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特許7060618電動作業機および電動作業機に電気系統を構築する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-18
(45)【発行日】2022-04-26
(54)【発明の名称】電動作業機および電動作業機に電気系統を構築する方法
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20220419BHJP
   B25F 5/02 20060101ALI20220419BHJP
【FI】
B25F5/00 G
B25F5/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019560536
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2018046805
(87)【国際公開番号】W WO2019124444
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2017242567
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 将裕
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 晃
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-192879(JP,A)
【文献】特開2006-339088(JP,A)
【文献】特開2017-087359(JP,A)
【文献】特開2007-283447(JP,A)
【文献】国際公開第2010/067614(WO,A1)
【文献】特開2009-023069(JP,A)
【文献】特開平06-215836(JP,A)
【文献】特開2012-145487(JP,A)
【文献】特開2014-213515(JP,A)
【文献】特開2002-307330(JP,A)
【文献】特開2017-148910(JP,A)
【文献】特開2013-000862(JP,A)
【文献】特開2002-154065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F1/00-5/02
B23B35/00-49/06
B23D15/00-19/08
B23D23/00-31/04
B23D45/00-65/04
B24B3/00-3/60
B24B21/00-39/06
B25B21/00-33/00
B25C1/00-13/00
B25D1/00-17/32
B26B13/00-17/02
B27B1/00-23/00
A01D34/68
A01G3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インシュレータが設けられたモータであって、前記インシュレータは、絶縁性材料を含み一体的に成形されている、モータと、
前記モータを制御するように構成された制御回路と、
前記制御回路に接続された第1の電気回路であって、前記インシュレータの表面に一体的に設けられた第1の表面回路を含み、さらに、前記インシュレータに設けられ且つ前記第1の表面回路に接続された第1の電子部品を含む、第1の電気回路と、
を備え、
前記モータは、永久磁石型のロータを備えたブラシレスモータであり、
前記第1の電子部品は、前記ロータの回転位置に応じた信号を出力するように構成された回転位置検出素子を含む、
電動作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動作業機であって、
さらに、
前記モータ、前記制御回路及び前記第1の電気回路が収容されたハウジングであって、絶縁性材料を含み一体的に成形されており、前記電動作業機の使用者により把持されるように構成されている、ハウジングと、
前記制御回路に接続された第2の電気回路であって、前記ハウジングの内側面に一体的に設けられた第2の表面回路を含む、第2の電気回路と、
を備える電動作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の電動作業機であって、
さらに、前記第2の表面回路に接触するように配置される部品実装部材を備え、
前記第2の電気回路は、
前記部品実装部材に設けられた第2の電子部品と、
前記部品実装部材の表面に設けられた配線パターンであって、前記第2の電子部品と電気的に接続されており、前記部品実装部材が前記第2の表面回路に前記配置されることによって、前記第2の表面回路に接触して前記第2の電子部品と前記第2の表面回路とを当該配線パターンを介して電気的に接続するように構成された、配線パターンと、
を備える電動作業機。
【請求項4】
請求項3に記載の電動作業機であって、
前記ハウジングの前記内側面は、内壁を備えた凹部であって、前記内壁に前記第2の表面回路の一部が設けられた凹部を備え、
前記部品実装部材は、前記配線パターンの一部が設けられた嵌入部であって、前記凹部に嵌入されるように構成され、前記凹部に嵌入されることによって前記配線パターンの前記一部が前記第2の表面回路の前記一部に接触するように構成された、嵌入部を備える、
電動作業機。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の電動作業機であって、
前記部品実装部材は、絶縁性材料を含み一体的に成形されている、
電動作業機。
【請求項6】
請求項3~請求項5の何れか1項に記載の電動作業機であって、
前記第2の電子部品は、光を放射するように構成された発光素子を含む、電動作業機。
【請求項7】
請求項2~請求項6のいずれか1項に記載の電動作業機であって、
当該電動作業機は、さらに、
前記ハウジングにおいて前記電動作業機の外部に露出するように設けられた開口部と、
前記開口部を覆うように前記開口部に取り付けられた開口取付部材であって、前記開口部から離脱可能に取り付けられた開口取付部材と、
前記制御回路に接続された第3の電気回路であって、前記開口部の表面に一体的に設けられた第3の表面回路を含む、第3の電気回路と、
を備え、
前記第3の表面回路は、前記開口部において互いに離間して設けられた2つの導体部を備え、
前記開口取付部材は、前記開口取付部材の表面に一体的に設けられた導通部であって、前記開口取付部材が前記開口部に取り付けられることに応じて、前記2つの導体部に接続されて前記2つの導体部を当該導通部を介して電気的に接続するように構成された、導通部を備える、
電動作業機。
【請求項8】
請求項2~請求項7のいずれか1項に記載の電動作業機であって、
前記ハウジングの前記内側面は、三次元形状の領域を含み、
前記第2の表面回路の少なくとも一部は、前記三次元形状の領域に設けられている、
電動作業機。
【請求項9】
請求項2~請求項8の何れか1項に記載の電動作業機であって、
前記第2の表面回路は、特定の配線経路に沿って設けられた2本の配線を含み、
前記ハウジングの前記内側面は、前記2本の配線の間に立設され且つ前記特定の配線経路に沿って延設された突壁を備える、
電動作業機。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1項に記載の電動作業機であって、
前記インシュレータは、射出成形部材を含む、電動作業機。
【請求項11】
請求項2~請求項9の何れか1項に記載の電動作業機であって、
前記ハウジングは、射出成形部材を含む、電動作業機。
【請求項12】
電動作業機に電気系統を構築する方法であって、
制御回路を前記電動作業機に設けることであって、前記制御回路はモータを制御するように構成され、前記モータは、絶縁性材料を含み一体的に成形されたインシュレータが設けられており、前記モータは永久磁石型のロータを備えたブラシレスモータである、制御回路を前記電動作業機に設けることと、
電気回路を前記電動作業機に設けることであって、前記電気回路は、前記インシュレータの表面に一体的に設けられた表面回路を含み、前記電気回路はさらに、前記インシュレータに設けられ且つ前記表面回路に接続された電子部品を含み、前記電子部品は、前記ロータの回転位置に応じた信号を出力するように構成された回転位置検出素子を含む、電気回路を前記電動作業機に設けることと、
前記表面回路と前記制御回路とを電気的に接続することと、
を備える方法。
【請求項13】
電動作業機に電気系統を構築する方法であって、
制御回路を前記電動作業機に設けることであって、前記制御回路はモータを制御するように構成され、前記モータは、絶縁性材料を含み一体的に成形されたインシュレータが設けられており、前記モータは永久磁石型のロータを備えたブラシレスモータである、制御回路を前記電動作業機に設けることと、
電気回路を前記電動作業機に設けることであって、前記電気回路は、前記インシュレータの表面に一体的に設けられた表面回路を含み、前記表面回路は前記制御回路に接続される又は接続されており、前記電気回路はさらに、前記インシュレータに設けられ且つ前記表面回路に接続された電子部品を含み、前記電子部品は、前記ロータの回転位置に応じた信号を出力するように構成された回転位置検出素子を含む、電気回路を前記電動作業機に設けることと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2017年12月19日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2017-242567号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2017-242567号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電動作業機に関する。
【背景技術】
【0003】
