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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】開閉体の開閉機構
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
H01R33/76 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017252362
(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公開番号】P2019117769
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(72)【発明者】
【氏名】羽中田 吏
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/018154(WO,A1)
【文献】実開平01-129037(JP,U)
【文献】特開2010-170980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部にレバー部材が第1軸により回動自在に支持され、
前記レバー部材にリンクプレートが第2軸により取り付けられ、
前記リンクプレートにカバー部材が第3軸により取り付けられ、
前記レバー部材が閉じる方向に前記第1軸の第1軸線周りに回動することで、前記第2軸を介して前記リンクプレートが動作し、
前記リンクプレートが動作することで、前記第3軸を介して前記カバー部材が押し下げられ
前記第3軸は、前記ベース部に昇降可能に支持されていることを特徴とする開閉体の開閉機構。
【請求項2】
前記レバー部材が開いた状態で前記第2軸が前記第1軸の横側に配置され、前記レバー部材が閉じる方向に前記第1軸の第1軸線周りに回動することで、前記第2軸が前記第1軸の下に移動することを特徴とする請求項1に記載の開閉体の開閉機構。
【請求項3】
前記第2軸の第2軸線が、前記第1軸の第1軸線の一方側の前記側方から真下を越えて他方側まで移動することを特徴とする請求項2に記載の開閉体の開閉機構。
【請求項4】
ベース部にレバー部材が第1軸により回動自在に支持され、
前記レバー部材にリンクプレートが第2軸により取り付けられ、
前記リンクプレートにカバー部材が第3軸により取り付けられ、
前記レバー部材が閉じる方向に前記第1軸の第1軸線周りに回動することで、前記第2軸を介して前記リンクプレートが動作し、
前記リンクプレートが動作することで、前記第3軸を介して前記カバー部材が押し下げられ、
前記リンクプレートが複数設けられ、
前記レバー部材が前記複数のリンクプレートに挟まれて配置され、
前記複数のリンクプレートの第1逃げ孔に前記第1軸を貫通させ、
前記レバー部材の第3逃げ孔に前記第3軸を貫通させたことを特徴とする開閉体の開閉機構。
【請求項5】
前記ベース部は複数のベース連結片を有し、前記複数のベース連結片間に前記複数のリンクプレート及び前記レバー部材が配置されるとともに前記第1軸が架設されていることを特徴とする請求項に記載の開閉体の開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部に対して開閉するカバー部材と、カバー部材を押し下げるレバー部材と、を備えた開閉体の開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベース部に対してカバー部材が開閉可能に設けられ、カバー部材を閉じた状態でレバー部材を操作することで、カバー部材をベース部側に押し下げるように構成された各種の開閉体が存在する。
例えば半導体装置(以下「ICパッケージ」という)等の電気部品を電気的に接続するための電気部品用ソケットとして、コンタクトピンが配置されたICソケットが知られている。
【0003】
ICソケットは、多数のコンタクトピンを配置したソケット本体が配線基板上に配置されていて、検査対象であるICパッケージが装着されると、ICパッケージの端子と配線基板の電極とがコンタクトピンを介して電気的に接続されて、導通試験等の試験を行えるようになっている。
【0004】
このようなICソケットとして、ソケット本体にICパッケージを収容してカバー部材を閉じ、レバー部材によりカバー部材を押し下げることで、ICパッケージの多数の端子を各コンタクトピンに接触させるように構成されたクラムシェルタイプのものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4025323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来の特許文献1のようなクラムシェルタイプの電気部品用ソケットなどに用いられた開閉機構では、ソケット本体にカバー部材の基端部が回動可能に連結され、このカバー部材の先端部にレバー部材の基端部が回動可能に連結していて、レバー部材の基端部にソケット本体に係止する係止構造が設けられていた。
【0007】
このソケット本体に電気部品を収容してカバー部材で押圧して装着するには、電気部品を収容後にカバー部材を回動させて閉じ、レバー部材の係合部をソケット本体に係止させて回動することで、係合部の形状によりカバー部材を押し下げ、電気部品をコンタクトピンに押し付けていた。
【0008】
