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  • 特許-切断装置及び切断品の製造方法 図1
  • 特許-切断装置及び切断品の製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-06
(45)【発行日】2022-05-16
(54)【発明の名称】切断装置及び切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20220509BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220509BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20220509BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20220509BHJP
【FI】
H01L21/78 N
H01L21/78 Q
H01L21/68 P
B24B27/06 M
B24B41/06 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020158840
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052438
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 創
(72)【発明者】
【氏名】黄 善夏
(72)【発明者】
【氏名】福元 康人
(72)【発明者】
【氏名】石橋 幹司
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-083717(JP,A)
【文献】国際公開第2012/147343(WO,A1)
【文献】特開2019-021703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/683
B24B 27/06
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形されたパッケージ基板を複数の半導体パッケージに切断する切断装置であって、
前記パッケージ基板を吸着保持する保持部材を備えた切断テーブルと、
前記保持部材に吸着保持された前記パッケージ基板を切断する切断機構とを備え、
前記パッケージ基板は、湾曲しており、
前記保持部材は、前記パッケージ基板を吸着していない状態で、前記パッケージ基板を吸着する面が前記パッケージ基板の湾曲に対応した湾曲形状であり、前記パッケージ基板を吸着する面の反対側の面が平面形状である吸着ラバーを備える、切断装置。
【請求項2】
前記吸着ラバーは、硬度を低くすることにより前記パッケージ基板の湾曲に倣わせたものでない、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記吸着ラバーは、前記パッケージ基板を吸着する面が中央に向かって出っ張った曲面形状である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項4】
前記吸着ラバーは、前記パッケージ基板を吸着する面が中央に向かって窪んだ曲面形状である、請求項1又は2のいずれか一項に記載の切断装置。
【請求項5】
請求項1~に記載の切断装置の前記切断テーブルに吸着保持された前記湾曲した半導体パッケージを前記切断機構により切断し切断品を製造する、切断品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置及び切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ワークを切断可能に把持するワーク吸引治具が開示されている。このワーク吸着治具は、ワークの真空吸着を行うように構成された治具と、治具の上に載置され、ワークの反り形状に対応した載置形状を形成するための孔を備えたシートと、シートの上に載置された吸着ゴムシートとを有し、治具、シート、及び、吸着ゴムシートのそれぞれに設けられた複数の吸引孔を介してワークの真空吸着を行うことで、シートの孔によりワークの反り形状に対応した載置形状を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-187645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたワーク吸着治具では、孔を設けたシートの上に変形前の吸着ゴムシートを配置し、その上にワークを配置した状態で真空吸着する。これにより、吸着ゴムシートが孔に嵌まり込むように下向きに吸引され、吸着ゴムシートがワークの反り形状に対応するように変形する。このように、ワークを固定するための吸着ゴムシートが変形することで、ワークと吸着ゴムシートとが接触できない部分が生じ、ワークを適切に保持して切断できない恐れがある。
【0005】
