(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-17
(45)【発行日】2022-05-25
(54)【発明の名称】詰まり除去機能が備えられた座便器
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20220518BHJP
E03C 1/30 20060101ALI20220518BHJP
E03D 11/02 20060101ALI20220518BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
E03C1/30
E03D11/02 Z
(21)【出願番号】P 2021542573
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 KR2020005597
(87)【国際公開番号】W WO2020222502
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0051066
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0064416
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521322373
【氏名又は名称】バク ギョレ
【氏名又は名称原語表記】PARK,KyeoReh
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】バク ギョレ
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00- 7/00
E03D 11/00-13/00
E03C 1/12- 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座便器に設置される便器詰まり解消装置において、
便器本体の上部に備えられて圧縮気体を発生するか貯蔵するカートリッジと、
前記カートリッジから発生または貯蔵された圧縮気体を前記便器本体の用水貯蔵空間に排出させる排出口と、
前記カートリッジにヒンジ結合され、便座及び前記便器本体を上から開閉する便器蓋と、を含み、
前記便器蓋は前記用水貯蔵空間を密閉し、
前記カートリッジは前記圧縮気体を発生するための化合物を内部に貯蔵するが、点火器を
作動して前記化合物が分解されたら、前記カートリッジから圧縮気体が発生して排出される便器詰まり解消装置。
【請求項2】
前記便器蓋は縁に突出形成され
た側壁、及び側壁の底面に取り付けられる吸盤を含み、
前記吸盤は、前記便器蓋が閉まって前記便器本体の上部縁に圧着される際、前記用水貯蔵空間を密閉させる請求項1に記載の便器詰まり解消装置。
【請求項3】
前記便器蓋の側壁の周縁の長さは、前記便座の周縁の長さより大きい請求項1に記載の便器詰まり解消装置。
【請求項4】
前記排出口の端部に連結され、ノズルから排出される圧縮気体の量に応じてその体積が異なる軟性チューブを更に含む請求項3に記載の便器詰まり解消装置。
【請求項5】
前記吸盤の内部と連通する吸入管を介して前記吸盤内部の空気を吸入することで、前記吸盤と前記便器本体の上部縁との間の圧着力を増加させる空気吸入部を更に含む請求項
2に記載の便器詰まり解消装置。
【請求項6】
前記カートリッジはアジ化ナトリウムを内部に貯蔵し、点火器を点火して化合物が分解されたら、前記カートリッジから圧縮気体が発生して排出される請求項1に記載の便器詰まり解消装置。
【請求項7】
便器において、
上部は開放され、中央は窪んで用水を収容する用水貯蔵空間を有する便器本体と、
前記便器本体に用水を供給する用水貯蔵槽と、
前記便器本体の上部に回動可能にヒンジ結合される便座と、
前記便器本体と前記用水貯蔵槽との間に備えられ、圧縮気体を発生するか貯蔵するカートリッジと、
前記カートリッジに貯蔵されていた圧縮気体を前記便器本体の前記用水貯蔵空間に排出させるノズルと、
前記カートリッジにヒンジ結合され、前記便座及び前記便器本体を上から開閉する便器蓋と、を含み、
前記便器蓋は前記用水貯蔵空間を密閉し、
前記カートリッジは前記圧縮気体を発生するための化合物を内部に貯蔵するが、点火器を
作動して前記化合物が分解されたら、前記カートリッジから圧縮気体が発生して排出される座便器。
