IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-蓄電池パック 図1
  • 特許-蓄電池パック 図2
  • 特許-蓄電池パック 図3
  • 特許-蓄電池パック 図4
  • 特許-蓄電池パック 図5
  • 特許-蓄電池パック 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】蓄電池パック
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220517BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20220517BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H02J7/02 B
H01M10/48 P
H02J7/00 X
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020039310
(22)【出願日】2020-03-06
(62)【分割の表示】P 2017048810の分割
【原出願日】2017-03-14
(65)【公開番号】P2020096529
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 弘樹
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-304588(JP,A)
【文献】特開2014-143808(JP,A)
【文献】特開2015-063159(JP,A)
【文献】特開2007-020203(JP,A)
【文献】特開2013-102625(JP,A)
【文献】特開2008-275524(JP,A)
【文献】特開2017-017821(JP,A)
【文献】国際公開第2011/111350(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0168194(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0248681(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0052624(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0074080(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101667741(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と、
前記蓄電池と外部端子との間に接続される第1回路と、
前記第1回路と前記外部端子との間に接続される第2回路と、
前記蓄電池に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記蓄電池の電圧を検出する電圧検出部と、
前記第1回路に含まれる第1開閉器を制御する制御部と、を筐体内に収納した蓄電池パックであって、
前記第1回路は、前記第1開閉器と、前記第1開閉器と並列に接続され前記蓄電池から供給される電流を前記外部端子側に許容する第1ダイオードとを含み、
前記第2回路は、第2開閉器と、前記第2開閉器と並列に接続され前記外部端子側から供給される電流を前記第1回路側に許容する第2ダイオードとを含み、
前記制御部は、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御したときに前記外部端子に入力される電流の電流値が、前記蓄電池パックが許容する許容電流値以下であると推定される場合に、前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が第1閾値以下であり、且つ前記電圧検出部により検出された電圧値が第2閾値以上である場合、前記第1開閉器を遮断状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が前記第1閾値以下であり、且つ前記電圧検出部により検出された電圧値が前記第2閾値未満である場合、前記第1開閉器を導通状態に制御し、
前記第1開閉器を導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が前記第1閾値を超える場合、前記第1開閉器を導通状態に制御する、
蓄電池パック。
【請求項2】
蓄電池と、
前記蓄電池と外部端子との間に接続される第1回路と、
前記第1回路と前記外部端子との間に接続される第2回路と、
前記蓄電池に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記蓄電池の充電容量を推定する推定部と、
前記第1回路に含まれる第1開閉器を制御する制御部と、を筐体内に収納した蓄電池パックであって、
前記第1回路は、前記第1開閉器と、前記第1開閉器と並列に接続され前記蓄電池から供給される電流を前記外部端子側に許容する第1ダイオードとを含み、
前記第2回路は、第2開閉器と、前記第2開閉器と並列に接続され前記外部端子側から供給される電流を前記第1回路側に許容する第2ダイオードとを含み、
