(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】自動車両用の関節アーム・アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60R 1/074 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
B60R1/074
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019044349
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2022-03-11
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517089662
【氏名又は名称】フィコミロース, エセ. ア. ウ.
【氏名又は名称原語表記】Ficomirrors, S.A.U.
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100192533
【氏名又は名称】奈良 如紘
(72)【発明者】
【氏名】ザビエル・ルイス・ロペス・ブリゲ
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第91/04172(WO,A1)
【文献】米国特許第4084886(US,A)
【文献】米国特許第6590162(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0222795(US,A1)
【文献】特開2016-55754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00 - 1/31
11/04
16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、自動車両に取り付けるための第1のアーム部分(110)と、
少なくとも、電気装置を支持するための第2のアーム部分(120)であって、前記第1のアーム部分(110)に対して回転軸(Y)の周りに回転することができる、第2のアーム部分(120)と、
前記電気装置に関連し、前記第1のアーム部分(110)および前記第2のアーム部分(120)に沿って少なくとも部分的に延びる少なくとも1つの同軸ケーブル(200)と、
前記第1のアーム部分(110)に関連した少なくとも1つの第1の支持部分(310)と、前記第2のアーム部分(120)に関連した少なくとも1つの第2の支持部分(320)と、を有する同軸ケーブル支持構造(300)と、
を備える、自動車両用の関節アーム・アセンブリ(100)であって、
前記第1の支持部分(310)および前記第2の支持部分(320)は、前記第1のアーム部分(110)に対する前記第2のアーム部分(120)の回転運動に関係なく前記同軸ケーブル(200)が1つかつ同一の交差領域(P)において前記回転軸(Y)と永続的に交差するように構成されて、前記回転軸(Y)の近くの領域において前記同軸ケーブル(200)が少なくとも動かず、
前記同軸ケーブル(200)は、第1の平面(X1)上に置かれた前記第1のアーム部分(110)に少なくとも部分的に沿って延びる第1のケーブル長さと、第2の平面(X2)上に置かれた前記第2のアーム部分(120)に少なくとも部分的に沿って延びる第2のケーブル長さとを有し、前記第1の平面(X1)および前記第2の平面(X2)は互いに間隔を置き、それにより前記第1のケーブル長さと前記第2のケーブル長さとの間に、移行部の第3のケーブル長さが規定され、対応する湾曲領域が、前記第3のケーブル長さと、前記第1のケーブル長さおよび前記第2のケーブル長さとの間に定義され、
前記第1の支持部分(310)および前記第2の支持部分(320)は、長手方向移動に抗して前記同軸ケーブル(200)を固定するための、対応する第1および第2のケーブル固定部分(312,322)を規定する、
関節アーム・アセンブリ(100)。
【請求項2】
前記第1の支持部分(310)と前記交差領域(P)との間の距離(s1)、および前記第2の支持部分(320)と前記交差領域(P)との間の距離(s2)は、同一である、請求項1に記載の関節アーム・アセンブリ(100)。
【請求項3】
前記第1の支持部分(310)と前記交差領域(P)との間の距離(s1)、および前記第2の支持部分(320)と前記交差領域(P)との間の距離(s2)は、異なる、請求項1に記載の関節アーム・アセンブリ(100)。
【請求項4】
前記第1のケーブル固定部分および前記第2のケーブル固定部分のうちの少なくとも1つと、前記交差領域(P)との距離(s1、s2)が、65mm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の関節アーム・アセンブリ(100)。
