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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220418BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220418BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20220418BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20220418BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20220418BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20220418BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
H02H7/18
H02J7/14 H
H02J7/14 E
B60L1/00 L
H01M10/44 P
H01M10/48 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018013849
(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公開番号】P2019134554
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東出 彰
(72)【発明者】
【氏名】須藤 富士雄
(72)【発明者】
【氏名】松下 弘樹
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-008945(JP,A)
【文献】特開2006-345660(JP,A)
【文献】特開平09-107639(JP,A)
【文献】特開2016-107879(JP,A)
【文献】特開2015-150958(JP,A)
【文献】特開2016-137803(JP,A)
【文献】特開2018-007478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/14
H02J 7/34-7/36
H02H 7/18
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置、外部蓄電池および第1の負荷装置を備える電源システムと第2の負荷装置との間に設けられる蓄電装置であって、
前記電源システムと前記第2の負荷装置との間の第1電流路に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段によって検出された電流の値を電力に係る情報として取得する電力情報取得手段と、
前記電力情報取得手段によって取得された前記情報を基に前記外部蓄電池から電力が供給されたか否かを判別する放電判別手段と、
前記第1電流路に接続された内部蓄電池と、
前記内部蓄電池の電圧を検出する第1電圧検出手段と、
前記電源システムの電圧を検出する第2電圧検出手段と、
前記第1電流路に設けられ、前記電源システムから前記第2の負荷装置への方向に電力を供給する整流素子と、
前記第1電流路に設けられ、前記電源システムから前記第2の負荷装置への電力の供給と停止を切り替える第1スイッチング素子と、
前記内部蓄電池の前記第1電流路との接続点と前記内部蓄電池との間の第2電流路に設けられ、前記接続点と前記内部蓄電池との間の電力の供給と停止を切り替える第2スイッチング素子と、を備え
前記放電判別手段は、前記第2電圧検出手段によって検出された前記電源システムの電圧の値Vbが、前記電源システムの電圧の最大閾値Vthsより低い閾値Vpb-maxを下回った場合、前記外部蓄電池から電力供給が行われたと判別する、第1外部蓄電池供給判別処理を行った後、前記外部蓄電池への充電処理を行う、
蓄電装置。
【請求項2】
前記放電判別手段が、請求項1記載の第1外部蓄電池判別処理を行った後、前記発電装置への発電が必要か否かの発電要否通知をするとともに前記外部蓄電池への充電処理を行う、
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
発電装置、外部蓄電池および第1の負荷装置を備える電源システムと第2の負荷装置との間に設けられる蓄電装置であって、
前記電源システムと前記第2の負荷装置との間の第1電流路に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段によって検出された電流の値を電力に係る情報として取得する電力情報取得手段と、
前記電力情報取得手段によって取得された前記情報を基に前記外部蓄電池から電力が供給されたか否かを判別する放電判別手段と、
前記第1電流路に接続され内部蓄電池と、
前記内部蓄電池の電圧を検出する第1電圧検出手段と、
前記電源システムの電圧を検出する第2電圧検出手段と、
前記第1電流路に設けられ、前記電源システムから前記第2の負荷装置への方向に電力を供給する整流素子と、
前記第1電流路に設けられ、前記電源システムから前記第2の負荷装置への電力の供給と停止を切り替える第1スイッチング素子と、
