(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】落下物受け具
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20220509BHJP
A01K 45/00 20060101ALI20220509BHJP
【FI】
A01K1/01 Z
A01K45/00 Z
(21)【出願番号】P 2018022844
(22)【出願日】2018-02-13
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳二
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3168297(JP,U)
【文献】特開2011-177167(JP,A)
【文献】実開昭59-090362(JP,U)
【文献】特開2009-118560(JP,A)
【文献】特開2011-036234(JP,A)
【文献】登録実用新案第3140812(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0008853(US,A1)
【文献】創業明示15年落花生専門店 鈴市商店,ツバメと鈴市のお付き合いの歴史,2015年04月23日,p.1-6,https://suzuichi-s.co.jp/s/514/
【文献】公益財団法人日本野鳥の会,ツバメを不安に思う必要はありません,2004年03月25日,p.1,https://www.wbsj.org/activity/conservation/infection/influenza/infl20040325
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00- 3/00
A01K 31/00-31/24
A01K 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
営巣された鳥類の巣の下方の第1の面に敷設されて、前記巣からの落下物を受ける落下物受け部と、上方に巣があることを察知させるべく、前記第1の面に対して上方に向けて立設される表示部と、を有し、
1枚のシート材により、前記落下物受け部と前記表示部が一体に構成され、
前記シート材は、複数の折り曲げ線が設けられており、当該複数の折り曲げ線のうち1の折り曲げ線を、前記落下物受け部と前記表示部の境界として選択可能であることを特徴とする落下物受け具。
【請求項2】
前記シート材は、トラック形状を成し、短手方向に延びる折り曲げ線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の落下物受け具。
【請求項3】
前記落下物受け部が前記表示部の表面側に配置されるように折り曲げられて設置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の落下物受け具。
【請求項4】
前記シート材は、複数の折り曲げ線が平行に設けられており、当該複数の折り曲げ線のうち3つの折り曲げ線を利用して、中間部を折り起こすことで、当該中間部を立設する表示部とし、その両側に前記落下物受け部を配置できるよう構成されていることを特徴とする
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の落下物受け具。
【請求項5】
前記シート材は、複数の折り曲げ線が設けられており、前記落下物受け部が前記表示部の表面側に配置されるように折り曲げられて設置個所に仮置きされた状態から、当該折り曲げ線を利用して表面を内側にするように折り曲げることで、裏面に設けた両面テープまたは接着層を覆うまたは保護する剥離シートを除去可能としたことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の落下物受け具。
【請求項6】
前記シート材は、前記落下物受け部と前記表示部の表面を内側にするように折り畳むことで、前記落下物受け部と前記表示部の表面を露出しない状態とする折り畳み補助線が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の
落下物受け具。
【請求項7】
前記シート材はゴム製であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の落下物受け具。
