(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】貫流構成体
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20220518BHJP
【FI】
F04D29/44 S
(21)【出願番号】P 2020516527
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018072378
(87)【国際公開番号】W WO2019057412
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-07-06
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522103340
【氏名又は名称】シーメンス・エナジー・グローバル・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・マルテンス
(72)【発明者】
【氏名】ニコ・ペトリ
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-069811(JP,A)
【文献】特表2010-540817(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02778431(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
F04D 29/24
F04D 29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン流れ方向(MFD)に沿ってプロセス流体(PFF)が貫流可能である構成体(ARG)であって、
前記構成体が、軸線(X)周りに所定の回転方向(RTD)において回転可能なインペラ(IMP)と、当該インペラ(IMP)の下流に位置しかつガイドベーン(VNE)を備える静止ディフューザ(DFF)と、を備え、
前記インペラ(IMP)は、軸方向の流入のための入口(INI)と、径方向の流出のための出口(EXI)と、を有し、前記インペラ(IMP)のホイールディスク(HWI)とカバーディスク(SWI)との間に、径方向および軸方向に延在するロータブレード(BLD)が配置されており、当該ロータブレードは、周方向(CDR)においてインペラ流路(ICH)を互いに画定し、
前記静止ディフューザ(DFF)は、メイン流れ方向(MFD)に沿って径方向に延在し、
前記静止ディフューザ(DFF)は、軸方向のカバーディスク側(SWS)と、軸方向のホイールディスク側(HWS)と、を有し、前記軸方向のカバーディスク側と前記軸方向のホイールディスク側とは、前記軸方向のカバーディスク側と前記軸方向のホイールディスク側の間で前記静止ディフューザ(DFF)の軸方向の流路幅(SAC)を画定し、 前記静止ディフューザ(DFF)は、径方向の流入のためのディフューザ入口(IND)と、ディフューザ出口(EXD)と、を有し、
前記静止ディフューザ(DFF)の前記ホイールディスク側(HWS)と前記カバーディスク側(SWS)との間に、ベーン高さ方向に沿って軸方向にかつ貫流方向に沿って径方向に延在するガイドベーン(VNE)が配置されており、当該ガイドベーンは周方向(CDR)においてガイドベーン流路(HCN)を互いに画定する構成体において、
それぞれの軸方向ベーン高さについて、入口縁部角(LEA)は、それぞれの前記ガイドベーン(VNE)の入口縁部(DLE)において翼形中心線(BWL)に接する入口縁部接線(TLV)と、前記入口縁部を通過する周方向接線(CTG)と、の間の角として定義されており、
前記入口縁部角(LEA)は、前記カバーディスク側において、前記ホイールディスク側におけるよりも小さく、
前記ガイドベーン(VNE)は、前記入口縁部の領域内で前記翼形中心線(BWL)に接する接線と、出口縁部領域(TEA)内で前記翼形中心線(BWL)に接する接線と、の間の角が、前記カバーディスク側において、前記ホイールディスク側におけるよりも小さいように形成されていることを特徴とする構成体。
【請求項2】
カバーディスク側の入口縁部角(LEA)と、ホイールディスク側の入口縁部角(LEA)と、の差が少なくとも5°である請求項1に記載の構成体(ARG)。
【請求項3】
前記ガイドベーン(VNE)の迎え角(AOA)は、前記カバーディスク側において、前記ホイールディスク側におけるよりも小さい請求項1または2に記載の構成体(ARG)。
【請求項4】
前記ガイドベーン(VNE)のカバーディスク側の迎え角(AOA)と、ホイールディスク側の迎え角(AOA)と、の差が少なくとも5°である請求項3に記載の構成体(ARG)。
