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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-09
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】太陽電池および太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/46 20060101AFI20220510BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20220510BHJP
【FI】
H01L31/04 168
H01L31/04 112Z
H01L31/04 124
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018107922
(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公開番号】P2019012818
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2017128544
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術/革新的新構造太陽電池の研究開発」委託研究産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【弁理士】
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】西原 孝史
(72)【発明者】
【氏名】藤村 慎也
(72)【発明者】
【氏名】根上 卓之
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/038501(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第105070832(CN,A)
【文献】特開2017-059643(JP,A)
【文献】国際公開第2017/073472(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105070834(CN,A)
【文献】特開2018-026539(JP,A)
【文献】国際公開第2017/105053(WO,A1)
【文献】特開2016-195175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/42-51/48
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極上に位置し、ニッケルおよびリチウムを含む第1正孔輸送層と、
前記第1正孔輸送層上に位置し、チタンを含む無機材料層と、
前記無機材料層上に位置し前記無機材料層と接する、光を電荷に変換する光吸収層と、
前記光吸収層上に位置し、前記第1電極と対向する第2電極と、
を備え、
前記無機材料層はTiOxを含み、
前記無機材料層の厚さは、3nm以上10nm以下であり、
前記光吸収層は、Aを1価のカチオンとし、Mを2価のカチオンとし、Xを1価のアニオンとしたとき、組成式AMXで示されるペロブスカイト型化合物を含み、
前記第1正孔輸送層と前記無機材料層との間に位置し、ニッケルおよびリチウムを含む第2正孔輸送層をさらに備え、
前記第2正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比よりも小さい、
太陽電池。
【請求項2】
第1電極と、
前記第1電極上に位置し、ニッケルおよびリチウムを含む第1正孔輸送層と、
前記第1正孔輸送層上に位置し、チタンを含む無機材料層と、
前記無機材料層上に位置し前記無機材料層と接する、光を電荷に変換する光吸収層と、
前記光吸収層上に位置し、前記第1電極と対向する第2電極と、
を備え、
前記無機材料層はTiOxを含み、
前記無機材料層の厚さは、3nm以上10nm以下であり、
前記光吸収層は、Aを1価のカチオンとし、Mを2価のカチオンとし、Xを1価のアニオンとしたとき、組成式AMX で示されるペロブスカイト型化合物を含み、
前記第1正孔輸送層と前記無機材料層との間に位置し、ニッケルを含み、かつ、リチウムを実質的に含まない第2正孔輸送層をさらに備える
陽電池。
【請求項3】
前記第1正孔輸送層は、マグネシウムをさらに含む、請求項1または2に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、1%以上30%以下である、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、5%以上20%以下である、請求項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記無機材料層は、前記第1正孔輸送層よりも薄い、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池および太陽電池モジュールに関する。本開示は、特に、光吸収材料としてペロブスカイト型結晶を用いる太陽電池および太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AMXで示されるペロブスカイト型結晶構造およびその類似の結晶構造を有する化合物(以下、「ペロブスカイト型化合物」と呼ぶ)を光吸収材料として用いた太陽電池の研究開発が進められている。本明細書では、ペロブスカイト型化合物を用いた太陽電池を「ペロブスカイト太陽電池」と呼ぶ。
【0003】
非特許文献1は、ペロブスカイト材料としてCHNHPbI、正孔輸送材料としてリチウムおよびマグネシウムをドープした酸化ニッケル、電子輸送材料としてPCBM([6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)を用いた、逆積構造を有するペロブスカイト太陽電池を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Wei Chen、他10名、“SCIENCE”(米国)、2015年11月、第350巻、第6263号、p.944-948
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高い光電変換効率を有し得る太陽電池が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の限定的ではないある例示的な実施形態によれば、以下が提供される。
【0007】
第1電極と、前記第1電極上に位置し、ニッケルを含む第1正孔輸送層と、前記正孔輸送層上に位置し、チタンを含む無機材料層と、前記無機材料層上に位置し前記無機材料層と接する、光を電荷に変換する光吸収層と、前記光吸収層上に位置し、前記第1電極と対向する第2電極と、を備え、前記光吸収層は、Aを1価のカチオンとし、Mを2価のカチオンとし、Xを1価のアニオンとしたとき、組成式AMXで示されるペロブスカイト型化合物を含む、太陽電池。
【0008】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システム、集積回路または方法で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システム、集積回路および方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【0009】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によると、高い光電変換効率を有し得る太陽電池が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の太陽電池を模式的に示す断面図。