【請求項8】
前記便器本体の上部に結合されるビデを更に含み、
前記カートリッジは前記ビデに内蔵され、前記ノズルは前記ビデの排出口に内蔵される請求項7に記載の座便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰まり除去機能が備えられた座便器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トイレには汚物を処理するための座便器が設置されている。座便器は、上部に開放口が形成され、中央が窪んだ形状を有する本体と、本体の後方に設置され、便器内の異物を浄化槽に排出する用水が貯蔵された水槽と、前記本体にヒンジで回動可能に結合された便座及び便器蓋と、を含む。
【0003】
よって、使用者は本体の開放口を塞いでいる便器蓋を上に引き上げた後、便座に座って座便器を使用するが、使用後に水槽の一側に取り付けられている流しレバーを作動したら、水槽に貯蔵されていた用水が本体の内部に供給されて異物を浄化槽に排出するようになる。
【0004】
使用者が用便の後にレバーまたはボタンを操作すると、貯蔵されていた用水が本体の内部に流入されながら、汚物や便が便器本体の用水貯蔵空間と連結された下水溝を介して排出されるようになる。
【0005】
しかし、便または異物が下水溝に詰まる場合、用水が排出されても下水溝を介して汚物や便が排出されなくなるが、この場合、ユーザがひどく不快感を感じるようになる。それだけでなく、便器本体の開口部の外に用水や汚物が溢れだし、衛生上深刻な問題を引き起こす恐れがある。
【0006】
通常の場合、家庭では下水溝に詰まった異物を溶解する溶解剤やゴム材質の手動式圧縮機を使用する。しかし、溶解剤によって異物が効果的に溶解されず、下水溝の詰まり現象が解消されない場合が多い。また、使用者が手動式圧縮機の使用に慣れていなければ、同じく下水溝の詰まり現象を解消することができない。
【0007】
手動式圧縮機を介して下水溝の詰まりを解消するとしても使用者が直接ポンプ作業をするべきであるため、作業過程で相当な不快感を感じるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、座便器の詰まり現象を効果的に解決し、解決過程で使用者の介入を最小限にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した本発明の目的を達成し、後述する本発明の特徴的な効果を実現するための本発明の特徴的な構成は下記のようである。
【0010】
本発明の一様態によると、上部が開放され、中央が窪んで用水を収容する用水貯蔵空間が形成された便器本体と、前記便器本体に用水を供給する用水貯蔵部と、前記便器本体の上部にヒンジで結合され、回動可能な便座と、前記便器本体と前記用水貯蔵部との間に設けられ、圧縮空気を発生するか貯蔵する圧縮空気カートリッジと、前記圧縮空気カートリッジに貯蔵されていた圧縮空気が前記便器本体の前記用水貯蔵空間に排出されるようにする圧縮空気ノズルと、前記圧縮空気カートリッジにヒンジ結合され、前記便座及び前記便器本体の上部を開閉する便器蓋と、を含み、前記便器蓋は、縁に突出形成された側壁と、前記側壁の底面に取り付けられる吸盤と、を含み、前記吸盤は、前記便器蓋が閉まる際に前記便器本体の上部縁に圧着されることで、前記用水貯蔵空間が密閉されるようにする。
【0011】
前記便器蓋の側壁の周縁の長さは、前記便座の周縁の長さより大きい。
【0012】
前記座便器は、前記圧縮空気ノズルの末端に連結され、前記圧縮空気ノズルから排出される圧縮空気の量に応じて体積が異なる軟性チューブを更に含む。
【0013】
前記座便器は、前記吸盤の内部と連通する吸入管を介して前記吸盤内部の空気を吸入することで、前記吸盤と前記便器本体の上部縁との間の圧着力を増加させる空気吸入部を更に含む。
【0014】
前記吸入管は、前記空気吸入部及び前記吸盤の内部と連通し、ゴム材質からなる。
【0015】
前記圧縮空気カートリッジは内部にアジ化ナトリウムを貯蔵し、点火器を点火して前記アジ化ナトリウムが分解されたら、前記圧縮空気カートリッジから圧縮空気が発生して排出される。
【0016】
