(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】支障物検知装置
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20220425BHJP
G06T 7/593 20170101ALI20220425BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220425BHJP
【FI】
B61L23/00 A
G06T7/593
G06T7/00 300F
G06T7/00 C
(21)【出願番号】P 2017212847
(22)【出願日】2017-11-02
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】小林 広幸
(72)【発明者】
【氏名】二神 拓也
(72)【発明者】
【氏名】鴨 雄史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 功
(72)【発明者】
【氏名】服部 陽平
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/150340(WO,A1)
【文献】特開2016-192105(JP,A)
【文献】特開2017-083245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 23/00
G06T 7/593
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両が有する撮像部によって前記鉄道車両の進行方向を撮像して得られる可視光画像、および前記撮像部の撮像範囲に存在する物体までの距離を特定可能とする距離画像を取得する取得部と、
前記可視光画像から、前記鉄道車両が走行するレールを検出するレール検出部と、
前記鉄道車両の進行方向における前記レールの複数の設定位置のそれぞれを基準として、前記可視光画像に対して、前記鉄道車両の車両限界または建築限界により規定される立体的な監視領域を設定する監視領域設定部と、
前記距離画像が取得される毎に、前記可視光画像に基づく前記監視領域までの距離の値域を特定可能とする値域情報と、前記距離画像とに基づいて、前記監視領域内に存在しかつ前記鉄道車両の走行の支障となる支障物を検知する支障物検知部と、
前記支障物の検知結果を出力する出力部と、
前記距離画像と前記値域情報とに基づいて、前記監視領域内に存在する物体を前記支障物の候補として検出する候補検出部と、を備え、
前記支障物検知部は、前記支障物の候補の大きさおよび前記支障物の候補の移動ベクトルの少なくとも1つに基づいて、前記支障物の候補の中から、前記支障物を検知し、
前記候補検出部は、前記可視光画像に対して前記レールの上面に接する基準面を設定し、前記基準面よりも上方に存在する物体を前記支障物の候補として検出する、支障物検知装置。
【請求項2】
前記取得部は、複数の前記撮像部によって前記鉄道車両の進行方向を異なる視点から撮像して得られる複数の画像のうちいずれかを前記可視光画像として取得し、かつ前記複数の画像を前記距離画像として取得する請求項
1に記載の支障物検知装置。
【請求項3】
前記距離画像は、前記複数の画像の視差を示し、
前記値域情報は、前記監視領域の視差の範囲を示す請求項
2に記載の支障物検知装置。
【請求項4】
前記監視領域設定部は、前記レール検出部によって前記可視光画像から複数の前記レールを検出した場合、前記レール毎に、前記監視領域を設定する請求項1から
3のいずれか一に記載の支障物検知装置。
【請求項5】
前記監視領域設定部は、前記レール検出部によって前記可視光画像から複数の前記レールを検出した場合、前記複数のレールのうち前記鉄道車両が走行する前記レールについてのみ前記監視領域を設定する請求項1から
3のいずれか一に記載の支障物検知装置。
【請求項6】
前記監視領域設定部は、前記鉄道車両が走行する走行区間のうち所定区間において、前記鉄道車両の車両限界または建築限界の周囲の領域が前記監視領域に含まれるように、前記監視領域を拡大する請求項1から
5のいずれか一に記載の支障物検知装置。
【請求項7】
前記監視領域設定部は、前記可視光画像から前記所定区間を検出し、前記所定区間において前記監視領域を拡大する請求項
6に記載の支障物検知装置。
【請求項8】
前記監視領域設定部は、外部装置から、前記所定区間の位置を示す位置情報を受信し、前記位置情報が示す位置において前記監視領域を拡大する請求項
6に記載の支障物検知装置。
【請求項9】
前記鉄道車両の走行位置を計測する位置計測部と、
前記所定区間を示す位置情報を記憶する記憶部と、をさらに備え、
前記監視領域設定部は、前記位置計測部により計測される前記走行位置と、前記記憶部に記憶される前記位置情報とに基づいて、前記所定区間において前記監視領域を拡大する請求項
6に記載の支障物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、支障物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
