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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】車両のドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20220428BHJP
   E05B 81/76 20140101ALI20220428BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220428BHJP
   E05B 85/06 20140101ALI20220428BHJP
【FI】
E05B85/16 D
E05B81/76
B60J5/04 H
E05B85/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018042786
(22)【出願日】2018-03-09
(65)【公開番号】P2019157425
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100093986
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 雅男
(72)【発明者】
【氏名】遠山 孝生
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-537532(JP,A)
【文献】特開2016-199937(JP,A)
【文献】国際公開第2016/151131(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第19860229(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 5/00- 5/04
E05B 85/14-85/18
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不使用時には車両の外表面から突出しない位置に格納され、使用時に車両の外表面から突出する車両のドアハンドル装置であって、
ハンドルベースに一端が回転自在に連結され、電動アクチュエータにより初期回転位置から作動回転位置まで回転駆動される駆動リンクと、
一端を自由端として他端が前記駆動リンクの他端に回転自在に連結され、駆動リンクの回転に伴って初期位置から使用位置まで移動する操作ハンドルと、
前記操作ハンドルを回転中心周りにドア内への没入方向、またはドアからの突出方向のいずれか一方に付勢するトーションスプリングと、
前記操作ハンドルに設けられる第1ストッパ、および第2ストッパとを有し、
前記第1ストッパは、前記駆動リンクが初期回転位置にあり、かつ、前記トーションスプリングが操作ハンドルをドア内への没入方向に付勢するように形成される場合には、前記ハンドルベースに当接し、没入方向への付勢力に対する抗力をハンドルベースから受けて前記操作ハンドルを初期位置に保持するとともに、前記駆動リンクが初期回転位置にあり、かつ、前記トーションスプリングが操作ハンドルをドアからの突出方向に付勢するように形成される場合には、前記駆動リンクに当接し、突出方向への付勢力に対する抗力を駆動リンクから受けて該操作ハンドルを初期位置に保持し、
前記第2ストッパは、前記駆動リンクが作動回転位置にあり、かつ、前記トーションスプリングが操作ハンドルをドア内への没入方向に付勢するように形成される場合には、前記駆動リンクに当接し、没入方向への付勢力に対する抗力を前記駆動リンクから受けて前記操作ハンドルを前記初期位置に平行な使用位置に保持するとともに、前記駆動リンクが作動回転位置にあり、かつ、前記トーションスプリングが操作ハンドルをドアからの突出方向に付勢するように形成される場合には、前記ハンドルベースに当接し、突出方向への付勢力に対する抗力を前記ハンドルベースから受けて前記操作ハンドルを使用位置に保持する車両のドアハンドル装置。
【請求項2】
不使用時には車両の外表面から突出しない位置に格納され、使用時に車両の外表面から突出する車両のドアハンドル装置であって、
ハンドルベースに一端が回転自在に連結され、電動アクチュエータにより初期回転位置から作動回転位置まで回転駆動される駆動リンクと、
