(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】構造化されたプローブ光のビームを用いる3Dスキャナ
(51)【国際特許分類】
G01B 11/25 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
G01B11/25 H
(21)【出願番号】P 2018566840
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2017065553
(87)【国際公開番号】W WO2017220786
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-08
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】508158023
【氏名又は名称】3シェイプ アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラスムス ケーア
(72)【発明者】
【氏名】トマス アリン ホイゴー
(72)【発明者】
【氏名】ヘアマン シェアリング
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-083978(JP,A)
【文献】特開2015-152926(JP,A)
【文献】国際公開第2014/084131(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0269896(US,A1)
【文献】特開2013-257166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体のデジタル3D表現物を記録する3Dスキャナであって、
構造化されたプローブ光のビームを、歯科的印象又は物理的な歯科的物体を含み且つ走査体積内に配置された前記物体上に投射すべく構成された投射器ユニットと、
前記物体が前記構造化されたプローブ光ビームにより照射されたときに該物体の複数の2D画像を獲得すべく配置された画像生成ユニットと、
光源を有する前記投射器ユニットの可動部分を枢動軸線回りにおいて回転させることにより、前記物体における前記構造化されたプローブ光ビームの位置を制御すべく配置されたアクチュエータユニットであって、該アクチュエータユニットが、ホイールを備えるか又はホイールを駆動すべく配置され
る、回転モータを有し
、前記ホイールの表面が、
前記投射器ユニットの前記可動部分に対して作用的に結合され、且つ、前記回転モータの軸線からの径方向距離であっ
て回転により変化する径方向距離を有することによって前記光源を移動させるアクチュエータユニットと、
を具備する3Dスキャナ。
【請求項2】
前記枢動軸線が、前記投射器ユニットの光軸に対して直交し且つ交差する請求項1に記載の3Dスキャナ。
【請求項3】
前記アクチュエータユニットが、前記投射器ユニットの前記可動部分に対して直接的に係合すべく、又は、前記投射器ユニットの前記可動部分に対し、1つ以上の中間要素を介して間接的に係合すべく、配置される請求項1
又は2に記載の3Dスキャナ。
【請求項4】
力伝達部材が、前記投射器ユニットの前記可動部分の一部であり、又は、前記投射器ユニットの前記可動部分に対して取付けられ、且つ、前記アクチュエータユニットが、前記力伝達部材の遠位端に係合すべく配置される請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項5】
前記ホイール表面が、偏心しているか又はアルキメデス螺旋に従い形状化される請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項6】
前記ホイール表面が円滑である請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項7】
前記力伝達部材が長寸部材を有する請求項
4に記載の3Dスキャナ。
【請求項8】
前記回転モータの前記軸線が、前記投射器ユニットの光軸に対して直交する請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項9】
前記投射器ユニットが、光源と、前記プローブ光ビームに構造を導入すべく配置されたマスクとを有し、前記マスクが固定された幾何学形状を有する請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項10】
前記画像生成ユニットがフレーム構造に対して固定される請求項1乃至
9のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項11】
前記構造化されたプローブ光ビームが、ラインパターン、又は、レーザドット、レーザライン、白色若しくは色付きの縞のパターン、又は、交互的な比較的に明るい領域及び比較的に暗い領域を備えたチェッカーボードパターンのうちの1つを有する請求項1乃至
10のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項12】
前記力伝達部材及び前記アクチュエータユニットに対して対向力を付与すべく配置された戻しスプリングをさらに具備する請求項
4又は
7に記載の3Dスキャナ。
【請求項13】
当該3Dスキャナが、獲得された前記2D画像に基づいて前記物体の少なくとも3D構造形状を表現する前記デジタル3D表現物を生成すべく、又は、データ処理ユニットが獲得された前記2D画像に基づいて少なくとも3D構造形状を表現する前記デジタル3D表現物を生成することができるように前記データ処理ユニットに対して接続されるべく、構成される請求項1乃至
12のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項14】
前記アクチュエータユニットが前記ホイール表面に接触して配置された低摩擦要素を有し、該低摩擦要素が前記投射器ユニットの前記可動部分に対して作用的に結合される請求項1乃至13のいずれか一項に記載の3Dスキャナ。
【請求項15】
前記低摩擦要素が、ボール若しくはローラ、又は、
摩擦を低減すべく構成された前記ホイール表面の被覆、を有する請求項
14に記載の3Dスキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、物体のデジタル3D表現物を記録するために該物体を3次元(3D)走査する方法に関する。特に、本出願は、走査対象物体上でプローブ光ビームの位置をシフトさせ得る3Dスキャナに関する。1つの用途は、特に、デスクトップスキャナにおいて歯科的印象又は物理的な歯科的模型を走査する歯科医療におけるものである。
【背景技術】
【0002】
当業界からは、3SHAPE社のD2000デスクトップスキャナのような走査対象物体上にプローブ光のビームを投射することにより動作する3Dスキャナが知られている。斯かる3Dスキャナは、基本的に、白色ラインの規則的パターンによるビームなどのビームを走査対象物体上に投射することにより機能する。投射されたビームにおける幾分かの光は、物体表面から反射されると共に、3Dスキャナの画像生成ユニットの一台以上のカメラにより捕捉されて、投射されたプローブ光の複数の2D画像を獲得する。例えば、上記2D画像において、構造化された光パターンにおける各ラインが検出されたとき、物体表面の3D座標を導出するために、三角測量法のような定評のある射影幾何学が使用され得る。その後、上記物体、及び、上記3Dスキャナの光学システムの少なくとも一部は、例えば、上記物体の回転、及び/又は、投射器ユニット及び画像生成ユニットの直線運動により、相互に対して移動され、且つ、新たな複数の2D画像が獲得され、それらから、上記物体の他の領域に対する3D座標が導出される。
【0003】
構造化されたプローブ光ビームが物体表面上の1つの位置に位置決めされたとき、データは、構造化されたプローブ光ビームのさらに明るい部分により照射された表面の領域からのみ獲得される。「各ライン間の」データは次に、上記構造化されたプローブ光ビームを、ラインパターンの周期より小さい距離だけ、サンプル上で移動させることにより獲得され得る。上記物体を踏破して上記構造化ビームを移動させると、十分なデータが獲得されて、物体の表面を再構成すると共に、それを物体のデジタル3D表現物として表現することが可能とされる。一切の「ダークスポット」なしで、走査領域全体からデータが獲得されたとき、獲得された複数の2D画像から、上記物体の正確なデジタル3D表現物が生成され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幾つかの先行技術の3Dスキャナにおいて、物体を踏破する構造化プローブ光ビームの漸進的な移動は、多くの場合、光源、レンズ系、及び、画像生成ユニットを含む光学システムを、物体に対し、高価である高精度の平行移動載置台を用いて移動させることにより実現される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プローブ光のビームを物体上に投射すべく構成された投射器ユニットと、
上記物体が上記プローブ光ビームにより照射されたときに該物体の複数の2D画像を獲得すべく配置された画像生成ユニットと、
上記投射器の可動部分の配向及び/又は位置を調節することにより、上記物体における上記プローブ光ビームの位置を制御すべく配置されたアクチュエータユニットと、
を備えて成る、物体のデジタル3D表現物を記録する3Dスキャナが開示される。
【0006】
上記アクチュエータユニットは、上記スキャナのフレーム構造が上記物体に対して実質的に静止して維持され乍ら、上記プローブ光ビームは上記物体を踏破して移動するように、上記投射器ユニットの可動部分の配向及び/又は位置を調節する。プローブ光ビームが上記物体を踏破して移動されるとき、上記表面の走査対象領域全体からデータが獲得され得る。
【0007】
上記可動部分の配向及び/又は位置は好適には、漸進的に調節されることで、走査対象物体上におけるプローブ光ビームの位置の漸進的シフトを提供し得る。これにより、構造化されたプローブ光ビームが物体の表面を踏破して円滑に移動され、且つ、上記構造化されたプローブ光ビームパターンにおける該パターンの比較的に細寸の区画からは高解像度のデータが獲得される。上記構造は、構造化されたプローブ光のビームと交差する一方向において周期的変化を備えたパターンを有し、且つ、上記可動部分の配向及び/又は位置の任意の段階的な調節は、一段階の間におけるパターンの位置の変化が、少なくとも20分の一のように、少なくとも15分の一のように、少なくとも10分の一のように、少なくとも5分の一のように、上記周期的変化よりも相当に小さい様に行われるときのように、上記移動は、走査対象物体における構造化プローブ光ビームの構造の規模で円滑である。
【0008】
走査の間、上記物体及び3Dスキャナは、物体が3Dスキャナの走査体積内に位置決めされるように配置される。幾つかの実施形態において、上記スキャナはデスクトップスキャナである。斯かるデスクトップ3Dスキャナは多くの場合、物体に対するホルダを有することで、物体が走査体積に対して正しく載置されることを確実とする。本出願中に開示された概念を用いて実現され得る3Dスキャナのような高速の3Dスキャナに対し、走査は、震動により引起こされるブレにより、記録されるデジタル3D表現物が不正確とされることなしに、走査の間において物体が手で保持され得るように、十分に高速であり得る。
