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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/532 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
A61F13/532 200
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018057861
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019166230
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水元 陽星
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-109859(JP,A)
【文献】特開2009-131417(JP,A)
【文献】実開平2-30326(JP,U)
【文献】特開昭60-150746(JP,A)
【文献】特表2001-506526(JP,A)
【文献】特表平8-508662(JP,A)
【文献】特開2016-49199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、両シートの間に設けられた吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、装着時に装着者の股間に対応する股間対応領域と、前記股間対応領域の前方及び後方にそれぞれ隣接する前方領域及び後方領域とを有し、少なくとも前記股間対応領域から前記後方領域に亘る領域に設けられた、前方から後方に向かって密度が段階的に又は漸次増加する密度変化部を有し、
前記密度変化部は、前方から後方に向かって、低密度部、中密度部、及び高密度部を有し、
前記吸収体に、前後方向に延びる溝が設けられ、
前記溝が設けられている部分が前記密度変化部を有し、
前記中密度部の厚みは、前記低密度部及び前記高密度部の厚みよりも大きい吸収性物品。
【請求項2】
透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、両シートの間に設けられた吸収体とを有する吸収性物品であって、
前記吸収体は、装着時に装着者の股間に対応する股間対応領域と、前記股間対応領域の前方及び後方にそれぞれ隣接する前方領域及び後方領域とを有し、少なくとも前記股間対応領域から前記後方領域に亘る領域に設けられた、前方から後方に向かって密度が段階的に又は漸次増加する密度変化部を有し、
前記密度変化部は、前方から後方に向かって、低密度部、中密度部、及び高密度部を有し、
前記吸収体に、前後方向に延びる溝が設けられ、前記溝は、前後方向に別個の前溝及び後溝を有し、
前記前溝が設けられている部分が前記低密度部を有し、前記後溝が設けられている部分が前記高密度部を有し、前記前溝が設けられている部分と前記後溝が設けられている部分との間の部分が前記中密度部を有する吸収性物品。
【請求項3】
前記密度変化部は、前後方向に直交する幅方向で見て中央に位置し且つ装着時に装着者の体液排出口に対応する体液排出口対応部を含む中央領域に設けられている、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記中密度部は、前記後方領域に設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記中密度部の、前後方向に切った断面で見た形状が台形形状となっている、請求項1から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品としては、パッドタイプ、テープタイプ、パンツタイプ等の形態の使い捨ておむつの他、生理用ナプキンが知られている。このような吸収性物品の構成としては、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、両シートの間に設けられた吸収体とを有するものが一般的である。
【0003】
上記吸収性物品では、体液が排出された箇所及びその周辺のみならず、吸収体全体を活用するという観点から、吸収体における体液の拡散性を向上させることが好ましく、そのための様々な構成が提案されている。一例として、吸収体に、前後方向に延びる溝を設け、体液を前後方向に移行しやすくした構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5836782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているような溝を有する構成のみでは、多量の体液が一気に排出された場合等には、体液が急速に後方に移行してしまう可能性がある。その場合、吸収体の前方と後方とで吸収量に偏りが生じ、吸収体全体の活用を却って妨げる結果となることがある。
【0006】
