(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220502BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 301
(21)【出願番号】P 2018064080
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】杉田 和聡
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-084029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0089880(US,A1)
【文献】特開2006-076074(JP,A)
【文献】特開2005-186475(JP,A)
【文献】特開2012-076376(JP,A)
【文献】特開2008-023963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送機と、
前記搬送機によって搬送される前記記録媒体に同一色のインクを吐出する複数のノズルを含むインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドより前記搬送機によって前記記録媒体が搬送される搬送方向の上流側に設けられ、前記搬送機によって搬送されている前記記録媒体の表面状態を検出する検出器と、を備え、
前記インクジェットヘッドでは、前記複数のノズルは、前記搬送方向に直交する幅方向に設けられてノズル列を形成し、
前記インクジェットヘッドは、前記ノズル列を前記搬送方向に複数列含み、
前記検出器は、
前記記録媒体の表面状態を検出する1回当たりの検出動作での検出範囲として、前記搬送機で前記記録媒体が載せ置かれる搬送面の前記幅方向の寸法以上で、且つ前記複数のノズルのうち、最も前記幅方向の第一側に設けられる第一ノズルの前記幅方向の第一側端と、前記複数のノズルのうち、最も前記幅方向の第二側に設けられる第二ノズルの前記幅方向の第二側端と、の間の前記幅方向の寸法以上となる範囲を前記幅方向の前記検出範囲とし、
前記検出器の前記搬送方向の下流側端と、前記複数のノズル列のうち、最も前記搬送方向の上流側に設けられる第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法が、前記第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、前記複数のノズル列のうち、前記第一ノズル列の前記搬送方向の下流側で前記第一ノズル列と隣り合う第二ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる位置に設けら
れ、
前記第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、前記第二ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる範囲を前記搬送方向の前記検出範囲とする、インクジェット記録装置。
【請求項2】
記録媒体を搬送する搬送機と、
前記搬送機によって搬送される前記記録媒体に同一色のインクを吐出する複数のノズルを含むインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドより前記搬送機によって前記記録媒体が搬送される搬送方向の上流側に設けられ、前記搬送機によって搬送されている前記記録媒体の表面状態を検出する検出器と、を備え、
前記インクジェットヘッドでは、前記複数のノズルは、前記搬送方向に直交する幅方向に設けられてノズル列を形成し、
前記インクジェットヘッドは、前記ノズル列を前記搬送方向に複数列含み、
前記検出器は、
前記記録媒体の表面状態を検出する1回当たりの検出動作での検出範囲として、前記搬送機で前記記録媒体が載せ置かれる搬送面の前記幅方向の寸法以上で、且つ前記複数のノズルのうち、最も前記幅方向の第一側に設けられる第一ノズルの前記幅方向の第一側端と、前記複数のノズルのうち、最も前記幅方向の第二側に設けられる第二ノズルの前記幅方向の第二側端と、の間の前記幅方向の寸法以上となる範囲を前記幅方向の前記検出範囲とし、
前記検出器の前記搬送方向の下流側端と、前記複数のノズル列のうち、最も前記搬送方向の上流側に設けられる第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法が、前記第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、前記複数のノズル列のうち、最も前記搬送方向の下流側に設けられる第二ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる位置に設けられる、インクジェット記録装置。
【請求項3】
前記検出器は、前記第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、前記第二ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる範囲を前記搬送方向の前記検出範囲とする
、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
記録媒体を搬送する搬送機と、
前記搬送機によって搬送される前記記録媒体に同一色のインクを吐出する複数のノズルを含むインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドより前記搬送機によって前記記録媒体が搬送される搬送方向の上流側に設けられ、前記搬送機によって搬送されている前記記録媒体の表面状態を検出する検出器と、を備え、
前記インクジェットヘッドでは、前記複数のノズルは、前記搬送方向に設けられてノズル列を形成し、
前記検出器は、前記記録媒体の表面状態を検出する1回当たりの検出動作での検出範囲として、前記搬送機で前記記録媒体が載せ置かれる搬送面の前記搬送方向に直交する幅方向の寸法以上となる範囲を前記幅方向の前記検出範囲とし、前記複数のノズルのうち、最も前記搬送方向の上流側に設けられる第三ノズルの前記搬送方向の上流側端と、前記複数のノズルのうち、最も前記搬送方向の下流側に設けられる第四ノズルの前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる範囲を前記搬送方向の前記検出範囲とする、インクジェット記録装置。
【請求項5】
所定の光を照射し、前記検出範囲を前記光によって照らす照明器を備え、
前記検出器は、前記検出範囲が前記光によって照らされた状態で、前記検出動作として前記記録媒体の表面を撮像するイメージセンサを含み、
前記照明器は、前記搬送面の前記幅方向の寸法以上で、且つ前記イメージセンサによって撮像される範囲となる前記検出範囲の前記搬送方向の寸法以上となる範囲を照明範囲とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記照明器は、前記検出範囲の全体を含む範囲を前記照明範囲とする、請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記搬送面に対する前記検出器の前記搬送方向及び前記幅方向の両方向に直交し且つ前記搬送面に垂直な高さ方向の位置を調整する第一調整機と、
前記搬送面に対する前記照明器の前記高さ方向の位置を調整する第二調整機と、を備える、請求項5又は請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記検出器は、前記イメージセンサによる撮像方向に沿った第一仮想直線が前記高さ方向に沿った状態で、前記インクジェットヘッドより前記搬送方向の上流側に設けられ、
前記照明器は、前記照明器による前記光の照射方向に沿った第二仮想直線が前記第一仮想直線に対して傾斜し且つ前記高さ方向に対して傾斜した状態で、前記検出器より前記搬送方向の上流側に設けられ、
前記第二調整機は、更に、前記照明器を回動させ、前記第一仮想直線と前記第二仮想直線とのなす角度を調整する、請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記搬送面に対する前記検出器の前記搬送方向及び前記幅方向の両方向に直交し且つ前記搬送面に垂直な高さ方向の位置を調整する第一調整機を備える、請求項1から請求項6の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、カラーインクジェットプリンタが開示されている。このインクジェットプリンタは、ラインプリンタである。インクジェットプリンタでは、搬送ベルトが2つのベルトローラの間に掛けられる。搬送ベルトは、2つの搬送ローラの間と、2つのガイドローラの間に挟まれる。搬送ローラとガイドローラの間で、搬送ベルトは、張った状態となる。インクジェットプリンタでは、搬送ローラとガイドローラの間に、搬送ベルトに沿って、ガイドローラの側から順に、供給部、画像センサ、位置センサ、ヘッド搭載フレーム及び液体吐出ヘッド、及び回収部が配置される。画像センサは、カメラである。画像センサで撮像された画像から、搬送ベルト上の媒体の主走査方向の位置及び回転角度が測定される。位置センサは、媒体の搬送方向の位置を測定する。これに伴い、液体吐出ヘッドの下に存在する媒体の、数、位置及び回転角度の状態が特定される。インクジェットプリンタでは、制御部は、特定された前述の各状態に合わせて液体吐出ヘッドを制御し、印刷を行う。
