IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

特許7059115荷降しシステム、荷降し制御装置、荷降しシステムの制御方法及び荷降し制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-15
(45)【発行日】2022-04-25
(54)【発明の名称】荷降しシステム、荷降し制御装置、荷降しシステムの制御方法及び荷降し制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/02 20060101AFI20220418BHJP
   B65G 47/90 20060101ALI20220418BHJP
   B65G 47/53 20060101ALI20220418BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20220418BHJP
【FI】
B65G59/02 Z
B65G47/90 B
B65G47/53 F
B65G61/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018114873
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019218155
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】大鶴 佳秀
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-47544(JP,A)
【文献】特開2016-222377(JP,A)
【文献】特開2017-88279(JP,A)
【文献】特開2015-224125(JP,A)
【文献】特開2010-6510(JP,A)
【文献】特開2007-204174(JP,A)
【文献】特開2018-58175(JP,A)
【文献】特開2018-34991(JP,A)
【文献】特開2018-43853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 59/02
B65G 47/90
B65G 47/53
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品群から1又は複数の物品を把持する把持部を有するロボットアームと、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品が載置され、載置された物品を搬送用コンベアに搬送する補助コンベアと、
前記補助コンベアを昇降させる補助コンベア昇降機構と、
前記物品群の最も高い位置となる物品の上面の高さ又は前記物品群を格納している格納容器の高さよりも一定距離高い高さに配置されたセンサであって、センサが配置されたセンサ高さにおける、前記センサから前記ロボットアームが前記把持部で把持している物品までの距離を測定する、センサと、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品を前記補助コンベアに載置する動作に基づいて、前記補助コンベアの高さを前記センサ高さに合わせるように、前記補助コンベア昇降機構の動作を制御する制御装置と、を具備する荷降しシステム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品を前記補助コンベアに載置する前に、前記補助コンベアの高さを前記センサ高さに合わせ、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品を前記補助コンベアに載置した後に、前記搬送用コンベアの高さに基づいて前記補助コンベアの高さを制御する、請求項1に記載の荷降しシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記補助コンベアに前記物品が載置された場合に前記補助コンベア昇降機構によって前記搬送用コンベアの高さに基づいて前記補助コンベアの高さを制御するとともに、前記ロボットアームに前記物品群における他の1又は複数の物品を把持する動作を行わせ、
前記補助コンベアから前記搬送用コンベアに前記物品が搬送された後、前記補助コンベアの高さを前記センサ高さに合わせる、請求項2に記載の荷降しシステム。
【請求項4】
前記センサを昇降させるセンサ昇降機構をさらに具備し、
前記制御装置は、前記センサが前記物品群の最も高い位置となる物品の上面の高さ又は前記物品群を格納している格納容器の高さよりも一定距離高い高さに配置されるように、前記センサ昇降機構の動作を制御する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の荷降しシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記センサで測定した前記距離に基づいて、前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品が前記センサ高さを超えたか否かを判定し、前記物品が前記センサ高さを超えたと判定した場合に、さらに、前記補助コンベアの高さが前記センサ高さに基づいて高さ合わせされているか否かを判定し、前記補助コンベアの高さが前記センサ高さに基づいて高さ合わせされていると判定した場合に、前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品を前記補助コンベアに載置させる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の荷降しシステム。
【請求項6】
前記補助コンベアは、互いに異なる搬送速度で動作する複数のコンベアを含み、
前記複数のコンベアは、前記ロボットアームが前記把持部で把持した複数の物品を載置する第1コンベアと、前記第1コンベアの下流に位置する第2コンベアとを含み、
前記制御装置は、前記ロボットアームが前記把持部で把持した複数の物品を前記補助コンベアに載置した場合、前記第2コンベアの搬送速度が前記第1コンベアの搬送速度よりも速くなるように前記複数のコンベアの動作を制御する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の荷降しシステム。