上記の点に鑑みて、適切な速度で体液を移行させ、吸収体を前後方向の広い範囲で活用することのできる吸収性物品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の形態は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、両シートの間に設けられた吸収体とを有する吸収性物品であって、前記吸収体は、装着時に装着者の股間に対応する股間対応領域と、前記股間対応領域の前方及び後方にそれぞれ隣接する前方領域及び後方領域とを有し、少なくとも前記股間対応領域から前記後方領域に亘る領域に設けられた、前方から後方に向かって密度が段階的に又は漸次増加する密度変化部を有する。
【0008】
上記第一の形態によれば、少なくとも股間対応領域から後方領域に亘る領域に設けられた、前方から後方に向かって密度が増加する密度変化部を有することにより、前方から後方へ向かって体液を誘導することができる。そのため、多量の体液が一気に排出された場合等でも、後方領域の吸収体を十分に利用することができ、体液が股間対応領域の側方から漏れてしまうことを防止することができる。また、本形態では、密度変化部の密度が段階的に又は漸次変化していることで、体液を適切な速度で後方へと誘導することができる。これにより、股間対応領域及び後方領域の両方を有効に活用することができる。
【0009】
本発明の第二の形態では、前記密度変化部は、前後方向に直交する幅方向で見て中央に位置し且つ装着時に装着者の体液排出口に対応する体液排出口対応部を含む中央領域に設けられている。
【0010】
上記第二の形態によれば、密度変化部が中央領域に設けられていることで、体液を、通常の装着状態で排出された位置である程度直ちに吸収し、後方へと良好に分散させることができる。
【0011】
上記第三の形態では、前記密度変化部は、前方から後方に向かって、低密度部、中密度部、及び高密度部を有し、前記吸収体に、前後方向に延びる溝が設けられ、前記溝が設けられている部分が前記密度変化部を有する。
【0012】
本発明の第三の形態によれば、溝が設けられていることによって、溝に沿って体液が前後方向に移行しやすくなるので、上述したような前方から後方に向かう体液の拡散を促進させることができる。また、密度変化部が、前方から後方に向かって、低密度部、中密度部、及び高密度部を有していることで、体液を、溝に沿って、速過ぎない適切な速度で後方に分散することができ、股間対応領域及び後方領域の両方を有効に活用することができる。
【0013】
本発明の第四の形態では、前記中密度部の厚みは、前記低密度部及び前記高密度部の厚みよりも大きい。
【0014】
上記第四の形態によれば、中密度部の厚みが、高密度部及び低密度部の厚みより大きいことで、側方から力を受けた場合でも、溝が潰れにくくなる。
【0015】
本発明の第五の形態では、前記密度変化部は、前方から後方に向かって、低密度部、中密度部、及び高密度部を有し、前記吸収体に、前後方向に延びる溝が設けられ、前記溝は、前後方向に別個の前溝及び後溝を有し、前記前溝が設けられている部分が前記低密度部を有し、前記後溝が設けられている部分が前記高密度部を有し、前記前溝が設けられている部分と前記後溝が設けられている部分との間の部分が前記中密度部を有する。
【0016】
上記第五の形態によれば、前溝及び後溝が設けられていることで、各溝に沿って体液が前後方向に移行しやすくなるので、上述したような前方から後方に向かう体液の拡散を促進させることができる。また、前溝及び後溝を前後方向に別個の溝としていることで、側方から力を受けた場合でも、各溝が潰れにくくなる。さらに、前溝が設けられている部分が低密度部を有し、後溝が設けられている部分が高密度部を有し、その中間の部分が中密度部を有することで、体液を、溝に沿って、速過ぎない適切な速度で後方に移行することができ、股間対応領域及び後方領域の両方を有効に活用することができる。
【0017】
本発明の第六の形態では、前記中密度部は、前記後方領域に設けられている。
【0018】
上記第六の形態によれば、中密度部が後方領域に設けられていることで、密度変化部を前後方向にバランス良く構成することができる。
【0019】
本発明の第七の形態では、前記中密度部の、前後方向に切った断面で見た形状が台形形状となっている。
【0020】
上記第七の形態によれば、前後方向断面で見て、中密度部の形状が台形形状となっていることで、吸収体の表面を伝って中密度部に到達してきた体液を、中密度部の手前に滞留しにくくすることができ、体液を良好に後方へと移行させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一形態によれば、適切な速度で体液を移行させ、吸収体を前後方向の広い範囲で活用することのできる吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一形態による吸収性物品の平面図である。
図2図1のI-I線断面図である。
図3図1の形態における吸収体の平面図である。
図4】本発明の別の形態における吸収体の平面図である。
図5】本発明の別の形態における吸収体の平面図である。
図6図5のII-II線断面図である。
