(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
B66F9/24 Z
B66F9/24 L
(21)【出願番号】P 2019019648
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小野 琢磨
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-113230(JP,A)
【文献】特開2015-174705(JP,A)
【文献】特開2015-49651(JP,A)
【文献】特開2001-277969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台前側に配置した左右一対のリーチレグに沿って前後動するマストを備えるとともに前記マストの前方に左右一対のフォークを設けたリーチ式フォークリフトの荷役作業を支援するリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置であって、
前記リーチ式フォークリフトに搭載され、前記左右一対のリーチレグの先端部及びその前方を撮像するカメラと、
前記左右一対のリーチレグの少なくとも一方のリーチレグの先端部から左右外側に位置するレグ先ガイドを生成するレグ先ガイド生成部と、
前記カメラにて撮像された画像に前記レグ先ガイド生成部で生成したレグ先ガイドを重畳して表示する表示部と、
を備えることを特徴とするリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置。
【請求項2】
前記レグ先ガイドは線であることを特徴とする請求項1に記載のリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置。
【請求項3】
前記カメラは、荷役装置の可動部に取り付けられ、
リフト量及びリーチ量及びティルト量の少なくとも一つに応じてカメラの姿勢または前記レグ先ガイドの表示位置を補正することを特徴とする請求項1または2に記載のリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置。
【請求項4】
前記リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置は、リーチ式フォークリフト用遠隔操作システムに用いられるものであって、
前記リーチ式フォークリフト用遠隔操作システムは、前記リーチ式フォークリフトと、遠隔操作装置とを備え、
前記リーチ式フォークリフトは、機台に荷役装置を備えるとともに車両通信部を有し、
前記遠隔操作装置は、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記リーチ式フォークリフトの走行及び前記荷役装置による荷役を遠隔操作するのに用いられることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のフォークリフトの作業支援装置においては、カメラにより少なくともフォークの先端部を含む前方の視界を撮影するとともにタイヤ角を検出する。運転席の近傍にはモニタが配置されている。そして、検出されたタイヤ角で前進した際のフォークの先端部の予想軌跡を演算して、カメラによる映像をモニタに表示すると共に演算された予想軌跡をモニタ上に重畳表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リーチ式フォークリフトの荷役作業において、
図11(a)に示すように、荷降ろしの際には、ラックRにリーチ式フォークリフト100を接近するまで移動し、
図11(b)に示すようにリーチアウトしてマスト101を前方に移動させて荷WをラックR内に移動させる。このとき、
図12に示すように荷置き時にリーチレグ102の先端部(レグ先)がパレットPa若しくは荷Wの死角になり、ラックRとの距離が確認しにくい。
【0005】
本発明の目的は、荷置き時にリーチレグの先端部を容易に確認することができるリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するためのリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置は、機台前側に配置した左右一対のリーチレグに沿って前後動するマストを備えるとともに前記マストの前方に左右一対のフォークを設けたリーチ式フォークリフトの荷役作業を支援するリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置であって、前記リーチ式フォークリフトに搭載され、前記左右一対のリーチレグの先端部及びその前方を撮像するカメラと、前記左右一対のリーチレグの少なくとも一方のリーチレグの先端部から左右外側に位置するレグ先ガイドを生成するレグ先ガイド生成部と、前記カメラにて撮像された画像に前記レグ先ガイド生成部で生成したレグ先ガイドを重畳して表示する表示部と、を備えることを要旨とする。
