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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】電解銅めっきのための酸性水性組成物
(51)【国際特許分類】
   C25D 3/38 20060101AFI20220427BHJP
   C25D 7/00 20060101ALI20220427BHJP
   C25D 3/58 20060101ALN20220427BHJP
   C25D 7/12 20060101ALN20220427BHJP
【FI】
C25D3/38 101
C25D7/00 J
C25D3/58
C25D7/12
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019508227
(86)(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 EP2017070286
(87)【国際公開番号】W WO2018033461
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】16184200.0
(32)【優先日】2016-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300081877
【氏名又は名称】アトテック ドイチュラント ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Atotech Deutschland GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Erasmusstrasse 20, D-10553 Berlin, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クン シー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】オナス ボルトン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ガイダ
(72)【発明者】
【氏名】フランク フォン ホアステン
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ローデ
(72)【発明者】
【氏名】ヒメンドラ ジャー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス パルム
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ マン
(72)【発明者】
【氏名】アンヘラ リャボナ-セラノ
【審査官】▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-026994(JP,A)
【文献】特開2004-137530(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0173254(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103572334(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/38
C25D 3/58
C25D 7/00
C25D 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解銅めっきのための酸性水性組成物であって、
(i) 銅(II)イオン、
(ii) 式(Ia)の1つまたは1つより多くの化合物
【化1】
[式中、
4およびR5は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキル、分枝鎖のC3~C16-アルキルおよび式(IIa)の部分
【化2】
からなる群から独立して選択され、
1、R2、R3およびR6は、水素、メチルおよびエチルからなる群から独立して選択され、
1、B2、B3、D1、D2およびD3は、OおよびNHからなる群から独立して選択され、
1、A2およびA3は、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキルおよび分枝鎖のC3~C16-アルキル、
【化3】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化4】
からなる群から選択される部分を独立して示すが、ただし、
1、A2およびA3の少なくとも1つは
【化5】
からなる群から選択される部分であり、且つ
1は、
【化6】
部分であり、且つ、
1、A2およびA3の少なくとも1つの相応のB1、B2およびB3は、相応のx、yおよびzが1である場合、Oであり、
a、bおよびcは独立して0、1、2または3であり、
s、x、yおよびzは独立して0または1であり、
nは独立して1、2または3であり、
o+p+q+t=5~300である]、
および
(iii) 式(Ia)の化合物とは異なる、1、2、3または3つより多くのさらなる化合物
を含み、前記組成物のpH値が3以下である、前記組成物。
【請求項2】
1、B2、B3、D1、D2およびD3がOである、請求項1に記載の酸性水性組成物。
【請求項3】
2およびA3の少なくとも1つが
【化7】
である、請求項1または2に記載の酸性水性組成物。
【請求項4】
2およびA3が、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキルおよび分枝鎖のC3~C16-アルキル、
【化8】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化9】
からなる群から選択される部分を独立して示す、請求項1または2に記載の酸性水性組成物。
【請求項5】
2およびA3が、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C14-アルキルおよび分枝鎖のC3~C14-アルキル、
【化10】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化11】
からなる群から選択される部分を独立して示す、請求項1または2に記載の酸性水性組成物。
【請求項6】
環構造を含有するA1、A2およびA3部分が非置換である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の酸性水性組成物。
【請求項7】
o+p+q+t=6~100である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の酸性水性組成物。
【請求項8】
式(Ia)の1つまたは1つより多くの化合物の総量の質量平均分子量(Mw)は、300g/mol~10000g/molの範囲である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の酸性水性組成物。
【請求項9】
前記組成物が、以下:
【化12-1】
【化12-2】
からなる群から選択される1つ、1つより多くまたは全ての化合物を含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の酸性水性組成物。
【請求項10】
2およびA3が、
【化13】
からなる群から選択される部分である、請求項1または2に記載の酸性水性組成物。
【請求項11】
電解銅めっきのための、請求項1から10までのいずれか1項に記載の酸性水性組成物の使用。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の電解銅めっきのための酸性水性組成物中での、前記酸性水性組成物が含む式(Ia)の化合物の、過電圧増加化合物としての使用。
【請求項13】
電解銅めっき方法であって、
(a) 電解銅めっきのために適した基板を準備または製造する段階、
(b) 段階(a)において得られる、または段階(a)の後であるが段階(b)の前の追加的な段階において得られる基板を、請求項1から10までのいずれか1項に記載の酸性水性組成物と接触させ、電流を印加して、前記基板上に銅を電解めっきする段階
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解銅めっき(銅の電解堆積)のための酸性水性組成物(めっき浴)であって
(i) 銅イオン
(ii) 式(Ia)の1つまたは1つより多くの化合物
【化1】
(iii) 1、2、3または3つより多くの、式(Ia)の化合物とは異なるさらなる化合物
を含み、以下に示される定義を有する前記組成物、電解銅めっきのための本発明による酸性水性組成物の使用、電解金属めっきのための酸性水性組成物中での式(Ia)の化合物の使用、本発明による酸性水性組成物を使用した電解銅めっき方法、および電解金属めっきのための酸性水性組成物のための式(Ia)から誘導される特定の化合物に関する。
【0002】
本発明による酸性水性組成物は、銅の電解堆積において、特にブラインドマイクロビア(BMV)、スルービア、トレンチおよび同様の構造物を充填するために適している。従って、本発明の方法は、プリント回路板(PCB)、集積回路(IC)基板、およびその種のものの製造において、並びに半導体およびガラス基板の金属被覆のために適している。
【背景技術】
【0003】
電解銅めっき(銅の電解堆積)のための酸性水性組成物(酸性の水性めっき浴)は、微細構造、例えばトレンチ、スルーホール(TH)、ブラインドマイクロビア(BMV)、およびピラーバンプが銅で充填されるかまたはビルドアップされなければならないプリント回路板(PCB)およびIC基板を製造するために使用される。かかる組成物の他の用途は、半導体基板内または半導体基板上の、埋め込み型構造、例えばシリコン貫通電極(TSV)の充填およびデュアルダマシン(DD)めっき、または再配線層(RDL)およびピラーバンプの形成である。要請がより多くなりつつあるさらに他の用途は、スルーガラスビア、つまりガラス基板内の孔および関連する埋め込み型構造を電気めっきによって銅(または銅合金)で充填することである。
【0004】
プリント回路板の微細化の進行に伴い、設計および複雑性が増加し続けている。典型的には、スペースがかつてない程に減少しても、計算能力および/または機能性が高まることが目標である。それと共に、例えばプリント回路板の、またはプリント回路板、チップキャリアおよび半導体ウェハ上の導体構造の形状はますます複雑且つ込み入ったものになりつつある。例えば、銅の厚さの導体パスの幅に対する比、またはホールの深さのホール直径に対する比(アスペクト比)は、常に大きくなりつつあり、なぜならホール直径はますます小さく、且つ導体パスはますます狭くなりつつあるからである。
【0005】
一般に、比較的高いアスペクト比(例えば6:1~3:1)を示す構造は、高度な電解銅めっき方法を必要とすると認められ、なぜならそのような構造は可変の電気的堆積挙動を示すからである。特に、我々自身の実験において、従来技術において公知の方法を使用したプリント回路板上のトレンチおよびビア内での均一且つ信頼性のある導体構造の形成は、多くの場合、不十分であり、かつ非常に困難であることが多いことが示された。例えば、比較的高められたアスペクト比の構造(つまり、可変の電気的堆積挙動)ゆえに、銅が堆積される際に平坦でない表面を有する銅層が形成されることが多い。しかしながら、平坦でない表面は、銅堆積後の化学/機械研磨の間にさらなる難題をもたらすことが多い。典型的には、電解堆積工程の間に生成される銅表面が大幅に平滑であり、信頼性のある方式で金属が所望の深さまで除去され得ることが、それぞれの研磨段階についての前提条件である。さらには、平滑且つ平坦な表面は、高いレベルの再現性にも寄与する。
【0006】
数々の異なる有機添加剤を電解銅めっきのための水性組成物に添加して、銅被覆の装飾特性および機能特性を制御することを可能にすることが周知である。典型的には、電解銅めっきのための酸性水性組成物中で2種類の添加剤が使用される。
【0007】
第1のものは「抑制剤」(「キャリア」としても知られる)であり、それは「典型的にはポリマーの有機種、例えば高分子量のポリエチレンまたはポリプロピレングリコールであって、銅カソード表面上で強く吸着して膜を形成し、それが銅堆積のための過電圧を急峻に増加する。これは、制御されない銅めっきを防止する」(米国特許出願公開第2005/0247577号明細書(US2005/0247577 A1)の段落番号0007参照)。
【0008】
第2のものは抑制防止剤(「ブライトナー」または「促進剤」としても知られる)であり、それは「抑制剤の抑制効果を打ち消し、レベリングのために必要とされる、基板の埋め込み部内での促進された堆積をもたらす」ためのものである(ここでもまた、米国特許出願公開第2005/0247577号明細書の段落番号0007参照)。
【0009】
