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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-10
(45)【発行日】2022-05-18
(54)【発明の名称】自動車用ドアラッチの操作中継装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/22 20140101AFI20220511BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20220511BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220511BHJP
   E05B 79/06 20140101ALI20220511BHJP
   E05B 85/12 20140101ALI20220511BHJP
【FI】
E05B79/22 A
B60J5/00 M
B60J5/04 H
E05B79/06 A
E05B85/12 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019166862
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021042618
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】松田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】高山 達也
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-196025(JP,A)
【文献】特開2009-243150(JP,A)
【文献】特開2002-147069(JP,A)
【文献】特開2016-089477(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130362(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0070464(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0192392(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60J 5/00- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の乗降口を開閉可能なドアのドアパネルに固定されるベースと、当該ベースに枢支される前記ドアの開操作用の操作ハンドルと、前記ベースに枢支され、前記操作ハンドルの前記ドアの開操作をドアラッチに伝達可能な連携レバーとを備えた自動車用ドアラッチの操作中継装置において、
前記ベースは、上部及び下部にそれぞれ前記べースを前記ドアパネルに固定するための複数の固定部を有すると共に、前後方向の中央より前方又は後方のいずれか一方側に偏倚した位置に前記操作ハンドルを枢支することにより、前記いずれか一方側に重心があり、
前記複数の固定部におけるいずれか一つの特定の固定部以外の固定部は、ボルトにより前記ドアパネルに固定され、
前記特定の固定部を、前記ベースの上部に一体形成され、前記ドアパネルに設けた係合孔に係合可能な仮止め片とすることを特徴とする自動車用ドアラッチの操作中継装置。
【請求項2】
前記ベースは、
前記操作ハンドルを前後方向の中央より前方に枢支することにより、前記重心が前方にあり、
上部及び下部に後方へ突出するアーム部を有する側面視逆コ字型をなし、上部の前記アーム部に前記仮止め片を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動車用ドアラッチの操作中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付け作業の効率化を図ることができる自動車用ドアラッチの操作中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントドアとリアドアとが観音開きするサイドドアを備える自動車においては、リアドアの上部及び下部に設けられたドアラッチを、車体の乗降口の上部及び下部に設けられたストライカにそれぞれ係合させることによって、リアドアを閉扉状態に維持することができるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、このリアドアには、ドアの開操作が可能なインサイドハンドルと上下のドアラッチとを連携させる操作中継装置が設けれられており、インサイドハンドルのドアの開操作による動力が、当該操作中継装置によって上下のドアラッチに伝達され、上下のストライカとの係合状態が解除されて、閉扉状態のリアドアを開扉状態にすることができる。