【請求項8】
前記落下物受け部の表面には、剥離可能に積層された複数のシート層が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の落下物受け具。
【請求項9】
前記表示部の立設状態を維持する維持手段を備えることを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の
落下物受け具。
【請求項10】
前記落下物受け部及び/または前記表示部の裏面側には、両面テープまたは接着層が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の
落下物受け具。
【請求項11】
前記落下物受け部と前記表示部は、連続した印象を与えるデザインが施されていることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の
落下物受け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツバメ等の鳥類の巣から落下する糞等の落下物を受ける落下物受け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ツバメの糞に対する対策として、巣の下に設けた皿で糞を受けることで、地面の汚れを防止するための糞受けがあった(例えば、特許文献1参照)。この糞受けは、台に長筒を設け、その長筒の上端に皿を設けたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の糞受けは、受け皿を高い場所に設置するため、転倒防止の対策が必要であり、また、威圧感を与えるものであった。特にツバメに関しては、巣作りから巣立ちまでの期間がおよそ一カ月ほどと短く、転倒しないような恒久的な糞受けの設置は経済的にも非効率であった。
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、巣からの糞等の落下物による地面等の汚れを防止するとともに、簡単に設置でき、なおかつ、周囲にも注意を促すことができる落下物受け具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するための落下物受け具は、営巣された鳥類の巣の下方の第1の面に敷設されて、前記巣からの落下物を受ける落下物受け部と、上方に巣があることを察知させるべく、前記第1の面に対して上方に向けて立設される表示部と、を有し、1枚のシート材により、前記落下物受け部と前記表示部が一体に構成されたことを要旨とする。
【0006】
また、落下物受け具について、前記シート材はゴム製であってもよい。
【0007】
また、落下物受け具について、前記シート材は、トラック形状を成し、短手方向に延びる折り曲げ線が設けられていてもよい。
【0008】
また、落下物受け具について、前記シート材は、前記折り曲げ線が平行に複数設けられていてもよいし、当該複数の折り曲げ線のうち3つの折り曲げ線を利用して、中間部を折り起こすことで、当該中間部を立設する表示部とし、その両側に前記落下物受け部を配置できるよう構成されていてもよい。
また、落下物受け具について、前記シート材は、複数の折り曲げ線が設けられており、当該複数の折り曲げ線のうち1の折り曲げ線を、前記落下物受け部と前記表示部の境界として選択可能としてもよい。
また、落下物受け具について、前記シート材は、複数の折り曲げ線が設けられており、前記落下物受け部が前記表示部の表面側に配置されるように折り曲げられて設置個所に仮置きされた状態から、当該折り曲げ線を利用して表面を内側にするように折り曲げることで、裏面に設けた両面テープまたは接着層を覆うまたは保護する剥離シートを除去可能としてもよい。
【0009】
また、落下物受け具について、前記シート材は、前記落下物受け部と前記表示部の表面を内側にするように折り畳むことで、前記落下物受け部と前記表示部の表面を露出しない状態とする折り畳み補助線が設けられていてもよい。
【0010】
上記問題を解決するための落下物受け具は、営巣された鳥類の巣の下方の第1の面に敷設されて、前記巣からの落下物を受ける落下物受け部と、上方に巣があることを察知させるべく、前記第1の面に対して上方に向けて立設される表示部と、を有し、前記落下物受け部は、落下物を受ける受け面を構成する受け面部材と、当該受け面部材を保持する受け面保持部と、からなり、前記受け面部材は、前記受け面保持部に対して取り外し可能であることを要旨とする。
