IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

<>
  • 特許-打撃工具 図1
  • 特許-打撃工具 図2
  • 特許-打撃工具 図3
  • 特許-打撃工具 図4
  • 特許-打撃工具 図5
  • 特許-打撃工具 図6
  • 特許-打撃工具 図7
  • 特許-打撃工具 図8
  • 特許-打撃工具 図9
  • 特許-打撃工具 図10
  • 特許-打撃工具 図11
  • 特許-打撃工具 図12
  • 特許-打撃工具 図13
  • 特許-打撃工具 図14
  • 特許-打撃工具 図15
  • 特許-打撃工具 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-11
(45)【発行日】2022-04-19
(54)【発明の名称】打撃工具
(51)【国際特許分類】
   B25D 11/00 20060101AFI20220412BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20220412BHJP
【FI】
B25D11/00
B25F5/00 C
B25F5/00 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018169243
(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公開番号】P2020040162
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸
(74)【代理人】
【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100125955
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 有三子
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 聖展
(72)【発明者】
【氏名】多田 祥朗
(72)【発明者】
【氏名】町田 吉隆
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-089611(JP,A)
【文献】特開2005-052908(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/067806(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0279782(US,A1)
【文献】特開平09-131672(JP,A)
【文献】特開2012-076160(JP,A)
【文献】特開2017-019065(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00714300(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 11/00 - 17/32
B25F 5/00
B25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃工具であって、
モータと、
前記モータの動力によって、前記打撃工具の前後方向に延在する駆動軸に沿って先端工具を直線状に駆動する動作を遂行可能に構成された駆動機構と、
前記モータおよび前記駆動機構を収容する本体ハウジングと、
前記モータの電源としてのバッテリを着脱可能なバッテリ装着部と、
使用者の手によって把持される把持部と、
前記把持部に設けられたトリガであって、常時にはオフ位置にあり、使用者による押圧操作に応じてオン位置に移動するように構成されたトリガと、
前記トリガの前記オン位置と前記オフ位置との間の移動に応じて、オン状態とオフ状態との間で切り替えられるメインスイッチと、
前記本体ハウジングに対する前記先端工具の後方への押込みに応じて初期位置から前記本体ハウジングに対して前方または後方に移動し、前記先端工具の押込みの解除に応じて前記初期位置へ向けて移動するように構成された可動ハウジング、ハンドルまたは移動ユニットと、
前記先端工具の押込み又は押込みの解除に応じた前記可動ハウジング、前記ハンドルまたは前記移動ユニットの前記前後方向の相対移動を検出するように構成された第1検出部と、
前記モータの駆動を制御するように構成された制御部とを備え、
前記制御部は、
前記メインスイッチが前記オン状態の場合にのみ、前記第1検出部が、前記先端工具の後方への押込みに応じた前記可動ハウジング、前記ハンドルまたは前記移動ユニットの前記前後方向の相対移動を検出するのに応じて、前記モータの駆動を開始し、
前記第1検出部が前記先端工具の後方への押込みの解除に応じた前記可動ハウジング、前記ハンドルまたは前記移動ユニットの前記前後方向の相対移動を検出してから所定時間経過後に、前記モータの駆動を停止するように構成されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項2】
請求項1に記載の打撃工具であって、
前記可動ハウジングまたは前記ハンドルは、前記把持部を含み、前記本体ハウジングに対して相対移動可能に、弾性部材を介して前記本体ハウジングに連結されており前記先端工具の後方への押込みに応じて前記本体ハウジングに対して前方に移動するように構成されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項3】
請求項2に記載の打撃工具であって、
前記第1検出部は、前記可動ハウジングまたは前記ハンドルに配置されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項4】
請求項2または3に記載の打撃工具であって、
前記駆動機構は、更に、前記モータの前記動力によって、前記先端工具を前記駆動軸周りに回転させる動作を遂行可能に構成されており、
前記駆動軸に直交する平面上での前記本体ハウジングに対する前記可動ハウジングまたは前記ハンドルの相対移動を検出するように構成された第2検出部を更に備え、
前記制御部は、前記第2検出部によって、所定量を超える前記平面上の前記相対移動が検出された場合、前記モータの駆動を停止するように構成されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項5】
請求項4に記載の打撃工具であって、
前記第1検出部は、前記第2検出部を兼用することを特徴とする打撃工具。
【請求項6】
請求項4または5に記載の打撃工具であって、
前記制御部は、前記第2検出部の検出結果に応じて前記モータの駆動を停止した場合、使用者による所定のリセット操作が行われるまで、前記モータの駆動停止状態を維持するように構成されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項7】
請求項1に記載の打撃工具であって、
前記移動ユニットは、前記先端工具の後方への押込みに連動して、前記先端工具と一体的に前記本体ハウジングに対して後方へ相対移動するように構成されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1つに記載の打撃工具であって、
前記メインスイッチが前記オン状態であることを示す情報を報知するように構成された報知部を更に備えたことを特徴とする打撃工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端工具を直線状に駆動するように構成された打撃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
先端工具を所定の駆動軸に沿って直線状に駆動することで、被加工物に対する加工作業(例えば、ハツリ作業)を行う打撃工具が知られている。このような打撃工具では、先端工具が被加工物に押し付けられておらず、負荷がかかっていない状態(以下、無負荷状態という)ではモータを低速で駆動し、先端工具が被加工物に押し付けられ、負荷がかかっている状態(以下、負荷状態という)になると、モータをより高速で駆動する制御が行われる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018―58188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている打撃工具は、無負荷状態における省電力化を実現することができる。しかしながら、バッテリを電源とする打撃工具では、バッテリの満充電状態からの使用可能時間(所謂ランタイム)の向上のため、更なる省電力化が望まれている。
【0005】
本発明は、バッテリを電源とする打撃工具の更なる省電力化に寄与しうる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、モータと、駆動機構と、本体ハウジングと、バッテリ装着部と、第1検出部と、制御部とを備えた打撃工具が提供される。
【0007】
駆動機構は、モータの動力によって、駆動軸に沿って先端工具を直線状に駆動する動作を遂行可能に構成されている。駆動軸は、打撃工具の前後方向に延在する。本体ハウジングは、モータおよび駆動機構を収容する。バッテリ装着部は、モータの電源としてのバッテリを着脱可能に構成されている。第1検出部は、本体ハウジングに対する先端工具の後方への押込みを検出するように構成されている。制御部は、モータの駆動を制御するように構成されている。また、制御部は、第1検出部による先端工具の後方への押込みの検出に応じて、モータの駆動を開始するように構成されている。
【0008】
本態様の打撃工具は、バッテリを電源としてモータを駆動するように構成されている。このような打撃工具では、バッテリの満充電状態からの使用可能時間(所謂ランタイム)の確保が重要となる。これに対し、制御部は、第1検出部による先端工具の押込み、つまり、無負荷状態から負荷状態への移行の検出に応じてモータの駆動を開始する。本態様によれば、先端工具の後方への押込み(被加工物に対する先端工具の押し付けともいえる)によって、無負荷状態から負荷状態への移行を確実に検出することができる。また、無負荷状態における電力消費をなくし、更なる省電力化、ひいてはランタイムの向上を実現することができる。
【0009】