【0004】
この操作中継装置は、リアドアのドアパネルに固定されるベースに、上下方向の軸によってインサイドハンドルが回動可能に支持され、インサイドハンドルのドアの開操作によって作動する連携レバーが、ボーデンケーブルにより上下のドアラッチに連携している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-196025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に操作中継装置をドアパネルに取付けるために、ベースの上下や周縁を2本~4本のボルトによりドアパネルに固定するが、操作中継装置の重心は、ベースの前後方向の中央より前方又は後方のいずれか一方側にある場合が多い。
【0007】
したがって、操作中継装置をドアパネルに取付ける際、まず、ベースの上部の取付孔とドアパネルのネジ孔とを連通させて、それらにボルトを螺合して仮止めするが、この仮止め位置と操作中継装置の重心とが前後にずれている場合、操作中継装置を仮止めした際、操作中継装置は、その重心がボルト(仮止め位置)周りに仮止め位置の直下(前又は後方)へ向かうように回転する。その結果、残りのベースの取付孔とドアパネルのネジ孔とがずれるため、2本目のボルトを締結する際、それらの位置合わせをしてからボルトを締結しなければならず、取付け作業を円滑に行うことができなかった。
【0008】
本発明は上記課題を鑑み、取付け性を向上させた自動車用ドアラッチの操作中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の第1の態様によれば、車体の乗降口を開閉可能なドアのドアパネルに固定されるベースと、当該ベースに枢支される前記ドアの開操作用の操作ハンドルと、前記ベースに枢支され、前記操作ハンドルの前記ドアの開操作をドアラッチに伝達可能な連携レバーとを備えた自動車用ドアラッチの操作中継装置において、前記ベースは、上部及び下部にそれぞれ前記べースを前記ドアパネルに固定するための複数の固定部を有すると共に、前後方向の中央より前方又は後方のいずれか一方側に偏倚した位置に前記操作ハンドルを枢支することにより、前記いずれか一方側に重心があり、前記複数の固定部におけるいずれか一つの特定の固定部以外の固定部は、ボルトにより前記ドアパネルに固定され、前記特定の固定部を、前記ベースの上部に一体形成され、前記ドアパネルに設けた係合孔に係合可能な仮止め片とする。
【0010】
(2)本発明の第2の態様によれば、第1の態様において、前記ベースは、前記操作ハンドルを前後方向の中央より前方に枢支することにより、前記重心が前方にあり、上部及び下部に後方へ突出するアーム部を有する側面視逆コ字型をなし、上部の前記アーム部に前記仮止め片を設ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動車用ドアラッチの操作中継装置の取付け作業の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の操作中継装置が適用される車両の左側面図である。
図2】本発明の操作中継装置を示す斜視図である。
図3】同じく操作中継装置を示す右側面図である。
図4】同じく操作中継装置を示す平面図である。
図5】同じく操作中継装置を示す背面図である。
図6】同じく操作中継装置を示す左側面図である。
図7】同じく操作中継装置をドアパネルに取付けた状態の右側面図である。
図8】同じく操作中継装置をドアパネルに取付ける際の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図8を参照し、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
なお、以下の説明において、方向については、各図に示す方向に基づいて説明する。また、以下の説明において、車内側から見た状態を右側面視として説明する。
【0014】
図1に示すように、車両Cは、車体Bの側面にセンターピラーレスの乗降口1を有し、この乗降口1には、観音開きするフロントドア2及びリアドア3が設けられる。
【0015】
フロントドア2は、その前端に設けられた上下方向のドアヒンジ(図示省略)により、車体Bに枢支され、前端を中心にして開閉動作可能となっている。また、フロントドア2は、内部後端に設けられたミドルドアラッチ4が、リアドア3が閉扉状態において、リアドア3の前端面にボルト止めされたミドルストライカ5に係合することにより閉扉状態が保持される。
【0016】