このとき多数のコンタクトピンの反力がカバー部材に負荷されているため、レバー部材には開く方向に反力が負荷される。そのため電気部品を大型化するなどにより端子が増えるとコンタクトピンも増え、ソケット本体側からカバー部材に受ける力が増加する。すると、レバー部材によりカバー部材を押し下げ難くなり、レバー部材の操作性が悪化するなどの問題点があった。
【0009】
そこで本発明では、ベース部側からカバー部材に受ける力が増加してもレバー部材によりカバー部材を押し下げ易くでき、レバー部材の操作性を向上することが可能な開閉体の開閉機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、ベース部にレバー部材が第1軸により回動自在に支持され、前記レバー部材にリンクプレートが第2軸により取り付けられ、前記リンクプレートにカバー部材が第3軸により取り付けられ、前記レバー部材が閉じる方向に前記第1軸の第1軸線周りに回動することで、前記第2軸を介して前記リンクプレートが動作し、前記リンクプレートが動作することで、前記第3軸を介して前記カバー部材が押し下げられ、前記第3軸は、前記ベース部に昇降可能に支持されていることを特徴としている。
【0011】
また請求項2に記載の開閉体の開閉機構は、請求項1に記載の発明に加えて前記レバー部材が開いた状態で前記第2軸が前記第1軸の横側に配置され、前記レバー部材が閉じる方向に前記第1軸の第1軸線周りに回動することで、前記第2軸が前記第1軸の下に移動することを特徴としている。
【0012】
また請求項に記載の開閉体の開閉機構は、請求項に記載の発明に加えて、前記第2軸の第2軸線が、前記第1軸の第1軸線の一方側の前記側方から真下を越えて他方側まで移動することを特徴としている。
【0013】
また請求項に記載の開閉体の開閉機構は、ベース部にレバー部材が第1軸により回動自在に支持され、前記レバー部材にリンクプレートが第2軸により取り付けられ、前記リンクプレートにカバー部材が第3軸により取り付けられ、前記レバー部材が閉じる方向に前記第1軸の第1軸線周りに回動することで、前記第2軸を介して前記リンクプレートが動作し、前記リンクプレートが動作することで、前記第3軸を介して前記カバー部材が押し下げられ、前記リンクプレートが複数設けられ、前記レバー部材が前記複数のリンクプレートに挟まれて配置され、前記複数のリンクプレートの第1逃げ孔に前記第1軸を貫通させ、前記レバー部材の第3逃げ孔に前記第3軸を貫通させたことを特徴としている。
【0014】
また請求項に記載の開閉体の開閉機構は、請求項に記載の発明に加えて、前記ベース部は複数のベース連結片を有し、前記複数のベース連結片間に前記複数のリンクプレート及び前記レバー部材が配置されるとともに前記第1軸が架設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、ベース部に第1軸により回動可能に支持されたレバー部材とカバー部材とが、第2軸及び第3軸によりリンクプレートに取付けられており、レバー部材を閉じる方向に回動させるとリンクプレートが動作し、これによりカバー部材が押し下げられるように構成されている。
そのためカバー部材に受けた力はリンクプレートを介してレバー部材に負荷されることになり、リンクプレート及び第2、3軸の配置により、レバー部材に負荷される力を軽減することができる。
従って、ベース部側からカバー部材に受ける力が増加してもレバー部材によりカバー部材を押し下げ易くでき、レバー部材の操作性を向上することが可能な開閉体の開閉機構を提供することができる。
【0016】
また請求項に記載の発明によれば、リンクプレートにカバー部材を取り付けるための第3軸が、ベース部に昇降可能に支持されているので、カバー部材をベース部に直接連結できるとともに所定位置で昇降させることができる。そのためカバー部材をベース部に対して所定位置で開閉して昇降させることができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、レバー部材が開いた状態で第2軸が第1軸の横側に配置され、レバー部材が閉じる方向に第1軸の第1軸線周りに回動することで、第2軸が第1軸の下に移動する。そのためカバー部材に上向きの力が負荷されていると、この上向きの力が第3軸及びリンクプレートを介して第2軸に伝わる。第2軸が第1軸の横側に配置されている間はレバー部材を開く方向に負荷されて、この上向きの力に抗してレバー部材を操作することが必要である。ところがレバー部材を第1軸線周りに回動させて第2軸を第1軸の下に潜り込ませると、カバー部材からの上向きの力が第1軸により多く支持されるため、レバー部材を開く方向に負荷される力が減少する。そのため閉じる方向により多く回動させることで、レバー部材の操作力を軽減することが可能となる。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、第2軸の第2軸線が第1軸の第1軸線の一方側から真下を越えて他方側まで移動するので、レバー部材を閉じる方向に回動させて第1軸線の真下を越えると、カバー部材からの上向きの力がリンクプレートの第1軸線を越えた反対側に負荷される。するとリンクプレートを逆方向に回転させるように負荷されてレバー部材が閉じる方向に付勢される。そのためカバー部材を閉じるように回動させたレバー部材にさらに閉じる方向の力が負荷されることで、レバー部材を恰もロックすることができる。
【0019】