図7図5及び図6に示す吸収体の変形例を示す図である。
図8図7に示す吸収体の製造について説明する図である。
図9】本発明の別の形態における吸収体の平面図である。
図10図9のIII-III線断面図である。
図11】本発明の別の形態における吸収体の平面図である。
図12】本発明の別の形態における吸収体の断面図である。
図13図12に示す吸収体の、装着時の状態を示す図である。
図14図12に示す吸収体の変形例の、装着時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0024】
図1に、本発明の一形態による吸収性物品100の上面図を示す。また、図2に、図1のI-I線断面図を示す。本形態では、例として、パッドタイプ使い捨ておむつ(尿取りパッド)について説明する。
【0025】
図1及び図2に示すように、吸収性物品100は、透液性のトップシート22と、不透液性のバックシート21と、両シート21、22の間に設けられた吸収体30とを有している。図1に示すように、吸収体30は、不織布やクレープ紙等の包装シート26によって包まれていてもよい。吸収性物品100を装着する際には、トップシート22側が肌側となり、バックシート21側は、アウター(外側のおむつ)や下着等に固定される。
【0026】
本形態では、吸収性物品100は、平面視で、全体として細長い形状を有している。すなわち、吸収性物品100は、第1方向(前後方向又は長手方向)D1に所定の長さを有し、第1方向D1と直交する第2方向(幅方向)D2に、上記長さより小さい所定の幅を有する。吸収性物品100の前方及び後方は、装着時にはそれぞれ腹側及び背側に相当する。また、吸収性物品100の形状は、前後方向中心線CLを対称線として線対称であってよく、また吸収性物品100の構成も、線対称であってよい。
【0027】
図1に示すように、吸収性物品100は、前後方向D1で見て中央付近に、股間対応領域B1を有する。本明細書において、「股間対応領域」とは、使用時に身体の股間(股下)に対応させる部分を意味する。股間対応領域B1は、例えば、吸収性物品の前後方向中央若しくはその近傍から前方の所定位置までの範囲であってもよいし、吸収性物品の前後方向中央の所定範囲であってよい。図示の形態では、吸収性物品100には、幅が狭くなっている括れ部分が形成されているが、その括れ部分が形成されている領域の一部が股間対応領域となっている。また、股間対応領域B1の前方に隣接し、吸収性物品100の前端までの領域が前方領域A1となっており、股間対応領域B1の後方に隣接し、吸収性物品100の後端までの領域が後方領域C1となっている。
【0028】
なお、吸収性物品100の平面視形状は、上述のように、前後の領域に比べて幅が狭くなっている部分(括れ部分)を有するものでなくとも、前後方向D1にわたって幅が一定である矩形状等、他の形状とすることもできる。
【0029】
吸収性物品100の全長(前後方向D1の長さ)は、350~700mm程度、全幅(幅方向D2の長さ)は130~400mm程度とすることができる。また、股間対応領域B1の前後方向D1の長さは10~150mm程度、前方領域A1の前後方向D1の長さは50~350mm程度、後方領域C1の前後方向D1の長さは50~350mm程度とすることができる。また、吸収性物品100が括れ部分有する場合、その最小幅は、吸収性物品100の全幅(括れ部分の前後における幅方向D2の長さ)の50~90%程度であるのが好ましい。
【0030】
図1に示すように、バックシート21のサイズは、吸収体30よりも大きくなっていてよい。そして、吸収体30は、バックシート21の範囲内に収まるように配置することができる。不透液性のバックシート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。なお、バックシート21の外面は、不織布等の外装シートにより覆うこともできる。
【0031】
吸収体30の表側には、トップシート22が配置されている。図示の形態では、トップシート22は、吸収体30の幅方向D2の端部の一部を覆っていないが、吸収体30全体を覆っていてもよい。トップシート22としては、有孔又は無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどを用いることができる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0032】
図1及び図2に示すように、トップシート22と吸収体30との間には、中間シート25を介在させることができる。中間シート25を設けることで、吸収体30により吸収した体液の逆戻りを防止することができる。そのため、中間シート25としては、保水性が低く且つ液透過性の高い素材、例えば各種の不織布、メッシュフィルム等を用いるのが好ましい。
【0033】
吸収体30の前後方向D1の両端部では、バックシート21とトップシート22とが貼り合わされている。また、吸収性物品100の幅方向D2の両側部においては、バックシート21と、吸収性物品100の両側部に前後方向D1に沿ってそれぞれ設けられたギャザーシート24、24とが貼り合されている。
