(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-18
(45)【発行日】2022-05-26
(54)【発明の名称】配線・配管材の支持具
(51)【国際特許分類】
H02G 9/10 20060101AFI20220519BHJP
F16L 3/02 20060101ALI20220519BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20220519BHJP
【FI】
H02G9/10
F16L3/02 B
H02G1/06
(21)【出願番号】P 2018113692
(22)【出願日】2018-06-14
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安田 真之
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-106201(JP,A)
【文献】特開2004-350431(JP,A)
【文献】実開昭58-126307(JP,U)
【文献】実開平07-016531(JP,U)
【文献】特開2017-158352(JP,A)
【文献】特開2000-291170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/00-9/12
F16L 3/02
H02G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された地中埋設箱内において配線・配管材を支持する配線・配管材の支持具であって、
前記地中埋設箱の底壁に載置されるとともに重力方向に延びる柱部と、前記柱部と一体であり、前記配線・配管材を前記底壁から離間した状態で支持する支持部とを備え、
前記柱部には、前記柱部の重力方向途中の外周面から外側に延出する鍔部が設けられ、
前記鍔部の縁部は、前記地中埋設箱の底壁に接触するように設けられ、
前記柱部は、防蟻成分を含有する材料で形成されていることを特徴とする配線・配管材の支持具。
【請求項2】
地中に埋設された地中埋設箱内において配線・配管材を支持する配線・配管材の支持具であって、
前記地中埋設箱の底壁に載置されるとともに重力方向に延びる柱部と、前記柱部と一体であり、前記配線・配管材を前記底壁から離間した状態で支持する支持部とを備え、
前記柱部には、他の前記支持具を支持することで、複数の前記支持具を前記重力方向に積み重ね可能とする積み重ね手段が設けられるとともに、前記柱部の重力方向途中の外周面から外側に延出する鍔部が設けられ、
前記柱部は、防蟻成分を含有する材料で形成されていることを特徴とする配線・配管材の支持具。
【請求項3】
地中に埋設された地中埋設箱内において配線・配管材を支持する配線・配管材の支持具であって、
前記地中埋設箱の底壁に載置されるとともに重力方向に延びる円筒状の柱部と、前記柱部と一体であり、前記配線・配管材を前記底壁から離間した状態で支持する支持部とを備え、
前記柱部には、他の前記支持具を支持することで、複数の前記支持具を前記重力方向に積み重ね可能とする積み重ね手段が設けられ、
前記柱部は、防蟻成分を含有する材料で形成されていることを特徴とする配線・配管材の支持具。
【請求項4】
前記柱部の外周面から延出する鍔部を有し、
前記鍔部は、前記柱部の周方向全体に設けられるとともに、前記重力方向の上側に向けて凹となるように湾曲した椀状である請求項1~請求項3の何れか一項に記載の配線・配管材の支持具。
【請求項5】
前記柱部には、前記支持部に支持された前記配線・配管材を前記支持具に固定するための固定線が挿通可能な挿通部が設けられている請求項1~
