(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/041 430
G06F3/041 450
(21)【出願番号】P 2017230306
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】角 忍
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 航
(72)【発明者】
【氏名】坂本 正則
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0131808(US,A1)
【文献】特開2014-192337(JP,A)
【文献】特開2004-363172(JP,A)
【文献】国際公開第2014/027418(WO,A1)
【文献】特許第5801020(JP,B2)
【文献】国際公開第2017/069114(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/024233(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に設けられ、タッチセンサ以外の機能を発揮する機能素子
を備え、
前記機能素子は、接続端子と、電極構造体と、を備え、
前記電極構造体は、前記接続端子に
積層された状態で接続され
たフレキシブルプリント基板(FPC)を備え、
前記FPCは、
タッチセンサ用のFPCとは別個独立し、第1面及び該第1面の反対側の面である第2面に電極が設けられており、各面における電極はスルーホールを介して相互に電気的接続されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
前記第1面は、該第1面に設けられた前記電極以外の部分も前記基材に接着されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記第1面の電極は、前記機能素子の接続端子と、電気的に接続されていることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第2面の電極は金(Au)めっきされていることを特徴とする請求項1
~3のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記第1面の電極は、平面視で面積の半分以上が前記機能素子の接続端子と、異方性導電膜にて接続されていることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記FPCは、ポリイミドからなり、前記第1面は、前記第1面の電極以外の部分はポリイミドが露出していることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記FPCの前記第2面の電極は、平面構造若しくはバンプ構造であることを特徴とする請求項1~
6のいずれか一項に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記電極構造体は、前記FPCの代替として金属プレートを備え、前記金属プレートは、銀ペーストまたは低融点ハンダにより前記機能素子の接続端子に接続されていることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示画面上に装着されて表示内容に対応して指示体の指示位置を検出する静電容量方式のタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の画像表示部にタッチパネル機能を設けた情報処理装置が開発され市場に提供されている。タッチパネル機能を設けた表示装置では、画面に表示された図や文字などのパターン上の位置を指やペンでタッチすることによって装置の操作が出来るものである。このような表示装置は、特に小型のノートパソコンや、タブレット、スマートフォン等の携帯型の情報処理装置に多く用いられている。
【0003】
図5は、一般的なスマートフォン100の鳥瞰図である。スマートフォン100は、外観を構成するフレーム(ケース、ハウジングと呼ばれる場合もある)からなる筐体42を備え、筐体42内には、表示パネル、プリント基板(PCB)等の電子部品が収納される。また、表示エリア(タッチエリア)44において画像表示を行い、表示エリア44を覆う形で、点線で囲むようなタッチ位置を検出するためのタッチセンサ領域43が配置 されている。スマートフォン100の一端部41には、アンテナ、スピーカー、カメラ、各種センサ等の付属機器が設けられる。
【0004】
図6は、従来のタッチパネル50の全体的な構成を例示する鳥瞰図である。フィルム基材51の表裏両側の面には、X方向 に延びる配線パターンからなるドライブ電極52がY方向に並び、Y方向に延びる配線パターンからなるセンシング電極53がX方向に並んでいる。各々のドライブ電極52 とセンシング電極53からは、タッチセンサ用の引き出し配線54、55(図示の都合上、一部の線を省略している)が引き出され、FPC(フレキシブルプリント基板)56に接続している。FPC56の配線の一方は異方性導電膜により引き出し配線54、55に接続され、他方はスマートフォンの筐体内にある、駆動回路が載ったPCB(不図示)に接続されている。
【0005】
近年、タッチパネルのタッチエリア領域やタッチエリア以外の領域に、アンテナ、各種センサ、カメラ、スピーカー等、様々な機能を持つ機能素子を形成して多機能化することが検討されている(特許文献1、2など)。例えば、無線用のWiFiアンテナをタッチパネル上に配線パターンと同じ材料で同時に形成する。しかしながら、現状、信号を外部に引き出すための構造としてはFPCが唯一の手段となっているため、アンテナの信号を外部に引き出すためにもFPC接続が必要となる。
