(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20220421BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220421BHJP
【FI】
A61B1/045 610
G02B23/24 B
(21)【出願番号】P 2017153846
(22)【出願日】2017-08-09
【審査請求日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】P 2017063384
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】平野 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】光永 修
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-070938(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103879(WO,A1)
【文献】特開平04-096726(JP,A)
【文献】特開2011-024628(JP,A)
【文献】特開2008-086665(JP,A)
【文献】特開2008-132321(JP,A)
【文献】特開2010-051399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 - 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、
検査状況を判定する検査状況判定部と、
前記操作部において前記画像の記録の指示がされたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する制御を行うものであって、前記検査状況判定部により判定された前記検査状況に基づいて、前記第2の記憶部に記録する制御を行う制御部と、を有し、
前記検査状況判定部は、表示部に表示される画像が、ライブ画像であるか否かを判定するライブ画像判定部であり、
前記検査状況は、前記表示部に表示される画像が前記ライブ画像であるか否かの状態を示し、
前記制御部は、前記ライブ画像判定部により前記表示部に表示される画像が前記ライブ画像であると判定されたときに、前記撮像部により取得された前記第2の画像を前記第2の記憶部に記録することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、
検査状況を判定する検査状況判定部と、
前記操作部において前記画像の記録の指示がされたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する制御を行うものであって、前記検査状況判定部により判定された前記検査状況に基づいて、前記第2の記憶部に記録する制御を行う制御部と、を有し、
前記検査状況判定部は、前記撮像部により取得された前記画像の
輝度値の変化量を算出する画像変化量算出部であり、
前記検査状況は、前記画像の前記
輝度値の変化量
から判定した画像の変化量に基づく前記撮像部の動き量又は前記撮像部の速度を示し、
前記制御部は、前記画像変化量算出部により前記画像の前記
輝度値の変化量が
第1の閾値以上であり該第1の閾値よりも大きい第2の閾値以下の所定範囲内であると判定されたときに、前記撮像部によって取得された前記第2の画像を前記第2の記憶部に記録することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、
検査状況を判定する検査状況判定部と、
前記操作部において前記画像の記録の指示がされたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する制御を行うものであって、前記検査状況判定部により判定された前記検査状況に基づいて、前記第2の記憶部に記録する制御を行う制御部と、を有し、
前記検査状況判定部は、ユーザによる画像記録の手動指示の有無を判定する記録指示有無判定部であり、
前記検査状況は、前記ユーザによる前記画像記録の手動指示があるか否かの状態を示し、
前記制御部は、前記記録指示有無判定部により前記ユーザによる前記画像記録の手動指示があると判定されたときに、前記撮像部によって取得された前記第2の画像の前記第2の記憶部への記録を停止することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
前記撮像部によって取得された前記画像を表示する表示部
を更に有し、
前記制御部は、前記第2の画像を前記第2の記憶部に記録しているときに、前記第2の画像が前記第2の記憶部に記録されていることをユーザに告知するための第1のマーク若しくは第1の文字の表示を、前記表示部に行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記制御部は、動画である前記第1の画像を前記第1の記憶部に記録しているときに、前記第1の画像が前記第1の記憶部に記録されていることを前記ユーザに告知するための第2のマーク若しくは第2の文字の表示を、前記表示部に行うことを特徴とする請求項4に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部の少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部の少なくとも1つは、ネットワークにより接続されたサーバに設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の内視鏡装置。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1つに記載の内視鏡装置と、
前記内視鏡装置と、ネットワークを介して接続されたサーバと、を含み、
前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部の少なくとも1つは、前記サーバに設けられていることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項9】
撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、制御部とを有する内視鏡装置の作動方法であって、
前記制御部が、前記撮像部により取得された画像の記録が前記操作部において指示されたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、
前記検査状況判定部が、前記検査状況として、表示部に表示される画像がライブ画像であるか否かの状況を判定し、
前記制御部が、前記検査状況判定部により前記表示部に表示される画像が前記ライブ画像であると判定されたときに、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する
ことを特徴とする内視鏡装置の作動方法。
【請求項10】
撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、制御部とを有する内視鏡装置の作動方法であって、
前記制御部が、前記撮像部により取得された画像の記録が前記操作部において指示されたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、
前記検査状況判定部が、前記検査状況として
前記撮像部の動き量又は前記撮像部の速度を示す画像の変化量を判定するものであって、前記撮像部により取得された前記画像の
輝度値の変化量が
第1の閾値以上であり該第1の閾値よりも大きい第2の閾値以下の所定範囲内であるか否かの状況を判定し、
前記制御部が、前記検査状況判定部により前記画像の前記
輝度値の変化量が前記所定範囲内であると判定されたときに、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する
ことを特徴とする内視鏡装置の作動方法。
【請求項11】
撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、制御部とを有する内視鏡装置の作動方法であって、
前記制御部が、前記撮像部により取得された画像の記録が前記操作部において指示されたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、
前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する制御を行い、
前記検査状況判定部は、前記検査状況として、前記内視鏡装置のユーザによる画像記録の手動指示があるか否かの状況を判定し、
前記制御部は、前記検査状況判定部により前記ユーザによる前記画像記録の手動指示があると判定されたときに
、前記撮像部により取得された
前記第2の画像の
前記第2の記憶部への記録を停止する
、
ことを特徴とする内視鏡装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置は、工業分野及び医療分野で広く用いられている。内視鏡検査は、検査者が内視鏡の挿入部を検査対象内に挿入し、挿入部の先端部に設けられた観察窓から検査対象内の画像を取得し、内視鏡画像を表示装置に表示させることにより行われる。