【0003】
特許文献2には、印刷装置が開示されている。この印刷装置は、供給コンベアを有する。供給コンベアには、印刷されるべき複数のワークがランダムに供給される。供給コンベアは、駆動ローラと、従動ローラを有する。駆動ローラには、モータが駆動連結される。供給コンベアの上方には、CCDカメラが設けられる。CCDカメラは、好ましくは、照明機能付きである。供給コンベアの搬送方向下流側では、供給コンベアの上方に、インクジェットプリンタが設けられる。インクジェットプリンタは、インクジェットプリンタヘッドを含む。印刷装置の制御部では、入力ポートにCCDカメラが接続され、出力ポートに画像処理装置が接続される。画像処理装置には、コントローラが接続される。画像処理装置は、CCDカメラにより撮像された映像に基づき次のエリア内のワーク情報を検出する。前述のエリアは、CCDカメラの撮像可能範囲である。ワーク情報は、各ワークの位置及び姿勢を含む。画像処理装置は、ワーク情報に基づき各ワークに印刷されるべき印刷パターンを作成し、コントローラに転送する。コントローラは、印刷パターンに基づきインクジェットプリンタヘッドを駆動制御する。インクジェットプリンタヘッドは、各ワークに対して印刷処理を実行する。
【0004】
特許文献3には、印刷装置が開示されている。この印刷装置は、供給機構と、直線搬送機構と、回転搬送機構と、位置検出機構と、角度検出機構と、印刷機構と、回収機構と、制御装置を備える。角度検出機構は、第一撮像カメラと第二撮像カメラと角度検出部から構成される。第一撮像カメラは、直線搬送機構によって搬送されている対象物の表面を撮像する。第二撮像カメラは、回転搬送機構によって搬送されている対象物の表面を撮像する。角度検出部は、制御装置に含まれ、角度算出部と角度記憶部から構成される。角度算出部は、第一及び第二撮像カメラから画像データを受信する。角度算出部は、画像データを基に対象物の搬送面内における角度を算出し、角度記憶部は、算出された角度を記憶する。印刷機構は、第一プリンタヘッドと第二プリンタヘッドと印刷部から構成される。第一プリンタヘッドは、第一撮像カメラより搬送方向下流側に設けられる。第二プリンタヘッドは、第二撮像カメラより搬送方向下流側に設けられる。第一プリンタヘッド及び第二プリンタヘッドは、複数のインク吐出ノズルを備える。複数のインク吐出ノズルは、対象物の搬送方向と直交する方向に沿って配列される。印刷部の回転印刷パターン生成部は、次の角度に対応する回転印刷パターンを生成する。前述の角度は、第一撮像カメラで撮像された画像の画像データを基に検出される。回転印刷パターンのデータは、印刷部の印刷制御部に出力される。印刷制御部は、第一プリンタヘッドの作動を制御する。これに伴い、対象物の一方面に印刷が施される。回転印刷パターン生成部は、次の角度に対応する回転印刷パターンを生成する。前述の角度は、第二撮像カメラで撮像された画像の画像データを基に検出される。回転印刷パターンのデータは、印刷制御部に出力される。印刷制御部は、第二プリンタヘッドの作動を制御する。これに伴い、対象物の他方面に印刷が施される。
【0005】
この他、出願人は、特許文献4にて、インクジェットプリンタ制御システムを開示している。この制御システムは、インクジェットプリンタ装置を駆動制御する。インクジェットプリンタ装置は、ラインプリンタである。インクジェットプリンタ装置は、フィルムを搬送しつつ印刷処理を行う。フィルムは、パターンとアライメントマークを有する。制御システムでは、撮像カメラの撮像画像からアライメントマークの位置ズレ量が検出される。撮像カメラは、印刷部の上流側に設けられる。印刷部は、インクジェットユニットを含む。インクジェットユニットは、複数の印刷ヘッドを含む。制御システムでは、位置ズレ量から、搬送方向のズレ量が算出され、補正量が算出される。補正量は、印刷ヘッドの作動タイミングを調整する。補正量の算出には、制御システム内でのデータ処理時間分のフィルム移動量が考慮される。制御システムでは、幅方向のズレ量が算出され、最適な印刷パターンが選定される。制御システムは、算出された補正量と選定された印刷パターンに基づいて、位置ズレ量を補正しつつ印刷処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-177454号公報
【文献】特開2011-20325号公報
【文献】特開2015-166133号公報
【文献】特開2017-87645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
記録媒体を装飾するため、インクジェット記録装置を用いて記録媒体に所定の柄を記録することがある。インクジェット記録装置によれば、記録媒体に高精細な柄を記録することができる。装飾対象となる記録媒体には、種々の記録媒体が採用される。例えば、所定の柄が記録される表面に意匠が施された記録媒体が採用される。記録媒体の表面に施される意匠としては、記録媒体自体に形成された凹凸模様又は孔模様が例示される。発明者は、記録媒体が凹凸模様又は孔模様が形成された態様である場合、このような記録媒体の装飾が次の状態で行われることが好ましいと考えた。前述の状態は、凹凸模様又は孔模様に対して柄の特定の領域を位置合わせした状態である。
【0008】
インクジェット記録装置では、柄の記録時、記録媒体は、搬送機の搬送面に載せ置かれる。記録媒体は、剛性が低いことがある。この場合、剛性が低い記録媒体には、記録媒体が搬送面に載せ置かれた状態で、皺又は捩れが発生することがある。従って、インクジェット記録装置では、搬送面に載せ置かれた記録媒体に、引張力を作用させることがある。例えば、剛性が低く且つ伸長する記録媒体が意匠性を有する場合、張力に伴い記録媒体に発生する伸びが、一様とならないことが想定される。例えば、凹凸模様が形成された記録媒体では、厚みが薄い凹部は、厚みが厚い凸部より伸び易い。同様に、孔模様が形成された記録媒体では、孔の周辺は、孔から離間した部分より伸び易い。つまり、記録媒体が搬送面に載せ置かれた状態で、記録媒体に引張力を作用させる場合、記録媒体上の次の位置が想定された位置から位置ずれすることがある。前述の位置は、記録媒体に施された意匠における特定の部分の位置である。前述の位置ずれ量は、記録媒体の各部で異なることが想定される。そこで、発明者は、装飾用の柄の特定の領域を、意匠性を有する記録媒体の表面のうちの特定の意匠部分に記録可能とするため、柄の記録前に、記録媒体の状態を検出できる構成について検討した。
【0009】
本発明は、装飾用の柄が記録される記録媒体の状態を検出できるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、記録媒体を搬送する搬送機と、前記搬送機によって搬送される前記記録媒体に同一色のインクを吐出する複数のノズルを含むインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドより前記搬送機によって前記記録媒体が搬送される搬送方向の上流側に設けられ、前記搬送機によって搬送されている前記記録媒体の表面状態を検出する検出器と、を備え、前記インクジェットヘッドでは、前記複数のノズルは、前記搬送方向に直交する幅方向に設けられてノズル列を形成し、前記インクジェットヘッドは、前記ノズル列を前記搬送方向に複数列含み、前記検出器は、前記記録媒体の表面状態を検出する1回当たりの検出動作での検出範囲として、前記搬送機で前記記録媒体が載せ置かれる搬送面の前記幅方向の寸法以上で、且つ前記複数のノズルのうち、最も前記幅方向の第一側に設けられる第一ノズルの前記幅方向の第一側端と、前記複数のノズルのうち、最も前記幅方向の第二側に設けられる第二ノズルの前記幅方向の第二側端と、の間の前記幅方向の寸法以上となる範囲を前記幅方向の前記検出範囲とし、前記検出器の前記搬送方向の下流側端と、前記複数のノズル列のうち、最も前記搬送方向の上流側に設けられる第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法が、前記第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、前記複数のノズル列のうち、前記第一ノズル列の前記搬送方向の下流側で前記第一ノズル列と隣り合う第二ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる位置に設けられ、前記第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、前記第二ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる範囲を前記搬送方向の前記検出範囲とする、インクジェット記録装置である。
【0011】