【0007】
これによれば、左右一対のリーチレグの少なくとも一方のリーチレグの先端部から左右外側に位置するレグ先ガイドが生成され、表示部において、カメラにて撮像された画像にレグ先ガイドが重畳して表示される。よって、荷置き時にリーチレグの先端部を容易に確認することができる。
【0008】
また、リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置について、前記レグ先ガイドは線であるとよい。これによれば、リーチレグの先端部とラックとの距離をより確認しやすい。
また、リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置について、前記カメラは、荷役装置の可動部に取り付けられ、リフト量及びリーチ量及びティルト量の少なくとも一つに応じてカメラの姿勢または前記レグ先ガイドの表示位置を補正するとよい。これによれば、リフト動作やリーチ動作やティルト動作が行われてカメラとリーチレグ先端部の相対位置関係が変化しても、リーチレグの先端部とレグ先ガイドとの関係を保持することができる。
【0009】
また、リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置について、前記リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置は、リーチ式フォークリフト用遠隔操作システムに用いられるものであって、前記リーチ式フォークリフト用遠隔操作システムは、前記リーチ式フォークリフトと、遠隔操作装置とを備え、前記リーチ式フォークリフトは、機台に荷役装置を備えるとともに車両通信部を有し、前記遠隔操作装置は、前記車両通信部と無線通信を行う操作装置通信部を有し、前記リーチ式フォークリフトの走行及び前記荷役装置による荷役を遠隔操作するのに用いられるのが好ましい。これによれば、カメラの画像のみにしたがって遠隔操作する際に、荷置き時にリーチレグの先端部(レグ先)を容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、荷置き時にリーチレグの先端部を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】リーチ式フォークリフト用遠隔操作システムの電気的構成を示すブロック図。
【
図3】リーチ式フォークリフトの一部を破断して示す概略斜視図。
【
図4】リーチ式フォークリフトを模式的に示す平面図。
【
図5】作業場でのリーチ式フォークリフトを示す概略側面図。
【
図7】別例の表示部での表示内容を説明するための図。
【
図8】別例の表示部での表示内容を説明するための図。
【
図9】別例の表示部での表示内容を説明するための図。
【
図10】別例の表示部での表示内容を説明するための図。
【
図11】(a),(b)は課題を説明するための作業場でのリーチ式フォークリフトを示す概略側面図。
【
図12】課題を説明するための作業場でのリーチ式フォークリフトを示す概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態では、リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置は、リーチ式フォークリフト用遠隔操作システムに用いられるものである。
【0013】
図1に示すように、リーチ式フォークリフト用遠隔操作システム10は、リーチ式フォークリフト20と、リーチ式フォークリフト20の走行及び荷役装置による荷役を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置40と、を備えている。リーチ式フォークリフト20は作業場に配置される。そして、遠隔操作装置40を用いて操作室から作業場のリーチ式フォークリフト20を遠隔操作することができるようになっている、
作業場においてリーチ式フォークリフト20は荷を載せたパレットを搬送するが、操作者はリーチ式フォークリフト20を遠隔操作して、リーチ式フォークリフト20をラック(棚)まで走行させてラック内に荷を置く動作等を行わせる。
【0014】
図2、