【請求項7】
物品群から1又は複数の物品を把持する把持部を有するロボットアームと、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品が載置され、載置された物品を搬送用コンベアに搬送する補助コンベアと、
前記補助コンベアを昇降させる補助コンベア昇降機構と、
前記物品群の最も高い位置となる物品の上面の高さ又は前記物品群を格納している格納容器の高さよりも一定距離高い高さに配置されたセンサであって、センサ高さにおける、前記センサから前記ロボットアームが前記把持部で把持している物品までの距離を測定する、センサと、
を含む荷降しシステムの前記補助コンベア昇降機構の動作を制御する制御回路を備える荷降し制御装置であって、
前記制御回路は、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品を前記補助コンベアに載置する動作に応じて、前記補助コンベアの高さを前記センサ高さに合わせるように、前記補助コンベア昇降機構の動作を制御する、荷降し制御装置。
【請求項8】
物品を搬送用コンベアへ搬送する補助コンベアの高さを、荷降しの対象となる物品群の最も高い位置となる物品の上面の高さ又は前記物品群を格納している格納容器の高さよりも一定距離高い高さに配置されたセンサの高さにし、
ロボットアームの把持部が物品群から1又は複数の物品を把持し、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品を補助コンベアに載置し、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した前記物品を前記補助コンベアに載置した後、前記搬送用コンベアの高さに基づいて前記補助コンベアの高さを制御する、
荷降しシステムの制御方法。
【請求項9】
物品を搬送用コンベアへ搬送する補助コンベアの高さを、荷降しの対象となる物品群の最も高い位置となる物品の上面の高さ又は前記物品群を格納している格納容器の高さよりも一定距離高い高さに配置されたセンサの高さにし、
ロボットアームの把持部が物品群から1又は複数の物品を把持し、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品を補助コンベアに載置し、
前記ロボットアームが前記把持部で把持した前記物品を前記補助コンベアに載置した後、前記搬送用コンベアの高さに基づいて前記補助コンベアの高さを制御する、
ことをコンピュータに実行させる、荷降し制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、荷降しシステム、荷降し制御装置、荷降しシステムの制御方法及び荷降し制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流倉庫などの現場において、収納された商品等の荷物を搬送用コンベア等に荷降しする場合に、荷降し装置が用いられることがある。例えば、ロボットアーム及びロボットアームの先端に設けられて荷物を把持する把持部を有する荷降し装置が知られている。荷降し装置では、物流現場においてタクトタイムの短縮が求められている。
【0003】
このような荷降し装置では、ロボットアームの制御のみでタクトタイムを短縮しようとすると、ロボットアームの速度を上げることとなる。しかしながら、ロボットアームの速度を上げるのみでは、把持した荷物を落下させてしまう可能性もあり、実現できるタクトタイムに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-115887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、物品を把持するロボットを用いた荷降しシステムにおけるタクトタイムを短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、荷降しシステムは、物品群から1又は複数の物品を把持する把持部を有するロボットアームと、前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品が載置され、載置された物品を搬送用コンベアに搬送する補助コンベアと、前記補助コンベアを昇降させる補助コンベア昇降機構と、前記物品群の最も高い位置となる物品の上面の高さ又は前記物品群を格納している格納容器の高さよりも一定距離高い高さに配置されたセンサであって、センサが配置されたセンサ高さにおける、前記センサから前記ロボットアームが前記把持部で把持している物品までの距離を測定する、センサと、前記ロボットアームが前記把持部で把持した物品を前記補助コンベアに載置する動作に応じて、前記補助コンベアの高さを前記センサ高さに合わせるように、前記補助コンベア昇降機構の動作を制御する制御装置と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、荷降しシステムの一例を概略的に示す上面図である。
図1B図1Bは、荷降しシステムの一例を概略的に示す側面図である。
図2A図2Aは、荷降しシステムの一例を概略的に示す上面図である。
図2B図2Bは、荷降しシステムの一例を概略的に示す側面図である。
図3図3は、荷降しシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、荷降しシステムによる荷降し動作の一例を示すフローチャートである。
図5A図5Aは、荷降しシステムの動作の一例を示す上面図である。
図5B図5Bは、荷降しシステムの動作の一例を示す側面図である。
図6A図6Aは、荷降しシステムの動作の一例を示す上面図である。
図6B図6Bは、荷降しシステムの動作の一例を示す側面図である。
図7A図7Aは、補助コンベアが複数の物品を分離する動作の一例を示す側面図である。
図7B図7Bは、補助コンベアが複数の物品を分離する動作の一例を示す側面図である。
図7C図7Cは、補助コンベアが複数の物品を分離する動作の一例を示す側面図である。
図8図8は、荷降しシステムによる荷降し動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明では、荷物を把持するロボットを用いた荷降しシステムにおけるタクトタイム短縮の手法を提案する。