【請求項5】
前記同軸ケーブル(200)の前記第1の支持部分(310)と前記第2の支持部分(320)との間のケーブル部分は、張力を与えられている、請求項1から4のいずれか一項に記載の関節アーム・アセンブリ(100)。
【請求項6】
前記第1の支持部分(310)と前記第2の支持部分(320)との間の前記ケーブル部分は、前記回転軸(Y)に実質的に垂直な第1の平面(X1)上に置かれている、請求項5に記載の関節アーム・アセンブリ(100)。
【請求項7】
前記第1のアーム部分(110)および前記第2のアーム部分(120)の少なくとも一部を覆うためのカバー(400)を、
更に含む請求項1から6のいずれか一項に記載の関節アーム・アセンブリ(100)。
【請求項8】
前記対応する湾曲領域は、前記同軸ケーブル(200)の外径(d)の少なくとも3倍である対応する半径(R1、R2)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の関節アーム・アセンブリ(100)。
【請求項9】
前記同軸ケーブル(200)の外径(d)が2.0~3.5mmである、請求項1から8のいずれか一項に記載の関節アーム・アセンブリ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、ケーブル取り回しを伴う、自動車両用の折畳み式のミラーおよび/またはカメラ装置に適用される折畳み構造に関する。他の用途も可能である。本開示は、具体的には自動車両用の関節アーム・アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
例えば折畳みバックミラー装置など、その内部を通って延びる1本または複数本のケーブルが設けられた折畳み構造は、当技術分野において既知であり、自動車分野で広く使用されている。折畳み構造は少なくとも2つの部分を備え、少なくとも1つの部分を他方に対して折り畳むか、または回転させることができ、例えば電気装置に関連したケーブルまたはケーブルのセットが、その内部を通って延びている。折畳み構造は、ケーブル取り回しを便利にするために、内部構成を有するように設計される。
【0003】
例えばEP3136706に記載されているような、中央開口部が設けられ、そこを通ってケーブルまたはケーブルのセットが延びている、折畳み構造内でのケーブル取り回しの例は一般に使用されている。ケーブルは、ブラケット内に形成された取り回し空間の内側、およびブラケットがその周りを回転することができるベースの内部支持チューブの内側を取り回される。
【0004】
更に、文献EP0644084では、モータを用いてミラー・ハウジングを回転させる機構と、回転機構を支持するための支持体とを有する、自動車両用の折畳みバックミラーアセンブリが開示されている。モータに至るケーブルが、自動車両に固定されたベースに取り付けられた中空シャフトを通過している。
【0005】
ケーブル取り回しのための上記構成では、アームが互いに回転する場合に、大きな曲げ半径を必要とすることが見出された。上記構成では、使用中に、ケーブルが全ての場所において同じ経路に従わない可能性があり、その結果、ケーブルの機械的性能が悪影響を受けることも見出された。
【0006】
上述のケーブル取り回しの代替的解決策が提供され、その解決策では、ケーブルまたはケーブルのセットが折畳み機構の外側に形成された穴を通過している。例えば、米国特許第4027548号では、ミラー・ハウジングに旋回可能に取り付けられたミラー支持板が提供されている。ケーブルは、ケーブルを介してミラー支持板を作動するように移動可能な遠隔制御ノブを含む制御ユニットに関連付けられている。ケーブルはベースおよびミラー・ハウジングを通して挿入され、ミラー支持板内に形成された穴を通過している。
【0007】
折畳み機構の外側に形成された穴を通すケーブル取り回しに基づく解決策は、ケーブルに望ましくない力が加わる移動を伴うことが見出された。
【0008】
一般に、既知の折畳み構造において、ケーブル取り回しのために中央経路を使用することは、耐久性の目的、およびケーブルの適切な作動を確保するために必要な、大きな曲げ半径に従ってケーブルを曲げることを伴う。加えて、ケーブルは、使用中に、運転用の非折畳み位置、安全用のまたは前方折畳み位置、および駐車用のまたは後方折畳み位置などの、全ての角度位置において同一の取り回し経路に従うわけではないので、ケーブルの機械的性能はやはり悪影響を受ける。
【発明の概要】
【0009】
(概要)