リアドア3は、その後端に設けられた上下方向のドアヒンジ(図示省略)により、車体Bに枢支され、後端を中心にして開閉動作可能となっている。また、リアドア3は、前上部に設けられたアッパドアラッチ6が、車体Bの乗降口1の上縁にボルト止めされたアッパストライカ7に係合するとともに、車内側のインナーパネル30の前下部に設けられたロアドアラッチ8が、車体Bの乗降口1の下縁1aにボルト止めされたロアストライカ9に係合することにより閉扉状態が保持される。
【0017】
また、リアドア3の前端かつ上下方向の中央には、アッパドアラッチ6及びロアドアラッチ8と連携する操作中継装置10が設けられており、操作中継装置10を構成するインサイドハンドル12の一部(後述する操作部12a)が、インナーパネル30から露出している。
【0018】
(操作中継装置10)
操作中継装置10は、リアドア3を構成するアウタパネル31に、後上がりに傾斜する前端縁31aに沿って斜めに配置される(図7参照)。
【0019】
図2に示すように、操作中継装置10は、リアドア3のアウタパネル31の内面に固定されるベース11と、操作可能なインサイドハンドル12と、インサイドハンドル12へのドアの開操作による動力が伝達される第1連携レバー13及び第2連携レバー14と、第2連携レバー14及びアッパドアラッチ6を連携するアッパケーブル15と、第2連携レバー14及びロアドアラッチ8を連携するロアケーブル16とを備える。
【0020】
(ベース11)
ベース11は、金属製の単一の板材からなり、折曲げや切り起こし等の曲げ加工によって形成され、インサイドハンドル12が設けられる右側面視逆コ字型の第1面部111(図3参照)と、第1面部111と略直交し第1連携レバー13及び第2連携レバー14が設けられる第2面部112(図2図5参照)とを有する。
【0021】
図3に示すように、ベース11の第1面部111は、その上部及び下部に後方へ突出するアーム部111A、111Aを有する。上部のアーム部111Aの前側(基端側)には、ボルトS(図8参照)が挿通可能な上部挿通孔(固定部)111aが設けられ、同じく後側(先端側)には、後方へクランク状に延伸する仮止め片(特定の固定部)111cが設けられている。また、下部のアーム部111Aの前側(基端側)及び後側(先端側)には、ボルトSが挿通可能な下部挿通孔(固定部)111b、111bが設けられている。後述するように、ベース11は上下のアーム部111A、111Aの前後4点でアウタパネル31に支持され固定される。
【0022】
図2図5に示すように、ベース11の第2面部112の上部には、後方に折曲され、アッパケーブル15のアウタチューブ15aの端部を固定するアッパケーブル固定部112aと、同じく下部には、後方に折曲され、ロアケーブル16のアウタチューブ16aの端部を固定するロアケーブル固定部112bと、後述するねじりコイルばね122の下部の一端が係合するばね係合部112cとが設けられている。
【0023】
(インサイドハンドル12)
インサイドハンドル12(操作ハンドル)は、合成樹脂材料をインサート成型することにより形成され、ベース11に設けられた上下方向の軸121に枢支され、ベース11の第1面部111に回動可能に設けられる。
【0024】
図3に示すように、インサイドハンドル12は、乗員などがドアの開操作をするための操作部12aと、ベース11の第1面部111に設けられた上下方向の軸121に枢支される被支持部12bと、第1連携レバー13に係合して動力を伝達する作用部12d(図2図5参照)とを有する。軸121には、ねじりコイルばね122のコイル部が遊びをもって嵌合されている。
【0025】
図4に示すように、操作部12aは、平面視略フック状をなし、基端部(後端部)が被支持部12bに連結している。
【0026】
インサイドハンドル12は、操作部12aの前端部が全閉状態のフロントドア2のインナーパネル20の後端部に遊びを設けて近接する図4において実線で示す初期位置と、図4における時計方向に回動して、第1連携レバー13を作動させる(第2連携レバー14に係合して回転させる)図4において仮想線で示す作動位置との間を回動可能となっている。上述のように、初期位置にあるインサイドハンドル12は、全閉状態のフロントドア2のインナーパネル20に近接するため、その遊び分、僅かに回動するが、作動位置まで回動することがないように規制される。
【0027】
なお、フロントドア2が半ドア状態の場合には、インサイドハンドル12における操作部12aの前端部とフロントドア2のインナーパネル20の後端部との間には、フロントドア2の全閉状態における遊びよりも大きな間隙が生じる。
【0028】
このように本実施形態では、フロントドア2が全閉状態、又は半ドア状態において、インサイドハンドル12における操作部12aの前端部とフロントドア2のインナーパネル20の後端部との間に遊び又は間隙が設けられるため、その分、インサイドハンドル12のドアの開操作が可能となり、回動が許容される。これにより、本実施形態では、後述する第1連携レバー13及び第2連携レバー14が回動することがある。