前記制御部は、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御したときに前記外部端子に入力される電流の電流値が、前記蓄電池パックが許容する許容電流値以下であると推定される場合に、前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が第1閾値以下であり、且つ前記推定部により推定された充電容量が第3閾値以上である場合、前記第1開閉器を遮断状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が前記第1閾値以下であり、且つ前記推定部により推定された充電容量が前記第3閾値未満である場合、前記第1開閉器を導通状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が前記第1閾値を超える場合、前記第1開閉器を導通状態に制御する、
蓄電池パック。
【請求項3】
蓄電池と、
前記蓄電池と外部端子との間に接続される第1回路と、
前記第1回路と前記外部端子との間に接続される第2回路と、
前記蓄電池に流れる電流を検出する電流検出部と、
前記蓄電池の電圧を検出する電圧検出部と、
前記蓄電池の充電容量を推定する推定部と、
前記第1回路に含まれる第1開閉器を制御する制御部と、を筐体内に収納した蓄電池パックであって、
前記第1回路は、前記第1開閉器と、前記第1開閉器と並列に接続され前記蓄電池から供給される電流を前記外部端子側に許容する第1ダイオードとを含み、
前記第2回路は、第2開閉器と、前記第2開閉器と並列に接続され前記外部端子側から供給される電流を前記第1回路側に許容する第2ダイオードとを含み、
前記制御部は、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御したときに前記外部端子に入力される電流の電流値が、前記蓄電池パックが許容する許容電流値以下であると推定される場合に、前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が第1閾値以下であり、前記電圧検出部により検出された電圧値が第2閾値以上であり、且つ前記推定部により推定された充電容量が第3閾値以上である場合、前記第1開閉器を遮断状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が第1閾値以下であり、且つ前記電圧検出部により検出された電圧値が第2閾値未満である場合、前記第1開閉器を導通状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が第1閾値以下であり、且つ前記推定部により推定された充電容量が第3閾値未満である場合、前記第1開閉器を導通状態に制御し、
前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が前記第1閾値を超える場合、前記第1開閉器を導通状態に制御する、
蓄電池パック。
【請求項4】
前記蓄電池の正極側に接続された正極端子と、前記蓄電池の負極側に接続された負極端子との間の電圧を検出する端子間電圧検出部と、
第1端部が前記電流検出部と前記第1開閉器の間に接続され、第2端部が前記第1開閉器と前記外部端子との間に接続され、互いに並列に接続された複数の回路と、を備え
前記複数の回路のそれぞれには、抵抗と開閉器とが直列に接続され、
前記抵抗の大きさは、前記回路ごとにそれぞれ異なり、
前記制御部は、
前記複数の回路の開閉器を順番に遮断状態から導通状態に制御したときに得られた前記蓄電池の電圧を検出する電圧検出部の検出結果、前記端子間電圧検出部の検出結果、および前記電流検出部の検出結果に基づいて、前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御したときに前記外部端子に入力される電流の電流値を推定する、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の蓄電池パック。
【請求項5】
前記蓄電池は、鉛蓄電池よりも単位時間当たりの充電効率または放電効率が高い蓄電池である、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の蓄電池パック。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1開閉器を遮断状態に制御して前記蓄電池の充電を禁止し、前記第2開閉器を導通状態に制御して前記蓄電池の放電を許容する、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の蓄電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池の充電の制御において、蓄電池の劣化を抑制するために、蓄電池が高温である場合に充電を禁止したり、蓄電池が所定以上の電圧に到達した場合に充電を禁止したりする手法が開示されている。しかしながら、従来の手法では、蓄電池の劣化が進行する一因である、微弱電流による蓄電池の充電(例えばトリクル充電)については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-10198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、蓄電池の劣化の進行を抑制することができる蓄電池パックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の蓄電池パックは、蓄電池と、第1回路と、第2回路と、電流検出部と、電圧検出部と、制御部とを持ち、これらを筐体内に収納する。第1回路は、前記蓄電池と外部端子との間に接続される。