【請求項5】
ベーンを備える前記静止ディフューザ(DFF)の軸方向の流路幅(SAC)と、インペラ出口最大直径(DIE)と、の割合が0.04よりも大きい、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成体(ARG)。
【請求項6】
ベーンを備える前記静止ディフューザの軸方向の流路幅(SAC)と、インペラ出口最大直径(DIE)における前記インペラ(IMP)の軸方向の流路幅(IAC)と、の割合が0.95よりも小さい、請求項1から5のいずれか一項に記載の構成体(ARG)。
【請求項7】
前記ガイドベーン(VNE)は、前記入口縁部の領域内で前記翼形中心線(BWL)に接する接線と、プロファイル弦(VCH)と、の間の角が、前記カバーディスク側において、前記ホイールディスク側におけるよりも小さいように形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の構成体(ARG)。
【請求項8】
前記ガイドベーン(VNE)は傾きを有し、それにより前記入口縁部(DLE)は、前記カバーディスク側において、前記ホイールディスク側の入口縁部(DLE)に対して、前記インペラ(IMP)の前記回転方向(RTD)に、前記静止ディフューザ(DFF)の前記軸方向の流路幅(SAC)の少なくとも10%の分だけずらされている、請求項1から7のいずれか一項に記載の構成体(ARG)。
【請求項9】
前記静止ディフューザ(DFF)の前記ガイドベーン(VNE)の軸方向プロファイルは、前記カバーディスク側から前記ホイールディスク側に至るまで、連続的に湾曲された状態である、請求項1から
8のいずれか一項に記載の構成体(ARG)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイン流れ方向に沿ってプロセス流体が貫流可能である構成体であって、軸線周りに所定の回転方向において回転可能なインペラと、インペラの下流に位置しかつガイドベーンを備える静止ディフューザと、を含む構成体に関し、インペラは、実質的に軸方向の流入のための入口と、実質的に径方向の流出のための出口と、を有し、インペラのホイールディスクとカバーディスクとの間に、径方向および軸方向に延在するロータブレードが配置されており、ロータブレードは、周方向においてインペラ流路を互いに画定し、ディフューザは、メイン流れ方向に沿って実質的に径方向に延在し、ディフューザは、軸方向のカバーディスク側と、軸方向のホイールディスク側と、を有し、軸方向のカバーディスク側と軸方向のホイールディスク側とは、軸方向のカバーディスク側と軸方向のホイールディスク側との間でディフューザの軸方向の流路幅を画定し、ディフューザは、実質的に径方向の流入のためのディフューザ入口と、ディフューザ出口と、を有し、ディフューザのホイールディスク側とカバーディスク側との間に、ベーン高さ方向に沿って軸方向にかつ貫流方向に沿って径方向に延在するガイドベーンが配置されており、ガイドベーンは、周方向においてガイドベーン流路を互いに画定する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が、対応する構成体をすでに開示している。当該文献では、傾斜した型式のガイドベーンを、インペラの下流に配置された静止ディフューザ内に配置すること(二平面ベーン)が提案される。特にいわゆる「低ソリディティディフューザ」(ガイドベーンが自身の径方向範囲に対して、周方向において互いに比較的大きな間隔を有するガイドベーンを備えるもの)の場合、この空気力学的対策を用いて、圧力損失の低減を実現しようとする。しかしながらディフューザ内の流れパターンは、インペラ内の流れ状態およびインペラの下流の流れ状態に大きく依存するので、提案された対策はインペラの形態に従ってポジティブな、あるいはネガティブな効果を生じさせ得、それにより当該対策の所望の効果は、極めて限られたその他の空気力学的周辺条件の下でのみ生じるか、あるいは全く生じない。
【0003】
特許文献2は、設定可能なラジアル圧縮機ディフューザをすでに開示しており、当該ラジアル圧縮機ディフューザにおいて、実質的に径方向に延在するディフューザの軸方向の流路幅は、可変式に形成されている。
【0004】
特許文献3は、ラジアル圧縮機インペラをすでに開示しており、当該ラジアル圧縮機インペラのカバーディスクとホイールディスクとは、外周において錐面として形成されている。
【0005】
特許文献4は、インペラとディフューザとから成る構成体であって、個々のディフューザガイドベーンが、回転軸線に対して異なる間隔を有する、構成体をすでに開示している。
