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特許7061583制御ソフトウエアをアップデート可能な冷蔵庫
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-20
(45)【発行日】2022-04-28
(54)【発明の名称】制御ソフトウエアをアップデート可能な冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20220421BHJP
   F25D 21/06 20060101ALN20220421BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D21/06 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019011803
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020118407
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 勝
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146178(JP,A)
【文献】特開2017-134506(JP,A)
【文献】特開2017-146039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25D 21/00 ~ 21/14
F25B 47/02
G06F 8/65 ~ 8/658
G06F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ソフトウエアをアップデート可能で、
圧縮機及び冷却器を含む冷凍サイクルと、
該冷凍サイクルで生成された冷気が供給される貯蔵室と、
前記冷却器を除霜する除霜部と、
前記除霜のタイミングの判定に利用される情報を記憶するメモリと、を有し、
前記アップデートが行われると前記メモリの情報が消去され、
前記除霜の終了から一定時間内であって、前記冷却器に着霜する前に前記制御ソフトウエアのアップデートを実し、
前記一定時間は、6時間以下であり、
前記除霜の終了からの経過時間が前記一定時間を過ぎている場合には、次回の前記除霜の完了まで前記制御ソフトウエアのアップデートを行わない冷蔵庫。
【請求項2】
制御ソフトウエアをアップデート可能で、
圧縮機及び冷却器を含む冷凍サイクルと、
該冷凍サイクルで生成された冷気が供給される貯蔵室と、
前記冷却器を除霜する除霜部と、
前記除霜のタイミングの判定に利用される情報を記憶するメモリと、を有し、
前記アップデートが行われると前記メモリの情報が消去され、
前記除霜の終了からの経過時間が一定時間以下である場合に前記アップデートを実行可能にし
前記一定時間は、6時間以下であり、
前記除霜の終了からの経過時間が前記一定時間を過ぎている場合には、次回の前記除霜の完了まで前記制御ソフトウエアのアップデートを行わない冷蔵庫。
【請求項3】
人の操作によってメンテナンスモードの実行が可能であり、
該メンテナンスモード中は、前記除霜のタイミング及び、前記除霜の終了からの経過時間に拘らず前記アップデートを実行可能な請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御ソフトウエアをアップデート可能な冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アップデート可能な冷蔵庫制御ソフトウエアを外部通信センターから受信する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-303472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵庫制御ソフトウエアをアップデートしている間は冷却制御等が実行できない。また、制御ソフトウエアのアップデート後はソフトウェアが変更されたことに伴ってメモリ配置も変更となる虞がある。このため、メモリのクリアを行ってからアップデートされたプログラムを実行する必要が生じ得る。
【0005】
一方、冷蔵庫では冷凍サイクル中の蒸発器(冷却器)に霜が付着していくため、これを除霜することが通常行われている。除霜のタイミングは、例えば冷凍サイクル中の圧縮機の運転積算時間を考慮して行われ得る。運転積算時間をプログラムが通常使用するメモリとは別のメモリに記憶すれば、メモリをクリアしても運転積算時間等が消去されることを防げるが、費用の観点から望ましくない。
【0006】
したがって、アップデートに伴い除霜のタイミングの判定に用いる情報が消去されるような冷蔵庫においては、アップデートのタイミングと除霜のタイミングとを検討する必要がある。しかし、特許文献1はアップデートのタイミング等については何ら開示していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記事情に鑑みてなされた本発明は、
制御ソフトウエアをアップデート可能で、