【0029】
(第1連携レバー13)
図2に示すように、第1連携レバー13は、金属製の板状であって、ベース11の第2面部112にリベット軸131によって枢支される。第1連携レバー13は、インサイドハンドル12の作用部12dと係合する被作用部13aと、第2連携レバー14と係合してインサイドハンドル12からの動力を伝達する係合部13bと、ねじりコイルばね122の上部の他端が係合するばね係合部13cとを有する。
【0030】
図5に示すように、第1連携レバー13の被作用部13aは、インサイドハンドル12が回動した際の作用部12dの軌道上で、かつ、初期位置にあるインサイドハンドル12の作用部12dの前方に設けられている。
【0031】
第1連携レバー13は、ねじりコイルばね122によって図5における時計方向に付勢されて保持される図5に示す初期位置と、図5における反時計方向に回動して、第2連携レバー14を作動させる(アッパケーブル15及びロアケーブル16を牽引する)作動位置との間を回動可能となっている。
【0032】
第1連携レバー13は、上述のように、ねじりコイルばね122によって図5における時計方向に付勢される初期位置においては、インサイドハンドル12が、第1連携レバー13によって、図4における反時計方向へ常に付勢されるため、インサイドハンドル12は初期位置に維持される。
【0033】
(第2連携レバー14)
図2に示すように、第2連携レバー14は、金属製の板状であって、第1連携レバー13と同じリベット軸131により枢支されている。第2連携レバー14は、同軸の第1連携レバー13の裏側(前側)に配置され、第1連携レバー13の係合部13bと係合する被係合部14aと、アッパケーブル15のインナケーブル15bの端部を固定可能なアッパケーブル接続部14bと、ロアケーブル16のインナケーブル16bの端部を固定可能なロアケーブル接続部14cとを設けている。
【0034】
図5に示すように、第2連携レバー14の被係合部14aは、第1連携レバー13が回動した際の係合部13bの軌道上で、かつ、初期位置にある第1連携レバー13の係合部13bの車内側に設けられている。また、被係合部14aは、初期位置にある第1連携レバー13の係合部13bとの間に若干(例えば数mm程度)の遊びCを設けている。
【0035】
ここで、上述のように、フロントドア2が全閉状態、又は半ドア状態の場合には、インサイドハンドル12のドアの開操作により、第1連携レバー13が多少回動することがあり、その結果、第2連携レバー14が従動(回動)して、アッパケーブル15及びロアケーブル16が牽引され、連携するアッパドアラッチ6及びロアドアラッチ8におけるアッパストライカ7及びロアストライカ9との係合状態を解除してしまうことがある。
【0036】
本実施形態では、第1連携レバー13の係合部13bと第2連携レバー14の被係合部14aとの間に遊びCを設けることにより、上述のような場合に、第1連携レバー13が多少回動しても、第1連携レバー13の係合部13bが第2連携レバー14の被係合部14aに係合することがないため、第2連携レバー14は回動せず、アッパドアラッチ6及びロアドアラッチ8におけるアッパストライカ7及びロアストライカ9との係合状態を解除することはない。すなわち、本実施形態では、フロントドア2の半ドア状態等におけるインサイドハンドル12の誤操作により、リアドア3が開扉状態になることを防止することができる。
【0037】
(インサイドハンドル12へのドアの開操作による動作)
操作中継装置10は、フロントドア2が開扉状態において、インサイドハンドル12がドアの開操作されたことにより、ねじりコイルばね122の付勢力に抗して、インサイドハンドル12が初期位置から作動位置へ回動すると、インサイドハンドル12の作用部12dが、第1連携レバー13の被作用部13aに係合して、第1連携レバー13は、図5における反時計方向へ回動する。第1連携レバー13の回動により、第1連携レバー13の係合部13bが第2連携レバー14の被係合部14aに係合して、第2連携レバー14は、図5における反時計方向へ回動する。第2連携レバー14の回動により、アッパケーブル接続部14bは下方に、ロアケーブル接続部14cは上方にそれぞれ回動するため、アッパケーブル15のインナケーブル15bは下方に牽引され、ロアケーブル16のインナケーブル16bは上方に牽引される。これにより、アッパドアラッチ6のアッパストライカ7との係合状態が解除されるとともに、ロアドアラッチ8のロアストライカ9との係合状態が解除されるため、リアドア3を閉扉状態から開扉状態とすることができる。
【0038】
(操作中継装置10の重心)
図3図7の操作中継装置10には、それぞれ重心Gが示されている。