図2】第2実施形態の太陽電池を模式的に示す断面図。
図3】第3実施形態の太陽電池を模式的に示す断面図。
図4A】太陽電池サンプル1の深さ方向の元素分析結果を示す図。
図4B】太陽電池サンプル2の深さ方向の元素分析結果を示す図。
図4C】太陽電池サンプル3の深さ方向の元素分析結果を示す図。
図5A】太陽電池サンプル1のEDS組成分析を行った結果を示す図。
図5B】太陽電池サンプル1のEDS組成分析を行った結果を示す図。
図6A】太陽電池サンプル2のEDS組成分析を行った結果を示す図。
図6B】太陽電池サンプル2のEDS組成分析を行った結果を示す図。
図7】実施例2および比較例1の太陽電池の電流-電圧特性を示す図。
図8】第4実施形態の太陽電池モジュールを模式的に示す断面図。
図9】第4実施形態の太陽電池モジュールを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の基礎となった知見は以下のとおりである。
【0013】
ペロブスカイト太陽電池(以下、「太陽電池」と略す。)は、順積構造および逆積構造に分類される。順積構造では、ペロブスカイト型化合物を含む光吸収層(以下、「ペロブスカイト層」と呼ぶ。)の光入射側に電子輸送層が配置される。例えば、透明電極上に、電子輸送層、ペロブスカイト層、正孔輸送層、および上部電極(例えば金属電極)がこの順で配置される。逆積構造では、ペロブスカイト層の光入射側に正孔輸送層が配置される。例えば、透明電極上に、正孔輸送層、ペロブスカイト層、電子輸送層および上部電極がこの順で配置される。
【0014】
順積構造では、正孔輸送層はペロブスカイト層の形成後に形成されるため、正孔輸送層の材料(正孔輸送材料)として、通常、低温プロセスで形成可能な有機材料が用いられる。これに対し、逆積構造では、ペロブスカイト層を形成する前に正孔輸送層を形成するため、正孔輸送層を比較的高い温度で形成することが可能であり、正孔輸送材料として無機材料を用いることができる。例えば、非特許文献1は、正孔輸送材料として酸化ニッケルを用いることを開示している。
【0015】
本発明者が検討したところ、逆積構造を有する従来の太陽電池では、順積構造の太陽電池よりも短絡電流密度(Jsc)が低い傾向にあることが分かった。この理由は次のように考えられる。
【0016】
逆積構造を有する従来の太陽電池では、正孔輸送層であるNiO層上にペロブスカイト層が形成される。NiO層に対するペロブスカイト液の濡れ性が低いために、NiO層上にピンホール等の欠陥密度の低いペロブスカイト型化合物を形成することは困難である。ペロブスカイト型化合物の欠陥密度が高いと、ペロブスカイト層内でのキャリアの再結合が増加するおそれがある。この結果、短絡電流密度Jscが低くなり、光電変換効率が低下してしまう。なお、順積構造では、電子輸送層である例えば酸化チタン(TiO)層上にペロブスカイト層が形成される。ペロブスカイト液のTiO層に対する濡れ性はNiO層に対する濡れ性よりも高いため、TiO層上に欠陥密度の低いペロブスカイト層を形成できる。従って、上述したような問題は生じない。
【0017】
本発明者は、上記の知見に基づいて検討を重ねた結果、逆積構造の太陽電池において、ペロブスカイト層の欠陥密度を低くすることによって、光吸収層内でのキャリア再結合を抑制し得る新規な構造を見出した。
【0018】
本開示は、以下の項目に記載の太陽電池および太陽電池モジュールを含む。
[項目1]
第1電極と、
前記第1電極上に位置し、ニッケルを含む第1正孔輸送層と、
前記第1正孔輸送層上に位置し、チタンを含む無機材料層と、
前記無機材料層上に位置し前記無機材料層と接する、光を電荷に変換する光吸収層と、
前記光吸収層上に位置し、前記第1電極と対向する第2電極と、
を備え、
前記光吸収層は、Aを1価のカチオンとし、Mを2価のカチオンとし、Xを1価のアニオンとしたとき、組成式AMXで示されるペロブスカイト型化合物を含む、
太陽電池。
[項目2]
前記第1正孔輸送層は、マグネシウムをさらに含む、項目1に記載の太陽電池。
[項目3]
前記第1正孔輸送層は、リチウムをさらに含む、項目1または2に記載の太陽電池。
[項目4]
前記第1正孔輸送層と前記無機材料層との間に位置し、ニッケルおよびリチウムを含む第2正孔輸送層をさらに備え、
前記第2正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比よりも小さい、項目3に記載の太陽電池。
[項目5]
前記第1正孔輸送層と前記無機材料層との間に位置し、ニッケルを含み、かつ、リチウムを実質的に含まない第2正孔輸送層をさらに備える、項目3に記載の太陽電池。
[項目6]
前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、1%以上30%以下である、項目1から5のいずれか1項に記載の太陽電池。
[項目7]
前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、5%以上20%以下である、項目6に記載の太陽電池。
[項目8]
前記無機材料層は、前記第1正孔輸送層よりも薄い、項目1から7のいずれか1項に記載の太陽電池。
[項目9]
前記無機材料層の厚さは、1nm以上20nm以下である、項目1から8のいずれか1項に記載の太陽電池。
[項目10]
前記無機材料層の厚さは、3nm以上10nm以下である、項目9に記載の太陽電池。
[項目11]
基板と、
前記基板上に位置し、互いに直列に接続された第1ユニットセルおよび第2ユニットセルと、
を備え、
前記第1ユニットセルおよび前記第2ユニットセルのそれぞれは、
前記基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極上に位置し、ニッケルを含む第1正孔輸送層と、
前記第1正孔輸送層上に位置し、チタンを含む無機材料層と、
前記無機材料層上に位置し前記無機材料層と接する、光を電荷に変換する光吸収層と、
前記光吸収層上に位置し前記第1電極と対向する第2電極と、
を備え、
前記光吸収層は、Aを1価のカチオンとし、Mを2価のカチオンとし、Xを1価のアニオンとしたとき、組成式AMXで示されるペロブスカイト型化合物を含み、
前記第1ユニットセルの前記第1電極、前記第1正孔輸送層および前記無機材料層と、前記第2ユニットセルの前記第1電極、前記第1正孔輸送層および前記無機材料層とは、溝によって分離されており、
前記第1ユニットセルの前記光吸収層は、前記溝において前記第1ユニットセルの前記第1正孔輸送層および前記第2ユニットセルの前記第1正孔輸送層と接している、
太陽電池モジュール。
[項目12]
前記第1正孔輸送層は、マグネシウムをさらに含む、項目11に記載の太陽電池モジュール。
[項目13]
前記第1正孔輸送層は、リチウムをさらに含む、項目11または12記載の太陽電池モジュール。
[項目14]
前記第1ユニットセルおよび前記第2ユニットセルのそれぞれは、前記第1正孔輸送層と前記無機材料層との間に配置され、ニッケルおよびリチウムを含む第2正孔輸送層をさらに備え、
前記第2正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比よりも小さい、項目13に記載の太陽電池モジュール。
[項目15]
前記第1ユニットセルおよび前記第2ユニットセルのそれぞれは、前記第1正孔輸送層と前記無機材料層との間に配置され、ニッケルを含み、かつ、リチウムを実質的に含まない第2正孔輸送層をさらに備える、項目13に記載の太陽電池モジュール。
[項目16]
前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、1%以上30%以下である、項目11から15のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