そこで本発明は、湾曲したパッケージ基板を適切に吸着保持して切断することをその主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る切断装置は、樹脂成形されたパッケージ基板を複数の半導体パッケージに切断する切断装置であって、前記パッケージ基板を吸着保持する保持部材を備えた切断テーブルと、前記保持部材に吸着保持された前記パッケージ基板を切断する切断機構とを備え、前記パッケージ基板は、湾曲しており、前記保持部材は、前記パッケージ基板の湾曲に対応した湾曲形状の吸着ラバーを備えるものである。
【0007】
また、本発明に係る切断品の製造方法は、前記切断装置の前記切断テーブルに吸着保持された前記湾曲した半導体パッケージを前記切断機構により切断し切断品を製造するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、湾曲したパッケージ基板を適切に吸着保持して切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の切断装置の全体的な構成を模式的に示す平面図である。
図2】切断テーブルの要部を模式的に示す断面図であり、(a)は湾曲したパッケージ基板Pを湾曲形状の吸着ラバーに吸着する前の断面図であり、(b)は湾曲したパッケージ基板Pを湾曲形状の吸着ラバーに吸着した後の断面図であり、(c)は湾曲したパッケージ基板Pを平坦な吸着ラバーに吸着した場合の断面図である。
図3】切断テーブルの要部を模式的に示す断面図であり、(a)は湾曲したパッケージ基板Pを湾曲形状の吸着ラバーに吸着する前の断面図であり、(b)は湾曲したパッケージ基板Pを湾曲形状の吸着ラバーに吸着した後の断面図であり、(c)は湾曲したパッケージ基板Pを平坦な吸着ラバーに吸着した場合の断面図である。
図4】複数のパッケージ領域を含むパッケージ基板Pを模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<切断装置1の全体構成>
【0011】
まず、図1を用いて、本実施形態の切断装置1の構成について説明する。この切断装置1は、切断対象物である半導体チップが接続された基板を樹脂成形したパッケージ基板Pを切断することによって複数の半導体パッケージSに個片化する装置である。
【0012】
パッケージ基板Pとしては、例えば、BGA(Ball grid array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip size package)パッケージ基板、LED(Light emitting diode)パッケージ基板等が使用される。また、ここで、「基板」にはリードフレームが含まれ、「パッケージ基板P」には基板としてリードフレームを用いた形態も含まれる。
【0013】
なお、以下では、パッケージ基板Pの両面のうち、樹脂成形される側の面をモールド面、モールド面と反対側の面をボール/リード面と、それぞれ称する。
【0014】
切断装置1は、各構成要素として、パッケージ基板Pを切断する切断モジュールAと、切断されて個片化された半導体パッケージSを検査して、収納する検査・収納モジュールBとを備える。各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0015】
切断モジュールAは、主にパッケージ基板Pの切断を行う構成要素である。切断モジュールAは、主として基板供給部3、位置決め部4、切断テーブル5、切断機構6、搬送部7及び制御部8を備える。
【0016】
基板供給部3は、パッケージ基板Pを供給するものである。基板供給部3は、複数のパッケージ基板Pが収容されたマガジンMから、パッケージ基板Pを1つずつ押し出して後述する位置決め部4へと供給する。パッケージ基板Pは、ボール/リード面を上に向けて配置されている。
【0017】
位置決め部4は、基板供給部3によって供給されたパッケージ基板Pの位置決めを行うものである。位置決め部4は、基板供給部3から押し出されたパッケージ基板Pをレール部4aに配置し、位置決めを行う。その後、位置決めされたパッケージ基板Pを、基板搬送部40(図2参照)により後述する切断テーブル5へと搬送する。
【0018】
切断テーブル5は、切断されるパッケージ基板Pを保持するものである。本実施形態では、2個の切断テーブル5を有するツインカットテーブル構成の切断装置1を例示している。切断テーブル5には、基板搬送部40(図2参照)によって搬送されたパッケージ基板Pを下方から吸着して保持する保持部材5aが設けられ、保持部材5aには、後述するパッケージ基板Pの湾曲(反り)に対応した湾曲形状の吸着ラバー50(図2参照)と、吸着ラバー50を支持するベースプレート51が備えられている。また、切断テーブル5には、後述する保持部材5aを支持する支持部材SM(図2参照)と、保持部材5aを図のθ方向に回転させることが可能な回転機構5bと、保持部材5aを図のY方向に移動させることが可能な移動機構5cとが設けられる。
【0019】
切断機構6(スピンドル部6)は、パッケージ基板Pを切断して複数の半導体パッケージSに個片化するものである。本実施形態では、2個の切断機構6を有するツインスピンドル構成の切断装置1を例示している。切断機構6は、図のX方向及びZ方向に移動することができる。切断機構6には、パッケージ基板Pを切断するためのブレード6aが装着される。このブレード6aを高速回転させることで、保持部材5aに吸着保持されたパッケージ基板Pを切断し、複数の半導体パッケージSに個片化する。
【0020】