【0009】
図1Aは、実施形態に係る荷降しシステム100の一例を概略的に示す上面図である。図1Bは、荷降しシステム100の一例を概略的に示す側面図である。なお、図1A及び図1Bでは、簡略化のために荷降しシステム100の構成の一部を省略している。また、図1A及び図1Bに示されるように、X方向とY方向(水平方向)、及びZ方向(鉛直方向又は上下方向)を定義する。
【0010】
荷降しシステム100は、物流現場などで用いられる、積み重ねられた荷物の荷降しを行うシステムである。荷降しシステム100は、ロボットアーム10と、補助コンベア3と、補助コンベア昇降機構4と、第1距離センサ5と、第2距離センサ6と、第2距離センサ昇降機構7と、第1センサ8と、第2センサ9と、制御装置20とを有している。荷降しシステム100は、例えば荷降し対象の荷物である物品11を搬送用コンベア13に搬送するシステムである。搬送用コンベア13は、荷降し後の物品11を搬送する搬送機構である。
【0011】
荷降しシステム100は、所定位置に置かれた物品11をロボットアーム10及び補助コンベア3を用いて搬送用コンベア13に搬送させるシステムである。本実施形態では、物品を所定位置から搬送用コンベア13まで移動させる経路中に補助コンベア3が設けられている。
【0012】
本実施形態において、所定位置に置かれる1以上の物品11を物品群12と称する。物品群12は、1以上の物品11を含み、例えば、複数の物品11が鉛直方向(Z方向)に積み重ねられた段が水平方向(X方向、Y方向、又はその両方)に複数並べられたもの(物品のスタック)を指す。物品群12は、台車等に積載されてもよいし、格納容器に収納されてもよい。
【0013】
ロボットアーム10は、物品群12の1又は複数の物品11を把持し、把持した物品11を補助コンベア3上に載置する。補助コンベア3は、ロボットアーム10により補助コンベア3上に載置された物品11を搬送用コンベア13に搬送する。補助コンベア3を設けたことにより、ロボットアーム10の水平方向の動作経路(移動距離)が短縮される。また、補助コンベア昇降機構4により、補助コンベア3の高さが変更可能である。昇降する補助コンベア3を設けたことにより、ロボットアーム10の鉛直方向の動作経路(移動距離)が短縮される。
【0014】
ロボットアーム10は、物品を移動させる装置である。本実施形態では、ロボットアーム10は、物品群12の荷降しに用いられる。ロボットアーム10は、制御装置20により動作を制御される。ロボットアーム10は、アーム機構1と、アーム機構1の先端に設けられた把持部2とを有している。
【0015】
アーム機構1は、例えば、複数のアームと、アーム間を連結している複数の関節機構とを有している。関節機構は、制御装置20の制御により動作し、連結している2つのアームの相対的な角度を変化させる。すなわち、関節機構の動作によってアームが移動する。
【0016】
把持部2は、物品11を把持する。例えば、把持部2は、物品11に吸着する吸着パッドを含む。吸着パッドの数は、1つでもよいし、複数であってもよい。吸着パッドが物品11の表面に接した状態で、制御装置20の制御により吸着パッド内が負圧にされると、吸着パッドは、物品11の表面に吸着(真空吸着)する。吸着パッド内の負圧が解除されると、吸着パッドは物品11をリリースする。このように、把持部2は、例えば吸着によって物品11を把持する。
【0017】
あるいは、把持部2は、物品11を挟持するグリッパを含むものであってよい。グリッパは、例えば、複数の指と、複数の指を連結している複数の関節機構とを備える。関節機構は、制御装置20の制御により動作し、関節機構の動作に連動して指が動作するように構成されてよい。グリッパは、例えば、複数の指による2点以上の接点で、対向する複数の方向から物品11に対して力を加える。これにより、把持部2は、指と物品11との間に生じる摩擦によって物品11を把持する。
【0018】
把持部2として、吸着による把持機構である吸着パッド、挟持による把持機構であるグリッパを挙げたが、把持部2はこれに限定されない。物品群12から1又は複数の物品11を把持可能な種々の把持機構を採用してよい。
【0019】
補助コンベア3は、ロボットアーム10が把持部2で把持した物品を受けて搬送用コンベア13へと搬送する搬送機構である。補助コンベア3は、制御装置20により動作を制御される。補助コンベア3は、ロボットアーム10の把持部2で把持された物品が置かれる補助コンベア面3aを有している。補助コンベア3は、例えば、図1Aに矢印A3で示される補助コンベア3の搬送方向(略X方向)が、矢印A13で示される搬送用コンベア13の搬送方向(Y方向)と交差するように配置されている。補助コンベア面3a上を搬送された物品11は、搬送用コンベア13の搬送用コンベア面13aに排出される。
【0020】
補助コンベア3は、互いに異なる搬送速度で動作可能な複数のコンベアを含んでよい。補助コンベア3は、例えば第1コンベア3bと第2コンベア3cとを含む。第1コンベア3bと第2コンベア3cとは、制御装置20の制御により独立して動作を制御される。補助コンベア3は、例えば、第1コンベア3bの速度と第2コンベア3cの速度とが異なるようにして駆動可能である。各コンベア3b,3cは、補助コンベア3の搬送方向A3に沿って並べて配置されたベルトコンベアである。あるいは、並べて配置された複数のローラからなるローラーコンベアであってよい。
【0021】
補助コンベア昇降機構4は、補助コンベア3を上下方向(図1Bに双方向矢印A4で示される方向)に移動させる、すなわち補助コンベア3を昇降させるリフト機構である。補助コンベア昇降機構4は、制御装置20により動作を制御される。例えば、補助コンベア昇降機構4の不図示のモータが、制御装置20の制御により駆動され、補助コンベア3を上昇又は降下させる。つまり、補助コンベア昇降機構4の動作により、補助コンベア3は高さを変更可能である。補助コンベア3の上面である補助コンベア面3aの高さは、補助コンベア昇降機構4により、例えば、搬送用コンベア13の上面である搬送用コンベア面13aの高さと略同一の高さH13と、後述する第2距離センサ6が配置されたセンサ高さH6との間で変更可能であってよい。
【0022】