第1回路は、第1開閉器と、第1開閉器と並列に接続され蓄電池から供給される電流を前記外部端子側に許容する第1ダイオードとを含む。第2回路は、前記第1回路と前記外部端子との間に接続される。第2回路は、第2開閉器と、第2開閉器と並列に接続され前記外部端子側から供給される電流を前記第1回路側に許容する第2ダイオードとを含む。電流検出部は、前記蓄電池に流れる電流を検出する。電圧検出部は、前記蓄電池の電圧を検出する。制御部は、前記第1開閉器を制御する。前記制御部は、前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御したときに前記外部端子に入力される電流の電流値が、前記蓄電池パックが許容する許容電流値以下であると推定される場合に、前記第1開閉器を遮断状態から導通状態に制御し、前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が第1閾値以下であり、且つ前記電圧検出部により検出された電圧値が第2閾値以上である場合、前記第1開閉器を遮断状態に制御し、前記第1開閉器を遮断状態から導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が前記第1閾値以下であり、且つ前記電圧検出部により検出された電圧値が前記第2閾値未満である場合、前記第1開閉器を導通状態に制御し、前記第1開閉器を導通状態にしたことに応じて前記電流検出部により検出された電流値が前記第1閾値を超える場合、前記第1開閉器を導通状態に制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】蓄電池パック10の構成と使用環境を示す図。
図2】充放電制御部64により実行される微小電流の遮断処理の流れを示すフローチャート。
図3】本実施形態の蓄電池パック10と比較例の蓄電池パックの容量の時間的な変化を比較した実験結果を示す図。
図4】第2の実施形態の充放電制御部64により実行される処理の流れを示すフローチャート。
図5】第3の実施形態の充放電制御部64により実行される処理の流れを示すフローチャート。
図6】第4の実施形態の充放電制御部64により実行される処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の蓄電池パックを、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、蓄電池パック10の構成と使用環境を示す図である。蓄電池パック10は、例えば、充電部80と、負荷部90とに接続される。蓄電池パック10は、充電部80から電流が供給されることによって充電し、負荷部90に電力を供給する。蓄電池パック10は、例えば、蓄電池12と、内部電圧検出部14と、電流検出部16と、第1開閉回路20と、第2開閉回路30と、プリチャージ回路40と、外部電圧検出部50と、正極端子52と、負極端子54と、制御部60とを筐体11内に収容している。正極端子52は、「外部端子」の一例である。
【0009】
蓄電池12は、例えば、リチウムイオン電池や、ナトリウムイオン電池などの、鉛蓄電池よりも単位時間当たりの充電効率または放電効率が高い蓄電池の二次電池である。蓄電池12は、例えば、直列および/または並列に接続された複数の電池セルを含んでもよい。蓄電池12の一方端は、第1開閉回路20に接続され、他方端は、負極端子54に接続されている。
【0010】
内部電圧検出部14は、蓄電池12の電圧を検出する。内部電圧検出部14は、検出した電圧を示す信号を制御部60に出力する。
【0011】
電流検出部16は、蓄電池12が充放電する電流を検出する。電流検出部16は、検出した電流を示す信号を制御部60に出力する。
【0012】
第1開閉回路20は、例えば、互いに並列に接続された、第1開閉器22と、第1ダイオード24とを備える。第1開閉器22は、例えば、FET(Field Effect Transistor)である。また、第1開閉器22は、電力用のリレー回路であってもよい。第1開閉器22は、一端側が蓄電池12に接続され、他端側が第2開閉回路30に接続されている。第1開閉器22は、制御部60の制御によって、導通状態または遮断状態に切替えられる。
第1開閉器22が導通状態である場合、蓄電池パック10に接続された装置から供給された電力が蓄電池12に蓄電される。第1開閉器22が遮断状態となると、充電電流が遮断される。
【0013】
ダイオード24は、第1開閉器22と並列に接続され、且つ一方端が蓄電池12に接続され、他方端が第2開閉回路30に接続される。ダイオード24が、蓄電池12から供給される電流を第2開閉回路30側に許容することで、蓄電池12の電力は負荷部90に供給される。
【0014】
第2開閉回路30は、例えば、互いに並列に接続された、第2開閉器32と、第2ダイオード34とを備える。第2開閉器32は、例えば、FETである。また、第2開閉器32は、電力用のリレー回路であってもよい。第2開閉器32は、一端側が第1開閉回路20に接続され、他端側が正極端子52に接続されている。第2開閉器32は、制御部60の制御によって、導通状態または遮断状態に切替えられる。第2開閉器32が導通状態である場合、蓄電池パック10から出力された電力が正極端子52に接続された装置に供給される。
【0015】
ダイオード34は、第2開閉器32と並列に接続され、且つ一方端が第1開閉回路20に接続され、他方端が正極端子52に接続される。ダイオード34が、蓄電池パック10に接続された装置から供給された電流を第1開閉回路20側に許容することで、蓄電池12に電力が蓄電される。従って、第1開閉器22が遮断状態であり、且つ後述する第2開閉器32が遮断状態である場合、蓄電池パック10に接続された装置と蓄電池パック10との間は遮断される。
