IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷蔵庫 図1
  • 特許-冷蔵庫 図2
  • 特許-冷蔵庫 図3
  • 特許-冷蔵庫 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/10 20060101AFI20220513BHJP
   F25C 1/25 20180101ALI20220513BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220513BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
F25C1/10 302Z
F25C1/25 305P
F25D11/00 101B
F25D23/00 302A
F25D23/00 301N
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019011801
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020118405
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】村松 駿
(72)【発明者】
【氏名】関根 隆人
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-200781(JP,A)
【文献】特開2011-220629(JP,A)
【文献】特開平09-152244(JP,A)
【文献】特開2011-058685(JP,A)
【文献】特開平04-359778(JP,A)
【文献】特開2011-043305(JP,A)
【文献】特開2001-015247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/10
F25C 1/25
F25D 11/00
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷皿と、該製氷皿を回動させる製氷皿回動用モータと、
前記製氷皿に給水する給水ポンプと、該給水ポンプを駆動させる製氷皿給水用ポンプモータと、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータへの運転電流の供給又は運転電流の供給指令を、前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれか1つが運転している間、他方のモータを運転させないように出力する第1ドライバと、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかに供給された運転電流を検知する、前記製氷皿回動用モータと前記製氷皿給水用ポンプモータとで共通の運転検知部と
真空貯蔵室内を減圧する真空ポンプモータと、該真空ポンプモータに運転電流を供給する又は運転電流の供給指令を出力する第2ドライバと、を有し、
前記運転検知部は、前記真空ポンプモータに供給された運転電流も検知し、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかの動作中、前記第2ドライバに運転電流の供給及び供給指令を許さず、
前記真空ポンプモータの動作中、前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかの運転指令が出力された場合、前記真空ポンプモータの動作を一時停止させて前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかを運転させることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
製氷皿と、該製氷皿を回動させる製氷皿回動用モータと、
前記製氷皿に給水する給水ポンプと、該給水ポンプを駆動させる製氷皿給水用ポンプモータと、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータへの運転電流の供給又は運転電流の供給指令を、前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれか1つが運転している間、他方のモータを運転させないように出力する第1ドライバと、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかに供給された運転電流を検知する、前記製氷皿回動用モータと前記製氷皿給水用ポンプモータとで共通の運転検知部と、
真空貯蔵室内を減圧する真空ポンプモータと、該真空ポンプモータに運転電流を供給する又は運転電流の供給指令を出力する第2ドライバと、を有し、
前記運転検知部は、前記真空ポンプモータに供給された運転電流も検知し、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかの動作中、前記第2ドライバに運転電流の供給及び供給指令を前記真空ポンプモータの電流の閾値を過ぎた後は許さず、
前記真空ポンプモータの動作中、前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかの運転指令が出力された場合、前記閾値を過ぎてから前記真空ポンプモータの動作を一時停止させて前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかを運転させることを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、温度制御を停止するとともに、複数の断線検出用リード線の接続を順次切換えながら断線検出用リード線に流れる電流を取り込み、その電流量に基づいてヒータの断線の有無を検出する方法を開示する(0010)。すなわち、通常の温度制御を敢えて停止した上で、リレーを使って断線検知対象を順次切り替えて、断線検出用リード線3に流れる電流値に基づいて断線警報器でヒータに断線がないか確認する構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-15247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、ヒータの故障(断線)の検査を行うものであり、対象のヒータについて、断線検知用の制御を通常の駆動とは別に実行する必要がある。ヒータによる加熱を行うべきか停止すべきかといったヒータの必要性を検出しようとするものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記事情に鑑みてなされた本発明に係る冷蔵庫は、
製氷皿と、該製氷皿を回動させる製氷皿回動用モータと、
前記製氷皿に給水する給水ポンプと、該給水ポンプを駆動させる製氷皿給水用ポンプモータと、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータへの運転電流の供給又は運転電流の供給指令を、前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれか1つが運転している間、他方のモータを運転させないように出力する第1ドライバと、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかに供給された運転電流を検知する、前記製氷皿回動用モータと前記製氷皿給水用ポンプモータとで共通の運転検知部と
真空貯蔵室内を減圧する真空ポンプモータと、該真空ポンプモータに運転電流を供給する又は運転電流の供給指令を出力する第2ドライバと、を有し、