本発明の一態様において、打撃工具は、本体ハウジングに対して弾性部材を介して相対移動可能に連結された弾性連結部を更に備えていてもよい。弾性連結部は、使用者によって把持される把持部を含む。そして、第1検出部は、先端工具の後方への押込みとして、本体ハウジングに対する弾性連結部の前方への相対移動を検出するように構成されていてもよい。使用者が本態様の打撃工具の把持部を把持して先端工具を被加工物に押し付けると、先端工具の押込みに応じて、弾性連結部は本体ハウジングに対して前方に移動することになる。よって、第1検出部は、弾性連結部の前方への相対移動を検出することで、先端工具の押込みを適切に検出することができる。また、先端工具が駆動されることで、モータおよび駆動機構を収容する本体ハウジングには振動が生じるが、弾性部材によって、弾性連結部(特に、把持部)への振動伝達を抑制することができる。
【0010】
本発明の一態様において、第1検出部は、弾性連結部に配置されていてもよい。本態様によれば、本体ハウジングに対して防振された弾性連結部に電子部品を有する第1検出部が設けられる。よって、第1検出部を振動から保護することができる。
【0011】
本発明の一態様において、駆動機構は、更に、モータの動力によって、先端工具を駆動軸周りに回転させる動作を遂行可能に構成されていてもよい。打撃工具は、駆動軸に直交する平面上での本体ハウジングに対する弾性連結部の相対移動を検出するように構成された第2検出部を更に備えていてもよい。そして、制御部は、第2検出部によって、所定量を超える平面上の相対移動が検出された場合、モータの駆動を停止するように構成されていてもよい。先端工具が回転駆動される場合、先端工具がロックされてしまう等の理由で、本体ハウジングが駆動軸周りに過度に回転してしまう場合(所謂振り回され状態が生じる場合)がある。この場合、本体ハウジングと弾性連結部には、駆動軸周りの捩れが生じる。この捩れは、駆動軸に直交する平面上での本体ハウジングに対する弾性連結部の相対移動(位置ズレ)としてとらえうる。本態様によれば、第2検出部によって振り回され状態を検出し、モータの駆動を停止することで、本体ハウジングがそれ以上回転するのを防止することができる。
【0012】
本発明の一態様において、第1検出部は、第2検出部を兼用していてもよい。第1検出部および第2検出部は何れも、本体ハウジングに対する弾性連結部の相対移動を検出するものである。よって、1つの検出部によって、前後方向および駆動軸に直交する平面上での弾性連結部の相対移動を検出可能とすることで、部品数を増加させることなく、先端工具の押込みの検出および振り回され状態の検出を実現することができる。
【0013】
本発明の一態様において、制御部は、第2検出部の検出結果に応じてモータの駆動を停止した場合、使用者による所定のリセット操作が行われるまで、モータの駆動停止状態を維持するように構成されていてもよい。制御部が第2検出部の検出結果に応じてモータの駆動を停止するのは、振り回され状態が検出された場合である。本態様によれば、所定のリセット操作が行われるまでは、モータが駆動されないため、使用者は、この間に、振り回され状態の原因を解消することができる。
【0014】
なお、本態様でいう所定のリセット操作は、特に限定されるものではないが、例えば、所定の操作部材(例えば、トリガ、メインスイッチ)に対する操作、新たな先端工具の後方への押込み操作が挙げられる。なお、所定のリセット操作として、新たな先端工具の後方への押込み操作が採用される場合には、制御部は、第1検出部の検出結果に基づいて、モータの駆動を制御することができる。
【0015】
本発明の一態様において、打撃工具は、先端工具の後方への押込みに連動して、先端工具と一体的に本体ハウジングに対して後方へ相対移動するように構成された移動部を更に備えていてもよい。そして、第1検出部は、先端工具の後方への押込みとして、本体ハウジングに対する移動部の後方への相対移動を検出するように構成されていてもよい。本態様の打撃工具では、先端工具の押込みと共に、移動部も本体ハウジングに対して後方に移動することになる。よって、第1検出部は、移動部の相対移動を検出することで、先端工具の押込みを適切に検出することができる。
【0016】
本発明の一態様において、制御部は、第1検出部が先端工具の後方への押込みの解除を検出してから所定時間経過後に、モータの駆動を停止するように構成されていてもよい。本体ハウジングの振動によって、一時的に先端工具が本体ハウジングに対して前方へ移動する場合がある。本態様によれば、このような振動による一時的な相対移動ではなく、使用者が先端工具の被加工物に対する押し付けを解除したことに対応する押込みの解除を適切に判定し、モータの駆動を停止させることができる。
【0017】
本発明の一態様において、打撃工具は、使用者の外部操作に応じてオン状態とオフ状態との間で切り替えられるメインスイッチを更に備えていてもよい。制御部は、メインスイッチがオン状態の場合にのみ、第1検出部による先端工具の後方への押込みの検出に応じて、モータの駆動を開始するように構成されていてもよい。制御部が先端工具の押込みの検出のみに応じてモータの駆動を制御すると、何らかの理由で、使用者の意図しないときに先端工具が押し込まれ、モータが駆動されてしまう可能性がある。これに対し、本態様によれば、このような可能性を低減することができる。
【0018】
本発明の一態様において、打撃工具は、メインスイッチがオン状態であることを示す情報を報知するように構成された報知部を更に備えていてもよい。メインスイッチがオン状態でも、先端工具の押込みが検出されない限りモータが駆動されない場合、使用者が、メインスイッチのオン・オフ状態を認識しにくい。あるいは、使用者が、モータが駆動されないことに混乱する可能性がある。これに対し、本態様によれば、使用者に、打撃工具は、先端工具が押込まれればモータが駆動されるスタンバイ状態であることを容易に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の電動ハンマの右側面図であって、第2ハウジングが最後方位置に配置された状態を示す。
図2図1に示す電動ハンマの断面図である。
図3図1のIII-III線における断面図である。
図4図3に対応する断面図であって、第2ハウジングが最前方位置に配置された状態を示す。
図5】電動ハンマの右側面図であって、第2ハウジングが最前方位置に配置された状態を示す。
図6図1のVI-VI線における断面図である。
図7図6に対応する断面図であって、第2ハウジングが最前方位置に配置された状態を示す。
図8図1のIII-III線における断面図であって、第2実施形態の電動ハンマにおいて第2ハウジングが最後方位置に配置された状態を示す。
図9図8に対応する断面図であって、第2ハウジングが最前方位置に配置された状態を示す。
図10】第3実施形態の電動ハンマの部分断面図であって、移動ユニットが最前方位置に配置された状態を示す。
図11図10に対応する断面図であって、移動ユニットが最後方位置に配置された状態を示す。
図12】第4実施形態のハンマドリルの断面図であって、ハンドルが最後方位置に配置された状態を示す。
図13図12のXIII-XIII線における断面図である。
図14図13のXIV-XIV線における断面図である。
図15図14に対応する断面図であって、ハンドルが最前方位置に配置された状態を示す。
図16図13に対応する断面図であって、振り回され状態が生じたときの本体ハウジングとハンドルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
以下、図1図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る電動ハンマ(電動ケレン)11を例示する。電動ハンマ11は、所定の駆動軸A1に沿って先端工具91を直線状に駆動するように構成された打撃工具の一例であって、ハツリ作業やケレン作業に使用される。
【0022】
まず、電動ハンマ11の概略構成について説明する。図1および図2に示すように、電動ハンマ11の外郭は、主としてハウジング20によって形成されている。本実施形態のハウジング20は、所謂防振ハウジングとして構成されており、第1ハウジング21と、第1ハウジング21に対して相対移動可能に弾性連結された第2ハウジング22とを含む。
【0023】
図2に示すように、第1ハウジング21は、全体として略L字状に形成されており、モータ3を収容するモータ収容部211と、駆動機構4を収容する駆動機構収容部217とを含む。駆動機構収容部217は、長尺状に形成されて、駆動軸A1方向に延在している。駆動機構収容部217の駆動軸A1方向における一端部には、先端工具91を着脱可能なツールホルダ49が設けられている。モータ収容部211は、駆動機構収容部217の駆動軸A1方向におけるもう一方の端部において、駆動機構収容部217に対して相対移動不能に連結固定されている。モータ収容部211は、駆動軸A1に交差して、駆動軸A1から離れる方向に突出するように配置されている。モータ3は、モータシャフト35の回転軸が駆動軸A1に交差する方向(詳細には、直交する方向)に延在するように、モータ収容部211内に配置されている。
【0024】
なお、以下の説明では、便宜上、電動ハンマ11の駆動軸A1の延在方向を電動ハンマ11の前後方向と規定し、ツールホルダ49が設けられている一端部側を電動ハンマ11の前側(先端領域側ともいう)、反対側を後側と規定する。また、モータシャフト35の回転軸の延在方向を電動ハンマ11の上下方向と規定し、駆動機構収容部217からモータ収容部211が突出する方向を下方向、反対方向を上方向と規定する。更に、前後方向および上下方向に直交する方向を、左右方向と規定する。
【0025】
図1に示すように、第2ハウジング22は、全体として略U字状に形成された中空体であって、把持部221と、上側部分223と、下側部分227とを含む。把持部221は、作業者によって把持可能に構成され、駆動軸A1に交差して概ね上下方向に延在するように配置される部分である。より詳細には、把持部221は、第1ハウジング21に対して後方に離間して、概ね上下方向に延在している。把持部221の前部には、使用者が指で押圧操作(引き操作)可能なトリガ27が設けられている。上側部分223は、把持部221の上端部に接続する部分である。本実施形態では、上側部分223は、把持部221の上端部から前方に延在し、第1ハウジング21の駆動機構収容部217(図2参照)の大部分を覆うように構成されている。下側部分227は、把持部221の下端部に接続する部分である。本実施形態では、下側部分227は、把持部221の下端部から前方に延在し、モータ収容部211の下側に配置されている。下側部分227の後下端部(つまり、把持部221の下側)には、バッテリ装着部229が設けられている。電動ハンマ11は、バッテリ装着部229に取り外し可能に装着されたバッテリ93を電源として動作する。