【0003】
さらに、内視鏡装置のユーザである検査者は、検査中に、フリーズボタン、録画ボタンなどの操作指示部材を操作することにより、内視鏡画像を記憶装置に記録することができる。内視鏡画像の記録は、検査結果の記録あるいは検査後の診断などのために行われる。
【0004】
また、例えば特開2000-215209号公報に開示のように、バックアップのために複数の画像記録装置を有する内視鏡装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の内視鏡画像の記録は、ユーザが記録ボタンなどの記録指示部材を操作して指示した静止画あるいは動画に対してのみ行われているため、内視鏡画像の取り忘れなどがあったときには、取り忘れた箇所の内視鏡観察を再度行わなければならない。
【0007】
そのため、例えば、ユーザが、内視鏡検査の終了後に、記録すべき箇所の全てについて内視鏡画像を記録していなかったことに気付いた場合は、再度、検査対象内に挿入部を挿入する操作をして、その箇所の確認を行わなければならなかった。あるいは、ユーザが、内視鏡検査の途中で、既に観察してきた部分を再確認したい場合は、その箇所まで挿入部の先端部を移動させる操作をしなければならなかった。
【0008】
そこで、本発明は、ある検査箇所の画像の記録の取り忘れ等があったときに、再度観察のための操作をすることなく、その検査箇所の確認が可能な内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の内視鏡装置は、撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、前記操作部において前記画像の記録の指示がされたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する制御を行うものであって、前記検査状況判定部により判定された前記検査状況に基づいて、前記第2の記憶部に記録する制御を行う制御部と、を有し、前記検査状況判定部は、表示部に表示される画像が、ライブ画像であるか否かを判定するライブ画像判定部であり、前記検査状況は、前記表示部に表示される画像が前記ライブ画像であるか否かの状態を示し、前記制御部は、前記ライブ画像判定部により前記表示部に表示される画像が前記ライブ画像であると判定されたときに、前記撮像部により取得された前記第2の画像を前記第2の記憶部に記録する。
本発明の他の態様による内視鏡装置は、撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、前記操作部において前記画像の記録の指示がされたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する制御を行うものであって、前記検査状況判定部により判定された前記検査状況に基づいて、前記第2の記憶部に記録する制御を行う制御部と、を有し、前記検査状況判定部は、前記撮像部により取得された前記画像の輝度値の変化量を算出する画像変化量算出部であり、前記検査状況は、前記画像の前記輝度値の変化量から判定した画像の変化量に基づく前記撮像部の動き量又は前記撮像部の速度を示し、前記制御部は、前記画像変化量算出部により前記画像の前記輝度値の変化量が第1の閾値以上であり該第1の閾値よりも大きい第2の閾値以下の所定範囲内であると判定されたときに、前記撮像部によって取得された前記第2の画像を前記第2の記憶部に記録する。
本発明の他の態様による内視鏡装置は、撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、前記操作部において前記画像の記録の指示がされたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する制御を行うものであって、前記検査状況判定部により判定された前記検査状況に基づいて、前記第2の記憶部に記録する制御を行う制御部と、を有し、前記検査状況判定部は、前記内視鏡装置のユーザによる画像記録の手動指示の有無を判定する記録指示有無判定部であり、前記検査状況は、前記ユーザによる前記画像記録の手動指示があるか否かの状態を示し、前記制御部は、前記記録指示有無判定部により前記ユーザによる前記画像記録の手動指示があると判定されたときに、前記撮像部によって取得された前記第2の画像の前記第2の記憶部への記録を停止する。
【0010】
本発明の一態様の内視鏡システムは、本発明の内視鏡装置と、前記内視鏡装置と、ネットワークを介して接続されたサーバと、を含み、前記第1の記憶部及び前記第2の記憶部の少なくとも1つは、前記サーバに設けられている。
【0011】
本発明の一態様の内視鏡装置の差動方法は、撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、制御部とを有する内視鏡装置の作動方法であって、制御部が、撮像部により取得された画像の記録が前記操作部において指示されたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記検査状況判定部が、前記検査状況として、表示部に表示される画像がライブ画像であるか否かの状況を判定し、制御部が、前記検査状況判定部により前記表示部に表示される画像が前記ライブ画像であると判定されたときに、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する。
本発明の他の態様の内視鏡装置の差動方法は、撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、制御部とを有する内視鏡装置の作動方法であって、前記制御部が、前記撮像部により取得された画像の記録が前記操作部において指示されたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記検査状況判定部が、前記検査状況として前記撮像部の動き量又は前記撮像部の速度を示す画像の変化量を判定するものであって、前記撮像部により取得された前記画像の輝度値の変化量が第1の閾値以上であり該第1の閾値よりも大きい第2の閾値以下の所定範囲内であるか否かの状況を判定し、前記制御部が、前記検査状況判定部により前記画像の前記輝度値の変化量が前記所定範囲内であると判定されたときに、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する。
また、本発明の他の態様の内視鏡装置の差動方法は、撮像部により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部と、検査状況を判定する検査状況判定部と、制御部とを有する内視鏡装置の作動方法であって、前記制御部が、前記撮像部により取得された画像の記録が前記操作部において指示されたときに前記撮像部により取得された第1の画像を第1の記憶部に記録し、前記操作部における前記画像の記録の指示の有無に関わらず前記撮像部により取得された第2の画像を第2の記憶部に記録する制御を行い、 前記検査状況判定部は、前記検査状況として、前記内視鏡装置のユーザによる画像記録の手動指示があるか否かの状況を判定し、前記制御部は、前記検査状況判定部により前記ユーザによる前記画像記録の手動指示があると判定されたときに、前記撮像部により取得された前記第2の画像の前記第2の記憶部への記録を停止する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ある検査箇所の画像の記録の取り忘れ等があったときに、再度観察のための操作をすることなく、その検査箇所の確認が可能な内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡画像の記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係わる、操作部14における画像記録指示に応じたメイン記録部13aへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係わる、表示部15の表示画面の例を示す図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートである。
【
図8】本発明の第3の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の第3の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートである。
【
図10】本発明の第4の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第4の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートである。
【
図12】本発明の第5の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の第5の実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートである。
【