【0034】
ギャザーシート24としては、プラスチックシート、メルトブローン不織布等使用することもできるが、肌への感触性が良いという観点から、不織布にシリコーン等によって撥水処理をしたものが好適に使用される。
【0035】
図1及び図2に示すように、ギャザーシート24、24はそれぞれ、トップシート22上に重ねられている。そして、各キャザーシート24の幅方向D2の内側の端部には、前後方向に沿って伸張状態で固定された弾性部材が設けられていてもよい。この弾性部材は、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム等から製造されたものであってよい。
【0036】
また、ギャザーシート24は、図1の斜線で示す範囲において、その直下に配置されているトップシート21、包装シート26、又はバックシート21と接合されていてよい。そして、上述のように、ギャザーシート24の幅方向D2の内側の端部には弾性部材が設けることができるので、ギャザーシート24の接合されていない部分(すなわち、幅方向D2の内側の領域であって、その両端部を除く領域)は、吸収性物品100の表側(トップシート側)に起立するギャザーG、Gとなることができる。ギャザーG、Gによって、側方への体液の漏れ等を防ぐことができる。
【0037】
なお、ギャザーシート24、24と下の構成要素との接合は、例えば、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールによって形成できる。
【0038】
吸収体30は、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、不織布等であってよく、必要に応じて粒子状等の高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子を混合する場合等、粒子のこぼれを防ぐために、吸収体30は包装シート26で包まれていることが好ましい。
【0039】
吸収体30における繊維目付及び高吸収性ポリマーの目付は適宜定めることができるが、繊維目付は100~700g/m2程度とするのが好ましく、また吸収性ポリマーの目付は50~550g/m2程度とするのが好ましい。また、吸収体30の厚み(溝が形成されている部分を除いた厚みであって、厚みが均一でない場合には平均値とする)は、1~30mm程度であってよく、5~25mm程度であってよい。
【0040】
図3に、吸収体30の平面図を示す。図3に示すように、吸収体30は、吸収性物品100と同様に、全体として細長い形状を有している。また、吸収体30は、前後方向中心線CLを対称軸とする線対称の形状及び構成を有していてよい。図3に示すように、吸収体30は、前後方向D1で見て中央付近に、股間対応領域B2を有しており、この股間対応領域B2は、上記の吸収性物品100の股間対応領域B1に対応している。そして、股間対応領域B2の前方に隣接し、吸収体30の前端までの領域が前方領域A2となっており、股間対応領域B2の後方に隣接し、吸収体30の後端までの領域が後方領域C2となっている。
【0041】
吸収体30の平面視形状は、吸収性物品100の全体の平面視形状と同様に、括れ部分を有しているが、吸収性物品100の平面視形状に関わらず、前後方向D1にわたって幅が一定である括れ部分のない矩形状等とすることもできる。なお、図示の形態のように吸収体30が括れ部分を有する場合、括れ部分の最小幅は、括れ部分の前後における幅方向D2の長さの50~75%程度とすることができる。
【0042】
なお、上記の括れ部分の一部を構成し得る吸収体30の股間対応領域B2は、図示のように、吸収体30の前半分の領域に配置されていてもよいし、製品全体の構成によっては、吸収体30の前後方向D1の中央に配置されていてもよい。
【0043】
図3に示すように、吸収体30は、少なくとも股間対応領域B2から後方領域C2に亘る領域において、密度が変化する密度変化部32を有していてよい。密度変化部32は、前方から後方に向かって、吸収体30の密度が段階的に又は漸次増加する部分である。ここで、密度変化部32において着目される密度は、吸収体30に含まれる繊維やフィラメントの密度(繊維密度)であってよい。
【0044】
密度変化部32は、上述のように、少なくとも股間対応領域B2から後方領域C2に亘る領域に設けられているのであれば、密度変化部32が延在する前後方向D1の範囲は、特に限定されない。例えば、密度変化部32が前方領域A1には存在せず、股間対応領域B2の途中から後方領域C2の途中まで延在していてもよい。また、吸収体30の全体が密度変化部32になっていてもよい。但し、密度変化部32の前端は、股間対応領域B2の後端から前方へ、股間対応領域B2の前後方向D1の長さの少なくとも3分の2以上、好ましくは4分の3以上の位置とすると好ましい。さらに、密度変化部32の前端は、股間対応領域B2の前端と同じ位置又はそれを前方に越えた位置にあることが好ましい。密度変化部32は、後述の体液排出口対応部Qを含む範囲で延在していることが好ましい。
【0045】