図3に示すように、リーチ式フォークリフト20は機台21を備える。機台21の前側には左右一対のリーチレグ22a,22bが配置され、リーチレグ22a,22bは前方に向かって延びている。詳しくは、リーチレグ22aは進行方向右側に設けられ、リーチレグ22bは進行方向左側に設けられている。リーチレグ22a,22bの前部には前輪23a,23bが配設されている。詳しくは、右前輪23aは進行方向右側のリーチレグ22aに設けられ、左前輪23bは進行方向左側のリーチレグ22bに設けられている。このように、機台21の前側に左右一対の前輪23a,23bが設けられている。
【0015】
機台21の後部には、後輪24とキャスタホイール(補助輪)25が配設されている。後輪24は機台21の左方に設けられており、キャスタホイール25は機台21の右方に設けられている。後輪24は、駆動輪及び操舵輪である。右側のリーチレグ22aは先端部E1を有し、左側のリーチレグ22bは先端部E2を有する。
【0016】
図2に示すように、リーチ式フォークリフト20は、2つの前輪23a,23b、及び、1つの後輪24の3つの車輪で走行する。機台21には、リーチ式フォークリフト20の駆動源となる走行モータ26と、走行モータ26の電力源となるバッテリ27が搭載されている。そして、後輪24が走行モータ26により回転駆動される。
【0017】
リーチ式フォークリフト20は、機台21の前方に、荷役装置28を備える。荷役装置28は、リーチシリンダ(図示せず)の駆動により、各リーチレグ22a,22bに沿って前後動作するマスト29を備える。マスト29の前方には、左右一対のフォーク30a,30bがバックレスト31を介して設けられている。フォーク30a,30bは、マスト29に沿って昇降する。
【0018】
本実施形態のリーチ式フォークリフト20は、運転者が着座して操作することが可能に構成されている。なお、運転席の無い無人リーチ式フォークリフトであってもよい。
図3に示すように、リーチ式フォークリフト20は、立席タイプの運転室32を機台21の後部に備える。運転室32の前方及び左方には、ステアリングテーブル33a,33bが設けられている。運転室32の前方に位置するステアリングテーブル33aには、リーチ式フォークリフト20を走行動作させるディレクションレバー34、荷役装置28を動作させる複数の荷役レバー35が設けられている。ディレクションレバー34は、後輪24を回転駆動させて車両を走行させるべく操作される。運転室32の左方に位置するステアリングテーブル33bには、後輪24の操舵を行うハンドル36が設けられている。また、運転室32の床面にはブレーキペダル37が備えられている。
【0019】
運転室32は、機台21において立設された2本のピラー38と、ピラー38の上端に固定されたヘッドガード39とにより囲まれている。
図1に示すように、リーチ式フォークリフト20は、フォークリフト搭載機器50として、コントローラ51と、車両通信部としての無線ユニット52と、画像処理部53と、車両通信部としての無線機54と、カメラ71,72,73を有する。
【0020】
遠隔操作装置40は、コントローラ61と、操作部62と、表示部(モニタ)63と、操作装置通信部としての無線機64,65を有する。遠隔操作装置40において、操作室側機器60として、コントローラ61と操作部62と表示部(モニタ)63を備える。
【0021】
遠隔操作装置40の無線機64は作業場に配置されている。また、遠隔操作装置40の無線機65は作業場に配置されている。操作室に配置されるコントローラ61は有線L1により作業場に配置した無線機64と接続されている。コントローラ61は有線L2により作業場に配置した無線機65と接続されている。
【0022】
作業場において、遠隔操作装置40の無線機64とフォークリフト搭載機器50の無線ユニット52とは双方向に無線通信できる。また、作業場において、フォークリフト搭載機器50の無線機54から遠隔操作装置40の無線機65に無線で通信できる。
【0023】
このようにして、リーチ式フォークリフト20は無線ユニット52及び無線機54を有し、遠隔操作装置40は、無線ユニット52及び無線機54と無線通信を行う無線機64,65を有する。
【0024】
遠隔操作装置40のコントローラ61は操作部62及び表示部(モニタ)63と接続されている。操作部62は、操作者によりリーチ式フォークリフト20を遠隔操作するためのものであり、操作者によるリーチ式フォークリフト20の操作内容(リフト、リーチ、ティルトの操作指令値、及び、速度、加速度、操舵角の操作指令値等)がコントローラ61に送られる。コントローラ61は、リフト、リーチ、ティルトの操作指令値、及び、速度、加速度、操舵角の操作指令値等の車両制御信号を、無線機64を介してフォークリフト搭載機器50の無線ユニット52に無線送信する。
【0025】