【0009】
上記物体のデジタル3D表現物は、獲得された複数の2D画像から導出され得る。各2D画像の処理は、3Dスキャナのデータ処理ユニットにおいて、又は、獲得された2D画像が該3Dスキャナから転送される外部ユニットにおいて実施され得るか、又は、処理の一部分が3Dスキャナにおいて実施されると共に別の部分が外部ユニットにおいて実施され得る。上記外部ユニットは、パーソナルコンピュータであり得るか、又は、同様に上記3Dスキャナを構成するスキャナシステムの一部を形成する専用のデータ処理ユニットであり得る。すなわち、幾つかの実施形態において、上記3Dスキャナは、データ処理ユニットを備えて成るかそれに対して接続され、該データ処理ユニットは、獲得された複数の2D画像に基づいて上記物体の少なくとも3D構造形状を表現するデジタル3D表現物を生成すべく構成されたコンピュータプログラム製品が記憶されたコンピュータ可読媒体を備えて成る。
【0010】
上記投射器ユニットの可動部分は、該投射器ユニットの全ての部分のような該投射器ユニットの各部分の内の1つ以上の部分を保持し得る。
【0011】
幾つかの実施形態において、上記配向は、上記投射器ユニットの可動部分を枢動軸線回りに回転させることにより調節される。
【0012】
上記投射器ユニットは、各光学的構成要素と、該投射器ユニットおけるそれらの相対配置とにより定義される光軸に沿い、プローブ光を発する。スキャナのフレーム構造に対して上記投射器ユニットの可動部分の配向を変化させると、スキャナのフレーム構造に対する投射器ユニットの光軸の角度が変化せしめられる。故に、上記可動部分の回転によれば、プローブ光ビームは、スキャナの走査体積内に位置決めされた物体を踏破して移動される。すなわち、上記アクチュエータユニットは、投射器ユニットの可動部分を枢動軸線回りに回転させることにより、物体上におけるプローブ光ビームの位置を制御し得る。
【0013】
上記投射器ユニットの光軸の角度、及び、走査体積内に配置された物体まで距離により、上記物体上におけるプローブ光ビームの横断位置が決定される。故に、固定距離に対し、物体を踏破するビームの平行移動量は、上記フレーム構造に対する上記光軸の角度の変化により決定される。本発明に関し、「横断位置」という表現は、物体において、プローブ光ビームの光軸に対して実質的に直交する平面内における該プローブ光ビームの位置を指す一方、「横断平面」とは、物体において、プローブ光ビームの光軸に対して実質的に直交する平面である。
【0014】
幾つかの実施形態において、上記枢動軸線は、上記投射器ユニットの光軸に対して実質的に直交する。
【0015】
幾つかの実施形態において、上記枢動軸線は、上記投射器ユニットの光軸と交差する。上記枢動軸線を上記光軸に対して実質的に直交させてそれと交差させると、上記可動部分の回転と、上記3Dスキャナの走査体積内における、すなわち、該走査体積内に載置された物体上における、プローブ光ビームの移動との間における最も単純な関係が提供される。
【0016】
幾つかの実施形態において、上記プローブ光のビームは、横断平面内における空間的構造を備えて成る構造化ビームである。上記プローブ光ビームにおける構造が、上記投射器ユニットの光軸に直交する一方向において均一であるとき、すなわち、上記構造が、この方向に沿って変化する特徴を有さないとき、上記回転軸線は好適には、この均一方向に対して平行である。少なくとも、上記枢動軸線は、上記均一方向及び上記光軸に対して直交されるべきでない、と言うのも、斯かる設計態様は、構造化ビームを、上記構造化ビームと交差する代わりに、上記均一方向に沿って移動させるのみだからである。
【0017】
幾つかの実施形態において、上記アクチュエータユニットは、ホイールを備えて成るかそれを駆動すべく配置された回転モータを備えて成り、その場合、上記投射器ユニットの可動部分に対して作用的に結合された上記ホイールの表面は、上記回転モータの軸線から、回転に伴い変化する径方向距離を有する。例えば、上記ホイールの力を伝達する外側表面から、該ホイールの中心までの距離は、該ホイールの円周の相当割合に対する回転により、増大し得る。
【0018】
従って、
プローブ光のビームを物体上に投射すべく構成された投射器ユニットと、
上記物体が上記プローブ光ビームにより照射されたときに該物体の複数の2D画像を獲得すべく配置された画像生成ユニットと、
上記投射器ユニットの可動部分を枢動軸線回りにおいて回転させることにより、上記物体における上記プローブ光ビームの位置を制御すべく配置されたアクチュエータユニットであって、該アクチュエータユニットは、ホイールを備えて成るかそれを駆動すべく配置された回転モータを備えて成り、上記投射器ユニットの上記可動部分に対して作用的に結合された上記ホイールの表面は、上記回転モータの上記軸線からの径方向距離であって、上記回転により変化する径方向距離を有するアクチュエータユニットと、
を備えて成る、物体のデジタル3D表現物を記録する3Dスキャナが開示される。
【0019】
角度に依存する径方向距離を有する表面を備えるホイールを用いて上記投射器ユニットの可動部分の配向を制御すると、すなわち、ホイール表面が円を辿らないとき、先行技術の解決策と比較して、プローブ光ビームの位置の正確な制御に対する低コストの解決策が提供される。
【0020】
本開示内容に関し、「ホイール表面」という表現は、上記投射器ユニットに対して作用的に結合された表面を指している。
【0021】
走査対象物体上のプローブビームの位置を投射器ユニットの配向により制御することによる1つの利点は、物体とスキャナのフレーム構造とを静止させて維持し乍ら、ビーム位置が漸進的かつ動的に変化され得ることである。上記可動部分の位置及び/又は配向の漸進的で円滑な変化によれば、例えば、順次的に獲得される2つの2D画像間におけるパターンの位置のシフト量が、各2D画像の獲得の時点により単純に決定され得る。