図示の形態では、密度変化部32は、前方領域A2の後方から、股間対応領域B2の全体を亘って、後方領域C2の後端近くまで延在している。密度変化部32の後端の位置、吸収体30の後端と同じ位置であってもよいが、後方への漏れを防止する観点から、吸収体30の後端から10~100mm、好ましくは20~80mmまで前方の位置であってよい。
【0046】
密度変化部32の平面視形状は特に限定されないが、密度変化部32が延在する範囲における吸収体30の輪郭にやや沿ったものとすることができる。例えば、図3の形態のように、前方の幅が小さく、後方の幅が大きいものとすることができる。また、図3の形態では、密度変化部32の前端は、幅方向D2と平行に延びているが、前後方向中心線CLに近付く程、前後方向D1の前方に凸となっていてもよい。密度変化部32の後端についても同様である。
【0047】
通常の装着状態では、体液(尿)は、股間対応領域B2の前方から中央付近に排出される。言い換えれば、装着時に、装着者の尿道口等の体液排出口が対応する部分である体液排出口対応部Qは、股間対応領域B2の前方から中央付近に位置している。ここで、吸収体に密度変化部が設けられていない吸収性物品の場合には、多量の体液が一気に排出された場合等には、吸収体における体液の吸収・拡散は、体液と接触した位置から放射状に広がるのみで、所定の方向へ誘導することは難しかった。そのため、股間対応領域内で吸収しきれずに側方から漏れてしまうことがあった。これに対し、本形態によれば、吸収性物品100が、前方から後方に向かって密度が増加する密度変化部32を有していることにより、吸収体の毛管力の差を利用して、前方から後方へ向かって体液を誘導することができる。
【0048】
図3の形態では、密度変化部32は、前方から後方に向かって、低密度部32L、中密度部32M、及び高密度部32Hを有している。低密度部32Lは、密度変化部32内で比較的密度が低い部分であり、高密度部32Hは、密度変化部32内で比較的密度が高い部分であり、中密度部32Mは、低密度部32Lと高密度部32Hとの間の密度を有する部分である。この低密度部32L、中密度部32M、及び高密度部32Hの密度の大小は相対的なものである。なお、低密度部32L、中密度部32M、及び高密度部32Hのそれぞれの密度は、それぞれの部分内で均一であってもよいし、各部分内で段階的に又は漸次変化していてもよい。
【0049】
図示の形態では、密度変化部32は、後方に向かって密度が段階的に増加する構成としているが、後方に向かって密度が漸次増加していく(連続的に増加する)構成とすることもできる。
【0050】
このように、密度変化部32の密度が段階的又は漸次変化していることで、体液を後方へと適切な移行速度で誘導することができ、体液の移行速度が過度に大きくなってしまう場所を低減することができる。これにより、吸収に利用されずに体液が通過してしまう吸収体の部分を減らすことができ、少なくとも股間対応領域B2及び後方領域C2の両方を有効に活用することができる。よって、吸収体30を前後方向D1の広い範囲で活用することができる。
【0051】
低密度部32Lの密度は5~20kg/m程度であってよく、中密度部32Mの密度は10~40kg/m程度であってよく、高密度部32Hの密度は30~80kg/m程度であってよい。また、低密度部32L、中密度部32M、及び高密度部32Hのそれぞれの密度は、それぞれの部分内で均一であってもよいし、各部分内で段階的に又は漸次変化していてもよい。
【0052】
本明細書においては、吸収体の密度は、次のようにして測定することができる。吸収体から測定したい部分を任意の大きさに切り取り、その部分の面積及び重量を測定する。また、例えば、厚み測定器(株式会社尾崎製作所製「ピーコック」、型番:FFD―7)を用いて厚みを測定する。このように測定された面積、厚み、及び重量から、密度を算出することができる。
【0053】
密度変化部32は、従来知られた方法を利用して形成することができる。例えば、吸収体の積繊の際に、密度を高くしたい部分の目付を多くして積繊し、吸収体全体を、凹凸のない加圧ロールでプレスすることができる。また、吸収体の目付が全体として均一となるように積繊し、吸収体の密度を高くしたい部分に対応する部分が凸となるよう成形された加圧ロールでプレスすることもできる。その場合には、密度変化部32内で厚みの差が生じることになる。さらに、低密度部32L、中密度部32M、及び高密度部32Hの各部分を構成する材料を異ならせることによって、密度を変化させることもできる。
【0054】
図4に、本形態における別の吸収体130の平面図を示す。図1及び図3に示す吸収体30と同様に、吸収体130も密度変化部132を有している。そして、密度変化部132は、前方から後方に向かって、低密度部132L、中密度部132M、及び高密度部132Hを有している。吸収体130は、密度変化部132の大きさ及び形状が異なっている点で、吸収体30(図1及び図3)と異なっている。吸収体130における密度変化部132は、吸収体30の密度変化部32に比べ、幅が狭い。また、密度変化部132の幅は、前後方向D1に亘って等しくなっている。
【0055】