列車や電車等の鉄道車両の運行に際して、鉄道車両の安全を確保するために、進路上の支障物の有無を確認する必要がある。駅のホームからの旅客や荷物の転落、踏切での自動車や自転車の立往生等によって、鉄道車両の進路に支障物が発生し易い区間には、支障物の進入を防止する駅ホーム柵や踏切遮断器、支障物の存在を検知する感圧式マットや支障物の画像を認識する画像認識装置等の駅ホーム転落検知装置、踏切内の支障物の存在を検知する光学式やループコイル式等の踏切支障物検知装置等が設置されていることがある。また、鉄道車両の進路に支障物が発生し易い区間には、列車や駅等の非常事態の発生を通知するための非常停止警報ボタンが設定されていることがある。
【0003】
しかしながら、これらの設備は、鉄道車両の進路のうち、支障物が発生し易い箇所への設置にとどまり、鉄道車両の進路全体を網羅することは困難である。また、これらの設備は、地上設備と車上設備とが連携して、支障物を検知する必要があるため、システムの複雑化および肥大化を招くことが懸念される。そのため、走行中の鉄道車両の前方を当該鉄道車両に搭載された撮像部によって常時撮像して得られる画像を用いて、支障物の有無を検知する仕組みが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5161673号公報
【文献】特開2016-52849号公報
【文献】特許第3888055号公報
【文献】特開2016-598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鉄道車両は、運転士若しくは上記の設備が支障物を検知して鉄道車両を減速させる行動に移るまでに進む空走距離と、鉄道車両が減速を開始してから停止するまでの制動距離とを足した停止距離より手前において支障物を検知しなければ、支障物に対する衝突を回避できない可能性が高い。また、鉄道車両は、自動車の衝突回避システムと比較すると、制動距離が長く、レール上を走行するという制約によって操舵によって支障物を回避できないという違いがある。したがって、鉄道車両には、進路上に存在する支障物を遠方から高精度に検知することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の支障物検知装置は、取得部と、レール検出部と、監視領域設定部と、支障物検知部と、出力部と、候補検出部と、を備える。取得部は、鉄道車両が有する撮像部によって鉄道車両の進行方向を撮像して得られる可視光画像、および撮像部の撮像範囲に存在する物体までの距離を特定可能とする距離画像を取得する。レール検出部は、可視光画像から、鉄道車両が走行するレールを検出する。監視領域設定部は、鉄道車両の進行方向におけるレールの複数の設定位置のそれぞれを基準として、可視光画像に対して、鉄道車両の車両限界または建築限界により規定される立体的な監視領域を設定する。支障物検知部は、距離画像が取得される毎に、可視光画像に基づく監視領域までの距離の値域を特定可能とする値域情報と、距離画像とに基づいて、監視領域内に存在しかつ鉄道車両の走行の支障となる支障物を検知する。出力部は、支障物の検知結果を出力する。候補検出部は、距離画像と値域情報とに基づいて、監視領域内に存在する物体を支障物の候補として検出する。支障物検知部は、支障物の候補の大きさおよび支障物の候補の移動ベクトルの少なくとも1つに基づいて、支障物の候補の中から、支障物を検知する。候補検出部は、可視光画像に対してレールの上面に接する基準面を設定し、基準面よりも上方に存在する物体を支障物の候補として検出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかる鉄道車両の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態にかかる鉄道車両が有する走行支障物検知装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における監視領域の設定例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における監視領域の設定例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における支障物の検知処理の流れの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における監視領域の設定方法の一例を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における基準面の設定処理の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、変形例にかかる鉄道車両における監視領域の設定処理の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態にかかる鉄道車両が有する走行支障物検知装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態にかかる鉄道車両における監視領域の拡大例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる支障物検知装置を備えた鉄道車両について説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる鉄道車両の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる鉄道車両RVは、センサ10、走行支障物検知装置20、記録装置30、および表示装置40を含む。