適切に銅を充填された構造を得るために、典型的には第3の有機添加である「レベラー」(「ブースター」としても知られる)が使用される。「レベラー」は「典型的には、銅のめっき速度を下げる傾向もある窒素または酸素を含有する有機化合物である」(米国特許出願公開第2005/0247577号明細書の段落番号0009参照)。
【0010】
上述の添加剤は、めっき工程の間の均一な堆積および銅の金属被覆に良い影響を及ぼすことが多い。銅によって完全に充填されるべき非常に小さい構造において、そのような添加剤は通常、銅堆積物内での中空空間(ボイド)の形成を回避することを補助することが示されている。
【0011】
残念ながら、いくつかの場合において、有機添加剤は金属イオン(例えば銅イオン)と一緒に堆積され、望ましくない作用、例えばエレクトロマイグレーションの増加をもたらすことが想定される。一般に、前記添加剤のめっき表面に対する付着性が非常に強い場合に、そのような添加剤が一緒に堆積されることが多くなることが想定される。従って、適切な付着特性を示す添加剤が必要とされている。
【0012】
さらには、比較的高いアスペクト比(例えば6:1~3:1)を示す構造の銅の充填品質は、電解銅めっきのためのそれぞれの酸性水性組成物中で生成される過電圧と相関するとみなされる(J. Electrochem. Soc. 2004, 151, C702-C711)。
【0013】
均質且つボイド不含であり、比較的少量の有機添加剤を含有する銅堆積物を得るために、電解銅めっき(およびそれぞれのめっき法)のための新規且つ改善された酸性水性組成物を提供する継続的な必要がある。さらには、それぞれの組成物は適切な安定性(貯蔵寿命)を示すべきである。
【0014】
欧州特許出願公開第2778260号明細書(EP2778260 A2)は、スルーホールの充填方法を開示する。開示される方法は、基板、例えばプリント回路板内のフラッシュ銅層でスルーホールを電解銅めっきする間のディンプルおよびボイドを防止または低減する。欧州特許出願公開第2778260号明細書は、1つまたはそれより多くの無機酸、および1つまたはそれより多くの芳香族複素環式窒素化合物と1つまたはそれより多くのエポキシ含有化合物との1つまたはそれより多くの反応生成物から本質的になり、前記1つまたはそれより多くの反応生成物が1ppm~50ppmの量である、酸性水溶液を開示する。
【0015】
米国特許第4009087号明細書(US4009087 A)は、水性酸性銅めっき浴からの銅を電気堆積するための方法および新規組成物に関する。前記浴は、(i)1または2-N複素芳香環を含有するN-複素環式芳香族化合物と、スルホアルキルスルフィドおよびスルホアリールスルフィド化合物との2つの群の各々から独立して選択される少なくとも1つの構成要素を含有する。
【0016】
特開2004-137530号公報(JP2004-137530 A)は、電気/電子回路部品のコネクタとしての複合合金金属球に関する。前記金属球表面は、電気めっきされた銀・銅合金膜層を備える。前記特開2004-137530号公報は、それぞれのめっき浴を開示する。
【0017】
特開2000-026994号公報(JP2000-026994 A)は、はんだとして鉛不含のスズ・銅合金めっき膜を含む電気電子回路部品に関する。前記特開2000-026994号公報は、それぞれのめっき浴を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】米国特許出願公開第2005/0247577号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2778260号明細書
【文献】米国特許第4009087号明細書
【文献】特開2004-137530号公報
【文献】特開2000-026994号公報
【非特許文献】
【0019】
【文献】J. Electrochem. Soc. 2004, 151, C702-C711
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、電解めっき法の間に良好なめっき品質(つまり基本的にボイド不含であり且つ銅の均質な堆積物が得られる)を示す電解銅めっき(銅の電解堆積)のための、特に低アスペクト比と高アスペクト比との両方を示す構造を有する基板のための酸性水性組成物(めっき浴)を提供することである。さらなる課題は、典型的にはポリエチレングリコール(PEG)を抑制添加剤として含む組成物に比して増加された過電圧を示す酸性水性組成物を提供することであった。さらには、そのような組成物が適切な安定性(貯蔵寿命)を示し、比較的少量の有機添加剤を含有する銅堆積物もたらし、つまり、銅表面上での適切な付着性を示すことが望ましい。
【0021】
さらには、本発明の課題は、電解銅めっき(銅の電解堆積)のためのそれぞれの方法であって、一方では低いアスペクト比と高いアスペクト比とを示す構造に比較的速く銅を充填することを可能にし、他方では適切なめっき品質を可能にする、前記方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
発明の概要
上述の課題は、電解銅めっきのための酸性水性組成物であって、
(i) 銅(II)イオン、
(ii) 式(Ia)の1つまたは1つより多くの化合物
【化2】
[式中、
4およびR5は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキル、分枝鎖のC3~C16-アルキルおよび式(IIa)の部分
【化3】
からなる群から独立して選択され、
1、R2、R3およびR6は、水素、メチルおよびエチルからなる群から独立して選択され、
1、B2、B3、D1、D2およびD3は、OおよびNHからなる群から独立して選択され、
1、A2およびA3は、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキル、分枝鎖のC3~C16-アルキル、
【化4】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化5】
からなる群から選択される部分を独立して示すが、ただし、
1、A2およびA3の少なくとも1つは
【化6】
からなる群から選択される部分であり、
1、A2およびA3の少なくとも1つの相応のそれぞれのB1、B2およびB3は、相応のx、yおよびzが1である場合、O(酸素)であり、
a、bおよびcは独立して0、1、2または3であり、
s、x、yおよびzは独立して0または1であり、
nは独立して1、2または3であり、
o+p+q+t=5~300である]、
および
(iii) 式(Ia)の化合物とは異なる、1、2、3または3つより多くのさらなる化合物
を含む前記組成物によって解決される。
【0023】
さらに、前記課題は、電解銅めっき方法であって、
(a) 電解銅めっきのために適した基板を準備または製造する段階、
(b) 段階(a)の後に得られる、または段階(a)の後であるが段階(b)の前の追加的な段階の後に得られる基板を、本発明による(上記で定義された、好ましくは、以下で好ましいとして定義される)酸性水性組成物と接触させ、電流を印加して、前記基板上に銅を電解めっきする段階
を含む、前記方法によって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、銅(B)で充填された基板(A)内のトレンチ(アスペクト比約4:1)を示す(式(a)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図2図2は、銅(B)で充填された基板(A)内のトレンチ(アスペクト比約4:1)を示す(式(b)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図3図3は、銅(B)で充填された基板(A)内のトレンチ(アスペクト比約4:1)を示す(式(c)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図4図4は、銅(B)で充填された基板(A)内のトレンチ(アスペクト比約4:1)を示す(式(d)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図5図5は、銅(B)で充填された基板(A)内のトレンチ(アスペクト比約10:1、直径約5μm)を示す(式(e)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図6図6は、銅(B)で充填された基板(A)内のビア(アスペクト比約1:1)を示す(式(f)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図7図7は、銅(B)で充填された基板(A)内のトレンチ(48nm、アスペクト比約4:1)を示す(式(g)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図8図8は、銅(B)で充填された基板(A)内のトレンチ(28nm、アスペクト比約4:1)を示す(式(h)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図9図9は、銅(明るいライン)で充填された基板(暗いライン)内の傾斜カットトレンチ(幅28nm、傾斜5~15度、アスペクト比約4:1)を示す(式(i)の化合物を含む本発明による酸性水性組成物が使用された)。
図10図10は、銅(B)で充填された基板(A)内のトレンチ(アスペクト比約10:1、直径約10μm)を示し(PEG3000を含む本発明によらない酸性水性組成物が使用された)、該トレンチは明らかに大きなボイド(C)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
我々自身の実験(本文内の下記の「実施例」の節を参照)によれば、本発明による酸性水性組成物は、低いアスペクト比および高いアスペクト比を示す構造について、典型的には非常に良好な(ボイド不含の)銅の充填をもたらした(「実施例」参照)。さらには、多くの場合において、銅堆積物中の有機添加剤の量は、当該技術分野から公知の酸性水性組成物に比して著しく低かった。
【0026】
我々自身の実験は、本発明による(上記で定義された)酸性水性組成物が、成分(ii)の化合物の代わりにポリエチレングリコールを含む(本発明によらない)酸性水性組成物に比して著しく増加された過電圧を示すことも示している(下記の「実施例」参照)。
【0027】
本発明による(上記で定義された)酸性水性組成物は水溶液である。「水溶液」との用語は、前記組成物中の溶媒である支配的な液体媒体が水であることを意味する。いくつかの場合において、前記組成物が水と混和性のある液体を含むことが好ましい。好ましい液体は、水と混和性のあるアルコールである。環境的な理由で、唯一の溶剤としての水が好ましい。
【0028】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)酸性水性組成物は、典型的には全ての成分および化合物をそれぞれ水性液体媒体中、好ましくは水中で溶解すること(および引き続き撹拌すること)によって製造される。
【0029】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)組成物は、好ましくは硫酸、フルオロホウ酸、リン酸およびメタンスルホン酸からなる群から選択される、1つまたはそれより多くの酸を含有する。本発明による組成物中の1つまたはそれより多くの酸の総量は、組成物の総体積に対して、好ましくは5g/L~400g/Lの範囲、より好ましくは10g/L~300g/Lの範囲である。前記の総量が400g/Lより遙かに多いと、その影響は、トレンチ内のボトムアップ充填が不十分であることである。それらの酸は好ましくは、前記1、2、3または3つより多くのさらなる化合物に算入される。
【0030】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)組成物のpH値は、温度20℃で測定して3以下、好ましくは2以下である。これは、本発明の組成物のpH値が3以下、好ましくは2以下であることを意味する。本発明に関し、pH値は温度20℃で測定されたものであり、つまり定義されたpH値は20℃を基準とする。従って、pH測定のためについてのみ、組成物は温度20℃を有する。これは本発明の組成物がそれ自体、20℃という特定の温度に限定されることを意味しない。組成物の好ましい温度については以下を参照のこと。
【0031】
pHが3を遙かに上回ると、その影響は、組成物中での伝導率が大々的に不十分であり、めっきの間の組成物中での不均衡な電流密度をもたらすことである。さらには、3以下のpHは、不溶性の銅酸化物の形成を防止する。その結果、本発明の組成物中で錯化剤は必要とされない。従って、本発明による電解銅めっきのための酸性水性組成物が錯化剤を本質的に不含である(好ましくは含有しない)ことが好ましい。錯化剤が不在であると、銅堆積物中に有機添加剤を含むリスクがさらに最小化されるので好ましい。本発明の組成物中に錯化剤が含まれない場合、典型的には銅堆積物中での著しい炭素含有率は観察されない。好ましくは、本発明の方法において得られた電解めっきされた銅は、電解めっきされた銅の総質量に対して少なくとも99質量%の銅、より好ましくは99.9質量%の銅を含む。