図4には、体液排出口対応部Qを含む中央領域Dと、この中央領域Dの幅方向D2の外側に隣接する側方領域E、E'とが示されている。そして、密度変化部132は、中央領域Dに対応するように配置されている。密度変化部132は、中央領域Dを越えて延在していてもよいし、中央領域Dの幅より小さい幅を有して中央領域D内に延在していてもよい。いずれの場合でも、密度変化部132は、少なくとも中央領域に設けられていることが好ましい。これにより、体液を、通常の装着状態で排出された位置で直ちに吸収し、さらに後方へと良好に分散させることができる。なお、本明細書及び図面における中央領域D及び側方領域E、E'の幅及び大きさは、あくまで例示であり、吸収性物品の種類、使用目的(吸収性物品が対象とする装着者の健康状況や性別)等に応じて異なるが、中央領域Dの幅方向D2の長さは、10~100mm程度とすることができる。
【0056】
図3及び図4の形態では、密度変化部32、132の周囲に、密度変化部32、132以外の密度変化のない領域(密度がほぼ均一な領域)が存在する。この密度変化のない領域の吸収体30、130の密度は特に限定されないが、密度変化部32、132において最も高密度となっている場所の密度より低い密度を有していると好ましい。また、密度変化のない領域の密度は、密度変化部32、132の平均の密度と同様の密度を有していてもよいし、密度変化部32、132において最も高密度となっている場所の密度と、最も低密度となっている場所の密度との平均と同等の密度を有していてもよい。また、密度変化のない領域の密度は、低密度部、中密度部、及び高密度部のいずれかの密度(各部分内で、密度に差がある場合には、各部分内での平均の密度)と同じであってもよいし、いずれの密度とも異なる密度であってもよい。
【0057】
また、上記の密度変化部32、132以外の密度変化のない領域の厚みも特に限定されず、密度変化部32、132より大きくてもよいし、小さくてもよい。また、密度変化部32、132内に厚みの差がある場合には、最も大きな厚み未満であって最も小さな厚みを超える厚みであってもよい。
【0058】
図5に、別の形態における吸収体230の平面図を示す。また、図6に、図5のII-II線断面図を示す。吸収体230は、上述の吸収体30(図1及び図3)並びに吸収体130(図4)と同様、密度変化部232を有しており、この密度変化部232は、前方から後方に向かって、低密度部232L、中密度部232M、及び高密度部232Hを有している。しかし、図5及び図6に示すように、吸収体230には、溝40が設けられているという点で、吸収体30、130と異なる。溝40は、溝40の周囲の領域よりも、バックシート側に窪んだ部分である。そして、図5及び図6に示すように、吸収体230においては、溝40が設けられている部分が、密度変化部232を有している。より具体的には、溝40が設けられている部分が、密度変化部232となっている。換言すれば、溝40が設けられている部分内に、低密度部232L、中密度部232M、及び高密度部232Hが形成されている。
【0059】
図5に示すように、吸収体230において、溝40は前後方向に延在している。具体的には、溝40は、前後方向中心線CLを幅方向D2に跨るように、前後方向中心線CLに沿って形成されている。図示の形態では、溝40は、前後方向に沿って延在する1本の溝であるが、前後方向に沿って延在する複数の溝であってもよい。なお、その場合、溝40は、幅方向D2で見て、中央領域D内に配置されているか又は中央領域Dの近傍に配置されていると好ましい。図5に示すように、溝40が、中央領域D内に配置されていることで、体液が排出された位置で直ちに体液の一部を吸収することができ、また吸収されなかった体液を速やかに後方に誘導することができる。
【0060】
溝40の幅は、10~100mmであると好ましく、15~80mmであるとより好ましい。また、溝40の幅は、図5に示すように、前後方向D1に一定であってもよいが、変化していてもよい。例えば、溝40の幅は、前方又は後方に向かって漸次増加又は現象していてもよいし、溝が蛇行するように、又は規則的な若しくは不規則な波線を描くように形成されていてもよい。
【0061】
溝40は、吸収体330の前端から後端まで延在していてもよいが、溝40の前端が、吸収体330の前端から10~100mm後方の位置にあると好ましい。また、溝40の後端が、吸収体330の後端から30~150mm前方の位置にあると好ましい。これにより、吸収体230の吸収容量をある程度確保でき、また吸収体230の形状も維持することができる。
【0062】
吸収体230においては、溝40が設けられている部分の吸収体230の厚みは均一になっているが、厚みは必ずしも一定でなくともよい。溝40内における吸収体230の厚みは、周囲の厚みより小さくなっていれば、特に限定されない。例えば、溝40が設けられている部分の吸収体230の厚みを、前方から後方に向かって徐々に小さくすることもできる。その場合、前後方向D1で切った断面で見て、溝40の形状は、前後方向D1に長い三角形となる。
【0063】
なお、溝40が設けられている部分の吸収体の厚みは、周囲の厚み、すなわち、溝が設けられていない部分の吸収体の厚みの20~80%、好ましくは30~70%とすることができる。