一端を自由端として他端が前記駆動リンクの他端に回転自在に連結され、駆動リンクの回転に伴って初期位置から使用位置まで移動する操作ハンドルと、
前記操作ハンドルを回転中心周りにドア内への没入方向に付勢するトーションスプリングとを有し、
前記操作ハンドルには、駆動リンクが初期回転位置にあるときにハンドルベースに当接し、前記トーションスプリングの付勢力に抗して操作ハンドルを初期位置に保持する第1ストッパと、
駆動リンクが作動回転位置にあるときに駆動リンクに当接し、前記トーションスプリングの付勢力に抗して操作ハンドルを使用位置に保持する第2ストッパとが設けられる車両のドアハンドル装置。
【請求項3】
不使用時には車両の外表面から突出しない位置に格納され、使用時に車両の外表面から突出する車両のドアハンドル装置であって、
ハンドルベースに一端が回転自在に連結され、電動アクチュエータにより初期回転位置から作動回転位置まで回転駆動される駆動リンクと、
一端を自由端として他端が前記駆動リンクの他端に回転自在に連結され、駆動リンクの回転に伴って初期位置から使用位置まで移動する操作ハンドルと、
前記操作ハンドルを回転中心周りにドアからの突出方向に付勢するトーションスプリングとを有し、
前記操作ハンドルには、駆動リンクが初期回転位置にあるときに駆動リンクに当接し、前記トーションスプリングの付勢力に抗して操作ハンドルを初期位置に保持する第1ストッパと、
駆動リンクが作動回転位置にあるときにハンドルベースに当接し、トーションスプリングの付勢力に抗して操作ハンドルを使用位置に保持する第2ストッパとが設けられる車両のドアハンドル装置。
【請求項4】
前記ハンドルベースには、前記操作ハンドルが初期位置にあるとき、操作ハンドルを回転中心周りに前記第1ストッパによる規制解除方向に回転操作した際の自由端とドア表面との間に形成される間隙から外部に露出するシリンダ錠が固定される請求項1、2または3記載の車両のドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のドアハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
不使用時には車両の外表面から突出しない位置に格納され、使用時に車両の外表面から突出する車両のドアハンドル装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この従来例において、ハンドル装置は、ハウジングと、ハウジングにピボット手段周りに回転可能に連結されるハンドルとを有して形成される。ハンドルは不使用時にはハウジング内に収容されており、使用時にはモータによりピボット手段周りに回転駆動される。
【0004】
利用者は回転により一端がハウジングから飛び出したハンドルの端部を把持してさらに回転操作をすることによりドアラッチ装置を解除してドアを開放操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2015-533964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来例において、使用時においてハンドルは端部が外部に突出するだけであるために、利用者による手掛け部分が狭くて掴みづらく、使い勝手が悪いという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって使い勝手の良好な車両のドアハンドル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
不使用時には車両の外表面から突出しない位置に格納され、使用時に車両の外表面から突出する車両のドアハンドル装置であって、
ハンドルベース1に一端が回転自在に連結され、電動アクチュエータ2により初期回転位置から作動回転位置まで回転駆動される駆動リンク3と、
一端を自由端として他端が前記駆動リンク3の他端に回転自在に連結され、駆動リンク3の回転に伴って初期位置から使用位置まで移動する操作ハンドル4と、
前記操作ハンドル4を回転中心周りにドア内への没入方向、またはドアからの突出方向のいずれか一方に付勢するトーションスプリング5と、
前記操作ハンドル4に設けられる第1ストッパ6、および第2ストッパ7とを有し、