請求項に記載の発明によれば、リンクプレートが複数設けられ、レバー部材が複数のリンクプレートに挟まれて配置されているので、カバー部材に受けた力がレバー部材の両側のリンクプレートに伝わり、レバー部材には両側のリンクプレートからこの力がバランスよく負荷される。そのためカバー部材から大きな力が負荷されてもレバー部材を円滑に操作でき、操作性を確保できる。
また複数のリンクプレート間にレバー部材が配置され、複数のリンクプレートの第1逃げ孔に第1軸を貫通させるとともに、レバー部材の第3逃げ孔に第3軸を貫通させているので、複数のリンクプレートとレバー部材とが組み合わされた構造となり、相互に補強して強度を確保できる。そのためカバー部材から大きな力が負荷されても変形等が生じ難く、レバー部材の操作性を確保できる。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、ベース部が複数のベース連結片を有し、複数のベース連結片間に複数のリンクプレート及びレバー部材が配置されるとともに第1軸が架設されているので、複数のリンクプレート及びレバー部材を安定して支持することができ、カバー部材から大きな力が負荷されても安定した操作が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係るICソケットの上部側を示し、開閉機構が開いた状態における正面側の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るICソケットの上部側を示し、開閉機構を開いた状態における背面側の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るICソケットの上部側を示し、カバー部材を閉じた状態における背面側の斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るICソケットの上部側を示し、カバー部材及びレバー部材を閉じた状態における背面側の斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るICソケットの開閉機構の部分斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るICソケットの分解斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るソケット本体のベース部の部分斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るICソケットのカバー部材の部分斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係るICソケットのレバー部材の部分斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係るICソケットの開閉機構の拡大分解斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係るICソケットの回動リンク機構の斜視図である。
図12】本発明の実施形態に係るICソケットの押圧手段の幅方向の縦断面図であり、(a)はレバー部材を開いた状態を示し、(b)はレバー部材を閉じた状態を示す。
図13】本発明の実施形態に係るICソケットの押圧手段の前後方向の縦断面図であり、(a)はレバー部材を全開した状態、(b)はレバー部材を半開した状態、(c)はレバー部材を全閉した状態をそれぞれ示している。
図14】本発明の実施形態に係るICソケットの付勢手段を説明するための部分透視図である。
図15】本発明の実施形態に係るICソケットの付勢手段の動作を説明する図であり、カバー部材が全閉した状態を示す。
図16】本発明の実施形態に係るICソケットの付勢手段の動作を説明する図であり、カバー部材が半開した状態を示す。
図17】本発明の実施形態に係るICソケットの付勢手段の動作を説明する図であり、カバー部材が全開した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
図1図19にこの発明の実施の形態を示す。
【0023】
この実施の形態の「電気部品用ソケット」としてのICソケット10は、図示しない配線基板上に配置されて、例えばICパッケージに対するバーンイン試験等の導通試験の試験装置などに用いられるものである。
図1及び図2に示すように、ICソケット10は上面に「電気部品」としてのICパッケージ11を収容するソケット本体13と、ソケット本体13に収容されたICパッケージ11を押圧するカバー部材15と、カバー部材15を押圧するためのレバー部材17と、カバー部材15を開く方向に付勢するバネ部材21と、を備えている。
【0024】
この実施形態のICソケット10は、ソケット本体13にカバー部材15及びレバー部材17が回動して開閉可能に装着された開閉体を構成している。図1図4に示すように、このICソケット10はソケット本体13のベース部23の一方の縁側にカバー部材15及びレバー部材17が回動可能に連結された開閉機構を備えている。
以下の記載では、カバー部材15及びレバー部材17を回動可能にソケット本体13に連結している側縁側を基端側とし、反対側となる側縁側を先端側として説明する。
【0025】
開閉機構には、図5、6に示すように、カバー部材15を閉じた状態で、レバー部材17を閉じていくことでカバー部材15を押し下げる押圧手段25が設けられるとともに、図14に示すように、カバー部材15をが開く方向に付勢する付勢手段27が設けられている。
【0026】