【0022】
上記アクチュエータユニットは、上記投射器ユニットの可動部分に対し、直接的に、又は、1つ以上の中間構成要素を介して間接的に、作用的に結合され得る。幾つかの実施形態において、上記アクチュエータユニットは、上記投射器ユニットの可動部分に対して直接的に係合すべく配置される。このことは、例えば、非常にコンパクトなスキャナ設計態様が提供されるように、上記アクチュエータユニットを上記可動部分に隣接させて載置することにより達成され得る。
【0023】
幾つかの実施形態において、上記回転モータの軸線は、上記投射器ユニットの光軸に対して直交する。上記モータが、上記光軸に対して直交する軸線回りで回転するとき、上記ホイールの表面は上記光軸に沿って移動することから、上記投射器ユニットの可動部分の回転は、物体表面を踏破するプローブ光ビームの平行移動を提供する。
【0024】
上記ホイールが回転する間に上記表面の径方向距離が増大するとき、上記アクチュエータは、上記投射器ユニットの可動部分に対し、直接的に、又は、中間構成要素を介して、押圧力を提供する。該押圧力は、上記枢動軸線回りにおける上記可動部分の回転を提供する。これにより、長寸の力伝達部材と協働して、物体上におけるプローブ光ビームの高精度の移動を提供する単純でコンパクトな設計態様が提供される。
【0025】
幾つかの実施形態において、上記ホイール表面は、円滑であり、すなわち、例えばギヤ歯が無い。これにより、上記投射器ユニットの回転の、故に、物体上における構造化された光パターンの位置の、円滑で漸進的なシフトが提供される。同様に、ギヤ歯を回避すると、方向を変更するときのヒステリシス及び弛緩が、軽減され、又は、完全に回避され得るという利点がある。上記ホイール表面は、例えば、摩擦を低減するテフロン(登録商標)被覆にて被覆され得る。低摩擦の表面は、ホイールと、それに対して係合する構成要素との間における付着かつ滑動形式の運動に起因する急激な変動なしで、構造化ビームが物体を踏破して連続的に移動され得るように、上記投射器ユニットの可動部分の円滑で連続的な回転が実現され得るという利点を有している。
【0026】
幾つかの実施形態において、上記アクチュエータユニットは、上記ホイール表面に接触させて配置された低摩擦要素を備えて成り、その場合、該低摩擦要素は、上記投射器ユニットの可動部分に対して作用的に結合される。そのとき、上記ホイールの表面は、例えば、該ホイールの半径が増大したときに上記投射器の可動部分に対して押圧力を提供する低摩擦要素を介して、上記投射器ユニットの可動部分に対して作用的に結合される。上記低摩擦要素は、当業者により決定され得る種々の形態で構成され得る。例えば、上記低摩擦要素は、接触表面の面積を、故に摩擦を、同様に低減し得る低摩擦ボール又はローラであり得る。斯かる実施形態は、低摩擦被覆の摩耗に関する問題を軽減又は回避するために、該被覆と比較して好適であり得る。
【0027】
幾つかの実施形態において、上記アクチュエータユニットは、上記投射器の可動部分の位置を、直接的に、又は、力伝達要素を通して制御すべく配置されたピストンを備えて成る。
【0028】
幾つかの実施形態において、上記ホイール表面は、偏心的であるか、又は、アルキメデス螺旋に従い形状化される。アルキメデス螺旋で形状化されたホイールにおいて、上記ホイールの中心からの力伝達部表面の径方向距離は、ホイール円周の大部分に亙る回転角度と共に、線形的に増大する。故に、上記モータの回転角度は、モータ回転角度に対して正比例する可動部分の回転へと変換される。このことは有用である、と言うのも、走査対象物体を踏破する、回転モータ角度と構造化プローブビームの平行移動との間の単純な関係が提供されるからである。
【0029】
幾つかの実施形態において、力伝達部材は、上記投射器ユニットの可動部分の一部であり、又は、それに対して取付けられ、且つ、上記アクチュエータユニットは、上記力伝達部材の遠位端に対して係合すべく配置される。上記力伝達部材は上記アクチュエータユニットに対して作用的に接続されることで、該アクチュエータユニットは、上記3Dスキャナのフレーム構造及び/又は画像生成ユニットに対する上記投射器ユニットの可動部分の配向を制御し得る。上記力伝達部材は上記投射器ユニットに対し、直接的に、又は、中間部材を介して取付けられることで、該力伝達部材と、上記投射器ユニットの可動部分との固定的な相対配置を提供し得る。
【0030】
幾つかの実施形態において、上記力伝達部材は長寸部材を備えて成る。長寸の力伝達部材を上記枢動軸線に対して直交して配置することで、該長寸要素が、上記枢動軸線と、アクチュエータユニットが該力伝達部材に対して係合することから上記投射器ユニットの可動部分に対して作用的に結合される箇所との間に所定距離を導入すると、上記可動部分の回転量は、上記アクチュエータユニットの所定の変化に対してさらに小さくなる。上記長寸の力伝達部材が長いほど、上記投射器ユニットの回転、故に、物体表面上における構造化プローブビームの移動の制御が容易となる。
【0031】
幾つかの実施形態において、上記長寸部材の長さは、少なくとも15cmのように、少なくとも10cmのように、少なくとも8cmのように、少なくとも5cmのように、少なくとも3cmのように、少なくとも2cmである。
【0032】