第1距離センサ5は、物品群12の各物品11までの距離を計測するセンサである。第1距離センサ5は、制御装置20により動作を制御される。第1距離センサ5は、図1Aに示されるように、荷降し対象の物品群12の上方に配置される。第1距離センサ5は、例えば、異なる2点から物品11を撮像した際の視差に基づいて物品11までの距離を計測するステレオカメラである。第1距離センサ5は、物品群12のなかからロボットアーム10が把持する把持対象物品を特定するために用いられる。
【0023】
第2距離センサ6は、例えばレーザーレンジファインダ(LRF)である。以下、第2距離センサ6をLRF6、第2距離センサ昇降機構7をLRF昇降機構7として説明する。また、第1距離センサ5を単に距離センサ5と称する。LRF6は、物品群12の近傍に配置される。LRF6は、制御装置20により動作を制御される。LRF6は、例えば半導体レーザーからレーザー光を発振して照射し、例えば物品11である対象物までの距離を測定する。測定された距離の値に基づいて、物品11の有無が判断される。例えばLRF6により有効な値が検出された場合に、物品11が存在すると判断される。有効な値とは、測定された距離の値が、対象物である把持する物品11が存在し得る範囲の値である。なお、LRF以外の距離センサ、あるいは物品の有無を検出可能な他のセンサを採用してもよい。
【0024】
LRF昇降機構7は、LRF6を上下方向(図1Bに双方向矢印A7で示される方向)に移動させるリフト機構である。LRF昇降機構7は、例えば、鉛直方向に延びた支柱を有し、その支柱にLRF6が上下方向に移動可能に配置されている。LRF昇降機構7は、制御装置20により動作を制御される。例えば、LRF昇降機構7の不図示のモータが、制御装置20の制御により駆動され、LRF6を上昇又は降下させる。つまり、LRF昇降機構7の動作により、LRF6はLRF測定位置である高さH6(センサ高さ)を変更可能である。
【0025】
第1センサ8は、補助コンベア3上の物品の有無を検出するセンサである。第1センサ8は、補助コンベア3の上方に、例えば補助コンベア3の搬送方向A3に略直交する幅にわたって物品の有無を検出するように配置されている。ロボットアーム10により補助コンベア3に物品11が載置された場合、第1センサ8は、補助コンベア面3a上に物品11があることを検出する。第1センサ8には、光学センサ、画像センサなどの種々の検出装置を用いてよい。
【0026】
第2センサ9は、補助コンベア3から搬送用コンベア13への物品の排出を検出するセンサである。第2センサ9は、補助コンベア3の上方に、例えば補助コンベア3の搬送方向A3に略直交する幅にわたって物品の有無を検出するように配置されている。第2センサ9は、補助コンベア3と搬送用コンベア13との合流位置の近傍に配置されている。第2センサ9は、補助コンベア面3a上の物品11が補助コンベア3から搬送用コンベア13に排出されたことを検出する。第2センサ9にも、光学センサ、画像センサなどの種々の検出装置を用いてよい。
【0027】
荷降し対象である物品11は、図1A及び図1Bに示されるように、物品群12として補助コンベア3の近傍に配置される。なお、図1A及び図1Bでは、物品群12の各物品11のサイズが揃っている、すなわち同じサイズであるが、これに限定されない。サイズの異なる種々の物品11を含む物品群12が荷降し対象であってよい。
【0028】
図2A及び図2Bに示されるように、物品群12が格納容器14に格納された状態で補助コンベア3の近傍に配置されてもよい。格納容器14は、鉛直方向に延びた側壁15と、底面16とを有している。物品11は、格納容器14の底面16の上に積み重ねられた物品群12として配置されている。格納容器14の高さH14(側壁15の高さ)は、例えば、格納容器14に格納された物品11のうち最も高い位置にある物品の上面の高さH11よりも高い。
【0029】
搬送用コンベア13は、物流現場で用いられる一般的なベルトコンベアである。荷降し後の物品11が搬送用コンベア13で搬送される。
【0030】
図3は、荷降しシステム100の構成の一例を示すブロック図である。制御装置20は、通信インタフェース21と、プロセッサ22と、メモリ23と、ストレージ24とを有している。これらは、バスライン25を介して通信可能である。また、制御装置20は、図示しない操作端末を有している。操作端末は、例えば、画面表示と制御装置20への指示入力とに用いられるタッチパネルであってよい。操作端末は、タッチパネルに代わって、ディスプレイなどの表示装置とキーボード又はマウスなどの入力装置とを有してもよい。
【0031】
通信インタフェース21は、外部機器との通信に用いるインタフェースである。通信インタフェース21は、ロボットアーム10、補助コンベア3、補助コンベア昇降機構4、距離センサ5、LRF6、LRF昇降機構7、第1センサ8及び第2センサ9と通信するための通信規格などに対応した端子及び回路を備える。通信インタフェース21は、プロセッサ22の制御に基づいて、ネットワーク30を介して、ロボットアーム10、補助コンベア3、補助コンベア昇降機構4、距離センサ5、LRF6、LRF昇降機構7、第1センサ8及び第2センサ9と通信する。
【0032】
プロセッサ22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。メモリ23は、読み出し専用のデータメモリであるROM(Read Only Memory)又はデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)を含む。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの大容量ストレージであってよい。メモリ23又はストレージ24は、荷降しシステム100の各機器の制御プログラムや各種データを記憶している。プロセッサ22は、メモリ23又はストレージ24に記憶されているプログラム等に基づいて種々の処理を行う。つまり、プロセッサ22は、ソフトウェア機能部として各種プログラムを実行する。プロセッサ22に代わって、ハードウェア機能部としてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)などの制御回路が用いられてもよい。
【0033】
