021-10-15
【審査請求日】2021-12-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309016533
【氏名又は名称】株式会社オクト工業
(74)【代理人】
【識別番号】100103986
【氏名又は名称】花田 久丸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕一
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-057138(JP,U)
【文献】実公平06-007001(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3136609(JP,U)
【文献】特開2019-043314(JP,A)
【文献】特開2010-052615(JP,A)
【文献】登録実用新案第3055681(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/06
B65D 63/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの側あおりより低い積み荷を、荷台側面下部のフックに掛けたラッシングベルトで簡便かつ十分に固縛するため用いる荷締め用の延長アダプターにおいて、該延長アダプターはラッシングベルトと同程度以上の強度を有する帯ベルト(10a)であり、
当該帯ベルトにおいて、一端には荷台フックと係合する第一係合部(20)
を有し、他端にはラッシングベルトのフックと係合する第二係合部(30)
を有し、更に第一係合部(20)と第二係合部(30)の間には屈曲自在な屈曲自在部(40)
を有し、そして第二係合部(30)の近傍には磁石体(50)を有し、
前記第一係合部(20)と屈曲自在部(40)とは、トラック荷台と側あおりの間隙に
トラックの荷台側から容易に差込み可能
、かつ差込んだまま側あおりを容易に閉じることが可能な厚みを有し、更に荷台フックに第一係合部(20)を掛けた状態で、ラッシングベルト・フックと係合すべき第二係合部(30)が荷台に十分至る長さを有するように構成され、
更に当該延長アダプターが使用されない時には、第二係合部(30)近傍に配置された
前記磁石体(50)が側あおりに磁着することにより、当該延長アダプターは磁着保持されるように構成されたことを特徴とする荷締ベルト延長アダプター(1)。
【請求項2】
トラックの側あおりより低い積み荷を、荷台側面下部のフックに掛けたラッシングベルトで簡便かつ十分に固縛するため用いる荷締め用の延長アダプターにおいて、該延長アダプターはラッシングベルトと同程度以上の強度を有する帯ベルト(10a)であり、当該帯ベルトにおいて、一端には荷台フックと係合する第一係合部(20)を有し、他端にはラッシングベルトのフックと係合する第二係合部(30)を有し、更に第一係合部(20)と第二係合部(30)の間には屈曲自在な屈曲自在部(40)を有し、そして第二係合部(30)に一端を取り付けたゴムロープ、バネ、等の弾性体を有し、
前記第一係合部(20)と屈曲自在部(40)とは、トラック荷台と側あおりの間隙にトラックの荷台側から容易に差込み可能、かつ差込んだまま側あおりを容易に閉じることが可能な厚みを有し、更に荷台フックに第一係合部(20)を掛けた状態で、ラッシングベルト・フックと係合すべき第二係合部(30)が荷台に十分至る長さを有するように構成され、
更に当該延長アダプターが使用されない時には、第二係合部(30)に一端を取り付けた前記弾性体が他端を側あおりの上端を渡して荷台フックに掛けることにより、当該延長アダプターは懸架保持されるように構成されたことを特徴とする荷締ベルト延長アダプター(1)。
【請求項3】
トラックの側あおりより低い積み荷を、荷台側面下部のフックに掛けたラッシングベルトで簡便かつ十分に固縛するため用いる荷締め用の延長アダプターにおいて、該延長アダプターはラッシングベルトと同程度以上の強度を有する帯ベルト(10a)を有し、当該帯ベルトは、一端には荷台フックと係合する第一係合部(20)を有し、他端にはラッシングベルトのフックと係合する第二係合部(30)を有し、
また第一係合部(20)と第二係合部(30)を金属製の接続子(A)で構成し、該2つの金属製の接続子間に帯ベルト(10a)をリング状に重ねて縫合接続して屈曲自在な屈曲自在部(40)を構成し、そして第二係合部(30)には磁石体(50)を有し、