[項目17]
前記第1正孔輸送層における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、5%以上20%以下である、項目16に記載の太陽電池モジュール。
[項目18]
前記無機材料層は、前記第1正孔輸送層よりも薄い、項目11から17のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
[項目19]
前記無機材料層の厚さは、1nm以上20nm以下である、項目11から18のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
[項目20]
前記無機材料層の厚さは、3nm以上10nm以下である、項目19に記載の太陽電池モジュール。
【0019】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の太陽電池100を模式的に示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、太陽電池100は、基板1と、第1電極2と、第1正孔輸送層3と、無機材料層4と、光吸収層5と、第2電極6とを有している。
【0022】
第1電極2は透光性を有しており、光は基板1側から太陽電池100に入射する。第1正孔輸送層3は光吸収層5の光入射側に配置されている。従って、太陽電池100は逆積構造を有する。
【0023】
第1正孔輸送層3は、ニッケルを含む。
【0024】
無機材料層4は、第1正孔輸送層3上に位置し、チタンを含む。
【0025】
光吸収層5は、光を電荷に変換する。光吸収層5は、無機材料層4と接するように無機材料層4上に配置されている。光吸収層5は、組成式AMXで示されるペロブスカイト型化合物を含み、Aは1価のカチオンであり、Mは2価のカチオンであり、Xは1価のアニオンである。
【0026】
次に、本実施形態の太陽電池100の基本的な作用効果を説明する。
【0027】
太陽電池100へ光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔が発生する。この励起された電子は第2電極6に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、無機材料層4を介して第1正孔輸送層3に移動する。第1正孔輸送層3は第1電極2に接続されているので、太陽電池100において、第1電極2を正極、第2電極6を負極として、電流を取り出すことができる。
【0028】
本実施形態では、第1正孔輸送層3と光吸収層5との間に無機材料層4が配置されているので、無機材料層4を下地層として光吸収層5を形成できる。従って、光吸収層5の材料液の下地層に対する濡れ性、および下地表面の形状を適切に設定することができる。このことにより、第1正孔輸送層3を下地層として光吸収層5を形成する場合と比べて、光吸収層5におけるペロブスカイト型化合物の結晶性を向上させることができる。この結果、光吸収層5内でキャリアの再結合が生じることを抑制できるため、太陽電池100の光電変換効率を向上させることができる。
【0029】
以下、太陽電池100における各構成要素を説明する。
【0030】
[基板1]
基板1は、太陽電池100の補助的な構成要素である。基板1は、太陽電池100を構成する際に、太陽電池100の積層される各層を物理的に膜として保持する。基板1は、透光性を有する。基板1としては、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)などを用いることができる。後述する第1電極2が各層を膜として保持できる場合には、基板1を省略してもよい。
【0031】
[第1電極2]
第1電極2は、導電性を有する。また、第1電極2は、透光性を有する。第1電極2は、例えば、可視光および近赤外光を透過する。第1電極2は、透明であり導電性を有する金属酸化物などの材料で形成することができる。透明であり導電性を有する金属酸化物は、例えば、インジウム-錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、またはインジウムをドープした酸化亜鉛あるいはこれらの複合物である。また、第1電極2は、透明でない材料を用いて、光が透過するパターンを設けて形成することができる。
【0032】
光が透過するパターンとしては、例えば、線状(ストライプ状)、波線状、格子状(メッシュ状)、多数の微細な貫通孔が規則的または不規則に配列されたパンチングメタル状のパターンまたは、これらとはネガ・ポジが反転したパターンが挙げられる。第1電極2がこれらのパターンを有すると、電極材料が存在しない部分を光が透過することができる。透明でない電極材料として、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、またはこれらのいずれかを含む合金を挙げることができる。また、導電性を有する炭素材料を用いることもできる。
【0033】
第1電極2の光の透過率は、例えば50%以上であり、80%以上であってもよい。透過すべき光の波長は、光吸収層5の吸収波長に依存する。第1電極2の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下の範囲内にある。
【0034】
[光吸収層5]
光吸収層5は、組成式AMXで示されるペロブスカイト構造を有する化合物を光吸収材料として含む。Aは一価のカチオンである。Aの例としては、アルカリ金属カチオンまたは有機カチオンのような一価のカチオンが挙げられる。さらに具体的には、Aの例として、メチルアンモニウムカチオン(CHNH )、ホルムアミジニウムカチオン(NHCHNH )、セシウムカチオン(Cs)、ルビジウムカチオン(Rb)が挙げられる。
【0035】
組成式AMXMにおいて、Mは2価のカチオンである。Mは、例えば、遷移金属または第13族元素~第15族元素の2価のカチオンである。さらに具体的には、Mの例として、Pb2+、Ge2+、Sn2+が挙げられる。組成式AMXMにおいて、Xはハロゲンアニオンなどの1価のアニオンである。
【0036】
A、M、Xのそれぞれのサイトは、複数種類のイオンによって占有されていてもよい。ペロブスカイト構造を有する化合物の具体例としては、CHNHPbI、CHCHNHPbI、NHCHNHPbI、CHNHPbBr、CHNHPbCl、CsPbI、CsPbBr、RbPbI、RbPbBr等が挙げられる。
【0037】
光吸収層5の厚さは、その光吸収の大きさにもよるが、例としては、100nm~1000nmである。光吸収層5は、溶液による塗布法、または共蒸着法などを用いて形成することができる。また、光吸収層5は、電子輸送層と一部で混在するような形態であってもよい。
【0038】
[第1正孔輸送層3]
第1正孔輸送層3は、半導体を含む。第1正孔輸送層3は、無機のp型半導体であってもよい。無機のp型半導体の例として、酸化ニッケル、および、酸化ニッケルにおけるニッケルの一部を他の元素で置換した材料が挙げられる。置換元素としては、例えばリチウム、マグネシウムが挙げられる。
【0039】
第1正孔輸送層3は、リチウムをさらに含んでもよい。第1正孔輸送層3における全金属元素に対するリチウムの原子数比は、1%以上30%以下であってもよく、5%以上20%以下であってもよい。第1正孔輸送層3は、酸化ニッケルにおけるニッケルの一部をリチウムで置換した材料から構成されていてもよい。酸化ニッケルにおけるニッケルの一部をリチウムで置換すると、キャリア密度をより高めることができるため、導電性を向上させることができる。ニッケルを置換するリチウムの量(リチウムの置換量)は、例えば、第1正孔輸送層3における全金属元素に対するリチウムの原子数比で表され、1%以上30%以下であってもよく、5%以上20%以下であってもよい。リチウムの置換量を上記範囲内に設定することにより、第1正孔輸送層3の導電性の向上と、光透過性の確保とを両立することができる。