【0006】
特許文献1は、ラジアルターボ機械のディフューザ内のガイドベーンを周方向において傾斜式に構成することをすでに開示している。
【0007】
特許文献5、特許文献6、特許文献7はそれぞれ、開放型インペラの下流における三次元的なディフューザガイドベーン形態を示している。開放型インペラにおける流れ状態は、開放型インペラにおけるホイールディスクに対して、流れをガイドするステータにも滑りなし状態がみられることからして、すでに閉鎖型インペラにおける流れ状態とは比較ができない。したがって開放型インペラの下流では、特にホイールディスクとカバーディスクとの部分の差異に関して全く別の流れパターンが生じる。
【0008】
特許文献8は、閉鎖型インペラを備えるターボ機械を示している。
【0009】
特許文献1は、閉鎖型インペラの下流において、ベーン高さに沿って湾曲したプロファイル重心線を有するガイドベーン形態を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許出願公開第2650546号明細書
【文献】独国特許出願公開第102010020379号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014219107号明細書
【文献】独国特許出願公開第102016201256号明細書
【文献】米国特許第2372880号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2778431号明細書
【文献】国際公開第2011/011335号パンフレット
【文献】欧州特許出願公開第0648939号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来、インペラブレードとディフューザベーンとの三次元的形態は、構成体の空気力学的性質を従来の実施に比べて確実に改善させる分かりやすい技術的教示に応じて行われているとはいえない。したがって本発明の目的は、特にこのような構成体のディフューザのガイドベーンの空気力学的性質を、本発明に係る教示を用いて改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、冒頭において定義された型式の構成体を提案し、当該構成体は主請求項の特徴部分を用いて改良される。
【0013】
個々のガイドベーンは、ベーン高さに沿ってベーンプロファイルを積み重ねたものと定義される。このときベーンプロファイルは、特定のベーン高さ位置におけるベーンの外部輪郭を定義する二次元的幾何学形状である。
このとき本発明が、ベーンプロファイルのプロファイル弦というとき、プロファイル前縁(プロファイル先端)とプロファイル後縁とを結ぶ(「想像上の」)直線を意味すると理解される。
【0014】
ベーンプロファイルの迎え角は、プロファイル弦における接線と、ロータの円運動に対する接線と、の間の角に相当する。これに応じて迎え角は、ベーン高さに対して垂直なベーンの範囲に沿って、すなわち実質的にメイン流れ方向に対して平行に一定であり、ベーン高さに沿って変化し得る。
【0015】
翼形中心線(曲率線)は、プロファイル断面もしくは特定の高さ位置におけるベーンのプロファイルを表すが、それは翼形中心線(曲率線)が、内接円もしくはプロファイルの吸引側および圧力側に接する円の中心点によって定義される線であることによる。
【0016】
軸方向、径方向、接線方向、または周方向といった表現は、他の記載がない限り、構成体のインペラの回転軸線に関係している。特に「接線方向」、「接線」、およびこれに関連する表現は、本発明の詳細な説明において、他の曲線に関しても頻繁に用いられる。
【0017】
本願においてプロセス流体とは、任意の気体の、液体の、または混合相の流体であってよい。プロセス流体は、メイン流れ方向に沿って、通常はターボ機械の構成部材である構成体を通過して移動する。流出方向とは、それぞれの関連において目的物の境界壁によって画定される領域内のプロセス流体の平均的進行方向を意味すると理解される。例えばディフューザ内でプロセス流体は、ガイドベーンにより軸方向において画定されるとともに周方向において画定される個々の流路を通過して、ガイドベーンの入口縁部領域から径方向外側に向かい、ガイドベーンの出口縁部領域内へと移動する。ガイドベーンはそれぞれ、プロファイルの曲率を有しているので、実質的に径方向のメイン流れ方向としか言えない。いずれにしても「メイン流れ方向」という用語は、局所的な渦流および乱流を考慮していない。
【0018】