【0026】
以上の構成によって、電動ハンマ11では、第2ハウジング22に加え、第1ハウジング21のうちモータ収容部211が上側部分223と下側部分227とに上下から挟まれた状態で外部に露出して、電動ハンマ11の外表面を形成している。
【0027】
以下、電動ハンマ11の詳細構成について説明する。
【0028】
まず、ハウジング20の防振ハウジング構造について説明する。上述の通り、ハウジング20では、第1ハウジング21に対し、把持部221を含む第2ハウジング22が相対移動可能に弾性的に連結されることで、第1ハウジング21から第2ハウジング22(特に、把持部221)への振動伝達の抑制が図られている。
【0029】
より詳細には、図2に示すように、第1ハウジング21の駆動機構収容部217の後端部と、第2ハウジング22の上側部分223との間には、弾性部材281が介在している。より詳細には、駆動機構収容部217の後端部を規定する後壁部218には、後方に突出するバネ受け部282が設けられている。上側部分223の内部には、バネ受け部282に対向して前方へ突出するバネ受け部283が設けられている。弾性部材281には、圧縮コイルバネが採用されている。弾性部材281の前端部および後端部は、夫々、バネ受け部282およびバネ受け部283に嵌め込まれている。
【0030】
また、第1ハウジング21のモータ収容部211と、第2ハウジング22の下側部分227との間には、弾性部材285が介在している。より詳細には、モータ収容部211の下端部の一部は、下側部分227(詳細には、後述のコントローラ収容部228)内に配置されており、駆動軸A1に直交する方向に伸展する支持壁286を有する。下側部分227の内部には、支持壁286の後面に対向するバネ受け凹部287が設けられている。弾性部材285にも、圧縮コイルバネが採用されている。弾性部材285の前端部および後端部は、支持壁286およびバネ受け凹部287に当接し、支持されている。
【0031】
弾性部材281、285は、夫々、その弾発力の作用方向が前後方向と概ね一致するように配置され、第1ハウジング21と第2ハウジング22とを、駆動軸A1方向において互いから離れる方向(把持部221が第1ハウジング21から離れる方向)に付勢している。つまり、第1ハウジング21および第2ハウジング22は、夫々、前方および後方へ付勢されている。
【0032】
更に、上側部分223および下側部分227は、夫々、モータ収容部211の上端部および下端部に対して摺動可能に構成されている。より詳細には、図1に示すように、上側部分223の左右の側壁部の下端面およびモータ収容部211の左右の側壁部の上端面は、互いに当接した状態で駆動軸A1方向(前後方向)に摺動可能な摺動面として形成されており、上側摺動部201を構成している。また、下側部分227の左右の側壁部の上端面およびモータ収容部211の左右の側壁部の下端面は、互いに当接した状態で前後方向に摺動可能な摺動面として形成されており、下側摺動部202を構成している。上側摺動部201および下側摺動部202は、第1ハウジング21と第2ハウジング22が前後方向に相対移動するように案内する摺動ガイドとして機能する。
【0033】
駆動軸A1に沿って先端工具91が駆動されることで第1ハウジング21に発生する振動のうち、最も大きく支配的なのは、前後方向の振動である。これに対し、本実施形態では、弾性部材281、285を介して連結された第1ハウジング21および第2ハウジング22が、上側摺動部201および下側摺動部202に案内されつつ前後方向に相対移動することで、この前後方向の振動が第2ハウジング22(特に、把持部221)に伝達されるのを効果的に抑制することができる。
【0034】
なお、第1ハウジング21および第2ハウジング22には、前後方向における相対移動可能範囲を規定するための構成が設けられている。より詳細には、図3に示すように、モータ収容部211のうち、下側部分227内に配置されている部分には、一対の突出片291が設けられている。突出片291は、夫々、下側部分227の左右の側壁部に向かって、左方および右方に突出している。下側部分227の左右の側壁部の内面側には、一対の突出片291に対向して、一対の凹部292が設けられている。突出片291は、凹部292内に配置され、凹部292内で前後方向に相対移動可能である。凹部292の前端と後端を規定する壁部293、294は、夫々、突出片291と協働して、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の最後方位置(初期位置ともいう)と最前方位置とを規定するストッパ部290を構成している。
【0035】
上述のように、第1ハウジング21および第2ハウジング22は、弾性部材281、285によって、夫々、前方および後方へ付勢されている。このため、初期状態では、図3に示すように、壁部293が突出片291の前端に当接し、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22のそれ以上後方への移動が禁止される。つまり、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の最後方位置は、壁部293と突出片291とが当接する位置として規定されている。これに対し、弾性部材281、285の付勢力に抗して第2ハウジング22が第1ハウジング21に対して前方へ移動された場合、第2ハウジング22は、図4に示すように、壁部294が突出片291の後端に当接した時点で、それ以上前方への移動が禁止される。つまり、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の最前方位置は、壁部294と突出片291とが当接する位置として規定されている。
【0036】
なお、詳細な説明および図示は省略するが、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の最後方位置(初期位置)は、駆動機構収容部217および上側部分223の前端部に設けられたストッパ部297(図2参照)によっても規定される。
【0037】
第2ハウジング22が最後方位置にある場合、図1に示すように、モータ収容部211の後端面と、上側部分223のうち、駆動機構収容部217の後端部を覆う後壁部の後端面とが概ね一致し、且つ、モータ収容部211の前端面と、下側部分227の前端面とが概ね一致する。一方、第2ハウジング22が最前方位置に配置されると、図5に示すように、モータ収容部211が上側部分223と下側部分227から後方にずれた位置に配置される。
【0038】
以下、第1ハウジング21の詳細構成とその内部構造について説明する。
【0039】
まず、モータ収容部211とその内部構造について説明する。図2に示すように、モータ収容部211は、上側が開口した有底の矩形筒状に形成されている。モータ収容部211には、モータ3と、変速ダイヤルユニット83と、LEDユニット85とが収容されている。
【0040】
本実施形態では、モータ3として、ブラシレスモータが採用されている。上下方向に延在するモータシャフト35は、上下端部において、ベアリングによって回転可能に支持されている。モータシャフト35の上端部は、駆動機構収容部217内に突出しており、この部分に駆動ギアが形成されている。駆動ギアは、後述のクランクシャフト41の被動ギアに噛合している。
【0041】
変速ダイヤルユニット83は、モータ収容部211の下端部において、モータ3の本体部(ステータおよびロータ)の後側に配置されている。変速ダイヤルユニット83は、使用者による外部操作に応じてモータ3の回転速度の設定を受け付けるための機器である。詳細な図示は省略するが、変速ダイヤルユニット83は、使用者がモータ収容部211の外部から回動操作可能な操作部材としてのダイヤルと、ダイヤルの回動位置に応じた抵抗値を出力する可変抵抗器と、可変抵抗器が搭載された回路基板とを含む。変速ダイヤルユニット83は、図示しない配線によってコントローラ81に接続されており、ダイヤルの回動操作に応じた抵抗値(つまり、設定された回転速度)を示す信号をコントローラ81に出力する。
【0042】
LEDユニット85は、モータ収容部211の上後端部内に配置されている。詳細な図示は省略するが、LEDユニット85は、LEDと、LEDが搭載された基板とを含む。LEDユニット85は、図示しない配線を介して後述のコントローラ81に電気的に接続されている。コントローラ81からの制御信号に応じてLEDが点灯される。
【0043】
駆動機構収容部217とその内部構造について説明する。図2に示すように、駆動機構収容部217は、その後側部分の下端部が、モータ収容部211の上端部内に配置された状態で、モータ収容部211に対して相対移動不能に連結固定されている。これにより、単一のハウジングとしての第1ハウジング21が形成されている。駆動機構収容部217には、モータ3の動力によって、先端工具91を駆動軸A1に沿って直線状に駆動する動作(以下、ハンマ動作という)を行うように構成された駆動機構4が収容されている。
【0044】
本実施形態では、駆動機構4は、運動変換機構40と、打撃要素46とを含む。運動変換機構40は、モータシャフト35の回転運動を直線運動に変換して打撃要素46に伝達するように構成されている。本実施形態では、運動変換機構40として、クランクシャフト41と、連接ロッド42と、ピストン43と、シリンダ45とを含むクランク機構が採用されている。打撃要素46は、先端工具91に対して駆動軸A1方向の打撃力を加えるように構成されている。本実施形態では、打撃要素46は、ストライカ461と、インパクトボルト463とを含む。なお、運動変換機構(クランク機構)40および打撃要素46の構成は周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0045】
