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特許7067792新たなピラジン誘導体及びその調製方法並びに医薬応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】新たなピラジン誘導体及びその調製方法並びに医薬応用
(51)【国際特許分類】
   C07D 241/12 20060101AFI20220509BHJP
   A61K 31/4965 20060101ALI20220509BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20220509BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220509BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220509BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220509BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220509BHJP
   C07D 241/24 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
C07D241/12 CSP
A61K31/4965
A61K31/497
A61P9/00
A61P9/10
A61P25/00
A61P39/06
C07D241/24
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018500672
(86)(22)【出願日】2016-07-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2016000360
(87)【国際公開番号】W WO2017004966
(87)【国際公開日】2017-01-12
【審査請求日】2018-01-19
【審判番号】
【審判請求日】2020-01-06
(31)【優先権主張番号】201510397137.X
(32)【優先日】2015-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516359252
【氏名又は名称】グゥアンヂョウ マグパイ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユーチアーン
(72)【発明者】
【氏名】ユー ペイ
(72)【発明者】
【氏名】スン イェウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャン ルーチェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ガオシャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ザイジュン
(72)【発明者】
【氏名】イー ポン
【合議体】
【審判長】大熊 幸治
【審判官】村上 騎見高
【審判官】関 美祝
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-529656号公報(JP,A)
【文献】特表2011-518789号公報(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0011813号明細書(US,A1)
【文献】国際公開第2012/103813号(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1424313号明細書(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101786992号明細書(CN,A)
【文献】国際公開第2011/069444号(WO,A1)
【文献】SUN, Y. et al.,Novel multi-functional nitrones for treatment of ischemic stroke,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2012年,20(12),pp. 3939-3945
【文献】WANG, P. et al.,Synthesis and Protective Effect of New Ligustrazine-Benzoic Acid Derivatives against CoCl2-Induced Neurotoxicity in Differentiated PC12 Cells,Molecules,2013年,18(10),pp. 13027-13042
【文献】古川敏一ら,活性酸素・フリーラジカルと疾患,化学と生物,1999年,37(7),pp. 475-481
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00-521/00
A61K 6/00-135/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式IIの構造を有するピラジン系誘導体およびその医薬上許容される塩。
【化1】
式中、
R1は、R'COOCH(R''),R'CH=CH,R'CONH,R'CON(R'')から選ばれるものであり、その中、R'とR''は飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換基で置換されていても良いアリール基、又は、前記置換基で置換されていても良いヘテロアリール基であり、
R3は、ニトロン基であり、
前記アルキル基は炭素数1-10、前記シクロアルキルは5員環又は6員環、前記アリール基は単環、前記ヘテロアリール基は単環であり、前記置換基はNH2、NO2、N(CH3)2、ONO2、F、Cl、Br、I、OH、OCH3、CO2H、CO2CH3、CN、アリール基、又はニトロン基である。
【請求項2】
Rがニトロン基であり、これによって前記ピラジン系誘導体が下記一般式IVの構造を有する請求項1に記載のピラジン系誘導体およびその医薬上許容される塩。
【化2】
式中、
R1は、R'COOCH(R''),R'CH=CH,R'CONH,R'CON(R'')から選ばれるものであり、R'とR''は飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、前記置換基で置換されていても良いアリール基、又は、前記置換基で置換されていても良いヘテロアリール基である。
【請求項3】
前記ピラジン系誘導体が下記の1つの構造を有するピラジン系誘導体およびその医薬上許容される塩。
【化3】
【請求項4】
前記ピラジン系誘導体が下記の1つの構造を有するピラジン系誘導体およびその医薬上許容される塩。
【化4】
【請求項5】
下記一般式Vの構造を有するピラジン系誘導体およびその医薬上許容される塩。
【化5】
式中、
R5、R6、R7とR8は同一又は異なって、それぞれ独立に水素、飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R9とR10は同一又は異なって、それぞれ独立にR'''CONHから選ばれるものであり、その中R'''は飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換基で置換されていても良いアリール基、又は、前記置換基で置換されていても良いヘテロアリール基であり、
前記アルキル基は炭素数1-10、前記シクロアルキルは5員環又は6員環、前記アリール基は単環、前記ヘテロアリール基は単環であり、前記置換基はNH2、NO2、N(CH3)2、ONO2、F、Cl、Br、I、OH、OCH3、CO2H、CO2CH3、CN、アリール基、又はニトロン基である。
【請求項6】
下記一般式VI又はVII又はVIIIの構造を有するピラジン系誘導体およびその医薬上許容される塩。
【化6】
式VI中、
R9とR10は同一又は異なって、それぞれ独立にR'''CONHから選ばれるものであり、その中R'''は飽和または不飽和のアルキル基、置換基で置換されていても良いアリール基、又は、前記置換基で置換されていても良いヘテロアリール基であり、
式VII、VIII中、
R9とR10は同一又は異なって、それぞれ独立に水素、R'''COOとR'''CONHから選ばれるものであり、その中R'''は飽和または不飽和のアルキル基、前記置換基で置換されていても良いアリール基、又は、前記置換基で置換されていても良いヘテロアリール基であり、前記置換基はNH 2 、NO 2 、N(CH 3 ) 2 、ONO 2 、F、Cl、Br、I、OH、OCH 3 、CO 2 H、CO 2 CH 3 、CN、アリール基、又はニトロン基であり、
R9とR10は同時に水素であることができない。
【請求項7】
下記の一つの構造を有するピラジン系誘導体およびその医薬上許容される塩。
【化7】
【請求項8】
最初にリグストラジンがN-ブロモスクシンイミドと反応してリグストラジンモノ臭化物を得て、または
リグストラジンが活性化二酸化マンガンの酸化を経て、パラ置換のリグストラジンジアルデヒド誘導体を得て、前記リグストラジンジアルデヒド誘導体は選択的還元、臭素化とアルデヒド基保護を経て、パラ置換のリグストラジン誘導体を調製し、
前記リグストラジンモノ臭化物又は前記パラ置換のリグストラジン誘導体反応して前記ピラジン系誘導体を得るステップを含む請求項1に記載の前記ピラジン系誘導体を製造する、合成方法。
【請求項9】
a)前記リグストラジンモノ臭化物又は前記パラ置換のリグストラジン誘導体がリン酸トリエチルと反応して中間体を得て、
b)前記リグストラジンジアルデヒド誘導体の中の1つのアルデヒド基をエチレングリコールと反応させて選択的に保護して得られた化合物が、前記a)の中間体と反応してリグストラジンのカップリング化合物を得た後、その前記カップリング化合物を酸化条件で脱保護基化した後、tert-ブチルヒドロキシルアミンと反応して前記ピラジン系誘導体を得るステップをさらに含む請求項8に記載の合成方法。
【請求項10】
前記リグストラジンジアルデヒド誘導体が選択的にその中の一個又は二個のアルデヒド基を還元してモノヒドロキシ誘導体又はジヒドロキシ誘導体を得て、
前記モノヒドロキシ誘導体又はジヒドロキシ誘導体はそれぞれ三臭化リンと反応してモノ臭素化誘導体又はジ臭素化誘導体を得て、
前記モノ臭素化誘導体がカルボン酸と縮合した後、tert-ブチルヒドロキシルアミンと反応して前記ピラジン系誘導体を得るステップをさらに含む請求項8に記載の合成方法。
【請求項11】
薬用活性成分とする有効治療量の請求項1に記載のピラジン系誘導体、及び医薬上許容されるキャリアと賦形剤を含む医薬用組成物。
【請求項12】
医薬が心臓血管疾患、酸化ストレス損傷/フリーラジカルに関する疾患、神経変性疾患又は炎症感染疾患の予防と治療に利用される、請求項1に記載のピラジン系誘導体又はその医薬用組成物の、医薬調製における使用。
【請求項13】
脳卒中、低酸素性虚血性脳障害、虚血性心疾患、狭心症、脳卒中後遺症、急性心筋梗塞、心筋炎の予防と治療に利用される、請求項1に記載のピラジン系誘導体又はその医薬用組成物の、医薬調製における使用。
【請求項14】
アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、緑内障、又は老人性痴呆症の予防と治療に利用される、請求項1に記載のピラジン系誘導体又はその医薬用組成物の、医薬調製における使用。
【請求項15】
脳卒中、癲癇、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、低酸素性虚血性脳障害、痴呆症、虚血性心疾患、糖尿病、又はアルコール性肝疾患の予防と治療に利用される、請求項1に記載のピラジン系誘導体又はその医薬用組成物の、医薬調製における使用。
【請求項16】
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン舞踏病、小脳萎縮症、多発性硬化症、原発性側索硬化症、または脊髄性筋萎縮症の予防と治療に利用される、請求項1に記載のピラジン系誘導体又はその医薬用組成物の、医薬調製における使用。
【請求項17】
炎症性腸疾患、肝硬変、脳髄炎、脳膜炎、糸球体腎炎、心筋炎、ブドウ膜炎、マイボーム腺炎、角膜炎、もしくは神経炎類眼科疾患の予防と治療に利用される、請求項1に記載のピラジン系誘導体又はその医薬用組成物の、医薬調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬技術分野に属し、ピラジン系誘導体もしくはその医薬上許容される塩に関し、前記ピラジン系誘導体の調製方法にも関し、さらに、前記ピラジン系誘導体もしくはその組成物の製薬又は医療応用に関する。
【背景技術】
【0002】
テトラメチルピラジン(リグストラジン、TMP)は漢方薬センキュウから分離してくるアルカロイドであり、臨床では冠状動脈性心臓病、狭心症と虚血性脳血管障害(脳血栓と脳塞栓を含む)などに応用される。TMPの薬理活性は多様である。最初に、TMPの抗凝固作用が顕著である。TMPはLPS誘発の1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI-1)蛋白質並びにそのmRNAの内皮細胞における発現を顕著に抑制でき(Song, et al. Chinese Medical J. 2000, 113:136)、低投与量時、ホスファチジルイノシトールの分解とトロンボキサンA2 (TXA2)の形成が抑制でき、高投与量時、糖タンパク質IIb/IIIbとの結合を通じて血小板凝集を抑制する(Shen, et al. Thromb Res. 1997,88:259)。TMPはまた直接に血栓溶解できる。ラット動脈と静脈血栓モデルはみなTMP が抗血栓効用を有するのを証明し(Liu and Sylvester, Thromb Res. 1990, 58:129)、その抗血栓効用はTMPの血小板凝集抑制活性に関する可能性があり、細胞内Ca2+の活性を抑制し、ホスホジエステラーゼの活性を抑制して、細胞内のcAMPのレベルを向上させ、並びに血小板表面糖蛋白質IIb/IIIaの暴露を減少すること等を含む(Liu and Sylvester, Thromb Res. 1994, 75:51)。
【0003】
さらに重要なのはTMPが顕著な神経細胞保護作用を有する。TMPはMCAoが引き起こしたラット脳細胞虚血性損傷を顕著に改善し、ヒト好中球(human neutrophil)で発生したフリーラジカルを消去することができる。TMPはまたBcl-2とBaxの発現の調整を通じてアポトーシスを削減することにより、神経細胞を保護する(Hsiao, et al. Planta Med. 2006, 72:411-417.; Kao, et al. Neurochem Int. 2006,48:166)。TMPは同時にカルシウムチャンネル遮断薬であり、カリウムチャネルの開放を促進し、カルシウムイオン流入を抑制して、フリーラジカルの生成を抑制し、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の活性を増加し、脂質過酸化反応を抑制し、炎症反応を抑制することができる(Zhu, et al. Eur.J.Pharamacol. 2005, 510:187)。
【0004】
タンシノール(DSS)は漢方薬サルビアの主要活性成分の一つであり、臨床では心血管疾患の治療、心臓機能の改善、冠状動脈循環、抗血液凝固、微小循環の改善等の疾患に広く応用される他に、抗炎、抗腫瘍、抗脳血栓と肝臓保護などの活性を有する。o-ジフェノールヒドロキシル及びα-ヒドロキシカルボン酸の構造はタンシノールを極めて容易に酸化変質し、保管と貯蔵が困難である。タンシノール構造中の極性基はグルクロン酸等と結合して尿液と共に体外に排出することができるため、体内の半減期は非常に短く、生物利用度はわずか9.53-14.18%で、反復給与が必要で、臨床応用を制限する(王庭芳,薬学実践雑誌,29(2):83-87,2011)。
【0005】
カフェ酸(Caffeic acid)はポリヒドロキシスチレン酸類化合物に属し、トマト、ニンジン、イチゴ、ブルーベリーと穀類等多種植物性食物と生薬に広く存在する。カフェ酸は抗炎、抗菌、抗ウイルス、白血球および血小板の増加等複数の薬理作用があるので、酸化ストレス、炎症反応、ウイルス感染等に関する多数の疾患、たとえば、心血管疾患、脳組織損傷、ヒト免疫不全ウイルス( HIV)感染の予防と治療並びに白血球減少症と血小板減少症に応用できる(Prasad N R, et al. J Photochem Photobiol B, 2009, 95(3):196-203)。カフェ酸は良好な薬理作用を有するが、非常に酸化変質しやすく、保管と貯蔵が不便である。その構造にはフェノール性ヒドロキシル基とカルボキシル基を含み、グリクロン酸と硫酸結合物などとして尿と共に体外に排出でき(Gumbinger H G, et al. Planta Med, 1993, 59(6):491-493)、体内での半減期も非常に短く、反復給与が必要であり、臨床応用を制限する。
【0006】
酸化ストレスは機体が各種の有害刺激に遭う時、酸化システムと抗酸化システムがバランスを崩れ、酸化程度は酸化物の消去能力を超え、従って組織損傷を引き起こす。酸化ストレスは多数の疾患の発病過程と老化過程において非常に重要な役割を果たす。活性酸素の蓄積は核酸破断、酵素不活性化、多糖解重合と脂質過酸化を引き起こし、最後に組織の損傷乃至死亡を引き起こす(Yan et al. Free Radic. Biol. Med. 2013, 62:90-101)。酸化ストレスは機体を脆弱な状態に置き、同時に病原性要素の毒性作用を増強でき、遺伝子突然変異を引き起こす可能性がある(Beck MA. Proe Nutr Soe. 1999, 58(3): 707-711)。現在では酸化ストレスはパーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)を含む多種の神経変性疾患と密接に関連すると認められる。
【0007】
一般の最も危険が高い心血管疾患は通常冠状動脈性心臓病と脳卒中を含む。この種類の疾患はいずれも動脈血管が狭くて血液供給不足によるものである。動脈血管内膜の破損、脂質沈殿、血小板並びに繊維蛋白の脂質プラークにおける蓄積のため、血管壁が厚くなり、血管管腔が狭くなり、動脈血管内壁アテローム性動脈硬化になった。硬化プラークは血栓を形成し、血管をふさぎ、虚血性心疾患又は虚血性脳血管疾患を引き起こす。血流が20-40分間内で回復しないと、心筋細胞又は脳細胞の不可逆な死亡を導く。虚血の場合、一部の電子はミトコンドリアの酸化呼吸鎖から離脱して酸素分子に転移して超酸化物陰イオン(O2 ・-)を形成する。O2 ・-は非常に活発で、酵素触媒又は金属触媒を通じて他の分子と反応して二級ROSを生成し、OH,ROO,H2O2,ONOO-などのフリーラジカルを含む(Miller et al. Free Radic. Biol. Med. 1990, 8: 95-108.; Valko et al. Curr. Med. Chem. 2005, 12: 1161-1208)。前記フリーラジカルはミトコンドリア膜、細胞膜等の生体膜の不安定を引き、蛋白質の変性を引き起こして、DHAを損傷し、アポトーシスを引き起こす(Siems et al. Life Sci. 1995, 57: 785-789.; Stadtman. Curr. Med.Chem. 2004, 11: 1105-1112)。
【0008】
神経変性疾患は大脳又は脊髄のニューロンの逐次的且つ不可逆に喪失する疾患状態を指す。ニューロン又はその髄鞘の不可逆な喪失のため、機能障害になった。普通の神経変性疾患は脳虚血、パーキンソン病、アルツハイマー病と筋萎縮性側索硬化症等を含む。神経変性疾患の発病メカニズムは非常に複雑で、ニューロンの損傷が例えば酸化ストレス、カルシウムイオン過負荷、炎症反応、アポトーシス等複数の要素と関わる。
【発明の概要】
【0009】
本発明はピラジン誘導体もしくはその医薬上許容される塩を提供し、この種類の化合物は神経保護能力が強い。
本発明は前記ピラジン誘導体の調製方法を提供する。
本発明はさらに前記ピラジン誘導体もしくはその医薬用組成物の疾患治療および製薬における応用を提供する。
【0010】
一方では本発明はピラジン誘導体もしくはその医薬上許容される塩を提供し、前記ピラジン誘導体は下記一般式Iの構造を有し、
【化1】
式中、
R1、R2、R3とR4は同一又は異なって、それぞれ独立に水素、飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基、ニトロン基、又は R'COO,R'COOCH(R''),R'CH=CH,R'CONH,R'CONH(R'')等から選ばれるものであり、;その中、R'とR''はそれぞれ独立に飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R1、R2、R3とR4は同時に水素、メチル基又はニトロン基であることができなく、
R1とR3は同時にニトロン基であることができなく、R2とR4は同時にニトロン基であることができない。
【0011】
好ましくはR2とR4がメチル基であり、これによって下記一般式IIの構造を有する一般式Iに記載のピラジン系誘導体。
【化2】
式中、
R1とR3は同一又は異なって、それぞれ独立に水素、飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基であり、ニトロン基、又は R'COO,R'COOCH(R''),R'CH=CH,R'CONH,R'CONH(R'')から選ばれるものであり、R'とR''は飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基であり、R1とR3は同時に水素、メチル基又はニトロン基であることができない。
【0012】
さらに好ましくは、Rがメチル基又はニトロン基であり、これによって下記一般式III又はIVの構造を有する一般式IIに記載のピラジン系誘導体。
【化3】
式中、
R1は飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基から選ばれるものであり、又は R'COO,R'COOCH(R''),R'CH=CH,R'CONH,R'CONH(R'') から選ばれるものであり、R'とR''は飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基であり、R1は水素、メチル基又はニトロン基であることができない。
