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  • 特許-ボルト、及び固定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-28
(45)【発行日】2022-05-12
(54)【発明の名称】ボルト、及び固定装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/20 20060101AFI20220502BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20220502BHJP
【FI】
B23K9/20 B
F16B11/00 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020520148
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018076992
(87)【国際公開番号】W WO2019072676
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】17195421.7
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ポップ, ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】スタヘル, シモン
(72)【発明者】
【氏名】バーチュ, クラウス
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0105735(US,A1)
【文献】特開平06-042324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0027538(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0314521(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00、9/007 - 9/013、9/04、9/14 - 10/02
B23K 11/14
B23K 37/00、37/04
F16B 11/00
F16B 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付要素を基材表面に締結するためのスタッドであって、
締結方向を規定するシャンクと、
該シャンクと前記基材表面との間の接触領域をシールするシール要素と、
前記取付要素から前記基材表面へ圧縮力を伝達するための力伝達要素と、を有し、
前記シール要素は、内面で前記シャンクを支持し、及び、外面で前記力伝達要素を支持しており、
前記力伝達要素は、前記力伝達要素において前記取付要素を受けるための受け面と、前記基材表面においてこの基材表面に接触して前記力伝達要素を支持するための支持面とを有するスタッド。
【請求項2】
前記シール要素が弛緩された状態のときに、前記締結方向における前記受け面と前記支持面との間の距離は、前記締結方向における前記シール要素の長さと同じか又はそれより大きい、請求項記載のスタッド。
【請求項3】
前記力伝達要素は、前記基材表面に対して前記シール要素を押圧するための接触圧力面を有する、請求項記載のスタッド。
【請求項4】
前記締結方向における前記接触圧力面と前記支持面との間の距離は、前記締結方向における前記シール要素の長さよりも短い、請求項記載のスタッド。
【請求項5】
前記シール要素の長さに対する前記接触圧力面と前記支持面との間の距離の比が、50%~90%である、請求項記載のスタッド。
【請求項6】
前記締結方向に垂直な前記シール要素の断面は、前記締結方向に沿って減少している、請求項又は記載のスタッド。
【請求項7】
前記スタッドは、溶接スタッド、据付スタッド、又はボルトである、請求項1からまでのいずれか1項記載のスタッド。
【請求項8】
前記シール要素は環状に構成されてる、請求項1からまでのいずれか1項記載のスタッド。
【請求項9】
前記力伝達要素は環状に構成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のスタッド。
【請求項10】
前記シール要素及び/又は前記力伝達要素は円形である、請求項1からまでのいずれか1項記載のスタッド。
【請求項11】
前記スタッドは、該スタッドに前記取付要素を緊密に螺合するためのねじ山を有する、請求項1から10までのいずれか1項記載のスタッド。
【請求項12】