【0032】
本発明による電解銅めっきのための酸性水性組成物は銅(II)イオンを含む。好ましくは、銅イオン源は、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、ホウフッ化銅、酢酸銅、クエン酸銅、フェニルスルホン酸銅、パラトルエンスルホン酸銅、およびアルキルスルホン酸銅からなる群から選択される。好ましいアルキルスルホン酸銅はメタンスルホン酸銅である。最も好ましい銅源は硫酸銅であり、最も好ましくはCuSO4・5H2Oである。
【0033】
好ましくは、本発明による電解銅めっきのための酸性水性組成物中の硫酸銅(CuSO4・5H2O)の総量は、酸性水性組成物の総体積に対して20g/L~250g/L、好ましくは30g/L~220g/Lである。いくつかの特定の場合において、30g/L~80g/Lの総量が好ましく、他の特定の場合においては180g/L~220g/Lの総量が好ましい。CuSO4・5H2O以外の源が使用される場合、当業者は銅(II)イオンの総量について1リットルあたりのそれぞれのモル量を計算できる。いくつかの場合において、銅(II)イオンの総量は(銅源とは無関係に)、好ましくは硫酸銅(CuSO4・5H2O)についての上述の濃度[g/L]に相応する。
【0034】
一般に本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)組成物中で、銅(II)イオンの総量は、組成物の総体積に対して3~70g/Lの範囲、好ましくは5~70g/Lの範囲である。
【0035】
組成物中の前記銅(II)イオンが、該組成物中の全ての堆積可能な金属カチオンの少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも98mol%、さらにより好ましくは少なくとも99mol%、最も好ましくは99.9mol%である、本発明の組成物が好ましい。「堆積可能な金属カチオン」は、電流が印加されると銅と一緒に金属形態で堆積されるカチオンである。そのような「堆積可能な金属カチオン」は例えばスズ、ニッケルおよび銀である。
【0036】
組成物中の前記銅(II)イオンが、該組成物中の全ての遷移金属カチオンの少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも98mol%、さらにより好ましくは少なくとも99mol%、最も好ましくは少なくとも99.9mol%である、本発明の組成物が好ましい。組成物中の前記銅(II)イオンが、周期律表の主族III、IVおよびV族の金属イオンと一緒に、全ての遷移金属カチオンの少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも98mol%、さらにより好ましくは少なくとも99mol%、最も好ましくは少なくとも99.9mol%である、本発明の組成物がより好ましい。
【0037】
好ましくは、本発明の酸性水性組成物は銅合金用ではない。
【0038】
前記銅(II)イオンが唯一の堆積可能な金属カチオンである本発明の組成物が最も好ましい。従って、本発明の方法において電解めっきされた銅は最も好ましくは純粋な銅である。本発明に関して、「純粋な銅」は、電解めっきされた銅が、電解めっきされた銅の総質量に対して少なくとも99.5質量%の銅を含むことを意味する。
【0039】
前記組成物が、銅以外の遷移金属を本質的に不含である(好ましくは含有しない)、本発明の組成物が好ましい。前記組成物が(好ましくは上述のものの他に)、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズおよび鉛を本質的に不含である(好ましくは含有しない)組成物も好ましい。
【0040】
本発明に関して、対象物(例えば化合物、金属イオン等)の「本質的に不含」との用語は、前記対象物が全く存在しないか、または非常にわずかであり且つ本発明が意図する目的に影響することのない不干渉の量(程度)で(まで)しか存在しないことを意味する。例えば、そのような対象物が、例えば不可避の不純物として意図せず添加されるかまたは使用されることはある。「本質的に不含」とは、前記組成物に対して定義するならば、本発明の組成物の総質量に対して好ましくは0(ゼロ)ppm~50ppm、または前記めっきされた銅について定義するならば、本発明の方法において得られた電解めっきされた総質量に対して好ましくは0ppm~25ppm、より好ましくは0ppm~10ppm、さらにより好ましくは0ppm~5ppm、最も好ましくは0ppm~1ppmを意味する。
【0041】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物は、式(Ia)の1つまたは1つより多くの化合物(上記および以下で定義される、好ましくは、好ましいとして定義される少なくとも1つまたは1つより多くの化合物)を含む。いくつかの場合において、本発明による(上述の、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が、式(Ia)の1つだけの化合物(上記および以下で定義される、好ましくは、好ましいとして定義される1つの化合物)を含むことが好ましい。
【0042】
本文を通じて、「独立して」との文言(例えば「独立して選択される」または「独立して意味する」などの用語)は、部分および群について使用される。この文言の意味は、以下の例によって説明される: 例示的な基E、FおよびGを有する例示的な化合物Xについて、「E、FおよびGは、・・・からなる群から独立して選択される」。これは、(i)例示的な化合物X中の例の基Fは、例示的な化合物X中の例の基EおよびGから独立して選択され、且つ(ii)例示的な化合物X中の例示的な基Fは、他の例示的な化合物における、例えば例示的な化合物Yにおける他の例示的な基Fから独立して選択されることを意味する。
【0043】
本文を通じて、式(Ia)および式(Ib)において、p部分中の[-CH2-]n-基とs部分中の酸素原子との間に曲線が描かれている。その曲線はp部分中のn番目の-CH2-基の炭素原子とs部分中の酸素原子とを結合する共有結合を示す。pおよび/またはsがゼロである場合、その曲線は、前記式によるそれぞれの前および/または次の原子の共有結合の相応の結合を示す。
【0044】
さらには、sがゼロである場合、式(Ia)の化合物はR4およびR5部分を含まない。これは、式(Ia)の化合物が式(IIa)の部分を含まないことも意味する。その結果、式(IIa)の化合物中の可変部t、zおよびcは、そのような場合、ゼロと数えられる。
【0045】
本文を通じて、「アルキル」との用語が使用され、且つ任意の炭素原子から水素原子を除去することによってアルカンから誘導される一価の基に関する(Cn2n+1)。例えば「C3~C16-アルキル」との用語は、3~16個の炭素原子(n=3~16)を有するアルキル基に関する。本文を通じて、C3-アルキルは明示的に、n-プロピルおよびイソプロピルを含み、C4-アルキルは明示的にn-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルを含み、且つC5-アルキルは明示的に
【化7】
[式中、破線はアルキル基のそれぞれの炭素原子と分子のそれぞれの原子とを結合するための共有結合(結合手)を示す]を含む。
【0046】
本文全体のいくつかの式において、他の破線が描かれる。しかしながら、そのような破線はいずれの端部でも特定の炭素原子に結合していない。むしろ、その破線は共有結合と交差する。例えば、A1部分、A2部分およびA3部分の中のいくつかの環構造が共有結合と交差する破線を用いて描かれる。そのような破線は、それぞれのA1部分、A2部分、およびA3部分中の(適した)炭素原子と、式(Ia)および式(Ib)の化合物の残りとをそれぞれ結合する単独の共有結合を示す。
【0047】
例えば、A1、A2、およびA3は、
【化8】
部分を含み、それはキノリン部分である。キノリン中の典型的な環の番号付けは以下のとおりである:
【化9】
【0048】
例えば、いくつかの場合において、この部分は式(Ia)および(Ib)の化合物の残りに、それぞれ以下
【化10】
のように結合し(8番目の炭素を介した結合)、他の場合においては以下
【化11】
のように結合する(6番目の炭素を介した結合)。本発明の組成物においてはそのような結合が特に好ましい。しかしながら、いくつかの場合においては、2、3、4、5および7番目の炭素を介した結合が好ましい。いくつかの場合において、式(Ia)の化合物中の1つまたは1つ多くのキノリン部分が、6番目の炭素または8番目の炭素を介して独立して結合され、その際、同じ化合物中の1つまたは1つより多くの他のキノリン部分が、そのキノリン部分内の他の炭素原子の1つを介して独立して結合されることが好ましい。
【0049】
さらには(および好ましくは上述のキノリン部分に関して)、A1部分、A2部分およびA3部分の中のそれぞれの環構造は、それらの窒素原子によって(使用可能である場合)、式(Ia)および式(Ib)の化合物の残りとそれぞれ結合されない。
【0050】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物において、A1部分、A2部分およびA3部分は非置換である(置換されていないとも称する)。これは特に、環構造内の水素原子が共有結合的に置換されていないことを意味する。このことは好ましくはキノリン部分に適用される。
【0051】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物において、B1、B2、B3、D1、D2およびD3はOおよびNHからなる群(pHに依存するプロトン化状態を含む)から独立して選択され、
好ましくはB1、B2、B3、D1、D2およびD3はOおよびNHからなる群から独立して選択されるが、ただし、
xが1であり且つA1
【化12】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、B1はNHのみであり、(そうでなければB1はOであり)、
yが1であり且つA2
【化13】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、B2はNHのみであり、(そうでなければB2はOであり)、
zが1であり且つA3
【化14】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、B3はNHのみであり、(そうでなければB3はOであり)、
より好ましくはB1、B2、B3、D1、D2およびD3はOおよびNHからなる群から独立して選択されるが、ただし、
xが1であり且つA1
【化15】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、B1はNHのみであり、(そうでなければB1はOであり)、
yが1であり且つA2
【化16】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、B2はNHのみであり、(そうでなければB2はOであり)、
zが1であり且つA3
【化17】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、B3はNHのみであり、(そうでなければB3はOであり)、
xがゼロであり且つoが1である場合、好ましくはxがゼロであり、oが1であり且つA1
【化18】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、D1はNHのみであり、(そうでなければD1はOであり)、
yがゼロである場合、好ましくはyがゼロであり且つA2
【化19】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、D2はNHのみであり、(そうでなければD2はOであり)、且つ
zがゼロである場合、好ましくはzがゼロであり且つA3
【化20】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
を意味する場合、D3はNHのみである(そうでなければD3はOである)。
【0052】
好ましくは、D1、D2およびD3についての上述の条件に加えてa、bおよびcがゼロである場合、D1、D2およびD3はそれぞれNHである。
【0053】
好ましくは、B1およびD1がOである場合、(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)A1は、
【化21】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]
の部分を含有しない(A2とD2およびB2との組み合わせ、並びにA3とD3およびB3との組み合わせに相応して適用される)。