本発明の他の側面は、記録媒体を搬送する搬送機と、前記搬送機によって搬送される前記記録媒体に同一色のインクを吐出する複数のノズルを含むインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドより前記搬送機によって前記記録媒体が搬送される搬送方向の上流側に設けられ、前記搬送機によって搬送されている前記記録媒体の表面状態を検出する検出器と、を備え、前記インクジェットヘッドでは、前記複数のノズルは、前記搬送方向に直交する幅方向に設けられてノズル列を形成し、前記インクジェットヘッドは、前記ノズル列を前記搬送方向に複数列含み、前記検出器は、前記記録媒体の表面状態を検出する1回当たりの検出動作での検出範囲として、前記搬送機で前記記録媒体が載せ置かれる搬送面の前記幅方向の寸法以上で、且つ前記複数のノズルのうち、最も前記幅方向の第一側に設けられる第一ノズルの前記幅方向の第一側端と、前記複数のノズルのうち、最も前記幅方向の第二側に設けられる第二ノズルの前記幅方向の第二側端と、の間の前記幅方向の寸法以上となる範囲を前記幅方向の前記検出範囲とし、前記検出器の前記搬送方向の下流側端と、前記複数のノズル列のうち、最も前記搬送方向の上流側に設けられる第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法が、前記第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、前記複数のノズル列のうち、最も前記搬送方向の下流側に設けられる第二ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる位置に設けられる、インクジェット記録装置である。
【0012】
前記検出器は、前記第一ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、前記第二ノズル列の前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる範囲を前記搬送方向の前記検出範囲とする、ようにしてもよい。
【0013】
本発明の更に他の側面は、記録媒体を搬送する搬送機と、前記搬送機によって搬送される前記記録媒体に同一色のインクを吐出する複数のノズルを含むインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドより前記搬送機によって前記記録媒体が搬送される搬送方向の上流側に設けられ、前記搬送機によって搬送されている前記記録媒体の表面状態を検出する検出器と、を備え、前記インクジェットヘッドでは、前記複数のノズルは、前記搬送方向に設けられてノズル列を形成し、前記検出器は、前記記録媒体の表面状態を検出する1回当たりの検出動作での検出範囲として、前記搬送機で前記記録媒体が載せ置かれる搬送面の前記搬送方向に直交する幅方向の寸法以上となる範囲を前記幅方向の前記検出範囲とし、前記複数のノズルのうち、最も前記搬送方向の上流側に設けられる第三ノズルの前記搬送方向の上流側端と、前記複数のノズルのうち、最も前記搬送方向の下流側に設けられる第四ノズルの前記搬送方向の上流側端と、の間の前記搬送方向の寸法以上となる範囲を前記搬送方向の前記検出範囲とする、インクジェット記録装置である。
【0014】
上述したインクジェット記録装置によれば、柄の記録前に、柄が記録される記録媒体の表面状態を検出することができる。
【0015】
インクジェット記録装置は、所定の光を照射し、前記検出範囲を前記光によって照らす照明器を備え、前記検出器は、前記検出範囲が前記光によって照らされた状態で、前記検出動作として前記記録媒体の表面を撮像するイメージセンサを含み、前記照明器は、前記搬送面の前記幅方向の寸法以上で、且つ前記イメージセンサによって撮像される範囲となる前記検出範囲の前記搬送方向の寸法以上となる範囲を照明範囲とする、ようにしてもよい。また、前記照明器は、前記検出範囲の全体を含む範囲を前記照明範囲とする、ようにしてもよい。前述の構成によれば、柄の記録前に、柄が記録される記録媒体の表面を撮像することができる。その際、イメージセンサによる検出範囲(撮像範囲)を、所定の光によって照らすことができる。
【0016】
インクジェット記録装置は、前記搬送面に対する前記検出器の前記搬送方向及び前記幅方向の両方向に直交し且つ前記搬送面に垂直な高さ方向の位置を調整する第一調整機と、前記搬送面に対する前記照明器の前記高さ方向の位置を調整する第二調整機と、を備える、ようにしてもよい。この構成によれば、記録媒体の幅方向の寸法に応じて、検出範囲及び照明範囲を調整することができる。
【0017】
インクジェット記録装置では、前記検出器は、前記イメージセンサによる撮像方向に沿った第一仮想直線が前記高さ方向に沿った状態で、前記インクジェットヘッドより前記搬送方向の上流側に設けられ、前記照明器は、前記照明器による前記光の照射方向に沿った第二仮想直線が前記第一仮想直線に対して傾斜し且つ前記高さ方向に対して傾斜した状態で、前記検出器より前記搬送方向の上流側に設けられ、前記第二調整機は、更に、前記照明器を回動させ、前記第一仮想直線と前記第二仮想直線とのなす角度を調整する、ようにしてもよい。この構成によれば、照明器からの光の照射角度を、記録媒体の表面状態に応じて調整することができる。イメージセンサによる検出範囲(撮像範囲)を撮像に適した状態で照らすことができる。
【0018】
インクジェット記録装置は、前記搬送面に対する前記検出器の前記搬送方向及び前記幅方向の両方向に直交し且つ前記搬送面に垂直な高さ方向の位置を調整する第一調整機を備える、ようにしてもよい。この構成によれば、記録媒体の幅方向の寸法に応じて、検出範囲を調整することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装飾用の柄が記録される記録媒体の状態を検出できるインクジェット記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。インクジェット記録装置で柄の記録が行われている状態を示す。
【
図2】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。インクジェット記録装置でクリーニング動作が行われている状態を示す。
【
図3】
図1に示すインクジェット記録装置の各部の寸法及び各部の位置関係を示す図である。
図1に示すインクジェット記録装置の一部を省略して示す。インクジェットヘッド、インクトレイ及び検出器を高さ方向の第四側から第三側に視た状態を示す。
【
図4】第一調整機及び第二調整機の拡大斜視図である。
図1に示すインクジェット記録装置に対応する。
【
図5】第二調整機の概略構成の他の例を示す斜視図である。図示範囲は、
図4に対応する。
【
図6】シリアル型のインクジェット記録装置の各部の寸法及び各部の位置関係を示す図である。シリアル型のインクジェット記録装置の一部を省略して示す。インクジェットヘッド、インクトレイ及び検出器を高さ方向の第四側から第三側に視た状態を示す。キャリッジが搬送機の無端ベルト上を通過している状態に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。実施形態の各図は、所定の構成を模式的に示したものである。従って、実施形態の各図は、他の図との対応等が正確ではない場合もある。実施形態の各図で、破線は、かくれ線であり、一点鎖線は、中心線であり、二点鎖線は、想像線である。また、実施形態の各図で、ハッチングは、切断面を示す。
【0022】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、
図1~
図4を参照して説明する。インクジェット記録装置10は、記録媒体15を搬送し、記録媒体15に所定の柄を記録する。記録媒体15として、剛性が低く且つ伸長し易い記録媒体が採用されることもある。このような記録媒体としては、布帛が例示される。記録媒体15には、表面に凹凸模様が形成されている。この凹凸模様は、矩形状の凸部及び凹部を含む。記録媒体15の表面は、柄が記録される記録媒体15の面である。
【0023】
実施形態では、記録媒体15の表面には、幅方向の第一側及び第二側に、搬送方向に一定の間隔で複数のマーク16が形成されている。記録媒体15が布帛である場合、複数のマーク16は、記録媒体15を構成する織り組織又は編み組織によって形成されてもよい。マーク16が織り組織又は編み組織によって形成される場合、マーク16は、立体的な形状であってもよい。実施形態では、マーク16は、菱形(正方形)の形状を有する。但し、マーク16の位置、形成方法又は形状は、前述した構成とは異なる構成であってもよい。マーク16の位置、形成方法又は形状は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、マーク16の形成方法は、記録媒体15の素材に応じて決定するとよい。
図1、
図2及び
図4と後述する
図5では、マーク16は、内部が黒塗りされた状態で図示されている。これは、マーク16を、前述の各図に図示された他の部分と区別し易くするためである。
図3と後述する
図6では、マーク16の図示は、省略されている。搬送方向及び幅方向については、後述する。
【0024】
柄の記録には、特定の色のインクが用いられる。実施形態では、柄の記録に用いられるインク色は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色とする。インク色は、これら以外の色であってもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。インクジェット記録装置10は、搬送機20と、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kと、キャリッジ37と、移動機40と、インクトレイ50と、検出器60と、照明器65と、第一調整機70と、第二調整機80と、制御装置95を備える。
【0025】