基材表面と、スタッドと、取付要素と、を有し、前記スタッドは、請求項1から11までのいずれか1項記載のように構成されている、固定装置。
【請求項13】
前記力伝達要素は、前記取付要素と前記基材表面との間の所定の位置にクランプされる、請求項12記載の固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、基材表面にスタッドを固定するための装置、方法、そのようなスタッドに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの装置及び方法が知られており、当該装置及び方法によって、様々なスタッドが様々な用途において基材表面に固定される。例えば、スタッドを基材表面に接触させ、それに電流を流す。スタッドと基材表面との間を電流が流れるとすぐに、スタッドは基材表面から吊上げられ、アークが形成される。放出されるエネルギーにより、スタッド及び基材表面の材料が部分的に液化する。次いで、電流はオフにされ、この材料が冷却され凝固する間、スタッドは液化した材料に浸漬される。次いで、スタッドは、基材表面に、材料接合手段により結合される。
【0003】
スタッドの材料及び基材表面の材料を十分に短時間で液化するために必要なエネルギーを供給するために、非常に高い強度の電流を発生させ、対応する定格の電気ケーブルを介してその電流をスタッドに供給する装置が知られている。液化した材料の酸化を回避するために、スタッドと基材表面との間の接触点を不活性ガスで囲むことが知られている。
【0004】
例えば、建設又は造船における用途では、様々なサイズのねじ山付きスタッドが使用され、このスタッドに物品が螺合され、当該物品を基材表面に締結する。固定方法に関する幾つかのパラメータ、例えば、電流の持続時間及び電力は、ユーザによって装置に設定される必要があり、使用されるスタッドに適応させる必要がある。最後に、使用者は、目視検査によって、スタッドと基材表面との間の結合の質を評価する。したがって、結合の品質は、使用者の経験及び能力にも依存する。
【0005】
シールリングを有するスタッドの場合、十分なシール効果を達成するために、固定後にシールリングが十分に押圧されたことを保証するように注意が払われるべきである。それ以外の場合は、シール体は、過度に変形しないように、過度に圧縮されるべきではない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、基材表面へのスタッドの固定が改善される装置及び/又は方法を提供することである。特に、固定の領域は、確実にシールされることが意図される。
【0007】
この目的は、取付要素を基材表面に締結するためのスタッドであって、締結方向を規定するシャンクと、当該シャンクと基材表面との間の接触領域をシールするシール要素と、取付要素から基材表面に圧縮力を伝達するための力伝達要素と、を有するスタッドの場合に達成される。特定の状況下では、力伝達要素は、取付力、及び/又は締結方向に垂直な横方向力、及び/又は締結方向に垂直な軸を中心とする曲げモーメント、及び/又は基材表面に対する取付要素の締結方向に平行な軸を中心とするトルクを伝達し、その結果、シール要素は、特定の力、又は特定のモーメント/トルクを受けない。シール要素は、好ましくは、エラストマー、例えばゴム又はEPDMのような弾性材料で作られる。力伝達要素は、好ましくは、金属、合金、セラミック等の剛体材料で作られる。
【0008】
1つの有利な実施形態は、力伝達要素が、当該力伝達要素において取付要素を受けるための受け面と、基材表面において力伝達要素を支持するための支持面とを有することを特徴とする。好ましくは、締結方向における受け面と支持面との間の距離は、締結方向におけるシール要素の長さと同じか又はそれより大きい。
【0009】
同様に、好ましくは、力伝達要素は、基材表面に対してシール要素を押圧するための接触圧力面を有する。特に好ましくは、締結方向における接触圧力面と支持面との間の距離は、締結方向におけるシール要素の長さよりも短い。シール要素の長さに対する接触圧力面と支持面との間の距離の比が、50%~90%であることが好ましい。
【0010】
1つの有利な実施形態は、締結方向に垂直なシール要素の断面は、締結方向に沿って減少していることを特徴とする。その結果、シール要素と基材表面との間のシール面積は、シール要素が基材表面に対して押圧される接触圧力の増加と共に増加する。
【0011】
1つの有利な実施形態は、スタッドは、溶接スタッド、据付スタッド、又はボルトであることを特徴とする。
【0012】
1つの有利な実施形態は、シール要素は環状に構成されており、シール要素は、内面で前記シャンクを支持し、及び/又は、外面で前記力伝達要素を支持することを特徴とする。