図14】本発明の第2~第5の実施の形態における、予備記録の動画の再生時の画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は、本実施の形態に係わる内視鏡装置の構成を示す構成図である。
図1に示すように、内視鏡装置1は、細長の挿入部2と、本体部3を有している。挿入部2の基端部は、本体部3に接続されている。
【0015】
細長の挿入部2は、先端部2aから検査対象内に挿入可能に構成されている。挿入部2の先端部2aには、図示しない先端硬性部が設けられており、イメージセンサである撮像素子10が先端硬性部に固定されている。撮像素子10は、検査対象内の画像を取得する撮像部を構成する。
【0016】
なお、先端部2aの基端側には、湾曲部2bが設けられており、ユーザは、後述する操作部14における湾曲操作を行うことにより、挿入部2の先端部2aを上下左右の4方向に湾曲させることができる。
【0017】
本体部3は、制御部11と、画像処理部12と、記憶部13と、操作部14と、表示部15と、ドライバ16と、アナログデジタル変換器(以下、A/D変換器という)17とを有している。
【0018】
制御部11は、内視鏡装置1の各種機能に応じて、内視鏡装置1の各部の動作を制御する。制御部11は、中央処理装置(以下、CPUという)11aと、ROM11bと、RAM11cとを有している。
【0019】
各種プログラムが、ROM11bに記憶されており、CPU11aが、操作部14に対するユーザの操作あるいは指示に基づいて、ROM11bから各種プログラムを読み出してRAM11cに展開して実行することにより、内視鏡装置1の有する各種機能は、実現される。
【0020】
画像処理部12は、制御部11からの制御信号に基づいて、ドライバ16を介して撮像素子10を駆動し、A/D変換器17を介して撮像素子10からの撮像信号を受信して内視鏡画像を生成する回路であり、例えば、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレー)の回路である。画像処理部12は、生成する画像におけるノイズ除去処理、ハイダイナミックレンジ合成(HDR)処理なども行う。
【0021】
記憶部13は、データを記憶可能な記憶装置であり、ここでは本体部3に2つの記憶媒体から構成される。1つの記憶媒体が、ユーザにより意図されて指示された画像を記録するメイン記録部13aであり、他の記憶媒体が、ユーザの意図に関わらず画像を記録するサブ記録部13bである。メイン記録部13aとサブ記録部13bは、例えばフラッシュメモリである。制御部11の制御の下、内視鏡画像の画像データが記憶部13に記録される。
【0022】
よって、ユーザは、検査を行うとき、各記憶媒体を本体部3に設けられたコネクタに装着する。
なお、ここでは、記憶部13が2つの記録部を有しているが、1つのメモリの記憶領域を、仮想的なパーティションにより分割して、メイン記録部13aとサブ記録部13bを形成するようにしてもよい。また、2つの記録部の各記憶媒体は、着脱可能なメモリカードのような記憶媒体であってもよい。
【0023】
また、
図1において、点線で示すように、内視鏡装置1が記憶部13を有さず、通信ネットワークNWに接続可能な通信部20を有し、制御部11が、通信部20を介して通信ネットワークNWに接続された外部の記憶装置に、内視鏡画像の画像データを送信して記録させるようにしてもよい。
【0024】
図1では、点線で示すように、インターネットなどの通信ネットワークNWに接続されたサーバSが、記憶装置13Aを有する。記憶装置13Aは、上述したメイン記録部13aに対応する第1記録部13Aaと、上述したサブ記録部13bに対応する第2記録部13Abを有している。この場合、内視鏡装置1と、ネットワークNWに接続されたサーバSとにより、内視鏡システムが構成される。
【0025】
なお、内視鏡装置1が、メイン記録部13aとサブ記録部13bのいずれか一方を有する場合は、サーバSは、内視鏡装置1の有しない記録部に対応する第1記録部13Aaあるいは第2記録部13Abを有するようにしてもよい。すなわち、サーバSは、第1記録部13Aa及び第2記録部13Abの少なくとも1つを有していてもよい。
【0026】
操作部14は、複数の操作部材を有している。複数の操作部材には、フリーズボタン、録画ボタン、湾曲操作指示部材などがある。
例えば、ユーザは、フリーズボタンを押すと、撮像素子10からの撮像信号から生成された静止画を表示部15に表示させることができる。さらに、ユーザは、録画ボタンを押して、表示部15に表示されている静止画を、記憶部13のメイン記録部13aに記録することができる。よって、操作部14は、撮像部である撮像素子10により取得された画像の記録を指示することが可能な操作部である。
【0027】
さらに、操作部14は、他の機能のためのボタンも有しており、例えば、ユーザは、記憶部13に記録された画像の再生指示も可能である。
表示部15は、液晶表示器などの表示装置であり、撮像素子10によって取得された画像を表示する。表示部15には、画像処理部12において生成された内視鏡画像だけでなく、各種設定などを行うためのメニュー画面なども表示される。
【0028】
ドライバ16は、撮像素子10を駆動する各種駆動信号を生成して、撮像素子10へ供給する回路である。
A/D変換器17は、撮像素子10からのアナログ信号である撮像信号を受信して、デジタル信号に変換して、画像処理部12へ出力する回路である。
【0029】
また、本体部3には、電源スイッチ18が設けられており、ユーザが、電源スイッチ18をオンすることにより、内視鏡装置1を起動させ、電源スイッチ18をオフすることにより、内視鏡装置1を停止させることができる。
【0030】
さらに、挿入部2の先端部2aには、光学アダプタ19が装着可能となっている。光学アダプタ19は、視野方向、画角などを変更するための器具である。よって、ユーザは、検査対象、検査方法などに応じた光学アダプタ19を選択して、先端部2aに装着する。
【0031】
光学アダプタ19は、識別情報記憶部19aを内蔵している。識別情報記憶部19aは、不揮発性メモリであり、光学アダプタ19の種別情報が格納されている。光学アダプタ19が、挿入部2の先端部2aに装着されると、制御部11は、信号線19bを介して識別情報記憶部19aの種別情報を読み出すことができる。
【0032】
なお、光学アダプタ19の識別は、識別情報を用いなくてもよい。例えば、光学アダプタ19に、光学アダプタ19の種別に応じた抵抗値を有する抵抗器を設け、本体部3において、抵抗器の抵抗値を検出して、光学アダプタ19の識別を行うようにしてもよい。
【0033】
ユーザは、操作部14を操作して内視鏡画像の記録指示をすることによって、メイン記録部13aに静止画及び動画の記録をすることができると共に、操作部14を操作して、メイン記録部13a及びサブ記録部13bに記録された画像を再生して、表示部15に表示させることもできる。
(作用)
次に、内視鏡装置1におけるサブ記録部13bへの画像録画処理について説明する。
【0034】
図2は、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされると、制御部11は、
図2に示す処理を実行する予備記録処理プログラムをROM11bから読み出して実行する。
【0035】
ユーザは、内視鏡装置1を検査対象のある場所まで持って行き、検査対象の内視鏡検査を行う。ユーザは、検査を開始するときに、内視鏡装置1の電源をオンにする。
制御部11は、最初に、アダプタ確認処理を実行する(ステップ(以下、Sと略す)1)。
【0036】
内視鏡装置1の電源をオンにする前あるいはオンした後に、ユーザは、検査対象などに応じた光学アダプタ19を、挿入部2の先端部2aに装着する。
アダプタ確認処理では、制御部11が光学アダプタ19の有する種別情報を識別情報記憶部19aから読み出して、検査の目的に適合した光学アダプタが先端部2aに装着されているか、などの確認が行われる。
【0037】
例えば、正しい光学アダプタ19が先端部2aに装着されていないときは、正しい光学アダプタの装着をユーザに促すためのメッセージなどが表示部15に表示される。
アダプタ確認処理により、正しい光学アダプタ19が装着されて内視鏡検査が可能な状態に内視鏡装置1がなると、表示部15には、ライブ画像が表示される。
【0038】
具体的には、制御部11は、ドライバ16を駆動して、撮像素子10からの撮像信号に基づいて内視鏡画像を生成するように、画像処理部12に制御信号を出力する。制御部11は、画像処理部12からの内視鏡画像を受信すると、表示部15へ出力する。その結果、表示部15には、撮像素子10により撮像された検査対象内の画像、すなわち内視鏡画像が、ライブ画像として表示される。
【0039】
S1に続いて、制御部11は、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録を開始する(S2)。すなわち、内視鏡装置1が内視鏡検査可能状態になり、ライブ画像の表示可能になると、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録がバックグラウンドで開始される。
【0040】
S2の後、制御部11は、ライブ画像がバックグラウンドで動画で予備記録中であることを示す所定の表示を行う(S3)。「予備記録中」を示す所定の表示は、ユーザに、バックグラウンドで、ライブ画像が予備的に記録されていることを、告知するための表示である。