前記第一係合部(20)と屈曲自在部(40)とは、トラック荷台と側あおりの間隙にトラックの荷台側から容易に差込み可能、かつ差込んだまま側あおりを容易に閉じることが可能な厚みを有し、更に荷台フックに第一係合部(20)を掛けた状態で、ラッシングベルト・フックと係合すべき第二係合部(30)が荷台に十分至る長さを有するように構成され、
更に当該延長アダプターが使用されない時には、第二係合部(30)に配置された前記磁石体(50)が側あおりに磁着することにより、当該延長アダプターは磁着保持されるように構成されたことを特徴とする荷締ベルト延長アダプター(1)。
【請求項4】
トラックの側あおりより低い積み荷を、荷台側面下部のフックに掛けたラッシングベルトで簡便かつ十分に固縛するため用いる荷締め用の延長アダプターにおいて、該延長アダプターはラッシングベルトと同程度以上の強度を有する帯ベルト(10a)を有し、当該帯ベルトは、一端には荷台フックと係合する第一係合部(20)を有し、他端にはラッシングベルトのフックと係合する第二係合部(30)を有し、該帯ベルト(10a)の途中に帯ベルトの長さを調整する長さ調整機能を付加し第一係合部(20)と第二係合部(30)間の長さをトラック毎に変更可能な構成とし、
当該第一係合部(20)と第二係合部(30)を金属製の接続子(A)で構成し、該2つの金属製の接続子間の前記長さ調整機能を付加した帯ベルト(10a)で屈曲自在な屈曲自在部(40)を構成し、そして第二係合部(30)には磁石体(50)を有し、
前記第一係合部(20)と屈曲自在部(40)とは、トラック荷台と側あおりの間隙にトラックの荷台側から容易に差込み可能、かつ差込んだまま側あおりを容易に閉じることが可能な厚みを有し、更に荷台フックに第一係合部(20)を掛けた状態で、ラッシングベルト・フックと係合すべき第二係合部(30)が荷台に十分至る長さを有するように構成され、
更に当該延長アダプターが使用されない時には、第二係合部(30)に配置された前記磁石体(50)が側あおりに磁着することにより、当該延長アダプターは磁着保持されるように構成されたことを特徴とする荷締ベルト延長アダプター(1)。
【請求項5】
トラックの側あおりより低い積み荷を、荷台側面下部のフックに掛けたラッシングベルトで簡便かつ十分に固縛するため用いる荷締め用の延長アダプターにおいて、該延長アダプターはラッシングベルトと同程度以上の強度を有するベルトリング(10b)、ロープリング(10c)、またはワイヤーリング(10d)の何れかで構成され、当該ベルトリング(10b)、ロープリング(10c)、またはワイヤーリング(10d)において、一端には荷台フックと係合する第一係合部(20)を有し、他端にはラッシングベルトのフックと係合する第二係合部(30)を有し、更に第一係合部(20)と第二係合部(30)の間には屈曲自在な屈曲自在部(40)を有し、そして第二係合部(30)の近傍には小さな接続リングで保持された磁石体(50)を有し、
前記第一係合部(20)と屈曲自在部(40)とは、トラック荷台と側あおりの間隙にトラックの荷台側から容易に差込み可能、かつ差込んだまま側あおりを容易に閉じることが可能な厚みを有し、更に荷台フックに第一係合部(20)を掛けた状態で、ラッシングベルト・フックと係合すべき第二係合部(30)が荷台に十分至る長さを有するように構成され、
更に当該延長アダプターが使用されない時には、第二係合部(30)近傍に小さな接続リングで保持された前記磁石体(50)が側あおりに磁着することにより、当該延長アダプターは磁着保持されるように構成されたことを特徴とする荷締ベルト延長アダプター(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック等で使用する荷締ベルト用の延長アダプターに関する。特に荷台上の積み荷の高さが側あおりの高さより低いため、荷台フックに掛けた例えばラッシングベルトで、その低い積み荷を十分に上部から荷締めできない場合に使用する荷締ベルトの延長アダプターに関する。なお以下の記述では荷締ベルトの一例として「ラッシングベルト」について記述するが、この「ラッシングベルト」には、断面形状が扁平形状のベルトのみならず、断面形状が円形の繊維ロープ、金属ワイヤーロープやチェ-ン等、全ての荷物結束手段を含むものと定義する。
【背景技術】
【0002】
トラック荷台に積み荷を固定する方法として、ラッシングベルトによる固縛が多用されている。多くのラッシングベルトの先端には金属フックが取付けられており、この金属フックを荷台側面下部の荷台フックに掛けてから積み荷の上を渡し反対側の荷台フックに掛けた後に、ラチェット荷締機で荷締めを行う。しかしながら荷台に積まれた積み荷の高さが側あおりより低い場合は、その側あおり上端にラッシングベルトが掛かるだけで肝心の積み荷を十分に上から締めることができない。そうした場合は一般的には