【0054】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)酸性水性組成物において、R4およびR5は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキル、分枝鎖のC3~C16-アルキル、および(上記で定義された)式(IIa)の部分からなる群から独立して選択される。好ましくは、R4およびR5は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキル、分枝鎖のC3~C10-アルキル、および(上記で定義された)式(IIa)の部分からなる群から独立して選択される。より好ましくは、R4およびR5は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C5-アルキル、分枝鎖のC3~C5-アルキル、および(上記で定義された)式(IIa)の部分からなる群から独立して選択される。いくつかの場合において、R4およびR5が、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C5-アルキルおよび分枝鎖のC3~C5-アルキルからなる群から独立して選択されることが好ましい。直鎖のC3~C5-アルキルおよび分枝鎖のC3~C5-アルキルの具体的な部分については上記本文を参照のこと。いくつかの場合において、R5が(上記で定義された)式(IIa)の部分である場合、R4が水素であることが好ましい。
【0055】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物において、A1、A2およびA3は(本文を通じて定義されたA1、A2およびA3についての他の部分の他に)直鎖のC3~C16-アルキルおよび分枝鎖のC3~C16-アルキルを独立して含む。好ましくは、それらのアルキル部分は直鎖のC3~C12-アルキルおよび分枝鎖のC3~C12-アルキルである。具体的な直鎖のC3~C5-アルキルおよび分枝鎖のC3~C5-アルキルについては上記本文を参照のこと。
【0056】
1が水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキルまたは分枝鎖のC3~C16-アルキルの1つである場合、その条件は好ましくは追加的にaがゼロであることを含む(A2とbとの組み合わせ並びにA3とcとの組み合わせに相応して適用される)。
【0057】
いくつかの場合において、A1、A2およびA3が水素ではないことが好ましい。これは、好ましくはA1、A2およびA3について定義される基は水素を含まないことを意味する。
【0058】
好ましくは、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物において、組成物(ii)の総量は、酸性水性組成物の総体積に対して少なくとも0.005g/L、好ましくは少なくとも0.01g/L、より好ましくは少なくとも0.1g/L、およびさらにより好ましくは少なくとも0.2g/Lである。好ましくは前記総量は、酸性水性組成物の総体積に対して1g/Lを上回らず、好ましくは100mg/Lを上回らず、より好ましくは10mg/Lを上回らない。
【0059】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物において、o、p、qおよびtの合計(o+p+q+t)は、5~300の範囲である(o+p+q+t=5~300)。o、p、qおよびtは各々個々に0~300の範囲、好ましくは0~100の範囲、より好ましくは0~50の範囲である(上述の合計について定義された条件で)。これは、o、p、qおよびtがゼロの値を含む正の整数であることを意味する。それらは、それぞれの部分が式(Ia)および(Ib)の化合物中に存在する場合、前記の合計にそれぞれ寄与し、そうでなければそれらはゼロで寄与する。
【0060】
いくつかの場合において、o+p+q+t=6~100、好ましくはo+p+q+t=7~50、より好ましくはo+p+q+t=8~30である、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。いくつかの場合において、D1がNHである場合、oが1であることが好ましい。
【0061】
いくつかの場合において、a、bおよびcの少なくとも1つ(好ましくはa)がゼロであり、より好ましくはa、b、およびcの少なくとも2つ(好ましくはaおよびb)がゼロであり、さらにより好ましくはa、bおよびcがゼロである、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。
【0062】
好ましくは、A1
【化22】
からなる群から選択される部分である場合、aはゼロである(好ましくは、A1が本文中で好ましいとして定義されるとおりである場合、aはゼロである)。これは、bおよびA2、並びにcおよびA3に相応して適用される。
【0063】
いくつかの場合において、a、bおよびcが独立して0(ゼロ)または1である本発明の酸性水性組成物が好ましい。
【0064】
いくつかの場合において、本発明による酸性水性組成物において以下の成分(ii)が好ましい:
(ii) 式(Ia)の1つまたは1つより多くの化合物
【化23】
[式中、
4およびR5は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキル、分枝鎖のC3~C16-アルキルおよび式(IIa)の部分
【化24】
からなる群から独立して選択され、
1、R2、R3およびR6は、水素、メチルおよびエチルからなる群から独立して選択され、
1およびD1はO(酸素)であり、
2、B3、D2およびD3は、OおよびNHからなる群から独立して選択され、
1、A2およびA3は、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキル、分枝鎖のC3~C16-アルキル、
【化25】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化26】
からなる群から選択される部分を独立して示すが、ただし、
(A1、A2およびA3からの)少なくともA1は、
【化27】
からなる群から選択される部分であり(好ましくは、A1は、本文中で好ましいとして定義された部分であり)、
a、bおよびcは独立して0、1、2または3であり(好ましくは、aはゼロであり且つbおよびcは独立して0、1、2または3であり)、
s、x、yおよびzは独立して0または1であり、
nは独立して1、2または3であり、
o+p+q+t=5~300である]。
【0065】
本発明による(式(Ia)の化合物を含む)電解銅めっきのための酸性水性組成物の上述の好ましい特徴は、(技術的および/または科学的に適用可能であれば)、式(Ib)の化合物を含む電解銅めっきのための酸性水性組成物に(さらなる詳細は以下の本文を参照)、および以下の本文に記載される他の好ましい特徴にも適用される。
【0066】
いくつかの場合において、B1、B2、B3、D1、D2およびD3がO(酸素原子)を示す、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。従って、(好ましくは)本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物であって、
(i) 銅(II)イオン、
(ii) 式(I)の1つまたは1つより多くの化合物
【化28】
[式中、
4およびR5は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキル、分枝鎖のC3~C16-アルキルおよび式(IIb)の部分
【化29】
からなる群から独立して選択され、
1、R2、R3およびR6は、水素、メチルおよびエチルからなる群から独立して選択され、
1、A2およびA3は、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキルおよび分枝鎖のC3~C16-アルキル、
【化30】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、
および
【化31】
からなる群から選択される部分を独立して示すが、ただし、
1、A2およびA3の少なくとも1つは
【化32】
からなる群から選択される部分であり、
a、bおよびcは独立して0、1、2または3であり、
s、x、yおよびzは独立して0または1であり、
nは独立して1、2または3であり、
o+p+q+t=5~300である]、
および
(iii) 式(Ib)の化合物とは異なる、1、2、3または3つより多くのさらなる化合物
を含む前記組成物が好ましい。
【0067】
前記組成物のpHに関して述べられた上記のことが同様に適用される。
【0068】
我々自身の実験は、それぞれの組成物(B1、B2、B3、D1、D2およびD3がO(酸素原子)を意味する)が、多くの場合、非常に良好な安定性(貯蔵寿命)を示すことを示している。
【0069】
いくつかの場合、B1、B2、B3、D1、D2およびD3がO(酸素)であれば、(上記で定義された)A1、A2およびA3部分は
【化33】
[式中、R7およびR8は上記で定義された通りである]
を含有しない。
【0070】
1、A2およびA3が、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキルおよび分枝鎖のC3~C16-アルキル、
【化34】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、
【化35】
からなる群から選択される部分を独立して示し、ただし、
1、A2およびA3の少なくとも1つが
【化36】
である、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。
【0071】
従って、A1、A2およびA3の少なくとも1つは(非置換の)キノリンであることが最も好ましい。これは、A1、A2およびA3の少なくとも1つが
【化37】
である、本発明の組成物が好ましいことを意味する。
【0072】
上述の(好ましい実施態様を含む)但し書きは、式(Ia)および(Ib)の化合物にそれぞれ適用される。式(Ia)の場合、相応のx、yおよびzが1であれば、A1、A2およびA3の少なくとも1つの相応のB1、B2およびB3がOであるという追加的な但し書きが適用される。
【0073】
前記の「相応のx、yおよびzが1であれば、A1、A2およびA3の少なくとも1つの相応のB1、B2およびB3がOである」との文言は、例えばA1が前記但し書きについて選択される(例えばキノリンである)なら、B1はA1に相応し且つxはB1に相応することを定義する(同じことがA2とB2およびyとの組み合わせ、およびA3とB3およびzとの組み合わせに適用される)。
【0074】
1、A2およびA3が、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキルおよび分枝鎖のC3~C16-アルキル、
【化38】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化39】
からなる群から選択される部分を独立して示し、ただし、
1、A2およびA3の少なくとも1つが
【化40】
からなる群から選択される部分であり、好ましくはA1、A2およびA3の少なくとも1つが
【化41】
である、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。
【0075】
上述の(好ましい実施態様を含む)但し書きは、式(Ia)および(Ib)の化合物にそれぞれ適用される。式(Ia)の場合、相応のx、yおよびzが1であれば、A1、A2およびA3の少なくとも1つの相応のB1、B2およびB3がOであるという追加的な但し書きが適用される。
【0076】
換言すれば、A1、A2およびA3が、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C16-アルキルおよび分枝鎖のC3~C16-アルキル、
【化42】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化43】
からなる群から選択される部分を独立して示す、本発明の組成物が好ましい。
【0077】
1、A2およびA3が、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C14-アルキルおよび分枝鎖のC3~C14-アルキル、
【化44】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化45】
からなる群から選択される部分を独立して示し、ただし、
1、A2およびA3の少なくとも1つが
【化46】
からなる群から選択される部分であり、好ましくはA1、A2およびA3の少なくとも1つが
【化47】
である、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。
【0078】