前記第1ストッパ6は、前記駆動リンク3が初期回転位置にあり、かつ、前記トーションスプリング5が操作ハンドル4をドア内への没入方向に付勢するように形成される場合には、前記ハンドルベース1に当接し、没入方向への付勢力に対する抗力をハンドルベース1から受けて前記操作ハンドル4を初期位置に保持するとともに、前記駆動リンク3が初期回転位置にあり、かつ、前記トーションスプリング5が操作ハンドル4をドアからの突出方向に付勢するように形成される場合には、前記駆動リンク3に当接し、突出方向への付勢力に対する抗力を駆動リンク3から受けて該操作ハンドル4を初期位置に保持し、
前記第2ストッパ7は、前記駆動リンク3が作動回転位置にあり、かつ、前記トーションスプリング5が操作ハンドル4をドア内への没入方向に付勢するように形成される場合には、前記駆動リンク3に当接し、没入方向への付勢力に対する抗力を前記駆動リンク3から受けて前記操作ハンドル4を前記初期位置に平行な使用位置に保持するとともに、前記駆動リンク3が作動回転位置にあり、かつ、前記トーションスプリング5が操作ハンドル4をドアからの突出方向に付勢するように形成される場合には、前記ハンドルベース1に当接し、突出方向への付勢力に対する抗力を前記ハンドルベース1から受けて前記操作ハンドル4を使用位置に保持する車両のドアハンドル装置を提供することにより達成される。
【0009】
本発明において、ドアハンドル装置は、操作ハンドル4と、この操作ハンドル4を初期位置から使用位置まで移動させる駆動リンク3と、駆動リンク3を駆動する電動アクチュエータ2とを有し、駆動リンク3には操作ハンドル4の一端が回転自在にピン連結される。
【0010】
駆動リンク3と操作ハンドル4との連結部には連結ピン周りにトーションスプリング5が巻装され、このトーションスプリング5により操作ハンドル4は、駆動リンク3との連結端に対する反対端(以下「非連結端」という。)がドア外方、あるいはドア内方のいずれか一方に移動する方向のトルクが負荷される。
【0011】
第1ストッパ6は、駆動リンク3が初期回転位置にあるとき、操作ハンドル4のトーションスプリング5による付勢方向への回転を規制して該操作ハンドル4を初期位置に保持し、トーションスプリング5がドア内方への没入方向に付勢される際にはハンドルベース1に当接する位置に、ドア外方に付勢される場合には、駆動リンク3に当接する位置に設けられる。
【0012】
第2ストッパ7は、上記トーションスプリング5の付勢力による操作ハンドル4の回転規制部位を前記第1ストッパ6に対して反転させることにより操作ハンドル4を初期位置に対して平行な使用位置に保持する。
【0013】
したがって本発明において、トーションスプリング5の付勢力がドア内方に加えられる場合、操作ハンドル4はハンドルベース1によりドア内方への移動を規制されて初期位置に保持される。初期状態から駆動リンク3を作動回転位置側に回転駆動すると、操作ハンドル4の駆動リンク3とのピン連結部での回転が許容されるために、まず、駆動リンク3との連結端が非連結端に先行してドア外部に引き出される。これに次いで、第2ストッパ7による操作ハンドル4の駆動リンク3の回転への追随が開始され、駆動リンク3が作動回転位置に達すると、操作ハンドル4の非連結端が使用位置に対応する位置に移動し、結果、操作ハンドル4は第2ストッパ7がトーションスプリング5よる付勢力を受けて使用位置に保持される。
【0014】
これに対し、トーションスプリング5の付勢力がドア外方向に付加される場合、操作ハンドル4は駆動リンク3によりドア内方への移動を規制されて初期位置に保持される。初期状態から駆動リンク3を作動回転位置側に回転駆動すると、操作ハンドル4の駆動リンク3とのピン連結部での同方向の回転が禁止されるために、操作ハンドル4は駆動リンク3とともに回転し、まず、非連結端が連結端に先行してドア外部に引き出される。これに次いで、第2ストッパ7による操作ハンドル4の移動が規制され、かつ、第1ストッパ6は操作ハンドル4のドア内方への移動を規制しないために、駆動リンク3の回転とともに、操作ハンドル4は相対的にドア内方に折れ曲がり、結果、操作ハンドル4は第2ストッパ7がトーションプリングよる付勢力を受けて初期位置に対して平行な使用位置に保持される。
【0015】
したがって、使用位置が初期位置に対して平行姿勢を取る本発明によれば、一端を回転中心として回転し、回転先端部を操作する場合に比して、実質的な操作部を広くすることができるために、操作ハンドル4に手を掛けてドアを開放する操作が容易になる。
【0016】