センサ10は、鉄道車両RVの進行方向を撮像可能に設けられる撮像部の一例である。走行支障物検知装置20は、鉄道車両RVの走行の支障となる支障物を検知する支障物検知装置の一例である。記録装置30は、走行支障物検知装置20による支障物の検知結果を記憶する。表示装置40は、センサ10によって鉄道車両RVの進行方向を撮像して得られる画像や、走行支障物検知装置20による支障物の検知結果等の各種情報を表示する。
【0010】
図2は、第1の実施形態にかかる鉄道車両が有する走行支障物検知装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、走行支障物検知装置20は、画像取得部201、レール認識部202、監視エリア認識部203、支障物候補認識部204、支障物判定部205、結果出力部206、および記憶部207を有する。本実施形態では、画像取得部201、レール認識部202、監視エリア認識部203、支障物候補認識部204、支障物判定部205、および結果出力部206のうち一部若しくは全ては、鉄道車両RVが有するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが記憶部207に記憶されるソフトウェアを実行することによって実現される。
【0011】
また、画像取得部201、レール認識部202、監視エリア認識部203、支障物候補認識部204、支障物判定部205、および結果出力部206のうち一部若しくは全ては、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の回路基板であるハードウェアによって実現されても良い。または、画像取得部201、レール認識部202、監視エリア認識部203、支障物候補認識部204、支障物判定部205、および結果出力部206は、プロセッサによって実行されるソフトウェア、およびハードウェアの協働によって実現されても良い。
【0012】
記憶部207は、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SDカード等の不揮発性の記憶媒体、およびRAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体を含む。そして、記憶部207は、鉄道車両RVが有するプロセッサが実行するプログラム等の各種情報を記憶する。
【0013】
画像取得部201は、センサ10によって鉄道車両RVの進行方向を撮像して得られる可視光の画像(以下、カラー画像と言う)、およびセンサ10の撮像範囲に存在する物体までの距離を特定可能とする距離画像を取得する取得部の一例である。本実施形態では、画像取得部201は、センサ10が有する複数の撮像部によって鉄道車両RVの進行方向を異なる視点から撮像して得られる複数の画像のうちいずれかをカラー画像として取得する。
【0014】
また、画像取得部201は、当該複数の画像を距離画像として取得する。具体的には、画像取得部201は、センサ10が含む複数の撮像部の撮像により得られる複数の画像を、グレースケールの画像(以下、グレースケール画像と言う)に変換する。次いで、画像取得部201は、グレースケール画像を、複数の撮像部の光軸を仮想的に平行とした場合に得られる画像(以下、平行等位画像と言う)に幾何変換する。次いで、画像取得部201は、平行ステレオ視の原理に従って、一方の平行等位画像と他方の平行等位画像とを用いて、センサ10が含む撮像部の撮像範囲内の物体までの距離を特定可能とする距離画像を取得する。
【0015】
レール認識部202は、カラー画像内における鉄道車両RVが走行するレールを検出するレール検出部の一例として機能する。本実施形態では、レール認識部202は、センサ10の撮像により得られるカラー画像から変換したグレースケール画像を、エッジを強調した画像(以下、エッジ強調画像と言う)に変換する。次いで、レール認識部202は、エッジ強調画像のうち、エッジ強度が予め設定されたエッジ強度より大きい画素と、その周辺の画素のうち同様のエッジ強度を有する画素とをグループ化した画素群を生成する。次いで、レール認識部202は、生成した画素群のうち、鉄道車両RVの進行方向に向かって連なって線分を形成する画素群を抽出する。そして、レール認識部202は、抽出した画素群のうち、予め設定された評価条件を満たす画素群を、鉄道車両RVが走行するレールとして検出する。ここで、評価条件は、レールと判断する画素群であり、例えば、レールと判断するエッジ強度を有することである。
【0016】
監視エリア認識部203は、レール認識部202により検出したレールを基準として、カラー画像に対して立体的な監視領域を設定する監視領域設定部の一例として機能する。ここで、監視領域は、カラー画像内において、鉄道車両RVの車両限界または建築限界により規定される立体的な領域である。また、監視エリア認識部203は、カラー画像に基づいて、センサ10から監視領域までの距離の範囲である値域を特定可能とする値域情報を求める。