【0011】
上記問題を解決するための落下物受け具は、営巣された鳥類の巣の下方の第1の面に敷設されて、前記巣からの落下物を受ける落下物受け部と、上方に巣があることを察知させるべく、前記第1の面に対して上方に向けて立設される表示部と、を有し、前記落下物受け部と前記表示部は、互いに分離可能、かつ、連結可能であることを要旨とする。
【0012】
また、落下物受け具について、前記表示部の立設状態を維持する維持手段が設けられていてもよい。
【0013】
また、落下物受け具について、前記落下物受け部及び/または前記表示部は、裏面に両面テープまたは接着層が設けられていてもよい。
【0014】
また、落下物受け具について、前記落下物受け部と前記表示部には、連続する印象を与えるデザインが施されていてもよい。
【0015】
また、落下物受け具について、前記落下物受け部は、受け面に、剥離可能に積層された複数のシート層が設けられていてもよい。
また、落下物受け具について、前記落下物受け部が前記表示部の表面側に配置されていても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、巣からの糞等の落下物による地面等の汚れを防止するとともに、簡単に設置でき、なおかつ、周囲にも注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例1の落下物受け具A1の平面図である。
【
図2】(a)は実施例1の落下物受け具A1の斜視図であり、(b)は(a)に表示した範囲Pにおける拡大側面図である。
【
図3】実施例1の落下物受け具A1を仮置きした状態を示す図である。
【
図4】実施例1の落下物受け具A1の表示部2を傾動させて裏面の両面テープTを露出させた状態を示す図である。
【
図5】実施例1の落下物受け具A1の落下物受け部1を傾動させて裏面の両面テープTを露出させた状態を示す図である。
【
図6】実施例1の落下物受け具A1を段差のある箇所に設置した状態を示す図である。
【
図7】実施例1の落下物受け具A1を折り畳む途中段階を示す図である。
【
図8】実施例1の落下物受け具A1を粘着テープNで固定した状態を示す図である。
【
図9】実施例2の落下物受け具A2の分解斜視図である。
【
図10】実施例2の落下物受け具A2の受け面保持部12の斜視図である。
【
図11】実施例3の落下物受け具A3の分解斜視図である。
【
図12】(a)は変形例1の落下物受け具を示す平面図であり、(b)は変形例1の落下物受け具を設置した状態を示す図である。
【
図13】変形例1の落下物受け具を棒材Bを利用して配置する状態を示す図である。
【
図14】落下物受け部と表示部に連続した印象を与えるデザインの例1である。
【
図15】落下物受け部と表示部に連続した印象を与えるデザインの例2である。
【
図16】落下物受け部と表示部に連続した印象を与えるデザインの例3である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、複数の実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
最初に、
図1~
図8を参照して、本発明の実施例1の落下物受け具A1について説明する。落下物受け具A1は、1枚のシート材により形成され、建物壁Wに営巣された鳥類の巣からの落下物(具体的には糞が挙げられる)を受ける落下物受け部1と、上方に巣があることを察知させるための表示部2と、からなる。より詳細に説明すると、落下物受け部1は、表面を上面として営巣された鳥類の巣の下方の地面や構造物などの第1の面Gに敷設されるものであり、本実施例においては、
図1に示すCの範囲である。また、表示部2は
図1に示すDの範囲であり、その境界には後述する折り曲げ線3が設けられている。
【0020】
落下物受け具A1は、ゴム製のシート材を基材とし、対向する直線部分と両直線の端部を弧状で連結した外形状(トラック形状)を成し、短手方向(直線部分の対向する方向)に延びる折り曲げ線3が設けられている。折り曲げ線3は、