下記の特許文献1に開示されている電動工具は、LEDを備え、LEDと制御部とがリード線を介して接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5117244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の電動工具においては、リード線の配線作業が煩雑になったり、リード線の配線作業に多くの時間がかかったり、電動工具の振動に起因してリード線が断線しやすくなったりする可能性がある。
【0006】
本開示の1つの局面は、電動作業機における電気回路の実装の効率化を図ることができることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの局面における電動作業機は、第1の成形部材と、モータと、制御回路と、電気回路とを備える。第1の成形部材は、絶縁性材料を含み、一体的に成形されている。制御回路は、モータを制御するように構成されている。電気回路は、制御回路に接続されている。電気回路は、第1の成形部材の表面に一体的に設けられた表面回路を含む。
【0008】
このように構成された電動作業機では、電気回路の実装に第1の成形部材が利用される。即ち、電気回路の一部(表面回路)が、第1の成形部材に一体的に設けられる。そのため、電動作業機において電気回路を効率的に実装することが可能となる。
【0009】
第1の成形部材の全体が絶縁性材料を含んでいてもよいし、第1の成形部材は、絶縁性材料と、絶縁性材料とは異なる材料とを含んでいてもよい。絶縁性材料は、絶縁性能を備えたどのような材料であってもよい。絶縁性材料は、例えば、樹脂を含んでいてもよいし樹脂を含んでいなくてもよい。その樹脂は、例えば熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。絶縁性材料は、例えば、ガラスを含んでいてもよいしガラスを含んでいなくてもよい。絶縁性材料は、例えば、ゴムを含んでいてもよいしゴムを含んでいなくてもよい。第1の成形部材は、どのような方法で成形されてもよい。第1の成形部材は、例えば、射出成形によって成形されてもよいし、低温低圧成形によって成形されてもよい。第1の成形部材の組成及び成形方法に関する上述の事項は、後述する第2の成形部材についても同様である。
【0010】
表面回路は、絶縁性材料の表面にのみ設けられていてもよい。表面回路の一部が、第1の成形部材の表面のうち絶縁性材料とは異なる領域に設けられていてもよい。
【0011】
第1の成形部材の表面は、三次元形状の領域を含んでいてもよい。表面回路の少なくとも一部は、第1の成形部材の表面における三次元形状の領域に設けられていてもよい。
【0012】
このように構成された電動作業機では、第1の成形部材の表面における三次元形状の領域を利用して表面回路が設けられる。そのため、第1の成形部材を効率的に利用して電気回路を実装することが可能となる。
【0013】
電気回路は、表面回路とは別に設けられた電子部品を備えていてもよい。電気回路は、電子部品と表面回路とを接続するリード線とを備えていてもよい。リード線は、例えば、絶縁体により被覆された導線であってもよいし、絶縁体により被覆されない導線(例えば可撓性のない棒状、板状その他の立体形状の導体)であってもよい。
【0014】
このように構成された電動作業機では、電気回路の実装の効率化を達成しつつ、電子部品の配置位置を高い自由度で決めることができる。
【0015】
電気回路は、第1の成形部材に設けられ且つ表面回路に接続された電子部品を備えていてもよい。つまり、電子部品を、リード線を用いずに第1の成形部材に直接設けてもよい。
【0016】
このように構成された電動作業機では、電気回路をより効率的に実装することが可能となる。
【0017】
電動作業機は、さらに、部品実装部材を備えていてもよい。部品実装部材は、表面回路に接触するように配置されていてもよい。電気回路は、部品実装部材に設けられた電子部品を備えていてもよい。電気回路は、接続配線部を備えていてもよい。接続配線部は、部品実装部材の表面において表面回路に接触するように設けられ、電子部品と表面回路とを接続するように構成されていてもよい。
【0018】
このように構成された電動作業機では、第1の成形部材に設けられた表面回路と、部品実装部材に設けられた接続配線部とが接触し、これにより表面回路と電子部品とが電気的に接続される。そのため、電気回路の実装の効率化を達成しつつ、電子部品を安定的に実装でき且つ電子部品の配置位置を高い自由度で決めることができる。
【0019】
第1の成形部材は、凹部を備えていてもよい。凹部は、内壁を備えていてもよい。その内壁は、表面回路の一部が設けられていてもよい。部品実装部材は、嵌入部を備えていてもよい。嵌入部は、接続配線部の一部が設けられ、凹部に嵌入されるように構成されていてもよい。
【0020】
このように構成された電動作業機では、表面回路と接続配線部とを接触させつつ、第1の成形部材に対して部品実装部材を安定的に固定することが可能となる。
【0021】
電動作業機は、さらに、絶縁性材料を含み一体的に成形された第2の成形部材を備えていてもよい。その第2の成形部材は、部品実装部材を含んでいてもよい。
【0022】
このように構成された電動作業機では、1つの電気回路が第1の成形部材と第2の成形部材とを組み合わせて設けられるため、電気回路をより効率的に実装することが可能となる。
【0023】
電子部品は、光を放射(または照射)するように構成された発光素子を含んでいてもよい。また、電子部品は、電動作業機の外部のコネクタが接続されるように構成されたコネクタを含んでいてもよい。
【0024】
このように構成された電動作業機では、発光素子を発光する電気回路、或いはコネクタを介して外部の装置との電気的接続を行う電気回路を、効率的に実装することが可能となる。
【0025】
モータは、永久磁石型のロータを備えたブラシレスモータであってもよい。この場合、第1の成形部材は、ブラシレスモータに相対的に固定された位置に配置されていてもよい。電子部品は、ロータの回転位置に応じた信号を出力するように構成された回転位置検出素子を含んでいてもよい。表面回路は、回転位置検出素子に接続された配線を含んでいてもよい。
【0026】
このように構成された電動作業機では、回転位置検出素子、及びこの回転位置検出素子に接続される配線を、第1の成形部材を利用して効率的に実装することが可能となる。
【0027】
電動作業機は、さらに、ハウジングを備えていてもよい。ハウジングは、モータ、制御回路及び電気回路が収容される。第1の成形部材は、ハウジングとは別体であり、ハウジング内に設けられていてもよい。
【0028】
このように構成された電動作業機では、ハウジング内に設けられた第1の成形部材を利用して電気回路を効率的に実装することが可能となる。
【0029】
第1の成形部材は、制御回路が収容される収容空間を備えたケース部材を含んでいてもよい。なお、第1の成形部材の全体がケース部材(換言すればケース部材の全体が第1の成形部材)であってもよい。表面回路は、ケース部材における収容空間に面する内壁に設けられていてもよい。
【0030】
このように構成された電動作業機では、制御回路と電気回路との接続を、制御回路が収容されるケース部材を利用して効率的に行うことが可能となる。
【0031】
第1の成形部材は、モータ、制御回路及び電気回路が収容されたハウジングを含んでいてもよい。なお、第1の成形部材の全体がハウジング(換言すればハウジングの全体が第1の成形部材)であってもよい。
【0032】
このように構成された電動作業機では、ハウジングの表面を利用して電気回路が実装される。そのため、ハウジング以外の別の成形部材を用いることなく、又は別の成形部材の使用量を抑えつつ、電気回路を効率的に実装することができる。
【0033】
第1の成形部材は、電動作業機の外部に露出する開口部を備えていてもよい。電動作業機は、さらに、開口部に取り付けられた開口取付部材を備えていてもよい。開口取付部材は、開口部から離脱可能に構成されていてもよい。表面回路は、開口部において互いに離間して設けられた2つの導体部を備えていてもよい。開口取付部材は、導通部を備えていてもよい。導通部は、開口取付部材が開口部に取り付けられることに応じて、2つの導体部に接続されて2つの導体部を電気的に接続するように構成されている。
【0034】
このように構成された電動作業機では、開口取付部材が開口部に取り付けられると2つの導体部が電気的に接続され、開口取付部材が開口部から外されていると2つの導体部は電気的に接続されない。そのため、例えば、制御回路において、2つの導体部が電気的に接続しているかに基づいて、開口取付部材が開口部に適正に取り付けられているか否かを容易に判断することができる。
【0035】
第1の成形部材は、モータ、制御回路及び電気回路が収容され、且つ開口部が設けられたハウジングを含んでいてもよい。開口取付部材は、開口部を覆うように構成されていてもよい。
【0036】
このように構成された電動作業機では、例えば、制御回路において、2つの導体部が電気的に接続しているかに基づいて、開口取付部材がハウジングにおける開口部に適正に取り付けられているか否かを容易に判断することができる。この場合、制御回路は、判断結果に応じた種々の制御を行うことが可能となる。
【0037】
表面回路は、特定の配線経路に沿って設けられた2本の配線を含んでいてもよい。第1の成形部材は、突壁を備えていてもよい。突壁は、2本の配線の間に立設され且つ特定の配線経路に沿って延設されている。特定の配線経路は、特定の配線方向に沿っていてもよい。
【0038】
このように構成された電動作業機では、2本の配線が短絡することが突壁によって抑制される。そのため、2本の配線の絶縁性能を高めることが可能となる。
【0039】