【0016】
プリチャージ回路40は、例えば、第1プリチャージ回路C1~C3を備える。第1プリチャージ回路C1は、例えば、第1プリチャージ開閉器42と、第1プリチャージ抵抗43とを備える。第1プリチャージ開閉器42は、一端側が第1プリチャージ抵抗43に接続され、他端側が第1開閉回路20と第2開閉回路30との間に接続されている。第1プリチャージ抵抗43は、一端側が電流検出部16と第1開閉回路20との間に接続され、他端側が第1プリチャージ開閉器42に接続されている。第1プリチャージ回路C1~C3は、互いに並列に接続されている。
【0017】
第2プリチャージ回路C2は、例えば、第2プリチャージ開閉器44と、第2プリチャージ抵抗45とを備える。第2プリチャージ開閉器44と、第2プリチャージ抵抗45とは、第1プリチャージ回路C1の第1プリチャージ開閉器42、および第1プリチャージ抵抗43と同様に接続されている。第3プリチャージ回路C3は、例えば、第3プリチャージ開閉器46と、第3プリチャージ抵抗47とを備える。第3プリチャージ開閉器46と、第3プリチャージ抵抗47とは、第1プリチャージ回路C1の第1プリチャージ開閉器42、および第1プリチャージ抵抗43と同様に接続されている。
【0018】
ここで、第1プリチャージ抵抗43の抵抗値は「Rp1」であり、第2プリチャージ抵抗45の抵抗値は「Rp2」であり、第3プリチャージ抵抗47の抵抗値は「Rp3」である。抵抗値は、例えば、Rp1>Rp2>Rp3の関係を有する。また、以下、第1プリチャージ開閉器42、第2プリチャージ開閉器44、および第3プリチャージ開閉器46を区別しない場合は、単に「プリチャージ開閉器」と称する。
【0019】
なお、プリチャージ開閉器(42、44、46)の他端側は、第2開閉回路30と正極端子52との間に接続されてもよい。
【0020】
外部電圧検出部50は、正極端子52と負極端子54との間の電圧を検出する。外部電圧検出部50は、検出したで電圧値を示す信号を制御部60に出力する。正極端子52および負極端子54は、例えば、車両に搭載された電気機器などの外部装置に接続された電力線を接続可能なコネクタを含んでよい。
【0021】
充電部80は、蓄電池12に電流を供給して蓄電池12に電力を充電させる回路である。負荷部90は、蓄電池12から供給された電力によって動作する電装機器を含む。負荷部90は、例えば、車両に搭載される補機を含む。
【0022】
制御部60は、例えば、SOC推定部62と、充放電制御部64と、記憶部66を含む。SOC推定部62と充放電制御部64とのうち、一方または双方は、CPU(CentralProcessing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現されてよい。また、SOC推定部62と充放電制御部64とのうち、一方または双方は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現され、SOC推定部62と充放電制御部64とのうち、一方または双方の機能を実現するための回路構成を有してもよい。また、SOC推定部62と充放電制御部64とのうち、一方または双方は、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0023】
記憶部66は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード等の不揮発性の記憶媒体と、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とによって実現される。記憶部66は、プロセッサが実行するプログラムや、予め実験などにより取得された、蓄電池12の内部抵抗や、充電特性、放電特性を示す情報が記憶されている。蓄電池12の充電特性とは、例えば、充電時の蓄電池12の電圧と、電池容量に対する充電の割合(SOC;State of Charge)との関係であり、蓄電池12の放電特性とは、例えば、放電時の蓄電池12の電圧と、放電容量との関係である。また、記憶部66には、内部電圧検出部14、電流検出部16、または外部電圧検出部50の検出結果が記憶される。
【0024】
SOC推定部62は、例えば、記憶部66に記憶された蓄電池12の内部抵抗や、充電特性、放電特性を示す情報と、内部電圧検出部14の検出結果とを用いて、蓄電池12の充電容量を推定する。
【0025】
充放電制御部64は、第1開閉器22を導通状態に制御することで、蓄電池12を充電させる。充放電制御部64は、充電時に、電流検出部16により検出された充電電流が第1閾値以下である場合に、第1開閉器22を遮断状態に制御して蓄電池12に流れる電流を遮断する。
【0026】
また、充放電制御部64は、蓄電池12を充電部80に接続するのが適切か否かを判断するために、以下の制御および演算を行う。充放電制御部64は、第1プリチャージ開閉器42、44、および46を順番に導通状態に制御して、内部電圧検出部14の検出結果(以下、内部電圧V1)、外部電圧検出部50の検出結果(外部電圧V2)、電流検出部16の検出結果(以下、電流I)を取得する。
【0027】