図9に示すように、側あおりに取付けた通称ねずみ穴(ロープホール)へラッシングベルトを通してラッシングベルトの金属フックを荷台フックに掛ける。この様にすればラッシングベルトが荷台近くから立ち上がるため、低い積み荷でも十分に上から締めることができる。更に荷台上に
図10に示すような荷台面に埋め込まれたラッシングリングへラッシングベルトを通しても、側あおりより低い積み荷を十分に上から締めることができる。ただしこの様な「ねずみ穴」(ロープホール)やラッシングリングが、全てのトラックに予め設けられているとは限らない。その様な場合は、これ等を追加装備として別途取付ける必要があるが、一般的には10万円程度の比較的大きな出費になるという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、「ねずみ穴」(ロープホール)や荷台面に埋め込まれたラッシングリング等の特別な装備が無いトラックでは、側あおりより低い積み荷を荷台側面下部のフックに掛けたラッシングベルトで簡便かつ十分に上から締めることができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、側あおりより低い積み荷を荷台側面下部のフックに掛けたラッシングベルトで簡便に十分に上から締めるために、トラックの荷台フックと係合可能な第一係合部と、ラッシングベルトのラッシングベルト・フックと係合可能な第二係合部と、この第一および第二係合部の間には屈曲自在部を配置する荷締ベルト用の延長アダプターを開示する。そしてこのラッシングベルト・フックと係合可能な第二係合部の近傍には磁石体を付加する。この荷締ベルト用の延長アダプターは全長約30~40cm程度、厚み10mm以下である。使用方法として、側あおりより低い積み荷を積載した場合には、まずこの荷締ベルト用の延長アダプターの第一係合部を、トラックの荷台と側あおりとの間隙を通して下方へ垂らして、荷台フックへ掛ける。トラックの荷台と側あおりとの間隙は、多くのトラックでは荷台のゴミ等を逃がすために通常は10~20mm程度の間隔が設けられている。従ってこの延長アダプターは上記間隙より薄いため、その間隙に差込むことは問題なく可能である。その後に屈曲自在部を曲げながら第二係合部にラッシングベルト・フックを係合させる。また上述の様に延長アダプターは上記間隙より薄いため、側あおりを閉じる場合にも相互に干渉せずに閉じることが可能である。この構成では側あおりの高さとは無関係に、差込まれたラッシングベルトは荷台面近くから立ち上がるため、側あおりより低い積み荷でも十分に荷締めできることになる。なおラッシングベルトを使用しない時には、第二係合部の近傍に付加されている磁石体によりこの第二係合部は側あおりに磁着させたまま保持される。これにより例えばトラック運転手は、わざわざ特別なアダプター等をいちいち取付けなくとも、必要な時には側あおりに磁着している本願発明に係る荷締ベルト用の延長アダプターを外し、側あおりより低い積み荷を簡便にしっかりと荷締めすることが可能となる。
【発明の効果】
【0006】
従来の「ねずみ穴」(ロープホール)やラッシングリングを装備していない一般のトラックで、側あおりより低い積み荷を積載する場合には、簡便かつ安価な本願発明に係る荷締ベルト用の延長アダプターを使用すれば、その低い積載荷物をしっかりと荷台上に固縛することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本願発明に係る帯ベルトを用いた荷締ベルト延長アダプターの平面図である。(実施例1)
【
図2】
図2は、一般的なトラックにおける荷台と側あおりの間隙を示す写真である。
【
図3】(A)は、第一および第二係合部に金属製の接続子を使用した荷締ベルト延長アダプターの平面図であり、(B)はその金属製の接続子の平面図である。
【
図4】
図4は、一般的なトラックで本願発明に係る荷締ベルト延長アダプターを用いて、側あおりより低い積載荷物を固縛した場合の概念図である。
【
図5】
図5は
図4に示す点線サークル部分を拡大した概念図である。
【
図6】
図6は、第一実施例に示す帯ベルトに代わり、帯状リングを用いた荷締ベルト延長アダプターの斜視図である。(実施例2)
【
図7】
図7は、第一実施例に示す帯ベルトに代わり、ロープリングを用いた荷締ベルト延長アダプターの斜視図である。(実施例3)