【0013】
さらに、好ましい化合物は一般式Vの構造を有する一般式Iに記載のピラジン系誘導体。
【化4】
式中、
R5、R6、R7とR8は同一又は異なって、それぞれ独立に水素、飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R9とR10は同一又は異なって、それぞれ独立に水素、R'''COOとR'''CONHから選ばれるものであり、その中R'''は飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のシクロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R5、R6、R7、R8、 R9とR10は同時に水素であることができない。
【0014】
さらに好ましい化合物は一般式VIもしくはVIIもしくはVIIIの構造を有する、一般式Vに記載のピラジン系誘導体。
【化5】
式中、
R9とR10は同一又は異なって、それぞれ独立に水素、R'''COOとR'''CONHから選ばれるものであり、R'''は飽和または不飽和のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基であり、
R9とR10は同時に水素であることができない。
【0015】
また、本発明の提供するピラジン誘導体並びにその医薬上許容される塩は医薬用組成物を形成でき、薬用活性成分とする有効治療量のピラジン誘導体、並びに医薬上許容されるキャリアと賦形剤を含む。
【0016】
他方では、本発明は前記ピラジン系誘導体並びにその医薬上許容される塩の合成方法を提供し、そのステップは以下のものを含む。
【0017】
最初にリグストラジンはNBSと反応してリグストラジンモノ臭化物、即ち中間体Iを得て、又は
リグストラジンは活性化二酸化マンガンの酸化を経て、パラ置換のリグストラジンジアルデヒド誘導体テトラメチルジアールを得て、前記リグストラジンジアルデヒド誘導体は選択的還元、臭素化とアルデヒド基保護を経て、パラ置換のリグストラジン誘導体、即ち中間体IIを調製し、
前記中間体I又は前記中間体IIはそれぞれさらに反応して前記ピラジン系誘導体を得る。
【0018】
一部の発明を実施するための形態により、前記合成方法は、
前記中間体I又は前記中間体IIはそれぞれリン酸トリエチルと反応して中間体III又は中間体IVを得て、
前記リグストラジンジアルデヒド誘導体はエチレングリコールと反応し、その中の1つのアルデヒド基を選択的に保護し、得られた化合物はそれぞれ前記中間体III又は前記中間体IVと反応してそれぞれのリグストラジンのカップリング化合物を得て、前記カップリング化合物は酸化条件で脱保護基化した後、tert-ブチルヒドロキシルアミンと反応して前記ピラジン系誘導体を得ることをさらに含んでもよい。
【0019】
一部の発明を実施するための形態により、前記合成方法はリグストラジンジアルデヒド誘導体を調製した後、
前記リグストラジンジアルデヒド誘導体は選択的にその中の一つ又は二つのアルデヒド基を還元してモノヒドロキシ誘導体又はジヒドロキシ誘導体を得て、
前記モノヒドロキシ誘導体又は前記ジヒドロキシ誘導体はそれぞれ三臭化リンと反応してモノ臭素化誘導体又はジ臭素化誘導体を得て、
前記モノ臭素化誘導体は異なったカルボン酸と縮合した後、tert-ブチルヒドロキシルアミンと反応して、もしくは前記ジ臭素化誘導体は異なったカルボン酸又はカルボン酸ナトリウムと反応して前記ピラジン系誘導体を得ることをさらに含んでもよい。
【0020】
さらに、本発明の提供するピラジン系誘導体は強いフリーラジカル消去作用と細胞保護作用があり、神経損傷、フリーラジカル過量による疾患の予防又は治療ための医薬の調製に利用できる。前記医薬は患者に提供される有効治療量の前記構造式Iを有する化合物もしくはその医薬上許容される塩を含んでもよい。
【0021】
以下の定義をもって、本発明に用いる各技術用語の意味及び範囲を説明して画定する。
本明細書における技術用語「アルキル基」とは、飽和または不飽和の直鎖、分岐鎖或いは環状の炭素数10までのアルキル炭素鎖を指す。直鎖アルキル基はメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n- ヘプチル基、n-オクチル基等を含む。分岐鎖アルキル基はイソプロピル基、 sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基等を含む。シクロアルキル基はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基とシクロヘキシル基等を含む。不飽和アルキル基は二重結合、共役二重結合、三重結合等を含有するアルキル炭素鎖を含む。アルキル基は一つまたは複数の置換基に置換されてもよい。置換基の非限定的な例として、NH2、NO2、N(CH3)2、ONO2、F、Cl、Br、I、OH、OCH3、CO2H、CO2CH3、CN、ニトロン基、アリール基とヘテロアリール基が挙げられる。技術用語「アルキル基」は無置換もしくは置換の直鎖、分岐鎖或いは環状の炭素数10もあり、鎖に少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、窒素、酸素または硫黄)を含むアルキル基も指す。前記直鎖アルキル基は例えばCH2CH2OCH3、CH2CH2N(CH3)2とCH2CH2SCH3を含む。分岐鎖基は例えばCH2CH(OCH3)CH3、CH2CH(N(CH3)2)CH3とCH2CH(OCH3)CH3を含む。前記環状基は例えば六員環CH(CH2CH2)2O、CH(CH2CH2)2NCH3とCH(CH2CH2)2S及びその対応する五員環等を含む。前記アルキル基は一つまたは複数の置換基に置換されてもよい。前記置換基の非限定的な例として、NH2、NO2、N(CH3)2、ONO2、F、Cl、Br、I、OH、OCH3、CO2H、CO2CH3、CN、アリール基とヘテロアリール基が挙げられる。
【0022】
本明細書における技術用語「アリール基」とは、置換もしくは無置換の芳香族化合物、炭素環基とヘテロアリール基を意味する。アリール基は単環式または縮合多環式化合物である。例えば、フェニル基は単環式アリール基である。ナフチル基は縮合多環式アリール基である。アリール基は一つ或いは複数の置換基に置換されてもよく、置換基の非限定的な例としては、NH2、NO2、N(CH3)2、ONO2、F、Cl、Br、I、OH、OCH3、CO2H、CO2CH3、CN、ニトロン基、アリール基とヘテロアリール基が挙げられる。
【0023】
ヘテロアリール基は置換もしくは無置換の単環基または多環基に関わり、環内には少なくとも一つのヘテロ原子、例えば窒素、酸素及び硫黄を含む。例を挙げると、典型的なヘテロ環基は一つまたは複数の窒素原子、例えば、テトラゾール基、ピロール基、ピリジル基(例えば、4-ピリジル基,3-ピリジル基,2-ピリジル基等)、ピリダジン基、インドール基、キノリン基、(例えば、2-キノリン基,3-キノリン基等)、イミダゾール基、イソキノリン基、ピラゾール基、ピラジン基、ピリミジン基、ピリドン基或はピリダジン基を含む。典型的な一つの酸素原子を含むヘテロ環基は2-フラン基、3-フラン基またはベンゾフラン基を含む。典型的な硫黄ヘテロ原子基はチオフェン基、ベンゾチオフェン基を含む。典型的な混合ヘテロ原子基はフラザニル基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、チアゾール基とフェノキソシン基を含む。ヘテロ環基は一つまたは複数の置換基に置換されてもよい。これらの置換基はNH2、NO2、O-アルキル基、NH-アルキル基、N(アルキル基)2、NHC(O)-アルキル基、ONO2、F、Cl、Br、I、OH、 OCF3 OSO2CH3、CO2H、CO2-アルキル基、CN、ニトロン基及びアリール基とポリアリール基を含む。これらの状況は同時に環内のヘテロ原子の酸化、例えば、N-酸化物、ケトンまたはスルフォンを形成するのを含む。
【0024】
ニトロン基とはNに異なった置換基を含むイミンの窒素酸化物を指し、これらの置換基は異なったアルキル基、シクロアルキル基、アリール基とヘテロアリール基を含む。
【0025】
本明細書における技術用語「医薬上許容される」とは、塩または賦形剤などの化合物に許容されない毒性がないことを指す。医薬上許容される塩は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸根、亜硫酸根、硝酸根、亜硝酸根、リン酸根、リン酸水素根などの無機陰イオンと、酢酸根、プロピオン酸根、桂皮酸根、ベンゼンメタンスルホン酸根、クエン酸根、乳酸根、グルコン酸根などの有機陰イオンを含む。医薬上許容される賦形剤は後文で説明がある。E. W. Martin, in Remington's Pharmaceutical Sciences Mack Publishing Company (1995), Philadelphia, PA, 19th ed参考。
【0026】
本発明に関する新たな化合物は前記構造式Iで示される化合物を含む。構造式Iに関するピラジン系誘導体は超酸化物陰イオン(O2 ・-)、ペルオキシ硝酸根(ONOO-)とヒドロキシラジカル(OH)を含むフリーラジカルを消去できる他に、ニューロンを保護できる。従って、それらは、脳卒中、外傷、低酸素性虚血性脳障害、脳溢血、虚血性心疾患、狭心症、血管塞栓、アテローム性動脈硬化、脳卒中後遺症、急性心筋梗塞、心肺バイパス、呼吸促迫症候群心臓虚血もしくは再灌流、トキシックショック症候群、成人呼吸促迫症候群、悪液質、心筋炎、冠状動脈性心臓病もしくは心臓病を含む心血管・脳血管疾患;アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症、緑内障、老人性痴呆症、甲状腺機能亢進症、高血圧、気管支喘息、IV型高リポタンパク血症、または腎不全等を含むグルタミン酸受容体に関する疾患;脳卒中、脳外傷、癲癇、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、低酸素性虚血性脳障害、脳溢血、痴呆症、虚血性心疾患、血管塞栓、アテローム性動脈硬化、高コレステロール血症、肺気腫、白内障、糖尿病、急性膵炎、アルコール性肝疾患、腎臓損傷、または癌を含む前記酸化ストレス損傷/フリーラジカルに関する疾患;脳虚血、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、毛細血管拡張性運動失調症、牛海綿状脳症、クロイツフェルト・ヤコブ病、ハンチントン舞踏病、小脳萎縮症、多発性硬化症、原発性側索硬化症、または脊髄性筋萎縮症を含む神経変性疾患;炎症性腸疾患、糖尿病、関節リウマチ、喘息、肝硬変、同種移植拒絶、脳髄炎、脳膜炎、腹膜炎、血管炎、リンパ細胞性脈絡叢脳膜炎、脈絡叢脳膜炎、糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、胃腸蠕動紊乱、肥満症、飢餓症、肝炎、腎不全類疾患、心肺バイパス、呼吸促迫症候群、心臓虚血若しくは再灌流、トキシックショック症候群、成人呼吸促迫症候群、悪液質、心筋炎、アテローム性動脈硬化、冠状動脈性心臓病、突発性心臓病、糖尿病網膜症、ブドウ膜炎、緑内障、眼瞼炎、マイボーム腺炎、過敏性眼病、角膜潰瘍、角膜炎、白内障もしくは或加齢黄斑変性症並びに神経炎類眼科疾患を含む前記炎症感染疾患の予防と治療に利用できる。