以下の説明において、プリチャージ回路C1を導通状態にしたときの内部電圧を内部電圧V1-1、外部電圧を外部電圧V2-1、および蓄電池12に流れる充電電流を充電電流I-1とする。また、ハイフン以下の数字が「2」は、プリチャージ回路C2を導通状態にしたとき内部電圧(V1-2)、外部電圧(V2-2)、および充電電流(I-2)を示し、ハイフン以下の数字が「3」は、プリチャージ回路C3を導通状態にしたとき内部電圧(V1-3)、外部電圧(V2-3)、および充電電流(V1-3)を示すものとする。
【0028】
そして、充放電制御部64は、および後述する処理に基づいて、充電部80が出力する電圧(以下、充電部電圧Vx)、充電部80の抵抗値(以下、充電部抵抗値Rx1)、または負荷部90の抵抗値(以下、負荷部抵抗値Rx2)を導出する。更に、充放電制御部64は、プリチャージ開閉器(42、44、46)が遮断状態であり、且つ第1開閉器22が導通状態である場合の最大の電流Imaxを推定する。
【0029】
充放電制御部64は、順にプリチャージ開閉器を遮断状態にすることにより取得した内部電圧V1-1~V1-3、外部電圧V2-1~V2-3、および電流I-1~I-3に基づいて、下記の式(1)~(3)を解いて、未知数である、充電部80の電圧値Vx、充電部抵抗値Rx1、および負荷部抵抗値Rx2を導出する。
I-1=(V2-1-Vx)/Rx1+V2-1/Rx2・・・(1)
I-2=(V2-2-Vx)/Rx1+V2-2/Rx2・・・(2)
I-3=(V2-3-Vx)/Rx1+V2-3/Rx2・・・(3)
【0030】
次に、充放電制御部64は、導出された電圧値Vx、充電部抵抗値Rx1、および負荷部抵抗値Rx2を下記の式(4)に代入して、プリチャージ開閉器(42、44、および46)が遮断状態であり、且つ第1開閉器22が導通状態である場合の外部電圧V#を導出する。「E1」は、蓄電池12の電圧である。「R#」は、蓄電池12の内部抵抗値である。
(E1-V#)/R#=(V#-Vx)/Rx1+V#/Rx2・・・(4)
【0031】
更に、充放電制御部64は、下記の式(5)を解いて、プリチャージ開閉器(38、40、および42)が遮断状態であり、且つ第1開閉器22が導通状態である場合の最大の電流Imaxを導出する。
Imax=(V#-Vx)/Rx1+V#/Rx2・・・(5)
【0032】
充放電制御部64は、導出した電流Imaxが、蓄電池パック10の回路(が有する開閉器)が許容する許容電流値以下であるか否かを判定する。許容電流値以下でない場合は、充放電制御部64は、蓄電池パック10と充電部80との電圧差を解消するために、第1開閉器22、第2開閉器32、第1プリチャージ開閉器42、および第2プリチャージ開閉器44を遮断状態、且つ第3プリチャージ開閉器46を導通状態に制御し、電圧差が解消するまで待機する。
【0033】
許容電流値以下である場合は、充放電制御部64は、プリチャージ開閉器(42、44、および46)を遮断状態、且つ第1開閉器22(或いは第1開閉器22および第2開閉器32)を遮断状態に制御する。これにより、蓄電池12が充電される。
【0034】
このように、充放電制御部64は、許容電流値を超える充電電流が蓄電池12に流れることを制限し、許容電流値以下の充電電流が蓄電池12に流れることを許容する。
【0035】
[微弱電流の遮断処理]
また、充放電制御部64は、充電電流が第1閾値以下である場合(微弱電流である場合)、第1開閉器22を遮断状態に制御し、蓄電池12に微弱電流が流れることを抑制する。図2は、充放電制御部64により実行される、微小電流の遮断処理を含む処理の流れを示すフローチャートである。まず、充放電制御部64は、例えば、上記の手法により電流Imaxを導出し(ステップS100)、導出した電流Imaxが許容値以下であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0036】
電流が許容値以下でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。電流Imaxが許容値以下である場合、充放電制御部64は、第1開閉器22、および第2開閉器32を導通状態に制御する(ステップS104)。
【0037】
次に、充放電制御部64は、電流検出部16に検出された充電電流が第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS106)。充電電流が第1閾値以下でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。充電電流が第1閾値以下である場合、充放電制御部64は、第1開閉器22を遮断状態、且つ第2開閉器32を導通状態に制御する(ステップS108)。これにより、蓄電池12の充電は禁止され、蓄電池12からの放電は許容される。なお、蓄電池12が微弱電流を放電する場合、微弱電流を充電する場合に比して蓄電池12の劣化の進行に影響しない。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0038】
また、充電電流が第1閾値以下である状態が所定時間(例えば数十分~1時間程度)経過した場合に、充放電制御部64は、第1開閉器22を遮断状態、且つ第2開閉器32を導通状態に制御してもよい。制御が機敏に行われると、蓄電池パック10の各部に影響を及ぼすためである。
【0039】
上述したように、電流検出部16に検出された充電電流が第1閾値以下である場合に第1開閉器22が遮断状態に制御されることにより、蓄電池12に充電される電流が遮断され、蓄電池の劣化の進行が抑制される。
【0040】