切断機構6には、高速回転するブレード6aに向かって切削水を噴射する切削水用ノズル、冷却水を噴射する冷却水用ノズル(図示なし)、切断屑などを洗浄する洗浄水を噴射する洗浄水用ノズル(図示なし)等が設けられる。
【0021】
切断テーブル5がパッケージ基板Pを吸着した後、第一位置確認カメラ5dによって、パッケージ基板Pの位置が確認される。その後、切断テーブル5は、図のY方向に沿って切断機構6に近づくように移動する。切断テーブル5が切断機構6の下方に移動した後、切断テーブル5と切断機構6とを相対的に移動させることによって、パッケージ基板Pが切断される。この後、必要に応じて第二位置確認カメラ6bによって、パッケージ基板Pの位置等が確認される。
ここで、第一位置確認カメラ5dによる確認は、例えば、パッケージ基板Pに設けられた切断位置を示すマークの位置を確認することができる。第二位置確認カメラ6bによる確認は、例えば、パッケージ基板Pの切断された位置、切断された幅等を確認することができる。
なお、上記確認カメラによる確認は、第一位置確認カメラ5dを使用せずに、第二位置確認カメラ6bのみで確認を行ってもよい。
【0022】
切断テーブル5は、パッケージ基板Pの切断が完了した後、個片化された複数の半導体パッケージSを吸着したまま図のY方向に沿って切断機構6から離れるように移動する。この際、第一クリーナ5eによって半導体パッケージSの上面(ボール/リード面面)の洗浄及び乾燥が行われる。
【0023】
搬送部7は、半導体パッケージSを検査モジュールBの検査テーブル11へと搬送するものである。搬送部7は、切断テーブル5に保持された半導体パッケージSを上方から吸着し、検査モジュールBへと搬送する。この際、第二クリーナ7aによって半導体パッケージSの下面(モールド面)の洗浄及び乾燥が行われる。
【0024】
制御部8は、切断モジュールAの各部の動作を制御するものである。制御部8によって、基板供給部3、位置決め部4、切断テーブル5、切断機構6及び搬送部7等の動作が制御される。また制御部8を用いて、切断モジュールAの各部の動作を任意に変更(調整)することができる。
【0025】
検査モジュールBは、主に半導体パッケージSの検査を行う構成要素である。検査モジュールBは、主として検査テーブル11、第一光学検査カメラ12、第二光学検査カメラ13、配置部14、抽出部15及び制御部16を具備する。
【0026】
検査テーブル11は、半導体パッケージSを光学的に検査するために保持するものである。検査テーブル11は、図のX方向に沿って移動可能である。また検査テーブル11は、上下反転することができる。検査テーブル11には、半導体パッケージSを吸着して保持する保持部材が設けられる。
【0027】
第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13は、半導体パッケージSの表面(ボール/リード面及びモールド面)を光学的に検査するものである。第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13は、検査テーブル11の近傍に上向きに配置される。第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13には、検査の際に光を照射可能な照明装置(図示なし)がそれぞれ設けられる。なお、第一光学検査カメラ12は、切断モジュールA側に設けてもよい。
【0028】
第一光学検査カメラ12は、搬送部7によって検査テーブル11へと搬送される半導体パッケージSのモールド面を検査する。その後、搬送部7は、検査テーブル11の保持部材に半導体パッケージSを載置する。保持部材が半導体パッケージSを吸着して保持した後、検査テーブル11は上下反転する。検査テーブル11は第二光学検査カメラ13の上方へと移動し、半導体パッケージSのボール/リード面が第二光学検査カメラ13によって検査される。例えば、第一光学検査カメラ12は、半導体パッケージSの欠けや半導体パッケージSにマーキングされた文字等を検査することができる。また、例えば、第二光学検査カメラ13は、半導体パッケージSのサイズや形状、ボール/リードの位置等を検査することができる。
【0029】
配置部14は、検査が完了した半導体パッケージSを配置するためのものである。配置部14は、図のY方向に沿って移動可能である。検査テーブル11は、第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13による検査が完了した半導体パッケージSを配置部14に配置する。
【0030】
抽出部15は、配置部14に配置された半導体パッケージSをトレイに移送して収納するものである。第一光学検査カメラ12及び第二光学検査カメラ13による検査結果に基づいて、良品と不良品とに区別された半導体パッケージSは、抽出部15によってトレイに収納される。この際、抽出部15は、半導体パッケージSのうち、良品を良品用トレイ15aに、不良品を不良品トレイ15bに、それぞれ収納する。トレイが半導体パッケージSで満たされると、別の空のトレイが適宜供給される。
【0031】