前記第1電流路と前記内部蓄電池の接続点と前記内部蓄電池との間の第2電流路に設けられ、前記接続点と前記内部蓄電池の間の電力の供給と停止を切り替える第2スイッチング素子と、を備え、
前記放電判別手段は、
前記第2電圧検出手段によって検出された前記電源システムの電圧の値Vbが、前記電源システムの電圧の最大閾値Vthsより低い閾値Vpb-maxを下回った場合、前記外部蓄電池から電力供給が行われたと判別する、第1外部蓄電池供給判別処理を行った後、
記第1電圧検出手段によって検出された前記内部蓄電池の電圧の値Vaが、第2の電圧閾値Vth2を下回った場合、前記内部蓄電池の充電が必要と判別し、前記第2電圧検出手段によって検出された前記電源システムの電圧の値Vbが、前記外部蓄電池のバッテリ上がりとなる第3電圧閾値Vth3を下回った場合、前記外部蓄電池の充電が必要であると判別する第2外部蓄電池供給判別処理を行った後、前記外部蓄電池への充電処理を行う、
蓄電装置。
【請求項4】
前記整流素子に並列に接続された第3スイッチング素子をさらに備え、
前記第2電圧検出手段によって検出された前記電源システムの電圧の値を基に、前記内部蓄電池から前記電源システムに電力が供給されるよう前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子および前記第3スイッチング素子を制御する、
請求項1から3の何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1電流路に変圧回路をさらに備え、
前記放電判別手段による判別結果に従って、前記電源システムから前記第2の負荷装置に供給される電力の調整を前記変圧回路に行わせる、
請求項1からの何れか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の車両が一旦停止するときにエンジンを停止させるアイドリングストップが知られている。アイドリングストップ中におけるオルタネータ等の発電量はエンジン駆動時よりも少なく、アイドリングストップ中における車両のライトやワイパー等の各種車載機器(電装機器)の駆動は、車両に搭載された二次電池(例えば鉛蓄電池)の電力によって行われる。
【0003】
アイドリングストップ中に二次電池の残量が少なくなるとエンジン駆動ができなくなる現象(いわゆるバッテリ上がり)が起こる。バッテリ上がりを抑えるための技術として、特許文献1には、例えば満充電になるまで二次電池を充電し、充電完了後にアイドリングストップを行う装置が開示されている。
【0004】
しかし、この場合、充電を行った分だけバッテリ上がりが起こるまでの時間を延ばせるが、バッテリ上がりの問題の根本的な解決には至っていない。また、使用される機器が増えると二次電池の充放電の頻度が増えて二次電池の劣化が早まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-25864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電源システムのバッテリ上がりを抑制し、車両電装機器以外の機器が追加されても、電源システムのバッテリに影響を与えず、当該バッテリの長寿命化を図ることができる蓄電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の蓄電装置は、発電装置、外部蓄電池および第1の負荷装置を備える電源システムと第2の負荷装置との間に設けられる蓄電装置であって、前記電源システムと前記第2の負荷装置との間の第1電流路に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段によって検出された電流の値を電力に係る情報として取得する電力情報取得手段と、前記電力情報取得手段によって取得された前記情報を基に前記外部蓄電池から電力が供給されたか否かを判別する放電判別手段と、前記第1電流路に接続された内部蓄電池と、前記内部蓄電池の電圧を検出する第1電圧検出手段と、前記電源システムの電圧を検出する第2電圧検出手段と、前記第1電流路に設けられ、前記電源システムから前記第2の負荷装置への方向に電力を供給する整流素子と、前記第1電流路に設けられ、前記電源システムから前記第2の負荷装置への電力の供給と停止を切り替える第1スイッチング素子と、前記内部蓄電池の前記第1電流路との接続点と前記内部蓄電池との間の第2電流路に設けられ、前記接続点と前記内部蓄電池との間の電力の供給と停止を切り替える第2スイッチング素子と、を備え、前記放電判別手段は、前記第2電圧検出手段によって検出された前記電源システムの電圧の値Vbが、前記電源システムの電圧の最大閾値Vthsより低い閾値Vpb-maxを下回った場合、前記外部蓄電池から電力供給が行われたと判別する、第1外部蓄電池供給判別処理を行った後、前記外部蓄電池への充電処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る蓄電装置、電源システム、追加機器の関係を示した図である。
図2】電源システム、蓄電装置、追加機器の間の電力の流れを示した図である。
図3図1に示した蓄電装置の構成を示したブロック図である。
図4】蓄電装置が実行する制御処理を示したフローチャートである。