【0041】
図2は、内視鏡装置1におけるライブ画像の予備記録、すなわちサブ記録部13bへの動画の画像記録、の処理についてのみ示しているが、S3の後、すなわち検査中に、ユーザは、操作部14を操作して、静止画あるいは動画の記録を行うことができる。ユーザの指示による内視鏡画像の記録処理については、後述する。
【0042】
検査が終了すると、ユーザは、内視鏡装置1の電源スイッチ18をオフする。よって、制御部11は、電源がオフされたか否かを判定する(S4)。
制御部11は、内視鏡装置1の電源がオフされなければ(S4:NO)、処理は何もしない。
【0043】
電源がオフされると(S4:YES)、制御部11は、サブ記録部13bへの記録を終了する(S5)。
次に、検査中における、ユーザの指示による静止画及び動画の記録の処理について説明する。
【0044】
図3は、操作部14における画像記録指示に応じたメイン記録部13aへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。上述したように、
図3の処理は、
図2のS3とS4の間において、実行されている。
【0045】
制御部11は、操作部14における記録指示の有無を判定する(S11)。
静止画記録の場合、ユーザは、表示部15にライブ画像が表示されている状態でフリーズボタンを押した後に、操作部14の録画ボタン(RECボタン)を押すことにより、記録指示を行う。すなわち、S11では、制御部11は、表示部15にライブ画像が表示されているときに操作部14のフリーズボタンが押され、その後に、録画ボタンが押されたか否かを判定することにより、静止画の記録指示の有無を判定する。
【0046】
動画記録の場合、ユーザは、表示部15にライブ画像が表示されている状態で録画ボタン(RECボタン)を押すことにより、記録指示を行う。よって、制御部11は、表示部15にライブ画像が表示されている状態で、録画ボタンが押されたか否かを判定することにより、動画の記録指示の有無を判定する。録画ボタンが押されると、動画の記録が開始され、停止ボタンが押されると、動画の記録が終了する。
【0047】
記録指示がなければ(S11:NO)、制御部11は、何もしない。記録指示があると(S11:YES)、制御部11は、メイン記録部13aへの記録を行う(S12)。静止画の場合は、制御部11は、フリーズされた状態の画像を、メイン記録部13aに記録する。動画の場合は、録画ボタンが押されると、停止ボタンが押されるまで、記録指示有りとなり(S11:YES)、制御部11は、ライブ画像を、メイン記録部13aに記録する。
【0048】
S12の後、制御部11は、表示処理を行う(S13)。S13では、動画の記録の場合、画像を記録中であることを示すマークなどを表示部15に表示する処理が行われる。
図3の処理により、ユーザの意図した静止画及び動画の内視鏡画像が、メイン記録部13aに記録されると共に、
図2の処理により、ユーザの撮影意図に係わりない動画の内視鏡画像が、サブ記録部13bに記録される。
【0049】
すなわち、制御部11は、操作部14においてユーザにより画像の記録の指示がされたときに撮像素子10により取得された画像である静止画あるいは動画を第1の記憶部としてのメイン記録部13aに記録し、操作部14におけるユーザによる画像の記録の指示の有無に関わらず撮像素子10により取得された動画を第2の記憶部としてのサブ記録部13bに記録する制御を行う。
【0050】
図4は、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートの一例である。
時間tの経過に伴い、内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされて、アダプタ確認処理(S1)による光学アダプタ19の確認がされるまでは、ライブ画像である内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録はされない。光学アダプタ19の確認がされると、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録が開始され、電源スイッチ18がオフされるまで記録は継続する。
【0051】
すなわち、制御部11は、内視鏡装置1の挿入部2の先端部2aに装着される光学アダプタ19の確認処理の後に、ライブ画像をサブ記録部13bに記録する制御を行う。よって、
図4において、光学アダプタ19の確認がされてから電源スイッチ18がオフされるまでの期間P1の間、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録が行われる。言い換えれば、期間P1中は、内視鏡画像(動画)が、サブ記録部13bに常時記録されている。期間P1が、内視鏡画像の動画がサブ記録部13bへ予備的に記録された全録画時間である。
【0052】
そして、制御部11は、撮像素子10により取得されたライブ画像の全てをサブ記録部13bに記録する。よって、ユーザが挿入部2の先端部2aを検査対象内に挿入する前のライブ画像も記録されるので、検査後、先端部2aが検査対象内にどのように、どの位置から挿入されたかの確認も可能となる。
【0053】
図5は、表示部15の表示画面の例を示す図である。
表示部15の表示画面15aには、内視鏡画像を表示する画像表示領域21が表示される。
【0054】
画像表示領域21には、通常の観察時には、いわゆるライブ画像である内視鏡画像が表示される。ユーザは、そのライブ画像を見ながら、内視鏡検査を行う。
上述したように、期間P1の間は、サブ記録部13bへの画像記録が行われていることを示す表示、ここでは「予備記録中」であることを示す「Always-on Recording」の表示22が、表示画面15a上に表示される。なお、表示22に代えて、所定のマークの表示が行われるようにしてもよい。
【0055】
すなわち、制御部11は、ライブ画像をサブ記録部13bに記録しているときに、ライブ画像がサブ記録部13bに記録されていることをユーザに告知するための文字若しくはマークの表示を、表示部15に行う。
【0056】
また、ユーザの意思による、操作部14に対する動画の記録指示があると、動画が録画中であることを示す「REC」表示23が、表示画面15a上に表示される。なお、「REC」の表示に代えて、所定のマークの表示が行われるようにしてもよい。
【0057】
すなわち、制御部11は、動画をメイン記録部13aに記録しているときに、動画がメイン記録部13aに記録されていることをユーザに告知するための文字若しくはマークの表示を表示部15に行う。
また、ユーザの指示により動画が記録中であっても、「予備記録中」であることを示す「On Reserved-Recording」の表示により、ユーザは、ライブ画像がバックグラウンドでも記録されていることを認識することができる。
【0058】
ユーザは、内視鏡装置1による検査が終了すると、2枚のメモリカードを本体部3から取り外し、各メモリカードをPC等に装着して、各メモリカードに記録された内視鏡画像をモニタに表示させたり、検査レポートの作成に利用することができる。
【0059】
また、ユーザは、内視鏡装置1において、操作部14を操作して、所定のメニュー画面を表示部15に表示させて、サブ記録部13bに記録された予備記録の画像データを、メイン記録部13aへコピーしたり、消去したりするができる。
【0060】
以上のように、上述した実施の形態によれば、ある検査箇所の画像の記録の取り忘れ等があったときに、再度観察のための操作をすることなく、その検査箇所の確認が可能な内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡画像の記録方法を提供することができる。
【0061】
さらに、ユーザは、サブ記録部13bに記録がされた画像を再生して、表示部15に表示させることによって、検査の途中で、そのときまで検査してきた箇所の状況を確認することもできる。
【0062】
また、検査中のライブ画像が全てサブ記録部13bに記録されているので、検査対象が複雑な構造を有する場合、複数の検査箇所へどのようにして辿り着いたか、すなわち挿入経路、を後で確認することができるので、ユーザは、次の検査時に検査手順の確認が可能となる。
【0063】
以下、他の実施の形態を説明する。
上述した第1の実施の形態では、内視鏡画像の予備記録は、ライブ画像が表示可能になってから、内視鏡装置1の電源がオフされるまで行われるが、所定の検査状況の下では、サブ記録部への動画記録が行われないようにしてもよい。
【0064】
以下、その所定の検査状況下では、内視鏡画像の予備記録を行わないようにする、複数の実施の形態を説明する。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態の内視鏡装置では、内視鏡装置1の電源がオンされて、ライブ画像が表示可能になると、内視鏡画像の予備記録が開始され、内視鏡装置1の電源がオフされて、検査が終了すると、内視鏡画像の予備記録が終了するが、第2の実施の形態では、内視鏡装置1の電源がオンされてライブ画像が表示可能になっても予備記録は開始されず、挿入部2の先端部2aが検査対象内に挿入された後に、内視鏡画像の予備記録が開始され、挿入部2の先端部2aが検査対象内から抜去されると、内視鏡画像の予備記録が終了する。