【0027】
本発明が関るピラジン系誘導体は、医薬上許容される塩または薬物複合体の形態で患者に投薬できる。ある複合体は適当なキャリア或は賦形剤と配合して医薬組成物を形成することにより、有効な治療投与量に達することを確保する。「有効な治療投与量」とは治療効果を達するための必要の投与量を指す。
【0028】
この種類のピラジン誘導体は固形剤、半固形剤、液体製剤とエアゾール剤を含む多種の剤型に調製することができる(Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company (1995), Philadelphia, PA, 19th ed)。これらの剤型は具体的に錠剤、丸薬、糖衣錠、顆粒剤、ゲル剤、ペースト、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤及び噴霧剤を含む。これらの剤型は体の一部或は全体の投薬に用いられると同時に、速放或は徐放持続投薬にも用いられる。この種類の薬物の投薬方法は複数種あり、前記方式の他、経口投与、経頬投与、直腸投与、腹膜投与、腹膜内投与、経皮投与、皮下投与と気管内投与などを含む。
【0029】
この種類のピラジン誘導体を注射投与する時、水溶性或は脂溶性の溶剤によって、液剤、懸濁液と乳剤に調製できる。脂溶性溶剤は具体的に植物油及び類似の油類、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル及びグリコールエステル(propylene glycol)を含む。この種類の化合物はHank's溶液、Ringer's溶液或は生理食塩水にさらに溶解しやすい。
【0030】
この種類のピラジン誘導体を経口投与する時、常用の技術により医薬上許容される賦形剤を複合体に調製することができる。これらの賦形剤は前記化合物を患者に投与できる複数の剤型、例えば、錠剤、丸薬、懸濁剤、ゲル剤などに製造できる。経口製剤は調製方法が複数あり、例えば、まず化合物と固形賦形剤を均一に混ぜて、混合物を充分に研磨し、適当な助剤を加えて加工・処理して顆粒にする。経口剤の調製に用いられる助剤は、乳糖、ショ糖、マンニトール或はソルビトールのような糖類、コーンスターチ、コムギでん粉、ジャガイモでん粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(hydroxyproylmethyl-cellulose)、メチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドンなどのセルロース類を含む。
【0031】
本発明が関するピラジン誘導体は一つの加圧器と一つの噴霧器或は乾燥粉末吸入器によって実現する噴霧剤にも調製できる。噴霧器に利用できる適当な噴射剤として、ジクロロジフルオロメタン、フルオロトリクロロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素とジメチルエーテルなどが挙げられる。エアゾール剤投与量は噴射器のバルブにより調節できる。
【0032】
本発明が関する各剤型は何れも化合物の有効治療用量に関わる。この種類の化合物の有効治療用量は治療を受ける患者によって決まる。適切な用量を決定する時には患者の体重、病状、服薬方式及び処方医師の主観的判断等の要素を考えに入れるべきである。この種類の多重作用メカニズムの化合物及びその誘導体の有効治療用量は高技量で、かつ経験豊富な処方医師によって決められなければならない。
【0033】
本発明はピラジンの化学修飾を通じて新たな構造の有するピラジン誘導体及びその医薬上許容される塩を提供する。本発明の提供するピラジン誘導体は多重の作用メカニズムを有し(フリーラジカル消去と細胞保護作用)、同時に安定性を増加し、薬物の本来の母核構造を破損しなく、その活性部位の完全性を維持し治療効果を上げる。これらの化合物はフリーラジカル過量による神経システム疾患、感染性疾患、代謝システム疾患、心、脳血管システム疾患及び退行性老化疾患の予防と治療のために開発の価値がある新薬である。
【0034】
本発明が関する新たなピラジン系誘導体及びその医薬上許容される塩は下記の鮮明な特徴と優位性を備える。
【0035】
医薬の組み合わせ原理により、テトラメチルピラジン(リグストラジン)と他の漢方薬活性物を組み合わせて得た化合物の生物活性は漢方薬の活性成分より遥かに高い。
【0036】
ニトロン基の導入により、新たなピラジン系誘導体のフリーラジカルの消去能力を強化し、新たなピラジン誘導体のフリーラジカルの消去能力が漢方薬の活性成分より遥かに高い。
【0037】
エステル結合傍らの置換基の導入により、化合物の安定性を増加し、あるエステル類化合物が体内で不安定の欠陥を解消する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】化合物TMP、カフェ酸、フェルラ酸若しくはタンシノールの化学構造を示す。
図2】化合物IND-003、IND-004、IND-006の合成を示す。
図3】化合物IND-008の合成を示す。
図4】化合物IND-010の合成を示す。
図5】化合物IND-011、IND-012、IND-013、IND-014の合成を示す。
図6】化合物IND-021、IND-022、IND-023の合成を示す。
図7】ピラジン誘導体のIAA誘発PC12細胞損傷に対する保護作用を示す。
図8】ピラジン誘導体のt-BHP誘発H9c2細胞損傷に対する保護作用を示す。
図9】ピラジン誘導体のDPPHに対する消去能力を示す。
図10】ピラジン誘導体のヒドロキシラジカル(OH)に対する消去能力を示す。
図11】ピラジン誘導体の超酸化物陰イオン(O2 ・-)に対する消去能力を示す。
図12】ピラジン誘導体のペルオキシ亜硝酸(ONOO-)に対する消去能力を示す。
図13】IND-012の永久性脳虚血モデルラットの術前並びに術後の体重に対する影響を示す。
図14】IND-012の永久性脳虚血モデルラットの行動学改善作用を示す。
図15】IND-012の永久性脳虚血モデルラットの脳浮腫程度に対する影響を示す。
図16】IND-023のIAA誘発H9c2細胞損傷に対する保護作用を示す。
図17】IND-023のA/R誘発H9c2細胞損傷に対する保護作用を示す。
図18】IND-023のt-BHP誘発H9c2細胞損傷に対する保護作用を示す。
図19】IND-023のSDラット心筋梗塞死亡モデルに対する保護作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面並びに実施例を挙げ、本発明に対してさらに詳細に説明する。これらの実施例は説明するものだけで、本発明の保護範囲を制限することではない。
【0040】
実施例1、化合物IND-003の合成(図2
TMP(13.6g, 100.0mmol)を300mLの水に溶解し、何回かKMnO4 (31.6g, 200.0 mmol)を加え、50℃まで加熱して、10 h反応する。反応終了後、冷却、酢酸エチルで抽出し、有機相を除いて、水相を10%の塩酸でPHを3まで調整し、再び酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。黄色固体3,5,6-トリメチルピラジン-2-カルボン酸(化合物1) (9.6 g, 57.8%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 167.0。
【0041】
TMP (15g, 110.3 mmol)を250mLの四塩化炭素中に溶解し,それぞれNBS(20g, 112.4 mmol),触媒量の過酸化ベンゾイルを加え,80℃まで加熱して、一夜反応する。反応終了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:9),淡白色固体TMP-Br (12.6 g, 53.2%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 217.0。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 4.67 (s, 2H), 2.53 (s, 6H), 2.41 (s, 3H)。
【0042】
化合物1(0.4 g, 2.4 mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し,それぞれTMP-Br (0.43 g, 2.0 mmol)、炭酸カリウム(0.42 g, 3.0 mmol)を加え、室温で3 h反応する。反応終了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:2)、浅白色固体IND-003(0.41 g, 68.7%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 301.3。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 5.51 (s, 2H), 2.75 (s, 3H), 2.61 (s, 3H), 2.57 (d, J = 1.9 Hz, 6H), 2.52 (s, 3H), 2.50 (s, 3H)。13C-NMR: 165.66, 154.68, 151.36, 151.23, 149.38, 149.06, 148.76, 144.37, 65.81, 22.56, 22.24, 21.71, 21.57, 21.45, 20.63。Anal. (C16H20N4O2) C, H, C; found C 64.16%, H 7.019%, N 18.56%; requires: C 63.98%, H 6.71%, N 18.65%。
【0043】
実施例2、化合物IND-004の合成(図2
カフェ酸(0.36g, 2 mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、それぞれK2CO3(0.31 g, 2.4 mmol)、TMP-Br(0.43 g, 2 mmol)を入れ、室温2h撹拌する。反応終了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)白色固体化合物IND-004 (0.36g, 57%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 315.23。1H-NMR: (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.62 (s, 1H), 9.16 (s, 1H), 7.50 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.01 (dd, J = 8.1, 1.8 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.32 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 5.24 (s,2H), 2.48 (s,3H), 2.44 (s,3H), 2.42 (s,3H)。13C-NMR: 166.72, 151.27, 149.06, 149.00, 148.90, 146.20, 146.03, 145.34, 125.90, 122.00, 116.18, 115.39, 113.83, 64.86, 21.69, 21.47, 20.58。Anal. (C17H18N2O4) C, H, C; found C 64.92%, H 5.714%, N 8.83%; requires: C 64.96%, H 5.77%, N 8.91%。