フォークリフト搭載機器50において、コントローラ51と無線ユニット52と画像処理部53とは、それぞれ相互に通信(例えばCAN通信)可能に接続されている。コントローラ51は遠隔操作装置40側からの指示により走行系アクチュエータ(走行モータ26、図示しない操舵モータ等)及び荷役系アクチュエータ(図示しないリフトシリンダ、リーチシリンダ、ティルトシリンダ等)を駆動することができる。
【0026】
無線ユニット52は、リーチ式フォークリフト20の車速等の車両情報、異常情報(障害物検知情報等)を、無線機64を介してコントローラ61に無線送信する。
図1において、コントローラ61は、無線機64、無線ユニット52及びコントローラ51を介してリーチ式フォークリフト20の走行及び荷役装置28による荷役を遠隔操作することができるようになっている。つまり、
図3での操作部(ディレクションレバー34、荷役レバー35、ハンドル36、ブレーキペダル37等)に代わり遠隔操作装置40の操作部62により遠隔操作することができるようになっている。
【0027】
そして、遠隔操作装置40において、操作部62を用いて操作者が所望の操作を行うとコントローラ61により操作内容が無線機64を介してリーチ式フォークリフト20側に送られる。リーチ式フォークリフト20において、無線ユニット52で遠隔操作装置40からの操作内容が受信され、コントローラ51によりアクチュエータ部が駆動されて所望の動作が実行される。
【0028】
図4に示すように、リーチ式フォークリフト20は、機台21において右の後角部P1及び左の後角部P2を有する。
図2及び
図4に示すように、リーチ式フォークリフト20においてヘッドガード39の前部にカメラ71が前方下方を向くように取り付けられており、カメラ71は、リーチ式フォークリフト20の周囲を撮像する。具体的には、カメラ71は、リーチ式フォークリフト20の進行方向前方の床面を撮像する。また、リーチ式フォークリフト20においてヘッドガード39の右側後部にカメラ72が下方を向くように取り付けられており、カメラ72は、リーチ式フォークリフト20の周囲を撮像する。具体的には、カメラ72は、機台21の右の後角部P1付近を上から撮像する。リーチ式フォークリフト20においてヘッドガード39の左側後部にカメラ73が下方を向くように取り付けられており、カメラ73は、リーチ式フォークリフト20の周囲を撮像する。具体的には、カメラ73は、機台21の左の後角部P2付近を上から撮像する。
【0029】
図1に示すように、リーチ式フォークリフト20において、カメラ71,72,73により撮像された画像はコントローラ51により画像処理部53及び無線機54を介して遠隔操作装置40側に送られる。遠隔操作装置40において、無線機65でリーチ式フォークリフト20からのカメラ画像が受信されてコントローラ61により表示部63で表示される。表示部63は、例えばディスクトップ型ディスプレイである。
【0030】
遠隔操作装置40に設けられる表示部63において、カメラ71,72,73にて撮像された画像が表示される。操作者は表示部63におけるカメラ71,72,73の画像を見ながら操作することになる。
【0031】
リーチ式フォークリフト20に搭載されたカメラ71は、
図5に示すように、左右一対のリーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2及びその前方を撮像する。カメラ71はヘッドガード39に取り付けられており、カメラ71とリーチレグ22a,22bとの相対位置は変わらない。
【0032】
コントローラ61は、
図6に示すように、リーチレグ22a,22bの先端部E1,E2の延長線であるレグ先ガイド線Lgを生成し、レグ先ガイド線Lgは、リーチレグ22a,22bの先端部E1,E2の左右外側に位置する部位を含んでいる。したがって、コントローラ61がレグ先ガイド生成部となる。レグ先ガイド線Lgは、右側のリーチレグ22aの先端部E1から右側に延びる右側レグ先ガイド線Lg1と、左側のリーチレグ22bの先端部E2から左側に延びる左側レグ先ガイド線Lg2と、右側のリーチレグ22aの先端部E1と左側のリーチレグ22bの先端部E2との間において延びる中央レグ先ガイド線Lg3を有する。
【0033】
図6に示すように、表示部63において、カメラ71にて撮像された画像にコントローラ61で生成したレグ先ガイド線Lg(Lg1,Lg2,Lg3)を重畳して表示する。
次に、作用について説明する。
【0034】
前方をカメラ71で撮像するとともに、リーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2の延長線であるレグ先ガイド線Lg(Lg1,Lg2,Lg3)をガイド表示する。これにより、リーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2とラックRの距離ΔL(