第1の成形部材は、射出成形部材を含んでいてもよい。射出成形部材は、流動性を有する材料を金型内に射出して金型内で硬化させることにより一体的に成形された部材である。射出成形部材は、どのような材料を含んでいてもよい。射出成形部材は、例えば、熱可塑性樹脂を含んでいてもよいし、熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。第1の成形部材の全体が射出成形部材であってもよいし、第1の成形部材の一部が射出成形部材であってもよい。例えば、第1の成形部材において、絶縁性材料の全体が射出成形部材であって、絶縁性材料以外が射出成形部材とは異なる部材であってもよい。また例えば、絶縁性材料の一部が射出成形部材であって、その絶縁性材料の一部以外は射出成形部材とは異なる部材であってもよい。なお、前述の第2の成形部材も、第1の成形部材と同様、射出成形部材を含んでいてもよい。
【0040】
本開示の他の1つの局面は、電動作業機に電気系統を構築する方法であって、
モータを制御するように構成された制御回路を前記電動作業機に設けることと、
絶縁性材料を含み一体的に成形された成形部材を前記電動作業機に設けることであって、前記成形部材の表面は表面回路を一体的に設けられている、絶縁性材料を含み一体的に成形された成形部材を前記電動作業機に設けることと、
前記表面回路と前記制御回路とを接続することと、
を備える。
【0041】
このような方法は、上述の電動作業機と同様の効果を発揮し得る。
【0042】
本開示のさらに他の1つの局面は、電動作業機に電気系統を構築する方法であって、
モータを制御するように構成された制御回路を前記電動作業機に設けることと、
絶縁性材料を含み一体的に成形された成形部材を前記電動作業機に設けることであって、前記成形部材の表面は表面回路を一体的に設けられ、前記表面回路は前記制御回路に接続される又は接続されている、絶縁性材料を含み一体的に成形された成形部材を前記電動作業機に設けることと、
を備える。
このような方法は、上述の電動作業機と同様の効果を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】実施形態の電動作業機の内部を示す側面図である。
図2】半割ハウジングの内側面における、第1表面回路が設けられている一部領域の断面図である。
図3】半割ハウジングの内側面における、第1表面回路の他の敷設例を示す断面図である。
図4】半割ハウジングの内側面における、第1表面回路のさらに他の敷設例を示す断面図である。
図5】ハウジングの後端面及びリヤカバーの前端面の構成を示す説明図である。
図6】各ホール素子とコントローラとの接続状態を示す説明図である。
図7】実施形態の電動作業機の電気回路図である。
図8】実施形態のモータ制御処理の一部を示すフローチャートである。
図9】実施形態のモータ制御処理の残りを示すフローチャートである。
図10】照明LEDの組み付け例を示す説明図である。
図11】照明LEDの他の組み付け例を示す説明図である。
図12図11のXII-XII断面図である。
図13】照明LEDの他の組み付け例を示す説明図である。
図14】コントローラケースへの電子部品の実装例を示す説明図である。
図15】電動作業機の他の例を示す電気回路図である。
【符号の説明】
【0044】
1,200…電動作業機、2,100,210…ハウジング、3…バッテリパック、3a…バッテリ、4,5…半割ハウジング、4a…内側面、6…リヤ開口、7…リヤカバー、10…モータ、10a…ロータ、11…ハンマケース、13…ハンマケースカバー、14…インシュレータ、16,17,18…ホール素子、20,120…コントローラケース、24,121…コントローラ、26…制御回路、31…第1電極、32…第2電極33…接続導体、34…第1リード線、35…第2リード線、38…第3リード線、39…第4リード線、41…照明LED、42…第1表面回路、46,47,48…突壁、49…溝部、50…樹脂配線部材、51…緑LED、52…赤LED、53…第2表面回路、54…第3表面回路、56…USBコネクタ、57…第4表面回路、71…第5表面回路、72…第6表面回路、73…第7表面回路、101…凹部、102…本体表面回路、110…LEDケース、112…嵌入部、116…ケース表面回路、120a…収容空間、131、132,133,166…表面回路、136…LED、137…スイッチ、138…電子部品、160…ハンマケースカバー、160a…内側面、161…溝部、166a…配線パターン、201,211…端子台、216…第1樹脂配線部材、217…第2樹脂配線部材、221,222…表面回路、221a,222a,421…第1配線パターン、221b,222b,422…第2配線パターン。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0046】
[1.実施形態]
(1-1)電動作業機の構成
図1に示す本実施形態の電動作業機1は、例えば充電式インパクトドライバとして構成されている。電動作業機1は、ハウジング2を備える。ハウジング2は、左右に分割された2つの半割ハウジング4,5を備える。ハウジング2は、これら半割ハウジング4,5が組み合わされて構成されている。図1には、右側の半割ハウジング5が取り外された電動作業機1が示されている。
【0047】
本実施形態の半割ハウジング4,5は、例えば、絶縁性材料が一体的に成形された成形部材(即ち一体成形品)である。半割ハウジング4,5は、より具体的には、例えば樹脂を含む絶縁性材料が射出成形された射出成形部材であってもよい。半割ハウジング4,5は、立体的に成形されている。半割ハウジング4,5は、曲面を含む、三次元の形状を備える。
【0048】
ハウジング2は、本体部21と、グリップ部22とを備える。グリップ部22は本体部21から下方へ延設されている。グリップ部22の下端、即ちハウジング2の下端には、バッテリパック3が装着される。バッテリパック3は、ハウジング2に対して着脱可能に構成されている。
【0049】
バッテリパック3には、バッテリ3aが内蔵されている。バッテリ3aの電力は、ハウジング2へ供給される。バッテリ3aは、本実施形態では、例えば繰り返し充電及び放電が可能な2次電池である。バッテリ3aは、例えばリチウムイオン2次電池であってもよい。
【0050】
なお、電動作業機1において、前方とは、図1における右方向を意味し、後方とは、図1における左方向を意味し、上方とは、図1における上方向を意味し、下方とは、図1における下方向を意味し、右方向とは、図1における紙面に垂直且つ紙面の奥から手前を向く方向であり、左方向とは、図1における紙面に垂直且つ紙面の手前から奥を向く方向である。
【0051】
ハウジング2の内部には、モータ10、ハンマケース11、コントローラケース20、樹脂配線部材50、及び各種の電気回路が収容されている。コントローラケース20は、内部に収容空間を備え、その収容空間内にコントローラ24が収容されている。コントローラ24には、バッテリ3aから電力が供給される。
【0052】
各種の電気回路は、第1の電気回路を備える。第1の電気回路は、照明LED41、及びこの照明LED41をコントローラ24に接続する回路を含む。照明LED41は、本体部21における前端側に設けられ、電動作業機1の前方へ光を放射(又は照射)する。
【0053】
各種の電気回路は、さらに、第2の電気回路を備える。第2の電気回路は、緑LED51、及びこの緑LED51をコントローラ24に接続する回路を含む。各種の電気回路は、さらに、第3の電気回路を備える。第3の電気回路は、赤LED52、及びこの赤LED52をコントローラ24に接続する回路を含む。
【0054】
緑LED51及び赤LED52は、本体部21における後端側に設けられ、電動作業機1の後方へ光を放射(又は照射)する。緑LED51は緑色の光を放射(又は照射)し、赤LED52は赤色の光を放射(又は照射)する。
【0055】
各種の電気回路は、さらに、第4の電気回路を備える。第4の電気回路は、USBコネクタ56、及びこのUSBコネクタ56をコントローラ24に接続する回路を含む。USBコネクタ56には、不図示の他のUSBコネクタが着脱される。USBコネクタ56は、電動作業機1とは別の外部の装置とUniversal Serial Bus(USB)のデータ通信規格に基づくデータ通信を行う際に用いられる。
【0056】
緑LED51、赤LED52、及びUSBコネクタ56は、樹脂配線部材50の表面に実装される。
【0057】
各種の電気回路は、さらに、第5の電気回路を備える。第5の電気回路は、3つのホール素子16,17,18、及びそのホール素子16,17,18をコントローラ24に接続する回路を含む。
【0058】
各種の電気回路は、さらに、第6の電気回路を備える。第6の電気回路は、接続導体33、第1電極31(図5参照)、第2電極32(図5参照)及びこの2つの電極31,32をコントローラ24に接続する回路を含む。
【0059】
樹脂配線部材50は、例えば、絶縁性材料が一体的に成形された成形部材(即ち一体成形品)である。樹脂配線部材50は、より具体的には、例えば樹脂を含む絶縁性材料が射出成形された射出成形部材であってもよい。樹脂配線部材50は、立体形状に一体的に成形されている。樹脂配線部材50は、曲面を含む三次元の形状を備える。樹脂配線部材50は、ハウジング2の内部において、ハウジング2とは別に設けられている。つまり、樹脂配線部材50とハウジング2とは一体的に成形されておらずそれぞれが個別に成形されている。ただし、樹脂配線部材50が例えば左側の半割ハウジング4と一体的に成形されていてもよい。
【0060】
モータ10は、例えば、ステータ及び永久磁石型のロータ10aを備えたブラシレスモータである。ステータは、U,V,W各相の電機子巻線(図7参照)を備える。
【0061】
モータ10における前端側にはインシュレータ14が設けられている。モータ10及びインシュレータ14は、いずれも、図6に示すように、略円筒形状を備える。インシュレータ14には、ロータ10aが貫通される貫通孔が設けられている。
【0062】