幾つかの実施形態において、上記長寸部材の長さと断面寸法との間の比率は、少なくとも20のように、少なくとも10のように、少なくとも5のように、少なくとも3のように、少なくとも2である。上記3Dスキャナは、パーソナルコンピュータのような制御ユニットを有するか、制御ユニットに対して接続され得、その場合、制御ユニットは、コンピュータプログラム製品によりコード化された持続的コンピュータ可読媒体を有する。上記プローブ光ビームのオフセットと上記回転モータの回転角度との間の正確な相関関係を決定すべく、上記3Dスキャナの較正が実施され得る。斯かる相関関係は、物体におけるプローブ光ビームの移動の一定速度が提供され得るように、上記コンピュータプログラム製品により考慮され得る。ビーム位置に対する回転モータ角度の相関関係はまた、与えられた複数の2D画像が記録されたときにおけるプローブ光ビームの位置が知られるように、与えられた回転角度において上記画像生成ユニットを用いて記録された2D画像間の関連付けを確立するためにも使用され得る。
【0033】
幾つかの実施形態において、上記投射器ユニットは、光源と、上記プローブ光ビームに構造を導入すべく配置されたマスクとを備えて成る。
【0034】
幾つかの実施形態において、上記マスクは固定された幾何学形状を有する。固定された幾何学形状を備えるマスクは、例えばMEMSアレイの解決策に対して低コストの解決策を提供するという利点を有する。上記マスクは、幾つかの領域が、光源から到来する光の大部分を透過することでプローブ光ビーム中に構造を形成するように、例えば、さらに高い又はさらに低い透過率の交互的領域を有する透過マスクであり得る。上記マスクは、ガラスプレートのような透明な基材上に、さらに低い透過率の複数の領域を画成することにより実現され得る。これは、例えば、上記プローブ光ビーム中に構造が画成されるように、上記プレートの1つの表面上に反射的又は吸収的な材料を成膜して、さらに低い透過率の領域を画成することにより実現され得る。
【0035】
上記マスクはまた、該マスクにより反射された光ビーム中に構造が形成されるように、幾つかの領域が光の大部分を反射する反射的マスクでもあり得る。
【0036】
当該マスクの平面内に延在する複数本の平行ラインの周期的パターンを有するマスクは、多数の等しく離間されたラインを備えた実質的に周期的な構造をプローブ光ビーム中に提供する。代替的に、上記マスクは、単一ラインビーム、スペックルパターンビーム、又は、光のドットを画成し得る。
【0037】
上記構造化されたプローブ光ビームが、当該パターンがプローブ光ビームの光軸に対して直交する平面内に延在する多数本のラインを含むときのように、1つの横断方向において実質的に均一であり且つ第2の横断方向においては変化するパターンを有するとき、上記構造化ビームは好適には、各ラインと上記投射器ユニットの光軸とに対して直交する方向において移動され、すなわち、上記パターンは好適には、上記第2方向に沿って移動される。これにより、1つの時点において各ラインにより照射された物体表面の部分のみからだけではなく、表面全体に対するデータが獲得され得る。
【0038】
等しく離間された複数本のラインの周期的構造を備えたプローブ光ビームに対し、ラインパターンの周期に対する明るい領域の幅の比率は、0.02未満のように、0.05未満のように、0.1未満のように、0.2未満のように、0.25未満であり得る。さらに低い比率、すなわち、パターンの周期に対してさらに細寸のラインは、長い走査時間という負担はあるが、走査のさらに高い空間的分解能を提供する。
【0039】
幾つかの実施形態において、上記プローブ光ビームにおける構造は、上記投射器ユニットの光軸を実質的に横断する平面内において、光強度が、交互的な比較的に明るい領域及び比較的に暗い領域を備えたチェッカーボードパターンに従い変化するものであり、その場合、上記チェッカーボードパターンは、該パターンの相当部分に亘り実質的に均一である周期性を有するものである。
【0040】
光源とパターン生成要素とを使用する代わりに、光源が、LEDアレイ内に配置された複数のLEDダイを備えたマルチダイLEDのような発光体であるようなときに、光源自体が、パターン化された光を提供し得、その場合、各発光体は、各発光体からの光がプローブ光のパターンを画成するように配置される。
【0041】
上記パターンが、多数の個別的なパターンセグメントを備えて成るとき、上記方法は、記録された複数の2D画像の各々におけるパターンの個別的なパターンセグメントを識別する段階を備えて成り得る。幾つかの実施形態において、上記アクチュエータユニットは、上記投射器ユニットの光軸に対して直交する平面内における上記マスクの位置を制御すべく配置された平行移動載置台を備えて成る。そのとき、物体上の構造化されたプローブ光ビームにおけるパターンは、上記平行移動載置台を用いて上記マスクの位置を制御することにより、物体を踏破して移動され得る。投射器ユニット及び画像生成ユニットの全体が移動されるシステムと比較して、これは好適である、と言うのも、相当に少ない質量が移動されることで、上記平行移動載置台に対する要件が緩和されるからである。
【0042】
幾つかの実施形態において、上記可動部分は、ビーム案内用液体レンズを形成する一層以上の流体的な透明材料を備えて成り、且つ、上記アクチュエータユニットは、上記層に対して印加される電界を調節することにより、レンズの形態を制御すべく構成される。電界が調節されたとき、透明材料の少なくとも1つの層は、形態を変化させる。
【0043】
幾つかの実施形態において、上記流体レンズは、第1の電界強度に対して楔形状である。斯かる楔形状レンズがビーム経路内に載置されたとき、プローブ光ビームの光軸は方向を変化させ、その場合、方向の変化は楔角度に依存する。上記電界強度が第2の値へと変化せしめられたとき、流体レンズは形態を、上記第1の電界強度の楔形状とは異なる第2形状へと変化させる。従って、電界強度を第1値から第2値へと変化させたとき、流体レンズの後の光軸は変化せしめられると共に、構造化されたプローブ光ビームのパターンは物体表面を踏破して移動される。