4の何れか一項に記載の配線・配管材の支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設された地中埋設箱内において配線・配管材を支持する配線・配管材の支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地中に埋設されたマンホールやハンドホール等の地中埋設箱内において、配線や配管材を支持する支持具が知られている。例えば、特許文献1に開示の地中埋設箱内における配線・配管材の支持構造では、地中埋設箱の底壁から支持棒体が立設するとともに、支持棒体の上端部から側方に延設された支持具によって配線・配管材が支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、地中埋設箱内にはシロアリが侵入することがある。地中埋設箱内に侵入したシロアリは、支持棒体をよじ登ることで、支持具に支持された配線・配管材まで到達する。シロアリは、配線・配管材を囓って損傷させたり、配線・配管材を伝って、配線・配管材が繋がる建屋内に侵入したりする。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、シロアリが配線・配管材に到達することを規制できる配線・配管材の支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための配線・配管材の支持具は、地中に埋設された地中埋設箱内において配線・配管材を支持する配線・配管材の支持具であって、前記地中埋設箱の底壁に載置されるとともに重力方向に延びる柱部と、前記柱部と一体であり、前記配線・配管材を前記底壁から離間した状態で支持する支持部とを備え、前記柱部は、防蟻成分を含有する材料で形成されていることを要旨とする。
【0007】
また、上記配線・配管材の支持具について、前記柱部には、他の前記支持具を支持することで、複数の前記支持具を前記重力方向に積み重ね可能とする積み重ね手段が設けられていてもよい。
【0008】
また、上記配線・配管材の支持具について、前記柱部には、前記支持部に支持された前記配線・配管材を前記支持具に固定するための固定線が挿通可能な挿通部が設けられていてもよい。
【0009】
また、上記配線・配管材の支持具について、前記柱部の外周面から延出する鍔部を有し、前記鍔部は、前記柱部の周方向全体に設けられるとともに、前記重力方向の上側に凹となる凹形状でもよい。
【0010】
上記問題点を解決するための配線・配管材の支持具は、地中に埋設された地中埋設箱内において配線・配管材を支持する配線・配管材の支持具であって、前記地中埋設箱の底壁に載置されるとともに重力方向に延びる柱部と、前記柱部と一体であり、前記配線・配管材を前記底壁から離間した状態で支持する支持部と、前記柱部の外周面から延出する鍔部とを備え、前記鍔部は、防蟻成分を含有する材料で形成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シロアリが配線・配管材に到達することを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】地中における地中埋設箱及び支持具を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、配線・配管材の支持具を具体化した一実施形態を
図1及び
図2にしたがって説明する。
図1に示すように、地中UGには、マンホールやハンドホール等の地中埋設箱10が埋設されている。地中埋設箱10は、矩形状の底壁11と、矩形状の天壁12と、底壁11と天壁12とを接続する4つの側壁13とを備える。地中埋設箱10は、底壁11が重力方向の下側、天壁12が重力方向の上側となるように地中に埋設されている。天壁12には、貫通孔12aが形成されているとともに、貫通孔12aを囲む位置には、筒状の接続部14が設けられている。接続部14の内周面によって形成される連通孔14aは、天壁12の貫通孔12aと連通している。接続部14における天壁12とは反対側の端部は、地面Gに繋がっている。地中埋設箱10は、接続部14の連通孔14aを閉塞する蓋体15を有する。接続部14の連通孔14aが蓋体15によって閉塞されていないとき、地中埋設箱10内と地上とは、天壁12の貫通孔12a及び接続部14の連通孔14aを介して連通している。
【0014】