モータ3が駆動され、シリンダ45内でピストン43が前方に向けて移動されると、ピストン43とストライカ461の間に形成された空気室の空気が圧縮されて内圧が上昇する。ストライカ461は、空気バネの作用で高速に前方に押し出されてインパクトボルト463に衝突し、運動エネルギを先端工具91に伝達する。なお、ツールホルダ49の前端部には、周知の構成を有するチャック490が取り付けられている。チャック490は、先端工具91の溝911に嵌合するボール491を介して、先端工具91を第1ハウジング21に対して前後方向に摺動可能に保持している。先端工具91は、伝達された運動エネルギを受けて駆動軸A1に沿って直線状に駆動され、被加工物を打撃する。一方、ピストン43が後方へ移動されると、空気室の空気が膨張して内圧が低下し、ストライカ461が後方へ引き込まれる。先端工具91は、被加工物への押し付けにより、後方へ移動する。このようにして、運動変換機構40および打撃要素46によってハンマ動作が繰り返されることで、ハツリ作業やケレン作業が遂行される。
【0046】
以下、第2ハウジング22の詳細な構成とその内部構造について説明する。
【0047】
図1および図2に示すように、上側部分223の後側部分は、下側が開口した略矩形箱状に形成されており、駆動機構収容部217の後側部分を上方から覆っている。また、上側部分223の前側部分は、円筒状に形成されており、駆動機構収容部217の前側部分(より詳細には、ツールホルダ49が収容されている部分)の外周を覆っている。
【0048】
上側部分223には、上述の上側摺動部201、下側摺動部202に加えて、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の前後方向の相対移動を案内するための構成が設けられている。詳細には、図6に示すように、上述の弾性部材281を介した弾性連結部分の左右両側には、一対の摺動ガイド203が設けられている。
【0049】
一対の摺動ガイド203は、夫々、ピン204と凹部207とで構成されている。ピン204は、その前端部が駆動機構収容部217の後壁部218に固定された状態で、後壁部218から後方に突出している。上側部分223の左右の側壁部のうち、弾性連結部分に対向する部分は、夫々、右方および左方へ突出する一対のショルダ部206を構成している。ショルダ部206の前端面は、後壁部218の後面に対向している。凹部207は、ショルダ部206の前端面に開口し、後方に延在している。ピン204の後側部分は、凹部207に挿入されており、凹部207内を前後方向に摺動可能である。
【0050】
なお、第2ハウジング22が最後方位置に配置されている場合、図6に示すように、ショルダ部206の前端面は、後壁部218の後面から後方に離間した位置にある。一方、第2ハウジング22が最前方位置に配置されると、図7に示すように、ショルダ部206の前端面が、後壁部218の後面に当接する。つまり、ショルダ部206と後壁部218は、壁部294と突出片291(図4参照)と同様、第2ハウジング22の最前方位置を規定するストッパ部として機能する。
【0051】
上側部分223には、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の相対位置を検出するための位置センサ87が設けられている。本実施形態では、位置センサ87として、ホール素子を備えたホールセンサが採用されている。位置センサ87は、基板875に搭載され、弾性部材281を介した弾性連結部分に対向するように、左側のショルダ部206の右側面に固定されている。一方、駆動機構収容部217の後壁部218には、突出部219が設けられている。突出部219は、左側のショルダ部206の右側に離間して配置され、ショルダ部206の右側面に対向して後方に延在している。突出部219の左側面には、磁石88が固定されている。位置センサ87は、図示しない配線を介してコントローラ81に電気的に接続されており、磁石88が所定の検出範囲内に配置されている場合、特定の信号(オン信号)をコントローラ81へ出力するように構成されている。
【0052】
本実施形態では、図6に示すように、第1ハウジング21に対して第2ハウジング22が最後方位置(初期位置)にあるときには、磁石88は位置センサ87の検出範囲外に配置されており、位置センサ87は、オン信号を出力していない。第2ハウジング22が最後方位置から前方へ相対移動して、所定位置に達すると、磁石88は位置センサ87の検出範囲内に進入し、位置センサ87は、オン信号の出力を開始する。なお、この所定位置(以下、オン位置という)は、図7に示す最前方位置に対して若干後方に設定されており、第2ハウジング22がオン位置から最前方位置の間にあるときには、位置センサ87はオン信号を出力する。詳細は後述するが、位置センサ87の検出結果は、コントローラ81によるモータ3の駆動制御に使用される。
【0053】
図2に示すように、把持部221の前部には、トリガ27が設けられている。トリガ27は、下端部を支点として概ね前後方向に回動可能に保持されている。筒状に形成された把持部221の内部には、スイッチ274が配置されている。トリガ27は、スイッチ274のプランジャによって、常時には最前方位置(オフ位置ともいう)で保持されている。このとき、スイッチ274は、オフ状態で維持される。一方、トリガ27が引き操作され、所定位置(オン位置ともいう)まで後方に回動されると、スイッチ274はオフ状態に切り替えられる。スイッチ274は、図示しない配線によってコントローラ81に電気的に接続されており、オン状態またはオフ状態を示す信号をコントローラ81に対して出力する。
【0054】
なお、本実施形態の電動ハンマ11は、トリガ27をオン位置でロック可能に構成されたロック部材277を備えている。ロック部材277の構成自体は公知であるため、ここでは簡単に説明する。ロック部材277は、トリガ27の上方で、上側部分223の左右の側壁部によって、左右方向に移動可能に保持されている。ロック部材277には、下方に突出する突起278が設けられている。一方、トリガ27の上端部には、上方に突出する突起271が設けられている。
【0055】
ロック部材277は、常時には、バネの付勢力で、アンロック位置に保持されている。ロック部材277がアンロック位置にある場合、突起278は突起271の移動経路から外れた位置に配置されるため、トリガ27の最前方位置と最後方位置の間の回動が許容される。一方、使用者が、トリガ27をオン位置よりも後方へ引き操作した後、ロック部材277を押圧操作してロック位置に移動させると、突起278は突起271の移動経路上に配置される。よって、使用者がトリガ27の引き操作を解除すると、突起278が突起271の前端に当接し、トリガ27をオン位置でロックする。なお、使用者がロック部材277を反対方向へ押圧操作すると、トリガ27のロックは解除される。
【0056】
図1および図2に示すように、下側部分227は、把持部221の下端部に接続して前方に延在している。下側部分227の後側部分は、前側部分よりも上下方向の高さが小さく形成されており、下端部にバッテリ装着部229を有する。本実施形態では、バッテリ93は、バッテリ装着部229に対して後側から前方へ向かってスライド係合されるのとあわせて、バッテリ装着部229に電気的に接続される。なお、バッテリ93およびバッテリ装着部229の構成については周知であるため、ここでの説明は省略する。下側部分227の前側部分は、後側部分よりも下方に突出し、コントローラ収容部228を構成している。なお、バッテリ装着部229にバッテリ93が装着されている場合、コントローラ収容部228は、バッテリ93の前側に位置し、コントローラ収容部228の下面は、バッテリ93の下面と面一となる。
【0057】
コントローラ収容部228の後端部内には、コントローラ81が収容されている。詳細な図示は省略するが、本実施形態では、コントローラ81は、制御回路と、三相インバータと、これらが搭載された基板とを含む。制御回路は、CPU、ROM、RAM、タイマ等を含むマイクロコンピュータで構成されている。三相インバータは、6つの半導体スイッチング素子を用いた三相ブリッジ回路を備え、制御回路から出力される制御信号が示すデューティ比に従って三相ブリッジ回路の各スイッチング素子をスイッチング動作させることで、モータ3を駆動する。詳細は後述するが、本実施形態では、コントローラ81は、スイッチ274のオン・オフ状態および位置センサ87の検出結果に基づいて、モータ3の駆動を制御する。
【0058】
以下、電動ハンマ11の動作、特に、コントローラ81によるモータ3の駆動制御について説明する。
【0059】
本実施形態では、コントローラ81(より詳細には、コントローラ81のCPU)によって、所謂プッシュオン制御が行われる。プッシュオン制御とは、スイッチ274がオン状態にあっても、無負荷状態ではモータ3を駆動せず、負荷状態となるとモータ3の駆動を開始する制御手法である。なお、無負荷状態から負荷状態への移行は、先端工具91が被加工物に押し付けられて、第1ハウジング21に対して後方に押し込まれることに対応する。使用者は、把持部221を把持した状態で先端工具91を被加工物に押し付けるため、先端工具91が後方へ押し込まれると、第2ハウジング22は第1ハウジング21に対して前方へ相対移動する。そこで、本実施形態では、コントローラ81は、先端工具91の後方への押込みとして、位置センサ87によって、第2ハウジング22の前方への相対移動(詳細には、オン位置への相対移動)が検出された場合に、モータ3の駆動を開始するように構成されている。
【0060】
先端工具91が被加工物に押し付けられていない無負荷状態では、弾性部材281、285の付勢力によって、第2ハウジング22は最後方位置に配置されている(図2および図6参照)。このとき、磁石88は位置センサ87の検出範囲外にあるため、位置センサ87からコントローラ81への出力はオフである。使用者が把持部221を把持した状態で、先端工具91を被加工物に押し付けると、先端工具91が後方へ押し込まれ、第2ハウジング22は、弾性部材281、285を圧縮しつつ、第1ハウジング21に対して前方へ相対移動する。コントローラ81は、第2ハウジング22がオン位置に到達しておらず、位置センサ87からの出力がオフの間は、スイッチ274のオン・オフ状態にかかわらず、モータ3の駆動を開始しない。
【0061】
また、コントローラ81は、位置センサ87からの出力がオフの間にスイッチ274から出力されたオン信号を認識した場合、LEDユニット85に対して制御信号を出力し、LEDを点灯させる。プッシュオン制御では、無負荷状態では、トリガ27が引き操作されているにもかかわらずモータ3が駆動されないため、使用者が混乱する可能性がある。そこで、LEDの点灯によって、モータ3への通電を可能とするスイッチ274自体はオン状態であって、先端工具91が十分に後方へ押し込まれればモータ3の駆動が開始されること(つまり、電動ハンマ11はスタンバイ状態にあること)を報知して、混乱を防止するものである。