【0017】
図3および
図4は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における監視領域の設定例を示す図である。
図3に示すように、監視エリア認識部203は、センサ10の設置条件や、レール認識部202により検出したレールの幅が一定である等の拘束条件に基づいて、当該検出したレールの任意の設定位置Pにおいて、車両限界断面X、および当該車両限界断面Xまでの距離を求める。ここで、車両限界断面Xは、鉄道車両RVの進行方向に直交する方向における車両限界の断面である。監視エリア認識部203は、鉄道車両RVの進行方向においてレールの異なる設定位置Pについて求めた車両限界断面Xを断面とするトンネル形状の領域を、監視領域として設定する。また、監視エリア認識部203は、設定位置P毎に求めた車両限界断面Xまでの距離の範囲(集合)である値域を値域情報として求める。
【0018】
または、
図4に示すように、監視エリア認識部203は、センサ10の設置条件や、レール認識部202により検出したレールの幅が一定である等の拘束条件に基づいて、当該検出したレールの任意の設定位置Pにおいて、建築限界断面Y、および当該建築限界断面Yまでの距離を求める。ここで、建築限界断面Yは、鉄道車両RVの進行方向に直交する方向の建築限界の断面である。監視エリア認識部203は、鉄道車両RVの進行方向においてレールの異なる設定位置Pについて求めた建築限界断面Yを断面とするトンネル形状の領域を、監視領域として設定する。また、監視エリア認識部203は、設定位置P毎に求めた建築限界断面Yまでの距離の範囲(集合)である値域を値域情報として求める。
【0019】
図2に戻り、支障物候補認識部204は、距離画像と値域情報とに基づいて、監視領域内に含まれる物体を支障物の候補(以下、支障物候補と言う)として抽出する。本実施形態では、支障物候補認識部204は、距離画像内の各画素のうち、値域情報により特定される距離と一致する距離を示す画素をグループ化した類似領域を、監視領域内に存在する立体物である支障物候補として抽出する。
【0020】
支障物判定部205は、支障物候補認識部204により抽出される支障物候補の大きさおよび当該支障物候補の移動ベクトルの少なくとも1つに基づいて、支障物候補の中から、支障物を検知する。これにより、監視領域に存在する物体のうち、支障物となり得る可能性が高い物体を支障物として検知できるので、支障物の検知精度を向上させることができる。本実施形態では、支障物判定部205は、支障物候補のうち、予め設定された大きさ以上の支障物候補を支障物として検知する。また、支障物判定部205は、支障物候補のうち、移動ベクトルがレールの方向に向かっている支障物候補を支障物として検知する。また、支障物判定部205は、支障物候補のうち、予め設定された大きさ以上でありかつ移動ベクトルがレールの方向に向かっている支障物候補を、支障物として検知しても良い。
【0021】
よって、本実施形態では、支障物候補認識部204および支障物判定部205が協働して、距離画像と値域情報とに基づいて、監視領域内に存在しかつ鉄道車両RVの走行の支障となる支障物を検知する支障物検知部の一例として機能する。これにより、鉄道車両RVの進行方向を撮像して得られるカラー画像を用いて、鉄道車両RVの走行の支障となる支障物を検知する場合に、カラー画像において支障物を検知する監視領域を動的かつ適切に設定して、支障物を検知することが可能となるので、鉄道車両RVの走行の支障となる支障物を高精度に検知することができる。
【0022】
結果出力部206は、支障物候補認識部204および支障物判定部205による支障物の検知結果を出力する出力部の一例として機能する。本実施形態では、結果出力部206は、支障物判定部205により支障物が検知された場合、支障物が検知されたことを示す情報を、カラー画像とともに、表示装置40に表示させる。また、結果出力部206は、支障物の検知結果を記録装置30に保存する。
【0023】
次に、
図5を用いて、本実施形態にかかる鉄道車両における支障物の検知処理の流れの一例について説明する。
図5は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における支障物の検知処理の流れの一例を示す図である。
【0024】
画像取得部201は、センサ10から、カラー画像および距離画像を取得する(ステップS501)。センサ10は、カラー画像および距離画像を同時に出力可能な光学式センサであり、パターン投光方式、フォトグラメトリー方式、Time Of Flight方式の光学式センサである。また、センサ10が、鉄道車両RVの車幅方向に離間して設けられる2つの撮像部(左右の2つの撮像部)を含む場合、画像取得部201は、2つの撮像部の撮像により得られる2つのカラー画像を、距離画像として取得しても良い。
【0025】