自動車両用の関節アーム・アセンブリが本明細書にて開示される。本発明の関節アーム・アセンブリは、少なくとも第1のアーム部分、および第2のアーム部分を備える。第1のアーム部分は自動車両に、例えば車両のドアに取り付けるのに好適であるが、他の場所もまた可能である。第2のアーム部分は、例えば折畳みミラー装置またはカメラ装置などの電気装置を支持するのに好適である。他の装置も可能である。本発明の関節アーム・アセンブリ内の第2のアーム部分は、回転軸の周りに第1のアーム部分に対して回転可能である。
【0010】
少なくとも1つの電気ケーブルまたは好ましくは同軸ケーブルも提供される。第2のアーム部分内の電気装置に関連付けられた、任意の好適な同軸ケーブルを含む、任意のタイプまたは種類の電気ケーブル、例えば2.0~3.5mmの範囲の外径を有する同軸ケーブルを使用することができる。同軸ケーブルは、少なくとも部分的に、アーム・アセンブリの第1および第2のアーム部分に沿って延びるように配置されている。
【0011】
前述の少なくとも1つの電気ケーブルまたは好ましくは同軸ケーブル、ならびに第1および第2のアーム部分と関連して、電気ケーブル支持構造または好ましくは同軸ケーブル支持構造がある。同軸ケーブル支持構造は、少なくとも1つの第1の支持部分、および少なくとも1つの第2の支持部分を有する。第1の支持部分は第1のアーム部分に関連している。第2の支持部分は第2のアーム部分に関連している。第1および第2の支持部分は、同軸ケーブルが、1つかつ同一の交差領域において回転軸と永続的に交差するように配置されるように構成されている。このことは、第1のアーム部分に対する第2のアーム部分の回転移動にかかわらず、第1および第2のアーム部分内に配置された同軸ケーブルは、常に1つの交差領域で回転軸と交差することを意味する。前述の交差領域は常に同一のままであり、そのため回転軸の近傍の同軸ケーブルの少なくとも一部は、使用中に実質的に移動しない。本開示の意味において、「近傍の」という表現は、回転軸に隣接している、接近している、または近くにあり、かつケーブル支持構造に沿って画定された、同軸ケーブルの部分または長さを指す。
【0012】
第1の支持部分と交差領域との間の距離と、第2の支持部分と交差領域との間の距離は同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0013】
第1の例では、同軸ケーブルは、水平移動および/または垂直移動に従う移動が制限されるようにガイドされてもよい。この目的のために、第1の支持部分と第2の支持部分のうちの少なくとも1つがケーブルガイド構造を画定してもよい。従って、第1の支持部分と第2の支持部分のうちの少なくとも1つがガイド部分として構成されてもよい。ガイド構造は、同軸ケーブルの長手方向移動を可能にして、同軸ケーブルの水平移動または垂直移動のうちの少なくとも1つを回避するように、同軸ケーブルを適切にガイドするように構成されている。この第1の例では、第1の支持部分と第2の支持部分のうちの少なくとも1つが、交差領域に17mm以下の距離で配置されてもよい。
【0014】
第2の例では、同軸ケーブルは、長手方向移動に従う移動、および好ましくはいかなる方向への移動も制限されるように固定されてもよい。この目的のために、第1の支持部分および第2の支持部分の両方が、同軸ケーブルを少なくとも長手方向移動に抗して固定するための、対応する第1および第2のケーブル固定部分を画定する。この第2の例では、第1および第2のケーブル固定部分のうちの少なくとも1つと、交差領域との距離は65mm以下であってもよい。
【0015】
ケーブルガイド部分またはケーブル固定部分から回転軸の交差領域までの距離の上記の値は単なる例であり、同軸ケーブルの剛性に依存して変化する場合がある。すなわち、同軸ケーブルの剛性が高いほど、ケーブルガイド部分またはケーブル固定部分から回転軸の交差領域までの距離は長くなるであろう。
【0016】
同軸ケーブルが、常に1つかつ同一の交差領域を通って回転軸に交差する限りは、ケーブルガイド部分とケーブル固定部分を互いに組み合わせることができることも指摘しておくべきである。
【0017】
本明細書で使用する場合、水平移動は、第2のアーム部分の第1のアーム部分に対する回転によって画定される回転軸に少なくとも実質的に垂直な平面上での同軸ケーブルの移動を指す。
【0018】
同じく本明細書で使用する場合、垂直移動は、回転軸に対応する方向か、または回転軸に少なくとも実質的に平行な方向での同軸ケーブルの移動方向を指す。
【0019】
最後に本明細書で使用する場合、長手方向移動は、第1および第2のアーム部分の長手寸法に少なくとも実質的に平行な方向への同軸ケーブルの移動を指す。
【0020】