とりわけ、回転先端部を操作する場合には十分な手掛けスペースを確保するためには、ドア表面から突出寸法が大きくなるが、使用位置が初期位置に対して平行な本発明においては、操作ハンドル4の裏面全面を手掛け部として利用することができるために、操作性を低下させることなく、操作ハンドル4の操作時のドア表面からの突出寸法を抑えることが可能になる。
【0017】
また、操作ハンドル4は駆動リンク3の一端に連結されるだけなので、構造が簡単で、かつ、安価に製造することができる。
【0018】
さらに、ハンドル装置は、
不使用時には車両の外表面から突出しない位置に格納され、使用時に車両の外表面から突出する車両のドアハンドル装置であって、
ハンドルベース1に一端が回転自在に連結され、電動アクチュエータ2により初期回転位置から作動回転位置まで回転駆動される駆動リンク3と、
一端を自由端として他端が前記駆動リンク3の他端に回転自在に連結され、駆動リンク3の回転に伴って初期位置から使用位置まで移動する操作ハンドル4と、
前記操作ハンドル4を回転中心周りにドア内への没入方向に付勢するトーションスプリング5とを有し、
前記操作ハンドル4には、駆動リンク3が初期回転位置にあるときにハンドルベース1に当接し、前記トーションスプリング5の付勢力に抗して操作ハンドル4を初期位置に保持する第1ストッパ6と、
駆動リンク3が作動回転位置にあるときに駆動リンク3に当接し、前記トーションスプリング5の付勢力に抗して操作ハンドル4を使用位置に保持する第2ストッパ7とが設けられるように構成することも可能で、
さらに、
不使用時には車両の外表面から突出しない位置に格納され、使用時に車両の外表面から突出する車両のドアハンドル装置であって、
ハンドルベース1に一端が回転自在に連結され、電動アクチュエータ2により初期回転位置から作動回転位置まで回転駆動される駆動リンク3と、
一端を自由端として他端が前記駆動リンク3の他端に回転自在に連結され、駆動リンク3の回転に伴って初期位置から使用位置まで移動する操作ハンドル4と、
前記操作ハンドル4を回転中心周りにドアからの突出方向に付勢するトーションスプリング5とを有し、
前記操作ハンドル4には、駆動リンク3が初期回転位置にあるときに駆動リンク3に当接し、前記トーションスプリング5の付勢力に抗して操作ハンドル4を初期位置に保持する第1ストッパ6と、
駆動リンク3が作動回転位置にあるときにハンドルベース1に当接し、トーションスプリング5の付勢力に抗して操作ハンドル4を使用位置に保持する第2ストッパ7とが設けられるように構成することもできる。
【0019】
また、
前記ハンドルベース1には、前記操作ハンドル4が初期位置にあるとき、操作ハンドル4を回転中心周りに前記第1ストッパ6による規制解除方向に回転操作した際の自由端とドア表面との間に形成される間隙から外部に露出するシリンダ錠8が固定される車両のドアハンドル装置を構成すると、電子的認証が作動しない状態でも手動で操作ハンドル4を操作することによりシリンダ錠8を操作してドアラッチ装置を解錠状態に移行させることができるために、ドアの開放操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、操作ハンドルは使用位置において初期位置と平行な姿勢を保持するために、利用者に広い操作部を提供することができ、使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、(a)はドアに取り付けた状態を示す正面図、(b)は(a)の1B-1B線断面図、(c)は(a)の1C-1C線断面図である。
図2】ハンドル装置を示す図で、(a)は背面図、(b)は(a)の2B-2B線断面図、(c)は(a)の2C-2C線断面図、(d)は(a)の2D-2D線断面図である。
図3】操作ハンドルを示す図で、(a)は図1(b)の3A方向から見た図、(b)は図3(a)の3B-3B線断面図、(c)は図3(b)の3C-3C線断面図、(d)は図3(b)の3D-3D線断面図である。
図4】ハンドルベースを示す図である。
図5】駆動リンクの動作を示す図で、(a)は初期回転位置、(b)は中間位置、(c)は作動回転位置を示す図である。
図6】操作ハンドルの動作を示す図で、(a)は初期位置を示す図、(b)は第2ストッパが作動した状態を示す図である。
図7】操作ハンドルの動作を示す図で、(a)は使用位置を示す図、(b)は図2(b)に対応する図、(c)は図2(c)に対応する図である。