【0065】
本実施の形態の内視鏡装置は、第1の実施の形態の内視鏡装置1と同様の構成(
図1)を有しているので、同じ構成要素については同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0066】
図6は、本実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされると、制御部11は、
図6に示す処理を実行する予備記録処理プログラムをROM11bから読み出して実行する。以下、
図6の処理を、
図2と同じ処理については説明を簡略化して、説明する。
【0067】
アダプタ確認処理(S1)により、正しい光学アダプタ19が装着されて内視鏡検査が可能な状態に内視鏡装置1がなると、表示部15には、ライブ画像が表示される。
S1に続いて、制御部11は、挿入部2の挿入状態を判定する挿入状態判定を実行する(S21)。
【0068】
S21では、制御部11は、ライブ画像を解析して、そのライブ画像から、挿入部2の先端部2aが検査対象内に挿入されたか否かを判定する。先端部2aが検査対象内に挿入されると、ライブ画像の明るさが、大きく変化する。検査を行う場所は、室内照明などにより照明されているため、ライブ画像は明るいが、挿入部2の先端部2aが検査対象内に挿入されると、照明されていないためライブ画像は暗くなる。
【0069】
よって、制御部11は、画像処理部12からのライブ画像の各画素の輝度値から、ライブ画像の明るさが所定値以上であるか否かに基づいて、挿入部2の先端部2aが検査対象内に挿入されたか否かを判定することができる。
【0070】
制御部11は、S21の判定結果に基づいて、挿入部2が検査対象内に挿入されたかを判定し(S22)、挿入されていないときは(S22:NO)、処理は、S21へ戻る。
S21の判定結果に基づいて、挿入部2が検査対象内に挿入されていると判定されると(S22:YES)、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録を開始し(S2)、予備記録中であることの表示処理を行う(S3)。
【0071】
すなわち、挿入部2の先端部2aが検査対象内に挿入されると、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録が開始される。
S3の後、制御部11は、挿入部2の挿入状態を判定する挿入状態判定を実行する(S23)。
【0072】
S23では、制御部11は、ライブ画像を解析して、そのライブ画像から、挿入部2が検査対象内から抜去されたか否かを判定する。挿入部2が検査対象内から抜去されると、ライブ画像の明るさが、大きく変化し、ライブ画像は明るくなる。よって、制御部11は、画像処理部12からのライブ画像の各画素の輝度値から、ライブ画像の明るさが所定値以上になると、挿入部2の先端部2aが検査対象内から抜去されたと判定することができる。
【0073】
S24において、挿入部2の先端部2aが検査対象内から抜去されたと判定されたとき(S24:YES)、制御部11は、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録を終了し(S5)、「予備記録中」の表示を停止する(S25)。
【0074】
S25の後、電源がオフされると、処理は終了する。
以上のように、S21及びS23の処理は、ユーザによる検査状況を判定する検査状況判定部を構成する。制御部11は、その検査状況判定部により判定された検査状況に基づいて、ライブ画像をサブ記録部13bに記録する制御を行う。
【0075】
本実施の形態では、S21及びS23の検査状況判定部は、内視鏡装置1の挿入部2の先端部2aが、検査対象内に挿入されている状態にあるか否かを判定する挿入状態判定部である。
【0076】
ユーザの検査状況は、先端部2aが検査対象内に挿入されている状態にあるか否かの状態を示す。そして、制御部11は、挿入状態判定部により先端部2aが検査対象内に挿入されている状態にあると判定されたときに、撮像素子10により取得されたライブ画像をサブ記録部13bに記録する。
【0077】
なお、検査中におけるユーザの指示による静止画の記録、及び動画の記録の処理は、第1の実施の形態と同じである。
図7は、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートの一例である。
【0078】
時間tの経過に伴い、内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされて、挿入部2の先端部2aが検査対象内に挿入されるまでは、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録はされない。先端部2aが検査対象内に挿入されると、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が開始され、挿入部2の先端部2aが検査対象内から抜去されるまで記録は継続する。
【0079】
すなわち、
図7において、先端部2aが検査対象内に挿入されてから検査対象内から抜去されるまでの期間P2の間、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録が行われる。期間P2が、内視鏡画像の動画がサブ記録部13bへ予備的に記録された全録画時間である。
【0080】
以上のように、上述した実施の形態によれば、ある検査箇所の画像の記録の取り忘れ等があったときに、再度観察のための操作をすることなく、その検査箇所の確認が可能な内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡画像の記録方法を提供することができる。
【0081】
なお、上述した第2の実施の形態では、挿入部2が検査対象内に挿入されているか否かは、内視鏡画像の明るさに基づいて行っているが、他の方法によって、挿入部2が検査対象内に挿入されているか否かを判定するようにしてもよい。
【0082】
例えば、特開2015-196045号公報にも開示のように、内視鏡装置1の把持部にセンサを設け、ユーザが把持部を把持しているか否かを判定することによって、挿入部2が検査対象内に挿入されているか否かあるいは挿入操作を開始しているか否かを判定するようにしてもよいし、先端部2aに加速度センサを設け、加速度センサの出力信号により先端部2aの動きを検出し、その動きが所定の閾値以上であるか否かを判定することによって、挿入部2が検査対象内に挿入されているか否かあるいは挿入操作を開始しているか否かを判定するようにしてもよい。
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態の内視鏡装置では、内視鏡装置1の電源がオンされて、ライブ画像が表示可能になると、内視鏡画像の予備記録が開始され、内視鏡装置1の電源がオフされて、検査が終了すると、内視鏡画像の予備記録が終了するが、第3の実施の形態では、内視鏡装置1の電源がオンされてライブ画像が表示可能になっても予備記録は開始されず、ライブ画像が表示部15に表示されているときにのみ、内視鏡画像の予備記録が行われ、ライブ画像が表示部15に表示されていないときには、内視鏡画像の予備記録は行われない。
【0083】
本実施の形態の内視鏡装置は、第1及び第2の実施の形態の内視鏡装置1と同様の構成(
図1)を有しているので、同じ構成要素については同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0084】
図8は、本実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされると、制御部11は、
図8に示す処理を実行する予備記録処理プログラムをROM11bから読み出して実行する。以下、
図8の処理を、
図2及び
図6と同じ処理については説明を簡略化して、説明する。
【0085】
アダプタ確認処理(S1)により、正しい光学アダプタ19が装着されて内視鏡検査が可能な状態に内視鏡装置1がなると、表示部15には、ライブ画像が表示される。
S1に続いて、制御部11は、画像判定を実行する(S31)。
【0086】
S31では、制御部11は、表示部15に出力される画像がライブ画像であるか否かを判定する。
ユーザが、操作部14を操作して、メニュー画面を表示部15に表示させると、表示部15の表示画面15aには、ライブ画像に代わって、そのメニュー画面が表示される。ユーザは、メニュー画面から各種設定、設定変更、設定確認等を行うことができる。このような場合には、表示部15には、ライブ画像が表示されていない。
【0087】
また、計測機能を使用しているときも、表示部15には、計測用の画面が表示され、ライブ画像は表示されていない。
さらに、フリーズボタンを押して静止画を表示部15に表示させているときも、ライブ画像は表示されていない。
【0088】
制御部11は、ユーザによりメニュー画面表示の指示を受けて、メニュー画面及びその画面から遷移した各種設定画面などを表示部15に出力しているか否かの判定を行うことができる。同様に、制御部11は、ユーザにより計測機能の実行の指示を受けて、計測用画面などを表示部15に出力しているか否かの判定を行うことができる。