2つのカラー画像を距離画像として取得した場合、画像取得部201は、2つのカラー画像それぞれをグレースケール画像に変換する(ステップS502)。本実施形態では、画像取得部201は、支障物の検知に要する演算量を削減するために、2つのカラー画像それぞれをグレースケール画像に変換した上で、当該グレースケール画像を用いて、支障物を検知する例について説明するが、カラー画像をそのまま用いて、支障物を検知することも可能である。
【0026】
次に、画像取得部201は、2つのグレースケール画像それぞれを平行等位画像に幾何変換する(ステップS503)。なお、一般的なカメラのレンズは、半径方向の歪みおよび円周方向の歪みを有する。そのため、画像取得部201は、センサ10の撮像により得られる画像の歪みの補正に必要な係数やテーブルを画像変換情報として記憶部207に保存しておく。そして、画像取得部201は、記憶部207に記憶される画像変換情報を用いて、レンズの収差等によるグレースケール画像の歪みを補正しても良い。また、センサ10の内部パラメータや相対的な位置関係に基づく外部パラメータを、キャリブレーションによって求めておき、当該外部パラメータを画像変換情報として記憶部207に保存しても良い。
【0027】
次に、画像取得部201は、一方の平行等位画像を基準画像としかつ他方の平行等位画像を参照画像として、基準画像と参照画像の視差を距離画像として求める(ステップS504)。エピポーラ幾何等の幾何学的な拘束条件によれば、基準画像の注目画素に対応する参照画像内の画素である対応画素は、基準画像における注目画素における高さと同じ高さのエピポーラ線上のみを検索することで求められる。これにより、対応画素の探索を、少ない演算量で、かつ高精度に実現することができる。対応画素の探索は、参照画像内の一部の領域である小領域毎に対応画素を探索するテンプレートマッチング、参照画像全体から最適な対応画素(解)を探索するグローバルマッチング、参照画像において注目画素周辺の画素から最適な対応画素を探索するセミグローバルマッチング等により行う。ただし、対応画素の探索にリアルタイム性を求める場合には、テンプレートマッチングによって対応画素を探索することが多い。
【0028】
対応画素を求めた後、画像取得部201は、基準画像の注目画素と、参照画像の対応画素との視差を求める。本実施形態では、画像取得部201は、基準画像の注目画素を1画素ずつずらしながら、参照画像の対応画素を求めている。したがって、参照画像がデジタル画像である場合、対応画素の座標は、整数によって表される。そのため、小数点以下の精度で対応画素の座標を推定する場合には、サブピクセル推定手法を用いる。サブピクセル推定手法は、対応画素の探索に用いる評価関数がSAD(Sum of Absolute Difference)のような1次関数の場合には、等角直線フィッティングを用いる。一方、サブピクセル推定手法は、対応画素の探索に用いる評価関数がSSD(Sum of Squared Difference)のような2次関数の場合には、パラボラフィッティングを用いる。
【0029】
なお、小数点以下の精度で視差を求める必要が無い場合や、視差の取得に要する処理時間を短縮したい場合には、サブピクセル推定手法を用いずに、視差を求めても良い。また、サブピクセル推定手法に用いる評価関数による対応画素の座標の評価値が、予め設定された閾値より大きい場合、注目画素と対応画素との特徴量(例えば、階調の変化)の差異が小さい場合には、求めた視差を無効としても良い。
【0030】
以上の処理によって、画像取得部201は、基準画像の全ての画素若しくは基準画像の一部の有効領域内の画素について、参照画像の画素との視差を求める。また、画像取得部201は、以下の式(1)を用いて、基準画像の画素が表す物体までの距離Zを距離画像として求めても良い。以下の式(1)において、fはセンサ10が含む2つの撮像部の焦点距離を表し、Bはセンサ10が含む2つの撮像部間の距離を表し、Dは基準画像の画素と参照画像の画素との視差Dを表す。
Z=f×B/D・・・(1)
【0031】
次に、レール認識部202は、基準画像から、鉄道車両RVが走行するレールの候補であるレール候補を検出する(ステップS505)。本実施形態では、レール認識部202は、基準画像をエッジ強調画像に変換する。次いで、レール認識部202は、エッジ強調画像において、エッジ強度が予め設定されたエッジ強度より大きい画素とその周辺の画素のうち同様のエッジ強度を有する画素をグループ化した画素群のうち、鉄道車両RVの進行方向に向かって連なって線分を形成する画素群をレール候補として検出する。そして、レール認識部202は、検出したレール候補のうち、予め設定された評価条件を満たすレール候補を、レールとして検出する(ステップS506)。
【0032】
監視エリア認識部203は、レール認識部202により検出したレールを基準として、基準画像に対して、立体的な監視領域を設定する(ステップS507)。
図6は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における監視領域の設定方法の一例を説明するための模式図である。