4つの側壁13のうち、対向する一対の側壁13には、貫通孔13aがそれぞれ形成されているとともに、筒状の保護管16がそれぞれ接続されている。本実施形態の保護管16は、蛇腹状である。一方の側壁13に形成された貫通孔13aには、一方の保護管16の一端部が挿入され、他方の側壁13に形成された貫通孔13aには、他方の保護管16の一端部が挿入されている。各側壁13の貫通孔13aと各保護管16の外周面との隙間は、パテやモルタル等の充填材17によって埋められている。各側壁13と各保護管16との接続部分には、ベルマウス18が設けられている。ベルマウス18は、ラッパ状であり、先細りした形状の一端部は、保護管16に挿入され、末広がりした形状の他端部は、地中埋設箱10内に位置している。各保護管16の内側16aは、ベルマウス18の内側18aを介して、地中埋設箱10の内部空間と連通している。よって、地中UGには、一方の保護管16の内側16aと、一方のベルマウス18の内側18aと、地中埋設箱10の内部空間と、他方のベルマウス18の内側18aと、他方の保護管16の内側16aとが連通して形成される挿通路Rが形成されている。挿通路Rには、配線としてのケーブルKが1本挿通されている。ケーブルKは、例えば、電力ケーブルや通信ケーブル(光ファイバーケーブルを含む)である。挿通路R内において、ケーブルKは、直線状に配線されている。また、地中埋設箱10内において、ケーブルKは、底壁11に載置された2つの支持具21,22によって支持されている。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の支持具21,22は、重力方向に積み重ねられている。2つの支持具21,22のうち、重力方向の下側に位置する支持具を第1支持具21とし、重力方向の上側に位置する支持具を第2支持具22とする。第1支持具21と第2支持具22とは、同じ構成であるため、同じ符号を付して説明する。
【0016】
第1支持具21及び第2支持具22はそれぞれ、柱部としての円筒状の筒部23と、筒部23の軸方向の一方の開口を閉塞する蓋部24とを有する有蓋筒状である。筒部23の軸方向は、重力方向と一致している。筒部23の軸方向の端部のうち、重力方向上側に位置する端部を一端部とし、重力方向下側に位置する端部を他端部とする。筒部23は、大径部23aと、大径部23aよりも外径及び内径の小さい小径部23bと、大径部23aと小径部23bとを繋ぐ段差部23cとを有する。大径部23aは、小径部23bよりも重力方向下側に位置する。第1支持具21及び第2支持具22はそれぞれ、筒部23の軸方向と直交する方向において小径部23bを貫通する2つの挿通部23dを有する。2つの挿通部23dは、筒部23の軸方向と直交する方向に互いに対向する位置に形成されている。蓋部24は、筒部23の軸方向の一端部に設けられている。
図2に示すように、蓋部24は、重力方向下側に向けて凹となる湾曲板状である。蓋部24は、筒部23に一体形成されている。
【0017】
第1支持具21及び第2支持具22はそれぞれ、筒部23の大径部23aの外周面から延出する鍔部25を備える。本実施形態の鍔部25は、大径部23aの軸方向途中の外周面から筒部23の径方向外側かつ重力方向下側に向けて延出している。また、鍔部25は、筒部23の周方向全体に形成されている。筒部23の軸方向と直交する方向において、鍔部25と筒部23の大径部23aとの距離は、重力方向下側から重力方向上側に向かうほど短くなる。つまり、鍔部25は、重力方向の上側に向けて凹となる凹形状である。本実施形態の鍔部25は、重力方向の上側に向けて凹となるように湾曲した椀状である。鍔部25は、筒部23からの延出方向の先端に縁部25aを有する。
【0018】
第1支持具21及び第2支持具22はそれぞれ、防蟻成分としてのクロチアニジンが混合された合成樹脂材料によって形成されている。本実施形態では、クロチアニジンは、マイクロカプセルに封入された状態で合成樹脂材料に混合されている。クロチアニジンは、シロアリ等の虫の神経を選択的に麻痺させる効力を有する。クロチアニジンは、シロアリが第1支持具21及び第2支持具22上を移動したり、第1支持具21及び第2支持具22を囓ったりすることによりマイクロカプセルから出てきて、シロアリの体に付着したり、シロアリの体内に入ったりする。
【0019】