図5図4に示した内部蓄電池充電処理を示したフローチャートである。
図6図4に示した発電要否通知処理を示したフローチャートである。
図7】本実施形態に係る各機器の電圧と閾値との関係を示す図である。
図8】本発明の第1の変形例に係る蓄電装置の構成を示したブロック図である。
図9】本発明の第2の変形例に係る蓄電装置の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、図中、同一または同等の構成には同一の符号を付す。
【0010】
本実施形態に係る蓄電装置は、セルモータを有する自動車、電気自動車、ハイブリッド車、電気オートバイ等の車両で使用される。図1に示すように、蓄電装置1は、電源システム100と追加機器L2との間に設けられる。
【0011】
電源システム100は、電装機器L1、発電装置Eおよび鉛蓄電池(外部蓄電池)Pbを備える。電装機器L1は、車両のライトやワイパー等の車載機器(第1の負荷装置)であり、発電装置E、鉛蓄電池Pbから受け取る各電力によって駆動される。
【0012】
発電装置Eは、例えばエンジンやオルタネータ等を備える。オルタネータは、エンジンの回転エネルギーや車軸の回生エネルギーによって発電する。エンジンは、例えばエンジンコントロールユニット(Engine Control Unit)等によって制御される。エンジンコントロールユニットは、車両に設けられた各種センサから取得される車速とアクセル開度に基づいてエンジンの停止(アイドリングストップ)を行う。
【0013】
追加機器L2は、通信機器や表示機器等、車両に新たに追加搭載される車載機器(第2の負荷装置)であり、電源システム100に備えられた既存の電装機器L1(第1の負荷装置)とは区別される。
【0014】
蓄電装置1は、電源システム100から電力を受け取り、追加機器L2に電力を供給する。図2に示すように、電源システム100から受け取る電力は、発電装置Eからの電力と、鉛蓄電池Pbからの電力である。
【0015】
蓄電装置1は、図3に示すように、電流検出部11、リチウムイオン電池(内部蓄電池)12、第1電圧検出部13、第2電圧検出部14、整流素子D、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2、記憶部15、制御部16を備える。
【0016】
電流検出部11は、電流センサ、増幅器、AD変換器等を備える。電流検出部11は、電源システム100と追加機器L2との間の電流路EL1に設けられ、整流素子D及び第1スイッチング素子SW1を介して電流路EL1に流れる電流を検出する。電流検出部11は、検出した電流の値を制御部16に供給する。
【0017】
リチウムイオン電池12は、複数の電池セルが接続された組電池(電池パック)から構成される。リチウムイオン電池12は、第2スイッチング素子SW2を介して電流路EL1に接続され、電源システム100からの充電および追加機器L2への放電が可能となるように設けられている。
【0018】
第1電圧検出部13と第2電圧検出部14は、それぞれ、電圧センサ、増幅器、AD変換器等を備える。第1電圧検出部13は、リチウムイオン電池12に並列に接続され、リチウムイオン電池12の電圧を検出する。第1電圧検出部13は、検出した電圧の値を制御部16に供給する。
【0019】
第2電圧検出部14は、電源システム100に並列に接続され、電源システム100の電圧を検出する。第2電圧検出部14は、検出した電圧の値を制御部16に供給する。
【0020】
整流素子Dは、電流路EL1に設けられ、第1スイッチング素子SW1を介して電源システム100から追加機器L2への方向に電力を供給する。整流素子Dは、アノードが電源システム100側に接続され、カソードが追加機器L2側に接続されている。
【0021】
第1スイッチング素子SW1は、電流路EL1に設けられ、整流素子Dと直列に接続される。第1スイッチング素子SW1は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の電圧駆動型の半導体スイッチやリレー等から構成される。第1スイッチング素子SW1は、制御部16の制御のもと、電源システム100から追加機器L2への電力の供給と停止を切り替える。
【0022】
第2スイッチング素子SW2は、電流路EL1のリチウムイオン電池12との接続点Pとリチウムイオン電池12との間の電流路EL2に設けられる。第2スイッチング素子SW2は、制御部16の制御のもと、接続点Pとリチウムイオン電池12との間の電力の供給と停止(リチウムイオン電池12の充放電と停止)を切り替える。
【0023】
記憶部15は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置から構成される。また、記憶部15は、制御部16が各種処理を行うための制御プログラムおよびデータを記憶する。
【0024】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)、CPUのメインメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)等を備えたBMU(Battery Management Unit)から構成される。なお、制御部16は、一部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用回路から構成されてもよい。