図6に示すように、監視エリア認識部203は、レール認識部202により検出したレールR上における任意の設定位置Pに対して、当該設定位置Pにおける左右のレールRを結びかつ水平な線分を設定する。ここで、線分は、基準画像においてL画素の長さを持つものとする。そして、センサ10が有する撮像部のピッチ角、ヨー角、およびロール角が全て0°であり、鉄道車両RVが走行するレールRが狭軌である場合、水平方向の1画素当りの分解能は、(1067/L)ミリメートルとなる。
【0033】
または、監視エリア認識部203は、距離画像を用いて、設定位置Pの注目画素と対応画素との視差若しくは設定位置Pまでの距離を取得する。次いで、監視エリア認識部203は、視差または距離に応じた1画素当りの分解能を予め求めておき、取得した視差または距離に応じた1画素当りの分解能を特定する。そして、監視エリア認識部203は、特定した1画素当りの分解能を、設定位置Pにおける、水平方向の1画素当りの分解能としても良い。なお、センサ10の撮像素子の縦横比が1:1である場合、線分と直交する方向(すなわち、上下方向)の1画素当りの分解能は、水平方向の1画素当りの分解能と同じとなる。
【0034】
次いで、
図6に示すように、監視エリア認識部203は、実空間における車両限界の寸法(例えば、幅:3800mm、高さ:4300mm)、および基準画像の1画素当りの分解能に応じて、基準画像内の設定位置Pに対して、車両限界断面Xを設定する。本実施形態では、監視エリア認識部203は、車両限界の断面を模した領域を車両限界断面Xとして設定しているが、車両限界を特定可能とする領域を車両限界断面Xとして設定するものであれば、これに限定するものではない。例えば、監視エリア認識部203は、車両限界の断面に近似する矩形などの予め設定された形状の領域を車両限界断面Xとして設定しても良い。また、ここでは、基準画像に対して車両限界断面Xを設定する例について説明するが、基準画像に対して建築限界断面Yを設定する場合も同様である。その後、監視エリア認識部203は、基準画像内の設定位置Pを、鉄道車両RVの進行方向に沿って移動させながら、設定位置Pに対する車両限界断面Xの設定を繰り返すことによって、基準画像に対してトンネル形状の監視領域を設定する。
【0035】
さらに、監視エリア認識部203は、基準画像の1画素当りの分解能、および基準画像の下端(すなわち、センサ10の撮像範囲において手前側の端)から設定位置Pまでの画素数等に基づいて、設定位置Pまでの距離、または設定位置Pにおける注目画素と対応画素の視差を、設定位置P毎に求める。そして、監視エリア認識部203は、設定位置P毎に求めた距離または視差の値域を値域情報とする。また、監視エリア認識部203は、値域情報を監視エリア情報として、記憶部207に保存する。
【0036】
図5に戻り、支障物候補認識部204は、基準画像に対して、レール認識部202により検出したレールの上面に接する基準面を設定する(ステップS508)。これにより、レールよりも下方に存在し、支障物となる可能性が低い物体が支障物候補として検出されなくなるので、支障物の検知処理による処理負荷を軽減できる。
【0037】
図7は、第1の実施形態にかかる鉄道車両における基準面の設定処理の一例を説明するための図である。
図7に示すように、支障物候補認識部204は、レール認識部202により認識したレールRの上面のうち、センサ10から距離または視差が近い領域に接する面に近似する平面または曲面を基準面P1,P2とする。
【0038】
図5に戻り、次いで、支障物候補認識部204は、基準画像と参照画像との視差(または距離)を示す距離画像と、値域情報とに基づいて、基準画像の監視領域内に含まれる物体を、支障物候補として抽出する(ステップS509)。具体的には、支障物候補認識部204は、基準画像内の物体のうち、基準画像と参照画像との視差(または距離)が、値域情報が示す値域に含まれる物体を、支障物候補として抽出する。
【0039】
ところで、監視領域内に含まれる物体のうち、その一部だけが監視領域に入っている物体は、物体のサイズが予め設定されたサイズに満たない等の理由で支障物として検知されない可能性が高い。そのため、本実施形態では、支障物候補認識部204は、基準面より上方に存在する物体を支障物候補として抽出する。具体的には、支障物候補認識部204は、基準画像の監視領域内に含まれる物体のうち、基準面の手前に位置する物体、言い換えると、センサ10からの距離が基準面までの距離より短い物体(または、基準面の視差より大きい視差を有する物体)を支障物候補として抽出する。
【0040】
支障物判定部205は、支障物候補の大きさおよび支障物候補の移動ベクトルの少なくともいずれか一方に基づいて、支障物候補の中から、支障物を検知する(ステップS510)。本実施形態では、支障物判定部205は、支障物候補のうち、基準画像内における外接矩形の縦横比が極端に偏った支障物候補をノイズや外乱として棄却する。また、支障物判定部205は、支障物候補のうち、2フレーム以上の基準画像間における支障物候補の移動ベクトルを求め、移動ベクトルが下から上に向いている場合には鳥や煙等の外乱として棄却する。そして、支障物判定部205は、支障物候補のうち、棄却されずに残った支障物候補について、その重心位置が監視領域内に入っている支障物候補を、支障物として検知する。
【0041】