【0040】
第1正孔輸送層3は、マグネシウムをさらに含んでもよい。第1正孔輸送層3における全金属元素に対するマグネシウムの原子数比は、1%以上30%以下であってもよく、5%以上20%以下であってもよい。第1正孔輸送層3は、酸化ニッケルにおけるニッケルの一部をマグネシウムで置換した材料から構成されていてもよい。酸化ニッケルにおけるニッケルの一部をマグネシウムで置換すると、第1正孔輸送層3の光透過性を向上させることができる。また、価電子帯の準位をより深くすることができるため、正孔輸送性を向上できる。ニッケルを置換するマグネシウムの量(置換量)は、例えば、第1正孔輸送層3における全金属元素に対するマグネシウムの原子数比で表され、1%以上30%以下であってもよく、5%以上20%以下であってもよい。マグネシウムの置換量を上記範囲内に設定することにより、第1正孔輸送層3の高い結晶性を確保しつつ、第1正孔輸送層3の光透過性および正孔輸送性を向上することができる。
【0041】
第1正孔輸送層3は、リチウムおよびマグネシウムの両方を含んでいてもよい。第1正孔輸送層3における全金属元素に対するリチウムおよびマグネシウムの合計原子数比は、1%以上30%以下であってもよく、5%以上20%以下であってもよい。酸化ニッケルにおけるニッケルの一部をリチウムで置換し、他の一部をマグネシウムで置換してもよい。この場合、リチウムおよびマグネシウムの置換量の合計は、例えば、1%以上30%以下であってもよく、5%以上20%以下であってもよい。
【0042】
なお、前述したように、順積構造では、正孔輸送層に、通常、低温プロセスで形成可能な有機材料が用いられる。順積構造において、正孔輸送層を構成する有機材料にLi、Mgなどの金属元素を添加すると、温度上昇によってLi等が光吸収層に拡散し、太陽電池の信頼性を低下させるおそれがある。これに対し、逆積構造では、光吸収層5を形成する前に第1正孔輸送層3を形成するため、第1正孔輸送層3を比較的高い温度で形成することが可能であり、第1正孔輸送層3に無機材料を用いることができる。第1正孔輸送層3を構成する無機材料に、置換元素としてLi、Mgなどの金属元素を添加しても、Li等は光吸収層5に拡散し難い。これは、逆積構造では第1正孔輸送層3を比較的高い温度で形成するため、添加元素のLi、Mgなどは元の金属元素の格子位置に置換して配置されるためである。従って、太陽電池の信頼性を確保しつつ、正孔輸送性を改善できる。
【0043】
第1正孔輸送層3の厚さは、1nm以上50nm以下であってもよく、5nm以上20nm以下であってもよい。このような範囲内に第1正孔輸送層3の厚さを設定することにより、第1正孔輸送層3の抵抗を抑制しつつ、第1正孔輸送層3の正孔輸送性を十分に発現させることができる。
【0044】
第1正孔輸送層3の形成方法としては、塗布法または印刷法を採用することができる。塗布法としては、例えば、ドクターブレード法、バーコート法、スプレー法、ディップコーティング法、スピンコート法が挙げられる。印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法が挙げられる。また、必要に応じて、複数の材料を混合して第1正孔輸送層3を作製し、加圧、または焼成するなどしてもよい。第1正孔輸送層3の材料が有機の低分子体または無機半導体である場合には、真空蒸着法、およびスパッタ法などによって作製することも可能である。
【0045】
[無機材料層4]
無機材料層4は、光吸収層5を形成する際の土台(下地層)となる。無機材料層4は、光吸収層5の材料液の濡れ性が高い(親水性の高い)材料を含み得る。本実施形態では、無機材料層4は主としてチタン(Ti)を含む。特に、無機のn型半導体材料である酸化チタンを含むことが望ましい。無機材料層4は、チタンに加えて、例えばAl、In、Ga、Cr、Mo、W、Zr、Hf、Nb、Ta、Zn等の金属元素の酸化物材料を含んでもよい。
【0046】
無機材料層4は、例えば第1正孔輸送層3よりも薄くてもよい。無機材料層4を第1正孔輸送層3よりも薄くすることで、光吸収層5から第1正孔輸送層3への正孔輸送を阻害することなく、光吸収層5の材料液の下地表面に対する濡れ性を向上できるので、光吸収層5の結晶性を高めることが可能になる。
【0047】
無機材料層4の厚さは、1nm以上20nm以下であってもよく、3nm以上10nm以下であってもよい。無機材料層4の厚さを20nm以下に設定することにより、光吸収層5から第1正孔輸送層3への正孔輸送を阻害することなく、光電変換効率上昇の効果を得ることができる。
【0048】
[第2電極6]
第2電極6は、導電性を有する。第2電極6は、透光性を有していなくてもよい。第2電極6は、光吸収層5を挟んで、第1電極2と対向するように配置される。つまり、第2電極6は、光吸収層5に対して、第1電極2と反対側に配置される。
【0049】
第2電極6は、光吸収層5とオーミック接触を形成しない。さらに、第2電極6は、光吸収層5からの正孔に対するブロック性を有する。光吸収層5からの正孔に対するブロック性とは、光吸収層5で発生した電子のみを通過させ、正孔を通過させない性質のことである。このような性質を有する材料とは、光吸収層5の価電子帯下端のエネルギー準位よりも、フェルミ準位が低い材料である。具体的な材料としては、アルミニウムが挙げられる。
【0050】
(第2実施形態)
本実施形態に係る太陽電池200は、第2正孔輸送層7をさらに備える点で、第1実施形態に係る太陽電池100と異なる。
【0051】
以下、太陽電池200について説明する。太陽電池100について説明したものと同一の機能および構成を有する構成要素には共通する符号を付して、その説明を省略する。
【0052】
本実施形態に係る太陽電池200は、図2に示すように、基板1と、第1電極2と、第1正孔輸送層3と、第2正孔輸送層7と、無機材料層4と、光吸収層5と、第2電極6とを有している。
【0053】
第2正孔輸送層7は、第1正孔輸送層3と無機材料層4との間に配置されている。
【0054】
第1正孔輸送層3および第2正孔輸送層7は、いずれも、ニッケルおよびリチウムを含んでいてもよい。この場合、第2正孔輸送層7における全金属元素に対するリチウムの原子数比(例えば、リチウムの置換量)は、第1正孔輸送層3における全金属元素に対するリチウムの原子数比よりも小さくてもよい。例えば、第1正孔輸送層3および第2正孔輸送層7の材料として、酸化ニッケルにおけるニッケルの一部をリチウムに置換した材料を用いることができる。その場合、第2正孔輸送層7におけるリチウムの置換量は、第1正孔輸送層3におけるリチウム置換量よりも少なくてもよい。
【0055】
あるいは、第1正孔輸送層3は、ニッケルおよびリチウムを含み、第2正孔輸送層7は、ニッケルを含み、かつ、リチウムを実質的に含んでいなくてもよい。「実質的にリチウムを含まない」とは、積極的にリチウムを添加せずに形成されていることを意味する。「実質的にリチウムを含まない」とは、例えばリチウムの含有量が重量比で0.05%未満であることを指す。例えば、第1正孔輸送層3の材料は、酸化ニッケルにおけるニッケルの一部を他の元素で置換した材料であり、第2正孔輸送層7の材料は、リチウムで置換されていない酸化ニッケルであってもよい。
【0056】
次に、本実施形態の太陽電池200の基本的な作用効果を説明する。
【0057】