【0044】
幾つかの実施形態において、上記流体レンズの第2形状もまた楔であり、その場合、第1及び第2の電界強度における楔角度は、逆の符号を有する。
【0045】
幾つかの実施形態において、上記流体レンズの第2形状は、実質的に平坦である。
【0046】
幾つかの実施形態において、上記画像生成ユニットは上記フレーム構造に対して固定される。構造化されたプローブ光ビームが走査対象物体を踏破して移動される間、画像生成ユニットをフレーム構造に対して固定すると、その様にしなければ、比較的に高重量の画像生成ユニットの精密な移動に対して使用される相当に高精度な直線状軸線/平行移動載置台が回避されることから、低コストの3Dスキャナが実現され得るという利点が提供される。
【0047】
幾つかの実施形態において、上記3Dスキャナは、上記力伝達部材及びアクチュエータユニットに対して対向力を付与すべく配置された戻しスプリングを備えて成る。これにより、上記投射器ユニットの可動部分の回転及び/又は移動が良好に制御されるという利点が提供される。
【0048】
幾つかの実施形態において、上記投射器ユニットは、上記マスクを物体上に結像させるレンズ系を備えて成る。上記レンズ系は、構造化されたプローブ光ビームの少なくとも一部分を受容すべく、且つ、構造化されたプローブ光ビームのパターンを物体上に結像させるべく配置される。
【0049】
上記光源、パターン生成要素及びレンズ系は全て、上記投射器ユニットの可動部分の一部であり得る。
【0050】
幾つかの実施形態において、上記アクチュエータユニットは、モータユニット又は圧電ユニットを備えて成る。
【0051】
幾つかの実施形態において、上記可動部分は、上記レンズ系の少なくとも1つの構成要素を構成する。例えば、ビーム経路内に配置された集光レンズを平行移動又は回転させるとき、それは、物体上でプローブ光パターンの位置をシフトさせ得る。
【0052】
幾つかの実施形態において、上記アクチュエータユニットは、物体を踏破するプローブ光ビームパターンの周期的移動が提供されるように、上記投射器ユニットの配向及び/又は位置を周期的に変化させるべく構成される。
【0053】
上記画像生成ユニットは、固定された相対配置で配置された2個又は4個の画像センサのような、少なくとも1つの画像センサを備えて成る。各画像センサは、例えば、カラー又は単色の2Dカメラであり得る。
【0054】
幾つかの実施形態において、上記3Dスキャナは上記フレーム構造により支持された物体支持表面を備えて成る。上記3Dスキャナは、上記物体支持表面の配向及び位置を上記画像生成ユニットに対して制御する手段を備えて成り得る。
【0055】
幾つかの実施形態において、上記3Dスキャナは、物体を踏破する構造化されたプローブ光ビームの平行移動を制御すべく上記アクチュエータユニットに対して接続された制御ユニットを備えて成る。
【0056】
幾つかの実施形態において、上記光源は、白色光源のような、多色光源である。幾つかの実施形態において、上記画像生成ユニットにおける各画像センサの内の少なくとも1つは、物体のカラー2D画像を記録し得る。これにより、物体の色も表現する該物体のデジタル3D表現物の記録が許容される。カラー画像センサは、BAYERフィルタのようなカラーフィルタを備えたCCDであり得る。
【0057】
プローブ光のビームを物体上に投射すべく構成された投射器ユニットと、上記物体の複数の2D画像を獲得すべく配置された画像生成ユニットとを備えて成る3Dスキャナを配備する段階と、
上記物体上におけるプローブ光ビームの異なる位置のシーケンスに対する上記物体の2D画像を記録する段階であって、上記プローブ光は、上記スキャナのフレーム構造に対して上記投射器ユニットの移動部分の配向及び/又は位置を変化させることにより上記シーケンスにおける各位置間で上記物体を踏破して平行移動される段階と、
記録された各2D画像に基づき、上記物体の3D構造形状を表現するデジタル3D表現物を生成する段階と、
を備えて成る、物体のデジタル3D表現物を記録する方法が開示される。
【0058】
プローブ光のビームを物体上に投射すべく構成された投射器ユニットと、上記物体の複数の2D画像を獲得すべく配置された画像生成ユニットと、上記投射器ユニットの可動部分を枢動軸線回りに回転させることにより上記物体におけるプローブ光ビームの位置を制御すべく配置されたアクチュエータユニットとを備えて成る3Dスキャナであって、上記投射器ユニットの可動部分に対して作用的に結合されたホイールの表面は、回転モータの軸線から、回転に伴い変化する径方向距離を有する3Dスキャナを配備する段階と、
上記物体上におけるプローブ光ビームの異なる位置のシーケンスに対する上記物体の2D画像を記録する段階であって、上記プローブ光は、上記ホイールを回転させることで上記投射器ユニットの移動部分の配向を変化させることにより上記シーケンスにおける各位置間で上記物体を踏破して平行移動される段階と、
記録された各2D画像に基づき、上記物体のデジタル3D表現物を生成する段階と、
を備えて成る、物体のデジタル3D表現物を記録する方法が開示される。
【0059】
構造化されたプローブ光のビームを物体上に投射すべく構成された投射器ユニットと、
上記物体が上記構造化されたプローブ光ビームにより照射されたときに該物体の複数の2D画像を獲得すべく配置された画像生成ユニットと、
上記投射器ユニットの少なくとも1つの可動部分の配向及び/又は位置を当該3Dスキャナのフレーム構造に対して調節することにより、上記構造化されたプローブ光ビームを上記物体を踏破させて移動させるべく構成されたアクチュエータユニットと
を備えて成る、物体のデジタル3D表現物を記録する3Dスキャナが開示される。