【0062】
第2ハウジング22がオン位置へ到達すると、位置センサ87はオン信号の出力を開始する。コントローラ81は、位置センサ87からの出力のオフからオンへの変化を、第2ハウジング22がオン位置まで相対移動したものと認識する。このとき、スイッチ274がオン状態であれば、コントローラ81は、モータ3の駆動を開始する。言い換えると、コントローラ81は、スイッチ274がオン状態とされている場合にのみ、位置センサ87による先端工具91の後方への押込みの検出に応じて、モータ3の駆動を開始する。コントローラ81が先端工具91の押込みの検出のみに応じてモータの駆動を制御すると、何らかの理由で、使用者の意図しないときに先端工具91が押し込まれ、モータ3が駆動されてしまう可能性がある。これに対し、上述のような制御を採用することで、このような可能性を低減することができる。
【0063】
なお、コントローラ81は、変速ダイヤルユニット83を介して設定された回転速度(設定速度)に応じたデューティ比を設定し、三相インバータに制御信号を出力することで、モータ3を駆動する。なお、コントローラ81は、モータ3の回転速度を直ちに設定速度まで上昇させてもよいし、徐々に上昇させてもよい。モータ3の駆動に伴い、駆動機構4が駆動され、ハンマ動作が遂行される。
【0064】
コントローラ81は、スイッチ274がオン状態で、位置センサ87からの出力のオンからオフへの変化(つまり、第2ハウジング22のオン位置から後方への移動)を認識したときには、タイマにより、オフ状態の継続時間を監視する。そして、所定時間に亘ってオフ状態が継続した場合に限り、モータ3の駆動を停止する。これは、ハツリ作業に伴って第1ハウジング21が振動しているときの一時的なオフ状態への変化と、負荷状態から無負荷状態への変化とを確実に区別するためである。
【0065】
具体的には、第2ハウジング22は、第1ハウジング21の前後方向の振動により、第1ハウジング21に対して前後方向に往復移動する。この場合、位置センサ87からの出力は、短い周期でオンとオフの間で切り替わる。これに対し、先端工具91の押し付けが解除されて、無負荷状態に移行した場合には、位置センサ87からの出力がオンからオフに切り替わった後、所定時間に亘ってオフ状態が継続する。よって、本実施形態では、上述のような制御を採用することで、使用者が先端工具91の被加工物に対する押し付けを解除したことに対応する押込みの解除を適切に判定し、モータ3の駆動を停止させることができる。
【0066】
また、モータ3の駆動中に、トリガ27の引き操作が解除され、スイッチ274がオフ状態となると、コントローラ81は、モータ3の駆動を停止する。なお、本実施形態の電動ハンマ11は、トリガ27をオン位置でロック可能なロック部材277を備えている。よって、使用者は、トリガ27をオン位置でロックしておくことで、トリガ27の引き操作を継続する煩わしさを解消することができる。
【0067】
以上に説明したように、本実施形態の電動ハンマ11は、バッテリ93を電源としてモータ3を駆動するように構成されている。コントローラ81は、位置センサ87による先端工具91の押込み、つまり、無負荷状態から負荷状態への移行の検出に応じてモータ3の駆動を開始するプッシュオン制御を行うため、無負荷状態では電力が消費されない。よって、無負荷状態ではモータ3を低速で駆動し、負荷状態への移行に応じてモータ3を高速で駆動する場合に比べ、更なる省電力化を実現することができる。
【0068】
また、電動ハンマ11では、モータ3および駆動機構4を収容する第1ハウジング21に対し、把持部221を有する第2ハウジング22が相対移動可能に弾性連結されている。そして、位置センサ87は、先端工具91の後方への押込みとして、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の前方への相対移動を検出するように構成されている。使用者が電動ハンマ11の把持部221を把持して先端工具91を被加工物に押し付けると、先端工具91の押込みに応じて、第2ハウジング22は第1ハウジング21に対して前方に移動することになる。よって、位置センサ87は、先端工具91の押込みを適切に検出することができる。また、弾性部材281、285によって、先端工具91の駆動に伴って第1ハウジング21に生じる振動が第2ハウジング22(特に、把持部221)へ伝達されることを抑制することができる。
【0069】
更に、本実施形態では、位置センサ87は、第1ハウジング21ではなく、第2ハウジング22に配置されている。よって、電子部品を有する精密機器としての位置センサ87を振動から保護することができる。
【0070】
[第2実施形態]
以下、図8および図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る電動ハンマ12を例示する。本実施形態の電動ハンマ12は、位置センサ87の配置位置が第1実施形態とは異なる以外、第1実施形態の電動ハンマ11と概ね同一の構成を有する。よって、同一の構成については、図示および説明を省略し、異なる構成についてのみ、図を参照して説明する。なお、この点については、第3実施形態以降の実施形態でも同様である。
【0071】
図8に示すように、本実施形態の電動ハンマ12では、位置センサ87は、上側部分223に代えて、下側部分227に設けられている。また、磁石88は、駆動機構収容部217に代えて、モータ収容部211に設けられている。より詳細には、位置センサ87は、基板875に搭載されて、モータ収容部211に対向するように、右側のストッパ部290を構成する壁部294に固定されている。磁石88は、モータ収容部211の下端部の右側面に固定されている。
【0072】
本実施形態でも、位置センサ87は、第1実施形態と同様、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の相対位置を検出する。位置センサ87による第2ハウジング22の相対位置の検出およびモータ3の駆動制御の方法は、第1実施形態と基本的に同じであるため、簡単に説明する。
【0073】
図8に示すように、第1ハウジング21に対して第2ハウジング22が最後方位置(初期位置)にあるときには、磁石88は位置センサ87の検出範囲外に配置されており、位置センサ87は、オン信号を出力していない。第2ハウジング22が最後方位置から前方へ相対移動して、オン位置に達すると、磁石88は位置センサ87の検出範囲内に進入し、位置センサ87は、オン信号の出力を開始する。なお、オン位置は、図9に示す最前方位置に対して若干後方に設定されており、第2ハウジング22がオン位置から最前方位置の間にあるときには、位置センサ87はオン信号を出力する。コントローラ81(図2参照)は、位置センサ87の検出結果に基づいて、上述のプッシュオン制御を行う。
【0074】
以上に説明したように、本実施形態では、位置センサ87は、第2ハウジング22において第1実施形態とは異なる位置に配置されているものの、第1実施形態と同様、第1ハウジング21に対する第2ハウジング22の後方への相対移動を適切に検出することができる。よって、コントローラ81は、適切なプッシュオン制御を行い、省電力化を実現することができる。
【0075】
[第3実施形態]
以下、図10および図11を参照して、本発明の第3実施形態に係る電動ハンマ13を例示する。本実施形態の電動ハンマ13は、位置センサ87の配置位置と、位置センサ87の検出対象が第1実施形態とは異なる以外、第1実施形態の電動ハンマ11と概ね同一の構成を有する。
【0076】
図10に示すように、本実施形態の電動ハンマ13では、位置センサ87は、第1ハウジング21(駆動機構収容部217)に固定されており、先端工具91の後方への押込みとして、第1ハウジング21に対する移動ユニット60の後方への相対移動を検出する。
【0077】
ここで、移動ユニット60について説明する。移動ユニット60は、第1ハウジング21に固定状に保持されたシリンダ45とツールホルダ49の間に配置されている。また、移動ユニット60は、先端工具91の後方への押込みに連動して、先端工具91と一体的に後方へ移動するように構成されている。移動ユニット60は、受け部61と、スリーブ63と、ピン65とを含む。受け部61は、環状の弾性体およびワッシャで構成され、ツールホルダ49内を摺動可能に配置されている。受け部61は、インパクトボルト463の大径部464の後端に当接して、インパクトボルト463の後方への移動を規制するように構成されている。スリーブ63は、前端にフランジを有する円筒部材であって、シリンダ45の外周面に沿って前後方向に摺動可能に配置されている。ピン65は、シリンダ45の外周面に形成された溝内で前後方向に延在し、受け部61の後端とスリーブ63のフランジの前端に当接している。
【0078】
また、前後方向において、移動ユニット60と第1ハウジング21の壁部の間には、弾性部材67が配置されている。弾性部材67は圧縮コイルバネであって、前後方向に延在するように配置され、スリーブ63のフランジの後端に当接して、移動ユニット60(スリーブ63、ピン65および受け部61)全体を、前方に付勢している。このような構成により、先端工具91が被加工物に押し付けられていない無負荷状態では、図10に示すように、インパクトボルト463は受け部61を介して前方へ付勢され、大径部464の前端がツールホルダ49のショルダ部に当接する最前方位置で保持されている。移動ユニット60も、弾性部材67の付勢力によって、移動可能範囲内における最前方位置(初期位置)で保持されている。
【0079】
図11に示すように、先端工具91が被加工物に押し付けられ、第1ハウジング21に対して押し込まれると、先端工具91の後端部がインパクトボルト463に当接してインパクトボルト463を後方に押圧する。これにより、弾性部材67の付勢力に抗して、移動ユニット60が第1ハウジング21に対して後方へ移動する。なお、インパクトボルト463および移動ユニット60の最後方位置は、受け部61の後端がシリンダ45の前端に当接する位置として規定される。
【0080】
位置センサ87は、基板875に搭載されて、シリンダ45に対向するように、駆動機構収容部217の下端部に固定されている。磁石88は、スリーブ63のフランジの下端部に固定されている。位置センサ87は、図示しない配線を介してコントローラ81(図2参照)に電気的に接続されており、磁石88が所定の検出範囲内に配置されている場合、特定の信号(オン信号)をコントローラ81へ出力するように構成されている。