搬送機20は、記録媒体15を搬送する。実施形態では、搬送機20によって記録媒体15が搬送される方向を「搬送方向」という。インクジェット記録装置10では、搬送機20は、記録媒体15を連続的に搬送する。搬送機20は、ベルトコンベアである。搬送機20は、一対の搬送ローラ21,22と、無端ベルト23と、第一駆動機25を備える。搬送ローラ21は、キャリッジ37より搬送方向の下流側に設けられる。搬送ローラ22は、キャリッジ37より搬送方向の上流側に設けられる。無端ベルト23は、環状のベルトである。無端ベルト23は、張力が作用した状態で、搬送ローラ21,22に架け渡される。無端ベルト23が搬送ローラ21,22に架け渡された状態で、搬送面24は、搬送ローラ21,22の間で水平な状態となる。搬送面24は、無端ベルト23の外周面によって形成される。記録媒体15は、搬送面24に載せ置かれる。
【0026】
第一駆動機25は、搬送ローラ21に連結される。第一駆動機25としては、エンコーダを備えるサーボモータが例示される。第一駆動機25は、搬送ローラ21を搬送方向に対応する方向に回転させる。無端ベルト23は、搬送ローラ21の回転に伴い、搬送方向に対応する方向に回転する。搬送ローラ22は、無端ベルト23の回転に従動して、搬送方向に対応する方向に回転する。
図1で、搬送ローラ21の内部に示す矢印は、搬送ローラ21の回転方向を示す。
【0027】
実施形態では、搬送方向とは反対の方向を「反搬送方向」という。反搬送方向は、搬送方向の下流側から上流側に向かう方向である。搬送方向に直交する方向を搬送面24の幅方向に準じて「幅方向」という。幅方向の一方側を「第一側」といい、幅方向の他方側を「第二側」という。搬送方向及び幅方向の両方向に直交し且つ搬送面24に垂直な方向を「高さ方向」という。高さ方向の一方側を「第三側」といい、高さ方向の他方側を「第四側」という。インクジェット記録装置10では、搬送方向及び幅方向は、共に水平面に平行な方向(水平方向)となり、高さ方向は、鉛直方向となる。高さ方向の第三側は、鉛直方向の上側となり、高さ方向の第四側は、鉛直方向の下側となる。
【0028】
インクジェット記録装置10は、公知のインクジェット記録装置と同様、粘着部と、押圧部と、剥離部を備えてもよい。例えば、記録媒体15が布帛である場合、インクジェット記録装置10は、前述の各部を備える。粘着部は、搬送面24に全周に亘って設けられる。押圧部は、搬送機20の搬送方向の上流側の端部に設けられる。押圧部は、搬送機20に供給された記録媒体15を粘着部が設けられた搬送面24に押圧する。搬送機20は、記録媒体15が粘着部によって搬送面24に固定された状態で、この記録媒体15を搬送方向に搬送する。剥離部は、キャリッジ37より搬送方向の下流側に設けられる。剥離部は、記録媒体15を搬送面24から剥離する。
図1及び
図2では、粘着部、押圧部及び剥離部の図示は、省略されている。インクジェット記録装置10では、公知のインクジェット記録装置と同様の粘着部、押圧部及び剥離部を採用することができる。従って、粘着部、押圧部及び剥離部に関するこの他の説明は、省略する。
【0029】
インクジェットヘッド30Yは、イエローインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド30Mは、マゼンタインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド30Cは、シアンインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド30Kは、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、対応する色のインクを吐出する複数のノズル31を含む(
図1~
図3参照)。実施形態では、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kのそれぞれで、複数のノズル31が設けられた面を「吐出面36」という。インクジェット記録装置10では、吐出面36は、搬送面24と対向する。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kによれば、記録媒体15の表面にフルカラーの柄を記録することができる。記録媒体15は、この柄によって表面が装飾された状態となる。
【0030】
図1及び
図2で、記録媒体15の次の部分に付した模様は、記録媒体15の表面に記録された装飾用の柄に対応する。前述の部分は、記録媒体15のうち、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kより搬送方向の下流側の部分である。各色のインクは、色毎のインクタンクに貯留され、各色用のインク流路を流れて、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kにそれぞれ供給される。
図1では、各色用のインクタンク及びインク流路の図示は、省略されている。
【0031】
インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、同様の構成を有する。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kでは、複数のノズル31は、幅方向に設けられる(
図1~
図3参照)。実施形態では、「幅方向に設けられる」は、広く解釈される。例えば、「幅方向に設けられる」は、「幅方向に配列される」及び「幅方向に沿って設けられる」を含む。「幅方向に沿って設けられる」は、「幅方向に沿った仮想直線上に配列される」ともいえる。この他、「幅方向に設けられる」は、次の第一態様及び第二態様を含む。第一態様は、「次の方向に配列される」であり、第二態様は、「次の方向に沿って設けられる」である。前述の方向は、同一平面内で搬送方向及び幅方向の両方向に交差する任意の方向である。第一態様及び第二態様では、各ノズル31の幅方向の位置(座標値)は、一次関数的に変化する。これに対して、「幅方向に設けられる」は、次の第三態様及び第四態様を含まない。第三態様は、「搬送方向に配列される」であり、第四態様は、「搬送方向に沿って設けられる」である。第三態様及び第四態様では、各ノズル31の幅方向の位置(座標値)は、一定となる。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kでは、複数のノズル31は、幅方向に配列され、又は幅方向に沿って設けられる。
【0032】
インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kでは、複数のノズル31は、その半数が幅方向に配列されて1列のノズル列をなし、このノズル列が搬送方向に2列設けられた状態で吐出面36に配置される。この場合、2本のノズル列は、幅方向に所定量だけずれた状態で搬送方向に隣り合って設けられる。即ち、複数のノズル31は、千鳥状に配置される。但し、このような複数のノズル31の配置は、例示である。従って、複数のノズル31の配置は、このような配置とは異なる配置としてもよい。
【0033】
実施形態では、2本のノズル列を「第一ノズル列N1」及び「第二ノズル列N2」という(
図3参照)。第一ノズル列N1は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、最も搬送方向の上流側に位置するノズル列である。第二ノズル列N2は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、第一ノズル列N1の搬送方向の下流側で第一ノズル列N1と隣り合うノズル列である。また、第二ノズル列N2は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、最も搬送方向の下流側に位置するノズル列である。実施形態とは異なり、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドでノズル列が3列以上となる場合、前述の第二ノズル列N2として定義される2本のノズル列は、異なるノズル列となる。実施形態では、「搬送方向に隣り合う」は、「搬送方向に沿った方向に隣り合う」と同じ意味である。搬送方向に沿った方向は、搬送方向及び反搬送方向の両方向を含む。
【0034】
キャリッジ37には、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kが搬送方向に隣り合った状態で搭載される。インクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、搬送方向に、インクジェットヘッド30Y、インクジェットヘッド30M、インクジェットヘッド30C及びインクジェットヘッド30Kの順で設けられる。但し、搬送方向におけるインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの配列順序は、前述の順序とは異なる順序としてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。インクジェット記録装置10では、複数のノズル31の幅方向の配置は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kがキャリッジ37に搭載された状態で、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで同じとなる。