図6参照)が分かりやすくなる。つまり、前方をカメラ71で撮像し、ラックRとの距離が分かるようにリーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2の位置をガイド表示する。
【0035】
今、
図5に示すように、パレットPaに荷Wが載せられ、フォーク30a,30bがパレットPaの穴に差し込まれて搬送し、荷降ろしの際には、リーチ式フォークリフト20がラックRに接近するまで移動する。
【0036】
そして、リーチアウトしてマスト29を前方に移動させて荷WをラックR内に移動させる。
このとき、
図5に示すように、荷置き時に、リーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2がパレットPa及び荷Wの死角になり、ラックRとの距離が確認しにくい。
【0037】
ここで、本実施形態においては、
図6に示すように、左右一対のリーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2の左右外側に位置するレグ先ガイドとしてのレグ先ガイド線Lg(Lg1,Lg2,Lg3)が表示部63において、カメラ71にて撮像された画像に重畳して表示される。
【0038】
これにより、荷置き時にリーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2を容易に確認することができる。その結果、リーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2とラックRの距離ΔLが分かりやすくなり、荷置きの操作性が向上する。
【0039】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)リーチ式フォークリフト20の荷役作業を支援するリーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置の構成として、機台前側に配置した左右一対のリーチレグ22a,22bに沿って前後動するマスト29を備えるとともにマスト29の前方に左右一対のフォーク30a,30bを設けたリーチ式フォークリフト20の荷役作業を支援する。リーチ式フォークリフト20に搭載され、左右一対のリーチレグ22a,22bの先端部E1,E2及びその前方を撮像するカメラ71を備える。左右一対のリーチレグ22a,22bの先端部E1,E2から左右外側に位置するレグ先ガイドとしてのレグ先ガイド線Lg(Lg1,Lg2,Lg3)を生成するレグ先ガイド生成部としてのコントローラ61を備える。カメラ71にて撮像された画像にコントローラ61で生成したレグ先ガイド線Lg(Lg1,Lg2,Lg3)を重畳して表示する表示部63を備える。よって、荷置き時にリーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2を容易に確認することができる。
【0040】
(2)レグ先ガイドLg1,Lg2,Lg3は線であるので、分かりやすい。つまり、リーチレグの先端部とラックとの距離をより確認しやすい。
(3)リーチ式フォークリフト用荷役作業支援装置は、リーチ式フォークリフト用遠隔操作システム10に用いられるものであって、リーチ式フォークリフト用遠隔操作システム10は、リーチ式フォークリフト20と、遠隔操作装置40とを備える。リーチ式フォークリフト20は、機台21に荷役装置28を備えるとともに車両通信部としての無線ユニット52及び無線機54を有する。遠隔操作装置40は、車両通信部としての無線ユニット52及び無線機54と無線通信を行う操作装置通信部としての無線機64,65を有し、リーチ式フォークリフト20の走行及び荷役装置28による荷役を遠隔操作するのに用いられる。よって、カメラの画像のみにしたがって遠隔操作する際に、荷置き時にリーチレグ22a,22bの先端部(レグ先)E1,E2を容易に確認することができる。
【0041】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○
図6では、レグ先ガイドとしてのレグ先ガイド線Lgは、右側レグ先ガイド線Lg1と左側レグ先ガイド線Lg2と中央レグ先ガイド線Lg3を有していた。これに代わり、
図7に示すように、レグ先ガイドとしてのレグ先ガイド線Lgは、右側レグ先ガイド線Lg1及び左側レグ先ガイド線Lg2のみを有する構成としてもよい。
【0042】
他にも、