まずソケット本体13は、図1に示すように、金属製のベース部23と、ベース部23の内側に配設されて多数のコンタクトピン19aが配置されたコンタクトピンユニット19と、を有している。
コンタクトピンユニット19の上部側には、ICパッケージ11の収容部位が設けられている。収容部位に配置されたICパッケージ11が上方から押し下げられることで、ICパッケージ11の下面の端子が多数のコンタクトピン19aと接触可能となっている。
【0027】
図7に示すベース部23は、コンタクトピンユニット19を囲んで支持するように枠状に形成されている。基端側の両端部には、押圧手段25を介してベース部23にカバー部材15及びレバー部材17を連結するための複数のベース連結片23aがそれぞれ立設されている。各ベース連結片23aはカバー部材15及びレバー部材17の回動方向に沿う平板状に形成されて、互いに平行に配置されている。
【0028】
ベース部23の先端側には、カバー部材15を閉じたときにカバー先端部15cを支持するための先端支持部23cが設けられてる。先端支持部23cは、屈曲した開口溝形状に形成されており、カバー部材15の先端側を回動方向に上向きに当接して支持する水平方向の当接支持部23dと、カバー部材15の先端側を閉じる際に、一方の縁側に押圧して弾性変位させつつ当接支持部23dに案内するテーパー形状の案内部23eと、を有している。
【0029】
カバー部材15は、図1~4に示すように、ソケット本体13に収容されたICパッケージ11を押圧可能に形成され、カバー基端部15bが押圧手段25を介してソケット本体13に開閉可能に連結されている。
図8に示すように、カバー部材15は、カバー基端部15bに複数のカバー連結片15aを有する。複数のカバー連結片15aは、それぞれカバー部材15及びレバー部材17の回動方向に沿う平板状に形成され、互いに平行に配置されている。これらのカバー連結片15aはソケット本体13のベース部23に設けられた一対のベース連結片23aの両外側に配置されている。
【0030】
一方、カバー部材15のカバー先端部15cには、図1に示すように、ベース部23における先端支持部23cの当接支持部23dに係脱可能な可動被支持部15dが設けられている。可動被支持部15dは先端支持部23cに挿入可能な軸体15eを有している。軸体15eはカバー基端部15b側からカバー先端部15c側に向けて付勢されており、例えばレバー部材17の先端側に設けられた操作片17cを操作することで、付勢力に抗して軸体15eを変位させることが可能となっている。
【0031】
レバー部材17は、カバー部材15を閉じた状態で操作することでカバー部材15を押圧可能に形成されており、基端側か押圧手段25を介してソケット本体13に連結されている。
図9に示すように、レバー部材17は、基端側にレバー連結片17aを有している。レバー連結片17aはカバー部材15及びレバー部材17の回動方向に沿う平板状に形成されている。
レバー連結片17aは、図5及び図10に示すように、カバー部材15の一対のカバー連結片15aの間、及び、ソケット本体13の複数のベース連結片23aの間に、配置されている。さらに後述する複数のリンクプレート29の間に挟まれて配置されている。
【0032】
押圧手段25は、図5、10、11に示すように、ベース部23の複数のベース連結片23aと、カバー部材15のカバー連結片15aと、レバー部材17のレバー連結片17aと、が、近接位置に互いに平行に配置され、これらが回動リンク機構30を介して互いに連結した構成を有している。
【0033】
回動リンク機構30は、図11に示すように、リンク部材としての複数のリンクプレート29と、第1軸31乃至第3軸33と、有している。ここでは複数のリンクプレート29は略同じ形状に形成されて、ベース連結片23aの間でレバー連結片17aを挟んで両側に隣接配置されている。第1軸31乃至第3軸33は、カバー部材15及びレバー部材17の回動方向と直交して互いに平行に配置されて、リンクプレート29及び各連結片15a、17a、23a間を連結している。
【0034】
押圧手段25では、複数のベース連結片23a,23aの下方の互いに対向する位置に第1支持孔23gが設けられ、第1支持孔23g間に第1軸31が支持され、この第1軸31に複数のリンクプレート29が回動及び移動可能に連結されている。
複数のリンクプレート29間は第1軸31とは異なる位置で第2軸32により互いに連結されている。
【0035】
さらにこの押圧手段25では、複数のリンクプレート29に第3軸33が貫通して設けられていて、この第3軸33にカバー連結片15aが回動可能に連結されている。
ベース連結片23aのうちの一方には、ソケット本体13におけるコンタクトピン19aの接触方向に沿って上下に長孔23hが直線状に形成されており、この長孔23hに第3軸33が昇降可能に支持されている。
これによりカバー部材15がベース部材23に回動可能であるとともに昇降可能に連結されている。
【0036】
次に、この押圧手段25では、一方のベース連結片23aにおける長孔23hの軸線上の下方の位置と、他方のベース連結片23a,23aにおけるこの下方の位置に対向する位置と、に、同軸に第1支持孔23gが設けられている。第1軸31の軸心は第3軸33の軸心の鉛直方向下方に配置されている。
この第1軸31にレバー連結片17aが回動自在に支持されている。そのためレバー部材17はベース部23に対して第1軸31の軸心周りに相対回動可能となっている。
【0037】