太陽電池200へ光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔とが発生する。この励起された電子は第2電極6に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、無機材料層4および第2正孔輸送層7をこの順で経由して第1正孔輸送層3に移動する。第1正孔輸送層3は第1電極2に接続されているので、太陽電池200において、第1電極2を正極、第2電極6を負極として、電流を取り出すことができる。
【0058】
本実施形態においては、第1正孔輸送層3と無機材料層4との間に第2正孔輸送層7が設けられている。第2正孔輸送層7は、例えば、第1正孔輸送層3よりも、全金属元素に対するリチウムの原子数比の少ない材料を用いている。第2正孔輸送層7におけるリチウムのドープ量は、第1正孔輸送層3よりも少なくてもよい。このことにより、例えば、第2正孔輸送層7の価電子帯の準位を、第1正孔輸送層3の価電子帯の準位と光吸収層5の価電子帯の準位との間に位置するように設定することができる。したがって、正孔を光吸収層5から第1電極2により容易に移動させることができる。
【0059】
第2正孔輸送層7は、第1正孔輸送層3と同様の材料で構成することができる。例えば、第1正孔輸送層3および第2正孔輸送層7の材料として、酸化ニッケルまたは酸化ニッケルにおけるニッケルの一部をリチウムに置換した材料を用い、第2正孔輸送層7におけるリチウムの置換量を第1正孔輸送層3におけるリチウムの置換量よりも少なくしてもよい。これにより、第2正孔輸送層7内に存在するキャリア再結合中心を、第1正孔輸送層3内よりも少なくすることができる。このような第2正孔輸送層7を第1正孔輸送層3の光吸収層5側に配置することにより、光吸収層5で発生した正孔が再結合によって消失する可能性を低減することが可能になる。
【0060】
第2正孔輸送層7における全金属元素に対するリチウムおよびマグネシウムの合計原子数比は、例えば、0%以上15%以下であってもよく、0%以上10%以下であってもよい。
【0061】
第2正孔輸送層7の厚さは、1nm以上10nm以下であってもよく、2nm以上5nm以下であってもよい。このような範囲内に第2正孔輸送層7の厚さを設定することにより、第2正孔輸送層7の抵抗を小さく抑えつつ、正孔輸送性を十分に発現させることができる。
【0062】
本実施形態における正孔輸送層は、第1正孔輸送層3および第2正孔輸送層7を含む2層構造に限定されない。正孔輸送層は、例えば、第1正孔輸送層3および第2正孔輸送層7を含む3層以上の積層構造を有していてもよい。あるいは、正孔輸送層は、積層構造を有していなくてもよい。例えば、正孔輸送層は、基板1側から光吸収層5側に向かって、リチウムの割合(全金属元素に対するリチウムの原子数比)が段階的または連続的に減少する層であってもよい。このような正孔輸送層は、例えばスプレー法、スピンコート法、およびスパッタ法などの公知の方法で形成され得る。
【0063】
(第3実施形態)
本実施形態に係る太陽電池300は、電子輸送層8をさらに備える点で、第1実施形態に係る太陽電池100と異なる。
【0064】
以下、太陽電池300について説明する。太陽電池100について説明したものと同一の機能および構成を有する構成要素には共通する符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
本実施形態に係る太陽電池300は、図3に示すように、基板1と、第1電極2と、第1正孔輸送層3と、無機材料層4と、光吸収層5と、電子輸送層8と、第2電極26とを有している。電子輸送層8は、光吸収層5と第2電極26との間に位置する。
【0066】
次に、本実施形態の太陽電池300の基本的な作用効果を説明する。
【0067】
太陽電池300へ光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔とが発生する。この励起された電子は、電子輸送層8を介して第2電極26に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、無機材料層4を介して第1正孔輸送層3に移動する。第1正孔輸送層3は第1電極2に接続されているので、太陽電池300において、第1電極2を正極、第2電極26を負極として、電流を取り出すことができる。
【0068】
[第2電極26]
第2電極26は、導電性を有する。第2電極26は、第2電極6と同様の構成とすることもできる。本実施形態では、電子輸送層8を用いるため、第2電極26は、ペロブスカイト型化合物からの正孔に対するブロック性を有さなくてもよい。すなわち、第2電極26の材料は、ペロブスカイト型化合物とオーミック接触する材料であってもよい。
【0069】
[電子輸送層8]
電子輸送層8は、半導体を含む。電子輸送層8は、バンドギャップが3.0eV以上の半導体であってもよい。バンドギャップが3.0eV以上の物質で電子輸送層8を形成することにより、可視光および赤外光を光吸収層5まで透過させることができる。半導体の例としては、有機または無機のn型半導体が挙げられる。有機のn型半導体としては、イミド化合物、キノン化合物、ならびにフラーレンおよびその誘導体などが挙げられる。また無機半導体としては、例えば金属元素の酸化物、ペロブスカイト酸化物を用いることができる。金属元素の酸化物としては、例えばCd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Crの酸化物を用いることができる。より具体的な例としては、TiOが挙げられる。ペロブスカイト酸化物としては、例えばSrTiO、CaTiOを用いることができる。また、電子輸送層8は、バンドギャップが6eVよりも大きな物質によって形成されてもよい。バンドギャップが6eVよりも大きな物質としては、フッ化リチウムまたはフッ化カルシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化マグネシウムなどのアルカリ金属酸化物、二酸化ケイ素などが挙げられる。この場合、電子輸送層8の電子輸送性を確保するために、電子輸送層8はおおむね10nm以下に構成される。電子輸送層8は、材料の異なる複数の層を含む積層構造を有していてもよい。
【0070】
(太陽電池の分析方法)
上述した実施形態で説明したような構成を有する太陽電池について、各層の構成元素および各層の厚さを同定する方法として、以下の方法が挙げられる。
【0071】
各層の深さ方向における元素分析を行うことが可能である。深さ方向の元素分析法として、例えば、飛行時間型二次イオン質量分析法(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry;TOF-SIMS)が挙げられる。
【0072】
また、例えば集束イオンビーム(Focused Ion Beam;FIB)等を用いた微細加工により断面形状を測定可能としたサンプルを、電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM、或いはTransmission Electron Microscope;TEM)で観察することで、各層の厚さを同定することが可能である。このような形状観察と同時に行うエネルギー分散型X線分析(Energy Dispersive X-ray Spectrometry;EDS)による元素分析で、各層の構成元素を同定することが可能である。
【0073】
さらに、光吸収層5のペロブスカイト型化合物はジメチルスルホキシド等の有機溶剤により容易に溶解するため、有機溶剤を用いて、太陽電池のうち光吸収層5および光吸収層5よりも上に形成された電子輸送層8、バッファー層、第2電極6を基板1から簡単に除去することができる。従って、基板1から光吸収層5およびその上層を除去して、無機材料層4の表面を露出させた後、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により、無機材料層4の構成元素の同定が可能である。この後、例えばイオンビームで無機材料層4(または無機材料層4および第2正孔輸送層7)をエッチングして除去することにより、無機材料層4よりも下(すなわち、基板1側)に形成された第2正孔輸送層7および第1正孔輸送層3の構成元素を同定することが可能である。