上述の(好ましい実施態様を含む)但し書きは、式(Ia)および(Ib)の化合物にそれぞれ適用される。式(Ia)の場合、相応のx、yおよびzが1であれば、A1、A2およびA3の少なくとも1つの相応のB1、B2およびB3がOであるという追加的な但し書きが適用される。
【0079】
換言すれば、A1、A2およびA3が、
水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C14-アルキルおよび分枝鎖のC3~C14-アルキル、
【化48】
[式中、R7およびR8は、水素、メチル、エチル、直鎖のC3~C10-アルキルおよび分枝鎖のC3~C10-アルキルからなる群から独立して選択される]、および
【化49】
からなる群から選択される部分を独立して示す、本発明の組成物が好ましい。
【0080】
いくつかの場合において、A1、A2およびA3の少なくとも2つが、
【化50】
からなる群から選択される部分であり、好ましくはA1、A2およびA3の少なくとも2つが
【化51】
である、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。
【0081】
本文中で上述のとおり、環構造を含有するA1、A2およびA3部分(例えばキノリン)は非置換であり、好ましくは(全ての)A1、A2およびA3部分が非置換である。これは、例えば追加的なヘテロ原子、例えばハロゲン原子または他の官能基(例えばヒドロキシル、ニトロ、アミノなど)が存在しないことを意味する。
【0082】
およびRが水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、
【化52】
[式中、破線は前記基のそれぞれの炭素原子を
【化53】
のそれぞれの原子と結合するための共有結合(結合手)を示す]
からなる群から独立して選択される、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。最も好ましくは、R7は水素およびイソプロピルからなる群から選択され、且つR8はイソブチルである。
【0083】
いくつかの場合において、x、yおよびzの少なくとも1つが0(ゼロ)であり、好ましくはx、yおよびzが0(ゼロ)である、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。そのような場合、式(Ia)および(Ib)の化合物中のヒドロキシル基の数がそれぞれ低減され、好ましくは、前記化合物はヒドロキシル基を含有しない。我々自身の実験によれば、そのような化合物は典型的には、基材表面に対する、および銅表面に対する強い付着強度を示す。しかしながら、いくつかの場合において、x、yおよびzの少なくとも1つが1であり、好ましくはx、yおよびzが1である、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物が好ましい。そのような場合、式(Ia)および(Ib)の化合物中のヒドロキシル基の数はそれぞれ比較的多い。我々自身の実験によれば、そのような化合物は典型的には、基材表面に対する、および銅表面に対する、より低い付着強度を示す。しかしながら、多くの場合、より低い付着強度は、堆積された銅中での前記化合物の共堆積の低減をもたらす。それにもかかわらず、x、yおよびzがゼロであるか1であるかとは無関係に、それぞれの組成物中で生成される過電圧は、PEGを含む組成物中で生成される過電圧に比して著しく高い(以下の「実施例」参照)。
【0084】
上述のとおり、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物はそれぞれ、式(Ia)の化合物および式(Ib)の化合物とは異なる、1、2、3、または3つより多くのさらなる化合物を含む。好ましくは、前記1、2、3、または3つより多くのさらなる化合物は、1つまたは1つより多くの種の無機イオン、1つまたは1つより多くの促進剤・ブライトナー化合物、1つまたは1つより多くのキャリア・抑制剤化合物、1つまたは1つより多くのレベラー化合物、および1つまたは1つより多くの湿潤剤からなる群から選択される。
【0085】
好ましくは、本発明の組成物は錯化剤を実質的に不含、好ましくは含まない。
【0086】
好ましい種の無機イオンは、ハロゲン化物イオン(好ましくは塩化物イオン)および硫酸イオンからなる群から選択される。それらを銅源によって本発明による酸性水性組成物に全体的または部分的に添加できる(様々な銅源については上記本文参照)。ハロゲン化物イオンについて他の適した源は、例えば塩酸またはアルカリハロゲン化物、例えば塩化ナトリウムである。
【0087】
前記1、2、3または3つより多くのさらなる化合物がハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物イオンを含む、本発明の組成物が好ましい。
【0088】
好ましくは、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物において、塩化物イオンの総量は、酸性水性組成物の総体積に対して、0.01~0.18g/Lの範囲、好ましくは0.03~0.10g/Lの範囲である。好ましくは塩酸の総量は、酸性水性組成物の総体積に対して、0.01~0.18g/Lの範囲、好ましくは0.03~0.10g/Lの範囲である。
【0089】
本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物は、好ましくは硫酸を含有する。好ましくは、本発明による組成物を製造するために添加される硫酸の総量は、酸性水性組成物の総体積に対して、5g/L~350g/Lの範囲、好ましくは8g/L~220g/Lの範囲である。8g/L~90g/Lまたは180g/L~220g/Lの範囲の総量がより好ましい。硫酸を部分的または完全にフルオロホウ酸、メタンスルホン酸または他の酸で置き換えることもできる。
【0090】
いくつかの場合において、本発明による酸性水性組成物がレドックス対、より好ましくはFe(II)/Fe(III)イオンを含むことが好ましい。そのようなレドックス対は、銅を堆積するために逆パルスめっきが不活性アノードと組み合わせて使用される場合、特に有用である。逆パルスめっきと不活性アノードとを組み合わせて、レドックス対を使用する銅めっきのための適した方法は、例えば米国特許第5976341号明細書(US5976341)および米国特許第6099711号明細書(US6099711)内に開示されている。
【0091】
好ましい促進剤・ブライトナー化合物は、チオール化合物、スルフィド化合物、ジスルフィド化合物およびポリスルフィド化合物からなる群から選択される。より好ましい促進剤・ブライトナー化合物は、3-(ベンゾチアゾリル-2-チオ)-プロピルスルホン酸、3-メルカプトプロパン-1-スルホン酸、エチレンジチオジプロピルスルホン酸、ビス-(p-スルホフェニル)-ジスルフィド、ビス-(ω-スルホブチル)-ジスルフィド、ビス-(ω-スルホヒドロキシプロピル)-ジスルフィド、ビス-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィド、ビス-(ω-スルホプロピル)-スルフィド、メチル-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィド、メチル-(ω-スルホプロピル)-トリスルフィド、O-エチル-ジチオ炭酸-S-(ω-スルホプロピル)-エステル、チオグリコール酸、チオリン酸-O-エチル-ビス-(ω-スルホプロピル)-エステル、3-N,N-ジメチルアミノジチオカルバモイル-1-プロパンスルホン酸、3,3’-チオビス(1-プロパンスルホン酸)、チオリン酸-トリス-(ω-スルホプロピル)-エステル、およびそれらの相応の塩からなる群から選択される。促進剤・ブライトナー化合物の総量は、酸性水性組成物の総体積に対して、好ましくは0.01mg/L~100mg/Lの範囲、より好ましくは0.05mg/L~10mg/Lの範囲である。
【0092】
キャリア・抑制剤化合物は、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ステアリン酸ポリグリコールエステル、アルコキシル化ナフトール、オレイン酸ポリグリコールエステル、ステアリルアルコールポリグリコールエーテル、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、オクタノールポリアルキレングリコールエーテル、オクタンジオール-ビス-(ポリアルキレングリコールエーテル)、ポリ(エチレングリコール-ran-プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)-block-ポリ(プロピレングリコール)-block-ポリ(エチレングリコール)、およびポリ(プロピレングリコール)-block-ポリ(エチレングリコール)-block-ポリ(プロピレングリコール)からなる群から選択される。より好ましくは、キャリア・抑制剤化合物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール-ran-プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)-block-ポリ(プロピレングリコール)-block-ポリ(エチレングリコール)およびポリ(プロピレングリコール)-block-ポリ(エチレングリコール)-block-ポリ(プロピレングリコール)からなる群から選択される。キャリア・抑制剤化合物の総量は、好ましくは0.005g/L~20g/Lの範囲、より好ましくは0.01g/L~5g/Lの範囲である。
【0093】
自身での参考実験は、キャリア・抑制剤化合物(例えば上述のとおり)を含む参照用の(本発明によらない、つまり式(Ia)および(Ib)の化合物をそれぞれ有さない)酸性水性組成物は、非常に多くの場合、そのようなキャリア・抑制剤化合物が不在で得られる銅表面に比して、より平滑な、より均質な銅表面をもたらすことを示している。さらには、上述の化合物の多くは典型的には、それぞれの参照用組成物における適切な過電圧に寄与する。しかしながら、そのような参照用組成物において得られる過電圧は通常、本発明による酸性水性組成物に比して著しく低い。従って、いくつかの場合において、本発明による酸性水性組成物が、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ステアリン酸ポリグリコールエステル、アルコキシル化ナフトール、オレイン酸ポリグリコールエステル、ステアリルアルコールポリグリコールエーテル、ノニルフェノールポリグリコールエーテル、オクタノールポリアルキレングリコールエーテル、オクタンジオール-ビス-(ポリアルキレングリコールエーテル)、ポリ(エチレングリコール-ran-プロピレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)-block-ポリ(プロピレングリコール)-block-ポリ(エチレングリコール)、およびポリ(プロピレングリコール)-block-ポリ(エチレングリコール)-block-ポリ(プロピレングリコール)からなる群から選択される、1つまたは1つより多くのキャリア・抑制剤化合物を本質的に不含、好ましくは含有しないことが好ましい。しかしながら、他の場合においては、上記で定義された1つまたは1つより多くのキャリア・抑制剤化合物を追加的に含むことが受け容れ可能であるように思われる。多くの場合において、我々自身の実験は、本発明による酸性水性組成物において生成される比較的高い過電圧が、上記で定義された追加的なキャリア・抑制剤化合物の存在に悪影響を及ぼさないことを示している。
【0094】
好ましいレベラー化合物は、窒素含有レベラー化合物、例えばポリエチレンイミン、アルコキシル化ポリエチレンイミン、アルコキシル化ラクタムおよびそれらのポリマー、ジエチレントリアミンおよびヘキサメチレンテトラミン、染料、例えばヤーヌスグリーンB、ビスマルクブラウンYおよびアシッドバイオレット7、硫黄含有アミノ酸、例えばシステインおよびフェナジニウ塩からなる群から選択される。さらなる窒素含有レベラーは、ペプチドを有するポリエチレンイミン、アミノ酸を有するポリエチレンイミン、ペプチドを有するポリビニルアルコール、アミノ酸を有するポリビニルアルコール、ペプチドを有するポリアルキレングリコール、アミノ酸を有するポリアルキレングリコール、ピロールを有するアミノアルキレン、およびピリジンを有するアミノアルキレンであってよい。適したウレイルポリマーは、欧州特許出願公開第2735627号明細書(EP2735627 A1)内に開示され、アミノ酸およびペプチドを有する前記ポリアルキレングリコールは、欧州特許第2113587号明細書(EP2113587 B9)内で公開されている。欧州特許出願公開第2537962号明細書(EP2537962 A1)は、ピロールおよびピリジンを有する適したアミノアルキレン化合物を教示している。本発明による酸性水性組成物中のレベラー化合物の総量は、組成物の総体積に対して、好ましくは0.1mg/L~100mg/Lの範囲である。自身の実験は、そのようなレベラー化合物が非常に多くの場合、工程の安定性を改善することを示している。