地中埋設箱10内において2つの支持具が底壁11に載置された状態では、第1支持具21の筒部23の軸方向の他端部と鍔部25の縁部25aは、底壁11と接触している。また、第1支持具21の筒部23の小径部23bは、第2支持具22の筒部23の大径部23a内に挿入されている。第1支持具21と第2支持具22とは、第2支持具22の筒部23の段差部23cの内周縁が第1支持具21の軸方向の一端部に支持されることで積み重ねられている。つまり、大径部23a、小径部23b、及び段差部23cによって構成される筒部23の段形状は、支持具21,22を重力方向に積み重ね可能にする積み重ね手段231である。そして、ケーブルKは、第2支持具22の蓋部24によって、地中埋設箱10の底壁11から離間した状態で支持されている。つまり、蓋部24は、ケーブルKを支持する支持部である。また、第2支持具22の2つの挿通部23dには、固定線31が挿通されているとともに、固定線31は、ケーブルKに巻回されている。固定線31は、ケーブルKが第2支持具22の蓋部24に支持された状態で、ケーブルKを第2支持具22に固定している。
【0020】
次に、支持具を用いたケーブルKの支持方法について説明する。
まず、挿通路RにケーブルKを挿通する。次に、地中埋設箱10の底壁11からケーブルKまでの距離、すなわち重力方向においてケーブルKを支持する位置に応じて、使用する支持具の個数(本実施形態では2つ)を決定する。次に、ケーブルKが第2支持具22の蓋部24に支持されるように、第1支持具21及び第2支持具22を重力方向に積み重ねて底壁11に載置する。そして、ケーブルKを固定線31によって第2支持具22に固定する。
【0021】
本実施形態の作用について説明する。
図1に示すように、シロアリAは、接続部14と蓋体15との隙間等から地中埋設箱10内に侵入する。地中埋設箱10内に侵入したシロアリAは、底壁11から第1支持具21の鍔部25の外面をよじ登ることで筒部23の大径部23aの外周面まで移動すると、筒部23の大径部23aの外周面を伝って重力方向上側に向けて移動する。このとき、シロアリAは、支持具21,22に接触したり支持具21,22を囓ったりする。支持具21,22の材料はクロチアニジンを含有している。このため、支持具21,22に接触したり支持具21,22を囓ったりしたシロアリAの多くは、クロチアニジンの効用により死ぬ。
【0022】
なお、第2支持具22には、筒部23の外周面から延出する鍔部25が設けられている。これにより、鍔部25が設けられていない場合と比較して、地中埋設箱10の底壁11からケーブルKまでの道のりが長くなるため、シロアリAが底壁11からケーブルKまで移動するために要する時間も長くなる。よって、シロアリAの個体差により、クロチアニジンの効用が効き始めるのに時間がかかったとしても、シロアリAは、ケーブルKに到達する前にクロチアニジンの効用により死ぬ。
【0023】
本実施形態の効果について説明する。
(1)地中埋設箱10内において、第2支持具22の蓋部24は、ケーブルKを地中埋設箱10の底壁11から離間した状態で支持している。また、第1支持具21及び第2支持具22の材料は、クロチアニジンを含有している。このため、地中埋設箱10内に侵入したシロアリAは、支持具21,22に接触したり支持具21,22を囓ったりすると、クロチアニジンの効力により死ぬ。よって、シロアリAがケーブルKに到達することを規制できる。
【0024】
(2)支持具21,22の筒部23には、支持具21,22を重力方向に積み重ね可能とする積み重ね手段231としての段形状が形成されている。このため、積み重ねる支持具21,22の個数を変更するだけで、地中埋設箱10の底壁11からケーブルKまでの距離が変更される。よって、筒部23の軸方向の長さを変更することなく、重力方向においてケーブルKを支持する位置を調整できる。
【0025】
(3)支持具21,22には、固定線31を挿通するための挿通部23dが形成されている。このため、第2支持具22の挿通部23dに挿通した固定線31によって、ケーブルKを第2支持具22の蓋部24に支持された状態で第2支持具22に固定できる。その結果、例えば、車両の通行等により、地中埋設箱10が振動したとしても、ケーブルKが第2支持具22の蓋部24から落下することを抑制できる。