【0060】
本発明の上記の及び/又は付加的な目的、特徴及び利点は、添付図面を参照した本発明の各実施形態に関する以下の例証的で非限定的である詳細な説明によりさらに明らかとされよう。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】先行技術の3Dスキャナの概略を示す図である。
【
図6】楕円ホイールを備えた回転モータが構造化プローブ光ビームの位置を如何にして制御し得るかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下の説明においては、本発明が如何にして実施され得るかを例示的にのみ示す添付図面に対して参照が行われる。
【0063】
図1は、物体のデジタル3D表現物を記録するために構造化されたプローブ光ビームを用いる先行技術の3Dスキャナ100の概略を示している。
【0064】
投射器ユニット101は、レーザドット、レーザライン、白色又は色付きの縞のような、単色又は多色のスペクトル光の構造化されたプローブ光ビーム102を物体103上に投射する。上記投射器ユニットおいて、光源104からのプローブ光のビームは、前方において該ビーム内にパターンを導入するマスク105を貫通して進行すると共に、レンズ系106は、該構造化ビームを上記物体上に結像する。
【0065】
反射されたプローブ光のビーム108は、3Dスキャナの画像生成ユニットにおける各カメラ109により捕捉されて、上記物体上に結像されたパターンの2D画像を獲得する。上記処理ユニット及び画像生成ユニットは、3Dスキャナの光学システムの少なくとも一部を形成する。獲得された各2D画像における光パターンが検出され、且つ、三角測量法又は立体写真撮影法のような定評のある射影幾何学が使用されて、上記パターンの明るい部分により照射された物体表面に対する3D座標が導出される。このことは、物体、及び、上記3Dスキャナの光学システムの一連の異なる相対位置に対して行われる。投射器ユニット101及び各カメラ109を含む上記光学システム全体の直線運動111によれば、上記パターンは、3Dスキャナが物体の新たな部分の表面に対する3D座標を導出し得るように、上記物体を踏破して移動される。上記光学システムの直線運動は、多くの場合、高価である高精度の線形シャフトにより提供される。
【0066】
図2は、投射器ユニットの回転に基づく実施形態を示している。
【0067】
投射器ユニット201は、レンズ系206により走査対象物体上に結像される構造化されたプローブ光のビーム202A、202Bを生成するマスク205を貫通して進行する光を発する光源204を有する。上記画像生成ユニットは、スキャナのフレーム構造に関して固定された2台のカメラ209を有する(フレーム構造は、簡潔さのために図中に示されない)。投射器ユニット201に対しては、当該力伝達部材212の遠位端に対してアクチュエータユニット213が係合し得るように、長寸の力伝達部材212が取付けられる。
【0068】
図2Aにおいて、アクチュエータユニット213は、構造化されたプローブ光ビーム202Aの伝搬方向が垂直であるように、力伝達部材212及び投射器ユニット201が水平に配置される状態に在る。
【0069】
図2Bにおいて、アクチュエータユニット213は、力伝達部材212が、故に、上記投射器ユニットが、枢動軸線224の回りで回転されるように、上記力伝達部材の遠位端を変位させる。上記枢動軸線は、上記投射器ユニットの光軸に対して実質的に直交し且つ交差する。そのとき、構造化されたプローブ光ビーム202Bの伝搬方向は、従前の配置に対する方向202Aから偏位する。
【0070】
上記アクチュエータユニットが(3Dスキャナのフレーム構造及び各カメラ209に対して)上記力伝達部材の配向を調節したとき、構造化されたプローブ光ビームは走査対象物体を踏破して移動される。伝搬方向202A及び202B間の角度215は、物体までの距離と協働して、サンプル上のビームパターンの移動量を決定する。
【0071】
図3は、投射器ユニットの回転を伴う上記3Dスキャナの設計態様を示している。
【0072】
投射器ユニット301は、
図2に示されたのと同様の光源304、マスク305及びレンズ系306を有することで、構造化されたプローブ光のビームを走査対象物体303上に生成かつ結像する。上記画像生成ユニットは、スキャナのフレーム構造317、318に関して固定された2台のカメラ309を有する。長寸の力伝達部材312は、近位端が上記投射器ユニットの可動部分に対して取付けられる一方で、該力伝達部材の遠位端に対してはスキャナのアクチュエータユニット320、321、322が係合するように配置される。上記力伝達部材はまた、上記投射器ユニットの可動部分の一部であるとも考えられ得る。図示された設計態様において、上記アクチュエータユニットは、低摩擦ボール322の形態の低摩擦部材を介して力伝達部材312に対して連結されたホイール321を駆動する回転モータ320に基づいている。ボール322を介して力伝達部材312に対して力を付与するホイール321の外側表面は、該ホイールの配向により変化する外径を有する。上記回転モータが該モータの回転軸線回りに上記ホイールを回転させるとき、上記ボールの垂直位置は変化する。上記ホイールの半径が増大するとき、上記低摩擦ボールは、上方に押圧され、それにより、力伝達部材312が上方に押圧される。これにより、投射器ユニット301は、構造化されたプローブ光ビームのパターンが走査対象物体303を踏破して移動されるように、枢動軸線324の回りに回転される。上記力伝達部材及びアクチュエータユニットに対して対向力を付与すべく、戻しスプリング326が配置される。
【0073】