【0013】
1つの有利な実施形態は、力伝達要素は環状に構成されていることを特徴とする。
【0014】
1つの有利な実施形態は、シール要素及び/又は力伝達要素は円形であることを特徴とする。
【0015】
1つの有利な実施形態は、スタッドは、当該スタッドに取付要素を緊密に螺合するためのねじ山を有することを特徴とする。
【0016】
1つの有利な実施形態は、スタッドは、基材表面と取付要素とを有する固定装置にはめ込まれることを特徴とする。好ましくは、力伝達要素は、取付要素と基材表面との間の所定の位置にクランプされる。
【0017】
本発明は、図面を参照して、例示的な実施形態を用いて以下の本文においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】溶接装置を概略的に示す。
図2】溶接スタッドを縦断面図で示す。
図3】溶接スタッドを縦断面図で示す。
図4】溶接スタッドを縦断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、溶接スタッド20を基材表面30に溶接するための溶接装置10を概略的に示す。溶接スタッド20の材料及び基材表面30の材料は、導電性、特に金属性である。この溶接装置10は、押しボタンスイッチの形態のトリガースイッチ41を有する溶接ガン40と、溶接ユニット50と、第1電気ケーブル61と、接続端子63を有する第2電気ケーブル62と、電力ケーブルの形態の電気供給ケーブル64と、例えば電気通信ライン65と、ガスボンベ状のガス貯蔵器70と、管状のガス供給ライン71と、ガスホース72とを備えている。
【0020】
第1ケーブル61は、溶接ユニット50を介して溶接スタッド20に電流を供給する役割を果たす。第2ケーブル62は、接続端子63が基材表面30にクランプされているときに、基材表面30を溶接ユニット50に電気的に接続する役割を果たす。溶接スタッド20が基材表面30と接触すると回路が閉じ、これにより、例えば直流又は交流の形態の溶接電流を溶接ユニット50によって溶接スタッド20に印加することができる。この目的のために、溶接ガン40は、溶接電流接触要素(図1には示されていない)を備える。溶接ユニット50は、供給ケーブル64からの電流を溶接電流に変換するための装置(図示せず)を含み、当該装置は、溶接電流を所望の電圧及び強度で供給するために、例えば電気コンデンサ、サイリスタ、絶縁ゲート電極又はパワーエレクトロニクスが提供する他の構成要素を備えたバイポーラトランジスタ、及びマイクロプロセッサを備えた関連する制御ユニットを含む。
【0021】
ガス供給ライン71及びガスホース72は、溶接スタッド20と基材表面30との間の接触領域にガス貯蔵器70からの不活性ガスを提供する役割を果たし、これにより、溶接作業中、周囲領域の酸素による酸化から当該接触領域を保護する。当該接触領域へのガスの流れを制御するために、ガス貯蔵器70、ガス供給ライン71、溶接ユニット50、ガスホース72又は溶接ガン40は、バルブ(図示せず)、特に制御可能なバルブを備える。
【0022】
溶接ユニット50は、作動要素52を有する入力装置51と、視覚表示要素54及び無線伝送ユニットを有する出力装置53とを有する。入力装置51は、溶接装置10のユーザによって、例えば、電圧、電流強度、電力、溶接電流の持続時間、スタッドの位置及び速度などの、溶接装置10によって実施される溶接方法のパラメータを入力する役割を果たす。出力装置53は、例えば、溶接方法のパラメータに関する情報、溶接方法において検出された排出物又は他の変数に関する情報、溶接作業の品質に関する情報、溶接作業を改善するための手段に関する情報、溶接スタッドにおいて検出された特性に関する情報、又は前述の変数から導出された情報、及び/又は溶接装置10特に溶接ガン40を洗浄及び/又はメンテナンスするための推奨又は指示などの情報を使用者に出力する役割を果たす。
【0023】
通信ライン65は、溶接ガン40、特に溶接ガン40の制御装置(図1には図示せず)と、溶接ユニット50、特に制御ユニット及び/又は入力装置51及び/又は出力装置53との間での通信のために機能する。この通信を介して、例えば、溶接作業のパラメータに関する情報の交換が行われ、これにより、例えば、溶接スタッド20の移動に伴う溶接電流の同期を達成し、又はこれを容易にする。図示されていない例示的な実施形態では、溶接ガンと溶接ユニットとの間の通信は、無線を用いてワイヤレスに行われるか、又は溶接電流を伝達する第1電気ケーブルを用いて行われる。
【0024】