【0089】
制御部11は、S31の判定結果に基づいて、ライブ画像が表示部15に表示されているかを判定し(S32)、ライブ画像が表示部15に表示されていないとき(S32:NO)、処理は、S31へ戻る。
【0090】
S31の判定結果に基づいて、ライブ画像が表示部15に表示されていると判定されると(S32:YES)、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録を開始し(S2)、予備記録中であることの表示処理を行う(S3)。
【0091】
すなわち、ライブ画像が表示部15に表示されていると、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録が行われる。
S3の後、制御部11は、S31と同じ画像判定を実行し(S33)、ライブ画像が表示部15に表示されているかを判定する(S34)。ライブ画像が表示部15に表示されているとき(S34:YES)、処理は、S33へ戻る。
【0092】
S34において、ライブ画像が表示部15に表示されていないと判定されたとき(S34:NO)、制御部11は、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録を終了し(S5)、「予備記録中」の表示を停止する(S25)。
【0093】
S25の後、電源がオフされると、処理は終了する。内視鏡装置1の電源がオフされないと(S4:NO)、処理は、S31へ戻る。
以上のように、S31及びS33の処理は、ユーザによる検査状況を判定する検査状況判定部を構成する。制御部11は、その検査状況判定部により判定された検査状況に基づいて、ライブ画像をサブ記録部13bに記録する制御を行う。
【0094】
本実施の形態では、S31及びS33の検査状況判定部は、表示部15に表示される画像が、ライブ画像であるか否かを判定するライブ画像判定部である。
ユーザの検査状況は、表示部15に表示される画像がライブ画像であるか否かの状態を示す。そして、制御部11は、ライブ画像判定部により表示部15に表示される画像がライブ画像であると判定されたときに、撮像素子10により取得されたライブ画像をサブ記録部13bに記録する。
【0095】
なお、検査中におけるユーザの指示による静止画の記録、及び動画の記録の処理は、第1の実施の形態と同じである。
図9は、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートの一例である。
【0096】
図9に示すように、時間tの経過に伴い、内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされ、光学アダプタ19の確認がされた後から、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。ユーザが設定変更などを行うために表示部15にメニュー画面を表示させると、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が中止する。よって、アダプタ確認後、メニュー画面の表示がされるまでの期間P31では、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。
【0097】
メニュー画面の表示が終了すると、ライブ画像が表示部15に表示され、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が再開される。
その後、画面上で計測点を指定して距離測定を行うためにユーザが計測機能を指示すると、表示部15には計測用画面が表示される。計測用画面を表示させると、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が中止する。そして、ユーザがライブ画面表示を指示すると、ライブ画像が表示部15に表示され、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が再開される。
【0098】
よって、メニュー画面の表示終了後ライブ画像が表示されてから、計測用画面表示がされるまでの期間P32では、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。
計測用画面の表示が終了すると、ライブ画像が表示部15に表示され、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が再開される。
図9では、計測用画面の表示終了後から電源オフまでの期間P33では、サブ記録部13bへの内視鏡画像の記録が行われる。期間P31、P32及びP33を合わせた期間が、内視鏡画像の動画がサブ記録部13bへ予備的に記録された全録画時間である。
【0099】
以上のように、上述した実施の形態によれば、ある検査箇所の画像の記録の取り忘れ等があったときに、再度観察のための操作をすることなく、その検査箇所の確認が可能な内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡画像の記録方法を提供することができる。
(第4の実施の形態)
第1の実施の形態の内視鏡装置では、内視鏡装置1の電源がオンされて、ライブ画像が表示可能になると、内視鏡画像の予備記録が開始され、内視鏡装置1の電源がオフされて、検査が終了すると、内視鏡画像の予備記録が終了するが、第4の実施の形態では、内視鏡装置1の電源がオンされてライブ画像が表示可能になっても、画像の変化量が所定範囲内にないとき、例えば、検査の途中で先端部に動きがないかあるいは極めて小さいとき、あるいは先端部が極めて速く移動しているときには、内視鏡画像の予備記録は行われない。
【0100】
本実施の形態の内視鏡装置は、第1~第3の実施の形態の内視鏡装置1と同様の構成(
図1)を有しているので、同じ構成要素については同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0101】
図10は、本実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされると、制御部11は、
図10に示す処理を実行する予備記録処理プログラムをROM11bから読み出して実行する。以下、
図10の処理を、
図2、
図6及び
図8と同じ処理については説明を簡略化して、説明する。
【0102】
アダプタ確認処理(S1)により、正しい光学アダプタ19が装着されて内視鏡検査が可能な状態に内視鏡装置1がなると、表示部15には、ライブ画像が表示される。
S1に続いて、制御部11は、ライブ画像の変化量を判定する画像変化量判定処理を実行する(S41)。
【0103】
S41では、制御部11は、現フレームと直前のフレームとの間における、表示部15に出力されるライブ画像中の各画素の輝度値の変化量を算出する。変化量は、連続する2つのフレーム間における各画素の輝度値の変化量、あるいは所定期間毎の2つのフレーム間における各画素の輝度値の変化量である。
【0104】
例えば、ユーザが挿入部2の先端部2aを検査対象内に押し込んでいるときは、内視鏡画像は変化するため、画像の変化量は大きい。また、例えば、ユーザが検査の途中で別の作業をするために挿入部2から手を離し、挿入部2の先端部2aが検査対象内で静止しているときは、画像の変化量はないかあるいは極めて小さい。
【0105】
制御部11は、S41の算出結果に基づいて、ライブ画像の変化量が所定範囲内にあるか否かを判定し(S42)、ライブ画像の変化量が所定範囲内にないとき(S42:NO)、処理は、S41へ戻る。
【0106】
S41の算出結果に基づいて、ライブ画像の変化量が所定範囲内にあると判定されると(S42:YES)、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録を開始し(S2)、予備記録中であることの表示処理を行う(S3)。
【0107】
すなわち、ライブ画像に変化があるとき、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録が行われる。
S3の後、制御部11は、S41と同じ画像変化量算出処理を実行し(S43)、ライブ画像の変化量が所定範囲内にあるかを判定する(S44)。ライブ画像の変化量が所定範囲内にあるとき(S44:YES)、処理は、S43へ戻る。
【0108】
S44において、ライブ画像の変化量が所定範囲内にないと判定されたとき(S44:NO)、制御部11は、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録を終了し(S5)、「予備記録中」の表示を停止する(S25)。
【0109】
S25の後、電源がオフされると、処理は終了する。内視鏡装置1の電源がオフされないと(S4:NO)、処理は、S41へ戻る。
以上のように、S41及びS43の処理は、ユーザによる検査状況を判定する検査状況判定部を構成する。制御部11は、その検査状況判定部により判定された検査状況に基づいて、ライブ画像をサブ記録部13bに記録する制御を行う。
【0110】
本実施の形態では、S41及びS43の検査状況判定部は、撮像素子10により取得された画像の変化量を算出する画像変化量算出部である。