前記運転検知部は、前記真空ポンプモータに供給された運転電流も検知し、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかの動作中、前記第2ドライバに運転電流の供給及び供給指令を許さず、
前記真空ポンプモータの動作中、前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかの運転指令が出力された場合、前記真空ポンプモータの動作を一時停止させて前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかを運転させることを特徴とする。
また、本発明に係る冷蔵庫は、
製氷皿と、該製氷皿を回動させる製氷皿回動用モータと、
前記製氷皿に給水する給水ポンプと、該給水ポンプを駆動させる製氷皿給水用ポンプモータと、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータへの運転電流の供給又は運転電流の供給指令を、前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれか1つが運転している間、他方のモータを運転させないように出力する第1ドライバと、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかに供給された運転電流を検知する、前記製氷皿回動用モータと前記製氷皿給水用ポンプモータとで共通の運転検知部と、
真空貯蔵室内を減圧する真空ポンプモータと、該真空ポンプモータに運転電流を供給する又は運転電流の供給指令を出力する第2ドライバと、を有し、
前記運転検知部は、前記真空ポンプモータに供給された運転電流も検知し、
前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかの動作中、前記第2ドライバに運転電流の供給及び供給指令を前記真空ポンプモータ電流の閾値を過ぎた後は許さず、
前記真空ポンプモータの動作中、前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかの運転指令が出力された場合、前記閾値を過ぎてから前記真空ポンプモータの動作を一時停止させて前記製氷皿回動用モータ及び前記製氷皿給水用ポンプモータのいずれかを運転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、運転検知部を共通化して部品点数を抑制し、対象の部品の通常駆動を観察することで、敢えて通常の制御とは別の制御を実行せずとも検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の冷蔵庫の横断面図
図2】実施例1のモータ異常検出回路ブロック
図3】実施例1のIMモータ及び真空ポンプモータの第1動作タイムチャート
図4】実施例1のIMモータ及び真空ポンプモータの第2動作タイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立したものである必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素の部材から成ること、等を許容する。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1の冷蔵庫の横断面図である。冷蔵庫は、上から順に2つの冷蔵室と、冷凍室と、野菜室とを有する。例えば冷蔵室内には、給水タンク20及び給水タンク20内の水を汲み上げる給水ポンプモータ2が配されている。冷凍室内には、製氷皿10と、製氷皿10を回動させる製氷皿回動用モータ1が配されている。給水ポンプモータ2で汲み上げられた水は、製氷皿10に供給される。
【0010】
また、図1の断面では看取できないが、冷蔵室内には真空貯蔵室と真空貯蔵室を脱気する真空ポンプモータ3が配されている。また、冷蔵庫の冷凍サイクルやモータ1~3を制御する制御装置(例えば制御マイコン8)が配されている。
【0011】
図2は実施例1に係るモータ異常検出回路ブロックである。自動製氷機能で使用する製氷皿回動用モータ1及び給水ポンプモータ2は第1モータドライバIC4で駆動され、真空ポンプモータ3は第2モータドライバIC5で駆動される。各モータ1~3の運転電流は各モータドライブICのGND部に共通で接続したシャント抵抗6(運転検知部)を介して電圧に変換した後にオペアンプ7で増幅され制御マイコン8に入力される。
【0012】
自動製氷機能では、例えば給水後一定時間が経過したら製氷が完了したと判定する。製氷皿10を製氷皿回動用モータ1で回動させて氷を製氷皿10から離脱させる離氷動作を実行する。その後、給水ポンプモータ2が水を汲み上げて製氷皿10に給水し、給水した水が凍り製氷が完了するまで、予め定められた一定時間待機する。製氷完了後、再び離氷動作を行う。この繰り返しで製氷が行われる。
【0013】
このように、本実施例の製氷皿回動用モータ1及び給水ポンプモータ2は同時動作することはなく、文脈からこれら2つを混同する虞が無いことから、製氷皿回動用モータ1及び給水ポンプモータ2を以後まとめてIMモータ1,2と呼ぶこととする。
【0014】
図3は、本実施例のIMモータ及び真空ポンプモータの第1動作タイムチャートである。本実施例では、真空ポンプモータ3動作中にIMモータ1,2の運転指示が出た場合、IMモータ1,2動作を優先し真空ポンプモータ3を一時停止するようにしている。IMモータ1,2の動作が完了したら、一時停止を解除して真空ポンプモータ3の動作を再開する。IMモータ1,2は冷蔵庫のユーザが製氷皿10の清掃に伴って動作させることがあるため、動作指令から時間を空けずに動作しないと故障との疑念を抱かせてしまう虞があるためである。
【0015】
図4は、本実施例のIMモータ1,2及び真空ポンプモータ3の第2動作タイムチャートである。IMモータ1,2動作中に真空ポンプモータ3の運転指示が出た場合、IMモータ1,2の動作が優先されるから、真空ポンプモータ3は停止したままとなる。IMモータ1,2の動作がそのまま継続され、動作完了後に真空ポンプモータ3の動作が開始する。
【0016】
したがって、IMモータ1,2と真空ポンプモータ3が同時に動作することはないので、モータ電流検出用回路を共用化しても各々のモータ電流の検出が可能である。本実施例によれば、製氷皿回動用モータ1のモータ電流値が上昇した場合は、製氷皿に氷が挟まるなどして製氷皿が回動できなくなったという異状を検知できる。給水ポンプモータ2の電流値が上昇した場合は、給水タンク20の水がなくなった又は少なくなったという異状を検知できる。真空ポンプモータ3の電流値の変化によって真空貯蔵室内の圧力を検知できる。
【0017】
すなわち、IMモータ1,2の電流上昇からはIMモータ1,2の異常を検知でき、真空ポンプモータ3の電流値変化からは真空ポンプモータ3への電流供給の必要性の有無を判断できる。
【0018】
なお、真空貯蔵室の減圧を或る程度行うことを優先させるべく、真空ポンプモータ3の電流値について閾値を設け、真空ポンプモータ3の運転指示が出た場合、閾値を過ぎるまでは真空ポンプモータ3の動作を優先させ、過ぎた後はIMモータ1,2の動作を優先させるようにしても良い。
【0019】
本願は次の思想を包含する。
2つ又は3つ以上のモータと、
2つ以上の前記モータに運転電流を供給する又は運転電流の供給指令を出力するドライバと、
前記モータのいずれかに供給された運転電流を検知する運転検知部と、を有し、
前記モータのいずれか1つが運転している間、残りのモータは運転していない、複数のモータの異常検知装置。
【符号の説明】
【0020】
1 製氷皿回動用モータ
2 給水ポンプモータ
3 真空ポンプモータ
4 第1モータドライバIC
5 第2モータドライバIC
6 シャント抵抗(運転検知部)
7 オペアンプ
8 制御マイコン
図1
図2
図3
図4