図2(b)に示すように、裏面に凹設された溝31によって形成され、容易に折り曲げやすい箇所を構成している。折り曲げ線3は、平行して複数形成されており、保管時や撤去する際に折り曲げ線3を利用して小さく折り畳むことができる。
【0021】
落下物受け具A1の折り曲げ線3は、
図1に示すように、全体で5本設けられ、落下物受け部1と表示部2との境界である折り曲げ線3と、その折り曲げ線3に平行して4本の折り曲げ線3が設けられている。このうち、図示した範囲C1と範囲C2との境界線となる折り曲げ線3を挟んだ、範囲C1と範囲C2の長さは、C1<C2の関係となっている。そのため、この範囲C1と範囲C2との境界線となる折り曲げ線3を利用して範囲C2の表面を範囲C1の表面に重ねるように折り曲げることができ、さらに、落下物受け部と表示部との境界である折り曲げ線を利用して表示部の表面を折りたたんだ落下物受け部上に重ねて、落下物受け部と表示部の表面が露出しないように全体を小さく折り畳むことができるようになっている。つまり、これら各折り曲げ線3は、折り畳み補助線としても機能している。なお、折り畳む箇所はどこの折り曲げ線3を利用してもよく、この場合は、折り曲げ線3の全てが折り畳み補助線ともいえる。
【0022】
落下物受け部1は、鳥類の巣からの高さ等の条件によって一定ではないが、およそ糞が飛び散る範囲の面積に設定されており、その表面には、剥離可能に積層された複数のシート層が設けられている。また、裏面には、剥離シートに覆われた両面テープTが貼り付けられている。
【0023】
表示部2は、落下物受け部1から連続しており、落下物受け部1との境界で折り曲げられて、建物壁Wに沿って起立した姿勢で配置される。換言すると、落下物受け部1の表面となる上面(換言すると、落下物受け部が敷設された第1の面G)に対して、上方に向けて立設されている。表示部2の裏面には、建物壁Wに対して貼着固定して起立姿勢を保つための剥離シートに覆われた両面テープTが貼り付けられている。また、折り曲げ線3が設けられている。
【0024】
そして、表示部2の表面には、上方に巣があることを示す表示が施されている。これにより、単に落下物受け部1を敷設するだけでは、視界に入りにくく気づきにくくて、踏んでしまったり、巣の下方に入り込んでしまうおそれがあるが、離れた所からでも巣があることを示し、注意を促すことができる(少なくとも何かが存在することを認知させられる)。
【0025】
続いて、実施例1の落下物受け具A1の設置方法について説明する。
図3に示すように、まず、営巣された巣の下方に落下物受け具A1を広げるとともに、シート材の折り曲げ線3を利用して折り曲げて表示部2を建物壁Wに沿うように起立させて、設置個所を決定する。そして、
図4に示すように、表示部2を建物壁Wから離間させて裏面の両面テープTを覆う剥離シートを除去し、壁面に貼着して固定する。また、落下物受け部1も同様に、
図5に示すように、折り曲げ線3を利用して裏面を臨ませ、両面テープTを覆う剥離シートを除去し、第1の面Gに貼着して固定する。もちろん表示部2と落下物受け部1の貼着固定する順番は逆でも良く、仮置きして設置個所を決定することなく、表示部2と落下物受け部1の裏面の剥離シートをすべて除去して同時に貼着固定しても良い。また、風等の影響が小さいような箇所では表示部2を建物壁Wに立てかけるだけでもよい。さらに、落下物受け部1が滑りにくいゴム製であるため、必ずしも両面テープTが必要というわけではなく、第1の面Gに広げるのみで設置完了としても良い。
【0026】
また、
図6に示すように敷設箇所に段差がある場合には、段差に合わせてシート材を折り曲げて折りクセ4をつけて、段差に沿うように設置しても良い。
【0027】
落下物受け部1と表示部2は、1枚のシート材により一体に構成され、その各部の裏面には表面側へと折り曲げやすくする溝状の折り曲げ線3が設けられている。そのため、汚れたり、鳥が巣立って不要となった際に、
図7に示すように、表面側を内側となるように折り畳むことができ、手を汚すことなく処分することができる。
【0028】
なお、固定方法としては、落下物受け部1や表示部2の裏面に設けた両面テープTで貼着した。換言すると、両面テープTは、表示部2の立設状態を維持する維持手段となっている。また、両面テープTに代えて、接着剤等の接着層を塗布したものであっても良い。さらに、
図8に示すように落下物受け部1や表示部2の表面から第1の面Gや建物壁Wにかけて貼着された粘着テープNで貼着する方法であっても良いし、第1の面Gがアスファルトのように貼着しにくかったり、貼着強度が確保できないような場合は、落下物受け部1におもりを載せることも考えられる。