【0035】
移動機40は、インクトレイ50を搬送方向及び反搬送方向に往復移動させる。実施形態では、柄の記録時にインクトレイ50が配置される位置を「第一位置P1」といい、移動後にインクトレイ50が配置される位置を「第二位置P2」という(
図1参照)。
図1では、第二位置P2に配置されたインクトレイ50を二点鎖線で示す。移動機40としては、公知の直動機構を採用することができる。実施形態では、移動機40として、次のような直動機構を採用する。即ち、移動機40は、ボールねじ41と、リニアガイド44,45と、移動体48と、第二駆動機49を備える(
図1及び
図2参照)。移動機40では、ボールねじ41は、搬送機20の幅方向の第一側に設けられ、リニアガイド44は、ボールねじ41の幅方向の第一側に設けられ、リニアガイド45は、搬送機20の幅方向の第二側に設けられる。ボールねじ41は、ねじ軸42が搬送方向に沿った状態で設けられる。ボールねじ41では、ナット43は、ねじ軸42の回転に応じて搬送方向及び反搬送方向に移動する。リニアガイド44,45は、ガイドレール46が搬送方向に沿った状態で設けられる。リニアガイド44,45では、ブロック47は、ガイドレール46の上を搬送方向及び反搬送方向に移動する。ボールねじ41及びリニアガイド44,45は、公知の機械部品である。そのため、ボールねじ41及びリニアガイド44,45の構造等に関する説明は省略する。移動体48には、インクトレイ50が取り付けられる。移動体48は、ボールねじ41のナット43に取り付けられる。更に、移動体48は、リニアガイド44,45の各ブロック47に取り付けられる。
【0036】
第二駆動機49は、ねじ軸42に連結される。第二駆動機49としては、エンコーダを備えるサーボモータが例示される。第二駆動機49は、ねじ軸42を回転させる。第二駆動機49によってねじ軸42が所定の方向に回転すると、ナット43は、搬送方向に移動する。移動体48は、ナット43の搬送方向への移動に伴い、搬送方向にナット43と同じ量だけ移動する。換言すれば、移動体48に取り付けられたインクトレイ50は、ナット43の搬送方向への移動に伴い、搬送方向にナット43と同じ量だけ移動する。第二駆動機49は、次の回転量だけねじ軸42を回転させる。前述の回転量は、ナット43が搬送方向に寸法D0だけ移動することとなる量である。寸法D0は、第一位置P1と第二位置P2の間の搬送方向の寸法である(
図1参照)。これに伴い、インクトレイ50は、第一位置P1から第二位置P2に移動する(
図1→
図2参照)。
図1及び
図2で、第二駆動機49の近傍に示す弧状の矢印は、第二駆動機49によるねじ軸42の回転方向を示す。実施形態では、「搬送方向の寸法」は、搬送方向に沿った方向の寸法と同じ意味である。
【0037】
第二駆動機49によってねじ軸42が上述した所定の方向とは反対の方向に回転すると、ナット43は、反搬送方向に移動する。移動体48は、ナット43の反搬送方向への移動に伴い、反搬送方向にナット43と同じ量だけ移動する。換言すれば、移動体48に取り付けられたインクトレイ50は、ナット43の反搬送方向への移動に伴い、反搬送方向にナット43と同じ量だけ移動する。第二駆動機49は、ナット43が反搬送方向に寸法D0だけ移動することとなる回転量だけねじ軸42を回転させる。これに伴い、インクトレイ50は、第二位置P2から第一位置P1に移動する(
図2→
図1参照)。即ち、インクジェット記録装置10では、インクトレイ50は、移動機40の駆動に伴い、第二位置P2と第一位置P1の間を往復移動する。インクトレイ50の移動は、リニアガイド44,45によってガイドされる。
【0038】
インクトレイ50は、内部に受容室51を含む。インクトレイ50は、第二位置P2でクリーニング動作によって排出されたインクを受容室51で受ける。インクトレイ50は、第二位置P2でキャリッジ37の高さ方向の第四側の面に接するようにしてもよい(
図2参照)。クリーニング動作は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、複数のノズル31でのインクの詰まり等を防止するために行われる。クリーニング動作では、インクがインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各ノズル31から強制的に排出される。クリーニング動作は、インクトレイ50をキャリッジ37の高さ方向の第四側の面に接させ、且つ受容室51を減圧させた状態で行うようにしてもよい。この場合、インクジェット記録装置10では、減圧装置がインクトレイ50に接続される。減圧装置は、受容室51に通じる。
図1及び
図2では、減圧装置の図示は、省略されている。
【0039】
インクジェット記録装置10では、所定のタイミングでクリーニング動作が実行される。例えば、クリーニング動作は、柄の記録時、所定時間毎に実行される。クリーニング動作が実行される場合、移動機40が駆動する。これに伴い、インクトレイ50は、第一位置P1から搬送方向に移動し、第二位置P2に到達する。クリーニング動作の実行時、搬送機20による記録媒体15の搬送、検出器60による検出動作及び照明器65による光の照射は、停止するようにしてもよい(
図2参照)。
【0040】
検出器60は、搬送面24の上方から、搬送機20によって搬送されている記録媒体15の表面状態を検出する(
図1及び
図4参照)。検出器60は、イメージセンサ61を含む。従って、実施形態では、検出器60による検出動作は、イメージセンサ61による撮像となる。イメージセンサ61は、搬送面24の上方に設けられる。実施形態では、イメージセンサ61は、搬送面24に正対する。そのため、インクジェット記録装置10では、イメージセンサ61による撮像方向は、高さ方向の第三側から第四側に向かう方向となる(
図4参照)。イメージセンサ61は、前述した状態で、搬送機20によって搬送されている記録媒体15の表面を撮像する。イメージセンサ61としては、CCDセンサ又はCMOSセンサが例示される。即ち、インクジェット記録装置10では、イメージセンサ61として、公知のイメージセンサを採用する。従って、イメージセンサ61に関するこの他の説明は、省略する。
【0041】
実施形態では、検出器60による記録媒体15の表面状態を検出する1回当たりの検出動作で検出される範囲を「検出範囲R1」という(
図1、
図3及び
図4参照)。検出範囲R1について、幅方向の範囲(寸法D1)及び搬送方向の範囲(寸法D2)は、次のように設定される。即ち、寸法D1は、寸法D5,D6より大きくなる(
図3参照)。寸法D5は、搬送面24の幅方向の寸法である。搬送機20では、寸法D5は、無端ベルト23の幅方向の寸法ということもできる。寸法D6は、第一ノズル32の幅方向の第一側端と第二ノズル33の幅方向の第二側端の間の幅方向の寸法である。第一ノズル32は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、複数のノズル31のうち、最も幅方向の第一側に設けられたノズル31である。第二ノズル33は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、複数のノズル31のうち、最も幅方向の第二側に設けられたノズル31である。
【0042】
寸法D2は、寸法D7より大きくなる(
図3参照)。寸法D7は、第一ノズル列N1の搬送方向の上流側端と第二ノズル列N2の搬送方向の上流側端の間の搬送方向の寸法である。ノズル31は吐出面36での開口形状が円形であるから、寸法D7は、第一ノズル列N1と第二ノズル列N2の搬送方向の中心間距離に一致する。更に、実施形態では、寸法D2は、寸法D8より大きくなる(
図3参照)。寸法D8は、第一ノズル列N1の搬送方向の上流側端と第二ノズル列N2の搬送方向の下流側端の間の搬送方向の寸法である。
図1、
図3及び
図4では、検出範囲R1は、二点鎖線で示されている。
図1、
図3及び
図4では、検出器60(イメージセンサ61)及び検出範囲R1の関係を示す便宜上の図示部分は、二点鎖線で示されている。
【0043】
照明器65は、所定の光を照射する。照明器65は、搬送面24の上方から、検出範囲R1を所定の光によって照らす。照明器65からの光は、所定の波長を有する。例えば、前述の光は、可視光である。但し、照明器65からの光は、赤外線であってもよい。照明器65からの光が赤外線である場合、イメージセンサ61は、赤外線に対する感度を有する。実施形態では、照明器65によって照らされる範囲を「照明範囲R2」という。照明範囲R2について、幅方向の範囲(寸法D3)及び搬送方向の範囲(寸法D4)は、次のように設定される。寸法D3は、寸法D5,D1より大きくなる(
図3参照)。寸法D4は、寸法D2より大きくなる(
図3参照)。インクジェット記録装置10では、照明範囲R2は、検出範囲R1の全体を含む。
図1、
図3及び
図4では、照明範囲R2は、二点鎖線で示されている。図
1及び
図4では、照明器65及び照明範囲R2の関係を示す便宜上の図示部分は、二点鎖線で示されている。
【0044】
第一調整機70は、搬送面24に対する検出器60の高さ方向の位置を調整する。第二調整機80は、搬送面24に対する照明器65の高さ方向の位置を調整する。更に、第二調整機80は、照明器65を回動させ、第一仮想直線L1と第二仮想直線L2のなす角度θを調整する(