他の側面において、座便器に設置される便器詰まり解消装置が開示される。便器詰まり解消装置は、前記便器本体の上部に安着されて圧縮空気を発生するか貯蔵する圧縮空気カートリッジと、前記圧縮空気カートリッジに貯蔵されている圧縮空気をして前記便器本体の用水貯蔵空間に排出されるようにする圧縮空気排出口と、前記圧縮空気カートリッジにヒンジ結合され、前記便座及び前記便器本体の上部を開閉する便器蓋と、を含み、前記便器蓋は、縁に突出形成される側壁と、前記側壁の底面に取り付けられる吸盤と、を含み、前記吸盤は、前記便器蓋が閉まって前記便器本体の上部縁に圧着される際、前記用水貯蔵空間をして密閉されるようにする。
【発明の効果】
【0017】
少なくとも一つの実施例によると、便器本体の用水貯蔵部の内部に圧縮空気を排出することで、便器の詰まりを解消することができる。少なくとも一つの実施例によると、側壁及び吸盤が設けられた便器蓋を利用して圧縮空気を排出する間、用水貯蔵部の内部を密閉状態に維持することができる。少なくとも一つの実施例によると、アジ化ナトリウムを利用して強い圧力で用水貯蔵部の内部に圧縮空気を排出することができる。少なくとも一つの実施例によると、圧縮空気ノズルに軟性チューブを連結することで、用水貯蔵部の圧力を効果的に増加させ、用水及び汚物が跳ねる現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例の説明に利用されるために添付された以下の図面は本発明の実施例のうち単に一部に過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者(以下、「通常の技術者」という)にとっては発明に至る努力なしにこの図面に基づいて他の図面が得られる。
【0019】
【
図1】例示的な実施例による座便器を例示的に示す斜視図である。
【
図2】第1実施例による座便器を示す断面図である。
【
図3】第1実施例による座便器を示す断面図である。
【
図4】第2実施例による座便器を示す断面図である。
【
図5】第2実施例による座便器を示す断面図である。
【
図6】第3実施例による座便器を示す断面図である。
【
図7】第3実施例による座便器を示す断面図である。
【
図8】第4実施例による座便器を示す断面図である。
【
図9】
図8で示した排出部242の断面を示す断面図である。
【
図11】第5実施例による座便器を示す断面図である。
【
図12】他の例示的な実施例による便器詰まり解消装置を示す斜視図である。
【
図13】
図12で示した便器詰まり解消装置が座便器に設置されている状態を示す断面図である。
【
図14】
図13で示した便器詰まり解消装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
後述する本発明による詳細な説明は、本発明の目的、技術的解法、及び長所を明確にするために、本発明が実施され得る特定実施例の例示として図示する添付図面を参照する。これらの実施例は通常の技術者が本発明を十分に実施し得るように詳細に説明される。
【0021】
本発明の詳細な説明及び請求項にわたって、「含む」という単語及びその変形は、他の技術的特徴、付加物、構成要素、またはステップを除外すると意図されていない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」されているか「接続」されていると言及されれば、その他の構成要素に直接連結されているか、または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在する可能性もあると理解すべきである。逆に、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているか「直接接続」されていると言及されれば、中間に他の構成要素は存在しないと理解すべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、つまり「…の間に」と「すぐ…の間に」、または「…に隣り合う」と「…に直接隣り合う」なども同じく解析すべきである。
【0022】
第1または第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ、例えば、本発明の概念による権利範囲から逸脱しないまま、第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似して第2構成要素は第1構成要素と命名されてもよい。
【0023】