【0081】
本実施形態では、図10に示すように、移動ユニット60が第1ハウジング21に対して最前方位置(初期位置)にあるときには、磁石88は位置センサ87の検出範囲外に配置されており、位置センサ87は、オン信号を出力しない。移動ユニット60が最前方位置から後方へ相対移動して、所定位置に達すると、磁石88は位置センサ87の検出範囲内に進入し、位置センサ87は、オン信号の出力を開始する。なお、この所定位置(以下、オン位置という)は、図11に示す最後方位置に対して若干前方に設定されており、移動ユニット60がオン位置から最後方位置の間にあるときには、位置センサ87はオン信号を出力する。
【0082】
本実施形態では、コントローラ81は、先端工具91の後方への押込みとして、位置センサ87によって、移動ユニット60の後方への相対移動(詳細には、オン位置への相対移動)が検出された場合に、モータ3の駆動を開始するように構成されている。モータ3の駆動制御の方法は、第1実施形態と基本的に同じである。つまり、コントローラ81は、位置センサ87からの出力がオフの間は、スイッチ274のオン・オフ状態にかかわらず、モータ3の駆動を開始しない。また、コントローラ81は、位置センサ87からの出力のオフからオンへの変化を、移動ユニット60がオン位置まで相対移動したものと認識し、このとき、スイッチ274がオン状態であれば、モータ3の駆動を開始する。
【0083】
以上に説明したように、本実施形態の電動ハンマ13は、先端工具91の後方への押込みに連動して、先端工具91と一体的に第1ハウジング21に対して後方へ相対移動するように構成された移動ユニット60を備えている。そして、位置センサ87は、先端工具91の後方への押込みとして、第1ハウジング21に対する移動ユニット60の後方への相対移動を適切に検出することができる。よって、コントローラ81は、適切なプッシュオン制御を行い、省電力化を実現することができる。
【0084】
[第4実施形態]
以下、図12図15を参照して、本発明の第4実施形態に係るハンマドリル14を例示する。本実施形態のハンマドリル14は、ハンマ動作に加え、先端工具91を駆動軸A1周りに回転駆動するドリル動作を遂行可能な電動工具である。
【0085】
図12に示すように、ハンマドリル14の外郭は、主として本体ハウジング23と、ハンドル24とによって形成されている。本実施形態では、ハンドル24は、所謂防振ハンドルとして構成されており、本体ハウジング23に対して相対移動可能に弾性連結されている。
【0086】
まず、本体ハウジング23の構成と、その内部構造について説明する。
【0087】
図12に示すように、本体ハウジング23は、全体として略L字状に形成されており、モータ3を収容するモータ収容部231と、駆動機構5を収容する駆動機構収容部237とを含む。駆動機構収容部237は、長尺状に形成されて、駆動軸A1方向(前後方向)に延在している。駆動機構収容部237の前端部には、ツールホルダ49が設けられている。モータ収容部231は、駆動機構収容部237の後端部において、駆動機構収容部237に対して相対移動不能に連結固定されている。モータ収容部231は、駆動軸A1に交差して、下方に突出するように配置されている。モータ3は、モータシャフト35の回転軸が駆動軸A1に交差する方向(詳細には、駆動軸A1に対して斜め方向)に延在するように、モータ収容部231内に配置されている。
【0088】
駆動機構5は、運動変換機構50と、打撃要素46と、回転伝達機構57とを含む。本実施形態では、運動変換機構50は、所謂揺動式の運動変換機構として構成されており、中間シャフト51と、回転体52と、揺動部材53と、ピストンシリンダ55とを含む。回転伝達機構57は、モータシャフト35の回転運動をツールホルダ49に伝達するように構成されている。本実施形態では、回転伝達機構57は、複数のギアを含むギア減速機構として構成されており、モータ3の回転は、適宜減速された上でツールホルダ49に伝達される。なお、運動変換機構50および回転伝達機構57の構成は周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0089】
ハンマドリル14は、駆動機構収容部237の左側部に設けられたモード切替ダイヤル(図示略)の操作により、ハンマドリルモード、ハンマモード、およびドリルモードの3つの動作モードのうち1つを選択可能に構成されている。ハンマドリルモードは、運動変換機構50および回転伝達機構57が駆動されることで、ハンマ動作およびドリル動作が行われる動作モードである。ハンマモードは、回転伝達機構57における動力の伝達が遮断され、運動変換機構50のみが駆動されることで、ハンマ動作のみが行われる動作モードである。ドリルモードは、運動変換機構50における動力の伝達が遮断され、回転伝達機構57のみが駆動されることで、ドリル動作のみが行われる動作モードである。本体ハウジング23内(詳細には、駆動機構収容部237内)には、モード切替ダイヤルに接続され、モード切替ダイヤルで選択された動作モードに応じて運動変換機構50および回転伝達機構57を伝達状態と遮断状態との間で切り替えるモード切替機構が設けられている。かかるモード切替機構の構成については周知であるため、ここでの詳細な説明および図示は省略する。
【0090】
ハンドル24の構成と、その内部構造について説明する。
【0091】
図12に示すように、ハンドル24は、全体としては側面視略C字状に形成されており、両端部が本体ハウジング23に連結されている。ハンドル24は、把持部241と、コントローラ収容部243と、下側連結部25と、上側連結部26とを含む。
【0092】
把持部241は、本体ハウジング23の後方に離間して配置され、駆動軸A1に交差するように、概ね上下方向に延在している。把持部241の上端部の前部には、トリガ27が設けられている。把持部241内には、スイッチ274が収容されている。コントローラ収容部243は、把持部241の下端部の下側に接続している。コントローラ収容部243は、矩形箱状に形成されており、把持部241よりも前方に延在している。コントローラ収容部243には、コントローラ81と、変速ダイヤルユニット83が収容されている。コントローラ収容部243の下端部(コントローラ81の下方)は、バッテリ装着部229として構成されている。
【0093】
下側連結部25は、ハンドル24のうち、コントローラ収容部243の前端部に接続して概ね下方に延在する部分である。上側連結部26は、ハンドル24のうち、把持部241の上端部に接続して前方に延在する部分である。本実施形態では、ハンドル24は、下側連結部25および上側連結部26を介して、本体ハウジング23に対して相対移動可能に連結されている。以下、下側連結部25および上側連結部26と、本体ハウジング23との連結構造の詳細について説明する。
【0094】
図12および図13に示すように、下側連結部25は、モータ収容部231の下後端部内に突出するように配置され、本体ハウジング23の下後端部(詳細には、モータ収容部231)に対し、左右方向に延在する回動軸A2周りに相対回動可能に連結される部分である。なお、モータ収容部231の上側部分にはモータ3が配置されているものの、モータ3の下方には空き領域が存在する。よって、本実施形態では、この空き領域を利用して下側連結部25が配置され、ハンドル24とモータ収容部231とが連結されている。
【0095】
図13に示すように、下側連結部25には、回動軸A2を中心軸として、左右の側壁部の間を左右方向に延在するシャフト部251が設けられている。下側連結部25の左右の側壁部の外面側には、夫々、シャフト部251の両端部に対応する位置に、凹部253が設けられている。凹部253は、回動軸A2を中心とする円形の断面を有する凹部として構成されている。凹部253内には、環状の弾性部材255が嵌めこまれている。
【0096】
一方、モータ収容部231の左右の側壁部の内面側には、右方および左方に夫々突出する突出部232が設けられている。突出部232は、概ね円筒状に形成されており、夫々の軸線が、左右方向に延在する一直線上に位置するように配置されている。これらの突出部232の先端部が、凹部253内の弾性部材255に嵌め込まれることで、下側連結部25とモータ収容部231の下後端部とが、弾性部材255を介して連結されている。このような弾性部材255を介した凹凸係合により、下側連結部25は、モータ収容部231に対して回動軸A2周りに相対回動可能に連結されている。また、下側連結部25は、弾性部材255によって、モータ収容部231に対し、いかなる方向にも相対移動可能とされている。
【0097】
図12に示すように、上側連結部26は、駆動機構収容部237の後端部内に突出するように配置され、弾性部材261を介して、本体ハウジング23の上後端部(詳細には、駆動機構収容部237)に対して相対移動可能に連結されている。本実施形態では、弾性部材261として、圧縮コイルバネが採用されている。弾性部材261の後端部は、上側連結部26の前端部に設けられたバネ受け部260に嵌め込まれている。弾性部材261の前端は、駆動機構収容部237の後端部内に配置された支持壁238の後面に当接している。つまり、弾性部材261は、その弾発力の作用方向が、ハンマ動作時の支配的な振動方向である前後方向と概ね一致するように配置されている。
【0098】
また、上側連結部26は、バネ受け部260の後側に形成された長穴263を有する。長穴263は、左右方向に上側連結部26を貫通する貫通孔であって、上下方向よりも前後方向に長い。一方、図12および図14に示すように、駆動機構収容部237の内部には、ストッパ部239が設けられている。ストッパ部239は、駆動機構収容部237の左右の側壁部の間を左右方向に延在する柱状部であって、長穴263に挿通されている。
【0099】
上側連結部26は、無負荷状態では、弾性部材261によって、前後方向において本体ハウジング23から離れる方向(つまり、後方)に付勢され、ストッパ部239が長穴263の前端に当接して上側連結部26の後方への移動を規制する位置で保持されている。このときの本体ハウジング23に対する上側連結部26(ハンドル24)の相対位置を、最後方位置という。一方、ハンドル24が回動軸A2周りに前方へ相対回動されると、上側連結部26の長穴263内において、本体ハウジング23のストッパ部239が相対的に後方へ移動して長穴263の前端から離間する。このため、ハンドル24は、本体ハウジング23に対して、ストッパ部239が長穴263内を移動可能な範囲内において相対移動可能となる。特に、図15に示すように、前後方向においては、ハンドル24は、弾性部材261の付勢力に抗して前方へ移動され、ストッパ部239が長穴263の後端に当接してハンドル24の前方への移動を規制する位置まで相対移動することができる。このときの本体ハウジング23に対するハンドル24の相対位置を、最前方位置という。