またレバー連結片17aの第1軸31から離間した位置には、第2軸32が取り付けられていて、第2軸32によりレバー連結片17aが複数のリンクプレート29と相対回動可能に連結されている。
そして複数のリンクプレート29の第1軸31及び第2軸32とは異なる位置で、第3軸33によりレバー部材15と連結されている。
これらよりレバー部材17をベース部23に対して第1軸31の軸心周りに回動することで、リンクプレート29を介してカバー部材17を回動できるように連結されている。
【0038】
この押圧手段25では、レバー連結片17aには、第2軸32の取り付け位置とは第1軸31を介して反対側に、第2軸32を略中心にして略弧状の第3逃げ孔17dが設けられている。この第3逃げ孔17dには第3軸33が相対移動可能に貫通して配置されている。
またリンクプレート29における第3軸33の位置と、第2軸32の位置との間には、第2軸32の位置を中心にして弧状の第1逃げ孔29aが設けられている。この第1逃げ孔29aには第1軸が相対移動可能に貫通して配置されている。
【0039】
次に、カバー部材15を開く方向に付勢する付勢手段27について説明する。
図16に示すように、付勢手段27はベース部23とカバー部材15との側面の位置に、これらの間に配設されている。
付勢手段27は、ベース部23における基部側から先端側に延びる前後枠片23iに、回動軸としての第3軸33から離間して円盤状のバネ支持部35が設けられており、このバネ支持部35にバネ部材21が支持されている。
一方、カバー部材15にはバネ部材21を当接させて、バネ部材21の付勢力をカバー部材15に入力するためのバネ受け部37が第3軸33から離間して設けられている。ここではバネ受け部37はカバー部材15から側方に突出した突起からなる。
【0040】
この実施形態では、バネ部材21は、ベース部23側に配置されたバネ基部41bと、バネ基部41bから延出したバネ延出部41aと、を有している。ここでは線材を巻回したコイル部41cと、線材の一方の端部からなる固定部41dと、線材の他方の端部からなるバネ延出部41aと、を備えたネジリコイルバネを用いており、コイル部41c及び固定部41dによりバネ基部41bが構成されている。
【0041】
このバネ部材21は、コイル部41cをバネ支持部35の外周に巻回して支持され、固定部41dがベース部23に固定されている。
一方、バネ延出部41aは、カバー部材15のバネ受け部37に、固定されることなく、カバー部材15の開く方向に当接して配置されている。
【0042】
このような付勢手段27では、第3軸33から離間して設けられたバネ支持部35にバネ基部41bが支持されてるため、カバー部材15が開くに従い、バネ部材21のバネ基部41bからバネ延出部41aのバネ受け部37との当接位置までの距離が長くなり、これにより付勢力が低減するように構成されている。
【0043】
このような開閉機構を有するICソケット10に、ICパッケージ11を収容して下面の電極をソケット本体13のコンタクトピン19aに接続するには、図1図2に示すように、カバー部材15及びレバー部材17を開いた状態で、ICパッケージ11をソケット本体13の所定位置に収容する。
次いで、カバー部材15がベース部23に対して回動自在に連結されているので、カバー部材15を第3軸33の軸心周りに閉じる方向に回動させて閉じた状態で配置する。これによりカバー部材15の先端側に設けられた可動被支持部15dが、ソケット本体13の他方の側縁側に設けられた先端支持部23cに収容されて支持される。
このとき図12(a)、図13(a)に示すように、レバー部材17が開いた状態で第2軸32が第1軸31の横側に配置されており、カバー部材15はソケット本体13から最も上昇した位置H0に配置されている。
【0044】
図3及び図4のように、カバー部材15を閉じてカバー先端部15cの可動被支持部15dがベース部23の先端支持部23cに達すると、可動被支部部15dの軸体15eが先端支持部23cの案内部23eにより押圧されて弾性変位されつつ案内され、当接支持部23dに係止される。カバー部材15のカバー先端部15cがベース部23の先端支持部23cに支持される。
軸体15eが先端支持部23cに係止されると、軸体15eが先端支持部23cに開く方向に当接して横方向に変位可能且つ回動不能に支持される。付勢力に抗して軸体15eをカバー基端部15b側に向けて変位させれば軸体15eと先端支持部23cとの係止は解除可能である。
【0045】
図3のように、カバー部材15を閉じた状態からレバー部材17を閉じていくと、図13(b)に示すように、レバー部材17が閉じる方向に第1軸31の軸心周りに回動する。するとレバー部材17に連結されたリンクプレート29も第2軸32を介してレバー部材17が閉じる方向へ回動する。
これにより第2軸32が第1軸31に対して回り込むように下方へ移動し、リンクプレート29及び第3軸33が回動しつつ、下方へ移動する。このとき第3軸33がベース部23の長孔23h内に配置されているため、第3軸33は長孔23hに沿って下方へ移動する。
【0046】
その結果、第3軸33を介してカバー部材15が下方の位置H1へ長孔23hに沿って押し下げられる。カバー部材15が押し下げられることで、ICパッケージ11が押し下げられ、ICパッケージ11の下面の端子を、ソケット本体13に配設された多数のコンタクトピン19aに、付勢力に抗して圧接される。
これによりカバー部材15には多数のコンタクトピン19aの大きな反力が負荷され、カバー部材15にはソケット本体13から離間する方向、即ち、上向きの大きな力が負荷される。