本実施形態では、1つの制御装置20が荷降しシステム100の各機器の制御を実行するとして説明しているが、制御装置20の数はこれに限定されない。互いに通信可能な複数の制御装置がそれぞれの機器の制御を実行してもよい。
【0034】
図4を参照して、本実施形態における荷降しシステム100の荷降し動作の一例について説明する。荷降しシステム100では、昇降する補助コンベア3により、ロボットアーム10の水平方向及び鉛直方向の動作経路の短縮を図る。
【0035】
図4は、荷降しシステム100による荷降し動作の一例を示すフローチャートである。物品群12が補助コンベア3の近傍の所定位置にセットされた後、荷降し動作が開始される。例えば、ユーザーが不図示の操作端末から荷降し開始指示を入力することにより、制御装置20の制御による荷降し動作が開始される。
【0036】
ステップS11において、制御装置20は、LRF6の測定位置(LRF測定位置)を物品群12のうち最も高い物品の高さに基づいて高さ合わせするように、LRF昇降機構7を駆動させる。例えば、あるLRF測定位置でLRF6が物品11までの距離を測定する。制御装置20は、LRF6の測定結果を示す値を取得し、取得した値が物品11の検出に有効な値である場合に、つまり物品11を検出した場合、LRF昇降機構7によりLRF6を所定高さ上昇させる。物品11を検出したと判断されなくなるまでこれが繰り返される。制御装置20が物品11を検出したと判断しなくなった場合、LRF測定位置の高さが物品群12の最も高い物品の上面の高さに基づく高さ合わせが完了したこととする。例えば、図1Bには、物品群12の最も高い物品の上面に高さ合わせされたLRF6が示されている。
【0037】
ここで高さ合わせされるLRF測定位置は、物品群12のうち最も高い物品の高さと同じ高さではなく、物品群12のうち最も高い物品の上面から一定距離高い位置である。一定距離は、荷降しシステム100に含まれる各装置の誤差や装置間の信号の送受信によるタイムラグを吸収でき、また、物品の移送による揺れ、傾きが起きても他の荷物と干渉しない程度の値に設定することができ、具体的には例えば10cm程度であってよい。
【0038】
ステップS12において、制御装置20は、補助コンベア3の高さを物品群12のうち最も高い物品の高さに基づいて高さ合わせするように、補助コンベア昇降機構4を駆動させる。制御装置20は、例えばステップS11で高さ合わせしたLRF測定位置の高さ情報に基づいて、補助コンベア3の高さ合わせをする。例えば、図1Bには、物品群12の最も高い物品の上面に高さ合わせされた補助コンベア3が示されている。
【0039】
ステップS12の後、制御装置20は、ステップS13からステップS21までの処理と、ステップS22からステップS28までの処理とを並列して開始する。ステップS13からステップS21は、ロボットアーム10による把持対象物品の把持から補助コンベア3への配置に係わる処理である。ステップS22からステップS28は、補助コンベア3に配置された物品の搬送用コンベア13への搬送に係わる処理である。
【0040】
まず、ステップS13からステップS21の処理について説明する。
【0041】
ステップS13において、制御装置20は、距離センサ5を動作させる。例えばステレオカメラである距離センサ5が、異なる2点から撮像した際の視差に基づいて距離センサ5と物品群12の各物品11との距離を計測する。制御装置20は、距離センサ5が計測した距離情報を取得することにより、物品群12の各物品11の位置を検知する。すなわち、制御装置20は、3次元空間における物品11の位置情報を表す物品位置情報を取得する。
【0042】
ステップS14において、制御装置20は、ステップS13で取得した物品位置情報に基づいて、ロボットアーム10で把持可能な物品の有無を判定する。把持可能な物品がないと判定された場合には(ステップS14-No)、処理は終了する。ステップS13で取得した物品位置情報から物品がないと判定された場合、物品を認識できなかった場合、物品がロボットアーム10の可動範囲外にある場合などに、制御装置20は把持可能な物品がないと判定し、処理は終了する。把持可能な物品があると判定された場合には(ステップS14-Yes)、処理はステップS15に進む。
【0043】
ステップS15において、制御装置20は、ステップS13で取得した物品位置情報に基づいて、把持対象物品を特定する。制御装置20は、取得した物品位置情報から、上面位置が最も高い物品の1つをロボットアーム10の把持対象物品と決定する。
【0044】
ステップS16において、制御装置20は、ステップS15で特定した把持対象物品と同時にロボットアーム10で把持可能な物品の有無を判定する。同時に把持可能な物品は、例えば、物品のサイズと、ロボットアーム10の把持部2で同時に把持可能な物品の許容サイズとに基づいて判定されてよい。物品のサイズは、例えば物品位置情報から取得可能である。同時に把持可能な物品の許容サイズは、例えばロボットアーム10の制御プログラムに関連してストレージ24に記憶されたデータから取得可能である。同時に把持可能な物品は、1つであっても複数であってもよい。同時に把持可能な物品があると判定された場合には(ステップS16-Yes)、処理はステップS17に進む。ないと判定された場合には(ステップS16-No)、処理はステップS18に進む。
【0045】
ステップS17において、制御装置20は、ステップS16で同時に把持可能であると判定された物品をロボットアーム10の把持対象物品に追加する。
【0046】
ステップS18において、制御装置20は、制御プログラムにしたがってロボットアーム10を動作させる。制御装置20は、ステップS15及びステップS17で設定した1又は複数の把持対象物品をロボットアーム10の把持部2で把持して鉛直方向へ引き上げる動作をロボットアーム10に行わせる。このとき、制御装置20は、LRF6も動作させる。LRF6は、ロボットアーム10が把持対象物品を引き上げているときのLRF測定位置の水平面における物品の有無を検出する。
【0047】