インシュレータ14は、モータ10に固定されている。インシュレータ14における前面には、3つのホール素子16,17,18が設けられている。なお、インシュレータ14は、例えば、絶縁性材料が一体的に成形された成形部材(即ち一体成形品)である。インシュレータ14は、より具体的には、例えば樹脂を含む絶縁性材料が射出成形された射出成形部材であってもよい。インシュレータ14は、立体形状に一体的に成形されている。
【0063】
ホール素子16,17,18は、図6に示すように、インシュレータ14の前面において、ロータ10aの回転軸を中心に電気角120度に相当する角度間隔で実装されている。ホール素子16,17,18の各々は、ロータ10aの回転位置に応じた回転検出信号を出力する。ホール素子16,17,18の各々は、図1(詳しくは図6)に示すように、コントローラ24と電気的に接続されている。
【0064】
ハンマケース11は、モータ10の前方に設けられている。ハンマケース11の前方には、チャックスリーブ12が設けられている。モータ10の回転、即ちロータ10aの回転は、ハンマケース11内の不図示の減速機構及び打撃機構を介して、チャックスリーブ12に伝達される。チャックスリーブ12には、例えばドライバビット、ソケットビット等の各種の不図示の工具ビットが装着される。
【0065】
ハンマケース11内に収容されている打撃機構は、例えば、スピンドルと、ハンマと、アンビルとを備える。スピンドルは、減速機構を介して伝達されるロータ10aの回転駆動力により回転する。ハンマは、スピンドルと共に回転し、且つ、軸方向へ移動可能である。アンビルは、ハンマの前方に設けられている。アンビルの先端にはチャックスリーブ12が取り付けられる。
【0066】
打撃機構において、モータ10の回転に応じてスピンドルが回転すると、ハンマを介してアンビルが回転し、チャックスリーブ12が回転(延いては工具ビットが回転)する。工具ビットによる作業(例えばねじ締め)が進み、アンビルへの負荷が高まると、ハンマによってアンビルに間欠的な打撃が加えられる。この打撃により、例えばねじの増し締めが可能となる。
【0067】
ハンマケース11の前方は、ハンマケースカバー13によって覆われている。即ち、ハウジング2の前方側は開口されており、その開口されている部分がハンマケースカバー13によって覆われている。ハンマケースカバー13がハウジング2から取り外されると、ハンマケース11がハウジング2の外部に露出する。ハウジング2にハンマケースカバー13が取り付けられると、ハウジング2における開口されている部分がハンマケースカバー13によって塞がれ、ハンマケース11は、ハンマケース11の前端側の一部を除いてハンマケースカバー13によって覆われる。
【0068】
グリップ部22は、電動作業機1の使用者により把持される。グリップ部22には、トリガ8が設けられている。使用者は、グリップ部22を把持しながら、トリガ8を指で引き操作することができる。トリガ8には、後述するようにトリガスイッチ8a及び操作量検出部8b(いずれも図7参照)が設けられている。
【0069】
ハウジング2は、後方へ向けて露出するリヤ開口6を備える。リヤ開口6には、このリヤ開口6を塞ぐリヤカバー7が取り付けられる。リヤカバー7は、ハウジング2に着脱可能である。リヤカバー7は、本実施形態では、例えば、絶縁性材料が一体的に成形された成形部材(即ち一体成形品)である。リヤカバー7は、より具体的には、例えば樹脂を含む絶縁性材料が射出成形された射出成形部材であってもよい。リヤカバー7は、立体形状に一体的に成形されている。
【0070】
(1-2)各種電気回路の実装態様の説明
(1-2-1)照明LED41を含む第1の電気回路
第1の電気回路は、照明LED41と、第1表面回路42とを備える。照明LED41は、主に、第1表面回路42と、照明ハーネス44とを介して、コントローラ24に接続される。照明LED41は、第1電極41aと第2電極41bとを備える。
【0071】
第1表面回路42は、第1配線パターン421と第2配線パターン422とを備える。第1配線パターン421及び第2配線パターン422は、ハウジング2の内部に設けられている。より具体的には、第1配線パターン421及び第2配線パターン422は、半割ハウジング4の内側面4aにおける、三次元形状に形成された領域を含む領域に一体的に(即ち内側面4aに密着されて)設けられている。
【0072】
第1配線パターン421及び第2配線パターン422は、特定の配線経路に沿って平行に敷設されている。具体的には、第1配線パターン421及び第2配線パターン422は、照明LED41の後方から電動作業機1の後方へ向けて敷設され、途中で下方へ屈曲されて、コントローラケース20の近傍まで敷設される。なお、第1配線パターン421と第2配線パターン422とは、平行でなくてもよい。第1表面回路42は、例えば、第1配線パターン421と第2配線パターン422とが平行に敷設されている部分と、非平行に敷設されている部分とを含んでいてもよい。また例えば、第1表面回路42は、第1配線パターン421と第2配線パターン422とが平行になる部分が全く存在しないように設けられていてもよい。
【0073】
第1配線パターン421の第1端には第1電極421aが設けられ、第1配線パターン421の第2端には第2電極421bが設けられている。第2配線パターン422の第1端には第1電極422aが設けられ、第2配線パターン422の第2端には第2電極422bが設けられている。
【0074】
照明LED41の第1電極41aは第1配線パターン421の第1電極421aに接触し、照明LED41の第2電極41bは第2配線パターン422の第1電極422aに接触する。つまり、第1電極41aと第1電極421aとは、これらが接触することによって電気的に接続する。第2電極41bと第1電極422aとは、これらが接触することによって電気的に接続する。
【0075】
ハーネス44は、2つのリード線441,442を備える。リード線441の第1端は、第1配線パターン421における第2電極421bに接続される。リード線441の第2端は、コントローラ24に接続される。リード線442の第1端は、第2配線パターン422における第2電極422bに接続される。リード線442の第2端は、コントローラ24に接続される。
【0076】
第1表面回路42は、種々の方法で半割ハウジング4の内側面4aに一体的に設けられてもよい。
【0077】
本実施形態では、半割ハウジング4は、例えばMolded Interconnect Device(MID)の一種である。MIDとは、配線、電極などの電気回路が形成された樹脂成形品のことである。MIDにおける電気回路の形成方法は種々あり、例えば、Laser Direct Structuring(LDS)工法が知られている。本実施形態の半割ハウジング4においても、例えばLDS工法を用いて第1表面回路42が内側面4aに一体的に形成されてもよい。
【0078】
第1配線パターン421と第2配線パターン422の間には、図1及び図2に示すように、突壁46が立設されている。突壁46は、半割ハウジング4の一部である。突壁46は、射出成形によって半割ハウジング4が成形される際に、半割ハウジング4と一体的に成形される。突壁46は、第1配線パターン421と第2配線パターン422との絶縁性能を高めて両者が短絡しにくくなるようにすることを主目的として設けられている。
【0079】
なお、例えば図3に示すように、第1配線パターン421における突壁46が設けられている側とは反対側にさらに突壁47が設けられていてもよい。第2配線パターン422における突壁46が設けられている側とは反対側にさらに突壁48が設けられていてもよい。図3においては、半割ハウジング4の内側面4aと突壁46,47とによって、溝状の領域が形成され、第1配線パターン421は、その溝状の領域内に敷設される。そのため、第1配線パターン421の絶縁性能が高まる。また、第1配線パターン421に対して例えば絶縁コーティングや防湿剤の塗布などがしやすくなる。同様の効果は、図3における第2配線パターン422においても得られる。
【0080】
また、例えば図4に示すように、内側面4aに溝部49が設けられてもよい。その溝部49の底面に、配線パターン421,422が設けられてもよい。この場合、図4に示すように、溝部49の底面において、配線パターン421,422の間に突壁46が設けられてもよい。なお、図2図4において、突壁46が省かれていてもよい。
【0081】
(1-2-2)樹脂配線部材50を利用して配線される第2の電気回路、第3の電気回路及び第4の電気回路
第2の電気回路は、緑LED51と、第2表面回路53とを備える。第3の電気回路は、赤LED52と、第3表面回路54とを備える。第4の電気回路は、USBコネクタ56と、第4表面回路57とを備える。図1に示すように、緑LED51、赤LED52、及びUSBコネクタ56は、樹脂配線部材50に実装される。また、樹脂配線部材50の表面には、第2表面回路53、第3表面回路54及び第4表面回路57が、樹脂配線部材50と一体的に設けられている。
【0082】
緑LED51は、主に、第2表面回路53、後部第1ハーネス60及び後部第2ハーネス63を介してコントローラ24に接続される。赤LED52は、主に、第3表面回路54、後部第1ハーネス60及び後部第2ハーネス63を介してコントローラ24に接続される。USBコネクタ56は、主に、第4表面回路57、後部第1ハーネス60及び後部第2ハーネス63を介してコントローラ24に接続される。
【0083】
樹脂配線部材50は、三次元形状の射出成形部材であり、各表面回路53,54,57も三次元状に形成される。樹脂配線部材50は、ハウジング2と同様、例えばMIDの一種である。各表面回路53,54,57は、例えばLDS工法によって樹脂配線部材50に形成されている。
【0084】
第2表面回路53は、例えば2本の第1配線パターンを含む。第1配線パターンの第1端は緑LED51に接続される。第1配線パターンの第2端は、後部第1ハーネス60に接続される。後部第1ハーネスは、複数のリード線を含む。複数のリード線のうちの2本の第1端が、第1配線パターンの第2端に接続される。
