(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】飲料用チョコレート
(51)【国際特許分類】
A23G 1/56 20060101AFI20220516BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20220516BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20220516BHJP
【FI】
A23G1/56
A23L2/00 A
A23L2/38 C
(21)【出願番号】P 2018063621
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000227009
【氏名又は名称】日清オイリオグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397059157
【氏名又は名称】大東カカオ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】明星 奈穂子
(72)【発明者】
【氏名】中川 翔
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勉
【審査官】楠 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-219543(JP,A)
【文献】特開昭61-141873(JP,A)
【文献】特開昭54-157880(JP,A)
【文献】特開2007-020438(JP,A)
【文献】国際公開第2017/077754(WO,A1)
【文献】特開2014-176327(JP,A)
【文献】台湾特許出願公開第200901902(TW,A)
【文献】中国特許出願公開第101731501(CN,A)
【文献】特開平10-042801(JP,A)
【文献】特開2006-271278(JP,A)
【文献】特開平06-125706(JP,A)
【文献】特開2005-341933(JP,A)
【文献】特開2009-159832(JP,A)
【文献】加藤友治,「食品分野における界面活性剤」,オレオサイエンス,2001年,Vol. 1, No. 10,pp. 1013-1019
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00-9/52
A23L 2/00-2/84
A23D 7/00-9/06
CAplus/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記乳化剤Aを0.01~5質量%、下記乳化剤Bを0.01~5質量%含有する飲料用チョコレート。
乳化剤A:HLBが10以上、重合度が3以上、構成脂肪酸が炭素数12以上の飽和脂肪酸のポリグリセリン脂肪酸エステル
乳化剤B:
HLBが5~8のグリセリンクエン酸オレイン酸エステル
【請求項2】
下記乳化剤Aを0.01~5質量%、下記乳化剤Bを0.01~5質量%
、油脂を1~27.1質量%含有する飲料用チョコレート。
乳化剤A:HLBが10以上、重合度が3以上、構成脂肪酸が炭素数12以上の飽和脂肪酸のポリグリセリン脂肪酸エステル
乳化剤B:HLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸のソルビタン脂肪酸エステル及び/又は
HLBが5~8のグリセリンクエン酸オレイン酸エステル
【請求項3】
カカオマスを5~60質量%含有する請求項1又は請求項2に記載の飲料用チョコレート。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の飲料用チョコレートを使用して得られるチョコレート飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用チョコレートに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
チョコレート飲料は、チョコレートを原料とし、チョコレートの風味をした飲み物である。チョコレート飲料に使用されるチョコレートには、ココアパウダーに、糖類、乳製品等を加えて調整された調整ココアパウダーがよく使用される。チョコレート飲料に使用される調整ココアパウダーとしては、特許文献1~5等が提案されている。
【0003】
チョコレート飲料は、チョコレートに、お湯、水、牛乳等の液体の物質を加えて溶かして作られる。しかしながら、通常、チョコレートは油脂を含有していることから、一般的には、チョコレートは液体の物質に分散しにくかった。また、チョコレートを液体の物質に溶かした場合、チョコレートから油脂が分離して、液面に油浮きが起こることがあった。さらに、チョコレートを液体の物質に溶かした場合、チョコレートに含まれる不溶性成分が沈降して、容器の底に不溶性成分が溜まってしまうことがあった。
【0004】
従って、以下の1)~3)の効果を有する飲料用チョコレートの開発が求められていた。
1)液体の物質に分散しやすい。
2)液体の物質に溶かした後の油浮きが少ない。
3)液体の物質に溶かした後の不溶性成分の沈降が少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-217305号公報
【文献】特開2014-68581号公報
【文献】特開2011-19441号公報
【文献】特開2007-49962号公報
【文献】特開2005-261391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、以下の1)~3)の効果を有する飲料用チョコレートを提供することにある。
1)液体の物質に分散しやすい。
2)液体の物質に溶かした後の油浮きが少ない。
3)液体の物質に溶かした後の不溶性成分の沈降が少ない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の乳化剤を使用すると、以下の1)~3)の効果を有する飲料用チョコレートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
1)液体の物質に分散しやすい。