【0026】
(4)第2支持具22には、筒部23の外周面から延出する鍔部25が設けられている。これにより、鍔部25が設けられていない場合と比較して、地中埋設箱10の底壁11からケーブルKまでの道のりが長くなるため、シロアリAが底壁11からケーブルKまで移動するために要する時間も長くなる。よって、シロアリAの個体差により、クロチアニジンの効用が効き始めるのに時間がかかったとしても、シロアリAは、ケーブルKに到達する前にクロチアニジンの効用により死ぬ。特に、本実施形態の鍔部25は、筒部23の周方向全体に設けられるとともに重力方向上側に凹となる椀状であるため、平板状である場合と比較して、シロアリAの移動時間を稼ぐことができる。よって、シロアリAがケーブルKに到達することをより規制できる。
【0027】
(5)第1支持具21には、筒部23の外周面から延出する鍔部25が設けられている。鍔部25の縁部25aは、地中埋設箱10の底壁11に接触している。このため、第1支持具21と地中埋設箱10の底壁11との接触面積が増大する。よって、例えば、車両の通行等により、地中埋設箱10が振動したとしても、支持具21,22が転倒することを抑制できる。
【0028】
(6)挿通路RにケーブルKを挿通した後で、ケーブルKが第2支持具22の蓋部24に支持されるように、第1支持具21及び第2支持具22を重力方向に積み重ねて底壁11に載置する。このため、地中埋設箱10内におけるケーブルKの位置に応じて、支持具の配置態様を変更できる。よって、例えば、底壁11に予め支持部を形成しておき、その支持部にケーブルKが支持されるように挿通路RにケーブルKを挿通する場合と比較して、施工性が良好である。また、既存の地中埋設箱10内に第1支持具21及び第2支持具22を載置するだけでケーブルKを支持できるため、ケーブルKが支持部等により支持されていない状態で施工が完了した地中埋設箱10に対しても、後から支持具を追加することでケーブルKを支持できる。
【0029】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・マイクロカプセルに封入される防蟻成分は、クロチアニジンに限定されない。防蟻成分は、例えば、チアメトキサムなどのネオニコチノイド系、ピレスロイド系、フェニルピロール系、フェニルピラゾール系、有機リン系、カーバメート系、ホウ素加工物、フッ素化合物でもよい。
【0030】
・防蟻とは、シロアリAを殺すことだけでなく、シロアリAを衰弱させることやシロアリAに支持具21,22を忌避させることも含む。
・合成樹脂材料によって支持具21,22を形成した後、防蟻成分が封入されたマイクロカプセルを含む塗布液を支持具21,22の表面に塗布してもよい。塗布液は、例えば、防蟻成分が封入されたマイクロカプセルを合成樹脂等に混合したもの、詳細には、バインダー樹脂と揮発性溶剤と防蟻成分が封入されたマイクロカプセルとを含むものである。塗布液は、支持具21,22の表面への塗布後に揮発性溶剤が揮発することで硬化し、被膜化される。
【0031】
・支持具21,22の材料は、合成樹脂材料に限定されず、金属など他の材料であってもよい。支持具21,22の材料として金属を採用する場合、金属製の支持具21,22を形成した後、防蟻成分が封入されたマイクロカプセルを含む塗布液を支持具21,22の表面に塗布する。
【0032】
・支持具21,22を構成する筒部23、蓋部24、及び鍔部25のうち、筒部23が防蟻成分を含有しているのであれば、蓋部24及び鍔部25の少なくとも一方は防蟻成分を含有していなくてもよい。
【0033】
・支持具21,22を構成する筒部23、蓋部24、及び鍔部25のうち、鍔部25が防蟻成分を含有しているのであれば、筒部23及び蓋部24の少なくとも一方は防蟻成分を含有していなくてもよい。例えば、支持具21,22のうち鍔部25のみが防蟻成分を含有している場合であっても、地中埋設箱10内に侵入したシロアリAは、鍔部25に接触したり鍔部25を囓ったりすることでクロチアニジンの効力により死ぬ。よって、シロアリAがケーブルKに到達することを規制できる。