【
図8】
図8は、第一実施例に示す帯ベルトに代わり、金属製のワイヤーリングを用いた荷締ベルト延長アダプターの斜視図である。(実施例4)
【
図9】
図9は、従来例に係る通称ねずみ穴(ロープホール)の一例を示す写真である。
【
図10】
図10は、従来例に係るラッシングリングの一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
側あおりより低い積み荷をラッシングベルトで荷台上に確実に固縛するという目的を、最小限の部材点数で実現した。
図1は、第一実施例に係る帯ベルト10aを用いた荷締ベルト延長アダプター1の平面図である。この帯ベルト10aは、ラッシングベルトと同様の素材で、摩耗性に強く、耐水性、耐候性のあるポリエステル製である。そしてこの荷締ベルト延長アダプター1は、本体部となる帯ベルト10aにトラックの荷台フックに掛ける第一係合部20と、ラッシングベルト・フックと係合可能な第二係合部30と、この第一係合部20と第二係合部30の間には屈曲自在な屈曲自在部40、そして第二係合部30の近傍には磁石体50を有している。この荷締ベルト延長アダプター1の全長はトラックの荷台フックに第一係合部20を掛けて、ラッシングベルト・フックと係合すべき第二係合部30が荷台に十分至る長さであり、略30cm程度、幅は一般的なラッシングベルト程度の略5cm程度、厚さは数mm程度である。
図2に示すように、荷台と側あおりの間隙は、荷台に溜まる小さな荷物ゴミ等を逃がすために少なくとも10~20mmはあるのが一般的である。従って本願発明に係る荷締ベルト延長アダプター1の第一係合部20をこの間隙に差込み、荷台フックに掛けることは当然可能である。また側あおりを閉めた場合にも、この間隙は一定程度維持されるため、側あおりを閉じることは問題なく可能である。なお一般的なラッシングベルト・フックでは、フック取り付け部分の厚さが可成りあり、その為にこのフックを直接この間隙に差込むことは出来ず、ここに厚さが比較的薄い本願発明に係る荷締ベルト延長アダプター1を使用する利点がある。なお第一係合部20と第二係合部30の孔は、それぞれ一般的な荷台フックとラッシングベルト・フックのサイズに合わせて異なるサイズとしてもよい。
【0009】
更に本願発明に係る荷締ベルト延長アダプター1の特徴として、
図1に示すように磁石体50を第二係合部30の近傍に配した点である。すなわちこの荷締ベルト延長アダプター1を使用しない時には、第二係合部30は側あおりにそのまま磁着保持でき、作業者はいちいちこの荷締ベルト延長アダプター1を別の保管場所から持ってくる必要はない。すなわち側あおりより低い積み荷をラッシングベルトで荷台上に固縛する際にだけ、側あおりから第二係合部30を外してラッシングベルトのフックに掛けることができるため、荷台上での作業性が極めて良い利点を有する。なお磁石体50に代えて、ゴムロープ、バネ、等の弾性体を第二係合部30に付けて、他端を側あおりの上端を渡して荷台フックに掛ける構成にしてもよい。要するに第一係合部は荷台フックに掛けたままで、第二係合部は積載荷物の邪魔にならないように側あおりの窪み等に簡便に収納する構成であればよい。
【0010】
この第一実施例に係る荷締ベルト延長アダプター1を、上述のポリエステル等の帯ベルト10aで構成し、そして第一係合部20、第二係合部30を、夫々荷台フックとラッシングベルトのフックに係合できる程度の直径を有するハトメを両端に配置すればよい。また更に別の設計としては
図3(A)に示すように第一係合部20、第二係合部30を孔付き金属製の接続子Aで構成し、(B)に示すように各々の孔付き金属製の接続子Aに縦方向のスリットを設け、このスリットに帯ベルト10aを通してリング状に重ねて縫合接続してもよい。なおトラックに依り側あおりの高さは当然異なるため、荷台フックから上記間隙を通した荷台までの長さはトラック毎に異なる。そのため荷締ベルト延長アダプター1の全長を自在に調整するため、接続子Aに帯ベルト10aを
図3(A)に示すように固定長として縫合接続する代わりに、リング状に配置された帯ベルト10aの途中に図示しないバックル等の長さ調整機能を付加し、帯ベルト10aの長さを調整可能としてもよい。これにより各種トラックの仕様により、荷台フックに掛けた本願発明に係る第一係合部20とラッシングベルト・フックに掛ける第二係合部30間の長さを、トラック運転手が自在に荷積み現場で変更可能とすることも可能となる。バックル等の選択については設計事項であるので詳細は割愛する。
【0011】