【0044】
実施例3、化合物IND-006の合成(図2
(E)-3-(3,4-ジアセトキシフェニル)アクリル酸(0.53 g, 2 mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、それぞれK2CO3(0.31 g, 2.4 mmol)、TMP-Br(0.43 g, 2 mmol)を入れ、室温2h撹拌する。反応終了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)白色固体化合物IND-006 (0.60g, 75%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 399.28。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 7.65 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 8.4, 2.1Hz, 1H), 7.35 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.43 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 5.53(s,2H), 2.57(s, 3H), 2.52(s, 6H), 2.30(s, 6H)。13C-NMR: 168.06, 167.98, 166.17, 151.43, 149.14, 144.72, 143.60, 143.57, 142.43, 133.12, 126.44, 123.96, 122.82, 118.58, 65.29, 21.70, 21.46, 20.66, 20.61, 20.56. Anal. (C21H22N2O6) C, H, C; found C 63.46%, H 5.630%, N 6.88%; requires: C 63.31%, H 5.57%, N 7.03%。
【0045】
実施例4、化合物IND-008の合成(図3
TMP(25 g, 183.8 mmol)を250mLの1,4-ジエチレンダイオクサイドに溶解し、二酸化セレン(40.8g, 367.6 mmol)を加え、110℃に加熱し、6 h反応する。反応完了後、反応液を濾過し、その中に適量のシリカゲルに加え、減圧して溶剤を蒸発乾固して、カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:15)、黄褐色固体3,6-ジメチルピラジン-2,5-ジアルデヒド (化合物2) (11.4 g、37.9%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 165.0。1H-NMR: (300 MHz、CDCl3) δ: 10.22 (s、 2H), 2.92(s, 6H)。
【0046】
前記化合物2 (5 g、30.5 mmol)を50 mLのトルエンに溶解し、それぞれエチレングリコール(1.89 g、30.5 mmol)と触媒量のp-トルエンスルホン酸を加え、80℃に加熱し、3 h反応する。反応完了後、減圧してトルエンを蒸発乾固して適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:5)黄色固体化合物3 (3.15 g, 49.6%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 209.0。1H-NMR: (300 MHz, DMSO) δ: 10.08 (s, 1H), 5.96 (s, 1H), 4.13 (m, 4H), 2.72 (s, 3H), 2.63 (s, 3H)。
【0047】
化合物TMP-Br (1.86 g、8.8 mmol)を30 mLのトルエンに溶解し,亜リン酸トリエチル(2.8 g, 17.6 mmol)を加え、110℃に加熱し、一夜反応する。反応完了後、減圧してトルエンを蒸発乾固して適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固し、無色の油状化合物4 (1.72 g, 72.9%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 273.1。
【0048】
化合物4 (1.2 g、4.4 mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解し,それぞれ化合物3(0.92 g, 4.4 mmol)、ナトリウムメトキシド(0.72 g, 13.4 mmol)を加え、室温で2 h反応する。反応完了後、減圧して適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して有機溶剤を蒸発乾固する。純化しないで直接に次の反応に入る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 327.10。
【0049】
前記化合物を20 mL混合液(Conc.HCl:H2O:THF=2:6:7)に溶解し、室温で2 h反応する。反応完了後、減圧して一部の有機溶剤を蒸発乾固した後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)、0.67 gの黄色固体化合物6を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 283.20。
【0050】
化合物6(0.5 g, 1.8 mmol)を10mLのエチルアルコールに溶解し、tert-ブチルヒドロキシルアミン(0.32 g, 3.55 mmol)を入れ、室温で4 h反応する。反応完了後、減圧して有機溶剤を蒸発乾固した後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)、黄色固体IND-008(0.21 g, 33%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 354.30。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 8.05 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 15.0 Hz, 1H), 7.86 (s, 1H), 2.71 (d, J = 6.6 Hz, 6H), 2.57(s, 6H), 2.54(s, 3H), 1.66 (s, 9H). 13C-NMR: 150.86, 150.70, 149.41, 148.34, 147.76, 147.94, 144.94, 144.63, 142.37, 130.13, 128.20, 127.3, 28.23, 25.29, 21.92, 21.85, 21.06, 20.99。Anal. (C20H27N5O) C, H, C; found C 67.83%, H 7.628%, N 19.32%; requires: C 67.96%, H 7.70%, N 19.81%。
【0051】
実施例5、化合物IND-010の合成(図4
化合物2 (5g, 30.5mmol)を80mLの1,2-ジクロルエタンに溶解し、何回かナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(5.2g, 24.4 mmol)を入れ、室温で約4 h反応する。反応完了後、反応液を濾過し、その中に適量のシリカゲルを入れ、溶剤を蒸発乾固し、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:3),白色固体化合物7(2.1 g, 41.2%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 167.1。1H-NMR: (300 MHz, DMSO-d6) δ: 10.08 (s, 1H), 5.43 (m, 1H), 4.67 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 2.73 (s, 3H), 2.61 (s, 3H)。
【0052】
化合物7(1.56g, 9.41mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解し、三臭化リン(0.85 g, 3.14mmol)を入れ、低温3 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して有機溶剤を蒸発乾固する。純化しないで直接に次の反応に入る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 230.9。
【0053】
得られた前記化合物8を20 mLのトルエンに溶解し、それぞれエチレングリコール(0.58 g, 9.41 mmol)と触媒量のp-トルエンスルホン酸を加え、80℃に加熱し、3 h反応する。反応完了後、減圧してトルエンを蒸発乾固して適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:5)、浅黄色固体化合物9 1.25 gを得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 272.02。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 5.96 (s, 1H), 4.56 (s, 2H), 4.20 (m, 4H), 2.64 (s, 3H), 2.63(s, 3H)。13C-NMR: 150.07, 149.40, 149.04, 148.07, 103.15, 65.66, 31.15, 20.88, 20.56。
【0054】
化合物9 (1.25 g, 4.6 mmol)を20 mLのトルエンに溶解し、亜リン酸トリエチル(1.52 g, 9.2 mmol)を加え、110℃に加熱し、一夜反応する。反応完了後、減圧してトルエンを蒸発乾固して適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固しする。カラムクロマトグラフィーして(メタノール:ジクロロメタン=1:10)浅白色固体化合物10 (1.1 g, 72.9%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 331.48。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 5.99 (s, 1H), 4.27(m, 4H), 4.11(m, 4H), 3.76 (d, J = 11.1 Hz, 2H), 2.66 (s, 3H), 2.46 (s, 3H), 1.36 (m, 6H)。
【0055】