圧縮機及び冷却器を含む冷凍サイクルと、
該冷凍サイクルで生成された冷気が供給される貯蔵室と、
前記冷却器を除霜する除霜部と、
前記除霜のタイミングの判定に利用される情報を記憶するメモリと、を有し、
前記アップデートが行われると前記メモリの情報が消去され、
前記除霜の終了から一定時間内であって、前記冷却器に着霜する前に前記制御ソフトウエアのアップデートを実し、
前記一定時間は、6時間以下であり、
前記除霜の終了からの経過時間が前記一定時間を過ぎている場合には、次回の前記除霜の完了まで前記制御ソフトウエアのアップデートを行わない冷蔵庫である。
【0008】
また、上記事情に鑑みてなされた第2の本発明は、
制御ソフトウエアをアップデート可能で、
圧縮機及び冷却器を含む冷凍サイクルと、
該冷凍サイクルで生成された冷気が供給される貯蔵室と、
前記冷却器を除霜する除霜部と、
前記除霜のタイミングの判定に利用される情報を記憶するメモリと、を有し、
前記アップデートが行われると前記メモリの情報が消去され、
前記除霜の終了からの経過時間が一定以下である場合に前記アップデートを実行可能にし
前記一定時間は、6時間以下であり、
前記除霜の終了からの経過時間が前記一定時間を過ぎている場合には、次回の前記除霜の完了まで前記制御ソフトウエアのアップデートを行わない冷蔵庫である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1のシステムの構成図である。
図2】実施例1の冷蔵庫の構成例を示すブロック図である。
図3】実施例1のサーバー機器の構成例を示すブロック図である。
図4】実施例1の冷蔵庫概観正面図である。
図5】実施例1の処理を示すフローチャートである。
図6】実施例2の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、家電製品システムの一例としての、本実施例の冷蔵庫システムの構成図である。図2は本実施例の冷蔵庫1の構成例を示すブロック図である。図3は本実施例のサーバ機器3の構成例を示すブロック図である。図4は本実施例の冷蔵庫1の外観正面図である。
冷蔵庫システムは、冷蔵庫1、インターネット等の広域ネットワーク2、冷蔵庫1から送信される情報を受信したり、冷蔵庫1に送信する冷蔵庫制御ソフトウェアを格納するサーバ機器3、及び使用者端末4を有する。
【0012】
[冷蔵庫1]
冷蔵庫1は、冷媒を圧縮する圧縮機と冷気を生成する冷却器を含む冷凍サイクル、冷却器で生成した冷気が供給される冷蔵室や冷凍室といった貯蔵室、冷却器と貯蔵室との間の風路に設けられて開閉制御可能なダンパ、各貯蔵室を開閉する貯蔵室扉、各貯蔵室の温度設定といったユーザからの操作を受付けるコントロールパネル(不図示)、冷却器に付着した霜を除霜するヒータ等の除霜部、貯蔵室内に設けられた庫内灯(不図示)、を有する。
【0013】
冷蔵庫1は、貯蔵室扉の開閉状態を検知可能な扉開閉センサ111を有しており、各扉が開かれるとその扉に対応する貯蔵室の庫内灯が点灯し、各扉が開かれると庫内灯が消灯する。
【0014】
冷蔵庫1は、CPU(Central Processing Unit)101、制御プログラム部102、メモリ103、各貯蔵室内の温度を検知する温度センサ104、庫内灯等の電子部品105、圧縮機106、冷蔵庫1正面の人を検知する焦電センサ107、冷蔵庫1周囲の明るさを検知する照度センサ108、広域ネットワーク2を介して情報の送受信を行う通信部109、扉開閉センサ111、コントロールパネル、コントロールパネルへの操作に対する応答等を表示するコントロールパネル表示部302、コントロールパネル表示部302を照射して表示内容の視認性を高めるLED112、音声を出力するスピーカ113、コントロールパネル表示部302の表示内容を制御するコントロールパネル制御部114を備える。
【0015】
冷蔵庫1は、センサ104,107,108,111の入力を管理する入力制御部、電子部品105、LED112、スピーカ113を制御する出力制御部、圧縮機106を制御する圧縮機制御部、冷却器と貯蔵室との間に配されたダンパの開閉を制御するダンパ制御部、通信部109やコントロールパネル制御部114を制御する通信制御部それぞれを、インストール済の冷蔵庫制御ソフトウエア102で制御している。
【0016】
冷蔵庫1は、広域ネットワーク2と通信部109を介して、サーバ機器3から新たな冷蔵庫制御ソフトウエアをダウンロードしてメモリ103に格納しておくことができる。メモリ103は、除霜運転の実行要否の判定に必要とされる情報、例えば、前回の除霜からの圧縮機106の運転時間やドア開回数情報を記憶している。この情報は、冷蔵庫制御ソフトウエアのアップデートが完了して冷蔵庫が再起動等すると消去(クリア)される。
【0017】
制御プログラム部102は各収納庫が適切な温度となるよう制御している。コントロールパネル表示部302は、LED112によりユーザに現在の設定内容の表示やユーザが変更した設定内容を表示している。コントロールパネルの操作又は通信を介して受信する使用者端末4からの操作を受付けることで、コントロールパネル制御部114がコントロールパネル表示部302の表示内容を変更できる。