この状態ではレバー部材17を閉じる方向に、第1軸31の軸心周りに回動させると、レバー部材17にも上向きの力が負荷されることで操作力が増加する。
【0047】
この状態から、図13(c)に示すように、さらにレバー部材17を閉じる方向に、第1軸31の軸心周りに回動させることで、第2軸32が第1軸31の下にもぐ込む位置へ移動させると、第3軸の位置をさらに下降させることができ、カバー部材15を最もソケット本体13に近接した下方の位置H2までおっ下げることができる。
これによりカバー部材15によってICパッケージ11が最も押し下げられ、ICパッケージ11の下面の多数の半田ボールが、ソケット本体13に配設された多数のコンタクトピン19aに、所期の接圧で接触させることができる。
【0048】
本実施形態では、さらにレバー部材17を回動させることで、第2軸32の軸心が第1軸31の軸心の一方側から真下を越えて他方側まで移動させてレバー部材17の閉じる方向の操作を終了する。
この状態で、例えばICパッケージ11に対するバーンイン試験等の導通試験などが行われる。
【0049】
ICソケット10からICパッケージ11を取り出すには、図15に示すようにカバー部材15を全閉した状態から、図16に示すようにカバー部材15の可動被支持部15dの軸体15eとベース部23の先端支持部23cとの係止を解除する。
そして図16に示すように、レバー部材17を開く方向に回動させると、付勢手段27よりカバー部材15がベース部23に対して開く方向に付勢されているため、カバー部材15がバネ部材21のバネ延出部41aから負荷される付勢力により、開く方向に回動する。
【0050】
このとき、バネ支持部35がカバー部材の回動中心となる回動軸から離間して設けられているので、バネ延出部41aにおけるカバー部材15のバネ受け部37との当接位置が変化する。具体的には、バネ部材21のバネ基部41bからバネ延出部41aのバネ受け部37との当接位置までの距離が、カバー部材15の回動に伴い長くなる。そのためバネ部材21によりカバー部材15を持ち上げて開く方向に回動させる付勢力が低下する。
図17に示すようにカバー部材15が全開位置まで開く間、カバー部材15の開度に反比例して付勢力を低減しつつ、カバー部材15が開く方向に回動し、全開状態で達した後、ソケット本体13からICパッケージ11を取り出すことができる。
【0051】
以上のような本実施形態のICソケット10の開閉機構によれば、ソケット本体13に第1軸31により回動可能に支持されたレバー部材17とカバー部材15とが、第2軸32及び第3軸33によりリンクプレート29に取付けられており、レバー部材17を閉じる方向に回動させるとリンクプレート29が動作し、これによりカバー部材15が押し下げられるように構成されている。
そのためカバー部材15に受けた力はリンクプレート29を介してレバー部材17に負荷されることになり、リンクプレート29及び第2、3軸32,33の配置を適切に調整することにより、レバー部材17に負荷される力を軽減することができる。
従って、ソケット本体13側からカバー部材15に受ける力が増加してもレバー部材17によりカバー部材15を押し下げ易くでき、レバー部材17の操作性を向上することが可能である。
【0052】
本実施形態のICソケット10の開閉機構によれば、リンクプレート29にカバー部材15を取り付けるための第3軸33が、ソケット本体13のベース部23に昇降可能に支持されているので、カバー部材15をソケット本体13に直接連結できるとともに所定位置で昇降させることができる。そのためカバー部材15をソケット本体13に対して所定位置で開閉して昇降させることができる。
【0053】
本実施形態のICソケット10の開閉機構によれば、レバー部材17が開いた状態で第2軸32が第1軸31の横側に配置され、レバー部材17が閉じる方向に第1軸31の軸心周りに回動することで、第2軸32が第1軸31の下に移動する。そのためカバー部材15に上向きの力が負荷されていると、この上向きの力が第3軸33及びリンクプレート29を介して第2軸32に伝わる。第2軸32が第1軸31の横側に配置されている間はレバー部材17を開く方向に負荷されて、この上向きの力に抗してレバー部材を操作することが必要である。ところがレバー部材17を軸心周りに回動させて第2軸32を第1軸31の下に潜り込ませると、カバー部材15からの上向きの力が第1軸31により多く支持されるため、レバー部材17を開く方向に負荷される力が減少する。そのため閉じる方向により多く回動させることで、レバー部材17の操作力を軽減することが可能となる。
【0054】
特にこの実施形態のICソケット10の開閉機構では、第2軸32の軸心が第1軸31の軸心の一方側から真下を越えて他方側まで移動するので、レバー部材17を閉じる方向に回動させて軸心の真下を越えると、カバー部材15からの上向きの力がリンクプレート29の軸心を越えた反対側に負荷される。するとリンクプレート29を逆方向に回転させるように作用してレバー部材17が閉じる方向に付勢される。そのためカバー部材15を閉じるように回動させたレバー部材17にさらに閉じる方向の力が負荷されることで、レバー部材17を恰もロックすることができる。
【0055】
本実施形態のICソケット10の開閉機構によれば、リンクプレート29が複数設けられ、レバー部材17が複数のリンクプレート29に挟まれて配置されているので、カバー部材15に受けた力がレバー部材17の両側のリンクプレート29に伝わり、レバー部材17には両側のリンクプレートからこの力がバランスよく負荷される。そのためカバー部材15から大きな力が負荷されてもレバー部材17を円滑に操作でき、操作性を確保できる。