化合物10(1.1 g, 3.3 mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解し、それぞれ化合物3(0.69 g, 3.3 mmol)、ナトリウムメトキシド(0.54 g, 9.9 mmol)を加え、室温で2 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して有機溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:3)、黄色固体化合物11 (0.90 g, 64.3%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 384.18。1H-NMR: (300 MHz, DMSO-d6) δ: 7.95 (s, 2H), 5.83 (s, 2H), 4.18 (m, 4H), 4.02 (m, 4H), 2.63 (s, 6H), 2.59 (s, 6H)。
【0056】
化合物11(0.8 g, 1.8 mmol)を20 mLの混合液(Conc.HCl:H2O:THF=2:6:7)に溶解し、室温で2 h反応する。反応完了後、減圧して一部の有機溶剤を蒸発乾固して、適量の水を加え酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)、黄色固体化合物12(0.54 g, 87.1%)を得るESI-MS: [M+H]+ m/z 296.13。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 10.20 (s, 2H), 8.24 (s, 2H), 2.91 (s, 6H), 2.84 (s, 6H)。
【0057】
化合物12(0.54 g, 1.8 mmol)を10mLのエチルアルコールに溶解し、tert-ブチルヒドロキシルアミン(0.32 g, 3.55 mmol)を入れ、室温で4 h反応する。反応完了後、減圧して有機溶剤を蒸発乾固した後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:10)、黄色固体IND-010(0.17g, 22%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 439.18。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 8.06 (s, 2H), 7.87 (s, 2H), 2.73 (s, 6H), 2.58 (s, 6H), 1.67 (s, 18H)。13C-NMR: 151.97, 148.15, 146.61, 142.77, 129.41, 128.15, 71.53, 28.24, 21.92, 21.08。
【0058】
実施例6、化合物IND-011の合成(図5
フェルラ酸(化合物13) (0.5 g, 2.6 mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、それぞれ5-(ブロモメチル)-3,6-ジメチルピラジン-2-ホルムアルデヒド(化合物8) (0.53 g, 2.33mmol)と炭酸カリウム(0.58 g, 4.2 mmol)を加え、室温で3 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:3)、浅白色固体15(0.39 g, 43.4%)を得る。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ:10.34 (s, 1H), 7.64 (d, J = 115.9 Hz, 1H), 7.03 (m, 1H), 6.91 (m, 1H), 6.34 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 5.35 (s, 2H), 3.90 (s, 3H), 2.61 (s, 3H), 2.51 (s, 3H)。
【0059】
化合物15 (0.39 g, 1.12 mmol)を5mLのエチルアルコールに溶解し、tert-ブチルヒドロキシルアミン(0.20 g, 2.24 mmol)を入れ、室温で4 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)、浅白色固体IND-011(0.20 g, 43.8%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 413.20。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 7.87 (s, 1H), 7.66 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 7.13 (m, 2H), 6.92 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.34 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 5.37 (s, 2H), 3.93 (s, 3H), 2.62 (s, 3H), 2.53 (s, 3H), 1.66 (s, 9H). Anal. (C22H27N3O5) C, H, C; found C 63.73%, H 6.604%, N 9.99%; requires: C 63.91%, H 6.58%, N 10.16%。
【0060】
実施例7、化合物IND-012の合成(図5
カフェ酸(0.47 g, 2.62 mmol)を10mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、それぞれ5-(ブロモメチル)-3,6-ジメチルピラジン-2-ホルムアルデヒド(化合物8) (0.5 g, 2.19 mmol)と炭酸カリウム(0.28 g, 3.3 mmol)を加え、室温で3 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)、浅白色固体化合物16 (0.62g, 72%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 329.16。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 10.18 (s, 1H), 7.54 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.89 (dd, J = 8.2, 1.7 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.20 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 5.39 (s, 2H), 2.83 (s, 3H), 2.70 (s, 3H)。13C-NMR: 194.48, 166.62, 152.25, 150.98, 150.23, 149.08, 146.53, 146.04, 143.06, 125.85, 122.09, 116.17, 115.42, 113.56, 64.18, 28.07, 21.65, 20.69。Anal. (C17H16N2O5) C, H, C; found C 61.87%, H 4.98%, N 8.33%; requires: C 62.19%, H 4.91%, N 8.53%。
【0061】
化合物16(0.45 g, 1.37 mmol)を5mLのエチルアルコールに溶解し、tert-ブチルヒドロキシルアミン(0.24 g, 2.74 mmol)を入れ、室温で4 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)、浅白色固体IND-012(0.45 g, 44.8%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 400.20。1H-NMR: (300 MHz, DMSO-d6) δ: 8.05 (s, 1H), 7.53 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 7.07 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.04 (dd, J = 8.1, 1.8 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.34 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 5.32 (s, 2H), 2.53 (s, 3H), 2.35 (s, 3H), 1.53 (s, 9H)。13C-NMR: 166.69, 150.01, 149.09, 148.80, 147.65, 146.36, 146.06, 144.18, 128.30, 125.87, 122.08, 116.18, 115.39, 113.69, 71.10, 64.65, 28.07, 21.20, 20.52。Anal. (C21H25N3O5 . H2O) C, H, C; found C 60.55%, H 6.521%, N 9.59%; requires: C 60.42%, H 6.52%, N 10.07%。
【0062】
実施例8、化合物IND-013の合成(図5
フェルラ酸(2g,10.3 mmol)を30 mLの無水酢酸に溶解し、触媒量のジメチルアミノピリジン(0.85 g, 3.14mmol)を入れ、室温で一夜反応する。反応完了後、20 mLの水を加え、室温で1 h撹拌して酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。純化しないで直接に次の反応に入る。
【0063】
(E)-3-(4-アセトキシ-3-メトキシフェニル)アクリル酸(化合物17) (0.37g, 1.58 mmol)を20mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、それぞれ化合物8(0.3g, 1.31 mmol)と炭酸カリウム(0.28 g, 2.0mmol)を加え、室温で3 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:3)、浅白色固体化合物19(0.26 g, 52.8%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 385.00。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 10.10 (s, 1H), 7.72 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 8.2, 1.7 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 5.46 (s, 2H), 3.82 (s, 3H), 2.71 (s, 3H), 2.65 (s, 3H), 2.27 (s, 3H)。13C-NMR: 194.46, 168.84, 166.31, 152.02, 151.65, 151.00, 150.24, 145.26, 143.15, 141.62, 133.39, 123.71, 122.33, 118.11, 112.48, 64.40, 56.49, 21.63, 20.88, 20.67。Anal. (C20H20N2O6) C, H, C; found C 62.88%, H 5.273%, N 7.27%; requires: C 62.49%, H 5.24%, N 7.29%。