【0074】
上述した方法による具体的な分析結果を例示する。
【0075】
[TOF-SIMSによる深さ方向元素分析]
図4A~4Cは、それぞれ、TOF-SIMSによる太陽電池サンプル1~3の深さ方向の元素分析結果を示す図である。横軸は、第2電極表面からの深さ、縦軸は強度(イオンカウント数)である。分析に用いた太陽電池サンプル1の構成は、次の通りである。第2電極6:Al/光吸収層5:CHNHPbI/無機材料層4:TiOx/第2正孔輸送層7:Ni-O/第1正孔輸送層3:NiLi-O/第1電極2:ITO。
【0076】
太陽電池サンプル2は、無機材料層4を有していない点以外は、太陽電池サンプル1と同じ構成を有している。太陽電池サンプル3は、無機材料層4および第2正孔輸送層7を有していない点以外は、太陽電池サンプル1と同じ構成を有している。
【0077】
図4Aに示すように、無機材料層4を有する太陽電池サンプル1では、Tiが検出される。TiのピークP1は、NiのピークP2と光吸収層5に含まれるPbのピークP3との間に位置する。厚さ方向におけるTiのピークP1の位置とNiのピークP2の位置は僅かにずれており、両者の位置(深さ)に差があることが分かる。一方、図4Bおよび図4Cに示すように、無機材料層を有していない太陽電池サンプル2、3では、NiのピークP2とPbのピークP3との間にピークを有するTiが検出されない。従って、この分析方法により、Tiを含む無機材料層の有無を確認できることが分かる。
【0078】
なお、図4Cに示す太陽電池サンプル2では、NiおよびLiの濃度プロファイルは、略同じ深さにピークP2、P4を有している。これに対し、図4Aおよび図4Bでは、NiのピークP2は、LiのピークP4よりも光吸収層5側に位置している。これにより、太陽電池サンプル1、3では、Liの濃度が光吸収層5側で第2電極6側よりも小さいことが分かる。
【0079】
[断面STEM-EDS組成分析結果]
図5Aおよび図5Bは、それぞれ、上記の太陽電池サンプル1に対し、走査型透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope;STEM)によるEDS組成分析を行った結果を示す図であり、それぞれ、TiおよびNiの分析結果を示す。図6Aおよび図6Bは、それぞれ、上記の太陽電池サンプル2に対し、STEMによるEDS組成分析を行った結果を示す図であり、それぞれ、TiおよびNiの分析結果を示す。
【0080】
図5Aおよび図5Bから分かるように、太陽電池サンプル1では、Niが検出される層の上に、Tiを含む層が存在している。一方、太陽電池サンプル2では、図6Aおよび図6Bから分かるように、Tiが検出されない。なお、図5Aおよび図6Aでは、サンプル断面の略全体に白い点状の部分が散在しているが、これらはノイズであり、Tiの存在を示すものではない。
【0081】
(実施例)
以下、本開示を実施例によって具体的に説明する。実施例1~8および比較例1~3の太陽電池を作製し、特性を評価した。なお、各実施例および各比較例の太陽電池における各層の構成元素および厚さは、断面TEM観察、EDS分析およびXPS分析により確認した。
【0082】
まず、各実施例および比較例の太陽電池の構成および作製方法を説明する。
【0083】
[実施例1]
実施例1の太陽電池は、図3に示した太陽電池300と実質的に同じ構造を有する。ただし、電子輸送層8と第2電極26との間にバッファー層を有している。実施例1の太陽電池における各構成要素の材料および厚さを以下に示す。
基板1:ガラス基板、厚さ:0.7mm
第1電極2:フッ素ドープSnO層(表面抵抗:10Ω/sq.)
第1正孔輸送層3:Ni0.9Li0.1O、厚さ:10nm
無機材料層4:TiO、厚さ:5nm
光吸収層5:CHNHPbI、厚さ:300nm
電子輸送層8:PCBM、厚さ:40nm
バッファー層:Ti0.9Nb0.1、厚さ:10nm
第2電極26:Al、厚さ:100nm
【0084】
実施例1の太陽電池の作製方法は以下の通りである。
【0085】
まず、第1電極2として機能する透明導電層を表面に有する導電性基板を用意した。導電性基板は、基板1と第1電極2とを一体化した基板である。本実施例では、導電性基板として、フッ素ドープSnO層を表面に有する厚さ0.7mmの導電性ガラス基板(日本板硝子製)を用いた。
【0086】
次に、第1電極2であるフッ素ドープSnO層上に、第1正孔輸送層3として、厚さが約10nmのNi0.9Li0.1O層を形成した。Ni0.9Li0.1O層は、0.1mol/Lの硝酸ニッケル・六水和物の水溶液および0.1mol/Lの硝酸リチウムの水溶液を所望の膜組成となるように混合した水溶液を用いて、スプレー法により形成した。スプレー中の基板温度は500℃であった。
【0087】
続いて、第1正孔輸送層3であるNi0.9Li0.1O層上に、無機材料層4として、厚さが約5nmのTiO層を形成した。TiO層は、20mmol/LのTiCl水溶液をNi0.9Li0.1O層の表面に塗布した後、70℃で30分の熱処理を行うことによって形成した。
【0088】
次に、無機材料層4であるTiO層上に、光吸収層5として、CHNHPbI層を形成した。具体的には、まず、PbIを1mol/Lおよびヨウ化メチルアンモニウム(CHNHI)を1mol/Lの濃度で含むジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を作製した。次いで、スピンコート法により、TiO層が形成された基板1上にDMSO溶液を塗布した。この後、100℃のホットプレート上で熱処理を行うことによって、光吸収層5を得た。なお、光吸収層5の厚さが約300nmとなるように、スピンコートの回転数を設定した。また、熱処理時の光吸収層5の結晶化を促進するため、スピンコート開始から約25秒後に、回転中の基板1上にトルエンを滴下した。
【0089】
続いて、光吸収層5であるCHNHPbI層上に、電子輸送層8として、厚さが約40nmのPCBM([6,6]-phenyl-C61-butyric acid methyl ester)層を形成した。PCBM層は、50mmol/LのPCBMのクロロベンゼン溶液を用いて、スピンコート法により形成した。
【0090】
次に、電子輸送層8であるPCBM層上に、バッファー層として厚さが約10nmのTi0.9Nb0.1層を形成した。5μmol/Lのチタンイソプロポキシドのメタノール溶液および5μmol/Lのニオブエトキシドのメタノール溶液を所望の膜組成となるように混合したメタノール溶液を、スピンコート法でPCBM層上に塗布した後、塗布した溶液の加水分解を行うことによって、Ti0.9Nb0.1層を得た。
【0091】
なお、光吸収層5、電子輸送層8、およびバッファー層の形成に用いる溶液の作製、スピンコート、熱処理等のプロセスは全て、グローブボックス内において、窒素雰囲気中で行った。
【0092】
最後に、バッファー層であるTi0.9Nb0.1層上に、第2電極26として厚さが約100nmのAl層を抵抗加熱蒸着によって形成した。このようにして、実施例1の太陽電池を得た。
【0093】
[実施例2]
図2に示した太陽電池200と実質的に同じ構造を有する太陽電池を作製した。ただし、光吸収層5と第2電極26との間に電子輸送層8およびバッファー層をこの順で設けた。実施例2の太陽電池における各構成要素の材料および厚さを以下に示す。
基板1:ガラス基板、厚さ:0.7mm
第1電極2:フッ素ドープSnO層(表面抵抗:10Ω/sq.)