【0064】
図5及び図6に示す形態では、溝40が設けられていない部分は、密度変化部232以外の密度変化のない部分となっている。しかし、溝40が設けられていない部分の吸収体にも、密度変化部が形成されていてもよい。但し、その場合、溝40以外の領域の吸収体の密度は、前方から後方に向かって、段階的に又は漸次増加するようになっている。また、幅方向D2で見て、溝40が設けられている部分の吸収体の密度と、溝40が設けられていない部分の密度とが同程度になっていてもよい。
【0065】
図7に、吸収体230の変形例を示す。図7の形態は、図5及び図6に示す形態と基本的には同じであるが、前後方向D1で見て途中が盛り上がっている点で異なる。図7の形態では、中密度部232Mの厚みDが、その前後に位置する低密度部232Lの厚みD及び高密度部232Hの厚みDよりも高くなっている。このように溝40の途中に厚みの比較的大きい場所があることで、装着時に両側方から力を受けて吸収体230が変形した場合であっても、溝40が潰れにくくなる。なお、図7の例示では、低密度部232Lの厚みD及び高密度部232Hの厚みDは同じであるが、互いに異なっていてもよい。
【0066】
なお、低密度部232Lの厚みDは、中密度部232Mの厚みDの20~80%、好ましくは30~70%とすることができる。また、高密度部の厚みDも、中密度部232Mの厚みDの20~80%、好ましくは30~70%とすることができる。
【0067】
図7の形態においては、中密度部232Mは後方領域C2に位置していると好ましい。この構成によれば、前後より厚みが比較的大きく肌側に突出する中密度部232Mが、吸収性物品とより密着する股間対応領域B2ではなく、その後方の後方領域C2に位置することになるため、装着時の違和感を軽減できるという観点から好ましい。また、中密度部232Mは股間対応領域B2内に位置することもできる。この形態は、特に溝40が潰れやすい股間対応領域B2に厚みの大きな部分が設けられることになるので、溝40の潰れを防止する観点から好ましい。
【0068】
図7の形態では、中密度部232Mの前後方向D1の長さは、10~50mmとすることができ、15~40mmとすると好ましい。10mm以上とすることで、吸収体230の側方から力が加えられても、溝全体が潰れにくくなり、後方へと体液を誘導する溝の機能を維持することができる。また、50mm以下とすることで、吸収体330において柔軟性が大きい部分が過度に減って吸収体330の吸収容量が低減することを防止することができる。
【0069】
図7のような、中密度部232Mの厚みDがその前後の低密度部232Lの厚みD及び高密度部232Hの厚みDより大きくなっている溝は、例えば、次のようにして形成することができる。図8(a)に示すように、低密度部232Lを形成したい部分のみ低目付に積繊した積繊体を準備する。続いて、図8(a)の上部に示すような形の、すなわち、中密度部232Mを形成したい部分に対応する部分に突出の小さい凸部を有し、高密度部232Hを形成したい部分に対応する部分に突出の大きい凸部を有する型を備えた加圧ロール又はプレス機を用いて、上記の積繊体をプレスする。これにより、中密度部232Mを形成したい部分の積繊体は中程度圧縮され、高密度部232Hを形成したい部分の積繊体はさらに強く圧縮される。その結果、図8(b)に示すような、低密度部232L、中密度部232M、及び高密度部232Hを有する吸収体230が形成される。
【0070】
図9に、別の形態における吸収体330を示す。また、図10に、図9のIII-III線断面図を示す。吸収体330は、上述の吸収体230(図5及び図6)等と同様、密度変化部332を有しており、この密度変化部332は、前方から後方に向かって、低密度部332L、中密度部332M、及び高密度部332Hを有している。また、前方から後方に向かって前後方向に延びる溝が設けられている。しかし、図9及び図10に示すように、吸収体230に設けられた溝は、前後方向に別個の前溝41及び後溝42を有するという点で、吸収体230とは異なる。
【0071】
図9及び図10に示すように、吸収体330においては、前溝41が設けられている部分が、密度変化部332の低密度部332Lを有し、後溝42が設けられている部分が、高密度部332Hを有する。そして、前溝41と後溝42との間の吸収体230の部分が、中密度部332Mを有している。つまり、吸収体330においては、溝41と溝42との間の部分を、密度変化部332の中密度部332Mとした構成としている。よって、吸収体330においては、溝41と溝42との間の前後方向D1の間隔が、中密度部332Mの前後方向D1の長さとなり得る。そして、図10に示すように、中密度部332Mの厚みDは、その前後に位置する低密度部332Lの厚みD及び高密度部332Hの厚みDよりも高くなり得る。
【0072】