【0085】
第3表面回路54は、例えば2本の第2配線パターンを含む。第2配線パターンの第1端は赤LED52に接続される。第2配線パターンの第2端は、後部第1ハーネス60における複数のリード線のうちの他の2本の第1端に接続される。
【0086】
第4表面回路57は、例えば5本の第3配線パターンを含む。第3配線パターンの第1端はUSBコネクタ56に接続される。第3配線パターンの第2端は、後部第1ハーネス60における複数のリード線のうちのさらに他の5本の第1端に接続される。
【0087】
後部第1ハーネス60の第2端は、第1コネクタ61に接続される。第1コネクタ61は、第2コネクタ62に接続される。第2コネクタ62には、後部第2ハーネス63の第1端が接続される。後部第2ハーネス63は、例えば、後部第1ハーネス60における複数のリード線と同数のリード線を含む。後部第2ハーネス63におけるリード線の各々は、後部第1ハーネス60における対応する1つのリード線と接続される。後部第2ハーネス63の他端はコントローラ24に接続される。
【0088】
(1-2-3)リヤカバー7が適正に取り付けられているか否かを検出する機能を備える第6の電気回路
図5に示すように、第6の電気回路は、第1電極31と、第2電極32と、接続導体33とを備える。半割ハウジング4の後端面には第1電極31が設けられ、半割ハウジング5の後端面には第2電極32が設けられている。第1電極31及び第2電極32は、ハウジング2において、互いに離間して(即ち電気的に絶縁されて)設けられている。
【0089】
リヤカバー7における、半割ハウジング4,5の後端面と対向する前端面には、接続導体33が設けられている。リヤカバー7がハウジング2に適正に取り付けられると、第1電極31と第2電極32とが接続導体33に接触し、第1電極31と第2電極32とが接続導体33を介して電気的に接続する。
【0090】
第1電極31は、半割ハウジング4の後端面に半割ハウジング4と一体的に設けられている。具体的には、第1電極31は、本開示における表面回路の一例であって、例えばLDS工法によって半割ハウジング4の後端面に形成されている。
【0091】
第2電極32も、本開示における表面回路の一例であって、半割ハウジング5の後端面に、第1電極31と同様に例えばLDS工法によって形成されている。
【0092】
リヤカバー7における接続導体33も、本開示における表面回路の一例であって、リヤカバー7の前端面に、例えばLDS工法によって形成されている。
【0093】
第1電極31は、第1端が開放され、第2端は第1リード線34を介して第1コネクタ36に接続されている。第2電極32は、第1端が開放され、第2端は第2リード線35を介して第1コネクタ36に接続されている。第1コネクタ36は第2コネクタ37に接続される。第2コネクタ37には、第3リード線38及び第4リード線39が接続されている。
【0094】
第1リード線34は、各コネクタ36,37を介して第3リード線38に接続される。つまり、第1電極31は、第1リード線34、2つのコネクタ36,37及び第3リード線38を介してコントローラ24に接続される。
【0095】
第2リード線35は、各コネクタ36,37を介して第4リード線39に接続される。つまり、第2電極32は、第2リード線35、2つのコネクタ36,37及び第4リード線39を介してコントローラ24に接続される。
【0096】
なお、図5に示すように、リヤカバー7には、LED開口7a,7b及びコネクタ開口7cが設けられている。緑LED51から放射される光はLED開口7aを介して電動作業機1の外部へ放射される。赤LED52から放射される光はLED開口7bを介して電動作業機1の外部へ放射される。USBコネクタ56は、コネクタ開口7cを介して電動作業機の外部に露出している。
【0097】
(1-2-4)ホール素子16,17,18を含む第5の電気回路
図6に示すように、第5の電気回路は、ホール素子16,17,18と、第5表面回路71と、第6表面回路72と、第7表面回路73とを備える。ホール素子16,17,18は、図6に示すように、インシュレータ14の表面に実装される。インシュレータ14の表面には、第5表面回路71、第6表面回路72及び第7表面回路73が一体的に設けられている。
【0098】
インシュレータ14は、ハウジング2と同様、例えばMIDの一種であり、例えばLDS工法によって各表面回路71,72,73が形成されている。
【0099】
第5表面回路71は、インシュレータ14の表面においてホール素子16から端部まで敷設されている。第5表面回路71の第1端はホール素子16に接続され、第5表面回路71の第2端は信号用第1ハーネス76の第1端に接続されている。第5表面回路71は、少なくとも1つの配線パターンを備えている。
【0100】
第6表面回路72及び第7表面回路73も、基本的には第5表面回路71と同様に構成されており、少なくとも1つの配線パターンを備えている。
【0101】
第6表面回路72は、インシュレータ14の表面においてホール素子17から端部まで敷設されている。第6表面回路72の第1端はホール素子17に接続され、第6表面回路72の第2端は信号用第1ハーネス76の第1端に接続されている。
【0102】
第7表面回路73は、インシュレータ14の表面においてホール素子18から端部まで敷設されている。第7表面回路73の第1端はホール素子18に接続され、第7表面回路73の第2端は信号用第1ハーネス76の第1端に接続されている。
【0103】
信号用第1ハーネス76は、ホール素子16,17,18をコントローラ24に接続する複数のリード線を備える。信号用第1ハーネス76の第2端は、第1コネクタ77に接続されている。第1コネクタ77は、第2コネクタ78に接続される。第2コネクタ78には、信号用第2ハーネス79の第1端が接続される。信号用第2ハーネス79は、例えば、信号用第1ハーネス76における複数のリード線と同数のリード線を含み、各々、信号用第1ハーネス76における複数のリード線のうちの対応する1つと接続される。信号用第2ハーネス79の第2端はコントローラ24に接続される。
【0104】
(1-3)電動作業機1の電気的構成
電動作業機1の電気的構成について、図7を用いて具体的に説明する。図7に示すように、電動作業機1において、コントローラ24は、バッテリ3a、トリガ8、モータ10、ホール素子16,17,18、第1電極31、第2電極32、照明LED41、緑LED51、赤LED52及びUSBコネクタ56に接続されている。なお、バッテリ3aは、バッテリパック3がハウジング2に装着されているときにコントローラ24に接続される。
【0105】
トリガ8は、トリガスイッチ8a及び操作量検出部8bを備える。トリガスイッチ8aは、トリガ8が引き操作されているときにオンされる。トリガスイッチ8aの第1端は、抵抗器を介して電源電圧Vccの供給ラインに接続されている(つまり電源電圧Vccにプルアップされる)と共に、制御回路26及び電源回路27に接続される。トリガスイッチ8aの第2端はグランドラインに接続されている。
【0106】
操作量検出部8bは、トリガ8の引き量(換言すれば操作量)に応じた信号を出力する。操作量検出部8bは、本実施形態では、トリガ8の引き量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器を備え、可変抵抗器の抵抗値に応じた電圧値の信号を出力するように構成されている。
【0107】
第1電極31は、コントローラ24内において、抵抗器を介して電源電圧Vccの供給ラインに接続される(つまり電源電圧Vccにプルアップされる)と共に、制御回路26に接続されている。第2電極32は、コントローラ24内において、グランドラインに接続されている。
【0108】
コントローラ24は、駆動回路25、制御回路26、電源回路27、電流検出回路28、ロータ位置検出回路29、及び表示回路30を備える。
【0109】
駆動回路25は、バッテリ3aから電源供給を受けて、モータ10の各相巻線に三相電流を供給する。駆動回路25は、本実施形態では、三相フルブリッジ回路を備える。即ち、本実施形態の駆動回路25は、6つのスイッチング素子Q1~Q6を備える。なお、スイッチング素子Q1~Q6の各々は、本実施形態では例えば金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。
【0110】
駆動回路25において、スイッチング素子Q1~Q3の各々は、いわゆるハイサイドスイッチであり、モータ10の各端子U,V,Wとバッテリ3aの正極との間に接続されている。
【0111】
スイッチング素子Q4~Q6の各々は、いわゆるローサイドスイッチであり、モータ10の各端子U,V,Wとバッテリ3aの負極との間に接続されている。
【0112】
バッテリ3aの正極から駆動回路25に至る第1の電力供給経路には、バッテリ電圧の変動を抑制するためのコンデンサC1が設けられている。
【0113】
駆動回路25からバッテリ3aの負極に至る第2の電力供給経路には、スイッチング素子Q7及び抵抗器R1が設けられている。スイッチング素子Q7がオンすると第2の電力供給経路が導通し、スイッチング素子Q7がオフすると第2の電力供給経路が遮断する。電流検出回路28は、抵抗器R1の両端間の電圧を、電流検出信号として制御回路26に出力する。
【0114】
ロータ位置検出回路29は、ホール素子16,17,18からの信号に基づき、モータ10の回転位置を検出する。ロータ位置検出回路29は、検出した回転位置に応じた信号を制御回路26に出力する。
【0115】
表示回路30は、制御回路26からの指令に従い、照明LED41、緑LED51及び赤LED52を点灯、点滅又は消灯する。
【0116】
電源回路27は、コントローラ24内の各部に電源供給を行う。具体的には、電源回路27は、バッテリ3aから入力される電力から、一定電圧値の電源電圧Vccを生成する。電源回路27により生成された電源電圧Vccは、制御回路26及び表示回路30を含む、コントローラ24内の各部に供給される。