【0095】
いくつかの場合において、我々自身の実験によれば、上記で定義されたいくつかのレベラー化合物が、本発明による酸性水性組成物中で生成される過電圧にわずかに悪影響を及ぼす(しかしまだ受け容れ可能ではある)。従って、いくつかの場合において、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)酸性水性組成物が、上記で定義された1つまたは1つより多くのレベラー化合物を実質的に不含、好ましくは含有しないことが好ましい。
【0096】
好ましくは、本発明による酸性水性組成物は少なくとも1つの湿潤剤を含有する。それらの湿潤剤は、当該技術分野において界面活性剤とも称される。少なくとも1つの湿潤剤は好ましくは、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤からなる群から選択される。本発明による酸性水性組成物中の湿潤剤の総量は、酸性水性組成物の総質量に対して、好ましくは0.01~5質量%の範囲である。
【0097】
上述のとおり、本発明による酸性水性組成物は、それぞれ、式(Ia)および(Ib)の1つまたは1つより多くの化合物を含有する。好ましくは、本発明による酸性水性組成物において、式(Ia)(および式(Ib)のそれぞれ)の1つまたは1つより多くの化合物の総量の質量平均分子量(Mw)は、300g/mol~10000g/molの範囲、好ましくは400g/mol~8000g/molの範囲、好ましくは500g/mol~4000g/molの範囲である。
【0098】
我々自身の実験によれば、本発明による酸性水性組成物が好ましくは以下からなる群から選択される1つ、1つより多くまたは全ての化合物を含む場合に優れた結果が得られる:
【化54-1】
【0099】
【化54-2】
【0100】
従って、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのためのそれぞれの酸性水性組成物が特に好ましい。これらは式(Ia)(または式(Ib))の非常に好ましい具体的な化合物であり、ひいては、一般式(Ia)(または式(Ib))の化合物を含む非常に好ましい本発明の組成物をもたらす。
【0101】
本発明は、電解銅めっきのための、好ましくは埋め込み型構造(好ましくは1:1~20:1の範囲のアスペクト比を有する埋め込み型構造)のボイド不含の銅充填のための、本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)酸性水性組成物の使用にも関する。好ましい埋め込み型構造はトレンチ、ブラインドマイクロビアおよびスルーホールである。
【0102】
本発明による酸性水性組成物に関する上述の特徴(好ましくは、好ましいとして定義された特徴)は、電解銅めっきおよびボイド不含の銅充填のための酸性水性組成物の使用にも適用される。
【0103】
本発明は、それぞれ上記本文内で定義された式(Ia)の化合物および上記本文内で定義された式(Ib)の化合物の、電解金属めっきのための酸性水性組成物中での、好ましくは電解銅めっきのための酸性水性組成物中での、好ましくは本発明による(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)電解銅めっきのための酸性水性組成物中での使用にも関する。好ましくは、前記化合物は、過電圧を増加するために、つまり、過電圧増加化合物として組成物中で使用される。
【0104】
「過電圧増加化合物」との用語は、同様に実施されるがそれぞれ上記本文内で定義された式(Ia)の化合物または上記本文内で定義された式(Ib)の化合物の代わりに過電圧増加化合物としてポリエチレングリコールが使用された点のみ異なる比較実験に比して、それぞれ上記本文内で定義された式(Ia)の化合物および上記本文内で定義された式(Ib)の化合物が過電圧を増加することを意味する。ポリエチレングリコールを用いて、(好ましくはPEG 3000)を用いて、他は同一であるそれぞれの実験で得られた電圧に比して、電圧が高い場合、(本発明に関し)過電圧は増加される。当業者は、一連の標準的な注入(injection)実験(「実施例」参照)によって、過電圧を容易に決定できる。
【0105】
酸性水性組成物に関する上述の(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)特徴は、電解銅めっきのための酸性水性組成物の上述の使用、および前記化合物の上述の使用にも適用される。
【0106】
本発明はさらに、電解銅めっき方法であって、
(a) 電解銅めっきのために適した基板を準備または製造する段階、
(b) 段階(a)において得られる、または段階(a)の後であるが段階(b)の前の追加的な段階において得られる基板を、本発明による(上記で定義された、好ましくは、以下で好ましいとして定義される)酸性水性組成物と接触させ、電流を印加して、前記基板上に銅を電解めっきする段階
を含む、前記方法に関する。
【0107】
本発明による方法において、基板と少なくとも1つのアノードとが、電流源または電圧源に接続される。電流を印加すると、銅が前記基板上(少なくとも基板表面の一部の上)にめっき(堆積)される。いくつかの場合において、段階(b)は段階(a)の直後に行われる。他の場合において、段階(a)の後に洗浄および/または濯ぎ段階が追加的な段階として含まれることが好ましい。そのような場合、洗浄された/濯がれた基板が得られる。好ましくは、そのような洗浄された/濯がれた基板を段階(b)において定義されるように直接的に接触させる。
【0108】
好ましくは、基板は、プリント回路板、IC基板、半導体ウェハ、セラミックスおよびガラス基板からなる群から選択される。埋め込み型構造、例えばトレンチ、ブラインドマイクロビア、スルーシリコンビア、スルーホール、およびスルーガラスビアを有する上述の群の基板が好ましい。従って、トレンチ、ブラインドマイクロビアおよびスルーホールからなる群から選択される1つまたは1つより多くの埋め込み型構造を含む基板が好ましい。本発明の方法において、好ましくはそれらの構造は銅で充填され、ボイド不含である(下記の「実施例」参照)。従って、段階(b)において電流が印加され、銅が基板上に電解めっきされ、且つ埋め込み型構造、好ましくはトレンチ、ブラインドマイクロビアおよびスルーホールが銅で充填されてボイド不含である、本発明の方法が好ましい。
【0109】
多くの場合、基板が金属シード層、より好ましくは銅シード層を含有することが好ましい。いくつかの場合において、基板は好ましくは樹脂、セラミックス、ガラスまたはシリコンを含み、より好ましくは金属シード層、さらにより好ましくは銅シード層を有する。
【0110】
本発明による電解銅めっき方法の間、本発明による酸性水性組成物は好ましくは撹拌され、より好ましくは強い流入によって、および該当する場合、組成物の表面が強い動きに供されるように吹き込まれる清浄な空気によって撹拌される。これは、物質輸送がカソードおよびアノード近傍において最大化され、より高い電流密度が可能になることを意味する。カソードの動きは、それぞれの表面での物質輸送も改善する。さらに、基板の回転によって対流を組成物中に生成することができる。一定の拡散の制御された堆積は、対流の増加および電極の動きによって達成される。基板を水平および垂直に、および/または振動によって動かすことができる。組成物中に吹き込まれる空気との組み合わせが特に効果的であり、ひいては好ましい。
【0111】
本発明による(上記で記載された、好ましくは、好ましいとして記載された)電解銅めっき方法において、段階(b)は好ましくは15℃~50℃の温度範囲、より好ましくは15℃~40℃の温度範囲で行われる。これは、段階(b)において、本発明の組成物が上記で定義された温度を有することを意味する。
【0112】
好ましくは、0.05A/dm2~12A/dm2の範囲、より好ましくは0.1A/dm2~7A/dm2の範囲、さらにより好ましくは0.1A/dm2~3A/dm2の範囲のカソード電流密度(平均密度)が印加される。しかしながら、特にパルスめっき法について、上述の範囲を超える電流密度は除外されない。
【0113】
好ましくは、本発明による(上記で記載された、好ましくは、好ましいとして記載された)電解銅めっき方法における段階(b)は、DCめっきモード(DCめっき法)、逆パルスめっきモードを含むパルスめっきモード(それぞれパルスめっき法および逆パルスめっき法)、またはそれらの組み合わせで実施される。
【0114】
パルスめっきは典型的には、堆積電流が電流の休止によって規則的に中断される単極パルス電流を含む。逆パルスめっきは典型的には、めっき工程の間に逆向きの電流パルスを含む。
【0115】
逆パルスめっき法は、特に高いアスペクト比を有する回路板上に銅を電解堆積するために開発され、例えば独国特許出願公開第4225961号明細書(DE4225961 C2)および独国特許出願公開第2739427号明細書(DE2739427 A1)内に記載されている。より高い電流密度が使用される場合、スルーホール内で改善された表面分布およびスローイングパワーが達成される。
【0116】
本発明の(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)方法において、不活性(不溶性)アノードまたは可溶性アノードが使用される。いくつかの場合において、不活性アノードが好ましい。不溶性アノードは、めっき工程の間、不活性であり、その結果、それらの形状が変わらない。これは、めっき工程の間に時間的に一定の形状を可能にする。特に貴金属、例えば白金、またはいわゆるバルブ金属、例えばチタンであって貴金属の混合酸化物で被覆されているもの、例えば酸化ルテニウムと酸化イリジウムのコーティングで被覆されているものが、本発明による方法において不溶性アノードとして好ましく使用される。いくつかの場合において、不溶性アノードがエキスパンドメタルの形態であることが好ましい。不溶性アノードを使用する場合に銅イオンを補給するために、銅化合物を本発明による酸性水性組成物中に溶解する必要があるか(銅源については上記本文参照)、または金属銅を組成物と接触させる。金属銅は、組成物中に溶解された酸素の作用下で溶解するか、またはレドックス系の酸化形を形成する化合物の助けを借りて、例えば前記組成物中に溶解されたFe(III)イオンの助けを借りて溶解し、それにより、前記Fe(III)イオンはFe(II)イオンへと還元される。Fe(II)イオンは不溶性アノードで酸化されて、Fe(II)イオンに戻る。Fe(II)/Fe(III)イオンは、例えば相応の硫酸鉄塩から生じ得る。前記組成物中のFe(II)イオンの濃度は、組成物の総体積に対して好ましくは8~12g/Lであり、且つFe(III)イオンの濃度は好ましくは1~5g/Lである。
【0117】
しかしながら、他の場合において、可溶性銅アノードが好ましい。堆積(めっき)工程の間に消費される銅は、典型的には可溶性銅アノードを介して電気化学的に補給される。0.02~0.067質量パーセントのリンの含有率を有する可用性銅アノードが特に好ましい。
【0118】
本発明による方法において、銅は好ましくは従来の方式で、浸漬浴容器中に位置する組成物中に基板を浸漬し、その基板に同じ組成物中に位置するアノードに対する極性を与えることによって、および水平めっき法によることによっての両方でめっきされる。後者のめっき方法は従来の水平式装置において行われ、前記装置を通じて基板が水平の位置および輸送方向に搬送され、同時に酸性水性組成物と接触される。アノードも、装置内で基板の輸送経路に沿って水平位置に配置される。それらの種の装置は、例えば独国特許出願公開第3624481号明細書(DE3624481 A1)および独国特許出願公開第3236545(DE3236545 A1)内に開示されている。さらに、半導体ウェハは好ましくはいわゆるカッププレーターにおいて処理され、その際、それぞれのウェハはアノード上の水平の位置に配置され、前記アノードも水平の位置に配置されている。そのカッププレーターは、本発明による酸性水性組成物で充填される。その結果、ウェハとアノードとの両方が組成物と接触する。好ましくは、ウェハは堆積工程の間、回転している。
【0119】
さらには、酸性水性組成物に関する上述の(上記で定義された、好ましくは、好ましいとして定義された)特徴は、好ましくは本発明による電解銅めっきの方法にも適用される。
【0120】
さらには、本発明は、以下からなる群から選択される、式(Ia)および式(Ib)の化合物にそれぞれ関する:
【化55-1】
【0121】
【化55-2】
【0122】
我々自身の実験によれば、それらの化合物は非常に良好なめっき結果、およびPEGに比して十分に高い過電圧を示した(下記の「実施例」の節参照)。それらは、電解金属めっきのための、好ましくは電解銅めっきのための酸性水性組成物用、より好ましくは本発明について定義された組成物および方法用である。
【0123】