また複数のリンクプレート29間にレバー部材17が配置され、複数のリンクプレート29の第1逃げ孔29aに第1軸31を貫通させるとともに、レバー部材17の第3逃げ孔17dに第3軸33を貫通させているので、複数のリンクプレート29とレバー部材17とが組み合わされた構造となり、相互に補強して強度を確保できる。そのためカバー部材15から大きな力が負荷されても変形等が生じ難く、レバー部材17の操作性を確保できる。
【0056】
特にこの実施形態のICソケット10の開閉機構では、ソケット本体13が複数のベース連結片23aを有し、複数のベース連結片23a間に複数のリンクプレート29及びレバー部材17が配置されるとともに第1軸31が架設されているので、複数のリンクプレート29及びレバー部材17を安定して支持することができ、カバー部材から大きな力が負荷されても安定した操作が可能である。
【0057】
本実施形態のICソケット10の開閉機構によれば、カバー部材15を開く方向に付勢するバネ部材21が、バネ基部41bから延出したバネ延出部41aを有し、ベース部23にバネ基部41bを支持するバネ支持部35が設けられ、カバー部材15にバネ延出部41aを当接するバネ受け部37が設けてられている。
そのためバネ基部41bからバネ延出部41aのバネ受け部37との当接位置までの距離に応じた付勢力により、カバー部材15が開く方向に付勢されているが、この実施形態では、カバー部材15が開くに従い、バネ部材21のバネ基部41bからバネ延出部41aのバネ受け部37との当接位置までの距離が長くなるように構成されている。そのためカバー部材15が開くに従い、バネ部材21の付勢力が低減し、開度に応じてカバー部材15をバネ部材21により付勢することができる。
【0058】
これによりICパッケージ11を着脱する際に、カバー部材15の開き初めには、バネ基部41bからバネ延出部41aのバネ受け部37との当接位置までの距離が短いため、付勢力を強くでき、カバー部材15の重心が回動軸としての第3軸33から遠くても、カバー部材15を容易に開く方向に回動させることができる。
【0059】
一方、大きく開いてカバー部材15が立ち上がってくると、バネ基部41bからバネ延出部41aのバネ受け部37との当接位置までの距離が長くなるため、付勢力が低減するが、カバー部材15の重心が回動軸としての第3軸33に接近するので、カバー部材15を容易に開く方向に回動させることができる。そしてカバー部材15が全開状態で停止する際には、付勢力が低減してるため、停止位置における衝撃を大幅に低減できる。
【0060】
本実施形態のICソケット10の開閉機構では、バネ部材21がネジリコイルバネであるので、コイル部41c及び固定部41dのバネ基部41bを第3軸33側に配置すれば、線材のバネ延出部41aを第3軸33から離間する方向に長く延出することが容易であり、カバー部材15の開閉時の付勢力を大きく変化させ易い。
【0061】
本実施形態のICソケット10の開閉機構では、バネ部材21がベース部23及びカバー部材15の側面に配設されているので、バネ部材21のバネ延出部41aを長く設けても、別に配置スペースを設けることなくベース部23やカバー部材15に沿わせて配置でき、配置が容易である。
【0062】
本実施形態のICソケット10によれば、カバー部材15とレバー部材17とがソケット本体13の同じ側縁側に連結され、カバー部材15を押し下げる押圧手段25が設けられている。そのためレバー部材17を回動可能に支持する構造とカバー部材15を回動可能に支持する構造とを、ソケット本体13の同じ側面側に設けて、レバー部材17によりカバー部材15を押し下げることができる。
これによりレバー部材17及びカバー部材15を回動可能に支持する側面側とは反対側の構造を簡素化でき、ソケット本体13から突出して配設されるような部位を小さくしたり無くしたりできる。そのためカバー部材15を開いた際、レバー部材17及びカバー部材15を支持していない側面側を広く開放でき、ICパッケージ11を収容し易いとともに、大きなICパッケージ11を装着して使用することが可能である。
【0063】
本実施形態のICソケット10によれば、カバー部材15がソケット本体13に昇降可能に連結されて、リンク部材としてのリンクプレート29によりレバー部材17と連結されているので、レバー部材17を閉じていくことで、カバー部材15を容易にソケット本体13の所定位置に押し下げることができる。
【0064】
本実施形態のICソケット10によれば、ベース連結片23aとカバー連結片15aとレバー連結片17aとが回動方向に沿って設けられて互いに平列に配置され、これらを連結するリンクプレート29も各連結片15a,17a,23aと並べて配置されている。そのため各連結片15a,17a,23a間を近接させて連結することで、レバー部材17及びカバー部材15を回動可能に支持する構造と、カバー部材15を押し下げる構造とをソケット本体13の同じ側面側にコンパクトに構築することが容易である。
【0065】
本実施形態のICソケット10によれば、リンク部材が連結片15a,17a,23a間に配置されたリンクプレート29からなり、このリンクプレート29の逃げ孔29aを貫通して連結片15a,17a,23a間が連結されている。そのため各連結片15a,17a,23aとリンクプレート29とが組み合わされた構造となり、相互に補強することができ、カバー部材15及びレバー部材17を回動可能に支持する構造とカバー部材15を押し下げる構造とを、ソケット本体の一方の側縁側にコンパクトに設けていても、十分な強度を確保し易くできる。