図3図6及び図7において、重心Gは、ベース11の前端部(側面視のインサイドハンドル12の操作部12aと被支持部12bとの連結部分近傍)で、かつ上下方向の略中央の位置にある。図4において、重心Gは、平面視のインサイドハンドル12の操作部12aと被支持部12bとの連結部分にある。図5において、重心Gは、背面視の第1連携レバー13のばね係合部13cの位置にある。
【0039】
図7に示すように、操作中継装置10は、予め、全ての構成部材(ベース11、インサイドハンドル12、第1連携レバー13、第2連携レバー14、アッパケーブル15、ロアケーブル16)が組み込まれた状態で、アウタパネル31に後上がりに傾斜するように取付けられる。
【0040】
図7において実線で示す操作中継装置10の重心Gは、アウタパネル31に取付けた状態において、操作中継装置10を仮止めする際に用いるベース11の上部挿通孔111aの前下方に位置している。
【0041】
このように仮止め位置となるベース11の上部挿通孔111aと重心Gとが前後に偏心している場合、仮に、ベース11の仮止め片111cを用いずに、上部挿通孔111aにボルトSを挿通して、操作中継装置10をアウタパネル31に仮止めすると、図7に示すように、操作中継装置10は、仮止め位置(上部挿通孔111a)を中心として、図7における反時計方向へ回動(後方へ移動)して仮想線に示す位置へ変位することになる。これにより、ベース11の下部挿通孔111b、111bとアウタパネル31のネジ孔31b、31bとが著しくずれるため、ネジ止めするために、操作中継装置10を図7における時計方向へ回動(前方へ移動)させて、下部挿通孔111b及びネジ孔31bを連通させる必要がある。すなわち、操作中継装置10の取付け作業の効率が非常に悪い。
【0042】
本実施形態では、図8に示すように、まず、操作中継装置10をボルトSで仮止めする前に、ベース11の上部において後方に延伸する仮止め片111cをアウタパネル31に設けた後下がりに傾斜する係合孔31cに係合させる。このとき、ベース11の上部挿通孔111aがアウタパネル31のネジ孔31bに連通する。その後、ベース11の上部挿通孔111aにボルトSを挿通させて、操作中継装置10をアウタパネル31に仮止めすると、操作中継装置10の上部の2点を安定して固定することができ、その状態で、ベース11の下部挿通孔111b、111bがアウタパネル31のネジ孔31b、31bに連通するため、ベース11の下部挿通孔111b、111bに容易にネジ止めすることができる。
【0043】
このように、操作中継装置10の重心Gが、ベース11の上部挿通孔111aから前後にずれている場合であっても、操作中継装置10を仮止め片111cによって仮止めするだけで、仮止め及び位置決めすることができるため、ネジ止めする際の位置調整が不要となり、操作中継装置10の取付け作業の効率化を図ることができる。
【0044】
なお、仮止め片111cは、上述の形状に限定されず、アウタパネル31の係合孔31cに上方から係合可能な下向きフック状等としてもよく、重心Gによる操作中継装置10の回動力が抑えられる形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0045】
また、本実施形態では、インサイドハンドル12をベース11の前側に設けているため、重心Gがベース11の前端にあるが、インサイドハンドル12をベース11の後側に設けて、重心Gがベース11の後側となるようにしてもよい。この場合は、ベース11の上部及び下部のアーム部111Aを前方へ突出させるようにして、ベース11を右側面視コ字型としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
B 車体 C 車両
G 重心 S ボルト
1 乗降口 2 フロントドア
3 リアドア 4 ミドルドアラッチ
5 ミドルストライカ 6 アッパドアラッチ
7 アッパストライカ 8 ロアドアラッチ
9 ロアストライカ 10 操作中継装置
11 ベース 12 インサイドハンドル
12a 操作部 12b 被支持部
12c 切欠き部 12d 作用部
13 第1連携レバー 13a 被作用部
13b 係合部 13c ばね係合部
14 第2連携レバー 14a 被係合部
14b アッパケーブル接続部 14c ロアケーブル接続部
15 アッパケーブル 15a アウタチューブ
15b インナケーブル 16 ロアケーブル
16a アウタチューブ 16b インナケーブル
20 インナーパネル 30 インナーパネル
31 アウタパネル 31a 前端縁
31b ネジ孔 31c 係合孔
111 第1面部 111a 上部挿通孔
111b 下部挿通孔 111c 仮止め片
112 第2面部 112a アッパケーブル固定部
112b ロアケーブル固定部 112c ばね係合部
121 軸 122 ねじりコイルばね
131 リベット軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8