図8】操作ハンドルの動作を示す図で、(a)はラッチ解除位置を示す図、(b)は図2(c)に対応する図、(c)は図2(b)に対応する図である。
図9】エマージェンシー状態を示す図である。
図10】本発明の他の実施の形態を示す図で、(a)は図2(a)に対応する図、(b)は図10(a)の10A-10A線断面図である。
図11】操作ハンドルの動作を示す図で、(a)は初期位置を示す図、(b)は第1ストッパの拡大断面図である。
図12】操作ハンドルの動作を示す図で、(a)は第2ストッパが作動した状態を示す図、(b)は使用位置への移行途中を示す図である。
図13】操作ハンドルの動作を示す図で、(a)は使用位置を示す図、(b)はラッチ解除位置を示す図である。
図14】エマージェンシー状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1以下に示すように、ドアハンドル装置は、ハンドルベース1に操作ハンドル4を駆動リンク3を介して連結して形成され、ハンドルベース1において車両のドアに固定される。
【0023】
ハンドルベース1をドアに固定した状態で操作ハンドル4は図1に示す初期位置と、図7(a)に示す使用位置との間で移動自在であり、初期位置における操作ハンドル4の表面はドア表面(ドアアウターパネル9)と同一表面に位置するとともに、ドアアウターパネル9に開設されたハンドル収容開口10に収容されるフラッシュサーフェス仕様のハンドル装置となる。
【0024】
図1、2に示すように、操作ハンドル4は、ハンドル本体4aの裏面に手掛用カバー4bを固定して形成される。ハンドル本体4aには、裏面中央部に手掛け領域を区画するために前後部隔壁11、12が裏面方向に突設され(本明細書において図1(a)の左側を「前方」、上方を「上方」、図1(b)の左側を「表面」方向、反対方向を「裏面」方向とする。)、手掛用カバー4bは手掛け用領域に固定される。
【0025】
図3に示すように、ハンドル本体4aには、後部隔壁12から後方に張り出すシリンダ遮蔽部4cの上側縁に沿って延設される立壁4dが形成され、その裏面側端面が第1ストッパ6として使用されるとともに、立壁4dの裏面側端部にストッパ突片13と、スイッチング突片14とが突設される。
【0026】
ストッパ突片13は、上記後部隔壁12の前端、すなわち、後部隔壁12の裏面側端部の上下方向への延設部として形成され、先端面には表裏方向に延びるガイド突条13aが形成される。
【0027】
一方、スイッチング突片14は後述するラッチ解除スイッチとしてのマイクロスイッチ15を押動操作するために設けられ、後部隔壁12の後端縁部から片持梁状に突設される。
【0028】
また、図1に示すように、シリンダ遮蔽部4cには図外の静電容量センサの検出電極を配置して施解錠スイッチ部16が形成される。施解錠スイッチ部16を利用者に知らせるために、施解錠スイッチ部は凹部として形成される。
【0029】
これに対し、上記前部隔壁11は前方壁面が第2ストッパ7として利用され、さらに、前部隔壁11の表面側端部から前方に張り出す押圧操作部17の上下側縁には裏面方向にヒンジ片18が突設され、連結ピン19の挿通孔18aが形成される(図3(b)参照)。
【0030】
図1、4に示すように、ハンドルベース1は、ドアアウターパネル9の裏面に当接した状態で配置される。ハンドルベース1の後端部には裏面方向に延びる後部隔壁12を前方壁面とするボックス形状のシリンダ保持部1aが形成され、ハンドルベースの前端部には電動アクチュエータ2としてのモータが固定されるとともに、駆動リンク3が回転自在にピン連結される。
【0031】
上記シリンダ保持部1aの上下部壁面は図2(b)に示すように、操作ハンドル4のストッパ突片13のガイド突条13aが摺接するガイド壁として機能するとともに、表面端にはこのストッパ突片13の表面側への移動を規制するストッパ壁20が突設される。
【0032】
また、図2(c)に示すように、シリンダ保持部1aの上部壁面の表面側端にマイクロスイッチ15が固定され、さらに、シリンダ保持部1aの上部壁面の裏面側端部には、操作ハンドル4の第1ストッパ6が当接して操作ハンドル4の裏面方向への移動を規制する第1ストッパ受け21が突設される。
【0033】