2)液体の物質に溶かした後の油浮きが少ない。
3)液体の物質に溶かした後の不溶性成分の沈降が少ない。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、下記乳化剤Aを0.01~5質量%、下記乳化剤Bを0.01~5質量%含有する飲料用チョコレートである。
乳化剤A:HLBが10以上、重合度が3以上、構成脂肪酸が炭素数12以上の飽和脂肪酸のポリグリセリン脂肪酸エステル
乳化剤B:HLBが5~8のグリセリンクエン酸オレイン酸エステル
本発明の第2の発明は、下記乳化剤Aを0.01~5質量%、下記乳化剤Bを0.01~5質量%、油脂を1~27.1質量%含有する飲料用チョコレートである。
乳化剤A:HLBが10以上、重合度が3以上、構成脂肪酸が炭素数12以上の飽和脂肪酸のポリグリセリン脂肪酸エステル
乳化剤B:HLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸のソルビタン脂肪酸エステル及び/又はHLBが5~8のグリセリンクエン酸オレイン酸エステル
本発明の第3の発明は、カカオマスを5~60質量%含有する第1の発明又は第2の発明に記載の飲料用チョコレートである。
本発明の第4の発明は、第1の発明~第3の発明のいずれか1つの発明に記載の飲料用チョコレートを使用して得られるチョコレート飲料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、以下の1)~3)の効果を有する飲料用チョコレートを提供することができる。
1)液体の物質に分散しやすい。
2)液体の物質に溶かした後の油浮きが少ない。
3)液体の物質に溶かした後の不溶性成分の沈降が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、下記乳化剤Aを0.01~5質量%、下記乳化剤Bを0.01~5質量%含有する。
乳化剤A:HLBが10以上、重合度が3以上、構成脂肪酸が炭素数12以上の飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル
乳化剤B:HLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸であるソルビタン脂肪酸エステル及び/又はHLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸であるグリセリン有機酸脂肪酸エステルである。
【0011】
本発明で飲料用チョコレートは、チョコレート飲料の製造に使用されるチョコレートである。なお、チョコレート飲料は、チョコレートドリンク、ココア飲料、ココアドリンクともいう。
本発明でチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上で規定されたチョコレートに限定されない。本発明でチョコレートは、カカオ分、乳化剤を主原料とし、必要により砂糖等の甘味成分、乳製品、食用油脂、香料等を加えて製造される食品である。なお、本発明でカカオ分は、カカオマス、ココアバター、ココアパウダー、カカオエキスパウダー等のカカオ豆から得られる原料である。
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、好ましくは油脂が連続相をなし、水分含量が3質量%以下である。
【0012】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、下記乳化剤Aを含有する。本発明の実施の形態の飲料用チョコレートの製造に使用される乳化剤Aは、HLBが10以上、重合度が3以上、構成脂肪酸が炭素数12以上の飽和脂肪酸のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、好ましくはHLBが10~16、重合度が3~10、構成脂肪酸が炭素数12~18の飽和脂肪酸のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、より好ましくはHLBが12~15、重合度が3~8、構成脂肪酸が炭素数12~16の飽和脂肪酸のポリグリセリン脂肪酸エステルであり、さらに好ましくはHLBが12~15のペンタグリセリンミリスチン酸エステルである。
【0013】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、前記乳化剤Aを0.01~5質量%含有し、好ましくは0.1~3質量%含有し、より好ましくは0.3~2質量%含有し、さらに好ましくは0.4~1質量%含有する。
【0014】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、下記乳化剤Bを含有する。本発明の実施の形態の飲料用チョコレートの製造に使用される乳化剤Bは、HLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸のソルビタン脂肪酸エステル及び/又はHLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸のグリセリン有機酸脂肪酸エステルであり、好ましくはHLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸のソルビタン脂肪酸エステルである。本発明の実施の形態の飲料用チョコレートの製造に使用される乳化剤Bが、HLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸のソルビタン脂肪酸エステルである場合、本発明の実施の形態の飲料用チョコレートがフレーク状又は粉末状である場合の凝集がより少ない。
前記ソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくはHLBが1~8、構成脂肪酸が炭素数16~18の不飽和脂肪酸のソルビタン脂肪酸エステルであり、より好ましくはHLBが3~8、構成脂肪酸が炭素数18の不飽和脂肪酸のソルビタン脂肪酸エステルであり、さらに好ましくはHLBが3~6のソルビタンオレイン酸エステルである。