【0100】
図13および図14に示すように、上側連結部26には、本体ハウジング23に対するハンドル24の相対位置を検出するための位置センサ87が設けられている。位置センサ87は、基板875に搭載され、本体ハウジング23(駆動機構収容部237)の左側壁部に対向するように、上側連結部26の左前端部に固定されている。一方、本体ハウジング23の左側壁部の内面側には、磁石88が固定されている。
【0101】
本実施形態では、位置センサ87は、先端工具91の押込み(つまりハンドル24の前方への相対移動)のみならず、所謂振り回され状態を検出可能に構成されている。振り回され状態とは、先端工具91が回転駆動されるドリル動作中に、先端工具91が被加工物にロックしてしまう等の理由で、本体ハウジング23が駆動軸A1周りに過度に回転する状態である。本実施形態では、例えば、位置センサ87として、複数のホール素子を備えたセンサを採用されうる。この場合、位置センサ87は、複数のホール素子の夫々において測定された磁束密度に基づいて、磁石88の移動量および移動方向を検出することができる。
【0102】
本実施形態では、上述の下側連結部25および上側連結部26の連結構造によって、ハンドル24は、本体ハウジング23に対し、ストッパ部239が長穴263内で移動可能な範囲内において、いかなる方向にも相対移動可能である。把持部241が使用者によって把持された状態で本体ハウジング23が駆動軸A1周りに回転した場合には、図16に示すように、弾性部材255の弾性変形により、ハンドル24は、シャフト部251を支点として本体ハウジング23に対して捩り方向(例えば図の矢印Tの方向)に相対移動する。この相対移動は、駆動軸A1に直交する平面(仮想的な平面)上の相対移動としてとらえうる。そこで、位置センサ87は、この相対移動を、位置センサ87を通って駆動軸A1に直交する平面における磁石88の相対移動(つまり、前後方向以外の方向の相対移動)として検出する。一方、位置センサ87は、先端工具91の押込み、つまり、ハンドル24の前方への相対移動を、磁石88の後方への移動として検出する。
【0103】
なお、位置センサ87は、回動軸A2(シャフト部251)から離れた上側連結部26に配置されている。この位置では、回動軸A2の近傍に比べ、本体ハウジング23に対するハンドル24(上側連結部26)の振幅(本体ハウジング23に対するハンドル24の移動量)が比較的大きい。よって、位置センサ87は、先端工具91の押込みおよび振り回され状態を精度よく検出することができる。
【0104】
以下、本実施形態におけるモータ3の駆動制御について説明する。
【0105】
本実施形態では、コントローラ81は、第1実施形態と同様のプッシュオン制御を行うように構成されている。つまり、コントローラ81は、位置センサ87からの出力がオフの間は、スイッチ274のオン・オフ状態にかかわらず、モータ3の駆動を開始しない。また、コントローラ81は、位置センサ87からの出力がオフからオンへ変化した場合、このとき、スイッチ274がオン状態であれば、モータ3の駆動を開始する。更に、コントローラ81は、位置センサ87によって、磁石88が検出範囲内で前方に移動したことが検出された後、位置センサ87からの出力がオフとなった場合、所定時間に亘ってオフ状態が継続した場合に限り、モータ3の駆動を停止する。これは、第1実施形態と同様、ハツリ作業に伴って第1ハウジング21が振動しているときの一時的なオフ状態への変化と、先端工具91の押込みの解除による無負荷状態への変化とを確実に区別するためである。
【0106】
更に、コントローラ81は、モータ3の駆動中に位置センサ87によって振り回され状態が検出された場合には、モータ3の駆動を停止するように構成されている。詳細には、コントローラ81は、位置センサ87によって、磁石88が検出範囲内で前後方向以外の方向(例えば、図16の場合は概ね左方向)に移動したことが検出された後、位置センサ87からの出力がオフとなった場合(つまり、位置センサ87を通って駆動軸A1に直交する平面における磁石88の相対移動が所定量を超えた場合)、モータ3の駆動を停止する。このとき、コントローラ81は、モータ3への通電を停止するのみならず、ロータの慣性でモータシャフト35の回転が継続するのを防止するために、モータ3を電気的に制動することが好ましい。
【0107】
なお、本実施形態では、コントローラ81は、位置センサ87によって、振り回され状態が検出され、モータ3の駆動を停止した場合には、新たな先端工具91の押込みが検出されない限り、モータ3の駆動を再開しないように構成されている。つまり、上述のように、振り回され状態が検出された後は、先端工具91の押込みの解除と再度の押込みが検出された場合に限り、モータ3の駆動を再開する。これにより、振り回され状態が確実に解除されるまで、モータの駆動停止状態を維持することができる。
【0108】
以上に説明したように、本実施形態のハンマドリル14では、モータ3および駆動機構4を収容する本体ハウジング23に対し、把持部241を有するハンドル24が相対移動可能に弾性連結されている。位置センサ87は、ハンドル24に配置されて、先端工具91の後方への押込みとして、本体ハウジング23に対するハンドル24の前方への相対移動を適切に検出することができる。よって、コントローラ81は、適切なプッシュオン制御を行い、省電力化を実現することができる。
【0109】
また、本実施形態では、ハンマドリル14は、ハンマ動作およびドリル動作を遂行可能に構成されている。ドリル動作によって先端工具91が回転駆動される場合、振り回され状態が生じうる。本実施形態では、位置センサ87は、駆動軸A1に直交する平面上での本体ハウジング23に対するハンドル24の上下方向の相対移動を振り回され状態として検出することができる。コントローラ81は、振り回され状態が検出された場合、モータ3の駆動を停止することで、それ以上本体ハウジング23が回転してしまうことを防止することができる。特に、本実施形態では、位置センサ87が、前後方向と、駆動軸A1に直交する平面上の上下方向におけるハンドル24の相対移動を検出可能に構成されている。これにより、部品数を増加させることなく、先端工具91の押込みの検出および振り回され状態の検出を実現することができる。
【0110】
上記実施形態では、先端工具91を直線状に駆動させるように構成された打撃工具として、電動ハンマ11~13およびハンマドリル14を例示したが、本発明は、これら以外の打撃工具にも適用可能である。
【0111】
例えば、位置センサ87は、先端工具91の押込みを検出可能である限りにおいて、他の検出機構に変更されてもよいし、その配置位置も変更されてよい。例えば、磁界検出式以外の非接触方式(例えば、光学式)のセンサが採用されてもよいし、接触方式の検出機構(例えば、機械式のスイッチ)が採用されてもよい。また、その検出方式に応じて、位置センサ87またはその他の検出機構は複数設けられてもよい。
【0112】
電動ハンマ11~13における第1ハウジング21と第2ハウジング22の弾性連結構造、および、ハンマドリル14における本体ハウジング23とハンドル24の弾性連結構造は、適宜、変更されてもよい。例えば、弾性部材281、285、261、255は、例示された以外のバネ、ゴム、または合成樹脂であってもよい。弾性部材281、285、261、255の数やその配置位置は、適宜、変更されてもよい。なお、位置センサ87またはその他の検出機構は、実施形態に例示したように、弾性部材の近傍に設けられていることが好ましい。
【0113】
なお、電動ハンマ13では、位置センサ87は、第1ハウジング21に対する移動ユニット60の後方への相対移動を、先端工具91の後方への押込みとして検出する。よって、電動ハンマ13では、ハウジング20は、上記実施形態に例示した弾性連結構造を備えない単一のハウジング(複数の部分が連結固定されたハウジングであってもよい)として構成されていてもよい。
【0114】
また、位置センサ87またはその他の検出機構が、第3実施形態のように、モータおよび駆動機構を収容する本体ハウジングに対して先端工具91と一体的に移動する部材の相対移動を検出する場合には、先端工具91と一体的に移動する部材は、移動ユニット60(スリーブ63)に限られない。例えば、インパクトボルト463の相対移動が検出されてもよいし、ツールホルダ49およびシリンダ45の支持体の相対移動が検出されてもよい。
【0115】
第4実施形態のハンマドリル14では、位置センサ87は、バネ受け部283の上側または下側に固定されて、先端工具91の押込みおよび振り回され状態を検出してもよい。また、第4実施形態の位置センサ87は、先端工具91の押込みの検出および振り回し状態の検出に用いられているが、先端工具91の押込みの検出のみ、あるいは、振り回し状態の検出のみに用いられてもよい。
【0116】
上記実施形態では、主電源スイッチ(モータ3を通電可能とするスイッチ)としてのスイッチ274は、トリガ27が引き操作されている間、オン状態とされる構成である。そして、トリガ27を引き操作し続ける必要をなくすために、ロック部材277が設けられている。そこで、コントローラ81は、トリガ27がオン位置でロックされている場合に限り、主電源スイッチがオン状態であるものとして、位置センサ87の検出結果に基づいてプッシュオン制御を行ってもよい。この場合、トリガ27がロックされていない場合、スイッチ274のオン・オフ状態のみに基づいてモータ3の駆動の開始および停止を行ってもよい。コントローラ81は、ロック部材277の位置を検出する検出機構の検出結果に応じて、制御モードを切り替えてもよい。更に、コントローラ81は、制御モードに応じて、LEDユニット85のLEDの点灯モードを切り替えてもよい。あるいは、トリガ27およびスイッチ274に代えて、別途、オルタネート動作する主電源スイッチが設けられてもよい。
【0117】
LEDユニット85は省略されてもよい。つまり、スイッチ274がオン状態にあること(スタンバイ状態)の報知は省略されてもよい。また、LEDに代えて、ブザー音や情報表示による報知が行われてもよい。