このように、吸収体330が、前後方向D1に別個の前溝41及び後溝42を有していることで、前溝41に沿って誘導されてきた体液が、一気に後溝42に移行することを抑制することができる。そのため、多量の体液が排出された場合でも、溝間の部分となっている中密度部332Mにおいて体液の勢いを緩和させることができる。また、側方から力を受けた場合でも溝が潰れにくいため、装着時でも、体液を後方へ誘導するという溝の機能を維持することができる。
【0073】
なお、吸収体330の溝の幅、配置、大きさ、形状等については、図5~7で説明した吸収体230の溝と同様である。また、中密度部332Mの位置、及び溝が設けられていない部分の構成についても、図5~7で説明した吸収体230と同様とすることができる。
【0074】
図11に、別の形態における吸収体430を示す。吸収体430は、図9及び図10に示す吸収体330と同様、密度変化部432を有しており、この密度変化部432は、前方から後方に向かって、低密度部432L、中密度部432M、及び高密度部432Hを有している。また、前方から後方に向かって、前後方向に別個の前溝41及び後溝42を有する。しかし、後溝42の幅が、後方に向かって小さくなっている点で、吸収体330(図9及び図10)とは異なる。
【0075】
吸収体430においては、後溝42の前端の幅が広くなっていることによって、前溝41を越えて流れてきた体液が後溝42に流れ込みやすくなる。また、体液は、後溝42の後端から後方の吸収体に拡散させやすくなるので、後方の吸収体をより有効に活用することができる。
【0076】
なお、吸収体430の後溝42の幅以外の構成も、図5~7で説明した吸収体230の溝と同様である。また、中密度部432Mの位置、及び溝が設けられていない部分の構成についても、図5~7で説明した吸収体230と同様とすることができる。
【0077】
図12に、図9及び図10に示した吸収体330の変形例を示す。図12に示す吸収体530は、基本的な構成は吸収体330と同様である。すなわち、吸収体530は、前方から後方にむかって低密度部532L、中密度部532M、及び高密度部532Hを有しており、前溝41が設けられている部分が低密度部532Lを有し、後溝42が設けられている部分が高密度部532Hを有し、その中間に中密度部532Mを有する構成となっている。
【0078】
吸収体530は、前後方向D1で切った断面で見て、前溝41及び後溝42の形状が、吸収体330(図10)のものとは異なっている。すなわち、図示の形態では、吸収体530では、前溝41及び後溝42は、溝が深くなる方向に向かって溝の前後方向D1の長さが短くなるように構成されている。換言すれば、前溝41及び後溝42の形状は、上底が下底より長い逆台形となっている。一方、中密度部532Mの形状は、台形となっている。
【0079】
図13に、吸収体530を含む吸収性物品を装着した際に変形した状態を示す。図13には、体液の流れを矢印で示す。上述のように、吸収体530の表面を伝って中密度部532Mに到達してきた体液は、中密度部532Mがあることで急激に後方に流れることが抑制されるが、中密度部532Mの断面形状が台形であることによって、急激な流れを抑制しつつ、中密度部532Mの手前で体液が滞留してしまうことも回避できる。これにより、体液を適切な速度で良好に後方へと移行させることができる。
【0080】
なお、図14に示すように、吸収体530の中密度部532Mの前後方向D1の中央付近(線L1で表示)を境とする前後で、吸収体530の構成を変更することもできる。例えば、線L1より前方の部分RFと、線L1より後方の部分RBとで、吸収体530を構成する材質又は目付等を変更することができる。これにより、装着時に、吸収性物品を湾曲させた場合に、吸収体530の中密度部532Mが、中央付近で前後方向D1曲げやすくなり、結果として、吸収性物品を変形させやすくなる。
【0081】
以上、具体的な形態について、パッドタイプの使い捨ておむつを例に説明してきたが、本形態は、テープタイプ、パンツタイプ等の他の形態の使い捨ておむつの他、生理用ナプキンとしても使用することができる。これにより、尿、経血、おりもの等の体液を適切な速度で後方へと誘導させることができる。
【符号の説明】
【0082】
21 バックシート
22 トップシート
25 中間シート
30、130、230、330、430、530 吸収体
32、132、232、332、432、532 密度変化部
32L、132L、232L、332L、432L、532L 低密度部
32M、132M、232M、332M、432M、532M 中密度部
32H、132H、232H、332H、432H、532H 高密度部
80 プレス機の型
100 吸収性物品
A1 (吸収性物品の)前方領域
B1 (吸収性物品の)股間対応領域
C1 (吸収性物品の)後方領域
A2 (吸収体の)前方領域
B2 (吸収体の)股間対応領域
C2 (吸収体の)後方領域
D 中央対応領域
E、E' 側方領域
CL 前後方向中心線(第1方向D1に沿った中心線)
D1 前後方向(第1方向)
D2 幅方向(第2方向)
L1 中密度部の幅方向中心線(第方向D2に沿った中心線)
RB L1より後方の部分
RF L1より前方の部分
Q 体液排出口対応部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14