【0117】
コントローラは、基板24aを備える。駆動回路25、制御回路26、電源回路27、電流検出回路28、ロータ位置検出回路29、及び表示回路30は、基板24aに実装されている。基板24aは、例えば、紙フェノール基板である。基板24aは、紙フェノール基板とは異なっていてもよい。基板24aは、例えば、ガラスエポキシ基板であってもよい。基板24aは、可撓性がなく容易に曲がらないリジッド基板であってもよいし、可撓性があるフレキシブル基板であってもよい。
【0118】
制御回路26は、不図示のCPU、記憶部などを含むマイクロコンピュータを備えている。記憶部には、RAM、ROM、データを書き換え可能な不揮発性メモリなどの、各種半導体メモリが含まれる。記憶部には、CPUが各種機能を達成するために読み込み、実行する各種プログラムやデータが記憶されている。記憶部に記憶されているプログラムには、後述する図8図9のモータ制御処理のプログラムが含まれる。
【0119】
これら各種機能の一部又は全部は、ソフトウェアに代えて、あるいはソフトウェアに加えて、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアによって制御回路26に実装されてもよい。また、制御回路26がマイクロコンピュータを備えていることは一例であり、制御回路26は、当該制御回路26の機能を実装可能な他の種々の構成を採り得る。
【0120】
制御回路26は、CPUにより各種プログラムが実行されることにより、SW入力部26a、速度指令部26b、表示制御部26c、演算部26d、モータ駆動制御部26e、として機能する。
【0121】
SW入力部26aは、トリガスイッチ8aがオン及びオフのいずれにされているかを検出して、検出結果を演算部26dへ出力する。
【0122】
速度指令部26bは、操作量検出部8bからの入力信号に基づいてトリガ8の操作量を検出し、検出した操作量をモータ駆動時の速度指令として演算部26dに出力する。
【0123】
表示制御部26cは、演算部26dからの指令に従い、表示回路30を介して各種LED41,51,52を点灯、点滅又は消灯する。
【0124】
演算部26dは、ロータ位置検出回路29からの検出信号に基づき、モータ10の回転速度を演算する。そして、演算した回転速度と、速度指令部26bから入力される速度指令(換言すればトリガ8の操作量)とに基づき、PWM信号を生成する。
【0125】
また、演算部26dは、電流検出回路28からの検出信号に基づき、モータ10に流れる電流を監視し、モータ10に過電流が流れたときには、モータ10の回転を停止又は低減するようにモータ駆動制御部26eに指令する。
【0126】
モータ駆動制御部26eは、演算部26dにて生成されたPWM信号に従い、駆動回路25におけるスイッチング素子Q1~Q6を個別にオン又はオフすることで、モータ10の各相巻線に電流を流し、モータ10を回転する。
【0127】
また、制御回路26は、USBコネクタ56を介したデータ通信を制御する。
【0128】
(1-4)モータ制御処理
次に、制御回路26が実行(詳しくはCPUが実行、換言すれば演算部26dが実行)するモータ制御処理について、図8及び図9を用いて説明する。制御回路26は、起動すると、モータ制御処理を実行する。制御回路26は、モータ制御処理を開始すると、S110で、トリガスイッチ8aがオン又はオフのいずれにされているか判断する。
【0129】
トリガスイッチ8aがオンされている場合は、S120で、キャンセルフラグをオンに設定する。
【0130】
S130では、リヤカバー7の装着を検出しているか否か判断する。具体的には、制御回路26に入力される第1電極31の電圧に基づき、第1電極31と第2電極32とが電気的に接続しているか否かを判断する。
【0131】
第1電極31と第2電極32とが電気的に接続していることに応じてリヤカバー7の装着を検出した場合は、S140で、緑LED51を点灯する。第1電極31と第2電極32とが電気的に接続していないことに応じてリヤカバー7の装着を検出しなかった場合は、S150で、赤LED52を点灯する。
【0132】
S160では、トリガスイッチ8aがオン又はオフのいずれにされているか判断する。トリガスイッチ8aがオンされている場合はS130に移行する。トリガスイッチ8aがオフされている場合は、S180に移行する。
【0133】
S110で、トリガスイッチ8aがオフされている場合は、S170で、キャンセルフラグをオフに設定し、S180に移行する。
【0134】
S180では、緑LED51及び赤LED52を消灯する。
【0135】
S190では、トリガスイッチ8aがオン又はオフのいずれにされているか判断する。トリガスイッチ8aがオフされている場合は、S190の判断を繰り返す。トリガスイッチ8aがオンされている場合は、S200に移行する。
【0136】
S200では、S130と同様、リヤカバー7の装着を検出しているか否か判断する。リヤカバー7の装着を検出した場合は、S210で、モータ10を通常駆動する。即ち、前述の通り、トリガ8の操作量と回転速度とに基づくPWM信号を生成してモータ10を回転する。
【0137】
S220では、アラームを消灯する。アラームは、例えば、緑LED51と赤LED52とを用いて達成してもよい。即ち、アラームを消灯するとは、例えば、緑LED51及び赤LED52を共に消灯すること、であってもよい。また、アラームを点滅するとは、例えば、緑LED51及び赤LED52を共に点滅すること、であってもよい。また、アラームを点灯するとは、例えば、緑LED51及び赤LED52を共に点灯すること、であってもよい。或いは、上記とは異なるアラームを別途設けてもよい。
【0138】
S200で、リヤカバー7の装着を検出しない場合は、S230に移行する。S230では、キャンセルフラグがオンに設定されているか否か判断する。キャンセルフラグがオンに設定されている場合は、S240で、モータを低速駆動する。即ち、通常駆動よりも低い速度でモータ10を回転する。なお、S240では、モータ10を停止してもよい。S250では、アラームを点滅する。
【0139】
S230で、キャンセルフラグがオフされている場合は、S260で、モータ10を停止する。S270では、アラームを点灯する。
【0140】
S280では、バッテリパック3からオートストップ信号が入力されたか否か判断する。バッテリパック3は、例えば過放電、過熱などの、バッテリ3aからの放電を停止すべき特定の条件が成立した場合に、コントローラ24へオートストップ信号を出力するように構成されている。
【0141】
S280で、オートストップ信号が入力された場合は、S320で、モータ10を停止する。S330では、アラームを点灯する。
【0142】
S340では、トリガスイッチ8aがオン又はオフのいずれにされているか判断する。トリガスイッチ8aがオンされている場合は、S340の判断を繰り返す。トリガスイッチ8aがオフされている場合は、S300に移行する。
【0143】
S280で、オートストップ信号が入力されていない場合は、S290でトリガスイッチ8aがオン又はオフのいずれにされているか判断する。トリガスイッチ8aがオンされている場合はS200に戻る。トリガスイッチ8aがオフされている場合は、S300に移行する。
【0144】
S300では、モータ10を停止する。S310では、アラームを消灯する。S310の処理後は、S190に移行する。
【0145】
(1-5)実施形態の効果
以上説明した実施形態によれば、以下の(1a)~(1g)の効果を奏する。
【0146】
(1a)本実施形態の電動作業機1では、コントローラ24に接続される各種の電気回路(第1の電気回路~第6の電気回路)の各々が、射出成形部材に設けられた配線パターンを利用して実装される。即ち、各種の電気回路の各々の一部が、射出成形部材に一体的に設けられる。そのため、電動作業機1において各種の電気回路を効率的に実装することが可能となる。
【0147】
より具体的には、各種の電気回路のうち、少なくとも射出成形部材に設けられている部分については、リード線を敷設する作業が不要になるため、その分、各種の電気回路の実装作業が容易になる。そのため、各種の電気回路を実装するために必要な時間を短縮することが可能となる。
【0148】
(1b)特に、照明LED41を含む第1の電気回路においては、第1表面回路42が、三次元形状の半割ハウジング4における内側面4aに設けられる。つまり、電動作業機1が元々備えている部材の表面を利用して配線パターンが敷設される。そのため、ハウジング2の内部空間の利用効率がより高められている。
【0149】
また、照明LED41を含む第1の電気回路においては、半割ハウジング4の内側面4aに設けられる2本の配線パターン421,422の間に、突壁46が設けられる。そのため、配線パターン421,422の短絡が抑制される。
【0150】
(1c)緑LED51を含む第2の電気回路、赤LED52を含む第3の電気回路、及びUSBコネクタ56を含む第4の電気回路においては、樹脂配線部材50を利用して配線が敷設される。具体的には、樹脂配線部材50に、第1配線パターン、第2配線パターン及び第3配線パターンが形成される。さらに、緑LED51、赤LED52及びUSBコネクタ56のいずれも、樹脂配線部材50に実装される。そのため、電子部品を含む電気回路の実装効率がより高められている。
【0151】
(1d)リヤカバー7が適正に取り付けられているか否かを検出する機能を備える第6の電気回路においては、第1電極31、第2電極32、及びこれら第1電極31と第2電極32とを電気的に接続する接続導体33が、いずれも、射出成形部材の表面に設けられる。そのため、ハウジング2の内部空間の利用効率を高めつつ、リヤカバー7の取り付けを適切に検出することができる。
【0152】