上記駆動リンク3は、図1に示すように、リンク主体部3aの前端からフォロア部3bを突設して形成され、リンク主体部3aとフォロア部3bとの境界部においてハンドルベース1に連結される。リンク主体部3aは、図4に示すように、中間部において表面方向に屈曲され、屈曲部をハンドルベース1に形成されるレバー用ストッパ22に当接して図4における反時計回りの揺動ストロークが規制される。
【0034】
この駆動リンク3には、該駆動リンク3のハンドルベース1と回転中心(C13)周りに巻装されるリンク用トーションスプリング23により図4において反時計回りに付勢されており(図2(a)参照)、上記屈曲部をハンドルベース1のレバー用ストッパ22に圧接させることによりガタツキ等の発生が防止される。
【0035】
図4に示すように、上記モータ2の回転軸にはウォームギヤ2aが固定され、ハンドルベース1には、このウォームギヤ2aに噛合するウォームホイール24が回転自在に連結される。図5に示すように、ウォームホイール24には該ウォームホイール24ととともに回転するカム部材25が連結され、カム部材25にはカム面25aが形成される。
【0036】
カム部材25は上述した駆動リンク3のフォロア部3bの移動領域に配置され、図5(a)に示す操作ハンドル4の初期位置に対応する初期回転位置からモータ2を駆動すると、図5(a)において時計回りに回転する。カム部材25の回転角はハンドルベース1に固定される2つのセンサ26により検出され、図5(a)に示す初期回転位置と、図5(c)に示す作動回転位置とが識別される。
【0037】
カム部材25が図5(a)の状態から回転駆動され、駆動リンク3がレバー用ストッパ22による拘束が解除されると、上述した駆動リンク3への付勢力により駆動リンク3のフォロア部3bがカム部材25のカム面25aに圧接し、以後、カム面25aの変化に追随する(図5(b)参照)。
【0038】
この状態からさらにカム部材25を回転駆動すると、フォロア部3bがカム面25aに押されて図5(c)に示す作動回転位置に保持され、この状態からカム部材25を反時計方向に駆動することにより、駆動リンク3を初期回転位置に復帰させることができる。
【0039】
図6に示すように、上記駆動リンク3は、リンク主体部3aの後端部において操作ハンドル4のヒンジ片18に連結ピン19を使用して回転自在に連結される。連結ピン19の周りには、トーションスプリング5が巻装され、図6(a)において矢印で示すように、反時計回り、すなわち、操作ハンドル4をドア内に没入させる方向に付勢される(図1(c)参照)。
【0040】
また、図6(b)に示すように、駆動リンク3の前端部には操作ハンドル4の第2ストッパ7が当接して駆動リンク3に対する操作ハンドル4のトーションスプリング5による付勢方向、すなわち、反時計回りの回転範囲を規制する第2ストッパ受け27が形成される。
【0041】
したがって本例において、図6(a)に示すように、駆動リンク3がリンク用ストッパ22に当接して初期回転位置にあるとき、トーションスプリング5により反時計方向に付勢される操作ハンドル4は立壁4dの裏面側端面に形成された第1ストッパ6がハンドルベース1の第1ストッパ受け21に圧接することにより初期位置に保持される。
【0042】
この状態からモータ2を回転させて駆動リンク3を図6(a)において時計回りに回転させると、操作ハンドル4は、まず、操作ハンドル4の駆動リンク3との連結端がドア表面から突出し、この後、さらに駆動リンク3を回転させると、図6(b)に示すように、駆動リンク3の第2ストッパ受け27に操作ハンドル4の第2ストッパ7が当接する。
【0043】
前部第2ストッパ7の第2ストッパ受け27への当接により、以後、操作ハンドル4は駆動リンク3の回転に追随して回転し、駆動リンク3への非連結側端部は連結側端部とともに使用位置側に移動する。第2ストッパ7は、駆動リンク3が作動回転位置に達した際に操作ハンドル4の両端が初期位置と平行な使用位置に移動するように設定されているために、駆動リンク3の作動回転位置への到達とともに操作ハンドル4は図7に示すように、使用位置に移動する。
【0044】
使用位置において操作ハンドル4とドア表面との間には十分な手掛スペース(S)が確保され、この後、手掛スペース(S)に手を入れて操作ハンドル4にドア外側への操作力を加えると、操作ハンドル4は駆動リンク3との連結ピン19周りに回転して図8に示すラッチ解除位置まで移動させることができる。図8(c)に示すように、ラッチ解除位置において、操作ハンドル4のストッパ突片13がハンドルベース1のストッパ壁20に当接してハンドルベース1からの離脱が防止される。