構成体のインペラは通常、ホイールディスクとカバーディスクとを有する。このときホイールディスクは、インペラ流路を、一方で(主に流入領域内で)径方向内側に向かって、他方で(インペラ出口に近づくにつれて増大するように)、軸方向において流入側の反対側の軸方向側であって、プロセス流体が当該軸方向側を介してインペラに流入しない、軸方向側に向かって画定する。カバーディスクはホイールディスクの反対側のインペラ流路の画定部となっている。
【0019】
ホイールディスク側の反対側の軸方向のカバーディスク側において、プロセス流体は軸方向においてインペラに流入し、インペラの流路に対して径方向外側に向かって転向させられる。したがってカバーディスク側は流入側と称することもできる。インペラの流路は周方向においてロータブレードを用いて互いに画定され、ロータブレードはホイールディスクとカバーディスクとを互いに結合する。
【0020】
構成体全体の状況において、ホイールディスクとカバーディスクとはそれぞれまた、ホイールディスク側とカバーディスク側とを規定し、ディフューザを説明する際に、当該ホイールディスク側とカバーディスク側とが参照される。本発明に係る構成体においてディフューザの流入は、常に径方向内側から外側に向かって行われる。このときディフューザは好適に、ディフューザ出口の形で実質的に径方向外側に向けられた流出部を備えている。基本的にまたディフューザが湾曲式に形成されており、場合により径方向-軸方向において、軸方向において、あるいは径方向内側に向かって流出を行うことも想定可能である。本発明によれば基本的に、ディフューザの一部分は常に実質的に径方向に延在する。当該部分は、軸方向あるいは径方向内側に向けられた流れ方向への流れの転向部の上流に位置してよい。
【0021】
本発明によれば、それぞれの軸方向ベーン高さにについて、入口縁部角は、それぞれのガイドベーンの入口縁部において翼形中心線に接する入口縁部接線と、入口縁部を通過する周方向接線と、の間の角として定義されることが提案され、入口縁部角はカバーディスク側において、ホイールディスク側におけるよりも小さい。
【0022】
このとき、入口縁部を通過して延びる周方向接線は、当該周方向接線が、ガイドベーンのそれぞれのプロファイル断面の入口縁部点を通る径方向に対して垂直に延在することを意味する。このとき入口縁部角は、周方向接線から翼形中心線に接する入口縁部接線に至る、数学的に正にカバーされる角である。入口縁部において、ディフューザガイドベーンのカバーディスク側に対するホイールディスク側に関して、翼形中心線の形態をこのように設定すると、プロセス流体が比較的損失の少ない状態でディフューザ内に流入することになる。
【0023】
本発明の一の有利な改良は、カバーディスク側の入口縁部角と、ホイールディスク側の入口縁部角と、の差が少なくとも5°であることを提供する。本発明に応じて、当該大きさの程度で発明を構成すると、構成体の空気力学的特性が著しく改善される。
【0024】
本発明の一の他の有利な改良は、ガイドベーンの迎え角がカバーディスク側において、ホイールディスク側におけるよりも小さいことを提供する。当該形態は、インペラを出た後のカバーディスク側とホイールディスク側との流れパターンにおける差を付加的に考慮し、それにより空気力学的特性はさらに改善される。
【0025】
上記の改善は、ガイドベーンのカバーディスク側の迎え角と、ホイールディスク側の迎え角と、の差が少なくとも5°であると、一層明らかになる。
【0026】
本発明の一の他の改良は、ベーンを備えるディフューザの軸方向の流路幅と、インペラ出口最大直径と、の割合が0.04よりも大きいと、インペラを出た後の下流の流れはディフューザに入る前に、特に好適に準備されることを提供する。
【0027】
本発明の一の他の有利な改良は、ベーンを備えるディフューザの軸方向の流路幅と、インペラ出口最大直径におけるインペラの軸方向の流路幅と、の割合が0.95よりも小さいことを提供する。このようなやり方で流れは、ディフューザに入ることにより加速され、それによりインペラの下流で渦流が形成されることは減る。
【0028】
本発明の一のさらなる有利な改良によれば、ガイドベーンは、入口縁部領域内で翼形中心線に接する接線と、出口縁部領域内で翼形中心線に接する接線と、の間の角が、カバーディスク側において、ホイールディスク側におけるよりも小さいように形成されている。言い換えればこの特徴は、それぞれのプロファイルによって予め規定された転向機能が、カバーディスク側において、ホイールディスク側におけるよりも強くないということにより表すことができる。当該形態もインペラを出た後であって、ディフューザに入る前のプロセス流体の特別な流れ状況に有利に関係している。
【0029】