図4参照)。第一仮想直線L1は、イメージセンサ61の撮像方向に沿った仮想直線である。第二仮想直線L2は、照明器65による光の照射方向に沿った仮想直線である。実施形態では、第一仮想直線L1は、搬送面24に垂直な仮想直線となる。第二仮想直線L2は、鉛直方向と水平方向に対して傾斜した仮想直線となる。第二仮想直線L2は、第一仮想直線L1に対して傾斜し且つ搬送面24に対して傾斜する。インクジェット記録装置10では、第一調整機70及び第二調整機80は、搬送機20の幅方向の第一側で搬送方向に並んで設けられる。第二調整機80は、第一調整機70より搬送方向の上流側に設けられる。第一調整機70及び第二調整機80に関するこの他の説明は、後述する。実施形態では、「搬送方向に並ぶ」は、「搬送方向に沿った方向に並ぶ」と同じ意味である。
【0045】
インクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド30Y、検出器60及び照明器65の搬送方向の位置関係は、次のようにされる。即ち、インクジェット記録装置10では、検出器60は、インクジェットヘッド30Yより搬送方向の上流側に設けられ、更に、照明器65は、検出器60より搬送方向の上流側に設けられる(
図1及び
図2参照)。この場合、検出器60は、寸法D9が寸法D7,D8より大きくなる位置に設けられる(
図3参照)。寸法D9は、検出器60の搬送方向の下流側端とインクジェットヘッド30Yの第一ノズル列N1の搬送方向の上流側端の間の搬送方向の寸法である。インクジェットヘッド30Yは、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kのうち、最も搬送方向の上流側に設けられたインクジェットヘッドである。実施形態では、インクジェットヘッド30Yは、検出器60及び照明器65の搬送方向の位置関係を特定する上で、基準となるインクジェットヘッドとなる。インクジェットヘッド30Yの第一ノズル列N1は、インクジェット記録装置10で最も搬送方向の上流側に設けられたノズル列である。インクジェット記録装置10では、寸法D10は、寸法D9より大きくなる(
図3参照)。寸法D10は、イメージセンサ61の搬送方向の下流側端とインクジェットヘッド30Yの第一ノズル列N1の搬送方向の上流側端の間の搬送方向の寸法である。従って、寸法D10は、寸法D7,D8より大きくなる。
【0046】
インクジェット記録装置10では、検出器60及び照明器65は、第一位置P1に配置されたインクトレイ50より搬送方向の上流側に設けられる。この場合、検出器60を基準として、照明器65は、インクトレイ50とは反対側となる搬送方向の上流側に設けられる。照明器65は、前述した位置で、搬送面24の上方から搬送面24の側で且つ搬送方向の上流側から下流側に向けて斜めに光を照射する。照明器65からの光がインクトレイ50によって遮られるといった事態の発生を防止することができる。
【0047】
制御装置95は、接続インターフェース96と、制御器97を備える。実施形態では、接続インターフェース96を「接続I/F96」と記載する。第一駆動機25、第二駆動機49、検出器60及び照明器65は、接続I/F96に接続される。第一駆動機25のエンコーダから出力された検知信号は、接続I/F96を介して制御装置95に入力される。第二駆動機49のエンコーダから出力された検知信号は、接続I/F96を介して制御装置95に入力される。制御装置95では、接続I/F96は、第一駆動機25及び第二駆動機49の各エンコーダからの検知信号を制御器97に出力する。イメージセンサ61で撮像された撮像画像に対応する撮像信号は、検出器60から出力され、接続I/F96を介して制御装置95に入力される。制御装置95では、接続I/F96は、検出器60からの撮像信号を制御器97に出力する。制御装置95では、制御器97は、接続I/F96を介して、検出器60及び照明器65に各種の指令信号を出力する。
図1では、第一駆動機25、第二駆動機49、検出器60及び照明器65と、接続I/F96を接続する電気配線の図示は、省略されている。制御器97は、インクジェット記録装置10で実行される各種の動作を制御する。制御器97は、例えば、記録媒体15への柄の記録を制御する。
【0048】
インクジェット記録装置10で記録媒体15に柄が記録される場合、搬送機20は、記録媒体15を搬送方向に連続的に搬送する。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、所定のタイミングで、各ノズル31から対応する色のインクを記録媒体15に向けて吐出する。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各ノズル31から吐出された各色のインクは、記録媒体15の表面に着弾する。着弾した各色のインクによって記録媒体15の表面に柄が記録される。
【0049】
検出器60は、制御器97からの指令信号に応じて、検出範囲R1の撮像を繰り返す。その際、照明器65は、制御器97からの指令信号に応じて、光の照射を開始させ、照明範囲R2を照らす。インクジェット記録装置10では、検出器60は、検出範囲R1に含まれる記録媒体15の表面状態を検出する。即ち、検出器60でイメージセンサ61は、検出範囲R1に含まれる記録媒体15の表面を撮像する。これに伴い、この検出範囲R1に対応する撮像データが生成される。
【0050】
制御器97は、画像処理を実行する。この画像処理は、次の撮像データと柄データを処理対象とした画像処理である。前述の撮像データは、上述した検出器60からの撮像信号によって生成された画像データである。前述の柄データは、記録媒体15に記録される柄に対応する画像データである。柄データは、所定のアプリケーションプログラムを利用して、予め生成される。この画像処理で制御器97は、撮像データに対応する撮像画像から、この撮像画像に含まれる複数のマーク16を検出する。続けて、制御器97は、検出された複数のマーク16の各位置を示す位置情報を特定する。例えば、位置情報は、搬送方向及び幅方向を基準とした2次元の座標値によって示される。制御器97のストレージは、次の位置情報を記憶する。前述の位置情報は、記録媒体15が未変形である状態を対象とした複数のマーク16の各位置を示す位置情報である。換言すれば、前述の位置情報は、記録媒体15における複数のマーク16の各位置を示す設計上(理論上)の位置情報である。インクジェット記録装置10では、位置情報の基準となる原点位置が予め設定される。
【0051】
次に、制御器97は、特定された複数のマーク16の各位置情報と、特定された複数のマーク16に対応する複数のマーク16の設計上の各位置情報に従い、柄データを変形する。例えば、特定された複数のマーク16の各位置情報と設計上の各位置情報から、記録媒体15が搬送方向に沿って第一量だけ伸長していたことが検出されたとする。この場合、制御器97は、所定のアプリケーションプログラムを利用して生成された柄データのうち、撮像データに対応するデータ部分を、第一量に対応する量だけ、搬送方向に沿って伸長する。インクジェット記録装置10では、制御器97は、処理対象の撮像データに対応する記録媒体15のエリアへのインクの吐出を、変形後の柄データのデータ部分に従い制御する。
【0052】
<第一調整機>
第一調整機70について、
図4を参照して説明する。第一調整機70は、第一ステー71と、第一ベース72を含む。第一ステー71には、検出器60が取り付けられる。第一ステー71は、第一ベース72に取り付けられる。第一ベース72は、第一部分73に第一長孔74を含む。第一部分73は、高さ方向に沿った第一ベース72の部分である。第一長孔74は、高さ方向に沿った長孔で、第一部分73を幅方向に貫通する。第一ステー71の幅方向の第一側は、ねじ孔を含む。第一調整機70では、第一ねじ75が幅方向の第一側から第一長孔74に通される。第一ねじ75では、第一長孔74を幅方向の第二側に通過した先端部が第一ステー71のねじ孔にねじ込まれる。これに伴い、検出器60が取り付けられた第一ステー71は、高さ方向の所定の位置で第一ベース72に固定される。第一長孔74に対する第一ねじ75の高さ方向の位置を適宜変更することで、第一ステー71の高さ方向の位置を調整することができる。即ち、第一調整機70によれば、上述した通り、搬送面24に対する検出器60の高さ方向の位置を調整することができる。
【0053】
<第二調整機>
第二調整機80について、
図4を参照して説明する。第二調整機80は、第二ステー81と、ホルダ82と、シャフト85と、回転体86を備える。第二ステー81には、照明器65が取り付けられる。ホルダ82には、シャフト85が取り付けられる。シャフト85は、幅方向の第一側の端部がホルダ82に形成された第一貫通孔83に挿入された状態で、ホルダ82に取り付けられる。回転体86は、シャフト85の幅方向の第二側の端部に固定される。回転体86には、シャフト85の側とは反対側の端部に、第二ステー81を介して照明器65が取り付けられる。
図4では、説明の便宜上、回転体86を二点鎖線で示す。これにより、ホルダ82の全体構成を明らかにする。
【0054】
第二調整機80では、ホルダ82にねじ込まれた第二ねじ84を緩めることで、第一貫通孔83に挿入されたシャフト85を回転させることができる。シャフト85の回転に伴い、シャフト85に固定された回転体86が回転する。これに伴い、回転体86に第二ステー81を介して接続された照明器65が、中心線L3を中心とした円周上を回動する(