場合によっては、同軸ケーブルの第1の固定部分と第2の支持部分との間のケーブル部分に張力が与えられ、それにより剛性の増大が実現されることが好ましい場合がある。これにより、使用中に同軸ケーブルが、少なくとも回転軸の近傍の領域において移動しないことが更に確保され得る。第1および第2の支持部分の間の前述のケーブル部分は、第2のアーム部分の第1のアーム部分に対する回転によって画定される上述の回転軸に実質的に垂直な第1の平面上に置かれていてもよい。
【0021】
関節アーム・アセンブリがガイド構造を通して構成されていても、または固定部分を通して構成されていても、例えば、運転用の非折畳み位置、安全用のまたは前方折畳み位置、および駐車用のまたは後方折畳み位置などの、使用中のいかなるアーム部分の相対的角度位置にかかわらず、アーム・アセンブリのいかなる作動モードにおいても、同軸ケーブルは常に好都合に取り回しされた状態にあり、必要であれば張力が与えられている。
【0022】
同軸ケーブルが、1つかつ同一の交差領域において回転軸と永続的に交差するように配置された、本発明の関節アーム・アセンブリの重要な利点の1つは、ケーブルの曲げ半径が有益にも最小化されることである。同軸ケーブルは、使用中に上述のいずれの折畳み位置においても、ケーブルに力が加わることなく、アーム部分に沿って適切に通り、取り回されている。その結果、曲げ半径は静的なので、すなわち曲げ半径は動作時に、つまりアーム部分が互いに回転する際に変化しないので、ケーブルの最小曲げ半径は低減される。その代わりに、いくつかの従来技術による関節アーム・アセンブリでは曲げ半径は可変、すなわち、曲げ半径の値は動作時に変化するゆえケーブル曲げ半径は動的なので、より大きなケーブル曲げ半径が必要であり、その結果、曲げ半径はケーブルの直径の10倍のオーダーになる。その代わりに、本発明の関節アーム・アセンブリでの最小曲げ半径は、有益にもケーブルの直径の3倍のオーダーであり得る。
【0023】
同時に、同軸ケーブルが通過する横断経路が、第1のアーム部分および第2のアーム部分内の両方において必要ないため、典型的な関節アーム構造と比較して、関節アーム・アセンブリの全体的なサイズは低減できる。これにより、外観とスタイルが改善され、一方で機械的耐性は増加し、ケーブルへの損傷は低減される。
【0024】
本発明のアーム・アセンブリは、第1のアーム部分および第2のアーム部分の少なくとも一部を覆うためのカバーを更に含んでもよい。カバーが提供される場合は、カバーは、第1の支持部分および第2の支持部分のうちの少なくとも1つを更に含んでもよい。一例では、カバーは、上述のように、同軸ケーブルの長手方向移動を可能にし、かつ同軸ケーブルの少なくとも水平移動または垂直移動を防止するように、同軸ケーブルをガイドするためのケーブルガイド構造を含んでもよい。更なる一例では、カバーは、第1の支持部分および第2の支持部分のうちの少なくとも1つを含んでもよく、これらは上述のように、同軸ケーブルを長手方向移動に抗して固定するための、対応する第1および第2のケーブル固定部分を画定してもよい。
【0025】
本発明の自動車両用の関節アーム・アセンブリの実用的な一例では、上述の同軸ケーブルは第1のケーブル長さ、第2のケーブル長さ、および第3のケーブル長さを有する。第3のケーブル長さは、第1のケーブル長さと第2のケーブル長さとの間の移行部のケーブル長さである。第1のケーブル長さは、第1の平面上に置かれる第1のアーム部分に少なくとも部分的に沿って延びるように配置されている。第2のケーブル長さは、第2の平面上に置かれる第2のアーム部分に少なくとも部分的に沿って延びるように配置されている。第1および第2のケーブル長さが配設された前述の第1および第2の平面は、互いに間隔を置いている。移行部の第3のケーブル長さは、上述の通り第1および第2のケーブル長さの間に画定される。対応する湾曲領域が、第3のケーブル長さと、第1および第2のケーブル長さとの間に定義され、対応する半径を有している。前述の曲げ半径は、同軸ケーブルの外径の例えば少なくとも3倍である。
【0026】
本明細書で使用する場合、長さは、ケーブルの長さの部分または領域を指すことを意図している。
【0027】
本発明の自動車両用の関節アーム・アセンブリの上述の構成の結果として、関節アーム・アセンブリを駆動する結果生じるケーブルの伸張および収縮は、有益にも防止される。従って、使用中のケーブルの伸縮効果に対処するための追加のケーブル長さは必要ない。追加のケーブル長さは必要ないので、ケーブルの曲げ半径が低減されたので、問題となる移動は回避される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
(図面の簡単な説明)
本発明の自動車両用の関節アーム・アセンブリの非制限的な一例を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0029】
【
図1】
図1は、自動車両用の関節アーム・アセンブリの一例の