【0045】
また、操作ハンドル4のラッチ解除位置への移動に伴って、図8(b)に示すように、スイッチング突片14がマイクロスイッチ15を押下する。マイクロスイッチ15が押下されると、図示しないラッチ解除用の電動アクチュエータが駆動されてドアラッチ装置のラッチが解除される。
【0046】
この状態で操作ハンドル4を車両外方に引くことによりドアの開放操作を行うことができる。この後、操作ハンドル4への引き出し操作力を解放すると、操作ハンドル4はトーションスプリング5の復元力により使用位置方向に移動し、第2ストッパ7が第2ストッパ受け27に当接して使用位置に保持される。
【0047】
したがって本例において、押圧操作部に配置された施解錠スイッチ部16に触れると、利用者が所持する図外の携帯器に対する認証動作が開始され、認証が成立すると、ドアラッチ装置が解錠状態に移行し、さらにモータ2が駆動されて操作ハンドル4が使用位置に移動する。
【0048】
この状態から操作ハンドル4をラッチ解除位置まで移動させると、マイクロスイッチ15が押下されてラッチ解除用のアクチュエータが駆動される。このアクチュエータの駆動によりドアラッチ装置のラッチが解除され、さらに操作ハンドル4を引くとドアを開放することができる。
【0049】
また、ドアが閉じた状態で、上記施解錠スイッチ部16に触れると利用者の所持する携帯器に対する認証動作が開始し、認証が成立すると、操作ハンドル4を初期位置に復帰させるとともに、ドアラッチ装置を施錠状態に移行させる。
【0050】
さらに、本例において、操作ハンドル4が初期位置にあるときに図9に示すように、駆動リンク3と操作ハンドル4の連結点を回転中心として、図9において時計回りに回転させたエマージェンシー操作位置に移行させることができる。
【0051】
エマージェンシー操作位置への移動は、押圧操作部4cをドア内に押し込むようにして行われ、エマージェンシー操作位置において操作ハンドル4のシリンダ遮蔽部4cはドア表面から浮き上がり、その結果、シリンダ遮蔽部4cとドア表面との間には、間隙が形成される。
【0052】
上述したシリンダ錠8は、エマージェンシー操作位置において形成される間隙を利用して解錠キー28を挿入可能な位置に配置されており、利用者は、操作ハンドル4をエマージェンシー操作位置に移動させた後、図9において矢印で示す方向から解錠キー28をシリンダ錠8に挿入することによりシリンダ錠8を操作することができる。
【0053】
したがって本例において、携帯器のバッテリ切れ等により認証動作ができない場合には、操作ハンドル4を手動でエマージェンシー操作位置に移動させた後、解錠キー28を使用してシリンダ錠8を操作すると、ドアラッチ装置が解錠状態に移行し、以後、通常操作と同様の操作を行うことによりドアを開放することができる。
【0054】
図10以下に本発明の他の実施の形態を示す。なお、以下の説明において上述した実施の形態と実質的に同一の構成要素は図中に同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
本例において操作ハンドル4は、初期位置を示す図11に示すように、前後方向中央部に利用者による操作領域を示すためのカバー部4eを備えており、ハンドル本体4aの裏面に手掛用カバー4bを装着して形成される。
【0056】
操作ハンドル4は前端部から裏面側に突出するヒンジ片18と、後端部から裏面側に突出するストッパブロック部29とを備えており、ヒンジ片18に挿通する連結ピン19により駆動リンク3に回転自在に連結される。また、操作ハンドル4の後端部には押圧操作部17が形成される。
【0057】
連結ピン19周りには、トーションスプリング5が巻装されており、このトーションスプリング5の作用により、操作ハンドル4は、図11(a)において矢印で示すように、時計回り、すなわち、操作ハンドル4がドアから突出する方向に付勢される。図11(b)に示すように、ヒンジ片18には第1ストッパ6が形成されており、この第1ストッパ6を駆動リンク3の側面に設定された第1ストッパ受け21に当接させることによってトーションスプリング5の付勢力に抗して駆動リンク3に対する矢印方向の相対位置が規制される。
【0058】