一方、本明細書において、「用水」とは通常洗浄用途に利用される水、例えば、洗浄水を称する用語として利用されたが、通常の技術者はその他にも前記用水が多様な液体を含み得ると解釈すべきである。
【0024】
通常の技術者にとって本発明の他の目的、長所、及び特性は、一部は本説明書から、そして一部は本発明の実施例から明らかになるはずである。以下の例示及び図面は実例として提供され、本発明を限定するように意図されていない。なお、本発明は、本明細書に示した実施例の全ての可能な組み合わせを網羅する。本発明の多様な実施例は、互いに異なるが相互排他的な必要はないことを理解すべきである。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造、及び特性は、実施例に関して本発明の思想及び範囲を逸脱しないながらも他の実施例に具現されてもよい。また、それぞれの開示された実施例内の個別の構成要素の位置または配置は、本発明の思想及び範囲を逸脱しないながらも変更され得ることを理解すべきである。よって、後述する詳細な説明は限定的な意味で取られるものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されるのであれば、その請求項が主張するものと均等な全ての範囲と共に添付した請求項によってのみ限られる。図面において、類似した参照符号は多様な側面にわたって同じであるか類似した機能を指す。
【0025】
本明細書において、異なるように表示されるか明白に文脈に矛盾しない限り、単数に称された項目は、その文脈で異なるように要求されない限り、複数のものを併せる。また、本発明を説明するに当たって、関連する公知構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0026】
以下、通常の技術者が本発明を容易に実施し得るようにするために、本発明の好ましい実施例について添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、例示的な実施例による座便器を例示的に示す斜視図である。
図1を参照すると、座便器は、上部が開放され、中央が窪んで用水を収容する用水貯蔵空間114が形成された便器本体110と、便器本体110に用水を供給する用水貯蔵部120と、便器本体110の上部にヒンジ結合され、回動可能な便座130と、を含む。
【0028】
座便器は便器本体110の上部に設けられ、便座130と用水貯蔵部120との間に設けられた圧縮空気カートリッジ140を含む。圧縮空気カートリッジ140に貯蔵された圧縮空気は、後述する圧縮空気ノズルを介して便器本体110の用水貯蔵空間114に排出される。圧縮空気ノズル144は、用水貯蔵空間114の上部に固定される。圧縮空気ノズル144を用水貯蔵空間114の上部に設けることで、便器の詰まり現象によって用水の水位が高くなった際にも圧縮空気ノズル144が直ちに浸水することを防止することができる。
【0029】
圧縮空気カートリッジ140は、圧縮空気を発生するか貯蔵する。一例として、圧縮空気カートリッジ140は内部に予め生成されている圧縮された気体を貯蔵していてもよい。他の例として、圧縮空気カートリッジ140にはアジ化ナトリウム(sodium azide、NaN3)が貯蔵されていてもよい。使用者がボタンを操作するなどの制御操作を行えば、圧縮空気カートリッジ140は点火器を作動させて内部に貯蔵されているアジ化ナトリウムに活性化エネルギーを供給する。アジ化ナトリウムはナトリウムと窒素気体に分解される。この過程で瞬間的に多量の窒素気体が発生するが、発生した窒素気体は相対的に高い圧力で便器本体110の用水貯蔵部120に流入される。アジ化ナトリウムから窒素気体が発生する過程は、化学式1のように表される。
【0030】
【0031】
圧縮空気カートリッジ140は、内部に酸化鉄を更に含む。化学式1で発生するナトリウムは、前記酸化鉄と反応して酸化ナトリウムに変わる。酸化ナトリウムは金属ナトリウムより安定した化合物であるため、圧縮空気カートリッジ140の安全性を上げることができる。酸化ナトリウムが生成される過程は、化学式2のように表される。
【0032】
【0033】