制御部16は、検査モジュールBの各部の動作を制御するものである。制御部16によって、検査テーブル11、第一光学検査カメラ12、第二光学検査カメラ13、配置部14及び抽出部15等の動作が制御される。また制御部16を用いて、検査モジュールBの各部の動作を任意に変更(調整)することができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の切断装置1は、パッケージ基板Pを切断して、複数の半導体パッケージSに個片化することができる。
【0033】
<切断テーブル5の要部の構成>
次に、図2図3を参照して、本実施形態の切断テーブル5の要部の構成について説明する。図2に示すように、この切断テーブル5は、吸着ラバー50とベースプレート511を備えた保持部材5aと、支持部材SMとを備えている。吸着ラバーは、パッケージ基板Pを吸着して保持するための吸着部50aを備えている。支持部材SMは、吸着部50aに通じる空間SPと、空間SPと真空ポンプ(図示なし)との間に接続される吸引孔VHとを備えている。本実施形態のパッケージ基板Pは湾曲しており、保持部材5aの吸着ラバー50はパッケージ基板Pの湾曲に対応した湾曲形状となっている。また、吸着ラバー50を上方から投影した面積と湾曲したパッケージ基板Pを上方から投影した面積とが同一である。
【0034】
図2に示すパッケージ基板Pは、パッケージ基板Pのモールド面を下に向けた状態で、中央に向かって上方に出っ張るような曲面形状となるように湾曲している。そのため、図2(a)に示すように、基板搬送部40では、パッケージ基板Pの両端部分が吸着保持できていない状態である。この湾曲したパッケージ基板Pに対応するように、吸着ラバー50はパッケージ基板Pを吸着する面が中央に向かって出っ張った曲面形状である。湾曲したパッケージ基板Pに対応した形状とすることで、図2(b)に示すように、パッケージ基板Pを確実に吸着保持することができる。比較のため、吸着ラバー50が湾曲したパッケージ基板Pに対応した形状ではなく、平坦な形状の吸着ラバー50で湾曲したパッケージ基板Pを吸着した場合を図2(c)に示す。この場合、湾曲したパッケージ基板Pの中央部分が吸着ラバー50と接触することができず、リークが発生し、パッケージ基板Pを適切に保持することができない。これにより、パッケージ基板Pを適切に切断することができない。
【0035】
図3に示すパッケージ基板Pは、パッケージ基板Pのモールド面を下に向けた状態で、中央に向かって窪んだ曲面形状となるように湾曲している。そのため、図3(a)に示すように、基板搬送部40では、パッケージ基板Pの中心部分が吸着保持できていない状態である。この湾曲したパッケージ基板Pに対応するように、吸着ラバー50はパッケージ基板Pを吸着する面が中央に向かって窪んだ曲面形状である。湾曲したパッケージ基板Pに対応した形状とすることで、図3(b)に示すように、パッケージ基板Pを確実に吸着保持することができる。比較のため、吸着ラバー50が湾曲したパッケージ基板Pに対応した形状ではなく、平坦な形状の吸着ラバー50で湾曲したパッケージ基板Pを吸着した場合を図3(c)に示す。この場合、湾曲したパッケージ基板Pの両端部分が吸着ラバー50と接触することができず、リークが発生し、パッケージ基板Pを適切に保持することができない。これにより、パッケージ基板Pを適切に切断することができない。
【0036】
また、図2及び図3に示す吸着ラバー50は、パッケージ基板Pを吸着する面がパッケージ基板Pの湾曲に対応した湾曲形状であり、パッケージ基板Pを吸着する面の反対側の面は平面形状である。これにより、吸着ラバー50のパッケージ基板Pを吸着する面の反対側の面をベースプレート51に適切に固定することができ、パッケージ基板Pをより安定して吸着保持することができる。
【0037】
また、図4に示すように、湾曲したパッケージ基板Pが複数のパッケージ領域を含むパッケージ基板Pの場合は、吸着ラバー50の形状をパッケージ領域毎の湾曲形状に対応した湾曲形状とすることで、対応可能とする。
【0038】
<切断品(半導体パッケージS)の製造方法>
【0039】
次に、図1~3を用いて、切断品(半導体パッケージS)の製造方法について説明する。まず、湾曲したパッケージ基板Pは、基板供給部3から基板位置決め部4に供給され、位置決めされた後、基板搬送部40により切断テーブル50に搬送される。
【0040】
切断テーブル50に載置されたパッケージ基板Pは、真空ポンプ(図示なし)により吸引孔VH、空間SP及び吸着部50aを介して真空引きされることで、切断テーブル5の吸着ラバー50に吸着保持される。このとき、例えば、吸着ラバー50がパッケージ基板Pの湾曲に対応した湾曲形状ではない場合、特にパッケージ基板Pのモールド部分が厚いと、基板搬送部40により吸着ラバー50に対してパッケージ基板Pを押し付けても、パッケージ基板Pを平坦にすることができず、適切に吸着保持することができない。また、真空ポンプの容量を大きくして吸引力をあげると、コストアップ及び装置の大型化に繋がってしまう。また、吸着ラバー50の硬度を低くして、吸着ラバー50がパッケージ基板Pの湾曲に倣うようにすると、吸着ラバー50の変形により切断精度が低下し、切断品の品質低下してしまう。さらに、吸着が不十分なため、リークが生じて振動が発生することがあり、この振動によりチッピングが発生する恐れがある。
【0041】