【0029】
さらに、折り曲げ線3は溝状に構成したが、薄肉にする等して折り曲げやすい脆弱な箇所を構成して、折り曲げ線3としても良い。
【0030】
また、落下物受け部1の表面であって、落下物を受ける受け面側に設けられた、剥離可能に積層された複数のシート層は必ずしも必須ではないが、糞による汚れがひどくなった際に、複数のシート層を1枚ずつ剥離することで、きれいなシート層を露出させることができ、衛生的であるため、備えることが望ましい。また、複数のシート層は剥離するごとに違う図柄が現れるようにしてもよい。さらに、表示部2にも、同様に剥離可能に積層された複数のシート層を設けておくと、飛び散った糞が表示部2に付着した場合に、シート層を剥離でき、衛生的である。
【0031】
なお、表示部2と落下物受け部1は、必ずしも明確に境界が分かれている必要はなく、複数の折り曲げ線3のいずれかを選択することで、第1の面を広く覆いたい場合や、気づきにくい箇所で表示部2を大きく設置したい場合など、状況に応じた異なる面積に変更することが可能である。また、表示部2は飛び散る糞から建物壁Wを保護する保護部としても機能する。
【実施例2】
【0032】
次に、
図9~
図10を参照して、本発明の実施例2の落下物受け具A2について説明する。
【0033】
実施例2の落下物受け具A2は、実施例1と同様に、営巣された鳥類の巣の下方の第1の面に敷設されて、巣からの落下物を受ける落下物受け部1と、上方に巣があることを察知させるべく、第1の面に対して上方に向けて立設される表示部2と、を有している点について共通しているが、落下物受け部1と表示部2とは、1枚のシート材による一体の構成ではなく、別体となっており、より詳細には、落下物受け部1は、落下物を受ける受け面を構成する受け面部材11と、当該受け面部材11を保持する受け面保持部12と、からなり、受け面部材11は、受け面保持部12に対して取り外し可能となっている。また、受け面保持部12と表示部2は一体に組付けられている。
【0034】
受け面保持部12は、受け面部材11の輪郭形状を成し、内側に受け面部材11を嵌め込み可能であり、かつ、受け面保持部12を第1の面Gに固定した状態で、受け面部材11のみを取り外すことが可能となっている。そのため、汚れた際に受け面部材11のみを交換することができる。また、受け面保持部12を重量のある素材(例えば金属)で形成すれば、第1の面Gに対して動きにくくなり、簡単に設置することもできる。
【0035】
表示部2は、受け面保持部12に設けられた表示部保持部13により保持されて第1の面に対して上方に向けて立設されている。この表示部保持部13は、鉤状に形成された一対の保持片14からなり、板状の表示部2を保持片間に圧入することで立設した状態に保持することが可能である。そのため、表示部2が倒れることなく立設した状態が維持されている。換言すると、表示部保持部13は、表示部2の立設状態を維持する維持手段となっている。また、表示部2の表面には、上方に巣があることを示す表示が施されている。これにより、単に落下物受け部1を敷設するだけでは、視界に入りにくく気づきにくくて、踏んでしまったり、巣の下方に入り込んでしまうおそれがあるが、離れた所からでも巣があることを示し、注意を促すことができる(少なくとも何かがあることを認知させられる)。
【実施例3】
【0036】
次に、
図11を参照して、本発明の実施例3の落下物受け具A3について説明する。
【0037】
実施例3の落下物受け具A3は、実施例1または実施例2と同様に、営巣された鳥類の巣の下方の第1の面Gに敷設されて、巣からの落下物を受ける落下物受け部1と、上方に巣があることを察知させるべく、第1の面Gに対して上方に向けて立設される表示部2と、を有しており、この構成による同様の効果が得られるとともに、さらに、落下物受け部1と表示部2は、互いに分離可能、かつ、連結可能な連結手段を有している。連結手段としては、図に示すように凹凸係合による嵌着部Raおよび被嵌着部Rbとするほか、面ファスナーのようなものであってもよい。
【0038】