以下の実施例は、本発明による酸性水性組成物の利点および本発明による電解銅めっき方法の利点を説明する。
【実施例
【0124】
A. 実験および結果(銅の充填):
1. 例1(本発明による、式(a)の化合物):
1.1 合成:
第1の段階において、1.41gの6-ヒドロキシキノリン(9mmol)を150mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解した。その後、撹拌しながら0.25g(10mmol)のNaH(95%)をゆっくりと添加した。撹拌を2時間継続した。その結果、第1の混合物(溶液)が得られた。
【0125】
第2の段階において、200mLの無水THF中に溶解された9.60g(8mmol)のモノトシル化されモノメチルキャップされたポリエチレングリコールを、第1の段階後に得られた第1の混合物に40分の時間にわたって添加した。生じる混合物を65℃で48時間、窒素雰囲気下で撹拌した。
【0126】
第3の段階において、第2の段階後に得られた混合物の溶剤を、回転蒸発器を使用して除去し、溶剤不含の粗製生成物が得られた。
【0127】
第4の段階において、第3の段階後に得られた溶剤不含の粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液: 酢酸エチル/ヘキサン、体積比: 50:50)によって精製した。その結果、9.30g(収率: 98%)の式(a)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0128】
【化56】
【0129】
1.2 式(a)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)五水和物、CuSO4・5H2Oとして添加(以下の実施例においても使用))、総量40g/L、
(ii) 式(a)の化合物、総量0.10g/L、
(iii) 硫酸、総量10g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤(商品名: A2X-T)、総量3mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、めっき浴を製造した。
【0130】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。めっき浴の温度は25℃であり、電流密度6.5mA/cm2を5.5秒間印加した。銅シード層を備え、構造物の直径48nmおよびアスペクト比約4:1を有するウェハ基板上に銅層を電気めっきした。
【0131】
その後、第3の段階において、残りの銅を電流密度7.4mA/cm2で60秒間電気めっきした。
【0132】
第4の段階において、電気めっきされた試料をSEMで調査した(図1)。図1は、銅で充填された隣接するトレンチを示す。
【0133】
2. 例2(本発明による、式(b)の化合物):
2.1 合成:
第1の段階において、5.57g(38mmol)の8-ヒドロキシキノリンを250mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解した。その後、撹拌しながら1.00g(40mmol)のNaH(95%)をゆっくりと添加した。撹拌を2時間継続した。その結果、第1の混合物(溶液)が得られた。
【0134】
第2の段階において、200mLの無水THF中に溶解された15.00g(10mmol)の3ヶ所トシル化されたグリセリンエトキシレートを、第1の段階後に得られた第1の混合物に40分の時間にわたって添加した。生じる混合物を65℃で48時間、窒素雰囲気下で撹拌した。
【0135】
第3の段階において、第2の段階後に得られた混合物の溶剤を、回転蒸発器を使用して除去し、溶剤不含の粗製生成物が得られた。
【0136】
第4の段階において、第3の段階後に得られた溶剤不含の粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液: テトラヒドロフラン/ヘキサン、体積比: 50:50)によって精製した。その結果、12.00g(収率: 85%)の式(b)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0137】
【化57】
【0138】
2.2 式(b)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)五水和物として添加)、総量40g/L、
(ii) 式(b)の化合物、総量0.10g/L、
(iii) 硫酸、総量10g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤(商品名: A2X-T)、総量3mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、めっき浴を製造した。
【0139】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。めっき浴の温度は25℃であり、電流密度6.5mA/cm2を5.5秒間印加した。銅シード層を備え、構造物の直径48nmおよびアスペクト比約4:1を有するウェハ基板上に銅層を電気めっきした。
【0140】
その後、第3の段階において、残りの銅を電流密度7.4mA/cm2で60秒間電気めっきした。
【0141】
第4の段階において、電気めっきされた試料をSEMで調査した(図2)。図2は、銅で充填された隣接するトレンチを示す。
【0142】
3. 例3(本発明による、式(c)の化合物):
3.1 合成:
第1の段階において、2.79g(19mmol)の6-ヒドロキシキノリンを150mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解した。その後、撹拌しながら0.50g(20mmol)のNaH(95%)をゆっくりと添加した。撹拌を2時間継続した。その結果、第1の混合物(溶液)が得られた。
【0143】
第2の段階において、200mLの無水THF中に溶解された7.50g(5mmol)の3ヶ所トシル化されたグリセリンエトキシレートを、第1の段階後に得られた第1の混合物に40分の時間にわたって添加した。生じる混合物を65℃で48時間、窒素雰囲気下で撹拌した。撹拌している間に、析出物が形成された。
【0144】
第3の段階において、析出物をろ過によって除去し、ろ液の溶剤を減圧下で除去し、溶剤不含の粗製生成物が得られた。
【0145】
第4の段階において、第3の段階後に得られた溶剤不含の粗製生成物をリサイクルGPCによって、溶離液としてテトラヒドロフランを使用して精製した。その結果、6.60g(収率: 93%)の式(c)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0146】
【化58】
【0147】
3.2 式(c)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)五水和物として添加)、総量40g/L、
(ii) 式(c)の化合物、総量0.10g/L、
(iii) 硫酸、総量10g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤(商品名: A2X-T)、総量3mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、めっき浴を製造した。
【0148】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。めっき浴の温度は25℃であり、電流密度6.5mA/cm2を5.5秒間印加した。銅シード層を備え、構造物の直径48nmおよびアスペクト比約4:1を有するウェハ基板上に銅層を電気めっきした。
【0149】
その後、第3の段階において、残りの銅を電流密度7.4mA/cm2で60秒間電気めっきした。
【0150】
第4の段階において、電気めっきされた試料をSEMで調査した(図3)。図3は、銅で充填された隣接するトレンチを示す。
【0151】
4. 例4(本発明による、式(d)の化合物):
4.1 合成:
第1の段階において、3.16g(6mmol)のPEG500ジグリシジルエーテル、0.88g(6mmol)の8-ヒドロキシキノンおよび0.08g(0.6mmol)の炭酸カリウムを混合し、60℃に加熱し、前記温度を24時間保持した。第1の混合物が得られた。その後、1.04g(6mmol)のロイシンイソプロピルエステルを第1の混合物に添加して、第2の混合物をもたらした。第2の混合物を60℃でさらに72時間撹拌した。
【0152】
第2の段階において、第1の段階後に得られた混合物を、50mLのTHFを添加することによって希釈した。析出物(例えば炭酸カリウム)の形成が観察された。
【0153】
第3の段階において、析出物をろ過によって除去し、ろ液の溶剤を減圧下で除去し、溶剤不含の粗製生成物が得られた。
【0154】
第4の段階において、第3の段階後に得られた溶剤不含の粗製生成物をリサイクルGPC(溶離液: エタノール)によって精製した。その結果、3.90g(収率: 77%)の式(d)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0155】
【化59】
【0156】
4.2 式(d)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)五水和物として添加)、総量40g/L、
(ii) 式(d)の化合物、総量0.20g/L、
(iii) 硫酸、総量10g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤(商品名: A2X-T)、総量3mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、めっき浴を製造した。
【0157】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。めっき浴の温度は25℃であり、電流密度3.5mA/cm2を5.5秒間印加した。銅シード層を備え、構造物の直径48nmおよびアスペクト比約4:1を有するウェハ基板上に銅層を電気めっきした。
【0158】
その後、第3の段階において、残りの銅を電流密度7.4mA/cm2で60秒間電気めっきした。
【0159】
第4の段階において、電気めっきされた試料をSEMで調査した(図4)。図4は、銅で充填された隣接するトレンチを示す。
【0160】
5. 例5(本発明による、式(e)の化合物):
5.1 合成:
第1の段階において、10.60g(10mmol)のポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを40mLの無水アセトニトリル中に溶解した。その後、2.96g(20mmol)の8-ヒドロキノリンおよび5.64g(41mmol)の炭酸カリウムを添加した。その結果、第1の混合物が得られた。前記第1の混合物を48時間、82℃で還流させた。
【0161】
第2の段階において、第1の段階後に得られた混合物を、50mLのアセトニトリルを添加することによって希釈した。析出物(例えば炭酸カリウム)の形成が観察された。
【0162】
第3の段階において、析出物をろ過によって除去し、ろ液の溶剤を減圧下で除去した。その結果、11.39g(収率:86%)の式(e)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0163】
【化60】
【0164】
5.2 式(e)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)五水和物として添加)、総量55g/L、
(ii) 式(e)の化合物、総量0.040g/L、
(iii) 硫酸、総量50g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤としてのSPS(ビス-(ナトリウムスルホプロピル)-ジスルフィド)、総量2mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、めっき浴を製造した。
【0165】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。めっき浴の温度は25℃であり、電流密度2mA/cm2を30分間印加した。銅シード層を備え、TSV構造物の寸法5×50μm(アスペクト比 約10:1)を有するウェハ基板上に銅層を電気めっきした。
【0166】
第3の段階において、電気めっきされた試料を光学顕微鏡で調査した(図5)。図5は、銅で充填された隣接するトレンチを示す。
【0167】
6. 例6(本発明による、式(f)の化合物):
6.1 合成:
第1の段階において、2.34gの6-ヒドロキシキノリン(16mmol)を150mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解した。その後、撹拌しながら0.43g(17mmol)のNaH(95%)をゆっくりと添加した。撹拌を2時間継続した。その結果、第1の混合物(溶液)が得られた。