【0025】
制御部16は、例えば、蓄電装置1が、電源システム100に接続されたタイミングで記憶部15に記憶された制御プログラムを読み出して実行する。これにより、制御部16は、電力情報取得部16a、放電判別部16b、電流路制御部16c、通知部16dとして機能する。電力情報取得部16a、放電判別部16b、電流路制御部16c、通知部16dは、例えば、蓄電装置1が、電源システム100から切り離されるまで以下の図4乃至図6に示される制御処理を行う。
【0026】
電力情報取得部16aは、電源システム100から供給される電力に係る情報(電力情報)として、電流路EL1に流れる電流値を電流検出部11から、また、電源システム100の電圧値を第2電圧検出部14から取得する(ACT11)。
【0027】
放電判別部16bは、電力情報取得部16aによって取得された電流値と電源システム100の電圧を基に、電源システム100から受け取る電力が、発電装置Eによるものか、鉛蓄電池Pbによるものか、発電装置Eと鉛蓄電池Pb双方によるものかを判別する。放電判別部16bは、この判別を、記憶部15に記憶されたつの閾値(VthsVpb-max)によって行う。なお、閾値Vthsは電源システムの電圧Vbの最大値、閾値Vpb-maxは閾値Vthsより低い電圧値である。各機器の電圧と各閾値の関係は、図7に示される。
【0028】
また、電力情報取得部16aによって取得された電源システム100の電圧が、閾値Vpb-maxを下回る場合、放電判別部16bは、発電装置Eから電力が供給されず、鉛蓄電池Pbから電力が供給されている状態であると判別する(ACT13;YES)。発電装置Eと鉛蓄電池Pbの双方から、または、鉛蓄電池Pbから電力が供給されている状態であると判別された場合、表示装置等に対する発電要否通知処理が行われる(ACT15)。
【0029】
また、電力情報取得部16aによって取得された電圧値(Vb)が、閾値Vpb-max以上であり、閾値Vthsを下回る場合(Vpb-max≦Vb<Vths)、放電判別部16bは、鉛蓄電池Pbから電力が供給されず、発電装置Eから電力が供給されている状態であると判別する(ACT13;NO)。この場合、内部蓄電池充電処理が行われる(ACT14)。
【0030】
ACT14の内部蓄電池充電処理では、図5に示すように、電流路制御部16cは、リチウムイオン電池12の電圧値を第1電圧検出部13から取得し(ACT141)、取得した電圧値を基にリチウムイオン電池12の充電の要否を判別する(ACT142)。例えば、電流路制御部16cは、この判別を、記憶部15に記憶された電圧閾値(Vth1)によって行う。
【0031】
具体的には、電圧閾値(Vth1)は、リチウムイオン電池12が満充電に近い状態の電圧値が設定されている。第1電圧検出部13から取得された電圧値(Va)が電圧閾値Vth1を超えている場合(Vth1<Va)、電流路制御部16cは、リチウムイオン電池12の充電は不要であると判別する(ACT142;YES)。
【0032】
一方、第1電圧検出部13から取得された電圧値(Va)が電圧閾値Vth1以下の場合(Va≦Vth1)、電流路制御部16cは、リチウムイオン電池12の充電が必要であると判別する(ACT142;NO)。
【0033】
リチウムイオン電池12の充電が不要であると判別した場合(ACT142;YES)、電流路制御部16cは、第1スイッチング素子SW1をオン、第2スイッチング素子SW2をオフにする(ACT143)。この場合、電源システム100の発電装置Eによって発電された電力は電流路EL1を介して追加機器L2に供給され、リチウムイオン電池12には供給されない。
【0034】
リチウムイオン電池12の充電が必要であると判別した場合(ACT142;NO)、電流路制御部16cは、第1スイッチング素子SW1と第2スイッチング素子SW2の双方をオンにする(ACT144)。この場合、電源システム100の発電装置Eによって発電された電力は電流路EL1を介してリチウムイオン電池12と追加機器L2の双方に供給され、リチウムイオン電池12が充電される。
以上により、発電装置Eの電力を受け取る場合の一連の処理が行われ、その後は、図4に示したACT11に戻る。
【0035】
一方、ACT15の発電要否通知処理では、図6に示すように、電流路制御部16cは、第1スイッチング素子SW1をオフ、第2スイッチング素子SW2をオンにする(ACT151)。この場合、電源システム100から電力を受け取らず、リチウムイオン電池12から追加機器L2に電力が供給される状態となる。つまり、この場合、追加機器L2は、リチウムイオン電池12の電力により駆動される。
【0036】
通知部16dは、リチウムイオン電池12の電圧値(Va)を第1電圧検出部13から取得し、電源システム100の電圧値(Vb)を第2電圧検出部14から取得する(ACT152)。通知部16dは、取得した各電圧値を基にリチウムイオン電池12、鉛蓄電池Pbの充電の要否を判別する(ACT153)。
【0037】