この実施例によれば、落下物受け具A3は、落下物受け部1と表示部2とを一体的に取り扱ったり設置したりすることもできるし、落下物受け部1と表示部2との相対位置を変更することもできる。例えば、連結することで、落下物受け部1と表示部2とが連続した一体感を出すことができる。また、設置個所によっては、表示部2の位置が見にくくなるような場合に、落下物受け部1と表示部2とを分離して、表示部2を見やすくなる箇所に設置位置を変更することが可能である。
【0039】
本発明は、上記した各実施例の構成に限らず、種々の変更が可能である。例えば、落下物受け部1と表示部2はそれぞれ1つずつであったが、変形例1として、
図12(a)に示すように1枚のシート材に設けられた3つの折り曲げ線3´を利用して、
図12(b)に示すように中間部を折り起こして、中間部を表示部2とし、その両側に落下物受け部1が配置されるように構成してもよい。この例によれば、駅などの梁に営巣されて近くに建物壁が存在しない箇所であっても、表示部2を立設した状態に設置できる。
【0040】
この変形例1において、表示部2をシート材の裏面を貼り合わせることで立設させたが、
図13に示すように、三角柱形状の棒材Bを第1の面Gに配置し、それに沿うようにして1枚のシート材を配置するようにしてもよく、この場合、棒材Bが表示部2の立設手段となっている。
【0041】
なお、実施例1と同様に、各実施例や変形例の落下物受け具においても、落下物受け部1の表面であって落下物を受ける受け面側や、表示部2の表面に、剥離可能に積層された複数のシート層を設けてもよい。さらに、複数のシート層を落下物受け部1や表示部2の表面全体を1枚で覆う大きさにしてもよく、また、表面全体を分割して覆う大きさであってもよいし、部分的に覆うものであってもよい。特に分割して覆う場合には、汚れた箇所のみを剥がすことができ、経済的である。
【0042】
また、実施例1において、別体の維持部材を用いて、表示部2の立設状態を維持する維持手段としてもよい。
また、実施例1において、シート材は、紙製や樹脂製、ビニール製の他、ゴム製であってもよい。特にゴム製とすると、重さがあり、風に飛ばされにくく、また、滑りにくいため、設置が容易である。ゴム製の場合には、落下物受け部1の表面に受け面を構成する板状部材を貼りつけたり、表示部2の表面に表示シールを貼りつけてもよい。このとき、板状部材にデザインを施し、さらに、透明の複数シート層を表面に貼着してもよい。
【0043】
また、各実施例や変形例において、第1の面Gに対する落下物受け部1の固定手段として落下物受け部1の裏面に剥離シートにより保護された接着層を設けておいてもよい。また、表示部2の裏面にも両面テープや剥離シートにより保護された接着層を設けておいてもよい。さらに、表示部2の裏面のみに両面テープや剥離シートにより保護された接着層を設けておいて、表示部2の固定によって落下物受け部1を設置してもよい。
【0044】
なお、表示部2は、離れた所からでも巣があることを示し、注意を促すことができるため、注意喚起のための注意喚起部ともいえる。
【0045】
落下物受け部1と表示部2に連続した印象を与えるデザインの例として、
図14~
図16のようなデザインが考えられる。これによれば、落下物受け部1と表示部2が立体的に配置されていても、連続したイメージを与え、美観よく設置することができる。
【0046】
落下物受け部1の表面や、落下物受け部1の表面に設けられたシート層には、シボ加工や、滑り止め加工を施すと、誤って人が乗っても足を滑らせることが防止できる。
【0047】
実施例1において、1枚のシート材を、紙を基材とし、樹脂コーティングして、表示部を印刷したものとすると、安価で軽量な落下物受け具が得られる。また、折り曲げ線3(折り畳み補助線)は、溝状にしたり脆弱にする構成のほか、印刷されたり刻印されたりした単なるラインとして、折り曲げや折り畳みの目安程度であってもよい。また折り曲げ線や折り畳み補助線を省略して、落下物受け部や表示部の表面を内側となるように巻き込むようにして撤去してもよい。
【0048】
各実施例や変形例において、表示部2は、何らかの図柄や文字、記号等が付されていてもよいし、無地であってもよい。無地であっても少なくとも立設させる建物壁等の背景と区別のつく色彩であれば、上方に巣があること、または、落下物受け部1が存在することを認知させることができる。要するに、その認知できる程度に目立つものであれば、その表示形態は問わない。
【符号の説明】
【0049】
1:落下物受け具
2:表示部
3:折り曲げ線
5:両面テープ
W:建物壁
G:第1の面