ホイール321がアルキメデス螺旋に従い形状化されたとき、上記回転モータの回転は、力伝達部材312の遠位端の線形移動へと変換される。
【0074】
上記回転モータの回転角度は、動的かつ円滑に制御され得ることから、構造化されたプローブ光ビームのパターンは、走査対象物体を踏破して動的かつ円滑に移動され得る。
【0075】
上記スキャナの1つの具現例において、上記マスクは、交互的である7μm幅の透明ライン及び185μmの不透明ラインの区間を33個だけ備えた周期的パターンを有する。
【0076】
上記投射器ユニットの可動部分の回転によれば、上記構造化されたプローブ光ビームは、3Dスキャナのフレーム構造に対して静止して載置された物体を踏破して掃引され得る。
【0077】
【0078】
投射器ユニットは、
図2に示されたのと同様の光源404、マスク405及びレンズ系406を有することで、構造化されたプローブ光のビームを走査対象物体上に生成かつ結像する。上記画像生成ユニットは、(簡潔さのために図面中には示されない)スキャナのフレーム構造に関して固定された2台のカメラ409を有する。
【0079】
投射器ユニット401は、一層以上の流体的な透明材料により形成されたビーム案内用液体レンズ430を有する。上記アクチュエータユニットは、上記流体レンズの形状が第1形態から第2形態へと形態を変化させ得るように、上記流体レンズに対して印加される電界を制御し得るデバイス431を有し、その場合、第1及び第2の形態はいずれも楔形状であるが、異なる符号を有する楔角度を備えている。第1形態から第2形態へと変化するとき、構造化されたプローブ光ビームは、走査対象物体を踏破して移動される。第1及び第2の形態において投射器ユニット401から発せられた構造化されたプローブ光ビームの伝搬方向402A、402B間の角度415は、物体上の位置のシフト量を決定する。
【0080】
【0081】
投射器ユニット501は、
図2に示されたのと同様の光源504、マスク505及びレンズ系506を有することで、構造化されたプローブ光のビームを走査対象物体上に生成かつ結像する。上記画像生成ユニットは、(簡潔さのために図面中には示されない)スキャナのフレーム構造に関して固定された2台のカメラ509を有する。
【0082】
上記マスクは、走査対象物体を踏破してパターンが移動され得るように、光軸に直交する平面内で該マスクの位置を制御する平行移動載置台上に配置される。上記平面内における上記マスクの位置を、制御ユニット535が制御する。
【0083】
図6は、楕円ホイールを備えた回転モータが、走査対象物体の表面上でプローブ光ビームの位置を如何にして制御し得るかの断面的説明図を示している。
【0084】
投射器ユニット601及び長寸の力伝達部材612は、
図3に関して記述されたものと同様であり、力伝達部材612の近位端は投射器ユニット601に対して取付けられ、且つ、遠位端は、それに対してアクチュエータユニットの低摩擦ボール622が係合し得るように配置される。投射器ユニット601及び力伝達部材612は、該力伝達部材612の遠位端の垂直位置が変化せしめられたとき、枢動軸線624の回りで回転する。上記アクチュエータユニットは、楕円ホイール621を回転軸線640の回りで反時計方向に駆動する回転モータを有する。上記投射器に対する上記ホイールの配置は、モータの回転軸線が枢動軸線に対して直交していた
図3と比較して、僅かに異なる。両方の配置によれば、ボール622は、力伝達部材612の遠位端の垂直位置を制御し得る。
【0085】
低摩擦ボール622を介して力伝達部材612に対して力を付与するホイール621の外側表面は、該表面の垂直位置が、故に、ボール622が、上記ホイールの配向により変化するように、楕円を辿る。
【0086】
図6Aに示された回転角度において、上記ホイールは、その長軸を水平とし、且つ、短軸を上記低摩擦ボールに向けて配置される。故に、上記ホイールの回転軸線から、上記力伝達部材の遠位端に係合する上記ボール表面の部分までの距離641は、その最小値を有する。示された構成において、これは、投射器ユニットが、構造化されたプローブ光ビーム602Aを垂直方向に沿って発することに対応する。
【0087】
その後、上記回転モータはホイール621をモータ回転軸線640の回りで反時計方向に回転させることから、上記低摩擦ボールにおける上記ホイールの半径は、
図6Bに示されたように増大する。低摩擦ボール622は上方に押圧され、それにより、力伝達部材612の遠位端が上方に押圧される。これにより、構造化されたプローブ光ビーム602Bが、上記ホイールが
図6Aに示されたように配置されたときのプローブ光ビーム602Aの垂直方向に対して僅かな角度を以て投射器ユニット601を離脱するように、投射器ユニット601は枢動軸線624の回りで回転される。これにより、上記構造化されたプローブ光ビームのパターンは、物体表面を踏破して移動される。
【0088】
図6Cは、上記低摩擦ボールがその最大垂直位置に到達すると共に、上記ホイールの回転軸線から、上記力伝達部材の遠位端に係合するボール表面の部分までの距離641がその最大値を有するように、上記ホイールが長軸を上記ボールに向けて配置された状況を示している。これにより、上記3Dスキャナの各構成要素の所定の構成及び配置に対し、物体におけるビーム位置の最大オフセットが実現される。
【0089】
回転軸線640の回りにおける上記回転モータの角度は連続的に円滑に制御され得ることから、構造化されたプローブ光ビームのパターンは、走査対象物体を踏破して連続的に円滑に移動され得る。上記楕円ホイールに対し、上記プローブ光パターンは、
図6A乃至
図6Cに係る上記ホイールの反時計方向回転が継続されても、あるいは、回転が逆転されても、
図6Aの初期位置に向けて連続的に円滑に戻り移動する。