第1正孔輸送層3:Ni0.9Li0.1O、厚さ:10nm
第2正孔輸送層7:NiO、厚さ:5nm
無機材料層4:TiO、厚さ:5nm
光吸収層5:CHNHPbI、厚さ:300nm
電子輸送層8:PCBM、厚さ:40nm
バッファー層:Ti0.9Nb0.1、厚さ:10nm
第2電極26:Al、厚さ:100nm
【0094】
実施例2の太陽電池の作製方法は以下の通りである。
【0095】
まず、実施例1の太陽電池と同様の方法で、第1電極2を表面に有する導電性基板上に、第1正孔輸送層3を形成した。
【0096】
次に、第1正孔輸送層3であるNi0.9Li0.1O層上に、第2正孔輸送層7として、厚さが約5nmのNiO層を形成した。本実施例では、0.3mol/Lの酢酸ニッケル・四水和物の2-メトキシエタノール溶液を、スピンコート法でNi0.9Li0.1O層上に塗布した後、塗布した溶液を大気中で550℃の温度で焼成を行うことにより、NiO層を形成した。
【0097】
続いて、実施例1の太陽電池と同様の方法で、第2正孔輸送層7であるNiO層上に、無機材料層4、光吸収層5、電子輸送層8、バッファー層、および第2電極26を形成し、実施例2の太陽電池を得た。
【0098】
[実施例3]
第1正孔輸送層3として厚さが約10nmのNiO層を形成した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の太陽電池を作製した。NiO層は、0.1mol/Lの硝酸ニッケル・六水和物の水溶液を用いて、スプレー法によって形成した。第1正孔輸送層3以外の構成要素は、実施例1と同様とした。
【0099】
[実施例4]
第1正孔輸送層3として厚さが約10nmのNi0.8Mg0.2O層を形成した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例4の太陽電池を作製した。Ni0.8Mg0.2O層は、0.1mol/Lの硝酸ニッケル・六水和物の水溶液および0.1mol/Lの硝酸マグネシウム・六水和物の水溶液を、所望の膜組成となるように混合した水溶液を用いて、スプレー法によって形成した。第1正孔輸送層3以外の構成要素は、実施例1と同様とした。
【0100】
[実施例5]
第1正孔輸送層3として厚さが約10nmのNi0.7Li0.1Mg0.2O層を形成した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例5の太陽電池を作製した。Ni0.7Li0.1Mg0.2O層は、0.1mol/Lの硝酸ニッケル・六水和物、硝酸リチウム、および硝酸マグネシウム・六水和物の水溶液を、所望の膜組成となるように混合した水溶液を用いて、スプレー法によって形成した。第1正孔輸送層3以外の構成要素は、実施例1と同様とした。
【0101】
[実施例6]
無機材料層4として厚さが約3nmのTiO層を形成した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例6の太陽電池を作製した。無機材料層4以外の構成要素は、実施例1と同様とした。
【0102】
[実施例7]
無機材料層4として厚さが約3nmのTiO層を形成した点以外は、実施例1と同様の方法で実施例7の太陽電池を作製した。無機材料層4以外の構成要素は、実施例1と同様とした。
【0103】
[実施例8]
第1正孔輸送層3として厚さ約10nmのNi0.8Li0.2O層、第2正孔輸送層7として厚さ約5nmのNi0.75Li0.05Mg0.20O層を形成した点以外は、実施例2の太陽電池と同様の方法で実施例8の太陽電池を作製した。第1正孔輸送層3のNi0.8Li0.2O層は、0.1mol/Lの硝酸ニッケル・六水和物の水溶液および0.1mol/Lの硝酸リチウムの水溶液を、所望の膜組成となるように混合した水溶液を用いて、スプレー法によって形成した。また、第2正孔輸送層7のNi0.75Li0.05Mg0.20O層は、0.3mol/Lの酢酸ニッケル・四水和物、0.3mol/Lの酢酸リチウム・二水和物および0.3mol/Lの酢酸マグネシウム・四水和物の2-メトキシエタノール溶液を、所望の膜組成となるように混合した溶液をスピンコート法で塗布した後、大気中で550℃の焼成を行うことにより形成した。なお、第1正孔輸送層3および第2正孔輸送層7以外の構成要素は、実施例2と同様とした。
【0104】
[比較例1]
比較例1の太陽電池は、無機材料層4を有していない点以外は、実施例1の太陽電池と同様の構成を有する。比較例1の太陽電池における各構成要素の材料および厚さを以下に示す。
基板1:ガラス基板、厚さ:0.7mm
第1電極2:フッ素ドープSnO層(表面抵抗:10Ω/sq.)