座便器は、圧縮空気カートリッジ140にヒンジ結合されて回動可能な便器蓋150を含む。便器蓋150は、縁に突出形成された側壁152、及び側壁152の底面に取り付けられる吸盤154を含む。吸盤154はゴム材質からなる。便器蓋150の回動によって、便座130及び便器本体110の上部が開閉される。例えば、便器蓋150を下に引き下げれば、便座130が便器蓋150の側壁152内に形成された内部空間に挿入される。また、便器蓋150の吸盤154が便器本体110上部の縁112に圧着される。吸盤154が便器本体110上部の縁112に圧着されることで、用水貯蔵空間114が密閉される。用水貯蔵空間114が密閉された状態で用水貯蔵空間114に圧縮空気が排出されたら、用水貯蔵空間114の圧力が増加する。
【0034】
図2及び
図3は、第1実施例による座便器を示す断面図である。
図2及び
図3において、実施例を説明するための構成以外に便器に含まれる一般的な他の構成の表示は省略する。
【0035】
図2及び
図3を参照すると、座便器の排水路116に異物10が詰まって排水路116が詰まったら、用水貯蔵部114に貯蔵された用水と汚物が排水路116を介して排出されなくなる。便器蓋150が上に引き上げられている際、便器本体110の上部は開放されている。便器蓋150の上面は側面152によって支持される。よって、便座130及び便器本体110の上部が共に便器蓋150によって密閉される。便器蓋150が回動によって下に引き下げられたら、
図3に示したように、便器蓋150の側面152の下に設けられた吸盤154が便器本体110の上部縁112に圧着される。
【0036】
側壁152の周縁の長さは、便座130の周縁の長さより長い。よって、便器蓋150が閉まった際、便座130が便器蓋150の側壁152の中に設けられた空間に入るようになる。便器蓋150によって便座130を含む領域がいずれも密閉される。
【0037】
吸盤154が便器本体110の上部縁112に圧着されたら、便器本体110の用水貯蔵部が密閉される。使用者のボタン操作などによって制御命令が伝達されたら、圧縮空気カートリッジ140は圧縮空気ノズル144を介して圧縮空気を排出する。圧縮空気ノズル144は、便器本体110の内部に設けられた貫通孔114に挿入される。圧縮空気カートリッジ140は制御命令によって弁142を開放し、圧縮空気ノズル144を介して予め貯蔵されていた圧縮空気を排出する。他の例として、圧縮空気カートリッジ140は制御命令によって点火器を作動してアジ化ナトリウムを分解するが、この際に発生する窒素ガスを圧縮空気ノズル144を介して排出する。この場合、弁142は省略されてもよい。
【0038】
圧縮空気ノズル144を介して圧縮空気が排出されたら、便器本体110の用水貯蔵部内部の圧力が増加する。増加された圧力によって、用水貯蔵部の貯蔵されていた用水が排水路116に押し出す力を発生する。この押し出す力によって排水路116にある異物10が押し出されながら、排水路116の詰まりが解消される。
【0039】
図4及び
図5は、第2実施例による座便器を示す断面図である。
図4及び
図5の実施例を説明するに当たって、
図2及び
図3と重複する内容は省略する。
【0040】
図4及び
図5を参照すると、座便器は圧縮空気ノズル114の末端に連結された軟性チューブ170を更に含む。軟性チューブ170は、軟性チューブ170内部の空気量や圧力に応じて体積が異なり得る。そのために、軟性チューブ170はゴムまたはその他の軟性材質からなる。圧縮空気カートリッジ140が圧縮空気ノズル144を介して圧縮空気を排出したら、排出された圧縮空気が軟性チューブ170の体積を増加させる。便器蓋150によって用水貯蔵部が密閉された状態で軟性チューブ170の体積が増加したら、用水貯蔵部の圧力が増加する。増加された圧力によって、用水貯蔵部の貯蔵されていた用水が排水路116に押し出す力を発生する。この押し出す力によって排水路116にある異物10が押し出されることで、排水路116の詰まりが解消される。
【0041】
図4及び
図5を参照すると、圧縮空気が用水貯蔵部の内部に排出される過程で、排出される圧縮空気と用水貯蔵部に貯蔵されていた用水の間に摩擦によって発生する跳ね現象が防止される。つまり、強い圧力で排出される空気が用水と直接摩擦を起こさなくなるため、汚物を含む用水が密閉された空間の内部で四方に跳ねる現象を防止することができる。また、軟性チューブ170の体積増加によって用水貯蔵部内部の圧力を漸進的に増加させることで、効果的に詰まり現象を解消することができる。
【0042】
図6及び
図7は、第3実施例による座便器を示す断面図である。
図6及び
図7の実施例を説明するに当たって、