ステップS19において、制御装置20は、LRF6による物品11までの距離の測定結果を示す値に基づいて、把持対象物品の底がLRF測定位置を超えたか否かを判定する。把持対象物品がロボットアーム10により引き上げられると、LRF6は、物品11の検出に有効な値を物品11までの距離として検出する。この場合、制御装置20は、LRF6の検出結果に基づいて、物品11を検出したと判断する。把持対象物品がさらに引き上げられて当該物品の底がLRF測定位置を超えると、LRF6は、物品11の検出に有効でない値(例えば物品11までの距離∞)を検出する。この場合、制御装置20は、LRF6の検出結果に基づいて、物品11を検出しなくなった、すなわち把持対象物品の底面がLRF測定位置の高さを超えたと判定する。このように、制御装置20は、LRF6が測定する距離情報に基づいて、把持対象物品の底面がLRF測定位置の高さを超えたと判定するまで、ロボットアーム10を動作させて把持対象物品を上昇させる。把持対象物品の底がLRF測定位置を超えたと判定されると、処理はステップS20に進む。
【0048】
ステップS20において、制御装置20は、補助コンベア3が物品群12のうち最も高い物品の上面に基づいて高さ合わせ済みであるか否かを判定する。ここで、ステップS20は、後述するステップS28の処理が完了したことを確認するためのステップである。高さ合わせ済みであると判定されるまで待機し、高さ合わせ済みであると判定されたら処理はステップS21に進む。
【0049】
ステップS21において、制御装置20は、ロボットアーム10の把持部2で把持している物品を補助コンベア3に移動させて、補助コンベア面3aに配置させる。例えば図5Aには、ロボットアーム10により物品11aが補助コンベア3上に配置された状態が示されている。また、把持部2が複数の物品を同時に把持している場合には、ロボットアーム10は、例えば図7Aに示されるように、複数の物品11b,11cが補助コンベア3の搬送方向に並ぶような姿勢で物品をリリースする。これにより、ロボットアーム10による物品の搬送動作が完了する。
【0050】
次に、ステップS22からステップS28の処理について説明する。ステップS13の処理開始とともに、ステップS22の処理が開始される。
【0051】
ステップS22において、制御装置20は、第1センサ8が検出した補助コンベア3上の物品11の検出情報に基づいて、補助コンベア3上の物品の有無を判定する。補助コンベア3上に物品がないと判定された場合には(ステップS22-No)、処理は終了する。あると判定された場合には(ステップS22-Yes)、処理はステップS23に進む。
【0052】
なお、補助コンベア3上の物品の有無の判定には、LRF6を用いてもよい。例えば、LRF6がその測定範囲の水平面において再び物品を検出した場合、制御装置20は、補助コンベア3上に物品があると判定してよい。
【0053】
ステップS23において、制御装置20は、補助コンベア昇降機構4を駆動させることにより、補助コンベア3を上昇又は降下させて補助コンベア3の高さを搬送用コンベア13の高さH13に合わせる。搬送用コンベア13の高さは不変であり、搬送用コンベア面13aの高さは例えばストレージ24に予め記憶されていてよい。例えば、図5Bには、補助コンベア昇降機構4により補助コンベア3が矢印A41で示されるように下降されて補助コンベア3の高さが搬送用コンベア13の高さH13に合わせられた状態が示されている。
【0054】
ステップS24において、制御装置20は、補助コンベア面3a上に搬送方向に並んだ複数の物品の有無を判定する。制御装置20は、例えば、ロボットアーム10の直前の制御情報から、補助コンベア3上にロボットアーム10により複数の物品が載置されているかを判定する。複数の物品があると判定された場合には(ステップS24-Yes)、処理はステップS26に進む。複数の物品がないと判定された場合には(ステップS24-No)、処理はステップS25に進む。
【0055】
ステップS25において、制御装置20は、補助コンベア3を駆動させて補助コンベア面3a上の物品11aを搬送用コンベア13へと搬送する。例えば、図6A及び図6Bには、補助コンベア3から搬送用コンベア13へと搬送されている物品11aが示されている。
【0056】
ステップS26において、制御装置20は、補助コンベア3を駆動させて複数の物品を分離して搬送用コンベア13へと搬送する。ここで、複数の物品を分離する手法について、図7A乃至図7Cを参照して説明する。
【0057】
例えば、図7Aに示されるように、ロボットアーム10は、2つの物品11b,11cが補助コンベア3の搬送方向に並ぶような姿勢で、物品11b,11cを把持部2からリリースする。これにより、補助コンベア3上において、進行方向に対して下流に第1の物品11bが、また、進行方向に対して上流に第2の物品11cがそれぞれ配置される。例えば、補助コンベア3の第1コンベア3b上に、第1の物品11b及び第2の物品11cが配置される。
【0058】
その後、制御装置20は、補助コンベア3上に搬送方向に並んで配置された2つの物品11b,11cを検出して(ステップS22-Yes)、補助コンベア3を図7Aに矢印A41で示されるように下降させて補助コンベア3の高さを搬送用コンベア13の高さに合わせる(ステップS23)。例えば、図7Bには、補助コンベア3の高さが搬送用コンベア13の高さに合わせられた状態が示されている。このとき、第1の物品11bと第2の物品11cとの間の間隔Δd1は比較的小さい。
【0059】
次いで、補助コンベア3上に搬送方向に並んだ物品11b,11cがあると判定されると(ステップS24-Yes)、制御装置20は、図7Bに示される状態から、補助コンベア3の第1コンベア3bを第1速度v3bで、第2コンベア3cを第2速度v3cでそれぞれ駆動させる。ここで、第2速度v3c>第1速度v3bである。すなわち、制御装置20は、進行方向に対して下流に位置する第2コンベア3cを、進行方向に対して上流に位置する第1コンベア3bよりも速い速度で動作させる。
【0060】
補助コンベア3が駆動されると、第1コンベア3b上の第1の物品11b及び第2の物品11cが第1速度v3bで搬送される。そして、物品11b,11cのうち、下流側に位置する第1の物品11bが、第2の物品11cに先立って第1コンベア3bから第2コンベア3cに搬送される。第1の物品11bが第2コンベア3cに到達すると、第2コンベア3c上の第1の物品11bは第2速度v3bで搬送される。このとき、第1コンベア3b上の第2の物品11cは未だ第1速度v3aで搬送されているため、第1の物品11bと第2の物品11cとの間の間隔Δd2が図7Cに示されるように広がる。つまり、搬送用コンベア13に近い第2コンベア3cの第2速度v3cを第1コンベア3bの第1速度v3bに対して上げることで、2つの物品間の間隔を広げて分離する。すなわち、2つの物品間の間隔が調整される。