(1e)ホール素子16,17,18を含む第5の電気回路においては、ホール素子16,17,18がインシュレータ14に実装される。さらに、ホール素子16,17,18とコントローラ24とを接続する配線の一部も、インシュレータ14の表面に設けられる。ホール素子16,17,18は、一般に、インシュレータ14とは別の回路基板に実装されるが、本実施形態によれば、回路基板が不要になる分、電気回路の実装効率が高められている。
【0153】
(1f)また、電動作業機1の組み立て作業においては、ハウジング2の内部へ各種部品、配線等が組み付けられた後、半割ハウジング4,5が組み合わされ、これら両者がネジにより固定される。その半割ハウジング4,5を組み合わせる作業において、仮に、ハウジング2の内部にリード線が多く用いられていると、半割ハウジング4,5の間にリード線が挟まる可能性が高くなる。半割ハウジング4,5の間にリード線が挟まると、そのリード線をハウジング2の内部に押し込むなどしてリード線が挟まらないようにする作業が必要となり、作業効率が低下する。
【0154】
これに対し、本実施形態の電動作業機1では、各種の電気回路のうち少なくとも射出成形部材に設けられる部分についてはリード線が不要となるため、その不要となる分、リード線の使用量が削減される。そのため、半割ハウジング4,5を組み合わせる作業時に半割ハウジング4,5の間にリード線が挟まる可能性を低減でき、組み合わせ作業を効率的に行うことが可能となる。
【0155】
(1g)また、リード線の使用量が削減されるため、各種の電気回路とコントローラ24とを接続する配線が断線する可能性が低減される。即ち、リード線による配線では、電動作業機1が振動すると、その振動に起因して、例えば、ハウジング2の内部でリード線が揺れたり、リード線がハウジング2の内壁に当たったり、複数のリード線同士がぶつかり合ったりする可能性がある。そのため、電動作業機1の振動に起因してリード線が断線する可能性がある。
【0156】
これに対し、本実施形態の電動作業機1では、各種の電気回路のうち少なくとも射出成形部材に設けられている配線パターンについては、振動に起因する断線の可能性が低減される。
【0157】
特に、図2に示したように、隣接する2つの配線パターンの間に突壁を設けたり、図3に示すように各配線パターンの間だけでなく各配線パターンの外側にも突壁を設けたり、図4に示すように射出成形部材の表面に溝部を設けてその溝部内に配線パターンを設けたりすることで、配線パターンが他の部品や他の配線等に触れることが抑制されるため、配線パターンの断線をより抑制できる。
【0158】
なお、コントローラ24は本開示における制御回路の一例に相当する。ホール素子16,17,18は本開示の回転位置検出素子の一例に相当する。第5表面回路71、第6表面回路72及び第7表面回路73は、本開示の、回転位置検出素子に接続された配線の一例に相当する。第1電極31及び第2電極32は本開示の導体部の一例に相当する。リヤカバー7は本開示の開口取付部材の一例に相当する。接続導体33は本開示の導通部の一例に相当する。照明LED41、緑LED51、赤LED52、USBコネクタ56、ホール素子16,17,18は、本開示の電子部品の一例に相当する。
【0159】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0160】
(2-1)上記実施形態では、1つの電気回路が1つの射出成形部材を利用して設けられる例を示したが、1つの電気回路が複数の成形部材を利用して設けられてもよい。
【0161】
図10に、照明LED41が複数(例えば2つ)の成形部材を利用してコントローラに接続される例を示す。図10に示す例では、照明LED41がLEDケース110に実装される。LEDケース110は、成形部材(例えば射出成形部材)であり、照明LED41が実装される実装面111と、嵌入部112とを備える。LEDケース110は、立体形状に一体的に成形されている。
【0162】
LEDケース110の表面における、実装面111から嵌入部112の先端にかけて、ケース表面回路116が一体的に形成されている。ケース表面回路116は、例えば、照明LED41の2つの端子に接続される2本の第4配線パターンを備えている。ケース表面回路116は、例えばLDS工法によって形成してもよい。
【0163】
一方、ハウジング100の内面には、凹部101が設けられている。ハウジング100は射出成形部材(例えば射出成形部材)であり、本開示の第1の成形部材の一例に相当する。ハウジング100は、立体形状に一体的に成形されている。凹部101の内壁を含む、ハウジング100の内面には、本体表面回路102が一体的に形成されている。本体表面回路102は、例えば2本の第5配線パターンを備える。第5配線パターンの各々は、コントローラ24に接続されている。本体表面回路102は、例えばLDS工法によって形成されてもよい。
【0164】
LEDケース110は、ハウジング100に取り付けられる。具体的には、LEDケース110における嵌入部112が、ハウジング100における凹部101に嵌入されることにより、LEDケース110がハウジング100に固定される。
【0165】
嵌入部112が凹部101に嵌入されると、ケース表面回路116と本体表面回路102とが接触し、電気的に接続される。本例の場合、例えば、ケース表面回路116における第4配線パターンの各々が、本体表面回路102における第5配線パターンの各々と接続される。
【0166】
これにより、照明LED41がLEDケース110と共にハウジング100に固定されると共に、照明LED41が、ケース表面回路116及び本体表面回路102を介してコントローラ24に接続される。そのため、第1の電気回路の実装の効率化を達成しつつ、第1の電気回路における電子部品を電動作業機1に安定的に実装でき、且つ電動作業機1における電子部品の配置位置を高い自由度で決めることができる。
【0167】
なお、LEDケース110は本開示における第2の成形部材及び部品実装部材の一例に相当し、ケース表面回路116は本開示における接続配線部の一例に相当する。
【0168】
LEDケース110は、射出成形部材ではなくてもよい。即ち、LEDケース110は、射出成形とは異なる方法で成形されてもよい。逆に、LEDケース110は射出成形部材であって、ハウジング100は射出成形部材とは別の成形部材であってもよい。つまり、1つの電気回路が、射出成形部材と、射出成形部材とは異なる方法で成形された成形部材とを利用して実装されてもよい。
【0169】
(2-2)照明LED41は、どこに設けられてもよい。例えば、図11及び図12に示すように、照明LED41はハンマケースカバー160の内側面に設けられてもよい。ハンマケースカバー160は、成形部材である。ハンマケースカバー160は、例えば射出成形部材であってもよい。図11は、電動作業機における上下方向に垂直な面の断面の一部を示している。
【0170】
図11に示すハンマケースカバー160においては、ハンマケースカバー160の内側面160aにおける前端に照明LED41が実装されている。また、内側面160aには、照明LED41が実装される部位から後方へ表面回路166が一体的に設けられている。表面回路166は、照明LED41に接続される2本の配線パターン166a,166bを備える。
【0171】
図11及び図12に示すように、内側面160aには、照明LED41が実装される部位の近傍から後端にかけて、溝部161が設けられている。表面回路166は、この溝部161の内部を経て後端まで設けられている。表面回路166は、ハンマケースカバー160に対し、例えばLDS工法にて形成されてもよい。
【0172】
内側面160aとハンマケース11との隙間は狭く、この隙間にリード線を通すことは容易ではない。これに対し、図11及び図12に示すように、表面回路166によって配線を行うことで、照明LED41をハンマケースカバー160の前端側に設けることが可能となる。
【0173】
また、ハンマケースカバー160に溝部161が設けられ、この溝部161の中に表面回路166が設けられている。そのため、溝部161内において、表面回路166に対する絶縁コーティング、防湿剤の塗布などを容易且つ適切に行うことができる。
【0174】
(2-3)電子部品は、成形部材に実装されなくてもよい。例えば、図13に示すように、緑LED51が、樹脂配線部材50に実装されず、樹脂配線部材50から離れた位置に設けられてもよい。この場合、緑LED51と第2表面回路53とが、ハーネス140を用いて接続されてもよい。ハーネス140は、例えば2本のリード線を備えていてもよい。
【0175】
このように、成形部材に設けられた表面回路と、リード線とを併用することで、電気回路の実装の効率化を達成しつつ、電子部品の配置位置を高い自由度で決めることができる。
【0176】
(2-4)コントローラケースが成形部材である場合、コントローラケースの表面に例えばLDS工法によって配線パターンなどの電気回路の一部を設けてもよい。
【0177】
図14に示すコントローラケース120は、成形部材(例えば射出成形部材)である。コントローラケース120は、立体形状に一体的に成形されている。コントローラケース120の内部には収容空間120aが設けられている。収容空間120aにはコントローラ121が収容されている。コントローラ121は、基板121aを備える。コントローラ121の一部又は全体は、図7に示したコントローラ24と同様に構成されていてもよい。
【0178】
コントローラケース120における、収容空間120aに面する内壁には、例えば3つの表面回路131,132,133が一体的に設けられている。また、内壁には、例えば1つの電子部品138が実装されている。電子部品138は、表面回路133に接続される。
【0179】
コントローラケース120における外側の側面には、例えば、LED136及びスイッチ137が実装されている。表面回路131は、内壁を貫通してLED136に接続されるように設けられている。表面回路132は、内壁を貫通してスイッチ137に接続されるように設けられている。
【0180】