図6では、機能素子パターン57-1と57-2の引き出し配線58-1、58-2がタッチセンサ用の引き出し配線54、55と同じくFPC56に接続している。
【0006】
前記のように機能素子用のFPCをタッチセンサ用のFPCと共用すると、引き出し配線58-1、58-2ために周辺に空間が必要となりタッチパネルの小型化を阻害する要因となるとともに、タッチエリア44の周辺や近傍へ機能素子を配置する自由度が小さくなる。一方で、機能素子用のFPCをタッチセンサ用FPCとは別とすると、FPC全体で占める面積が大きくなり、やはり小型化を阻害する要因となる。
【0007】
また、外部回路に対して接続を行う電極材料としてタッチパネルの配線材料であるITOやCuをそのまま使用すると、ITOは高抵抗であるため電流が流れる機能素子に使用することは不適当であり、また銅の場合は表面にCu2OやCuO等の酸化銅ができるため接触抵抗が大きくなり、そのままでは電極として使用しづらいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-002948号公報
【文献】特開2016-184277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、タッチセンサ以外の機能素子を備えていても、小型化を実現しつつ良好なオーミックコンタクト(直線的な電圧-電流特性)を有する電極構造体であるタッチパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係るタッチパネルの一態様は、
基材上に設けられ、接続端子を有しタッチセンサ以外の機能を発揮する機能素子と、
前記接続端子に接続される電極構造体と、を備え、
前記電極構造体は、 フレキシブルプリント基板(FPC)を備え、
前記FPCは、第1面及び該第1面の反対側の面である第2面に電極が設けられており、各面における電極はスルーホールを介して相互に電気的接続されていることを特徴とする。
【0011】
前記第1面の電極は、前記機能素子の接続端子と、電気的に接続されていることが好ましい。
【0012】
前記第2面の電極は金(Au)めっきされていることが好ましい。
【0013】
前記第1面の電極は、平面視で面積の半分以上が前記機能素子の接続端子と、異方性導電膜にて接続されていることが好ましい。
【0014】
前記FPCは、ポリイミドからなり、前記第1面は、前記第1面の電極以外の部分はポリイミドが露出していることが好ましい。
【0015】
前記FPCの前記第2面の電極は、平面構造若しくはバンプ構造であることが好ましい。
【0016】
前記電極構造体は、前記FPCの代替として金属プレートを備え、
前記金属プレートは、銀ペーストまたは低融点ハンダにより前記機能素子の接続端子に接続されていることが好ましい。
【0017】
さらに、前記金属プレートの、少なくとも前記機能素子の接続端子と接続しない側の面は、金(Au)めっきされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タッチセンサ以外の機能素子を備えていても、小型化を実現しつつ、良好なオーミックコンタクト(直線的な電圧-電流特性)を有する電極構造体であるタッチパネルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のタッチパネルの全体的な構成を例示する鳥瞰図である。
【
図2】本発明のタッチパネルの第1実施形態に係る、電極構造体の(a)模式断面図、(b)模式平面図 である。
【
図3】本発明のタッチパネルの第2実施形態に係る、電極構造体の模式断面図である。
【
図4】本発明のタッチパネルの第3実施形態に係る、電極構造体の模式断面図である。
【
図6】従来のタッチパネルの全体的な構成を例示する鳥瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係るタッチパネルについて図面を用いて説明する。同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付け、重複する説明は省略する。各図面において、見易さのため構成要素の厚さや比率は誇張されていることがあり、構成要素の数も減らして図示していることがある。また、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
図1は、本実施形態 のタッチパネルの全体的な構成を例示する鳥瞰図である。タッチパネル10には、PETフィルムからなる基材1上に機能素子パターン7-1、7-2が形成されている。機能素子パターン7-1、7-2は、タッチセンサ以外のアンテナや各種センサの機能を有する。機能素子パターン7-1、7-2は、電極構造体E1、E2 を備えている。
【0022】
図2は、本発明のタッチパネルの第1実施形態に係る、電極構造体S-1の(a)模式断面図、(b)模式平面図である。電極構造体S-1は、ポリイミド12を基材とするフレキシブルプリント基板(FPC)11を有する。FPC11は、ポリイミド12の両面にパターニングされた電極13、14を有する。ここで、説明の便宜上、FPC11において、電極13が設けられた面を第1面、電極14が設けられた面を第2面と記載する。なお、電極13、14は平面構造である。本実施形態の電極構造体S-1はFPC11の基材としてポリイミド12を用いているので、外部接続のための機械的な強度を有することができる。
【0023】
FPC11の 基材1側には、Cuなどでできた機能素子パターン7-1、7-2(
図1参照)の接続端子7eがある。FPC11の第1面の電極13は、機能素子パターン7-1、7-2の接続端子7eと、異方性導電フィルム(ACF)や異方性導電性ペースト(ACP)等の異方性導電膜15により接続される。ここで、異方性導電膜15は、FPC11の第1面の電極13と機能素子パターン7-1、7-2の接続端子7eとがZ方向に電気的に接続し、第1面の電極13がX-Y平面内では絶縁性を保つために用いられる。