通知部16dは、この判別を、記憶部15に記憶されたリチウムイオン電池12の電圧閾値(Vth2)と鉛蓄電池Pbの電圧閾値(Vth3)によって行う。リチウムイオン電池12の電圧閾値(Vth2)は、例えば、満充電量の50%に対応する電圧値が設定される。リチウムイオン電池12の電圧値(Va)が電圧閾値Vth2を下回る場合(Va<Vth2)、通知部16dは、リチウムイオン電池12の充電が必要であると判別する。
【0038】
一方、鉛蓄電池Pbの電圧閾値(Vth3)は、バッテリ上がりとなる電圧値(例えば鉛蓄電池Pbの満充電量の20%に対応する電圧値)を基に設定される。例えば、アイドリングストップ時に電装機器L1の駆動によって鉛蓄電池Pbの電力が消費され、電源システム100の電圧値(Vb)が電圧閾値Vth3を下回った場合(Vb<Vth3)、通知部16dは、鉛蓄電池Pbの充電が必要であると判別する。
【0039】
通知部16dは、リチウムイオン電池12、鉛蓄電池Pbいずれかの充電が必要であると判別した場合(ACT153;YES)、電装機器L1や追加機器L2として構成された表示装置に、発電装置Eの駆動が必要な旨を通知して表示させる(ACT154)。
【0040】
通知部16dは、リチウムイオン電池12、鉛蓄電池Pbの双方とも充電が不要であると判別した場合(ACT153;NO)、電装機器L1や追加機器L2として構成された表示装置に、発電装置Eの駆動が不要な旨を通知して表示させる(ACT155)。
以上により、発電装置Eの電力を受け取らない場合の一連の処理が行われ、その後は、図4に示したACT11に戻り、上記と同様の処理を行う。
【0041】
以上、上記実施形態に係る蓄電装置1は、電源システム100の鉛蓄電池Pbから電力を受け取らず、発電装置Eから電力を受け取るよう、電源システム100と追加機器L2との間の電流路EL1を制御できる。これにより、電源システム100の鉛蓄電池Pbのバッテリ上がりを抑制でき、車両で使用される機器が追加されても、鉛蓄電池Pbに影響を与えず、鉛蓄電池Pbの長寿命化を図ることができる。
【0042】
なお、上記実施形態では、電源システム100から受け取る電力が、発電装置E、鉛蓄電池Pb、発電装置Eと鉛蓄電池Pb双方の何れかによるものであるかを電流路EL1に流れる電流値を基に判別したが、これらの判別を、電流路EL1に流れる電流値と第2電圧検出部14から取得する電圧値とから求められる電力値を基に行ってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、通知部16dは、発電装置Eの駆動の要否を電装機器L1や追加機器L2として構成された表示装置に通知する例を説明したが、当該駆動の要否を車両内のエンジンコントロールユニット(ECU:Engine Control Unit)に通知してもよい。この場合、エンジンコントロールユニットは、通知部16dから受け取る通知に基づいて、発電装置E(エンジン)を自動駆動し、発電を行うようにしてもよい。
【0044】
また、鉛蓄電池Pbの電圧値(Vb)が電圧閾値Vth3を下回る場合(Vb<Vth3)、リチウムイオン電池12の電力を電源システム100に供給するよう、蓄電装置1を構成してもよい。
【0045】
この場合、蓄電装置1は、図8に示すように、電流路EL1に設けられた整流素子Dに並列に接続された第3スイッチング素子SW3を備える。電流路制御部16cは、第2電圧検出部14から取得する電源システム100の電圧の値を基に、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2および第3スイッチング素子SW3を全てオンにする。これにより、リチウムイオン電池12から電源システム100(電装機器L1、鉛蓄電池Pb)への電力の供給が可能となる。
【0046】
また、上記実施形態では、電流路EL1に備えられた第1スイッチング素子SW1を制御することにより、電源システム100から追加機器L2への電力の供給と停止を切り替えたが、図9に示すように、第1スイッチング素子SW1の代わりに、DC/DCコンバータ等の変圧回路17を備えてもよい。この場合、電流路制御部16cは、放電判別部16bによる判別結果に従って、電源システム100から追加機器L2に供給される電力の調整(低減または増加)を変圧回路17に行わせる。
【0047】
なお、上記実施形態では、蓄電装置に備えられる内部蓄電池は、リチウムイオン電池12である例を挙げたが、その他の二次電池(例えば鉛蓄電池)を採用してもよい。また、蓄電装置1に備えられる内部蓄電池の数量は2つ以上であってもよく、内部蓄電池の種類の一致、相違は問わない。また、電源システムの外部蓄電池は、他の二次電池(例えばリチウムイオン電池)であってもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1…蓄電装置
11…電流検出部
12…リチウムイオン電池(内部蓄電池)
13…第1電圧検出部
14…第2電圧検出部
15…記憶部
16…制御部
16a…電力情報取得部
16b…放電判別部
16c…電流路制御部
16d…通知部
17…変圧回路
D…整流素子
SW1…第1スイッチング素子
SW2…第2スイッチング素子
SW3…第3スイッチング素子
100…電源システム
E…発電装置
Pb…鉛蓄電池(外部蓄電池)
L1…電装機器(第1の負荷装置)
L2…追加機器(第2の負荷装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9