本発明に係る構成体の一の他の有利な改良であって、ガイドベーンが、入口縁部領域内で翼形中心線に接する接線と、プロファイル弦と、の間の角が、カバーディスク側において、ホイールディスク側におけるよりも小さいように形成される、改良は、類似の効果を有する。このとき入口縁部領域内で翼形中心線に接する接線と、プロファイル弦と、の間の角は、入口縁部領域内で翼形中心線に接する接線からプロファイル弦に至る数学的に正な角として定義されている。
【0030】
本発明の一の他の有利な改良は、ガイドベーンが傾きを有することを提供し、それにより入口縁部はカバーディスク側において、ホイールディスク側の入口縁部に対して、インペラの回転方向と反対に、ディフューザの軸方向の流路幅の少なくとも10%の分だけ、ずらされている。特にすでに説明された本発明の個々の改良、あるいはいくつかの改良との組み合わせにより、当該形態は、インペラを出た後の流れパターンにおけるカバーディスク側とホイールディスク側との差を付加的に考慮する。
【0031】
入口縁部が周方向においてこのように傾斜していることに関連して、出口縁部も周方向において傾斜していてよく、構成体の一の有利な改良によれば、ガイドベーンが、カバーディスク側の出口縁部において、入口縁部におけるよりも、ホイールディスク側に対するインペラの回転方向と反対のずれが小さいように形成されていると、特に好適である。
【0032】
特に、ディフィーザのガイドベーンの軸方向のプロファイル(高さ方向におけるプロファイル)が、カバーディスク側からホイールディスク側に至るまで、連続的に湾曲された状態であると、調和のとれた圧力損失の少ない流れガイドが実現される。
【0033】
以下において、一の特殊な実施の形態に基づき、図面を参照しながら本発明をより詳しく明らかにする。図面に示すのは以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明に係る構成体の縦断面を概略的に示す図である。
【
図2】
図1による細部IIとして、本発明に係る構成体の縦断面を概略的に示す図である。
【
図3】本発明に係る構成体の横断面を概略的に示す図である。
【
図4】本発明に係る構成体の横断面を付加的な幾何学的細部と共に、概略的に示す図である。
【
図5】本発明に係る構成体のディフィーザの横断面を単一のガイドベーンの領域内で概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1および
図2は、本発明に係る構成体ARGの縦断面を概略的な表示で示しており、
図2は符号IIで表される
図1の細部を表している。本発明に係る構成体ARGは、プロセス流体PFFが、メイン流れ方向MFDに沿って、入口INLから出口EXTへと貫流する。構成体ARGは、軸線X周りに回転方向RTDにおいて回転可能なインペラIMPを含む。インペラIMPの下流に、ガイドベーンVNEを備える静止ディフューザDFFが位置している。インペラIMPは、実質的に軸方向の流入のための入口INIと、実質的に径方向の流出のための出口EXIと、を有する。インペラの実質的に軸方向の流入および実質的に径方向の流出に対する適合性は、インペラを通過して延在する流路およびインペラ流路ICHのプロファイルによって特徴づけられる。インペラIMPのホイールディスクHWIとカバーディスクSWIとの間に、径方向および軸方向に延在するロータブレードBLDが位置している。
図3および
図4から分かるように、ロータブレード流路ICHは、周方向CDRにおいて、前記ロータブレードBLDによって互いに画定されている。ディフューザDFFは、ディフューザ流路が、実質的に径方向に延びているメイン流れ方向MFDに沿った状態で延在する。ディフューザDFFは、軸方向カバーディスク側SWSと、軸方向ホイールディスク側HWSと、を有する。この用語は、インペラIMPのカバーディスクSWIとホイールディスクHWIとの構成に基づく。ディフューザDFFの軸方向カバーディスク側SWSと、軸方向ホイールディスク側HWSと、は、軸方向カバーディスク側SWSと、軸方向ホイールディスク側HWSと、の間でディフューザDFFの軸方向の流路幅SACを画定する。ディフューザDFFは、実質的に径方向の流入のためのディフューザ入口INDと、ディフューザ出口EXDと、を有する。
【0036】
図2においてディフューザは、メイン流れ方向MFDに沿って延在する三つの部分、すなわち第一のディフューザ三分割部分TS1、第二のディフューザ三分割部分TS2、第三のディフューザ三分割部分TS3に区分されている。ホイールディスク側HWSとカバーディスク側SWSとの間で、ベーン高さ方向に沿って軸方向にかつ貫流方向に沿って径方向に延在するガイドベーンVNEが延在している。ガイドベーンVNEは、周方向CDRにおいて個々のガイドベーン流路HCNを互いに画定する。