【0168】
第2の段階において、250mLの無水THF中に溶解された15.0g(11mmol)のモノトシル化されモノラウリルキャップされたポリエチレングリコールを、第1の段階後に得られた第1の混合物に60分の時間にわたって添加した。生じる混合物を65℃で48時間、窒素雰囲気下で撹拌した。
【0169】
第3の段階において、第2の段階後に得られた混合物の溶剤を、回転蒸発器を使用して除去し、溶剤不含の粗製生成物が得られた。
【0170】
第4の段階において、第3の段階後に得られた溶剤不含の粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液: 酢酸エチル/ヘキサン、体積比: 50:50)によって精製した。その結果、14.1g(収率: 96%)の式(f)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0171】
【化61】
【0172】
6.2 式(f)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)として添加)、総量60g/L、
(ii) 式(f)の化合物、総量0.010g/L、
(iii) 硫酸、総量50g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.045g/L、
(v) 第1の促進剤としてのSPS、総量2mL/L、
(vi) 脱イオン水、および
(vii) PEG(ポリエチレングリコール)、総量0.10g/L
を混合することによって、めっき浴を製造した。PEGはさらに「抑制剤」または「キャリア」である(上記本文を参照)。しかしながら、追加的なPEGは充填品質にも、それぞれのめっき浴中で得られる過電圧にも、悪影響を及ぼさない(相応の実験が化合物(b)、(c)および(i)について行われ、充填品質にも過電圧にも悪影響を及ぼさないという同じ作用を示した)。その代わりに、式(f)の化合物は望ましい結果をもたらした。
【0173】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。電流密度15mA/cm2を36分間印加した。銅シード層を備え、構造物の寸法100×75μmを有するPCB基板上に銅層を電気めっきした。
【0174】
第3の段階において、電気めっきされた試料を光学顕微鏡で調査した(図6)。図6は、銅で均質に充填されたビアを示す。
【0175】
7. 例7(本発明による、式(g)の化合物):
7.1 合成:
第1の段階において、4.33gの8-ヒドロキシキノリン(30mmol)を150mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解した。その後、撹拌しながら0.84g(32mmol)のNaH(95%)をゆっくりと添加した。撹拌を2時間継続した。その結果、第1の混合物(溶液)が得られた。
【0176】
第2の段階において、200mLの無水THF中に溶解された16.4g(12mmol)のジトシル化ポリエチレングリコールを、第1の段階後に得られた第1の混合物に40分の時間にわたって添加した。生じる混合物を65℃で48時間、窒素雰囲気下で撹拌した。
【0177】
第3の段階において、第2の段階後に得られた混合物の溶剤を、回転蒸発器を使用して除去し、溶剤不含の粗製生成物が得られた。
【0178】
第4の段階において、第3の段階後に得られた溶剤不含の粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液: 酢酸エチル/ヘキサン、体積比: 50:50)によって精製した。その結果、13.0g(収率: 87%)の式(g)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0179】
【化62】
【0180】
7.2 式(g)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)として添加)、総量40g/L、
(ii) 式(g)の化合物、総量0.10g/L、
(iii) 硫酸、総量10g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤(商品名: A2X-T)、総量4.3mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、めっき浴を製造した。
【0181】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。めっき浴の温度は25℃であり、電流密度6.5mA/cm2を5.5秒間印加した。銅シード層を備え、構造物の直径48nmおよびアスペクト比約4:1を有するウェハ基板上に銅層を電気めっきした。
【0182】
その後、第3の段階において、残りの銅を電流密度7.4mA/cm2で60秒間電気めっきした。
【0183】
第4の段階において、電気めっきされた試料をSEMで調査した(図7)。図7は、銅で充填された隣接するトレンチを示す。
【0184】
8. 例8(本発明による、式(h)の化合物):
8.1 合成:
第1の段階において、1.60gの8-ヒドロキシキノリン(11mmol)を150mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解した。その後、撹拌しながら0.30g(12mmol)のNaH(95%)をゆっくりと添加した。撹拌を2時間継続した。その結果、第1の混合物(溶液)が得られた。
【0185】
第2の段階において、150mLの無水THF中に溶解された12.50g(5mmol)のジトシル化ポリエチレングリコールを、第1の段階後に得られた第1の混合物に40分の時間にわたって添加した。生じる混合物を65℃で48時間、窒素雰囲気下で撹拌した。
【0186】
第3の段階において、第2の段階後に得られた混合物の溶剤を、回転蒸発器を使用して除去し、溶剤不含の粗製生成物が得られた。
【0187】
第4の段階において、第3の段階後に得られた溶剤不含の粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液: 酢酸エチル/ヘキサン、体積比: 50:50)によって精製した。その結果、9.0g(収率: 74%)の式(h)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0188】
【化63】
【0189】
8.2 式(h)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)として添加)、総量40g/L、
(ii) 式(h)の化合物、総量0.10g/L、
(iii) 硫酸、総量10g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤(商品名: A2X-T)、総量4.3mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、めっき浴を製造した。
【0190】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。めっき浴の温度は25℃であり、電流密度6.5mA/cm2を5.5秒間印加した。銅シード層を備え、構造物の直径28nmおよびアスペクト比約4:1を有するウェハ基板上に銅層を電気めっきした。
【0191】
その後、第3の段階において、残りの銅を電流密度7.4mA/cm2で60秒間電気めっきした。
【0192】
第4の段階において、電気めっきされた試料をSEMで調査した(図8)。図8は、銅で充填された隣接するトレンチを示す。
【0193】
9. 例9(本発明による、式(i)の化合物):
9.1 合成:
第1の段階において、1.27gの8-ヒドロキシキノリン(9mmol)を150mLの無水THF中に窒素雰囲気下で溶解した。その後、撹拌しながら0.25g(10mmol)のNaH(95%)をゆっくりと添加した。撹拌を2時間継続した。その結果、第1の混合物(溶液)が得られた。
【0194】
第2の段階において、150mLの無水THF中に溶解された10.0g(4mmol)のジトシル化ポリ(エチレングリコール)-b-ポリ(プロピルエチレングリコール)-b-ポリ(エチレングリコール)ブロックコポリマーを、第1の段階後に得られた第1の混合物に40分の時間にわたって添加した。生じる混合物を65℃で48時間、窒素雰囲気下で撹拌した。
【0195】
第3の段階において、第2の段階後に得られた混合物の溶剤を、回転蒸発器を使用して除去し、溶剤不含の粗製生成物が得られた。
【0196】
第4の段階において、第3の段階後に得られた溶剤不含の粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液: 酢酸エチル/ヘキサン、体積比: 50:50)によって精製した。その結果、7.6g(収率: 78%)の式(i)の化合物が得られた。前記化合物をNMRおよびMALDI-TOF-MS測定によってさらに調査した。
【0197】
【化64】
【0198】
9.2 式(i)の化合物を含む酸性組成物および電解銅めっき:
第1の段階において、
(i) 銅イオン(硫酸銅(II)として添加)、総量40g/L、
(ii) 式(i)の化合物、総量0.10g/L、
(iii) 硫酸、総量10g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤(商品名: A2X-T)、総量4.3mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、めっき浴を製造した。
【0199】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された酸性組成物を使用して行った。めっき浴の温度は25℃であり、電流密度6.5mA/cm2を5.5秒間印加した。銅シード層を備え、構造物の直径28nmおよびアスペクト比約4:1を有するウェハ基板上に銅層を電気めっきした。
【0200】
その後、第3の段階において、残りの銅を電流密度7.4mA/cm2で60秒間電気めっきした。
【0201】
第4の段階において、電気めっきされた試料をSEMで調査した(図9)。図9は、銅で充填された隣接するトレンチを示す。
【0202】
表1aおよび1bは化合物(a)~(i)の構造要素の要約をそれぞれ示す。
【0203】
10. 例10(本発明によらない比較例):
例10による比較用(本発明によらない)酸性水性組成物においては、成分(ii)の化合物の代わりにPEG 3000を使用した。PEG3000は相応の組成物において慣例の添加剤であり、市販されている。第1の段階において、
(i) 銅イオン、総量40g/L、
(ii) PEG3000、総量0.15g/L、
(iii) 硫酸、総量10g/L、
(iv) 塩化物イオン(HClとして添加)、総量0.050g/L、
(v) 促進剤、総量12mL/L、
(vi) キャリア、総量1mL/L、および
(vi) 脱イオン水
を混合することによって、比較用組成物を製造した。
【0204】
第2の段階において、電解銅めっきを、第1の段階において製造された比較用の酸性水性組成物を使用して行った。以下のめっきプロファイルを使用した: 2mA/cm2、65分間; 2.5mA/cm2、15分間; 6mA/cm2、7分間; および9.0mA/cm2、3分間。銅シード層を備え、構造物の寸法10×100μm(アスペクト比 約10:1)を有する基板上に銅層を電気めっきした。
【0205】
第3の段階において、電気めっきされた比較用試料を光学顕微鏡で調査した(図10)。図10は大きなボイドを含む2つのトレンチを示す。
【0206】
各々の例において、酸性組成物のpHは3を著しく下回り、典型的には2を下回った。
【0207】
【表1a-1】
【0208】
【表1a-2】
【0209】
【表1b】
【0210】
B. 実験および結果(過電圧):
B.1 実験の設定:
各々の化合物(a)~(i)(およびここに示されていないさらなる化合物)の過電圧を、標準的な注入実験において測定した。
【0211】
50g/Lの硫酸銅、50g/Lの硫酸、および50ppm塩化物イオン(HClとして添加)を含有する水溶液を準備した。それぞれの化合物を濃度100ppmで前記水溶液に添加した。参照用の化合物はPEG 3000であった。各々の測定を25℃で行った。
【0212】
PEGを用いて得られた過電圧を参照(1.00)として設定し、化合物(a)~(i)について得られた過電圧をその参照に対して決定した(下記表2参照)。
【0213】
B.2 結果:
【表2】
【0214】
表2に示されるとおり、化合物(a)~(i)により生成される過電圧は、PEG3000により生成される過電圧に比して著しく増加されている。PEG 3000は当該技術分野において慣例的に使用されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10