【0118】
更に、モータ3、駆動機構4、5、コントローラ81等の内部構造の構成や配置、これらを収容するハウジングの構成等についても、適宜変更されうる。例えば、バッテリ装着部229は、第2ハウジング22、ハンドル24に設けられる必要はなく、第1ハウジング21、本体ハウジング23に設けられていてもよい。コントローラ81についても同様である。モータ3が、モータシャフト35の回転軸が駆動軸A1と平行に延在するように本体ハウジングに収容され、把持部を有するハンドルの上端部のみが、片持ち状に本体ハウジングに弾性連結されていてもよい。
【0119】
上記実施形態および変形例の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。電動ハンマ11、12、13、ハンマドリル14の各々は、本発明の「打撃工具」の一例である。モータ3は、本発明の「モータ」の一例である。駆動機構4、5の各々は、本発明の「駆動機構」の一例である。駆動軸A1は、本発明の「駆動軸」の一例である。先端工具91は、本発明の「先端工具」の一例である。第1ハウジング21、本体ハウジング23の各々は、本発明の「本体ハウジング」の一例である。バッテリ装着部229は、本発明の「バッテリ装着部」の一例である。位置センサ87は、本発明の「第1検出部」および「第2検出部」の一例である。コントローラ81は、本発明の「制御部」の一例である。第2ハウジング22、ハンドル24の各々は、本発明の「弾性連結部」の一例である。把持部221、241の各々は、本発明の「把持部」の一例である。弾性部材281、285、255、261の各々は、本発明の「弾性部材」の一例である。移動ユニット60は、本発明の「移動部」の一例である。スイッチ274、主電源スイッチの各々は、本発明の「メインスイッチ」の一例である。LEDユニット85は、本発明の「報知部」の一例である。
【0120】
更に、本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、上述の実施形態とその変形例、および各請求項に記載された発明の1つまたは複数と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記弾性連結部は、
概ね上下方向に延在する前記把持部と、
前記把持部の上端部から前方に延在する上側部分と、
前記把持部の下端部から前方に延在する下側部分とを含み、
前記上側部分および前記下側部分の少なくとも一方が、前記弾性部材を介して前記本体ハウジングに連結されており、
前記第1検出部は、前記上側部分または前記下側部分に配置されている。
なお、上側部分223および下側部分227は、夫々、本態様における「上側部分」および「下側部分」の一例である。
[態様2]
前記上側部分は、前記弾性部材を介して、前記本体ハウジングに対して相対移動可能に連結されており、
前記下側部分は、前記本体ハウジングに対して、左右方向に延在する回動軸周りに相対回動可能に連結されており、
前記第1検出部は、前記上側部分に配置されている。
なお、上側連結部26および下側連結部25は、夫々、本態様における「上側部分」および「下側部分」の一例である。
[態様3]
態様2において、
前記第2検出部は、前記上側部分に配置されている。
[態様4]
前記第1検出部は、前記弾性部材の近傍に配置されている。
[態様5]
打撃工具は、前記本体ハウジングおよび前記弾性連結部を少なくとも前記前後方向に相対移動するように案内するガイド部を更に備えている。
なお、上側摺動部201、下側摺動部202、摺動ガイド203の各々は、本態様における「ガイド部」の一例である。また、長穴263およびストッパ部239は、本態様における「ガイド部」の一例である。
【0121】
更に、ハンマドリルにおける所謂振り回され状態を検出するための合理的な構成を提供することを目的として、以下の態様6~8が構築される。以下の態様6~8は、夫々が独立して、あるいは、上述の実施形態とその変形例、および各請求項に記載された発明の1つまたは複数と組み合わされて採用されうる。
[態様6]
ハンマドリルであって、
モータと、
前記モータの動力によって、前記ハンマドリルの前後方向に延在する駆動軸に沿って先端工具を直線状に駆動する動作、および、前記先端工具を前記駆動軸周りに回転駆動する動作を遂行可能に構成された駆動機構と、
前記モータおよび前記駆動機構を収容する本体ハウジングと、
使用者によって把持される把持部を含み、前記本体ハウジングに対して少なくとも1つの弾性部材を介して相対移動可能に連結されたハンドルと、
前記駆動軸に直交する平面上での前記本体ハウジングに対する前記ハンドルの相対移動を検出するように構成された検出部と、
前記モータの駆動を制御するように構成された制御部とを備え、
前記制御部は、前記検出部によって、所定量を超える前記平面上の前記相対移動が検出された場合、前記モータの駆動を停止するように構成されていることを特徴とする打撃工具。
【0122】
本態様のハンマドリルでは、把持部を有するハンドルが、本体ハウジングに対して相対移動可能に弾性連結されている。これにより、先端工具の駆動によって本体ハウジングに生じる振動が把持部に伝達されることが抑制される。また、先端工具が回転駆動される場合、先端工具が被加工物にロックしてしまう等の理由で、本体ハウジングが駆動軸周りに過度に回転してしまう場合(所謂振り回され状態が生じる場合)がある。この場合、互いに弾性連結された本体ハウジングとハンドルには、駆動軸周りの捩れが生じる。この捩れは、駆動軸に直交する平面上での本体ハウジングに対するハンドルの相対移動(位置ズレ)としてとらえうる。本態様によれば、検出部によってこの相対移動を検出することで、振り回され状態を適切に検出することができる。そして、制御部は、この検出結果に基づいて適切にモータの駆動を停止することができる。
【0123】
なお、第4実施形態のハンマドリル14は、本態様における「ハンマドリル」の一例である。モータ3、駆動機構5、本体ハウジング23、ハンドル24、把持部241は、夫々、本態様における「モータ」、「駆動機構」、「本体ハウジング」、「ハンドル」、「把持部」の一例である。弾性部材255、261は、本態様における「少なくとも1つの弾性部材」の一例である。位置センサ87は、本態様における「検出部」の一例である。コントローラ81は、本態様における「制御部」の一例である。
【0124】
なお、本態様のハンマドリルは、着脱式のバッテリから供給される電力によって動作してもよいし、外部の交流電源から供給される電力によって動作してもよい。また、本体ハウジングおよびハンドルの構成、ならびにこれらの弾性連結構造としては、上記実施形態とその変形例で例示された構成が好適に採用されうる。検出部については、上記実施形態の位置センサ87、あるいはその変形例として例示された検出機構が好適に採用されうる。
[態様7]
態様6に記載のハンマドリルであって、
前記ハンドルは、
概ね上下方向に延在する前記把持部と、
前記把持部の上端部から前方に延在する上側連結部と、
前記把持部の下端部から前方に延在する下側連結部とを含み、
前記上側連結部は、第1の弾性部材を介して、前記本体ハウジングに対して相対移動可能に連結されており、
前記下側連結部は、前記本体ハウジングに対して、左右方向に延在する回動軸周りに相対回動可能に連結されており、
前記検出部は、前記上側連結部に配置されている。
【0125】
本態様によれば、検出部は、回動軸から離れた上側連結部に配置されている。この位置では、回動軸の近傍に比べ、本体ハウジングに対するハンドル(上側連結部)の振幅(本体ハウジングに対するハンドルの移動量)が比較的大きい。よって、検出部は、振り回され状態をより精度よく検出することができる。なお、第4実施形態の上側連結部26、下側連結部25は、夫々、本態様における「上側連結部」、「下側連結部」の一例である。弾性部材261は、本態様における「第1の弾性部材」の一例である。
[態様8]
態様7に記載のハンマドリルであって、
前記下側連結部は、前記回動軸周りに配置された第2の弾性部材を介して前記本体ハウジングに対して相対移動可能に連結されている。
本態様によれば、第2の弾性部材によって、ハンドルへの振動伝達を更に効果的に抑制することができる。また、振り回され状態が生じた場合に、駆動軸周りの捩れをより確実に生じさせることができるため、検出部による検出精度を高めることができる。第4実施形態の弾性部材255は、本態様における「第2の弾性部材」の一例である。
【符号の説明】
【0126】
11、12、13:電動ハンマ
14:ハンマドリル
20:ハウジング
201:上側摺動部
202:下側摺動部
203:摺動ガイド
204:ピン
206:ショルダ部
207:凹部
21:第1ハウジング
211:モータ収容部
217:駆動機構収容部
218:後壁部
219:突出部
22:第2ハウジング
221:把持部
223:上側部分
227:下側部分
228:コントローラ収容部
229:バッテリ装着部
23:本体ハウジング
231:モータ収容部
232:突出部
237:駆動機構収容部
238:支持壁
239:ストッパ部
24:ハンドル
241:把持部
243:コントローラ収容部
25:下側連結部
251:シャフト部
253:凹部
255:弾性部材
26:上側連結部
260:バネ受け部
261:弾性部材
263:長穴
27:トリガ
271:突起
274:スイッチ
277:ロック部材
278:突起
281:弾性部材
282:バネ受け部
283:バネ受け部
285:弾性部材
286:支持壁
287:バネ受け凹部
290:ストッパ部
291:突出片
292:凹部
293:壁部
294:壁部
297:ストッパ部
3:モータ
35:モータシャフト
4:駆動機構
40:運動変換機構
41:クランクシャフト
42:連接ロッド
43:ピストン
45:シリンダ
46:打撃要素
49:ツールホルダ
5:駆動機構
50:運動変換機構
51:中間シャフト
52:回転体
53:揺動部材
55:ピストンシリンダ
57:回転伝達機構
60:移動ユニット
61:受け部
63:スリーブ
65:ピン
67:弾性部材
81:コントローラ
83:変速ダイヤルユニット
85:LEDユニット
87:位置センサ
88:磁石
91:先端工具
93:バッテリ
461:ストライカ
463:インパクトボルト
464:大径部
490:チャック
491:ボール
875:基板
911:溝
A1:駆動軸
A2:回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16