図4に示す「回動方向」参照)。中心線L3は、シャフト85の中心線(中心軸)に一致する直線である。インクジェット記録装置10では、照明器65の回動に伴い、照明器65の高さ方向の位置が変化する。第二調整機80では、照明器65を回動させ所定の位置に配置した状態で、第二ねじ84が締め付けられる。第二ねじ84の締め付けにより、シャフト85は、ホルダ82に対して固定される。即ち、第二調整機80によれば、上述した通り、搬送面24に対する照明器65の高さ方向の位置と、角度θを調整することができる。
【0055】
第二調整機80は、第一機構を含む。第一機構は、中心線L4を中心として照明器65を回転させる機構である。中心線L4は、第二ステー81の中心線(中心軸)に一致する直線で、且つ中心線L3と平行な直線である。第一機構は、例えば、回転体86に形成された第二貫通孔87に第二ステー81を挿入させた構造を有する。回転体86の側面には、第二貫通孔87に通じるねじ孔が設けられる。このねじ孔には、第三ねじ88がねじ込まれる。実施形態では、前述のねじ孔は、回転体86の頂面に形成される。回転体86の頂面は、回転体86の側面のうち、径方向の外周側となる面である。径方向は、中心線L3を中心とするシャフト85の径方向に一致する方向である。第二ステー81の回転に伴う照明器65の回転は、第三ねじ88の先端部を第二ステー81の外周面に接させることで拘束される。
図4で中心線L4の外周に示す矢印は、第一機構による照明器65の回転方向を示す。
【0056】
この他、第二調整機80は、第二機構を含んでもよい。第二機構は、例えば、回転体86に設けられる。第二機構は、径方向における照明器65の位置を調整する機構である。但し、
図4では、第二機構の図示は、省略されている。このことは、
図1及び
図2でも、同様である。
【0057】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0058】
(1)インクジェット記録装置10では、検出器60は、記録媒体15の表面状態を検出する(
図1、
図2及び
図4参照)。検出器60は、イメージセンサ61を含む(
図1~
図4参照)。検出器60は、検出動作として、イメージセンサ61により記録媒体15の表面を撮像する。検出器60は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kのうち、最も搬送方向の上流側に設けられるインクジェットヘッド30Yより搬送方向の上流側に設けられる(
図1~
図3参照)。検出器60は、寸法D9が寸法D7,D8より大きくなる位置に設けられる(
図3参照)。検出器60は、記録媒体15の表面状態を検出する1回当たりの検出動作で、寸法D5,D6より大きくなる寸法D1の範囲を幅方向の検出範囲R1とする。検出器60は、記録媒体15の表面状態を検出する1回当たりの検出動作で、寸法D7,D8より大きくなる寸法D2の範囲を搬送方向の検出範囲R1とする。検出器60によって記録媒体15の表面状態が検出される場合、照明器65は、検出範囲R1を照らす。照明器65による照明範囲R2は、幅方向に寸法D5,D1より大きく、搬送方向に寸法D2より大きくなる範囲となる。
【0059】
そのため、インクジェット記録装置10では、柄の記録前に、柄が記録される記録媒体15の表面状態を検出することができる。即ち、柄の記録前に、撮像範囲としての検出範囲R1を光で照らしながら記録媒体15の表面を撮像することができる。検出器60の搬送方向の位置について、寸法D9を少なくとも寸法D7より大きくすることで、検出範囲R1の搬送方向の範囲として、上述の画像処理に対応した寸法D2を設定することができる。検出範囲R1の搬送方向の範囲について、寸法D2を寸法D7より大きくすることで、制御器97は、上述の画像処理を、柄データのうち、搬送方向における次の範囲のデータ部分を処理対象として繰り返すことができる。前述の範囲は、柄データのうち、1列分のノズル列を形成する複数のノズル31でインクを吐出させるのに必要となる搬送方向の範囲である。1回の検出動作に伴う画像処理で、処理対象となる柄データのデータ部分の容量を小さくし、この画像処理に要する時間を短くすることができる。画像処理にて変形された柄データのデータ部分を一時的に記憶する領域を小さくすることができる。インクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、第一ノズル列N1を形成する複数のノズル31からのインクの吐出と、第二ノズル列N2を形成する複数のノズル31からのインクの吐出を、同様のタイミングで制御することができる。インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kでは、第一ノズル列N1及び第二ノズル列N2をそれぞれ形成する複数のノズル31から対応する色のインクを順次吐出することができる。
【0060】
(2)インクジェット記録装置10では、検出器60は、第一調整機70によって支持され、照明器65は、第二調整機80によって支持される(
図1、
図2及び
図4参照)。第一調整機70は、搬送面24に対する検出器60の高さ方向の位置を調整する。第二調整機80は、搬送面24に対する照明器65の高さ方向の位置を調整する。更に、第二調整機80は、照明器65を回動させ、第一仮想直線L1と第二仮想直線L2のなす角度θを調整する(
図4参照)。そのため、インクジェット記録装置10では、記録媒体15の幅方向の寸法に応じて、検出範囲R1及び照明範囲R2を調整することができる。照明器65からの光の照射角度を、記録媒体15の表面状態に応じて調整することができる。イメージセンサ61による検出範囲R1を撮像に適した状態で照らすことができる。
【0061】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0062】
(1)インクジェット記録装置10では、検出器60は、寸法D9が寸法D7,D8より大きくなる位置に設けられる(
図3参照)。検出器60は、寸法D11が寸法D7,D8より大きくなる位置に設けられてもよい(
図3参照)。寸法D11は、検出範囲R1の搬送方向の下流側端とインクジェットヘッド30Yの第一ノズル列N1の搬送方向の上流側端の間の搬送方向の寸法である。
【0063】
(2)第二調整機80は、照明器65を回動させ、第一仮想直線L1と第二仮想直線L2のなす角度θを調整する(
図4参照)。インクジェット記録装置10では、照明器65の回動に伴い、照明器65の高さ方向の位置が変化する。例えば、第二調整機80は、
図5に示すように、第一調整機70と同様の構成としてもよい。
図5に示す第二調整機80は、第三ステー89と、第二ベース90を含む。第三ステー89は、第一調整機70の第一ステー71に対応し、第二ベース90は、第一調整機70の第一ベース72に対応する。第三ステー89には、照明器65が取り付けられる。第三ステー89は、第二ベース90に取り付けられる。第二ベース90は、第二部分91に第二長孔92を含む。第二部分91は、第一ベース72の第一部分73に対応し、第二長孔92は、第一ベース72の第一長孔74に対応する。即ち、第二部分91は、高さ方向に沿った第二ベース90の部分である。第二長孔92は、高さ方向に沿った長孔で、第二部分91を幅方向に貫通する。第三ステー89の幅方向の第一側は、ねじ孔を含む。
図5に示す第二調整機80では、第四ねじ93が幅方向の第一側から第二長孔92に通される。第四ねじ93では、第二長孔92を幅方向の第二側に通過した先端部が第三ステー89のねじ孔にねじ込まれる。これに伴い、照明器65が取り付けられた第三ステー89は、高さ方向の所定の位置で第二ベース90に固定される。
【0064】
図5に示す第二調整機80では、第二長孔92に対する第四ねじ93の高さ方向の位置を適宜変更することで、第三ステー89の高さ方向の位置を調整することができる。即ち、
図5に示す第二調整機80によれば、搬送面24に対する照明器65の高さ方向の位置を調整することができる。第三ステー89は、搬送面24に対する照明器65の向きを調整した状態で、第四ねじ93により第二ベース90に固定される。これに伴い、
図5に示す第二調整機80でも、第一仮想直線L1と第二仮想直線L2のなす角度θを調整することができる。即ち、
図5に示す第二調整機80でも、光の照射角度を調整することができる。このことは、第一調整機70についても同様である。即ち、第一調整機70によれば、搬送面24に対してイメージセンサ61を正対させた状態とは異なる状態とすることもできる。但し、インクジェット記録装置10では、イメージセンサ61は、搬送面24に正対した状態とするとよい。撮像画像を記録媒体15の表面を正視した状態の画像とすることができる。
【0065】
(3)検出器60は、イメージセンサ61を含む。検出器60は、検出動作として、イメージセンサ61により記録媒体15の表面を撮像する。インクジェット記録装置では、検出器として、検出器60とは異なるタイプの検出器を採用することができる。即ち、インクジェット記録装置では、記録媒体15の表面状態を検出することが可能な各種の検出器を採用することができる。例えば、記録媒体15の表面を3次元的に検出可能な公知の検出器を採用することができる。このような検出器は、光切断法と称される技術を用いて記録媒体15の表面を3次元的に検出する。このような検出器を採用する場合、照明器65及び第二調整機80は、省略してもよい。
【0066】