ユーザの検査状況は、画像の変化量が所定範囲内であるか否かの状態を示す。そして、制御部11は、画像変化量算出部により画像の変化量が所定範囲内であると判定されたときに、撮像素子10により取得されたライブ画像をサブ記録部13bに記録する。
【0111】
なお、検査中におけるユーザの指示による静止画の記録、及び動画の記録の処理は、第1の実施の形態と同じである。
図11は、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートの一例である。
【0112】
図11に示すように、時間tの経過に伴い、内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされ、光学アダプタ19の確認がされた後にライブ画像の変化量が所定範囲内にあるときから、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。ユーザが検査を中断すると、変化量が極めて小さくなり、ライブ画像の変化量が所定範囲外になるため、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が中止する。よって、アダプタ確認後ライブ画像の変化量が所定範囲内にあったときから、ライブ画像の変化量が所定範囲内でなくなるまでの期間P41では、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。
【0113】
検査が再開されライブ画像の変化量が所定範囲内にあると、ライブ画像が表示部15に表示され、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が再開される。
その後、再び、ユーザが検査を中断したり、挿入部2の挿入操作により先端部2aが検査対象内を速く移動したりすると、ライブ画像の変化量が所定範囲外になるため、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が中止する。よって、ライブ画像の変化量が所定範囲内になったときから、ライブ画像の変化量が所定範囲外になくなるまでの期間P42では、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。
【0114】
そして、ライブ画像の変化量が所定範囲内になったときから、所定範囲外になるまで、サブ記録部13bへの内視鏡画像の記録が行われる。そして、ライブ画像の変化量が所定範囲外になってから電源オフまでの期間P43では、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録がされない。期間P41、P42及びP43を合わせた期間が、内視鏡画像の動画がサブ記録部13bへ予備的に記録された全録画時間である。
【0115】
以上のように、上述した実施の形態によれば、ある検査箇所の画像の記録の取り忘れ等があったときに、再度観察のための操作をすることなく、その検査箇所の確認が可能な内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡画像の記録方法を提供することができる。
(第5の実施の形態)
第1の実施の形態の内視鏡装置では、内視鏡装置1の電源がオンされて、ライブ画像が表示可能になると、内視鏡画像の予備記録が開始され、内視鏡装置1の電源がオフされて、検査が終了すると、内視鏡画像の予備記録が終了するが、第5の実施の形態では、ユーザの指示による手動記録が行われているときには、内視鏡画像の予備記録は行われない。
【0116】
本実施の形態の内視鏡装置は、第1~第4の実施の形態の内視鏡装置1と同様の構成(
図1)を有しているので、同じ構成要素については同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成についてのみ説明する。
【0117】
図12は、本実施の形態に係わる、内視鏡装置1の電源がオンされた後のサブ記録部13bへの記録処理の流れの例を示すフローチャートである。
内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされると、制御部11は、
図12に示す処理を実行する画像時記録処理プログラムをROM11bから読み出して実行する。以下、
図12の処理を、
図2、
図6、
図8及び
図10と同じ処理については説明を簡略化して、説明する。
【0118】
アダプタ確認処理(S1)により、正しい光学アダプタ19が装着されて内視鏡検査が可能な状態に内視鏡装置1がなると、表示部15には、ライブ画像が表示される。
S1に続いて、制御部11は、サブ記録部13bへの記録を開始する(S2)。
S2の後、制御部11は、「予備記録中」の表示をユーザに告知するために行う(S3)。
【0119】
S3に続いて、制御部11は、ユーザによる撮影指示の有無を判定する撮影開始指示有無判定処理を実行する(S51)。すなわち、ユーザの手動による撮影指示があるか否かが判定される。
【0120】
S51では、制御部11は、操作部14における録画ボタンに対する操作の有無を判定することにより、ユーザによる撮影指示の有無を判定する。例えば、ユーザが操作部14における録画ボタンを押すと、動画の記録が開始される。よって、制御部11は、録画ボタンに対する操作状態を検出することによって、ユーザによる撮影指示の有無を判定することができる。
【0121】
制御部11は、S51の判定結果に基づいて、ユーザによる撮影指示がないとき(S52:NO)、処理は、S51へ戻る。
S51の判定結果に基づいて、ユーザによる撮影指示があると判定されると(S52:YES)、ライブ画像のサブ記録部13bへの記録を終了し(S5)、予備記録中であることの表示を停止する(S25)。
【0122】
すなわち、撮影が開始されると、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の予備記録は中止される。
S25の後、制御部11は、ユーザによる撮影終了指示の有無を判定する撮影終了指示有無判定処理を実行する(S53)。例えば、ユーザは、停止ボタンを操作することにより、動画の記録の終了を指示することができるので、S53では、停止ボタンの操作の有無が判定される。
【0123】
S54において、撮影終了指示がないと判定されたとき(S54:NO)、処理は、S53に戻る。
S54において、撮影終了指示があったと判定されたとき(S54:YES)、電源がオフされたか否かを判定し(S4)、電源がオフされると、処理は終了する。内視鏡装置1の電源がオフされないと(S4:NO)、処理は、S2へ戻る。
【0124】
以上のように、S51及びS53の処理は、ユーザによる検査状況を判定する検査状況判定部を構成する。制御部11は、その検査状況判定部により判定された検査状況に基づいて、ライブ画像をサブ記録部13bに記録する制御を行う。
【0125】
本実施の形態では、S51及びS53の検査状況判定部は、内視鏡装置1のユーザによる画像記録の手動指示の有無を判定する記録指示有無判定部である。
ユーザの検査状況は、ユーザによる画像記録の手動指示があるか否かの状態を示す。そして、制御部11は、記録指示有無判定部によりユーザによる画像記録の手動指示があると判定されたときに、撮像素子10によって取得されたライブ画像のサブ記録13bへの記録を停止し、ユーザによる画像記録の記録停止指示があるとライブ画像をサブ記録部13bに記録をする。
【0126】
なお、検査中におけるユーザの指示による静止画の記録、及び動画の記録の処理は、第1の実施の形態と同じである。よって、手動による記録の指示がされてから記録終了の指示がされるまでは、画像は、メイン記録部13aに記録される。
【0127】
通常、ユーザによる手動記録の指示には、静止画の記録指示と動画の記録指示もあるが、静止画の記録指示は、
図12の処理の対象外とし、手動による動画の記録指示について有無の判定を行い、手動指示による動画の記録がされているときのみ、サブ記録部13bへの予備記録を行わないようにしてもよい。
【0128】
図13は、内視鏡装置1の電源がオンされてからオフされるまでの間における、サブ記録部13bへの内視鏡画像(動画)の記録の期間を示すタイムチャートの一例である。
図13に示すように、時間tの経過に伴い、内視鏡装置1の電源スイッチ18がオンされ、光学アダプタ19の確認がされた後に、手動記録の指示があるまで、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。ユーザが手動記録を行っているときは、メイン記録部13aに画像が記録されるため、サブ記録部13bへの画像記録は行われない。よって、アダプタ確認後手動記録の指示があるまでの期間P51では、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。
【0129】
ユーザによる手動記録の終了指示がされると、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が再開される。