次いで、結果出力部206は、支障物判定部205による支障物の検知結果を表示装置40に出力して、支障物の検知結果を表示装置40に表示させる(ステップS511)。本実施形態では、結果出力部206は、支障物判定部205により支障物を検知したことや検知した支障物までの距離等を、支障物の検知結果として表示装置40に表示させる。また、結果出力部206は、支障物の検知結果を通知する音声を出力したり、鉄道車両RVの走行を制御する車両制御装置に対して、支障物の検知結果を出力したりする。さらに、結果出力部206は、支障物の検知結果を示す検知結果情報を記憶部207に保存する。また、結果出力部206は、検知結果情報を、外部の記憶部に保存することも可能である。これにより、外部装置は、鉄道車両RVの走行支障物検知装置20と通信できないオフラインの状態においても、外部の記憶部に記憶される検知結果情報を用いて、支障物の検知結果を解析できる。
【0042】
その後、画像取得部201は、支障物の検知処理の終了が指示されたか否かを判断する(ステップS512)。支障物の検知処理の終了が指示された場合(ステップS512:Yes)、画像取得部201は、新たなカラー画像および距離画像の取得を行わず、支障物の検知処理を終了させる。一方、支障物の検知処理の終了が指示されなかった場合(ステップS512:No)、画像取得部201は、ステップS501に戻り、新たなカラー画像および距離画像の取得を行う。
【0043】
このように、第1の実施形態にかかる鉄道車両RVによれば、鉄道車両RVの進行方向を撮像して得られるカラー画像を用いて、鉄道車両RVの走行の支障となる支障物を検知する場合に、カラー画像において支障物を検知する監視領域を動的かつ適切に設定して、支障物を検知することが可能となるので、鉄道車両RVの走行の支障となる支障物を高精度に検知することができる。
【0044】
(変形例)
本変形例は、カラー画像から複数のレールを検出した場合、レール毎に、当該レールを基準として監視領域を設定する例である。以下の説明では、第1の実施形態と異なる箇所について説明する。
【0045】
図8は、本変形例にかかる鉄道車両における監視領域の設定処理の一例を説明するための図である。
図8に示すように、監視エリア認識部203は、レール認識部202によって複数のレールR1,R2が検出された場合、複数のレールR1,R2それぞれについて、監視領域A1,A2を設定する。
【0046】
ただし、監視エリア認識部203は、レール認識部202によって複数のレールR1,R2のうち鉄道車両RVが走行するレールR1を特定可能な場合には、レールR1についてのみ監視領域(例えば、監視領域A1)を設定しても良い。これにより、レール認識部202によって複数のレールRが検出された場合に、複数のレールRのうちいずれか一つについて監視領域を設定すれば良いので、監視領域の設定処理による処理負荷を軽減できる。例えば、監視エリア認識部203は、鉄道車両RVが走行するレールRのポイント部分におけるレールRの向きや信号機の現示を画像から認識し、その認識結果に基づいて、鉄道車両RVが走行するレールRを特定する。または、監視エリア認識部203は、鉄道車両RVのダイヤに基づいて、鉄道車両RVが走行するレールRを特定しても良い。
【0047】
(第2の実施形態)
本実施形態は、鉄道車両が走行する走行区間のうち所定区間において、監視領域を拡大する例である。以下の説明では、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0048】
図9は、第2の実施形態にかかる鉄道車両が有する走行支障物検知装置の機能構成の一例を示す図である。
図9に示すように、本実施形態では、鉄道車両RVは、センサ10、走行支障物検知装置90、表示装置40、および記録装置30に加えて、位置計測装置60を有する。位置計測装置60は、鉄道車両RVの走行位置を計測する位置計測部である。ここで、位置計測装置60には、速度発電機(TG)や衛星測位システム(GNSS)を用いる。走行支障物検知装置90は、画像取得部201、レール認識部202、監視エリア認識部901、支障物候補認識部204、支障物判定部205、結果出力部206、および記憶部903を有する。
【0049】
例えば、歩行者や、二輪車、自動車等が線路上を往来して鉄道車両RVの走行に支障が発生し得る踏切、乗降客や荷物等が転落してレール上で鉄道車両RVの走行の支障となり得る駅ホーム等においては、車両限界や建築限界のみならず、その周辺の領域に存在する物体も支障物となり得る。
【0050】
そこで、監視エリア認識部901は、鉄道車両RVの走行区間のうち所定区間において、車両限界または建築限界の周囲の領域が監視領域に含まれるように、基準画像内の監視領域を拡大する。ここで、所定区間は、予め設定された区間であり、車両限界または建築限界の周囲に支障物となり得る物体が存在し易い領域である。これにより、車両限界または建築限界の周囲において支障物となり得る物体も支障物として検出可能となり、鉄道車両RVの周辺の状況も把握可能となるので、鉄道車両RVが踏切や駅ホーム等に接近してから物体が車両限界または建築限界に入り、鉄道車両RVとの接触につながるリスクを低減できる。
【0051】