図2及び
図5と重複する内容な省略する。
【0043】
図6は軟性チューブ170が含まれている場合を示し、
図7は軟性チューブ170が含まれていない場合を示す。
図6及び
図7を参照すると、座便器は、便器本体110の上部縁112と吸盤154との間の圧着力を増加させる空気吸入部160及び吸入管162を更に含む。吸入管162は、吸盤154の内部及び空気吸入部160の内部と連通する。よって、吸盤154の内部と空気吸入部160の内部は互いに連通した状態である。
【0044】
吸入管162は、便器蓋150の側面152に形成された貫通孔を介して挿入されて吸盤154の内部と連結される。吸入管162はゴム材質からなる。よって、便器蓋150がヒンジに固定されて回動することで、吸入管162が曲がるか広がる。空気吸入部160は、電気エネルギーを消耗して空気吸入部160内部の圧力を下げる。空気吸入部160は家庭用ビデの電源を共有する。空気吸入部160内部の圧力が下がると、圧力差によって吸盤154内部の空気が吸入管162を介して空気吸入部160内部に移動する。
【0045】
吸盤154内部の空気が空気吸入部160によって吸入されることで、吸盤154と便器本体110の上部縁112の間の圧着力が増加する。よって、便器本体110の用水貯蔵部内部に圧縮空気が排出されるか、軟性チューブ170の体積が増加することで、用水貯蔵部内部の圧力が増加しても便器蓋150が開放されない。
【0046】
図8は、第4実施例による座便器を示す断面図である。
【0047】
図8を参照すると、上述した圧縮空気カートリッジはビデ240に内蔵されて一体型に具現される。排出部242には2つの穴241、243が設けられている。第1穴241を介しては洗浄水が排出され、第2穴243を介しては圧縮空気が排出される。ビデ240の内部には、圧縮空気カートリッジと洗浄水貯蔵空間が設けられている。
【0048】
図9は、
図8で示した排出部242の断面を示す断面図である。
【0049】
図9を参照すると、排出部242の第1穴241は第1流路241aと連通し、第2穴242は第2流路242aと連通する。第1流路241aは、ビデ240の内部に設けられた洗浄水貯蔵部と連結されている。第2流路242aは、ビデ240の内部に設けられた圧縮空気カートリッジと連結されている。圧縮空気カートリッジは圧縮された空気を貯蔵する。他の例として、圧縮空気カートリッジはアジ化ナトリウムを貯蔵しておいて、圧縮空気を排出する際、点火器を作動させてアジ化ナトリウムから窒素ガスを発生させる。ビデ240は、第1動作モードで第1流路241aを介して第1穴241の外に洗浄水を排出する。ビデ240は、第2動作モードで第2流路242aを介して第2穴242の外に圧縮空気を排出する。第2流路242aは上述した圧縮空気ノズルに対応する。
【0050】
図8では排出部242に2つの穴241、243が設けられている場合を示したが、実施例はこれに限らない。例えば、排出部242には一つの穴のみ設けられていてもよい。また、ビデ240の動作モードによって、排出部242は洗浄水を排出するか圧縮空気を排出してもよい。
【0051】
図10は、ビデ240の断面を例示的に示す断面図である。
【0052】
図10を参照すると、ビデ240の内部には洗浄水貯蔵部244、及び圧縮空気カートリッジ245が設けられている。排出部242の内部に設けられた流路は、洗浄水貯蔵部244及び圧縮空気カートリッジ245と連結されている。流路内の流体の流れは、第1弁248及び第2弁247によって調節される。
【0053】
ビデ240は、第1動作モードで第1弁248を開放する。第1動作モードで、洗浄水貯蔵部244に貯蔵されていた洗浄水が流路を介して排出部242の穴241の外に排出される。ビデ240は、第2動作モードで第2弁247を開放する。第2動作モードで、圧縮空気カートリッジ245に貯蔵されていた洗浄水が流路を介して排出部242の穴241の外に排出される。
【0054】
図11は、第5実施例による座便器を示す断面図である。
【0055】
図11を参照すると、座便器は、ビデ240と圧縮空気カートリッジ140とを含む。
図8とは異なって、ビデ240と圧縮空気カートリッジ140は一体型に具現されずに互いに分離されている。ビデ240は、排出部242を介して洗浄水を排出する。圧縮空気カートリッジ140は、圧縮空気ノズル142を介して圧縮空気を排出する。圧縮空気ノズル142は、便器本体110の内部に挿入される。