【0018】
[サーバ機器3]
サーバ機器3は、冷蔵庫1からの情報を受信する受信制御部201、冷蔵庫1の新たな制御ソフトウエアを格納可能な記憶部202、冷蔵庫1に新たな制御ソフトウエアを送信したり使用者端末4に通知を送信する送信制御部203、各種の演算を行う演算部204、を有する。
【0019】
図5は本実施例の制御フローチャートである。冷蔵庫1は、電源が投入されたら、マイコン入出力端子の初期化(ステップS100)やメモリのクリア(ステップS101)、冷凍サイクル制御等の各処理の初期化(ステップS102)を行う必要がある。
【0020】
本実施例の冷蔵庫1は、前述の初期化終了後にメイン処理が開始される。メイン処理内では冷凍サイクル制御(ステップS103)や冷凍サイクルの運転時間積算(ステップS104)を行い、冷凍サイクルの運転時間積算から除霜タイミングを判定し、除霜タイミングとなったら(ステップS105,YES)、除霜処理(ステップS106)を行う。また、除霜が終了したら除霜後の経過時間をカウントする(ステップS107)。
【0021】
一方、除霜タイミングとなっていない場合(ステップS105,NO)は、除霜後の一定時間経過を判定(ステップS108)し、除霜後の一定時間が経過していない場合は、サーバ3上にアップデートすべきソフトウェアがあるか判定(ステップS109)する。除霜後一定時間が経過している場合は(ステップS108,YES)、次回の除霜タイミングが近付いているため、これからアップデートを行ってメモリがクリアされると次の除霜までの時間が開き過ぎる虞がある。このため、次の除霜が完了するまで新たな制御ソフトウエアの確認は行わない(ステップS103,S104,S105・NO,S108・YESをループし、S105・YESになるまで繰り返す)。「一定時間」とは、例えば、冷蔵庫1の通常の除霜間隔(例えば12時間以上に設定できる。)の5割以下(6時間以下)にすることができる。一定時間の下限値としては特に制限されないが、除霜間隔が余分に開いても概ね問題のない値として、たとえば通常の除霜間隔の1割又は2割以上にすることができる。
【0022】
サーバ機器3は、冷蔵庫1に対する新たな制御ソフトウエアを格納している場合(ステップS109,Yes)、この制御ソフトウエアを冷蔵庫1に送信する又は制御ソフトウエアの存在を冷蔵庫1に通知する(ステップS110)。制御ソフトウエア又は通知を受信した冷蔵庫1は、制御ソフトウエアをアップデートする前に冷凍サイクル制御等を停止(ステップS111)させる。
【0023】
続いて、制御ソフトウェアのアップデートが開始される(ステップS112)。通知のみを受け取っていた場合は、サーバ機器3から新たな制御ソフトウエアを受信しつつアップデートを行うことができる。
【0024】
制御ソフトウェアのアップデートが終了すると(ステップS113,Yes)、電源投入時と同じ処理を実行する為に、マイコン入出力端子の初期化(ステップS100)から再実行し、メイン処理を再開する。
【0025】
このように、前回の除霜からあまり時間が経過していない場合(ステップS108,NO)は、アップデートを行ってメモリがクリアされ、除霜タイミングの判定が初期化されたとしても冷却器への霜詰まり等の不具合が生じる虞が小さいため、アップデートを実行可能にする。一方、前回の除霜から一定時間が経過した場合(ステップS108,YES)は、除霜タイミングの判定が初期化されると次回の除霜までの時間が開き過ぎる虞があるため、次回の除霜完了までアップデートを行わないようにする。
【0026】
なお、ステップS108は、ステップS109・YESの直後からステップS111の直前のいずれかの時点に行うようにしても良い。
【実施例2】
【0027】
図6は実施例2の制御フローチャートである。本実施例の構成は次の点を除き実施例1と同様にできる。本実施例の冷蔵庫1は、サービスパーソンが冷却器の修理等を行うために強制的に除霜部を作動させて除霜させるメンテナンスモードを実行可能である。メンテナンスモードの実行は、コントロールパネルの操作等を通じて、サービスパーソン等が実行指令を送信できる。冷蔵庫1がメンテナンスモードである場合(ステップS200)、除霜後の一定時間経過判定(ステップS108)を行わず、サーバ3上にアップデートすべきソフトウェアがあるかを判定(ステップS109)する。これによりメンテナンスモード中はいつでも制御ソフトウエアのアップデート実行を可能とする。
【符号の説明】
【0028】
1:冷蔵庫
2:広域ネットワーク
3:サーバ機器
4:使用者端末
101:CPU
102:冷蔵庫制御ソフトウエア(制御ソフトウエア)
103:メモリ
104:各センサ
105:各電子部品
106:圧縮機
107:焦電センサ
108:照度センサ
109:通信部
110:通信制御部
111:扉開閉センサ
112:LED
113:スピーカ
114:コントロールパネル制御部
201:受信制御部
202:判定制御部
203:送信制御部
301:冷蔵庫扉
302:コントロールパネル表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6