図2のラインAAに沿った部分的な立断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の関節アーム・アセンブリの例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(例の詳細な説明)
図面は、自動車両内のバックミラーシステム用のカメラを支持することを意図した関節アーム・アセンブリ100の非制限的な一例を示す。もちろん、他の用途は除外されない。
【0031】
図に示す具体例では、関節アーム・アセンブリ100は第1のアーム部分110を備える。関節アーム・アセンブリ100の第1のアーム部分110は、図示していない、車両のドアに取り付けることを意図している。関節アーム・アセンブリ100は第2のアーム部分120を更に備える。関節アーム・アセンブリ100の第2のアーム部分120は、図示していない、バックミラーシステム内のカメラを支持することを意図している。第2のアーム部分120は、第1のアーム部分110に対して回転軸Yの周りに回転させることができるように構成されている。回転軸Yは、内径がDである中空シャフト150内に定義されている。
【0032】
上記構成により、第2のアーム部分120内のリアビュー・カメラは、使用中の第1のアーム部分110に対して複数の相対的角度位置、例えば、運転用の非折畳み位置、安全用のまたは前方折畳み位置、および駐車用のまたは後方折畳み位置に配置することができる。
【0033】
示した具体例では、リアビュー・カメラと関連して、電気ケーブル、好ましくは同軸ケーブル200がある。この例における同軸ケーブル200は、多芯で、シールドされた対称形の、発泡体または固体の絶縁体を有する同軸ケーブルであり、2.0~3.5mmの範囲の外径d(
図2)を有する。図に示すように、同軸ケーブル200は少なくとも部分的に、アーム・アセンブリ100の第1のアーム部分110および第2のアーム部分120に沿って延びるように配置されている。
【0034】
曲げ半径Bが、同軸ケーブル200が使用中に移動する平面内に画定されており、その平面は回転軸Yに少なくとも実質的に垂直である。使用中に同軸ケーブル200の曲げ半径Bを最小にする目的で、
図2に示すように関節アーム・アセンブリ100内に特別な構成が設けられている。具体的には、ケーブル支持構造300、好ましくは電気ケーブル構造、より好ましくは同軸ケーブル支持構造が、同軸ケーブル200、ならびに第1および第2のアーム部分110、120の両方に関連して設けられる。ケーブル支持構造300は、少なくとも1つの第1のアーム部分110に関連した第1の支持部分310、および第2のアーム部分120に関連した第2の支持部分320を備える。
【0035】
ケーブル支持構造300の2つの異なるケースが可能である。どちらの場合も、第1および第2の支持部分310、320は、同軸ケーブル200が、1つかつ同一の交差領域Pにおいて回転軸Yと永続的に交差するように配置されるように構成されており、以下に更に説明する。
【0036】
第1のケースでは、ケーブル支持構造300は、
図2に示すようにケーブルガイド部分315を備える。ケーブルガイド部分315は、同軸ケーブル200の第1および第2のアーム部分110、120に沿った長手方向移動のみが許容される形で構成されている。従って、同軸ケーブル200は第1のアーム部分110および第2のアーム部分120に沿って好都合にガイドされ、それにより、同軸ケーブル200は第1および第2のアーム部分110、120に対して、水平移動および/または垂直移動に従って移動することが拘束される。
図2の例のケーブルガイド部分315は、交差領域Pへの距離s3が17mm以下である位置に配置される。図面における寸法は、縮尺通りではない。
【0037】
第2のケースでは、ケーブル支持構造300は、
図1および
図2に示すようにケーブル固定部分312、322を備える。従って、
図1は、ケーブル支持構造300が2つのケーブル固定部分312、322を備える一例に相当し、
図2は、ケーブル支持構造300が2つのケーブル固定部分312、322、およびケーブルガイド部分315も備える、更なる一例に相当する。
【0038】
ケーブル固定部分312、322は、同軸ケーブル200が第1および第2のアーム部分110、120に対する長手方向移動に抗して固定されるか、または取り付けられるように構成されている。従って、同軸ケーブル200はいかなる方向へ移動することも拘束される。第1および第2のケーブル固定部分から交差領域Pへの距離s1、s2は65mm以下である。第1および第2の支持部分310、320の間の、同軸ケーブル200の部分または長さには、ケーブルの剛性を高めるために張力を与えている。張力を与えたケーブル長さは、回転軸Yに実質的に垂直な第1の平面X1上に配置されている。