また、コントローラ121には、例えば3つの金属端子126,127,128が突設されている。金属端子126の先端は表面回路131に接触し、金属端子127の先端は表面回路132に接触し、金属端子128の先端は表面回路133に接触する。
【0181】
このような構成により、LED136は、表面回路131及び金属端子126を介してコントローラ121に接続される。スイッチ137は、表面回路132及び金属端子127を介してコントローラ121に接続される。電子部品138は、表面回路133及び金属端子128を介してコントローラ121に接続される。各表面回路131,132,133は、例えば複数の配線パターンを備える。
【0182】
(2-5)本開示の電気回路は、制御回路から電力が供給されて動作する電気回路、或いは制御回路から動作が制御される電気回路、などとは異なっていてもよい。即ち、電気回路は、制御回路と電気的に接続されているものの制御回路とは独立して動作するように構成されていてもよい。制御回路と独立して動作する電気回路を備えた電動作業機の一例を、図15に示す。
【0183】
図15に示す電動作業機200は、ハウジング210と、バッテリパック3とを備える。バッテリパック3は、図1に示したバッテリパック3と同じであり、バッテリ3aを備える。また、バッテリパック3は、端子台201を備える。端子台201には、正極端子201aと負極端子201bとが設けられている。正極端子201aはバッテリ3aの正極に接続され、負極端子201bはバッテリ3aの負極に接続される。
【0184】
ハウジング210は、基本的には、図1に示したハウジング2と同様に構成されている。ハウジング210の内部には、モータ10、コントローラ24、及び照明LED41を含む各種の部品、配線等が設けられている。
【0185】
また、ハウジング210には、端子台211が設けられている。端子台211には、正極端子211aと負極端子211bとが設けられている。正極端子211a及び負極端子211bは、コントローラ24に接続されている。
【0186】
ハウジング210にバッテリパック3が装着されると、バッテリパック3における正極端子201aがハウジング210における正極端子211aと接続され、バッテリパック3における負極端子201bがハウジング210における負極端子211bと接続される。これにより、バッテリ3aの電力がコントローラ24に供給される。
【0187】
ハウジング210には、さらに、LED駆動部213と、第1樹脂配線部材216と、第2樹脂配線部材217とが設けられている。第1樹脂配線部材216及び第2樹脂配線部材217は、いずれも樹脂成形部材(例えば射出成形部材)である。
【0188】
LED駆動部213は、照明LED41と電気的に接続されている。LED駆動部213は、さらに、正極端子211a及び負極端子211bと電気的に接続されている。LED駆動部213は、照明LED41を駆動する。
【0189】
正極端子211a及び負極端子211bとLED駆動部213との間には、LED駆動部213にバッテリ3aの電力を供給するための電気回路が敷設される。この電気回路には、表面回路221が含まれる。表面回路221は、例えばLDS工法にて第1樹脂配線部材216の表面に一体的に設けられている。この表面回路221は、第1配線パターン221aと第2配線パターン221bとを備える。第1配線パターン221aは正極端子211aに接続され、第2配線パターン221bは負極端子211bに接続される。
【0190】
LED駆動部213は、バッテリ3aから供給される電力によって、照明LED41を駆動する。LED駆動部213と照明LED41との間には、LED駆動部213から照明LED41へ電力を供給するための電気回路が敷設される。この電気回路には、表面回路222が含まれる。表面回路222は、例えばLDS工法にて第2樹脂配線部材217の表面に一体的に設けられている。この表面回路222は、第1配線パターン222aと第2配線パターン222bとを備える。
【0191】
照明LED41は、第2樹脂配線部材217に直接実装されていてもよいし、第2樹脂配線部材217とは別に設けられて表面回路222と例えばリード線によって接続されていてもよい。
【0192】
なお、第1樹脂配線部材216及び第2樹脂配線部材217のうち少なくとも一方は、ハウジング210であってもよい。つまり、表面回路221,222のうち少なくとも一方はハウジング210の内側面に設けられていてもよい。
【0193】
表面回路221と端子台211との電気的接続は、どこで行われてもよい。例えば、表面回路221と端子台211とがリード線で接続されてもよい。また例えば、コントローラ24に設けられている、バッテリ電力が供給される不図示の端子と、表面回路221とが、例えばリード線で接続されてもよい。また例えば、端子台211とコントローラ24とを接続する配線における任意の位置から表面回路221までの間を、例えばリード線で配線してもよい。
【0194】
LED駆動部213は、第1樹脂配線部材216又は第2樹脂配線部材217の表面に実装されてもよい。第1樹脂配線部材216、LED駆動部213及び第2樹脂配線部材217が、同じ1つの樹脂成形部材に設けられていてもよい。
【0195】
第1樹脂配線部材216及び第2樹脂配線部材217のうちいずれか一方が備えられていなくてもよい。例えば、第1樹脂配線部材216を備えるものの、LED駆動部213と照明LED41とは表面回路222を用いずに例えばリード線によって接続されてもよい。
【0196】
図15に示した、照明LED41及びLED駆動部213を含む電気回路に限らず、コントローラ24に電気的に接続されているもののコントローラ24から独立して動作する他の電気回路が備えられている場合は、その電気回路に対しても本開示を適用可能である。
【0197】
(2-6)電気回路には、上記実施形態で示した電子部品(LED、コネクタ、ホール素子など)以外の電子部品が含まれていてもよい。電子部品は、例えば、トランジスタ、ダイオードなどの各種の能動素子であってもよい。また、電子部品は、例えば、抵抗器、コンデンサ、コイルなどの各種の受動素子であってもよい。また、電子部品は、例えば、LED以外の照明デバイス、USBコネクタ以外のコネクタ、表示デバイス、スイッチ、ヒューズ、電線、回路基板、集積回路、アンテナなどの各種の部品であってもよい。
【0198】
(2-7)図5を参照して説明した、リヤカバー7の取り付けを表面回路を利用して検出する方法は、リヤカバー7以外の部材の取り付けを検出する際にも利用できる。例えば、集塵機において、集塵口に集塵ホースが装着されているか否かを、上記実施形態のリヤカバー7の検出方法と同じ方法で検出してもよい。
【0199】
(2-8)モータは、ブラシレスモータ以外のモータであってもよい。モータは、例えば、ブラシ付き直流モータであってもよい。そして、ブラシレスモータ以外のモータを採用する場合は、駆動回路についても、そのモータを適切に駆動可能に構成された駆動回路を用いてもよい。
【0200】
(2-9)上記実施形態における、ハウジング2、樹脂配線部材50、インシュレータ14及びリヤカバー7、図10におけるLEDケース110及びハウジング100、図11におけるハンマケースカバー160、図14におけるコントローラケース120、図15におけるハウジング210、第1樹脂配線部材216及び第2樹脂配線部材217、のうちの少なくとも1つ(以下、「表面配線基材」と称する)は、前述の通り射出成形部材であってもよいし、射出成形部材とは異なる成形部材、即ち射出成形とは異なる方法(例えばブロー成形、押出成形、圧縮成形、低温低圧成形など)で成形された成形部材であってもよい。表面配線基材は、一体成形品ではなくてもよい。
【0201】
表面配線基材は、どのような絶縁性材料を含んでいてもよい。表面配線基材は、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂などの樹脂を含んでいてもよい。表面配線基材は、樹脂とは異なる絶縁性材料(例えばガラス、ゴムなど)を含んでいてもよい。表面配線基材は、樹脂とは異なる絶縁性材料と樹脂とが混在した成形部材であってもよい。
【0202】
表面配線基材の全体が絶縁性材料であってもよいし、表面配線基材は、絶縁性材料と、絶縁性材料とは異なる材料とを含んでいてもよい。表面配線基材は、射出成形などの成形方法によって一体成形された部分と、一体成形とは異なる方法で作製された部分とが混在していてもよい。例えば、表面配線基材が、絶縁性材料と、絶縁性材料とは異なる材料とを備えている場合、絶縁性材料の全体が例えば射出成形により一体成形され、絶縁性材料以外の材料が一体成形とは異なる方法で作製されてもよい。
【0203】
(2-10)上記各実施形態では、電動作業機の一例として充電式インパクトドライバを示したが、本開示は、モータ及びこれを制御する制御回路を備えた各種の電動作業機に対して適用できる。より具体的には、本開示は、電動ハンマ、電動ハンマドリル、電動ドリル、電動ドライバ、電動レンチ、電動グラインダ、電動レシプロソー、電動ジグソー、電動カッター、電動チェンソー、電動カンナ、電動釘打ち機(鋲打ち機を含む)、電動ヘッジトリマ、電動芝刈り機、電動芝生バリカン、電動刈払機、電動クリーナ、電動ブロア、等の電動作業機に適用することができる。
【0204】
(2-11)上記実施形態における1つの構成要素によって達成される複数の機能を、複数の構成要素によって達成したり、1つの構成要素によって達成される1つの機能を、複数の構成要素によって達成したりしてもよい。また、複数の構成要素によって達成される複数の機能を、1つの構成要素によって達成したり、複数の構成要素によって達成される1つの機能を、1つの構成要素によって達成したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態のうちの何れか1つに備えられた構成要素の少なくとも一部を、他の1つの実施形態に対して付加又は置換してもよい。
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