よって、本実施形態では、監視エリア認識部901は、基準画像内の監視領域が所定区間内であるか否かを判別する必要がある。例えば、監視エリア認識部901は、カラー画像に基づいて、監視領域を設定する領域が所定区間か否かを判断する。具体的には、監視エリア認識部901は、駅のホーム、踏切、標識、信号等のシンボルが所定区間に存在する場合、パターン認識技術等によって、カラー画像からシンボルを検出することにより、所定区間の始点および終点を特定する。そして、監視エリア認識部901は、特定した始点と終点との間において、監視領域を拡大する。
【0052】
または、監視エリア認識部901は、カラー画像から、所定区間の周囲の構造物(例えば、駅ホームの端部、踏切特有の構造物)をシンボルとして検出して、所定区間の始点および終点を特定しても良い。または、地上側であってセンサ10によって撮像可能な位置に、所定区間の始点および終点を特定可能とする専用標識を設けても良い。そして、監視エリア認識部901は、パターン認識技術によって、カラー画像から、専用標識を認識した場合に、監視領域を設定する領域が所定区間であると判断して、監視領域を拡大しても良い。
【0053】
また、所定区間の近傍を走行する鉄道車両RVに対して、所定区間の位置(例えば、所定区間の始点および終点)を示す位置情報を、無線通信によって送信可能な通信機器(外部装置の一例)を、地上側に配置しても良い。この場合、監視エリア認識部901は、通信機器から位置情報を受信する。そして、監視エリア認識部901は、受信した位置情報が示す位置において、監視領域を拡大する。ここで、通信機器としては、トランスポンダ地上子やRFID(Radio Frequency Identifier)タグ等である。ただし、支障物は、200~300m手前で検出する必要があるため、通信機器は、所定区間の数百m手前に設置され、そこから数百m先の鉄道車両RVに対して位置情報を送信する必要がある。
【0054】
また、鉄道車両RVが位置計測装置60を有し、かつ記憶部903が、所定区間の位置情報(例えば、所定区間の始点および終点を示す拡張監視エリア情報)を記憶する場合、監視エリア認識部901は、位置計測装置60により計測される走行位置が、記憶部903に記憶される拡張監視エリア情報が示す始点と終点の間である場合に、監視領域を拡大しても良い。ここで、拡張監視エリア情報は、単位系(例えば、キロ程、経度および緯度)等によって、所定区間の始点および終点を示す情報である。
【0055】
図10は、第2の実施形態にかかる鉄道車両における監視領域の拡大例を示す図である。
図10に示すように、監視エリア認識部901は、監視領域を設定する領域が所定区間であると判断した場合、設定位置Pにおいて、建築限界断面Yおよび当該建築限界断面Yの周囲の周囲領域Y´を設定する。そして、監視エリア認識部901は、異なる設定位置Pについて求めた建築限界断面Yおよび周囲領域Y´を断面とするトンネル形状の領域を、監視領域として設定する。ここでは、カラー画像に対して建築限界断面Yおよび周囲領域Y´を設定する例について説明したが、カラー画像に対して車両限界断面Xおよび周囲領域を設定する場合も、同様にして、監視領域を設定する。
【0056】
このように、第2の実施形態にかかる鉄道車両RVによれば、車両限界または建築限界の周囲において支障物となり得る物体も支障物として検出可能となり、鉄道車両RVの周辺の状況も把握可能となるので、鉄道車両RVが踏切や駅ホーム等に接近してから物体が車両限界または建築限界に入り、鉄道車両RVとの接触につながるリスクを低減できる。
【0057】
以上説明したとおり、第1から第2の実施形態によれば、鉄道車両RVの走行の支障となる支障物を高精度に検知することができる。
【0058】
なお、本実施形態の走行支障物検知装置20,90で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されるが、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0059】
さらに、本実施形態の走行支障物検知装置20,90で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の走行支障物検知装置20,90で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0060】
本実施形態の走行支障物検知装置20,90で実行されるプログラムは、上述した各部(画像取得部201、レール認識部202、監視エリア認識部203,901、支障物候補認識部204、支障物判定部205、結果出力部206)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、画像取得部201、レール認識部202、監視エリア認識部203,901、支障物候補認識部204、支障物判定部205、結果出力部206が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
10 センサ
20,90 走行支障物検知装置
30 記録装置
40 表示装置
201 画像取得部
202 レール認識部
203,901 監視エリア認識部
204 支障物候補認識部
205 支障物判定部
206 結果出力部
R レール
RV 鉄道車両