第1正孔輸送層3:Ni0.9Li0.1O、厚さ:10nm
光吸収層5:CHNHPbI、厚さ:300nm
電子輸送層8:PCBM、厚さ:40nm
バッファー層:Ti0.9Nb0.1、厚さ:10nm
第2電極26:Al、厚さ:100nm
【0105】
比較例1の太陽電池の作製方法は以下の通りである。
【0106】
まず、実施例1の太陽電池と同様の方法で、第1電極2を表面に有する導電性基板上に、第1正孔輸送層3を形成した。
【0107】
次に、第1正孔輸送層3のNi0.9Li0.1O層上に、実施例1と同様の方法で、光吸収層5として、厚さが約300nmのCHNHPbI層を形成した。その後、実施例1と同様の方法で、電子輸送層8、バッファー層、および第2電極26を形成し、比較例1の太陽電池を得た。
【0108】
[比較例2]
第1正孔輸送層3として厚さ約10nmのNi0.8Li0.2O層を形成した点以外は、比較例1と同様の方法で、比較例2の太陽電池を作製した。第1正孔輸送層3以外の構成要素は、比較例1と同様とした。
【0109】
[比較例3]
第1正孔輸送層3として厚さ約10nmのNi0.8Li0.1Mg0.1O層を形成した点以外は、比較例1と同様の方法で、比較例3の太陽電池を作製した。第1正孔輸送層3以外の構成要素は、比較例1と同様とした。
【0110】
[太陽電池の評価]
実施例1~8および比較例1~3の太陽電池に対し、ソーラーシミュレータを用いて100mW/cmの照度の光を照射して、電流-電圧特性を測定した。また、安定化後の電流-電圧特性から、各太陽電池における開放電圧(V)、短絡電流密度(mA/cm)、曲線因子、変換効率(%)を求めた。
【0111】
評価結果を表1に示す。また、実施例2および比較例1の太陽電池の電流―電圧特性の測定結果を図7に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
表1に示すように、無機材料層4を有する実施例1~8の太陽電池では、短絡電流密度が15mA/cmより大きく、変換効率も8%より高い良好な結果が得られた。一方、無機材料層4を有していない比較例1~3の太陽電池では、実施例1~8の太陽電池よりも短絡電流密度が低く、変換効率も低くなった。
【0114】
以上の結果、ニッケルを含む正孔輸送層を用いた逆積構造の太陽電池において、第1正孔輸送層3と光吸収層5との間にチタンを含む無機材料層4を配置することにより、光電変換効率を向上できることが分かった。また、第1正孔輸送層3がLiおよび/またはMgをさらに含んでいると、光電変換効率をさらに高くできることを確認した。さらに、第1正孔輸送層3と無機材料層4との間に、第1正孔輸送層3よりもLiの割合の小さい第2正孔輸送層7を配置すると、光電変換効率のさらなる向上が可能であることを確認した。
【0115】
(第4実施形態)
本実施形態に係る太陽電池モジュール400は、実施形態3の太陽電池300をユニットセル30として直列に接続した、集積型の太陽電池モジュールである。
【0116】
太陽電池モジュール400は、図8に示すように、基板1と、第1電極2と、第1正孔輸送層3と、無機材料層4と、光吸収層5と、電子輸送層8と、第2電極26とを有している。
【0117】
第1電極2、第1正孔輸送層3、および無機材料層4は、第1分割溝17によってそれぞれ複数の第1電極32、第1正孔輸送層33、および無機材料層34に分割されている。光吸収層5、および電子輸送層8は、第2分割溝18によってそれぞれ複数の光吸収層35、および電子輸送層38に分割されている。第2電極26は、第3分割溝19によって複数の第2電極36に分割されている。なお、第3分割溝19は、光吸収層5、および電子輸送層8にも形成されていてもよい。第1分割溝17、第2分割溝18、および第3分割溝19は、例えばストライプ状に延びていてもよい。これらの溝は、互いに略平行に形成されていてもよい。
【0118】
複数のユニットセル30のそれぞれは、第1電極32、第1正孔輸送層33、無機材料層34、光吸収層35、電子輸送層38、および第2電極36がこの順に積層された積層構造を有する。基板1の法線方向から見て、第1電極32、第1正孔輸送層33、および無機材料層34と重なるように第2分割溝18が配置されている。第2分割溝18内には、隣接するユニットセル30の第2電極36が配置されている。第1電極32は、第2分割溝18内において、隣接するユニットセル30の第2電極36と電気的に接続されている。すなわち、第2分割溝18は、セル接続用溝として機能する。
【0119】
このように、各ユニットセル30は、接合を形成する第1正孔輸送層33、無機材料層34、光吸収層35、および電子輸送層38と、出力端子である第1電極32および第2電極36とを有する独立した太陽電池である。あるユニットセル30の第1電極32は、両側に隣接するユニットセル30のうちの一方のユニットセル30の第2電極36と電気的に接続されている。同じユニットセル30の第2電極36は、隣接するユニットセル30のうちの他方のユニットセル30の第1電極32と電気的に接続されている。このようにして、複数のユニットセル30は直列に接続されている。また、このような複数のユニットセル30を有する太陽電池モジュール400では、無機材料層34上に形成される光吸収層35は、無機材料層34の下層である第1電極32および第1正孔輸送層33と第1分割溝17において接する。
【0120】
なお、本実施形態に係る太陽電池モジュール400において、第2分割溝18の底部に、第1電極32と第1電極36を接続する接続部を設けてもよい。
【0121】
図9に示す太陽電池モジュール500は、接続部50を有する点で図8に示す太陽電池モジュール400と異なる。接続部50は、第2分割溝18の底部に位置し、第1電極32、第1正孔輸送層33、および無機材料層34の間に介在している部分である。すなわち、無機材料層34および第1正孔輸送層33のうち、平面視において第2分割溝18と重なる部分が接続部50である。接続部50は、例えば、無機材料層34、第1正孔輸送層33および第1電極32の混合物を含む。
【0122】
接続部50は、不純物金属原子の混入により他の部分よりも低抵抗化されている。したがって、ユニットセル30間の抵抗を低減できる効果が得られる。このような太陽電池モジュール500においても、光吸収層35は、第1電極32および第1正孔輸送層33と第1分割溝17において接している。
【0123】
なお、本実施形態では、一例として実施形態3の太陽電池300をユニットセル30として含む、集積型の太陽電池モジュールについて説明した。しかし、実施形態1または2の太陽電池をユニットセル30としてもよい。また、例えば、実施形態2の太陽電池300をユニットセル30として含む場合には、光吸収層35は、無機材料層34の下層である第1電極32、第1正孔輸送層33および第2正孔輸送層と、第1分割溝17において接していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本開示の太陽電池は、例えば、屋根上に設置する太陽電池として有用である。また、フォトディテクターとしても有用である。イメージセンシングに用いることもできる。
【符号の説明】
【0125】
1 基板
2 第1電極
3 第1正孔輸送層
4 無機材料層
5 光吸収層
6、26 第2電極
7 第2正孔輸送層
8 電子輸送層
100、200、300 太陽電池
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9