【0056】
上述した実施例においては便器の詰まりを解消するための装置が便器に固定されていることを例示的に説明したが、実施例はこれに限らない。便器の詰まりを解消するための装置は便器と分離されて構成されてもよく、便器に取り外し可能であってもよい。
図12は、他の例示的な実施例による便器詰まり解消装置300を示す斜視図である。
【0057】
図12を参照すると、便器詰まり解消装置300は、圧縮空気カートリッジが内蔵された本体320、本体320の前面にヒンジ結合される便座320、及び本体320にヒンジ結合される便器蓋310を含む。本体320にはビデ構成が更に内蔵されていてもよい。便器詰まり解消装置300は、座便器400の便器本体410の上部412に安着される。便器詰まり解消装置300の本体は、座便器400の用水貯蔵部420の前方に安着される。
【0058】
便器蓋310は、上面、及び上面を支持する側面312を含む。側面312の下には吸盤314が設けられている。吸盤314は、便器本体410の上部縁412に圧着される。便器蓋310によって便器本体410の用水貯蔵空間が開閉される。吸盤314が便器本体410の上部縁412に圧着されたら、便器本体410の用水貯蔵空間が密閉される。
【0059】
図13は、
図12で示した便器詰まり解消装置300が座便器400に設置されている状態を示す断面図である。
【0060】
図13を参照すると、便器詰まり解消装置300の本体320の一端には排出口322が形成されている。本体320に内蔵された圧縮空気カートリッジで生成されるか貯蔵されていた圧縮空気は、排出口322を介して用水貯蔵空間に排出される。圧縮空気カートリッジは瞬間的に多量の窒素ガスを排出する。圧縮空気が排出口322を介して排出されると、用水貯蔵空間の圧力が増加する。圧縮空気が排出口322を介して排出される間、用水貯蔵空間は便器蓋310によって密閉された状態を維持する。
【0061】
図14は、
図13で示した便器詰まり解消装置300の変形例を示す断面図である。
【0062】
図14を参照すると、便器詰まり解消装置300は排出口322に連結された軟性チューブ340を含む。圧縮空気カートリッジが排出口322を介して圧縮空気を排出したら、排出された圧縮空気が軟性チューブ340の体積を増加させる。用水貯蔵部が密閉された状態で軟性チューブ340の体積が増加したら、用水貯蔵部の圧力が増加する。増加された圧力によって、用水貯蔵部の貯蔵された用水が排水路416に押し出す力を発生させる。この押し出す力によって排水路416にある異物10が押し出されることで、排水路416の詰まりが解消される。
【0063】
以上、
図1乃至
図14を参照して例示的な実施例による座便器について説明した。少なくとも一つの実施例によると、便器本体の用水貯蔵部の内部に圧縮空気を排出することで、便器の詰まりを解消することができる。少なくとも一つの実施例によると、側壁及び吸盤が設けられた便器蓋を利用して圧縮空気を排出する間、用水貯蔵部の内部を密閉状態に維持することができる。少なくとも一つの実施例によると、アジ化ナトリウムを利用して強い圧力で用水貯蔵部の内部に圧縮空気を排出することができる。少なくとも一つの実施例によると、圧縮空気ノズルに軟性チューブを連結することで、用水貯蔵部の圧力を効果的に増加させ、用水及び汚物が跳ねる現象を防止することができる。
【0064】
これまで本発明が具体的な構成要素などのような特定事項と限定された実施例及び図面によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されるだけであって、本発明は前記実施例に限らず、本発明の属する技術分野の通常的な知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形を図ることができるはずである。
【0065】
よって、本発明の思想は上述した実施例に限って決められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等にまたは等価的に変形された全てのものは本発明の思想の範疇に属するといえる。
【符号の説明】
【0066】
110:便器本体
120:用水貯蔵部
130:便座
140:圧縮空気カートリッジ
150:便器蓋
160:空気吸入部
162:吸入管
170:軟性チューブ