図3は、本実施形態の蓄電池パック10と比較例の蓄電池パックの容量の時間的な変化を比較した実験結果を示す図である。実施形態の蓄電池パック10は、満充電後に微弱電流を遮断する処理を行ったものであり、比較例の蓄電池パック10は、満充電後に微弱電流を遮断する処理を行わなかったものである。図3の縦軸は、回復放電容量([%])を示し、横軸は時間(日)を示している。測定の対象とした蓄電池は、同じ仕様のリチウムイオン電池である。温度条件はリチウムイオン電池の劣化が促進されやすい70[℃]とした。図中、実線は、本実施形態の蓄電池パック10の測定値を示し、破線は、比較例の蓄電池パックの測定値を示している。また、実線および破線の測定値は、本実施形態の蓄電池12および比較例の蓄電池の再充電後に、SOCが100%に到達した際の容量(回復放電容量)を示している。回復放電容量とは、劣化が生じていない場合におけるSOCが100%の場合の容量に対する、現在の容量の比率である。
【0041】
図示するように、比較例の蓄電池パックの回復放電容量は、時間の経過と共に大きく低下するが、本実施形態の蓄電池パック10の回復放電容量は、比較例の蓄電池パックの回復放電容量に比して低下が抑制されている。より具体的には、「比較例の蓄電池パックの測定値」に着目すると、微弱電流による充電によってリチウムイオン電池の電解液の分解が促進されることによって(詳細は後述)、回復放電容量は、56日が経過すると、初期の回復放電容量の70%となる。これに対して、「本実施形態の蓄電池パック10の測定値」に着目すると、微弱電流による充電を禁止した場合は、回復放電容量は、56日が経過しても、初期の回復放電容量の93%に留まる。
【0042】
また、「比較例の蓄電池パックの測定値」および「本実施形態の蓄電池パック10の測定値」において、回復放電容量が80%になる日数は、それぞれ「48.7日」および「81.3日」と見積もることができ、微弱電流に対する対策を行ったリチウムイオン電池の寿命は、微弱電流に対する対策を行っていないリチウムイオン電池の寿命の1.67倍の寿命となる。このように微弱電流に対する対策が行われることによって、蓄電池の劣化の進行を効果的に抑制することができる。
【0043】
例えば、リチウムイオン電池などの蓄電池は、例えば、微弱電流による充電(トリクル充電)がされると、急激に蓄電池の劣化が進行する場合がある。トリクル充電とは、例えば、蓄電池を電気機器から切り離し、電気機器を外部の電源装置で稼働させ、電源装置が微弱電流を蓄電池に流して満充電状態を維持することである。この場合、外部の電源装置が、充電電流が大きくなると電圧を下げたり、充電電流を用いてフィードバック制御を行ったりすることにより微弱電流を維持する。
【0044】
特に、蓄電池12の充電率が高い状態や満充電時において、これらの状態を維持するために微弱電流により充電がされると、以下の理由により蓄電池の劣化が進行しやすい。例えば、満充電時などでは、リチウムイオン電池の内部の電解液が活性化され、活性化された状態において、微弱電流によりエネルギーが供給されると、電解液の分解を伴って、リチウムイオン移動度が低下するなどの副作用が発生するためである。このような、副作用によって蓄電池の電池容量の低下や内部抵抗の上昇といった蓄電池の劣化が進行することがある。
【0045】
上記のような劣化の進行を抑制するために、例えば、フロート充電が行われる場合がある。フロート充電は、電池パックに接続された充電部が、蓄電池が満充電になった場合に、蓄電池に電流を流さずに、バイパス回路を用いて電流を負荷等に流し、電圧のみを蓄電池に印加した状態にすることで、蓄電池を満充電の状態に維持する充電方式である。
【0046】
しかしながら、車両等に搭載された充電部は、蓄電池の充電率が高い場合(またはほぼ満充電である場合)に蓄電池が電池パックの外部負荷に電流を供給している状態では、蓄電池は蓄電池を満充電にするために、フロート充電を実施している場合でも、トリクル充電と同様に蓄電池側に微弱電流を流すことにより、蓄電池への充電を継続する場合がある。
【0047】
これに対して、本実施形態では、電流検出部16により検出された電流が第1閾値以下である場合に第1開閉器22を遮断状態に制御して蓄電池12に充電される電流を遮断することで、蓄電池の劣化の進行を抑制することができる。特に、本実施形態では、蓄電池12が満充電である場合に、供給される微弱電流が遮断されることで、蓄電池の劣化の進行が更に効果的に抑制される。
【0048】
ところで、車両に搭載される蓄電池として鉛蓄電池が搭載されていることがあるが、車両内において、通信機器やサーバ装置などの電装品を使用する場合、鉛蓄電池では、動作時間が短かったり、充電時間が長かったりする場合がある。また、動作時間を長くしたり、充電時間を短くしたりするために充放電容量の大きい鉛蓄電池を用いると、蓄電池の寸法が大きくなり、車両内のスペースが大きく占領されてしまう。そこで、鉛蓄電池を搭載している車両において、鉛蓄電池に代えて、充放電容量の大きいリチウムイオン電池を搭載する場合がある。
【0049】
このような場合、車両側で蓄電池の充電の制御を実行するためのプログラムを変更するには、車両をディーラー店に持ち込んでアップデートを実施してもらう等の動作が必要となり、煩雑である。このため、鉛蓄電池を充電させることを前提としたプログラムが実行されて、リチウムイオン電池の充電が行われる可能性がある。鉛蓄電池を充電させることを前提としたプログラムとは、鉛蓄電池に大きな電流が流れると、水素が発生したり、熱が発生したりするため、微弱電流を蓄電池に供給したり、段階的に蓄電池に供給する電流を大きくしていく処理を実行させるものである。
【0050】