【0064】
化合物19(0.26 g, 0.68 mmol)を5mLのエチルアルコールに溶解し、tert-ブチルヒドロキシルアミン(0.12g, 1.36 mmol)を入れ、室温で4 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)、浅白色固体IND-013(0.10 g, 33%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 455.21。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 7.86 (s, 1H), 7.67 (s, J = 15.9Hz, 1H), 7.12(m, 2H), 7.06 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.44 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 5.37 (s, 2H), 3.87 (s, 3H), 2.62 (s, 3H), 2.53 (s,3H), 2.33 (s, 3H), 1.65 (s, 9H)。13C-NMR: 168.74, 166.27, 151.39, 150.30, 148.90, 147.23, 144.98, 143.64, 141.56, 133.19, 127.81, 123.29, 121.30, 117.46, 111.30, 71.55, 65.06, 55.93, 28.19, 21.54, 20.67, 20.60。Anal. (C24H29N3O6) C, H, C; found C 62.94%, H 6.314%, N 9.22%; requires: C 63.28%, H 6.42%, N 9.23%。
【0065】
実施例9、化合物IND-014の合成(図5
カフェ酸(2g, 11.1mmol)を30 mLの無水酢酸に溶解し、触媒量のジメチルアミノピリジンを入れ、室温で一夜反応する。反応完了後、20 mLの水を加え、室温で1 h撹拌して酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。純化しないで直接に次の反応に入る。
【0066】
(E)-3-(3,4-ジアセトキシフェニル)アクリル酸(化合物18)を20mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、それぞれ化合物8(0.95g, 4.15 mmol)と炭酸カリウム(1.14 g, 8.30 mmol)を入れ、室温で3h反応する。反応終了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:2)浅い白色固体化合物20(0.8 g, 47%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 413.15。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 10.20 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.70 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.42 (dd, J = 8.4, 2 Hz,1H), 7.38 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.48 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 5.42 (s, 2H), 2.97 (s, 3H), 2.89 (s, 3H), 2.85 (s, 3H), 2.70 (s, 3H), 2.31 (d, J = 1.0 Hz, 6H)。
【0067】
化合物20(0.45 g, 1.09 mmol)を5mLのエチルアルコールに溶解し、tert-ブチルヒドロキシルアミン(0.98 g, 1.09 mmol)を入れ、室温で4 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)、浅白色固体IND-014(0.45 g, 85 %)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 484.08。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 7.85 (s, 1H), 7.64 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 6.21 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.42 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 5.35 (s, 2H), 2.53 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 2.29 (s, 6H), 1.63 (s, 9H)。13C-NMR: 168.05, 167.95, 166.03, 150.75, 148.86, 147.17, 143.75, 143.65, 143.58, 142.44, 133.06, 127.88, 126.51,123.97 , 122.84, 118.39, 71.54, 65.08, 28.16, 21.50, 20.66, 20.60, 20.55。Anal. (C25H29N3O7) C, H, C; found C 62.37%, H 6.086%, N 8.71%; requires: C 62.10%, H 6.05%, N 8.69%。
【0068】
実施例10.化合物IND-021の合成(図6
3,6-ジメチルピラジン-2,5-ジアルデヒド (化合物2)を50mLの1,2-ジクロルエタンに溶解し、何回か水素化ホウ素ナトリウム(2.3g, 60.1 mmol)を入れ、室温で一夜反応する。反応完了後、反応液を濾過し、その中に適量のシリカゲルを入れ、溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:3)、浅黄色固体化合物21 (3.1g, 60.8%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 169.1。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 4.73 (d, J = 4.2 Hz, 4H), 4.25 (m, 2H), 2.47 (s, 6H)。
【0069】
化合物21(1.86g, 5.6 mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解し、三臭化リン(1.5 g, 5.6 mmol)を入れ、低温3 h反応する。反応完了後、適量の水を加え、ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して有機溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル=1:5),浅黄色固体化合物22 1.8 g (54.5%)を得るESI-MS: [M+H]+ m/z 394.80。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 4.55 (s, 4H), 2.42 (s, 6H)。
【0070】
カフェ酸(0.12 g, 0.68 mmol)を5mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、NaHCO3(54 mg, 0.68 mmol)を入れ、室温15 min撹拌して、再び化合物22(0.10 g, 0.34 mmol)を入れ、室温で48 h撹拌する。反応終了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(ジクロロメタン/メタノール=15:1)白色固体化合物IND-021 (58mg, 34%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 493.03。1H-NMR: (300 MHz, DMSO-d6) δ: 9.60 (s, 2H), 9.12 (s, 2H), 7.53 (d, J = 15.9 Hz, 2H), 7.07 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 7.01 (dd, J =8.1, 2.1 Hz, 2H), 6.76 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 6.34 (d, J = 15.9 Hz, 2H), 5.31 (s, 4H), 2.52 (s, 6H)。13C-NMR: 166.69, 149.33, 149.03, 147.95, 146.34, 146.03, 125.90, 122.05, 116.18, 115.43, 113.73, 64.60, 20.71。Anal. (C16H20N4O2) C, H, C; found C 64.16%, H 7.019%, N 18.56%; requires: C 63.98%, H 6.71%, N 18.65%。
【0071】
実施例11、化合物IND-022の合成(図6
(E)-3-(3,4-ジアセトキシフェニル)アクリル酸(0.18 g, 0.64 mmol)を5mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、NaHCO3(63mg, 0.75mmol)を入れ、室温15 min撹拌して、化合物22(0.10 g, 0.34 mmol)を入れ、室温で一夜撹拌する。反応終了後、適量の水を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧して溶剤を蒸発乾固する。カラムクロマトグラフィーして(酢酸エチル:石油エーテル=1:1)白色固体化合物IND-026 (60mg, 32%)を得る。ESI-MS: [M+H]+ m/z 660.98。1H-NMR: (300 MHz, CDCl3) δ: 7.69 (d, J = 15.9 Hz, 2H), 7.42 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 1.8 Hz, 2H), 7.24 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.45 (d, J = 15.9 Hz, 2H), 5.38 (s, 4H), 2.63 (s, 6H), 2.3 (d, J = 1.2 Hz, 12H)。13C-NMR: 168.14, 168.05, 166.13, 149.67, 147.48, 143.81, 143.65, 142.44, 133.08, 126.55, 124.02, 122.88, 118.38, 65.01, 20.72, 20.72。Anal. (C34H32N2O12 . 0.5H2O) C, H, C; found C 60.97%, H 5.076%, N 4.01%; requires: C 60.98%, H 4.97%, N 4.18%。