【0024】
FPC11の第1面の電極13と第2面の電極14はスルーホール16を介して接続されている。これにより、電極構造体S-1は、機能素子パターン7-1、7-2の接続端子7eから、異方性導電膜15、FPC11の第1面の電極13、スルーホール16、FPC11の第2面の電極14にわたって電気的に接続される。そして、第2面の電極14から外部回路の端子、例えば凸型端子に接続を行うことができる。外部回路の端子として
は、例えばスマートフォンであればハウジング内部に形成された電気的接点等が挙げられる。
【0025】
FPC11の第2面の電極14は金属材によりめっきされている。これにより、外部接続端子との低い接触抵抗と良好なオーミックコンタクトをもつことができる。なお、本実施形態では、金属材として金(Au)を採用する。金であれば、酸化することがないため、接触時に発生する抵抗を抑え、高い信頼性を得ることができる。なお費用削減の観点を重視するのであれば、金の代替としてスズやニッケルを使用することも可能である。
【0026】
図2(b)は電極構造体S-1の平面図を示している。FPC11の第1面の電極13は、平面視で面積の半分以上が機能素子の接続端子7eと、異方性導電膜15にて接続されている 。これにより、FPC11の第1面の電極13と機能素子パターン7-1、7-2の接続端子7eとが、異方性導電膜15により、Z方向に十分な電気的接続を取ることができる。
【0027】
また、本実施形態のFPC11の第1面における電極13以外の部分は、ポリイミド12が露出している。これにより、ポリイミド12により非導通部の絶縁性を確保することが可能になる。また、ポリイミド12は接続端子7eが存在しない部分では、金属部分を介さず異方性導電膜15のみを介してPETからなるフィルム基材1と接着することになる。よって、外部回路と接続するための接着力が得られるとともに、機械的な強度が確保される。
【0028】
本実施形態において、FPC11の第2面には1組の電極14が設けられている。また、FPC11の第1面には複数の電極13が設けられている。各電極14は、複数の電極13が、スルーホールを介して接続されている。これはFPC11の第1面の電極13を複数に分割し、電極13が存在しない部分では、前記と同様に、金属部分を介さず異方性導電膜15のみを介してポリイミド12とPETからなるフィルム基材1が接着するようにするためである。
【0029】
図3は、本発明のタッチパネルの第2実施形態に係る、電極構造体S-2の断面図である。第2実施形態に係る電極構造体S-2では、FPC11の第2面の電極は、第1実施形態に係る電極構造体S-1のような平面構造ではなく、バンプ電極17となっている。つまり、
図2に示す第1実施形態に係る電極構造体S-1では、凸型の外部接続端子に対し第2面の電極14を平面構造にして接続を行う構成であった。これに対し、電極構造体S-2では第2面の電極をバンプ構造とし、外部の接続端子をフラットな構造にすることで、例えばPCBとの接続も可能としている。
【0030】
図4は、本発明のタッチパネルの第3実施形態に係る、電極構造体S-3の断面図である。第3実施形態に係る電極構造体S-3は、PETフィルムを基材1とすることは同じであるが、第1、第2の各実施形態に係る電極構造体S-1、S-2とは異なり、金属プレート18を備え、金属プレート18の一方の面が機能素子パターン7-1、7-2の接続端子7eと銀ペースト若しくは低融点ハンダにて直接接続している。このように金属プレート18を接続部にすることで、機械的な強度を一層高めて外部接続端子に接続することができる。
【0031】
金属プレート18の、少なくとも機能素子パターン7-1、7-2の接続端子7eと接続しない側の面、すなわち外部接続端子に接続する側の面は金(Au)めっきされていることが好ましい。これは、外部接続端子との低い接触抵抗と、良好なオーミックコンタクトをもつためである。
【0032】
以上説明したように、本発明のタッチパネルでは、タッチパネル上の電極構造体内のFPC若しくは金属プレートを介して外部回路との接続を行うので、従来のように、機能素子の接続端子との接続のために、外部にFPCの一部を引き出す必要がなく、タッチパネルの小型化が阻害されない。また、機能素子パターンの近傍に電極構造体を配置するので、駆動回路との距離を短くしたり、電極構造体から同軸ケーブル等の専用の配線で駆動回路まで配線できるため、外部回路との接続が確実で容易となる。
【符号の説明】
【0033】
10、50・・・タッチパネル
1、51・・・・フィルム基材
2、52・・・・ドライブ電極
3、53・・・・センシング電極
4、54・・・・ドライブ電極の引き出し配線
5、55・・・・センシング電極の引き出し配線
6、56・・・・FPC(フレキシブルプリント基板)
7-1、7-2、57-1、57-2・・・機能素子パターン
58-1、58-2・・・・機能素子の引き出し配線
E1、E2・・・電極構造体
S-1・・・・・第1実施形態のタッチパネルに係る電極構造体
S-2・・・・・第2実施形態のタッチパネルに係る電極構造体
S-3・・・・・第3実施形態のタッチパネルに係る電極構造体
7e・・・・・・機能素子接続端子
11・・・・・・FPC(フレキシブルプリント基板)
12・・・・・・ポリイミド
13・・・・・・第1面の電極
14・・・・・・第2面の電極
15・・・・・・異方性導電膜
16・・・・・・スルーホール
17・・・・・・バンプ電極
18・・・・・・金属プレート
19・・・・・・銀ペーストまたは低融点ハンダ
41・・・・・・スマートフォン一端部
42・・・・・・筐体
43・・・・・・タッチセンサ領域
44・・・・・・表示エリア
100・・・・・スマートフォン