溶接ガン40は、開口部46を有するハウジング42と、トリガースイッチ41を有し且つ当該ハウジング42から突出するハンドル43とを有する。溶接ガン40はまた、溶接作業中に溶接スタッド20が保持されるスタッドホルダ44を有する。この目的のために、スタッドホルダは、例えば、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の弾性アーム(詳細には示されていない)を備え、これらのアームの間に、溶接スタッド20が挿入され、締め付け嵌め(clamping fit)によって保持される。溶接ガン40はまた、溶接スタッド20に溶接電流を印加するための溶接電流接触要素を有し、当該溶接電流接点要素は、例えば、1つ又はそれ以上の弾性アームの形態でスタッドホルダ44に一体化される。
【0025】
また、溶接ガン40は、当該溶接ガン及び溶接ユニット50の種々の構成要素及び装置を制御するための制御装置99を有する。制御装置99は、溶接作業における1つ又は複数のパラメータを制御するために設けられる。この目的のために、制御装置99は、様々な電子部品、例えば、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、1つ又は複数の一時的又は恒久的なデータメモリなどを備える。
【0026】
また、溶接ガン40は、第1リフティングマグネットの形態のスタッド吊上げ装置を有し、当該スタッド吊上げ装置が作動されると、スタッドホルダ44は、開口部46から後方に(図1において上方に)離れる力を受ける。信号ライン(図示せず)を介して、制御装置99はスタッド吊上げ装置と通信し、当該スタッド吊上げ装置を制御、特に起動及び停止させる。
【0027】
また、溶接ガン40は、ばね要素又は第2リフティングマグネットの形態のスタッド浸漬装置を有し、当該スタッド浸漬装置が作動されると、スタッドホルダ44は、開口部46に向かって前方(図1では下方)に力を受ける。信号ライン(図示せず)を介して、制御装置99は、スタッド浸漬装置と通信し、当該スタッド浸漬装置を制御、特に起動及び停止させる。スタッド浸漬装置がバネ要素の形態である場合、このバネ要素は、スタッド吊上装置によってスタッドホルダが後方に動かされるときに張力付与されることが好ましく、これにより、スタッド吊上装置が停止するとすぐに、バネ要素がスタッドホルダを前方に動かす。
【0028】
溶接装置10を用いた溶接工程では、まず基材表面30及びスタッド20が提供される。さらなるステップでは、例えば、次の溶接作業における所望のパラメータに関する情報が、入力装置を介してユーザによって入力される。更なる工程において、溶接スタッド20と基材表面30との間の溶接電流が、第1ケーブル61及び第2ケーブル62を用いて溶接ユニット50によって溶接スタッド20に印加される。さらなるステップでは、溶接電流の流れが溶接スタッド20と基材表面30との間に維持されたまま、溶接スタッド20がスタッド吊上装置によって基材表面から吊上げられ、この場合、溶接スタッド20と基材表面30との間にアークが形成される。特に、アークによって発生した熱により、溶接スタッド20の材料及び/又は基材表面30の材料は部分的に液化される。さらなるステップでは、溶接スタッド20は、スタッド浸漬装置によって、溶接スタッド20の液化した材料又は基材表面30の液化した材料に浸漬される。次に、溶接スタッド20の液化した材料又は基材表面30の液化した材料が凝固し、これにより、溶接スタッド20が基材表面30に材料接合手段において結合される。
【0029】
図2は、締結装置100を通る縦断面を示すものであり、当該締結装置100は、取付要素150と、基材表面200と、当該取付要素150を基材表面200に締結するためのスタッド210とを有する。スタッド210は、締結方向220を規定するシャンク230と、当該シャンクと基材表面との間の接触領域250をシールするためのシール要素240と、取付要素150から基材表面200に圧縮力を伝達するための力伝達要素260とを有する。円形リングの形態であるシール要素240は、内面でシャンク230を支持し、且つ、同様に円形リングの形態である力伝達要素260を外面で支持する。
【0030】
スタッド210は、例えば、溶接スタッド、据付スタッド、又はボルトとして構成され、当該スタッド210にはねじ山211が設けられており、この場合、接触領域250は、溶接シーム、接合ギャップ、又は他の接合部の形態となる。ナットの形態の保持要素160がスタッド210に締結され、本例ではねじ山211に螺合され、取付要素150をスタッド210に、従って基材表面200に固定する。
【0031】