【0072】
実施例12、化合物IND-023の合成(図6
ナトリウムタンシノール(9 g, 41.1 mmol)を40mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、化合物22(4 g, 13.7 mmol)を入れ、室温で2 h反応する。反応終了後、100 mLの水を加えて水洗いし、酢酸エチルで3回抽出し(200 mL x 3)、有機層を合併して、飽和塩化ナトリウムで2回洗い(150 mL x 2)減圧して濃縮し、濃縮液をシリカゲルでサンプル混合し、シリカゲルカラムによって分離純化し(CH2Cl2:CH3OH=15:1)、白色固体化合物IND-023 (2.0 g, 28%)を得る。1H-NMR: (300 MHz, DMSO-d6) δ: 8.69 (s, 4H), 6.64-6.53 (m, 4H), 6.42 (dd, J=8.0,2.0 Hz, 2H), 5.56 (d,J=6.1 Hz, 2H), 5.20 (s, 4H), 4.20 (dt, J=7.6, 5.4 Hz, 2H), 2.82 (dd, J=13.8, 5.1 Hz, 2H), 2.67 (dd, J=13.8, 7.8 Hz, 2H), 2.43 (s, 3H)。13C-NMR: 173.76, 149.43, 147.58, 145.22, 144.16, 128.67, 120.45, 117.22, 115.66, 72.13, 64.75, 20.49。
【0073】
実施例13、ピラジン誘導体のIAA誘発PC12細胞損傷の保護作用(図7
PC12細胞を96有孔板に接種して、37℃、5% CO2の細胞培養器に24時間培養した後、100 μl IAA(30 μM)を加えて2時間誘発する。2時間後、培地を吸い出し、加えられた各化合物を24時間培養する。その後、各孔に11.1μLのMTTを入れ、4時間後、マイクロプレートリーダーで570nmの所に吸光度を測定する。その結果は図の示すようにピラジン誘導体はIAA誘発PC12細胞損傷に対して顕著な保護作用を有する。
【0074】
実施例14、ピラジン誘導体のt-BHP誘発H9c2細胞損傷の保護作用(図8
H9c2細胞を1×104/孔の密度で96有孔細胞培養板に接種して、DMEM完全培地で24 h培養した後、無血清DMEMでt-BHPを希釈し、培養板の元の培地を置換し、細胞培養箱に12 h持続して培養し、その後11.1μL MTT (5 mg/mL)を加えてさらに4 h培養する。4 h後培地を吸い出し、各孔に100μL DMSOを加え、テーブルで振動し均一に溶解した後、BioTekマイクロプレートリーダーで波長の570nmの所に吸光度を測定して、細胞生存率を計算する。空白組50%前後の細胞死亡率に対するt-BHP濃度を後続試験の細胞サンプル濃度とする。
【0075】
実施例15、ピラジン誘導体のDPPHに対する消去能力(図9
96有孔板にそれぞれ100μL各濃度のサンプル溶液(サンプル組)又は100 μLメタノール(空白対照組)を加え、そして迅速に100μL100μMのDPPHメタノール溶液(終濃度は50μM)を入れ、各サンプル濃度に3つの複孔あり、溶液を均一振動した後、室温で光を避け1 h放置し、マイクロプレートリーダーで波長517nmの所に吸光度を測定して、下記公式でサンプルのDPPHに対する消去率を計算する。
Clearance (%)=(Actrl-Asample)/Asample× 100
【0076】
実施例16、ピラジン誘導体のOHラジカル(OH)に対する消去能力(図10
48有孔板に順次に50μL濃度の1.0 mMのp-NDA、300μL H2O(Ctrl組)又は300μLサンプル液(サンプル組)を加える。その後、BioTekマイクロプレートリーダーにおける2つの分液器でそれぞれ125μL1.0 mM濃度のH2O2並びに125μL2.0 mM濃度のFeSO4溶液を加え、合計体積は600μLで、振動した後、孔パターンで440 nm波長で反応体系の100 s内の吸光度の変化値を測定し、下記公式でサンプルのOHラジカルに対する消去率を計算する。
Clearance (%)=[1-(A0-At)/A0] × 100
【0077】
実施例17、ピラジン誘導体の超酸化物陰イオン(O2 ・-)に対する消去能力(図11
48有孔板に順次に250μL濃度の50mMのTris-HCl、300μL H2O(Ctrl組)又は300μLサンプル液(サンプル組)を加える。その後、BioTekマイクロプレートリーダーにおける分液器でそれぞれ50μL2.0 mM濃度のピロガロールを加え、合計体積は600μLで、振動した後、孔パターンで320nm波長で30sごとに吸光度を測定し、300 s続けて測定する。吸光度の数値の変化によって、下記公式でサンプルの超酸化物陰イオンに対する消去率を計算する。
Clearance (%)=[1-(dA/dt - dAt/dt)/dA/dt] × 100
【0078】
実施例18、ピラジン誘導体の過酸化亜硝酸(ONOO-)に対する消去能力(図12
まず光度計量器に順次に150μL PBS、250μL PBS(ブランク)又は各濃度のサンプル溶液を加え、最後に50μLの1.0 mM濃度のLuminol溶液および50μLの3 mg/mL SIN-1溶液を入れ刺激して反応させ、合計体積は500μLである。37oCの条件下で、100sごとに発光値を記録し、2000s続けて記録する。
Clearance (%)=(Actrl-Asample)/Asample × 100
【0079】
実施例19、ピラジン誘導体IND-012のSDラット永久性脳虚血モデルにおける保護作用(図13図15
SDラットは2.5%イソフルランを吸入して麻酔した後固定される。頸部の真中から切開し、最初に暴露してきたのは右側の総頸動脈と外頸動脈であり、総頸動脈近心端と外頸動脈を分離して結紮し、シリカゲル埋没材を慎重に総頸動脈から内頸動脈に、中大脳動脈の始めるところまで挿入し、挿入深度は17-18 mmであり、挿入した後血流計を使用して局所脳血流変化を測定し、塞栓後の血流量が基礎値より60%以上削減するのをモデルの成功標準とする。全実験の過程では、ラットは37℃恒温手術台において保温され、回復した後元の飼育籠に戻して続けて飼育する。中大脳動脈塞栓後の3 hと6 hずつにIND-012を腹腔注射し、投与量は30 mg/kgで、溶剤は15%エチルアルコール+45%プロピレングリコール+40%生理食塩水である。ラットモデルになる24 h後、ペントバルビタールナトリウムを採用して麻酔を行い、その後断頭して脳切片を取り(各脳組織7片に切り、各片の厚さは2 mmである)、TTC染色し、脳梗塞面積と脳浮腫面積をそれぞれ計算する。手術前後24h動物の体重を計量し、並びに体重の変化を記録する。
【0080】
実施例21、化合物IND-023のIAA誘発H9c2細胞損傷の保護作用(図16
H9c2細胞を96有孔板に接種して、37℃、5% CO2の細胞培養器に24時間培養した後、各相互濃度の100 μl IND-023を加え、1hプレドラッグ保護して、IAA (50 μM)で4h誘発した後、MTTを入れ、4h後、マイクロプレートリーダーで490nmの所に吸光度を測定する。その結果として、図の示すように、IND-023はIAA誘発H9c2細胞損傷に対して顕著な保護作用を有する。
【0081】
実施例22、化合物IND-023のA/R誘発H9c2細胞損傷の保護作用(図8
H9c2細胞を96有孔板に接種して、37℃、5% CO2の培養器に24時間培養した後、24h後酸欠し始め、KRB緩衝液を酸欠液とし、投薬組をKRBでIND-023を相応濃度に希釈して、モデル組にはKRB溶液だけを加え、各孔に50μLを加え、酸欠箱において、12h培養し、ブランク組は無血清高グルコースDMEMで元の培地を換え、正常の培養器に入る。酸欠完了後、モデル組には無血清高グルコースDMEMに換え、投薬組を高グルコースDMEMで薬物を相応濃度に希釈して、各孔に100μLを加え正常の培養器に置き、4h培養する。再酸素化後、元の培養地を除いて、MTT を加え、4h後、490nmの所にODを測定して細胞生存率を計算する。その結果として、図の示すように、IND-023はA/R誘発H9c2細胞損傷に対して顕著な保護作用を有する。
【0082】
実施例23、化合物IND-023のt-BHP誘発H9c2細胞損傷の保護作用(図18
H9c2細胞を1×104/孔の密度で96有孔板に接種して、DMEM完全培地で24 h培養し、IND-023で1hプレ保護した後、無血清高グルコースDMEMでt-BHP150μMを希釈して12 h誘発し、その後 MTT (5 mg/mL)を加えてさらに4 h培養する。4 h後培地を吸い出し、各孔に100μL DMSOを加え、テーブルで振動し均一に溶解した後、BioTekマイクロプレートリーダーで490nm波長の所に吸光度を測定して、細胞生存率を計算する。その結果として、図の示すように、IND-023はt-BHP誘発H9c2細胞損傷に対して顕著な保護作用を有する。
【0083】
実施例20、化合物IND-023のSDラット心筋梗塞モデルにおける保護作用(図19
雄SDラットは2.5%濃度のイソフルランを吸入して麻酔した後固定される。気管から切りラット呼吸器を連続し、その後胸骨の左側0.5 cmの所から、第2肋間と第4肋間に沿って切り、皮下組織と筋肉を鈍的切開し、第4肋間に血管鉗子で胸腔を支え、心臓を暴露し、用心に心膜を破いて心臓を暴露し、左心耳下縁2 mm - 3 mmの所を経て、8号非侵襲的縫合針で左冠状動脈前下行枝を結紮し、結紮した後IIリード心電図ST段階が上げることをモデル成功の表示とする。全実験の過程では、ラットは37℃恒温手術台において保温され、回復した後元の飼育籠に戻して続けて飼育する。成功した後、15 min尾静脈を経て20 mg/kgのIND-023を一回注射し、溶剤は15%エチルアルコール+5%プロピレングリコール+90%生理食塩水である。モデル成功した24 h後、イソフルランを吸入して麻酔し尾静脈を経て1 mL 2%のTTC染剤を注射し、3 min後胸を開いて心臓を取り、右心房、右心室と左心耳を除いた後、-20℃で10 min冷凍し、左心室全部と左心室心筋梗塞死亡区域心筋組織の重量を量り、左心室心筋梗塞死亡区域心筋組織の重/左心室の重量*100を心筋梗塞死亡の指標とする。
【0084】
本文では一部の具体的な実施例に対して詳しく説明するが、これは発明の目的実例への説明に過ぎなく、以下の請求の範囲を制限しない。本文の具体方案に対する異なる差し替え、変更と修飾は全部本発明の請求項に定義される内包と外延を逸脱しないため、本願の保護請求する発明の範囲に属すべきである。
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