図8に示すように、レグ先ガイドとしてのレグ先ガイド線Lgは、右側レグ先ガイド線Lg1のみを有する構成としてもよい。他にも、レグ先ガイドとしてのレグ先ガイド線Lgは、左側レグ先ガイド線Lg2のみを有する構成としてもよい。
【0043】
要は、レグ先ガイドは、左右一対のリーチレグ22a,22bの少なくとも一方のリーチレグの先端部から左右外側に位置するものであればよい。
○ レグ先ガイドは線であったが、これに代わり、次のようにしてもよい。
【0044】
例えば、
図9に示すように、線でなく、明暗によるレグ先ガイド(明暗の境界Bt)であってもよい。コントローラ61は、境界Btの前後でコントラストを変更することにより画面に明暗を生じさせる。詳しくは、レグ先ガイドは明暗の境界Btであり、この境界Btの前側が明るく、後ろ側が暗くなっている。
【0045】
他にも、
図10に示すように、線でなく、レグ先ガイドマークMg1,Mg2であってもよい。詳しくは、レグ先ガイドマークMg1,Mg2は三角形をなし、右のリーチレグ22aの先端部E1から右外側にレグ先ガイドマークMg1が位置し、左のリーチレグ22bの先端部E2から左外側にレグ先ガイドマークMg2が位置している。
【0046】
このように、レグ先ガイドは線に代わり、画像の濃淡であってもよいし、他にも、点による図形等であってもよい。
○ 左右一対のリーチレグ22a,22bの先端部E1,E2及びその前方を撮像するカメラ71は、固定カメラであったが、荷役装置28の可動部であるマスト29にカメラ(
図2において仮想線で示すカメラ75)を取り付けたり、荷役装置28の可動部であるバックレスト31にカメラ(
図2において仮想線で示すカメラ76)を取り付けてもよい。このとき、リフト動作やリーチ動作やティルト動作によって、カメラとリーチレグ先端部E1,E2の相対位置関係が変化するので、リフト動作やリーチ動作やティルト動作が行われてもリーチレグ22a,22bの先端部E1,E2とレグ先ガイドとの関係を保持するようにする。
【0047】
具体的には、例えば、
図1において仮想線で示すようにフォークリフト搭載機器50として、カメラ姿勢調整機構55を設けるとともに、車両側にリフト量、リーチ量、ティルト量を検出するセンサを設ける。そして、コントローラ51がリフト量、リーチ量、ティルト量に応じてカメラ姿勢調整機構55を駆動してカメラの姿勢を補正する。例えば、マスト29にカメラ75を取り付けた場合において、リーチ量及びティルト量に応じてカメラ姿勢調整機構55を駆動してカメラ75の姿勢を補正する。また、バックレスト31にカメラ76を取り付けた場合において、リフト量、リーチ量及びティルト量に応じてカメラ姿勢調整機構55を駆動してカメラ76の姿勢を補正する。これにより、リーチレグ22a,22bの先端部E1,E2の位置とレグ先ガイドの位置とを一致させる。
【0048】
また、直接、リフト量、リーチ量、ティルト量に応じてカメラ姿勢調整機構55がカメラの姿勢を補正するようにしてもよい。
他にも、コントローラ51がリフト量、リーチ量、ティルト量に応じてガイドの表示位置を補正してリーチレグ22a,22bの先端部E1,E2の位置とレグ先ガイドの位置とを一致させてもよい。
【0049】
このように、カメラは、荷役装置の可動部としてのマスト29またはバックレスト31に取り付けられ、リフト量及びリーチ量及びティルト量の少なくとも一つに応じてカメラの姿勢またはレグ先ガイドの表示位置を補正するようにしてもよい。これによれば、リフト動作やリーチ動作やティルト動作が行われてカメラとリーチレグ先端部の相対位置関係が変化しても、リーチレグの先端部とレグ先ガイドとの関係を保持することができる。
【0050】
○ パレットを用いないで荷を搬送する場合にも有用である。
○ リーチ式フォークリフト用操作支援装置はリーチ式フォークリフト用遠隔操作システムに用いられるものであったが、これに限るものではない。例えば、有人リーチ式フォークリフトに用いてもよい。つまり、カメラを搭載した無人リーチ式フォークリフトと、表示部を有する遠隔操作装置とを備えるのではなく、例えば、カメラと表示部を搭載した有人リーチ式フォークリフトに適用してもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…リーチ式フォークリフト用遠隔操作システム、20…リーチ式フォークリフト、21…機台、22a,22b…リーチレグ、28…荷役装置、29…マスト、30a,30b…フォーク、31…バックレスト、40…遠隔操作装置、52…無線ユニット、54…無線機、61…コントローラ、63…表示部、64,65…無線機、71…カメラ、Bt…濃淡の境界、E1,E2…先端部、Lg…レグ先ガイド線、Lg1…右側レグ先ガイド線、Lg2…左側レグ先ガイド線、Lg3…中央レグ先ガイド線、Mg1,Mg2…レグ先ガイドマーク。