【0066】
本実施形態のICソケット10によれば、ソケット本体13にカバー部材15を移動可能に支持する長孔23hが設けられ、カバー部材に長孔23hに支持される第3軸33が設けられ、レバー部材17を閉じていくことでカバー部材が長孔23hに沿って押し下げられるように構成されている。そのためソケット本体13の長孔23hによりカバー部材の押し下げ方向及び押し下げ量などを設定することができ、カバー部材により押し下げられるICパッケージ11の押し下げ方向及び押し下げ量などを設定可能である。これによりソケット本体13のコンタクトピン19aに対してICパッケージ11の端子を適切な方向に接触させて加圧でき、コンタクトピン19aやICパッケージ11の端子に応じてより適切にICパッケージを押し下げることが可能である。
【0067】
本実施形態のICソケット10によれば、カバー部材15はカバー基端部15bの第3軸33で長孔23hに移動可能及び回動可能に支持され、閉じた状態でカバー先端部15cがソケット本体13の先端支持部23cに開く方向に当接して支持される。そのためカバー部材15を閉じてカバー先端部15cをソケット本体13の先端支持部23cに支持させた状態で、レバー部材17によりカバー部材15を押圧すると、カバー部材15を長孔23hに沿って押し下げることができる。
その際、カバー先端部15cが先端支持部23cに開く方向に当接して移動可能に支持されているので、カバー基端部15bが長孔23hに沿って下降しつつ交差方向に変位すると、カバー先端部15cも先端支持部23cで変位でき、これによりカバー部材15を容易に長孔23hに沿って押し下げることが可能である。
【0068】
本実施形態のICソケット10によれば、カバー基端部15bがリンク部材としてのリンクプレート29を介してレバー部材17と連結されているので、レバー部材17の操作によりカバー基端部15bを長孔23hに沿って変位させ易くできる。
本実施形態のICソケット10によれば、長孔23hがソケット本体のコンタクトピン19aに設定されている接触方向に沿って直線状に形成されているので、レバー部材17を押し下げる際に抵抗が生じ難く、十分な力でICパッケージ11の端子をコンタクトピン19aに押しつけ易くできる。
【0069】
なお上記実施形態は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば上記では、長孔23hとして略直線状に設けられたものを例示したが、特に限定されるものではなく、例えば図12に示すように、長孔23hは、ソケット本体13のコンタクトピン19aに設定されている接触方向と交差する方向に傾斜した傾斜部からなる案内部を有するものであってもよい。
【0070】
また上記実施形態では、ベース部23にバネ基部41bを支持するバネ支持部35が設けられ、カバー部材15にバネ延出部41aを当接するバネ受け部37が設けられた例について説明したが、カバー部材15にバネ基部41bを支持するバネ支持部35を設け、ベース部23にバネ延出部41aを当接するバネ受け部37を設けても、何ら異なることなく本発明を適用可能である。
さらに上記では線材を巻回したネジリコイルバネを用いたが、バネ部材としては、当接位置を変化させることで、付勢力を変化できるものであればよく、例えば板バネ等の他のバネ部材21であってもよい。
【0071】
また上記実施形態では、長孔23hとして略直線状に設けられたものを例示したが、特に限定されるものではなく、ソケット本体13のコンタクトピン19aに設定されている接触方向と交差する方向に傾斜した長孔であってもよい。
その場合、上記実施形態と同様の作用効果が得られる上、レバー部材17を押し下げてカバー部材を押し下げることで、長孔23hのによりICパッケージ11の端子をカバー部材15とともに交差方向に移動させつつコンタクトピン19aに接触させることができる。
その結果、コンタクトピン19aを端子の表面に接触させつつ移動させることで、端子の表面に存在する被膜や異物等を除去してからコンタクトピン19aを強く接触させることができ、所謂ワイピングを行うことが可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 ICソケット
11 ICパッケージ
13 ソケット本体
15 カバー部材
15a カバー連結片
15b カバー基端部
15c カバー先端部
15d 可動被支持部
15e 軸体
17 レバー部材
17a レバー連結片
17c 操作片
17d 第3逃げ孔
19 コンタクトピンユニット
19a コンタクトピン
21 バネ部材
23 ベース部
23a ベース連結片
23c 先端支持部
23d 当接支持部
23e 案内部
23g 第1支持孔
23h 長孔
23i 前後枠片
25 押圧手段
27 付勢手段
29 リンクプレート
29a 第1逃げ孔
30 回動リンク機構
31 第1軸
32 第2軸
33 第3軸
35 バネ支持部
37 バネ受け部
41a バネ延出部
41b バネ基部
41c コイル部
41d 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
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