前記HLBが8以下、構成脂肪酸が炭素数16以上の不飽和脂肪酸のグリセリン有機酸脂肪酸エステルは、好ましくはHLBが1~8、構成脂肪酸が炭素数16~18の不飽和脂肪酸のグリセリン有機酸脂肪酸エステルであり、より好ましくはHLBが3~8、構成脂肪酸が炭素数18の不飽和脂肪酸のグリセリン有機酸脂肪酸エステルであり、さらに好ましくはHLBが5~8のグリセリンクエン酸オレイン酸エステルである。なお、グリセリン有機酸脂肪酸エステルは、グリセリンに有機酸と脂肪酸が1分子ずつエステル結合しており、有機酸モノグリセリドともいう。
【0015】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、前記乳化剤Bを0.01~5質量%含有し、好ましくは0.03~3質量%含有し、より好ましくは0.1~1.8質量%含有し、より好ましくは0.3~1.3質量%含有する。
【0016】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートが、前記乳化剤A及び前記乳化剤Bを前記範囲で含有すると、下記1)~3)の効果を有する飲料用チョコレートが得られる。
1)液体の物質に分散しやすい。
2)液体の物質に溶かした後の油浮きが少ない。
3)液体の物質に溶かした後の不溶性成分の沈降が少ない。
なお、本発明での液体の物質は、一般的にチョコレート飲料の製造に使用される液体の物質のことであり、具体的には、水、お湯、牛乳等である。
【0017】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、油脂を好ましくは1~40質量%含有し、より好ましく10~35質量%含有し、さらに好ましく20~35質量%含有し、最も好ましくは20~30質量%含有する。通常、飲料用チョコレートは、油脂含有量が高いほど、液体の物質に分散しにくく、液体の物質に溶かした後の油浮き及び不溶性成分の沈降が多くなる。しかしながら、本発明によると、油脂含有量が高くても、液体の物質に分散しやすく、液体の物質に溶かした後の油浮き及び不溶性成分の沈降が少ない飲料用チョコレートが得られる。
なお、本発明で油脂は、チョコレートに含まれる全ての油脂を合わせた全油脂分である(例えば、チョコレートがカカオマス、油脂aを含む場合、油脂は、カカオマスに含まれるココアバターと油脂aの混合油である。)。すなわち、本発明で油脂は、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)を含む。
【0018】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートの製造に使用される油脂は、一般的に飲料用チョコレートの製造に使用される食用油脂であれば、特に制限されない。飲料用チョコレートの製造に使用される食用油脂としては、例えば、ココアバター、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、乳脂等や、これらの加工油脂(水素添加油、分別油、エステル交換油)等が挙げられる。これらの食用油脂は2種以上組み合せて使用することもできる。前述したように、カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等の含油原料を配合することで、飲料用チョコレートに油脂を配合することもできる。本発明の実施の形態の飲料用チョコレートの製造に使用される油脂は、好ましくはココアバターである。
【0019】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、カカオマスを好ましくは5~60質量%含有し、より好ましく15~55質量%含有し、さらに好ましく25~53質量%含有し、最も好ましくは40~50質量%含有する。通常、飲料用チョコレートに配合されるカカオマスの量が多いと、得られるチョコレート飲料は、チョコレートの風味が豊かで、より美味しくなる。その反面、カカオマスは、油脂(ココアバター)を約55質量%含むことから、カカオマスの量が多いチョコレートは、油脂含有量が高くなる。しかしながら、前述したように、本発明によると、油脂含有量が高くても、液体の物質に分散しやすく、液体の物質に溶かした後の油浮き及び不溶性成分の沈降が少ない飲料用チョコレートが得られる。従って、本発明によると、飲料用チョコレートにカカオマスを多く配合することができる。その結果として、本発明によると、チョコレートの風味が豊かで、より美味しいチョコレート飲料が得られる。
【0020】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、糖類を好ましくは20~75質量%含有し、より好ましくは25~65質量%含有し、さらに好ましくは30~55質量%含有する。なお、本発明で糖類とは、単糖類、二糖類のことである。糖類の具体例は、砂糖(ショ糖)、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖等である。本発明の実施の形態の飲料用チョコレートの製造に使用される糖類は、好ましくは砂糖である。
【0021】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、前記成分の他に、飲料用チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、ココアパウダー、カカオエキスパウダー等のカカオ分、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラクチトール等の糖アルコール、ラフィノース等のオリゴ糖、アスパルテーム、ステビア、サッカリン等の甘味料、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤A、B以外の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