【0061】
ステップS25又はステップS26の後、処理はステップS27に進む。ステップS27において、制御装置20は、第2センサ9が検出した補助コンベア3上の物品11の検出情報に基づいて、補助コンベア3上の物品が搬送用コンベア13に排出されたか否かを判定する。搬送用コンベア13に排出されたと判定されるまで待機し、排出されたと判定されたら処理はステップS28に進む。
【0062】
ステップS28において、制御装置20は、ステップS12と同様にして、補助コンベア昇降機構4を駆動させて、補助コンベア3を上昇又は降下させて補助コンベア3の高さを物品群12のうち最も高い物品の上面の高さに基づいて高さ合わせする。
【0063】
なお、ステップS28の完了を待って、ステップS20が行われる。すなわち、ステップS13からステップS21とステップS22からステップS28との並列処理において、補助コンベア3から搬送用コンベア13への物品排出動作の完了後(ステップS27-Yes)、補助コンベア3の高さを物品群12の最も高い物品の上面の高さに基づいて高さ合わせしてから(ステップS28)、ロボットアーム10による補助コンベア3への物品の移動及び載置が行われる(ステップS21)。
【0064】
ステップS13からステップS27の処理の完了後、処理はステップS11に戻る。つまり、制御装置20は、再び、LRF測定位置の高さ合わせ、補助コンベア3の高さ合わせをし、その後、次の物品把持のための処理と補助コンベア上の物品排出のための処理とを並列処理で実行する。物品群12にロボットアーム10で把持可能な物品がなくなるまで、及び、補助コンベア3上の物品がなくなるまで、このような処理が繰り返される。
【0065】
図8は、図2A及び図2Bに示されるような、物品群12が格納容器14に格納されている場合の荷降しシステム100の荷降し動作の一例を示す図である。ここでは、格納容器14の側壁15の高さは、格納容器14内の物品群12のうち最も高い物品の上面の高さよりも高いものとする。以下、図4に示される荷降し動作と異なる点を中心に、図8に示される荷降し動作について説明する。
【0066】
ステップS51において、制御装置20は、LRF測定位置を格納容器14の高さに基づいて高さ合わせするように、LRF昇降機構7を駆動させる。ここで高さ合わせされるLRF測定位置は、格納容器14の高さから一定距離高い高さである。
【0067】
ステップS52において、制御装置20は、補助コンベア3の高さを格納容器14の高さに基づいて高さ合わせするように、補助コンベア昇降機構4を駆動させる。
【0068】
ステップS52の後、制御装置20は、ステップS53からステップS61までの処理と、ステップS62からステップS68までの処理とを並列して開始する。
【0069】
ステップS53からステップS59は、上述のステップS13からステップS19と同様である。すなわち、制御装置20は、距離センサ5から取得した距離情報に基づいて物品11の位置情報を表す物品位置情報を取得し(ステップS53)、これに基づいて1又は複数の把持対象物品を決定し(ステップS54~ステップS57)、把持対象物品の底がLRF測定位置を超えたと判定されるまで、ロボットアーム10で把持対象物品を引き上げる(ステップS58,ステップS59)。
【0070】
ステップS60において、制御装置20は、補助コンベア3が格納容器14の高さに基づいて高さ合わせ済みであるか否かを判定する。ここで、ステップS60は、後述するステップS68の処理が完了したことを確認するためのステップである。高さ合わせ済みであると判定されるまで待機し、高さ合わせ済みであると判定されたら処理はステップS61に進む。
【0071】
ステップS61において、制御装置20は、ステップS21と同様に、ロボットアーム10の把持部2で把持している物品を補助コンベア3に移動させて、補助コンベア面3aに配置させる。
【0072】
ステップS62からステップS67は、上述のステップS22からステップS67と同様である。すなわち、制御装置20は、補助コンベア3上に物品があれば補助コンベア3の高さを搬送用コンベア13の高さに合わせ(ステップS62,ステップS63)、補助コンベア3を駆動させて補助コンベア面3a上の物品を搬送用コンベア13に搬送させて(ステップS64~ステップS66)、搬送用コンベア13への物品の排出完了を検出する(ステップS67)。
【0073】
ステップS68において、制御装置20は、ステップS52と同様にして、補助コンベア昇降機構4を駆動させることにより、補助コンベア3を上昇又は降下させて補助コンベア3の高さを格納容器14の高さに基づいて高さ合わせする。
【0074】
ここでも、ステップS68の完了を待って、ステップS60が行われる。すなわち、ステップS53からステップS61とステップS62からステップS68との並列処理において、補助コンベア3から搬送用コンベア13への物品排出動作の完了後(ステップS67-Yes)、補助コンベア3の高さを格納容器14の高さに基づく高さ(LRF測定位置)に合わせてから(ステップS68)、ロボットアーム10による補助コンベア3への物品の移動及び配置が行われる(ステップS61)。
【0075】
ステップS53からステップS67の処理の完了後、制御装置20は、再びステップS53及びステップS62の並列処理を繰り返す。ここでは、LRF測定位置の再度の高さ合わせは不要である。また、ステップS68で既に補助コンベア3の高さが格納容器14の高さに基づいて高さ合わせされているため、補助コンベア3の再度の高さ合わせも不要である。荷降し対象の物品群12が格納容器14に格納されている場合、補助コンベア3は、格納容器14の高さH14よりも一定距離高い高さ(LRF測定位置)と搬送用コンベア13の高さH13とを単純に往復移動することとなる。
【0076】