具体的には、蓄電池を充電させることを前提としたプログラムが実行されると、例えば、車両は10mAから1Aまで電流を段階的に高めながらリチウムイオン電池に電流を供給する。この場合、蓄電池に100mA以下の微弱電流が流れている期間は、リチウムイオン電池の劣化が進行しやすい。更に、鉛蓄電池は、放電が進行した状態で放置すると、サルフェーションと呼ばれる現象によって性能が著しく低下することがある。これを防ぐためにトリクル充電が行われる。しかしながら、リチウムイオン電池にとってトリクル充電などの微弱電流による充電は、劣化を進行させる一因である。このように、鉛蓄電池用の制御プログラムを残しながらリチウムイオン電池を適用した場合、不都合が生じる。
【0051】
そこで、本実施形態の充放電制御部64は、車両側において蓄電池を充電させることを前提としたプログラムが実行される場合であっても、微弱電流が蓄電池に供給されることを遮断する。この結果、蓄電池の劣化の進行が抑制される。
【0052】
なお、上記の蓄電池パック10は、一例として車両に搭載されるものとして説明したが、これに限られず、スマートフォンやパーソナルコンピュータなどの電子機器、または無停電電源装置(UPS)などの電気機器に搭載されてもよい。
【0053】
以上説明した第1の実施形態によれば、充放電制御部64が、電流検出部16により第1閾値以下の電流が検出された場合に、第1開閉器22を遮断状態に制御して蓄電池12に流れる電流を遮断することにより、蓄電池の劣化の進行を抑制することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、充放電制御部64は、電流検出部16により第1閾値以下の電流が検出され、且つ内部電圧検出部14により検出された電圧が第2閾値以上である場合に、第1開閉器22を遮断状態に制御する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
図4は、第2の実施形態の充放電制御部64により実行される処理の流れを示すフローチャートである。図4のフローチャートのステップS200~S206は、図2のフローチャートのステップS100~S106の処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0056】
ステップS206で受電電流が第1閾値以下である場合、充放電制御部64は、内部電圧検出部14により検出された電圧が第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS208)。内部電圧検出部14により検出された電圧が第2閾値以上でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0057】
内部電圧検出部14により検出された電圧が第2閾値以上である場合、充放電制御部64は、第1開閉器22を遮断状態、且つ第2開閉器32を導通状態に制御する(ステップS210)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0058】
これにより、充電電流が第1閾値以下であっても、電圧が第2閾値未満である場合には、蓄電池12の充電が許容される。例えば、バックアップ電源のように、SOCが低い状態で微弱電流による充電が禁止されて必要なSOCが確保されない場合を避けたいことがある。本実施形態の充放電制御部64は、電圧が第2閾値未満であれば、微弱電流による充電を許容するため、必要なSOCが確保する場合には好適である。なお、一般的に微弱電流による充電によって回復放電容量が低下するのは、蓄電池の電解液中の物質の活性度が高い高電圧時(第2閾値以上の電圧時)である。
【0059】
以上説明した第2の実施形態によれば、充放電制御部64は、第1の実施形態の効果を奏すると共に、蓄電池の劣化に対する影響度が小さい場合は充電を行うことができる。
【0060】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、充放電制御部64は、電流検出部16により検出された充電電流が第1閾値以下であり、且つSOC推定部62により推定された充電容量が第3閾値以上であると推定された場合に、第1開閉器22を遮断状態に制御する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0061】
図5は、第3の実施形態の充放電制御部64により実行される処理の流れを示すフローチャートである。図5のフローチャートのステップS300~S304は、図2のフローチャートのステップS100~S104の処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0062】
ステップS304の処理の後、充放電制御部64は、SOC推定部62により推定された充電容量が第3閾値以上であると推定されたか否かを判定する(ステップS306)。SOC推定部62により推定された充電容量が第3閾値以上でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0063】
SOC推定部62により推定された充電容量が第3閾値以上である場合、充放電制御部64は、電流検出部16に検出された充電電流が第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS308)。充電電流が第1閾値以下でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。充電電流が第1閾値以下である場合、充放電制御部64は、第1開閉器22を遮断状態、且つ第2開閉器32を導通状態に制御する(ステップS310)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0064】