その後、再び、ユーザが手動記録の指示をすると、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が中止する。よって、ユーザが手動記録の指示から手動記録の終了指示がされるまでの期間は、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われない。そして、手動記録の終了後の期間P52,P53では、内視鏡画像のサブ記録部13bへの記録が行われる。
【0130】
そして、手動記録の終了後、電源オフまでの期間P54では、サブ記録部13bへの内視鏡画像の記録が行われる。期間P51、P52、P53及びP54を合わせた期間が、内視鏡画像の動画がサブ記録部13bへ予備的に記録された全録画時間である。
以上のように、上述した実施の形態によれば、ある検査箇所の画像の記録の取り忘れ等があったときに、再度観察のための操作をすることなく、その検査箇所の確認が可能な内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡画像の記録方法を提供することができる。
【0131】
上述した第2~第5の実施の形態における予備記録は、所定の条件すなわちユーザによる検査状況に応じて行われたり、中断したりするが、そのような条件の発生状態を、上記各実施の形態において、サブ記録部13bに記録された動画と関連付けて記録しておくようにしてもよい。特に、第1の実施の形態のように予備記録を連続して行う場合においてこのような発生状態の記録を行った場合には、この記録を利用することで連続して記録された予備記録を所定の条件に従って例えば編集する作業を簡単に行うことができる。条件の発生状態の記録は、サブ記録部13bに記録された動画のタイムコード等と関連付けることにより、予備記録の動画の再生時に、検査時の操作の状況が把握することが可能となる。
【0132】
例えば、挿入部2の挿入の開始時刻及び終了時刻のデータを、予備記録の動画ファイルのタイムコードと関連付けておいたり、計測処理の開始時刻及び終了時刻のデータを、予備記録の動画ファイルのタイムコードと関連付けておいたりするなどして、各条件の発生と消滅のタイミングの時刻データを記録したデータを保存する。
なお、各条件の発生状態を記録する際、情報は動画ファイルの中に持たせてもよく、別ファイルで記録しておいて再生時や編集時に参照してもよい。
更に、第2~第5の実施の形態にて示した条件の発生状態だけでなく、各種イベントの発生に対応した情報を予備記録に対応させて記録させるようにしてもよい。例えば、検査箇所あるいは検査条件の変化情報をサブ記録部13bに記録された動画と関連付けて記録しておくようにしてもよい。
例えば、制御部11は、内視鏡画像の記録に際して、操作部14の操作に基づいてメイン記録部13a内に、内視鏡画像を格納する検査フォルダを作成することができる。制御部11は、フォルダ名に、検査対象物や検査部位や検査日等の各種情報を含めて、階層構造を有する検査フォルダを作成することもできる。この場合には、フォルダ名によって、検査対象物や検査部位や検査条件等の各種情報を認識することが可能である。
内視鏡検査時において、例えば、ユーザは、操作部14の操作により記録先フォルダとする検査フォルダを指定することができる。例えば、ユーザは、ライブ画像を見ながら、或いはフリーズボタンの押下により得られた静止画を見ながら、記録先フォルダを確認でき、かつ記録先フォルダの変更を容易に行うことができる。ユーザが録画ボタン(RECボタン)を押下操作することにより、ユーザにより指定された検査フォルダ内に静止画又は動画の内視鏡画像が記録される。
このような検査フォルダが変更されたことを示す情報を、イベントの発生を示す情報として、サブ記録部13bに記録された動画と関連付けて記録するようにしてもよい。この情報は、メイン記録部13a上の記録先フォルダを、ユーザが変更したことを示すものであり、例えば、予備記録された動画中において、記録先フォルダの変更タイミングにおける画像部分にスキップする処理を簡単に行うことができる。また、上述したように、検査フォルダが検査箇所や検査条件等に応じて設定されている場合には、検査フォルダが変更されたことを示す情報をサブ記録部13bに記録された動画と関連付けて記録することにより、例えば、予備記録された動画中から、所定の検査箇所や検査条件によって記録された内視鏡画像を簡単に検索することも可能である。
【0133】
図14は、第2~第5の実施の形態における、予備記録の動画の再生時の画像の例を示す図である。予備記録中であっても、サブ記録部13bに記憶された画像データを読み出して再生し、ライブ画像を表示する画面とは別のウインドウに表示させることができる。ユーザは、サブ記録部13bに記憶された画像を早送りして見たり、巻き戻しで見ることができる。
ここでは、予備記録の動画の再生は、内視鏡装置1において可能であるが、メモリカードであるサブ記録部13bを、PC等の他の機器に装着して、行うようにしてもよい。
【0134】
表示部15の表示画面15aには、再生画像の表示領域31と、全録画時間における再生位置を示す再生位置情報表示部32と、早送りボタン33と、巻戻しボタン34が表示される。
【0135】
再生位置情報表示部32は、時間軸表示部32a上に、全録画時間における現時点の再生時間位置を示すマーク35と、所定の条件あるいは状態が発生した時間位置を示すマーク36a、36bを含んでいる。マーク35は、再生時間の経過に伴って、右の方へ移動する。例えば、マーク36aは、第3の実施の形態の場合は、メニュー画面表示が開始されたことを示し、マーク36bは、計測画面表示が開始されたことを示す。
【0136】
さらに、表示部15の表示画面15aには、スキップボタン37,38も表示されている。スキップボタン37は、現時点の再生時間位置から時間的に後のマークの時間位置までスキップして、動画の再生を行うように指示するためのボタンである。スキップボタン38は、現時点の再生時間位置よりも時間的に前のマークの時間位置までスキップして、動画の再生を行うように指示するためのボタンである。
【0137】
以上のように、上述した第1から第5の実施の形態によれば、ある検査箇所の画像の記録の取り忘れ等があったときに、再度観察のための操作をすることなく、その検査箇所の確認が可能な内視鏡装置、内視鏡システム及び内視鏡画像の記録方法を提供することができる。
【0138】
なお、第1から第5の実施の形態におけるサブ記録部13bは、リングバッファでもよい。リングバッファを用いることによって、記憶部の空き容量が無くなったときには、古いデータに対して上書きして記録が行われる。
【0139】
さらになお、第1から第5の実施の形態では、手動記録の記録先は、メイン記録部13aであるが、ユーザによる手動記録の指示があったときに、制御部11がメイン記録部13aを認識できない場合は、制御部11は、手動記録の記録先を、メイン記録部13aからサブ記録部13bに変更して画像を記録するようにしてもよい。
【0140】
また、第1から第5の実施の形態では、手動記録の記録先は、メイン記録部13aであるが、手動記録の指示があったとき、制御部11が、メイン記録部13aの空き容量を確認し、メイン記録部13aが画像を記録するのに十分な空き容量を有していないときは、制御部11は、手動記録による画像の画像データを、メイン記録部13aからサブ記録部13bに変更するようにしてよい。これは、ユーザの記録指示による画像記録を優先するためのである。
【0141】
さらにまた、第2から第5の実施の形態では、時間経過と共に、電源がオンされてからオフされるまでの間に予備記録が複数回行われる場合がある。そのような場合は、各回別の記録ファイル形式で、サブ記録部13bに記録するようにしてもよい。
【0142】
また、上述した各実施の形態では、サブ記録部13bには、動画のみが記録されるが、内視鏡装置1にマイクを取り付け、音声情報を同時に記録するようにしてもよい。
さらに、動画上に重畳表示された注意、警告などのメッセージ、マークなども、動画と共に、サブ記録部13bに記録するようにしてもよい。
【0143】
本明細書における各「部」は、実施の形態の各機能に対応する概念的なもので、必ずしも特定のハードウエアやソフトウエア・ルーチンに1対1には対応しない。従って、本明細書では、以下、実施の形態の各機能を有する仮想的回路ブロック(部)を想定して実施の形態を説明した。また、本実施の形態における各手順の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。さらに、本実施の形態における各手順の各ステップの全てあるいは一部をハードウエアにより実現してもよい。
【0144】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0145】
1 内視鏡装置、2 挿入部、2a 先端部、2b 湾曲部、3 本体部、10 撮像素子、11 制御部、11b サブ記録部、12 画像処理部、13 記憶部、13A 記憶装置、13Aa 第1記録部、13Ab 第2記録部、13a メイン記録部、13b
サブ記録部、14 操作部、15 表示部、15a 表示画面、16 ドライバ、17
アナログデジタル変換器、18 電源スイッチ、19 光学アダプタ、19a 識別情報記憶部、19b 信号線、20 通信部、21 画像表示領域、23 表示、31 表示領域、32 再生位置情報表示部、32a 時間軸表示部、33、34 ボタン、35、36a、36b マーク、37、38 スキップボタン。