図4は一般的なトラックで本願発明に係る荷締ベルト延長アダプター1を用いて、側あおりより低い積載荷物を固縛した場合の概念図であり、
図5は
図4に示す点線サークル部分を拡大した概念図である。
図4に示すように、本願発明に係る荷締ベルト延長アダプター1はトラックの荷台と側あおりとの間隙に差込んで使用する。従って荷締ベルト延長アダプター1は荷台近くから立ち上がるため、荷台上の積載荷物が側あおりより低い場合にも側あおりの高さとは無関係に、係合されたラッシングベルトは下方へ効率よく引っ張られ、従って積載荷物は十分に固縛される。これに対して従来のように荷台フックに係合し側あおりの上部を渡されたラッシングベルトでは、側あおりが邪魔をして、この様な側あおりより低い積載荷物を十分に固縛することは出来ない。
【0012】
図6は本願発明の第二実施例を図示した斜視図である。この実施例では第一実施例に示す帯ベルト10aに代わり、ベルトリング10bで構成されている。すなわちリングの一端を第一係合部20、他端を第二係合部30とし、この第一係合部20と第二係合部30の間には屈曲自在な屈曲自在部40とした。そして帯状リングには小さな接続リングで磁石体50が保持されている。ベルトリング10bは例えばラッシングベルトと同一の素材であり、サイズは第一実施例に係る帯ベルト10aと同程度にする。従ってこの実施例におけるリングの一端を第一実施例と同様に、荷台と側あおりの間隙に差込み荷台フックに掛ける。そして他端をラッシングベルトのフックに掛けてから、ラッシングベルトを締めれば第一実施例と同様に機能する。また小さな接続リングで保持された磁石体50により第二係合部である他端は、例えば側あおりに磁着保持される。
【0013】
図7は本願発明の第三実施例を図示した斜視図である。この実施例では第一実施例に示す帯ベルト10aに代わり、ロープリング10cで構成されている。この実施例でも上述の第二実施例と同様に、金ロープリング10cの一端を第一係合部20、他端を第二係合部30とし、この第一係合部20と第二係合部30の間には屈曲自在な屈曲自在部40とした。そしてロープリング10cには小さな接続リングで磁石体50が保持されている。なおこのロープリング10cの厚みは第二実施例の帯状リングの厚みよりは太いが、荷台と側あおりの間隙は少なくとも10mm程度はあるため、この間隙に問題なく差込むことが可能で、かつ側あおりを閉じた場合に干渉しない直径のロープリング10cを選択使用すれば現実上の問題は無い。
【0014】
更に
図8は本願発明の第四実施例を図示した斜視図である。この実施例では第一実施例に示す帯ベルト10aに代わり、金属製のワイヤーリング10dで構成されている。この実施例で使用される金属製のワイヤーリング10dのワイヤーの太さは10mm以下であるので、荷台フレームと側あおりの間隙とは干渉せず、その間隙にワイヤーリング10dを差込んでも側あおりの開閉には邪魔にはならない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本願発明に係る荷締ベルト延長アダプター1は、荷台上の積み荷の高さが側あおりの高さより低い時に、通称ねずみ穴(ロープホール)やラッシングリングのような比較的高価な装備が無くても、安定的に積載荷物を固縛することが可能とする。またその保管も、側あおり等に磁着保持できるので使い勝手が良く、なおかつシンプルな構成であるため安価に製造可能であるという利点を有する。
【符号の説明】
【0016】
1 荷締ベルト延長アダプター
10a 帯ベルト
10b ベルトリング
10c ロープリング
10d ワイヤーリング
20 第一係合部
30 第二係合部
40 屈曲自在部
50 磁石体
100 フック式ラッシングベルト
A 金属製の接続子
【要約】
【課題】トラックの荷台に「ねずみ穴」(ロープホール)や荷台面に埋め込まれたラッシングリング等の特別な装備が無い場合、側あおりより低い積み荷を荷台側面下部のフックに掛けたラッシングベルトで簡便かつ十分に上から締めることができない点である。
【解決手段】荷締ベルト用の延長アダプターの第一係合部を、トラックの荷台と側あおりとの間隙を通して下方へ垂らして、荷台フックへ掛ける。この延長アダプターの厚みは上記間隙よりも薄いため間隙へ差込み可能である。この荷締ベルト延長アダプターは、荷台フックと係合可能な第一係合部と、ラッシングベルトのラッシングベルト・フックと係合可能な第二係合部を有する。そして第二係合部には磁石体を有しており、延長アダプターを使用しない時は側あおりに磁着保持させておく。従って作業者は必要な時に直ぐに使用することが可能である。
【選択図】
図4