これにより、充電容量が第3閾値以上の場合に、電流が第1閾値以下か否かが判定されることにより、特に微弱電流が生じやすい充電容量と推定される場合に、蓄電池の劣化の進行が抑制される。
【0065】
なお、充放電制御部64は、SOC推定部62により推定された充電容量に基づいて、第1閾値を変更してもよい。例えば、充放電制御部64は、SOC推定部62により推定された充電容量が所定値以上である場合は第1閾値を維持し、SOC推定部62により推定された充電容量が所定値未満である場合は第1閾値を第1閾値よりも小さい閾値に変更する。これにより、微弱電流の影響を受けやすい蓄電池の充電容量が比較的に高い場合には、より微弱電流を遮断する傾向となり、充電容量が高い場合に比して微弱電流の影響を受けにくい蓄電池の充電容量が比較的に低い場合には、より微弱電流を遮断しない傾向となり、充電容量に応じた制御が実現される。
【0066】
以上説明した第3の実施形態によれば、充放電制御部64は、充電電流が第1閾値以下であり、且つ充電容量が第3閾値以上である場合に、第1開閉器22を遮断状態に制御することにより、第1の実施形態の効果を奏すると共に、蓄電池の劣化の進行について比較的に影響が小さい状態では、微弱電流による充電を行うことができる。
【0067】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、充放電制御部64は、電流検出部16により第1閾値以下の電流が検出され、内部電圧検出部14により第2閾値以上の電圧が検出され、且つSOC推定部62により第3閾値以上の充電容量が推定された場合に、第1開閉器22を遮断状態に制御する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0068】
図6は、第4の実施形態の充放電制御部64により実行される処理の流れを示すフローチャートである。図6のフローチャートのステップS400~S404は、図2のフローチャートのステップS100~S104の処理と同様の処理であるため説明を省略する。
【0069】
ステップS404の処理の後、充放電制御部64は、SOC推定部62により推定された充電容量が第3閾値以上であるか否かを判定する(ステップS406)。SOC推定部62により推定された充電容量が第3閾値以上でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0070】
SOC推定部62により推定された充電容量が第3閾値以上である場合、充放電制御部64は、電流検出部16に検出された充電電流が第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS408)。充電電流が第1閾値以下でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。充電電流が第1閾値以下である場合、充放電制御部64は、内部電圧検出部14により検出された電圧が第2閾値以上であるか否かを判定する(ステップS410)。内部電圧検出部14により検出された電圧が第2閾値以上でない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0071】
内部電圧検出部14により検出された電圧が第2閾値以上である場合、充放電制御部64は、第1開閉器22を遮断状態、且つ第2開閉器32を導通状態に制御する(ステップS412)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
【0072】
このように、充放電制御部64は、蓄電池12の充電容量、微弱電流の有無、および内部電圧検出部14により検出された電圧に基づいて、微弱電流を遮断する否かを判定するため、微弱電流を遮断すると共に、蓄電池12の状態をより反映させた制御を実現することができる。
【0073】
以上説明した第4の実施形態によれば、充放電制御部64は、充電電流が第1閾値以下であり、電圧が第2閾値以上であり、且つ充電容量が第3閾値以上である場合に、第1開閉器22を遮断状態に制御することにより、第1の実施形態の効果を奏すると共に、蓄電池12の状態に応じて微弱電流をより適切に遮断することができる。
【0074】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、蓄電池12と、蓄電池12と正極端子52との間に接続される第1開閉器22と、少なくとも蓄電池12が充電される電流を検出する電流検出部16と、第1開閉器22を導通状態に制御することで蓄電池12を充電させる充放電制御部64であって、蓄電池12を充電させる際に電流検出部16により検出された充電電流が第1閾値以下である場合に、第1開閉器22を遮断状態に制御して蓄電池12に流れる電流を遮断する充放電制御部64を持つことにより、蓄電池の劣化の進行を抑制することができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
10…蓄電池パック、11…筐体、12…蓄電池、14…内部電圧検出部、16…電流検
出部、22…第1開閉器、32…第2開閉器、52…正極端子、62…SOC推定部、6
4…充放電制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6