【0037】
図3、
図4、および
図5にはそれぞれ、本発明に係る構成体ARG、あるいはその一部の横断面が表されており、それによりまたガイドベーン流路HCNが、周方向CDRにおいて、どのようにガイドベーンVNEを用いて互いに画定されているかを認識することができる。ガイドベーンVNEは元来、メイン流れ方向MFDに沿って完全に直線的なプロファイルを有してはいないので、このような画定もこれに応じて理解すべきである。個々のガイドベーンVNEは、ベーン高さに沿ってベーンプロファイルPRL(例えば
図5に示されるベーンプロファイルPRL)を積み重ねたものと定義される。ベーン高さは
図1、
図2に表されているように、軸線Xに対して平行に、すなわち軸方向に延びている。ベーンプロファイルPRL自体は、特定のベーン高さ位置におけるベーンの外部輪郭を定義する二次元的幾何学形状である。それぞれの吸引側SCSおよび圧力側PRSにおけるベーンの実際の外部輪郭は、ベーンプロファイルPRLの線形境界輪郭間の表面補間として得られ、ベーンプロファイルの線形境界輪郭はそれぞれ、それぞれのベーン高さ位置(ここでは軸方向位置でもある)における線形の特定を表している。
【0038】
図3は、インペラIMPと、下流に接続されるとともにステータSTAとして形成されているディフューザDFFと、を備える本発明に係る構成体ARGの部分を、横断面において概略的に示している。インペラIMPとディフューザDFFとの間に、径方向間隙の径方向クリアランスRCLがある。インペラIMPは当該表示では、周方向CDRと反対に回転する。ディフューザDFFの個々のガイドベーンVNEは、ただ概略的な翼形中心線BWLとして表されている。このとき翼形中心線BWLは、ベーンのプロファイル断面もしくは特定の高さ位置におけるベーンのプロファイルを表すが、それは時として曲率線とも称される翼形中心線BWLが、内接円もしくはプロファイルの吸引側および圧力側に接する円の中心点によって定義される線であることによる。
図5は、二つの円CLCに基づいて、どのようにガイドベーンVNEの圧力側PRSおよび吸引側SCSが内接円CLCを用いて、翼形中心線BWLを定義するかを例として詳細に示している。
【0039】
このとき
図5は、一のガイドベーンVNEの領域内のディフューザDFFの軸方向断面を示すのみであり、当該図はカバーディスク側SWSにも、ホイールディスク側HWSにも該当する。
【0040】
図4はインペラIMPと共に見た場合の同様の関連を示している。本図においてインペラIMPは、概ねロータブレード入口縁部ILEからロータブレード出口縁部ITEに至るまで、メイン流れ方向MFDに沿って連続する三つの三分割部分に区分されている。このとき、ロータブレード入口縁部ILEとロータブレード出口縁部ITEとは、必ずしもインペラの入口INIもしくはインペラの出口EXIと同一ではない。メイン流れ方向MFDは、インペラIMP内で軸方向にも、すなわち
図4において図面平面内部に向かっても延びている。
図4のロータブレードBLDの軸方向投影において、軸方向範囲についての情報は当然ながら失われる。インペラは、第一のインペラ部分IS1、第二のインペラ部分IS2、および第三のインペラ部分IS3を有する。
図4は
図5と異なり、それぞれ点線状の描写でロータブレードBLDについても、ガイドベーンVNEについても、カバーディスク側SWSおよびホイールディスク側HWSを示している。
【0041】
特に
図5から、個々の軸方向ベーンに対する入口縁部角LEAは、それぞれのガイドベーンVNEの入口縁部接線TLVと、入口縁部DLEを通過する周方向接線CTGと、の間の角として定義されていることが分かる。このとき入口縁部角LEAは、周方向接線CTGから入口縁部接線TLVへと、数学的に正に測定されている。周方向接線CTGは、周方向においてそれぞれ示された位置、本図では入口縁部DLEの位置における接線である。前記周方向接線CTGはまた、径方向RADおよび、本図では入口縁部DLEを含む基準点に対して垂直であると定義される。
【0042】
図4および
図5にはそれぞれ、ガイドベーンVNEのプロファイルのプロファイル弦VCHも、それぞれの断面に書き込まれており、当該プロファイル弦は直線として入口縁部DLEから出口縁部DTEへと延在している。プロファイル弦VCHに基づいて、迎え角AOAも入口縁部角LEAと同じように、周方向接線CTGからプロファイル弦VCHへと数学的に正に測定された角として定義される。
【0043】