しかしながら、本実施形態における吸着ラバー50は、パッケージ基板Pの湾曲に対応した湾曲形状であるため、このような不具合が発生することなく、湾曲したパッケージ基板Pを適切に吸着保持することができ、適切に切断することができる。また、パッケージ基板Pの湾曲形状は、使用する樹脂材料や樹脂成形厚み等の条件から大体決まってくる。それに対応させて、吸着ラバー50の形状を変更するだけなので、コストを抑えることができる。
【0042】
切断テーブル5の吸着ラバー50に吸着保持された湾曲した半導体パッケージPは、切断機構6により切断されることで、複数の半導体パッケージSとなる。
【0043】
複数の半導体パッケージSは、上述した検査モジュールBに搬送され、検査される。検査が完了した半導体パッケージSは、抽出部15によってトレイに収納される。
【0044】
以上のように、本実施形態の切断装置1は、パッケージ基板Pを切断して、複数の半導
体パッケージSを製造することができる。
【0045】
以上の通り、本実施形態の切断装置1は、樹脂成形されたパッケージ基板Pを複数の半導体パッケージSに切断する切断装置1であって、前記パッケージ基板Pを吸着保持する保持部材5aを備えた切断テーブル5と、前記保持部材5aに吸着保持された前記パッケージ基板Pを切断する切断機構6とを備え、前記パッケージ基板Pは、湾曲しており、前記保持部材5aは、前記パッケージ基板Pの湾曲に対応した湾曲形状の吸着ラバー50を備える構成である。
【0046】
このように構成することにより、湾曲したパッケージ基板P適切に吸着保持して切断することができる。
【0047】
また、吸着ラバー50を上方から投影した面積は、湾曲した前記パッケージ基板Pを上方から投影した面積と同一である。
【0048】
このように構成することにより、湾曲したパッケージ基板Pの形状に対応した吸着ラバー50とすることができ、湾曲したパッケージ基板Pを適切に吸着保持して切断することができる。
【0049】
また、吸着ラバー50は、前記パッケージ基板Pを吸着する面が前記パッケージ基板Pの湾曲に対応した湾曲形状であり、前記パッケージ基板Pを吸着する面の反対側の面が平面形状である。
【0050】
このように構成することにより、吸着ラバー50のパッケージ基板Pを吸着する面の反対側の面をベースプレート51に適切に固定することができ、パッケージ基板Pをより安定して吸着保持することができる。
【0051】
また、吸着ラバー50は、前記パッケージ基板Pを吸着する面が中央に向かって出っ張った曲面形状である。
【0052】
このように構成することにより、パッケージ基板Pのモールド面を下に向けた状態で、中央に向かって上方に出っ張るような曲面形状となるように湾曲しているパッケージ基板Pを適切に吸着保持して切断することができる。
【0053】
また、吸着ラバー50は、前記パッケージ基板Pを吸着する面が中央に向かって窪んだ曲面形状である。
【0054】
このように構成することにより、パッケージ基板Pのモールド面を下に向けた状態で、中央に向かって窪んだ曲面形状となるように湾曲しているパッケージ基板Pを適切に吸着保持して切断することができる。
【0055】
また、本実施形態の切断品の製造方法は、切断装置の前記切断テーブル5に吸着保持された前記湾曲した半導体パッケージPを前記切断機構6により切断し切断品を製造する。
【0056】
このように構成することにより、湾曲したパッケージ基板Pを切断テーブルに吸着保持することができ、湾曲した半導体パッケージPを切断機構6により切断して、切断品(複数の半導体パッケージS)を製造することができる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0058】
例えば、本実施形態で例示した切断装置1の構成は一例であり、具体的な構成は適宜変更することが可能である。
【0059】
例えば、本実施形態では、切断モジュールA及び検査モジュールBのそれぞれが制御部(制御部8及び制御部16)を備えるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、それぞれの制御部を1つの制御部にまとめることや、3つ以上の制御部に分割することも可能である。また、本実施形態の切断装置1は、2個の切断テーブル5を有するツインカットテーブル構成であるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、切断テーブル5を1つだけ有するものであってもよい。また、本実施形態の切断装置1は、2個の切断機構6を有するツインスピンドル構成であるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、切断機構6を1つだけ有するものであってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、切断装置1は、搬送部7に対応する第一光学検査カメラ12、又は検査テーブル11に対応する第二光学検査カメラ13のいずれか一方のみを備えた構成としてもよい。
【0061】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1 切断装置
A 切断モジュール
B 検査モジュール
5 切断テーブル
5a 保持部材
50 吸着ラバー
51 ベースプレート
50a 吸着部
SM 支持部材
SP 空間
VH 吸引孔
6 切断機構
図1
図2
図3
図4