(4)インクジェット記録装置10では、寸法D1~D10の関係について、「寸法D1>寸法D5,D6」、「寸法D2>寸法D7,D8」、「寸法D3>寸法D5,D1」、「寸法D4>寸法D2」、「寸法D9>寸法D7,D8」及び「寸法D10>寸法D7,D8」とした。寸法D1,D5の関係は、「寸法D1≧寸法D5」としてもよい。寸法D1,D6の関係は、「寸法D1≧寸法D6」としてもよい。寸法D2,D7の関係は、「寸法D2≧寸法D7」としてもよい。寸法D2,D8の関係は、「寸法D2≧寸法D8」としてもよい。寸法D3,D5の関係は、「寸法D3≧寸法D5」としてもよい。寸法D3,D1の関係は、「寸法D3≧寸法D1」としてもよい。寸法D4,D2の関係は、「寸法D4≧寸法D2」としてもよい。寸法D9,D7の関係は、「寸法D9≧寸法D7」としてもよい。寸法D9,D8の関係は、「寸法D9≧寸法D8」としてもよい。寸法D10,D7の関係は、「寸法D10≧寸法D7」としてもよい。寸法D10,D8の関係は、「寸法D10≧寸法D8」としてもよい。この他、変形例として説明した上述の寸法D11は、「寸法D11≧寸法D7」又は「寸法D11≧寸法D8」としてもよい。
【0067】
(5)インクジェット記録装置を、ライン型のインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kを備えるインクジェット記録装置10とした(
図1~
図3参照)。インクジェット記録装置としては、インクジェット記録装置10とは異なるタイプの装置が実用化されている。この異なるタイプのインクジェット記録装置では、柄の記録は、インクジェットヘッドが搭載されたキャリッジを幅方向に往復移動させながら行われる。幅方向は、上記同様、搬送方向に直交する。この説明では、前述のインクジェット記録装置を「シリアル型」という。インクジェット記録装置がシリアル型である場合について、
図6を参照して説明する。
図6は、
図3に対応する図である。
図6に基づく説明では、
図1~
図4に基づく上述の実施形態との対応を明らかにするため、各部に対する符号は、上記と同様とする。
【0068】
図6に示すインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、同様の構成を有する。
図6に示すインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kでは、複数のノズル31は、搬送方向に設けられる。「搬送方向に設けられる」は、上述した「幅方向に設けられる」と同様、広く解釈される。例えば、「搬送方向に設けられる」は、「搬送方向に配列される」及び「搬送方向に沿って設けられる」を含む。「搬送方向に沿って設けられる」は、「搬送方向に沿った仮想直線上に配列される」ともいえる。この他、「搬送方向に設けられる」は、次の第五態様及び第六態様を含む。第五態様は、「次の方向に配列される」であり、第六態様は、「次の方向に沿って設けられる」である。前述の方向は、同一平面内で搬送方向及び幅方向の両方向に交差する任意の方向である。第五態様及び第六態様では、各ノズル31の搬送方向の位置(座標値)は、一次関数的に変化する。これに対して、「搬送方向に設けられる」は、次の第七態様及び第八態様を含まない。第七態様は、「幅方向に配列される」であり、第八態様は、「幅方向に沿って設けられる」である。第七態様及び第八態様では、各ノズル31の搬送方向の位置(座標値)は、一定となる。
【0069】
図6に示すインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kでは、複数のノズル31は、その半数が搬送方向に配列されて1列のノズル列をなし、このノズル列が幅方向に2列設けられた状態で吐出面36に配置される。この場合、2本のノズル列は、搬送方向に所定量だけずれた状態で幅方向に隣り合って設けられる。即ち、複数のノズル31は、千鳥状に配置される。但し、このような複数のノズル31の配置は、例示である。従って、複数のノズル31の配置は、このような配置とは異なる配置としてもよい。
【0070】
図6に示すインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、幅方向に隣り合った状態でキャリッジ37に搭載される。
図6に示すインクジェット記録装置10では、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kは、幅方向の第一側から第二側に向けて、インクジェットヘッド30Y、インクジェットヘッド30M、インクジェットヘッド30C及びインクジェットヘッド30Kの順で設けられる。但し、幅方向におけるインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの配列順序は、前述の順序とは異なる順序としてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
図6に示すインクジェット記録装置10では、複数のノズル31の搬送方向の配置は、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kがキャリッジ37に搭載された状態で、インクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで同じとなる。
【0071】
図6に示す検出器60では、検出範囲R1の搬送方向の範囲について、寸法D2は、寸法D12より大きくなり、また、寸法D13より大きくなる。寸法D12は、第三ノズル34の搬送方向の上流側端と第四ノズル35の搬送方向の上流側端の間の搬送方向の寸法である。第三ノズル34は、
図6に示すインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、複数のノズル31のうち、最も搬送方向の上流側に設けられたノズル31である。第四ノズル35は、
図6に示すインクジェットヘッド30Y,30M,30C,30Kの各インクジェットヘッドで、複数のノズル31のうち、最も搬送方向の下流側に設けられたノズル31である。寸法D13は、第三ノズル34の搬送方向の上流側端と第四ノズル35の搬送方向の下流側端の間の搬送方向の寸法である。
【0072】
図6に示す検出器60は、寸法D14が寸法D12,D13より大きくなる位置に設けられる。寸法D14は、検出器60の搬送方向の下流側端と第三ノズル34の搬送方向の上流側端の間の搬送方向の寸法である。
図6に示すインクジェット記録装置10では、寸法D15は、寸法D14より大きくなる。寸法D15は、イメージセンサ61の搬送方向の下流側端と第三ノズル34の搬送方向の上流側端の間の搬送方向の寸法である。従って、寸法D15は、寸法D12,D13より大きくなる。更に、検出器60は、寸法D16が寸法D12,D13より大きくなる位置に設けられてもよい。寸法D16は、検出範囲R1の搬送方向の下流側端と第三ノズル34の搬送方向の上流側端の間の搬送方向の寸法である。
【0073】
但し、寸法D2,D12の関係は、「寸法D2≧寸法D12」としてもよい。寸法D2,D13の関係は、「寸法D2≧寸法D13」としてもよい。寸法D14,D12の関係は、「寸法D14≧寸法D12」としてもよい。寸法D14,D13の関係は、「寸法D14≧寸法D13」としてもよい。寸法D15,D12の関係は、「寸法D15≧寸法D12」としてもよい。寸法D15,D13の関係は、「寸法D15≧寸法D13」としてもよい。寸法D16,D12の関係は、「寸法D16≧寸法D12」としてもよい。寸法D16,D13の関係は、「寸法D16≧寸法D13」としてもよい。
【0074】
図6に示すインクジェット記録装置10は、上記の他、公知のシリアル型のインクジェット記録装置が備える各部を備える。例えば、
図6に示すインクジェット記録装置10は、移動機40(第一移動機)とは異なる第二移動機を備える。第二移動機は、キャリッジ37を幅方向に往復移動させる。
図6では、前述の第二移動機の図示は、省略されている。
図6に示すインクジェット記録装置10に関するこの他の説明は、省略する。
【符号の説明】
【0075】
10 インクジェット記録装置、 15 記録媒体、 16 マーク、 20 搬送機
21,22 搬送ローラ、 23 無端ベルト、 24 搬送面、 25 第一駆動機
30Y,30M,30C,30K インクジェットヘッド、 31 ノズル
32 第一ノズル、 33 第二ノズル、 34 第三ノズル、 35 第四ノズル
36 吐出面、 37 キャリッジ、 40 移動機、 41 ボールねじ
42 ねじ軸、 43 ナット、 44,45 リニアガイド、 46 ガイドレール
47 ブロック、 48 移動体、 49 第二駆動機、 50 インクトレイ
51 受容室、 60 検出器、 61 イメージセンサ、 65 照明器
70 第一調整機、 71 第一ステー、 72 第一ベース、 73 第一部分
74 第一長孔、 75 第一ねじ、 80 第二調整機、 81 第二ステー
82 ホルダ、 83 第一貫通孔、 84 第二ねじ、 85 シャフト
86 回転体、 87 第二貫通孔、 88 第三ねじ、 89 第三ステー
90 第二ベース、 91 第二部分、 92 第二長孔、 93 第四ねじ
95 制御装置、 96 接続インターフェース(接続I/F)、 97 制御器
D0~D16 寸法、 L1 第一仮想直線、 L2 第二仮想直線
L3,L4 中心線、 N1 第一ノズル列、 N2 第二ノズル列
P1 第一位置、 P2 第二位置、 R1 検出範囲、 R2 照明範囲
θ 角度