【0039】
移動方向を定義するために本明細書で使用される以下の概念の意味は、次の通りである。
- 水平移動は、本明細書では、回転軸Yに少なくとも実質的に垂直な平面上での同軸ケーブル200の移動方向を指す。
- 垂直移動は、本明細書では、回転軸Yに対応する方向か、または回転軸Yに少なくとも実質的に平行な方向への同軸ケーブル200の移動方向を指す。
- 長手方向移動は、第1および第2のアーム部分110、120の長手寸法に少なくとも実質的に平行な方向への同軸ケーブル200の移動を指す。
【0040】
上記のいずれの例においても、第1のアーム部分110に対する第2のアーム部分120の回転移動にかかわらず、アーム部分に沿って延びる同軸ケーブル200は、常に1つの交差領域Pで回転軸Yと交差し、その交差領域Pは常に同一であり、すなわち使用中には同一の位置にある。交差領域Pは常に同一のままなので、回転軸Yの近傍の同軸ケーブル200の少なくとも1つの部分または長さは、使用中に実質的に移動しない。本明細書では、「近傍の」という表現は、ケーブル支持構造300に沿ってケーブル固定部分312、322の間に延びる、回転軸Yの近くの同軸ケーブル200の一部または長さを指す。
【0041】
図1を再び参照すると、カバー400も設けられる。カバー400は第1のアーム部分110および第2のアーム部分120の上に配置される。カバー400は、第1のアーム部分110および第2のアーム部分120を少なくとも部分的にカバーし、一方で第1の支持部分310および第2の支持部分320を含むように構成される。
【0042】
引き続き
図1では、第1のケーブル長さまたは第1のケーブル部分が、少なくとも部分的に第1のアーム部分110に沿って延びて、同軸ケーブル200内に画定される。同軸ケーブル200の第1の長さは、上述の第1の平面X1上に載っているように配置される。第2のケーブル長さまたは第2のケーブル部分も、少なくとも部分的に第2のアーム部分120に沿って延びて、同軸ケーブル200内に画定される。同軸ケーブル200の第2のケーブル長さは、第1の平面X1から間隔を置いて配置された上述の第2の平面X2上に載っているように配置される。第1および第2のケーブル長さの間に、移行部の第3のケーブル長さも画定される。第3のケーブル長さと、第1および第2のケーブル長さとの間に、
図1に示すような、同軸ケーブルの外径dの少なくとも3倍に等しい、対応する半径R1、R2を有する湾曲領域が画定される。
【0043】
上述した関節アーム・アセンブリ100の構成により、同軸ケーブル200は、使用中のアーム部分110、120の相対的角度位置、例えば、運転用の非折畳み位置、安全用のまたは前方折畳み位置、および駐車用のまたは後方折畳み位置などにかかわらず、常に好都合に経路が定められる。そのように経路を好都合に定めた結果、関節アーム・アセンブリ100の全体的なサイズは有益にも削減される。これは、同軸ケーブル200が、従来技術の関節アーム・アセンブリのようには、中空シャフト150を通過する必要がないために、中空シャフト150の内径Dを減らすことができるからである。その結果、関節アーム・アセンブリ100の全体的な高さhを減らすことができる。
【0044】
従来技術では、同軸ケーブル200が中空シャフト150を通過する際に、少なくとも2度曲げられ、その結果、多くの場合、互いに異なる2つの大きな曲げ半径が画定されるが、そのような従来技術の関節アーム・アセンブリと比較して、ケーブル曲げ半径Bの縮小が有益にも実現される。同軸ケーブル200は中空シャフト150を通過せず、代わりに、アーム部分110、120の稼働位置にかかわらず、同一の交差領域Pにおいて回転軸Yと常に交差するように構成されているので、本発明の関節アーム・アセンブリ100では、ケーブル曲げ半径Bは最小化される。従って、前述の、運転用の非折畳み位置、安全用のまたは前方折畳み位置、および駐車用のまたは後方折畳み位置のいずれにある場合でも、同軸ケーブル200に力が加わることなく、同軸ケーブル200を関節アーム・アセンブリ100に沿って延びるように配置することができる。
【0045】
本発明の自動車両用の関節アーム・アセンブリのいくつかの例のみを本明細書で開示したが、本発明の他の代替例、修正例、使用例、および/または等価物が可能である。
【0046】
それに加えて、記載された例の全ての可能な組み合わせもカバーされる。従って、本開示の範囲は特定の例によって限定されるべきではなく、以下の請求項を公平に読むことによってのみ決定されるべきである。図面に関連する参照符号が、請求項で括弧内に置かれている場合、それらは単に請求項の理解しやすさ向上させる試みのためであり、請求項の範囲を限定するものと解釈すべきではない。