力伝達要素260は、当該力伝達要素260において取付要素150を受けるための受け面261と、力伝達要素260を基材表面において支持するための支持面262とを有する。締結方向220における受け面261と支持面262との間の距離aは、締結方向220におけるシール要素240の長さと同じである。その結果、力伝達要素260は、シール要素に全取付力を加えることなく、取付要素から基材表面に取付力を伝達する。次いで、力伝達要素260は、取付要素150と基材表面200との間の所定の位置にクランプされる。
【0032】
力伝達要素260は、シール要素240に接触圧力のみを伝達し、シール要素240を基材表面200に押し付ける。この目的のために、力伝達要素260は接触圧力面263を有し、締結方向220における当該接触圧力面263の支持面262からの距離bは、シール要素240が弛緩されたときの、締結方向220におけるシール要素240の長さより短い。弛緩されたシール要素の長さに対する距離bの比率は、例えば75%である。次いで、シール要素240は、そのシール効果を展開するために、適切に圧縮される。シール効果は、取付力に依存せず、すなわち、保持要素160がスタッド210に締結される力にも依存しない。
【0033】
図3は、取付要素(図示せず)を基材表面(図示せず)に締結するためのスタッド310を通る縦断面を図示する。スタッド310は、締結方向を規定するシャンク330と、当該シャンク330と基材表面との間の接触領域をシールするためのシール要素340と、取付要素から基材表面に圧縮力を伝達するための力伝達要素360とを有する。円形リングの形態であるシール要素340は、内面でシャンク330を支持し、同様に円形リングの形態である力伝達要素360を外面で支持する。
【0034】
力伝達要素360は、当該力伝達要素360において取付要素を受けるための受け面361と、力伝達要素360を基材表面において支持するための支持面362とを有する。締結方向に向けられたシール要素340の端面341は斜めに形成されており、これにより、締結方向に垂直なシール要素340の断面は締結方向に沿って減少する。その結果、シール要素340と基材表面との間のシール面積は、シール要素340が基材表面に対して押圧される接触圧力の増加とともに増加する。
【0035】
図4は、取付要素(図示せず)を基材表面(図示せず)に締結するためのスタッド410を通る縦断面を図示する。スタッド410は、締結方向を規定するシャンク430と、当該シャンク430と基材表面との間の接触領域をシールするためのシール要素440と、取付要素から基材表面に圧縮力を伝達するための力伝達要素460とを有する。円形リングの形態であるシール要素440は、内面でシャンク430を支持し、同様に円形リングの形態である力伝達要素460を外面で支持する。
【0036】
力伝達要素460は、当該力伝達要素460において取付要素を受けるための受け面461と、力伝達要素460を基材表面において支持するための支持面462とを有する。締結方向に向けられたシール要素440の端面441は、2つの包囲凹部4432特に溝を有し、これにより、締結方向に垂直なシール要素440の断面は、締結方向に沿って減少する。その結果、シール要素440と基材表面との間のシール面積は、シール要素440が基材表面に対して押圧される接触圧力の増加とともに増加する。
【0037】
シール要素は、好ましくは、シート材料から切り出されることによって、打ち抜かれることによって、射出成形されることによって、又は同様のプロセスによって製造される。特に、射出成形の場合、特定の形状が有利であり、その形状によって、シール要素の面圧が局所的に増加され、及び/又は接触圧力経路に沿った面圧の進行が設定され、これにより、接触圧力経路が変化する場合であってもシール機能が保証される。
【0038】
存在し得る基材表面コーティングの損傷を回避するために、図示されていない例示的な実施形態において、シール要素の半径方向外側領域が、力伝達要素と基材表面との間に突出する。図示されていないさらなる例示的な実施形態では、シール要素及び力伝達要素は、同じ材料から一体に製造される。例えば、適切な形状(特に図4に示すような溝)によって、接触圧力経路に沿って最初は弾性であり、その後はるかに大きな剛性となるような挙動が達成される。
【0039】
本発明は、第1アイテムを第2アイテムに固定するための装置、及びそのような装置に関する製造方法の例に基づいて説明されてきた。記載された実施形態の特徴は、同一の固定装置又は同一の製造方法の範囲内で、所望に応じて互いに組み合わせることもできる。本発明による装置及び本発明による方法は、他の目的にも適していることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4