また、ヒンジ片には、上記第1ストッパ6に対向するように、操作ハンドル4を後述するラッチ解除位置に保持するためのストッパ壁20が形成される。
【0059】
さらに、ストッパブロック部29には、表面側端面部から後方にシリンダ錠8を挟むようにして延びる一対の第2ストッパ7が突設される。この第2ストッパ7の表面には、上下方向に長いスライド突条7aが突設される。
【0060】
一方、ハンドルベース1には、アウターパネル9の裏面に沿い、初期位置にある操作ハンドル4の第2ストッパ7に対向する位置に第2ストッパ受け27が配置される。
【0061】
したがって、本例において、ハンドル装置を使用しない状態において、駆動リンク3は、図10に示すリンク用トーションスプリング23によりハンドルベース1のレバー用ストッパ22に圧接させられて初期回転位置に保持される(図11参照)。
【0062】
この状態で、操作ハンドル4は、トーションスプリング5による付勢力により第1ストッパ6が駆動リンク3の第1ストッパ受け21に圧接して表面側への移動が規制されて初期位置に保持される。
【0063】
初期位置から利用者が上述した実施の形態と同様に操作ハンドル4の前端部に配置される施解錠スイッチ部16に触れ、認証が成立すると、駆動リンク3は作動回転位置側に回転する。
【0064】
駆動リンク3と操作ハンドル4とは第1ストッパ6により駆動リンク3の回転方向に連結されているために、駆動リンク3の回転に伴って操作ハンドル4は駆動リンク3との非連結端が持ち上げられて連結端に先行してドア外に突出する。
【0065】
さらに駆動リンク3が回転すると、図12(a)に示すように、やがて後端部に形成された第2ストッパ7がハンドルベース1の第2ストッパ受け27に当接する。第2ストッパ7の第2ストッパ受け27への当接により操作ハンドル4のドア外方への移動が規制されるために、この後の駆動リンク3の回転により駆動リンク3との連結端側のみがドア外方に移動し、駆動リンク3が作動回転位置に達すると、図13(a)に示すように、操作ハンドル4は使用位置に移動する。
【0066】
使用位置において、操作ハンドル4とドア表面との間には広い操作スペース(S)が確保されており、この操作スペースに手を入れて外方に引き出すと、第2ストッパ7が第2ストッパ受け27上を前方に摺動しながら駆動リンク3との連結端が外方に移動するようにして図13(b)に示すラッチ解除位置に移動する。
【0067】
ラッチ解除位置において、駆動リンク3は操作ハンドル4のストッパ壁20に当接することにより図13(b)における時計回りの回転が規制され、さらに、第2ストッパ7のドア外への移動が規制されているために、操作ハンドル4にドアを引く方向の操作力を加えても操作ハンドル4はラッチ解除位置に保持される。
【0068】
また、ラッチ解除位置において、駆動リンク3はハンドルベース1に固定されたマイクロスイッチ15を押動させ、マイクロスイッチの押動によりドアラッチ装置のラッチが解除され。この状態からさらに操作力を加えることによりドアを開放することができる。
【0069】
さらに、本例において、図14に示すように、初期位置にある状態でトーションスプリング5の付勢力に抗して操作ハンドル4の後端(押圧操作部)をドア内に押し込んでエマージェンシー位置に移行させることができる。
【0070】
ハンドルベース1には、エマージェンシー位置で解錠キー28による操作が可能なシリンダ錠8が固定されており、電子的な認証が使用できない場合、エマージェンシー位置に移行させた後、解錠キー28を使用してドアラッチ装置を解錠状態に移行させることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 ハンドルベース
2 電動アクチュエータ
3 駆動リンク
4 操作ハンドル
5 トーションスプリング
6 第1ストッパ
7 第2ストッパ
8 シリンダ錠


図1
図2
図3
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図5
図6
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図8
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図10
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図13
図14