【0034】
・地中埋設箱10内において、ケーブルKが延びる方向に配置される支持具の個数は、1つに限定されず、2つ以上でもよい。
・重力方向に積み重ねられる支持具の個数は、2つに限定されず、3つ以上でもよい。重力方向に積み重ねられる支持具の個数は、重力方向においてケーブルKを支持する位置に応じて、適宜変更してよい。また、支持具は、積み重ねられずに使用されてもよい。
【0035】
・支持具21,22が支持するのは、1本のケーブルKに限定されない。例えば、支持具21,22は、複数本のケーブルKや、1本又は複数本のケーブルKが挿通された配管材としてのパイプを支持してもよい。
【0036】
・柱部は、中空構造に限定されず、中実構造でもよい。
・筒部23は、例えば、四角筒状でもよい。
・筒部23の径は、筒部23の軸方向全体で一定であってもよい。
【0037】
・蓋部24を省略してもよい。この場合、ケーブルKは、筒部23の軸方向の一端部に支持される。すなわち、筒部23の軸方向の一端部が支持部となる。
・支持部の構成は、ケーブルKを地中埋設箱10の底壁11から離間した状態で支持できるのであれば適宜変更してよい。例えば、支持部は、筒部23の軸方向の一端部の外周面から側方に延設された構成でもよい。
【0038】
・蓋部24は、筒部23の軸方向と直交する平板状であってもよい。
・鍔部25を省略してもよい。
・鍔部25は、筒部23の外周面から径方向外側に向けて延びる平板状であってもよい。
【0039】
・鍔部25は、筒部23の周方向全周に設けられていなくてもよい。鍔部25は、例えば、筒部23の周方向において間隔を空けて複数設けられていてもよい。
・第1支持具21の鍔部25の縁部25aは、地中埋設箱10の底壁11に接触せず、底壁11から離間していてもよい。この場合、第1支持具21の鍔部25は、第2支持具22の鍔部25と同様、重力方向上側に向けたシロアリAの移動を妨げる。
【0040】
・ケーブルKは、固定線31によって第2支持具22に固定されていなくてもよい。この場合、筒部23の挿通部23dは省略される。
・積み重ね手段231は、筒部23に形成された段形状に限定されない。積み重ね手段231は、例えば、支持具21,22(具体的には筒部23)の軸方向の一端部の外周面に形成された雄ねじ溝と、軸方向の他端部の内周面に形成された雌ねじ溝であってもよい。この場合、第1支持具21の雄ねじが第2支持具22の雌ねじに螺合されることによって、第1支持具21及び第2支持具22は積み重ねられる。
【0041】
・地中埋設箱10は、防蟻成分を含有する材料で形成されていてもよい。
・保護管16は、防蟻成分を含有する材料で形成されていてもよい。
・保護管16は、蛇腹状でなくてもよい。
【0042】
・ベルマウス18を省略してもよい。
・ケーブルKは、挿通路R内において直線状に配線されていなくてもよい。例えば、4つの側壁13のうち、第1の側壁13に貫通孔13aを形成するとともに、第1の側壁13と隣り合う第2の側壁13に貫通孔13aを形成する。この場合、ケーブルKは、湾曲した状態で配線される。
【0043】
・挿通路Rの本数は、1本に限定されない。例えば、対向する一対の側壁13に貫通孔13aを2つずつ形成してもよい。この場合、一方の側壁13に形成された一方の貫通孔13aと、他方の側壁13に形成された一方の貫通孔13aとによって1本目の挿通路Rが形成され、一方の側壁13の形成された他方の貫通孔13aと、他方の側壁13に形成された他方の貫通孔13aとによって2本目の挿通路Rが形成される。つまり、2本の挿通路Rが設けられる。なお、複数本の挿通路Rを設ける場合、挿通路R内において直線状に配線されるケーブルKと、湾曲した状態で配線されるケーブルKとが混在していてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…地中埋設箱、11…底壁、21…支持具としての第1支持具、22…支持具としての第2支持具、23…柱部としての筒部、23d…挿通部、24…支持部としての蓋部、25…鍔部、31…固定線、231…積み重ね手段、K…配線としてのケーブル。