以上説明したように、図4及び図8に示される荷降し動作では、制御装置20は、ロボットアーム10が把持部2で把持した物品を補助コンベア3に載置する動作に応じて、補助コンベア3の高さを第2距離センサとしてのLRF6が配置された高さであるセンサ高さ(LRF測定位置)に基づいて高さ合わせするように、補助コンベア昇降機構4の動作を制御する。特に、制御装置20は、ロボットアーム10が把持部2で把持した物品を補助コンベア3に載置する前に、補助コンベア3の高さをLRF6が配置された高さにし、ロボットアーム10が把持部2で把持した物品を補助コンベア3に載置した後に、搬送用コンベア13の高さに基づいて補助コンベア3の高さを補助コンベア昇降機構4によって制御する。
【0077】
本実施形態によれば、荷降しシステム100において、ロボットアーム10と搬送用コンベア13との間に補助コンベア3を設けることで、搬送用コンベア13へ直接搬送する場合と比べてロボットアーム10の水平方向の動作経路を短くできる。また、補助コンベア3に補助コンベア昇降機構4を設けて昇降させることにより、ロボットアーム10の上下方向の動作経路も短くできる。これにより、荷降しシステム100のタクトタイムが改善される。
【0078】
ロボットアーム10の速度制御のみでタクトタイムを短縮しようとする場合、実現できるタクトタイムには限界がある。本実施形態では、ロボットアーム10から搬送用コンベア13までの動作経路(移動経路)中に補助コンベア3を設けることで、ロボットアーム10の動作経路を短縮する。ロボットアーム10が搬送用コンベア13へ物品を直接搬送する場合と比較して、水平方向及び上下方向のいずれにおいても動作経路が短縮でき、荷降しシステム100のタクトタイムを改善することができる。
【0079】
本実施形態では、荷降しシステム100には、物品群50の最も高い位置となる物品の上面の高さ又は前記物品群を格納している格納容器の高さよりも一定距離高い高さに配置されたセンサであるLRF6が設けられている。LRF6は、LRF6が配置された高さであるLRF測定位置における、ロボットアーム10が把持部2で把持した物品の有無を検出するセンサである。制御装置20が、ロボットアーム10が把持部2で把持した物品を補助コンベア3に載置する動作に応じて、補助コンベア3の高さをLRF6が配置された高さに合わせるように、補助コンベア昇降機構4の動作を制御することで、荷降しシステム100のタクトタイムを改善することができる。
【0080】
また、LRF6による物品までの距離の測定に基づいて、制御装置20による物品の引き抜き完了の判定が可能となる。物品の引き抜き完了を判定することで、ロボットアーム10が必要以上に物品を持ち上げなくて済む。つまり、LRF6を用いた物品引き抜き判定により、荷降しシステム100のタクトタイムの改善を図ることができる。
【0081】
本実施形態では、ロボットアーム10による物品の引き上げの判定に用いられる第2距離センサとしてのLRF6がLRF昇降機構7により昇降する。これにより、LRF測定位置は、随時、物品群12のうち最も高い位置にある物品の高さに基づいて高さ合わせすることが可能である。補助コンベア3の高さも随時最も高い位置にある物品の高さに基づいて高さ合わせすることができるため、ロボットアーム10の上下方向の動作経路が短縮され、荷降しシステム100のタクトタイムを改善することができる。
【0082】
なお、ロボットアーム10が物品を載置するときの補助コンベア3の高さは、物品群12のうち最も高い位置にある物品の上面の高さよりも一定距離高い高さに限らず、当該高さと搬送用コンベア13の高さとの間の任意の高さに設定してもよい。例えば、制御装置20は、ロボットアーム10が把持部2で把持した物品を補助コンベア3に載置する前に、補助コンベア3の高さを物品群12の最も高い位置となる物品の上面の高さ又は物品群12を格納している格納容器14の高さよりも一定距離高い高さと搬送用コンベア13の高さとの間の任意の高さにするように、補助コンベア昇降機構4の動作を制御する。例えば、補助コンベア3の高さを物品群12のうち最も高い位置にある物品の底面の高さに合わせれば、ロボットアーム10の上下方向の動作経路がより短縮できる。
【0083】
本実施形態では、制御装置20は、補助コンベア3上の物品を搬送用コンベア13に搬送する動作と、次の把持対象物品を決定してロボットアーム10で把持させる動作とを並行して行わせるため、時間的な無駄がない。制御装置20は、補助コンベア3上の物品が搬送用コンベア13に排出されるのを確認した後、さらに、補助コンベア3の高さが最も高い位置にある物品の上面の高さ又は格納容器14の高さよりも一定距離高い高さに合わせられたことを確認して、ロボットアーム10で物品を補助コンベア3に載置する。これにより、ロボットアーム10の動作経路は確実に短縮される。
【0084】
本実施形態では、同時に把持可能な物品が複数あった場合には、制御装置20は、ロボットアーム10に複数の物品の同時搬送を行わせる。そして、搬送用コンベア13に流す前に、補助コンベア3の搬送速度に部分的に差をつけて、補助コンベア3上で複数の物品の分離、言い換えれば物品間隔の調整を行う。これにより、ロボットアーム10の機構や動作時間を変更することなく、単位時間当たりの物品搬送数の増加が可能となる。
【0085】
例えば、ロボットアーム10の把持部2が複数の物品をリリースするタイミングに差を付けることでタクトタイムを改善する手法がある。しかしながら、そのような手法を採用すると、リリースにかかる時間の増加や把持部2の機構の複雑化などが生じうる。本実施形態によれば、リリースにかかる時間の増加や把持部2の機構の複雑化などを生じることなく、タクトタイムを改善しながら複数の物品の分離を行うことができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1…アーム機構、2…把持部、3…補助コンベア、4…補助コンベア昇降機構、5…距離センサ、6…レーザーレンジファインダ(LRF)、7…LRF昇降機構、8…第1センサ、9…第2センサ、10…ロボットアーム、11…物品、12…物品群、13…搬送用コンベア、14…格納容器、15…側壁、16…底面、20…制御装置、21…通信インタフェース、22…プロセッサ、23…メモリ、24…ストレージ、30…ネットワーク、100…荷降しシステム。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8