図4は、ディフューザDFFのカバーディスク側SWSおよびホイールディスク側HWSに対するこれらの関係を示している。構成体ARGは、ディフューザDFFにおいて入口縁部角LEAが、カバーディスク側においてホイールディスク側におけるよりも小さいことを提供する。好適に、カバーディスク側の入口縁部角と、ホイールディスク側の入口縁部角LEAと、の差は少なくとも5度である。
【0044】
図2にも示されているように、ベーンを備えるディフューザDFFの軸方向の流路幅SACと、インペラ出口最大直径と、の割合は0.04よりも大きい。同じく
図2からは、ベーンを備えるディフューザの軸方向の流路幅SACと、インペラ出口最大直径DIEにおけるインペラIMPの軸方向の流路幅IACと、の割合が0.95よりも小さいことが明らかである。
図5にも示されているように、ガイドベーンVNEは特に好適に、入口縁部領域内で翼形中心線BWLに接する接線TLVと、出口縁部領域TEA内で翼形中心線BWLに接する接線TTVと、の間の、ここではプロファイル曲率角VBAと称される角が、カバーディスク側において、ホイールディスク側におけるよりも小さいように形成されている。ここでもまた曲率角VBAは、入口縁部領域内で翼形中心線BWLに接する接線TLVから数学的に正に測定されている。
【0045】
図5にはまた、本発明の一の有利な形態が、入口縁部領域内で翼形中心線BWLに接する接線TLVと、プロファイル弦VCHと、の間の角がカバーディスク側において、ホイールディスク側におけるよりも小さいという型式で示されており、ここで当該角は入口迎え角VTCとして表されている。
図5はホイールディスク側HWSもしくはカバーディスク側SWSに関する関係を基本的に概略的に表しており、したがって両方の側を表しているという点に留意すべきである。
【0046】
プロファイル断面が重ね合わされている
図4の表示は、これらの幾何学的関係を全て記入すると不明瞭になる。
【0047】
図4に示されているように、ガイドベーンVNEの入口縁部DLEは、有利には、径方向においてディフューザDFFの入口に対して、下流にわずかにずらされていてよく、
図4においてこの径方向のずれはCBSとして示されている。
【0048】
図4には概略的に、ガイドベーンVNEが傾きを有し、それにより入口縁部DLEはカバーディスク側において、ホイールディスク側の入口縁部DLEに対して、インペラIMPの回転方向RTDと反対に、ディフューザDFFの軸方向の流路幅SACの少なくとも10%の分だけずらされているという関係が表されている。これに関連して
図4に示されているように、ガイドベーンVNEが、カバーディスク側SWSの出口縁部DTEにおいて、入口縁部DLEにおけるよりも、ホイールディスク側HWSに対するインペラIMPの回転方向RTDと反対のずれが小さいように形成されていると、また好適である。ディフィーザDFFのガイドベーンの軸方向プロファイルは、カバーディスク側SWSからホイールディスク側HWSに至るまで、連続的に湾曲された状態である。
【符号の説明】
【0049】
ARG 構成体
PFF プロセス流体
MFD メイン流れ方向
INL 入口
EXT 出口
X 軸線
RTD 回転方向
IMP インペラ
VNE ガイドベーン
DFF ディフューザ
HWI ホイールディスク
SWI カバーディスク
BLD ロータブレード
CDR 周方向
ICH インペラ流路
SWS カバーディスク側
HWS ホイールディスク側
IND ディフューザ入口
EXD ディフューザ出口
TS1 第一のディフューザ三分割部分
TS2 第二のディフューザ三分割部分
TS3 第三のディフューザ三分割部分
HCN ガイドベーン流路
PRL ブレードプロファイル
SCS 吸引側
PRS 圧力側
STA ステータ
RCL 径方向あそび
BWL 翼形中心線
CLC 内接円
ILE ロータブレード入口縁部
ITE ロータブレード出口縁部
IS1 第一のインペラ部分
IS2 第二のインペラ部分
IS3 第三のインペラ部分
LEA 入口縁部角
TLV 入口縁部接線
CTG 周方向接線
RAD 径方向ビーム
VCH 断面形状弦
AOA 迎え角
SAC ディフューザの軸方向の流路幅
IAC インペラの軸方向の流路幅
DIE インペラ出口最大直径
TEA 出口縁部領域
TLV 入口縁部領域内で翼形中心線に接する接線
TTV 出口縁部領域内で翼形中心線に接する接線
VBA 曲率角
VTC 入口迎え角
DLE ガイドベーンの入口縁部
DTE ガイドベーンの出口縁部
CBS ガイドベーンの入口縁部の径方向のずれ
BDS カバーディスク側ロータブレードトラック
BRS ホイールディスク側ロータブレードトラック
DDS カバーディスク側ガイドベーントラック
DRS ホイールディスク側ガイドベーントラック