【0022】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、従来公知の飲料用チョコレートの製造方法で製造することができる。本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、例えば、カカオ分、乳化剤、砂糖等を原料とし、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程の全部の工程乃至一部の工程を経て製造される。本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、好ましくは混合工程、微粒化工程を経て製造される。また、本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、好ましくは混合工程、微粒化工程を経て、精練工程を経ずに製造される。飲料用チョコレートが混合工程、微粒化工程を経て、精練工程を経ずに製造されると、飲料用チョコレートは、形状がフレーク状又は粉末状になる。飲料用チョコレートは、形状がフレーク状又は粉末状であると、液体の物質に溶けやすくなる。
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、形状が好ましくはフレーク状又は粉末状である。
【0023】
本発明の実施の形態の飲料用チョコレートは、以下の1)~3)の効果を有する。
1)液体の物質に分散しやすい。
2)液体の物質に溶かした後の油浮きが少ない。
3)液体の物質に溶かした後の不溶性成分の沈降が少ない。
【0024】
本発明の実施の形態のチョコレート飲料は、本発明の実施の形態の飲料用チョコレートを使用して得られる。
本発明の実施の形態のチョコレート飲料は、本発明の実施の形態の飲料用チョコレート1質量部に対して、液体の物質が、好ましくは3.3~40質量部加えられ、より好ましくは4~30質量部加えられ、さらに好ましくは5~25質量部加えられる。
【0025】
本発明の実施の形態のチョコレート飲料の製造に使用される液体の物質は、一般的にチョコレート飲料の製造に使用される液体の物質であれば特に制限されない。本発明の実施の形態のチョコレート飲料の製造に使用される液体の物質は、例えば、水、お湯、牛乳等であり、好ましくはお湯である。
【0026】
本発明の実施の形態のチョコレート飲料は、本発明の実施の形態の飲料用チョコレートを使用すること以外、従来公知のチョコレート飲料の製造方法で製造することができる。
【0027】
本発明の実施の形態のチョコレート飲料は、以下の1)~3)の効果を有する。
1)チョコレートが良く分散している。
2)油浮きが少ない。
3)不溶性成分の沈降が少ない。
【実施例】
【0028】
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。しかし、本発明はこれらに何ら制限されない。
【0029】
乳化剤は、以下に示したものを使用した。
乳化剤A1(製品名:サンソフトA-141E、一般名:ペンタグリセリンミリスチン酸エステル、HLB:13.0、販売会社:太陽化学株式会社)
乳化剤B1(製品名:ポエムO-80V、一般名:ソルビタン酸オレイン酸エステル、HLB:4.9、販売会社:理研ビタミン株式会社)
乳化剤B2(製品名:ポエムK-37V、一般名:グリセリンクエン酸オレイン酸エステル、HLB:6.0、販売会社:理研ビタミン株式会社)
乳化剤C1(製品名:ポエムDO-100V、一般名:ジグリセリンオレイン酸エステル、HLB:7.4、販売会社:理研ビタミン株式会社)
乳化剤C2(製品名:ポエムB-100、一般名:グリセリンベヘニン酸エステル、HLB:4.2、販売会社:理研ビタミン株式会社)
乳化剤C3(製品名:ポエムW-60、一般名:グリセリンジアセチル酒石酸ステアリン酸エステル、HLB:9.5、販売会社:理研ビタミン株式会社)
乳化剤C4(製品名:リケマールPO-100V、一般名:プロピレングリコールオレイン酸エステル、HLB:3.4、販売会社:理研ビタミン株式会社)
【0030】
〔飲料用チョコレートの製造〕
表1~5に示された配合で飲料用チョコレートを製造した。飲料用チョコレートは、原料をミキサーで混合した後、ロールリファイナーで微粒化することで製造した。製造された全ての飲料用チョコレートは、形状が粉末状で、水分含量が3質量%以下であった。なお、乳化剤B1を使用した実施例1~5の飲料用チョコレートは凝集が認められなかったが、乳化剤B2を使用した実施例6~11の飲料用チョコレートは経時的に凝集が認められた。
【0031】
〔飲料用チョコレートの評価〕
各飲料用チョコレート5gが充填された270mLの透明なカップに、約80℃のお湯100gを注ぎ(飲料用チョコレート1質量部に対して、液体の物質20質量部を加えた。)、1分間攪拌することで、チョコレート飲料を製造した。製造された各チョコレート飲料のチョコレートの分散性、油浮き、不溶性成分の沈降を、以下の評価方法及び評価基準で評価した。評価結果の全てが○又は△である場合、結果が良好であると判断した。評価結果を表1~5に示した。
【0032】
〔チョコレートの分散性の評価方法及び評価基準〕
攪拌が終了してから5分後のチョコレート飲料の上面をスポイトで1.5g採取し、直径3.5cmのシャーレに入れる。シャーレを白色の紙の上に置き、シャーレの上からチョコレート飲料を目視で観察する。
○:シャーレの下に敷いた紙の色が全く見えない。
△:シャーレの下に敷いた紙の色が少し見える。
×:シャーレの下に敷いた紙の色がはっきりと見える。
【0033】
〔油浮きの評価方法及び評価基準〕
攪拌が終了してから5分後のチョコレート飲料の上面を目視で観察する。
○:油浮きがほとんど認められない。
△:油浮きが少し認められる。
×:油浮きがかなり認められる。
【0034】
〔不溶性成分の沈降の評価方法及び評価基準〕
攪拌が終了してから1分後、5分後、15分後のカップの底に溜まった不溶性成分の量を測定する。カップの底に溜まった不溶性成分の量は、カップの底からの高さで測定する。
○:不溶性成分がほとんど沈降していない。
△:不溶性成分が沈降しているが、カップの底からの高さが5mm未満である。
×:不溶性成分が沈降しており、カップの底からの高さが5mm以上である。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
表1~3から分かるように、実施例の飲料用チョコレートは、本発明で所望する効果を有していた。
一方、表1、2、4、5から分かるように、比較例飲料用チョコレートは、本発明で所望する効果を有していなかった。